■Donnie Fritts & The Decoys Japan Tour 2009
ドニー・フリッツとデコイズは以前に1974年2001年でそれぞれ紹介していますが、この度その組み合わせでの来日公演となりこれは何が何でも行かねば、ということでさっそく行って参りました・・いや〜良かったです。

35年ぶりの来日、ただし前回はC.クリストファーソンのバックバンド
ドニー・フリッツは1974年のファースト・アルバム"Prone To Lean"の後1997年に23年ぶりのセカンド・アルバム"Everybody's Got a Song"そして昨年の2008年にセカンド・アルバムからは11年ぶりになる"One Foot In The Groove"をリリースしています。
どちらも期待通りのドニーのうまくはないけど滋味あふれるヴォーカルと楽曲、そして腰の据わった南部サウンドを堪能できる素晴らしい内容のアルバムです。
特に昨年の"One Foot In The Groove"は、ドニー・フリッツが腎臓移植手術を受けるという大病後のアルバムで、またジャケット写真も何だか精気の感じられないこともあり心配していたのですが、いざ発売となり聴いてみると元々歌はあんなものなので心配するほどのこともなく、ダン・ペンを始めデコイズなどの旧知の面々のサポートでそれまで通りの濃い内容でした。
(後から出た国内版はもう少しましなジャケットに差し替えられたみたいです)
デコイズも以前にご紹介したように南部バリバリのスワンプ/サザンロック・バンドです。
元カウボーイのスコット・ボイヤーとマッスルショールズのデビッド・フッドがメンバーと言うことだけでも必見なのですが、デビッド・フッドとともにマッスルショールズ・サウンド・スタジオのメンバーとして活躍していたキーボードのバリー・ベケットや近い存在だったディキシー・フライヤーズのジム・ディキッソンがここ最近相次いで亡くなっていることもあり、ひょっとするとこれが最後・・なんてこともありますからね。
一も二もなく見に行くことにしました。
2009年9月28日 渋谷 O-EAST
店を定時で閉めて駆け足で渋谷へ。
前から11列目の席でステージ全体がちょうどいい感じで見られます。
客席もほぼ満員なのですが、これまで行ったどのライブよりも年齢層は高いんじゃないでしょうか・・女性も少ないですね。
圧倒的にオヤジが多いです。
オープニングアクトはKara Graingerというオーストラリアの女性シンガー。
ボニー・レイットばりのブルージーなドブロのスライド・ギターも披露していましたが基本的にはオーガニック系シンガー・ソング・ライターのようです。
5〜6曲やりましたが、なかなか良かったですよ。
さて、いよいよですが最初はデコイズのメンバーだけでスタート。
1曲目は彼らのアルバムタイトルでもある"Shot from the Saddle"。
デコイズの曲を2〜3曲やってからドニーの登場かと思ったら、デコイズだけで6曲だったと思いますが、けっこうやりました。
特にスコット・ボイヤーの"Please Be With Me"やデコイズのギタリスト、ケルビン・ホリーのいたアメイジング・リズム・エイセスの"Love & Happiness"など、カウボーイやアメイジングの曲を本人達を交えた生で聴けるなんて感動でした。
また、日本人のスライド・ギタリストが入ってのステイツボロー・ブルース(オールマン・バージョン) などデコイズだけでもかなり楽しめました。
そのデコイズの演奏中から、ステージの袖にちょこちょこ顔を出していたドニー・フリッツですが、黒っぽいシルキーな上下のスーツに白いシャツ、それにサングラスでバシッと決めていました・・これはちょっと以外。
ドニーが入ってからはファースト・アルバムのB面1曲目"Sumpin’Funky Going On"に始まり3枚のアルバムからまんべんなくといった感じでアンコールも入れると20曲以上(デコイズも含む)たっぷりやってくれました。
私としてはやはりファースト・アルバムの"We Had It All""Rainbow Road"そして"Three Hundred Pounds Hungry"は是非やって欲しかったのですが、これは見事にかなえられて、尚かつ"Rainbow Road"と続けて"My Friend"をエレピの弾き語りでやってくれたのにはジーンとなりました。
欲を言えば"Breakfast In Bed"もやって欲しかったな・・。
オリジナル以外では、ミーターズの"Jungle Man"やドクター・ジョンバージョンの"Iko Iko"といった予想外のニューオリンズものがあったりしましたが、このライブに来ているようなお客さんはこの辺もみんな好きですからね、盛り上がりました。
メンバー紹介の時に一番拍手の大きかったのはやはりベースのデビッド・フッド。
バックで黙々と弾くベースは地味だけど存在感はさすが。
ドラムスとキーボードはよく知りませんが、ノリもばっちりで特にキーボードのおじさんはスワンプ臭プンプンのオルガンやいつの間にか吹いていたブルース・ハープが案外いい味を出していたりと改めてデコイズはいいバンドだなぁと思いました。
ドニー・フリッツも多分かなり気持ちよく歌っていたのではないでしょうか、渋くて暖かくて深くて、そんなところが十二分に出ていた大満足のライブでした。
こういうことが評判になってボビー・チャールズとかダン・ペンとかまた日本に来ないですかね。
二人とも新譜は出したりしていますが、ライブはやっていないみたいですね。
あと、レヴォン・ヘルムなんかも何とかお願いしたいなぁ・・と思ったりします。
(2009.10.2)

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