ようこそお越し下さいました。 <(_ _)> ここでは、当フロアで試聴したコンポーネントの中から、 特に印象に残ったものの聴き所やお勧めポイント、比較試聴等を “島視点”で詳細にレポート致します。 ※ソースの音楽にやや偏向がある場合もございますが、ご容赦願います・・・ |
真のオールインワン・システム 「 F80 」 |
MERIDIAN 「F80」 (\388,500 / 税込) 既に大手百貨店で発売しておりましたが、都内のオーディオ専門店への導入は初めてとなります。( 2009年3月5日現在 ) 1977年に英国で創立したMeridian社ですが、インポートオーディオの分野においてはメジャーブランドとしての地位は確立されており、日本でも輸入代理店は変われども目にする機会は多かったのではないでしょうか。 そのMeridianですが、昨年日本の大手メーカーでもある“パイオニアマーケティング株式会社”を日本の代理店として、この「F80」を発表致しました。 世界で唯一のフェラーリ・オフィシャルプロダクツの認定を受けたテーブルトップオーディオシステム「F80」の魅力に迫って参りたいと思います。 本体は前から見ると半円径になっており、ボディはフェラーリ社と共同開発したアルミマグネシウム・コンボジット素材を使用しております。 本体に内蔵されているスピーカーは前向きにフルレンジスピーカー2本と背面にサブウーファーを装備した2.1chDSPスピーカー。 また、それを駆動するアンプは総合80Wのデジタルベースのアンプで、本体アンダーベースには高品位電源のトロイダルを搭載したメイン基盤が取り付けられております。 プレーヤーのメカはDVD/CDドライブになっており、本体前面の下の部分からディスクを挿入します。 ディスプレイ表示は最新の有機ELディスプレイを採用し、クリアで見やすい表示となっております。 また幅広い照度の調整が可能で、部屋の明るさに応じて自動的に照度が調整されます。 その下にコントロール用のボタンがきれいに並んでおります。 本体右サイドにはヴォリュームがついており、回すとヴォリュームコントロールができ、押すとミュートになります。 本体のチューナー部分ですが、メリディアンの創業者の一人でもあるボブ・スチュワートがラジオ愛好家ということもあり、こだわりを持っており、内蔵アンテナも装備されております。 Meridian独自の「DSP音場補正機能」を搭載、メニュー画面で部屋の状態に合わせた設定、また、“音の広がり”や“低域”の調整などが可能となっており、実に多機能です。 背面の入力端子ですが、左端より
ここで機能面でのご説明をさせて頂きます。 左から2番目のボタンを押すと“ Radio・Disc・Aux・Adjust ”とディスプレイに表記されます。 その時に“ Adjust ”と表記された下のボタンを押すと各種設定画面に入れます。
最初に電源を入れると「Meridian」、そして「Ferrari」と表記され、通常の画面に入ります。スロットインタイプですので、カーオーディオの延長のようにも感じますが、 再生してみるとDSPの処理のせいかサイズを感じさせないスケール感のある音を感じることが出来ました。 もちろんピュアオーディオという観点からでのコメントではありませんが、ここまで鳴ってくれれば十分に役目を果してくれているのではないかと思います。 音の広がり調整では、スケール感などは上がりますが、音の純度は減ってきます。 また大音量ではさすがにひずみが増えてきますが、程よいボリュームではきれいに空間を作って聴かせてくれます。 派手な音つくりはせずに、自然で邪魔をしないところが実に素晴らしいです。 メインを既にお持ちで、リビング、寝室、オフィスなどにオーディオを追加したいけれども、スペース的にに問題が・・・というお客様は、是非注目して頂きたい製品です。 音楽とは“ 音を楽しむ ”ということですが、デザインやスペースファクターも大きな要素を担っております。 この「F80」は言わばロケーションフリーで質の高い音楽を提供したいという、音楽をこよなく愛するからこそ出来た製品ではないでしょうか。 専用の iPod ドッグを使えば、それにお気に入りの音楽データーをストック、持ち運んでセットする、というスマートな楽しみ方も良いでしょう。 今この時代オーディオの世界は多様化しておりますが、音楽を楽しむといった面では皆様共通だと思います。 4F 【 H.A.L.3 】 では勿論、追い込んだハイエンドの世界も展開していきますが、オーディオを “ もっと気軽に! ” というスタイルも同時に推進して行きたいと思っております。 この製品は販売店限定での商品となっております。 カタログご希望のお客様はメール、電話でご連絡ください。 試聴のご予約、お問い合わせ、ご注文も承っております。 当フロア担当“ 島 ”まで、お気軽にご連絡下さい。 |
“ ハイエンド ” プリメインアンプ “JEFF ROWLAND” OR “GOLDMUND” |
上段:GOLDMUND 「TELOS390」 (\1,134,000 / 税込) プリメインアンプの開発から着手し、更にグレードの高いものを、という事でセパレート・アンプのリリースに至る・・・というプロセスが一般的かと思いますが 今回取り上げます2ブランドに関しましては、セパレート・アンプが先で、その後にプリメインアンプを発売しております。 JEFF ROWLANDは1996年に発売された「Concentra」、続いて「Concerto Integrated Amplifier」 、そして昨年発売されたのが「Continuum 500」。 GOLDMUNDでは、ハイエンドシリーズとしては初めてのプリメインアンプとなった「MIMESIS330ME」、そして現行製品の「TELOS390」へと進化を遂げて来ました。 価格もあるとは思いますが、お客様によってはスペースや電源、外見上を考えた際に、敢えて一体型のプリメインアンプの方が良いという選択もあると思います。 メーカーとしても、そのようなニーズに対応し、また逆にそういったモデルだからこそ、しっかり作っているという事もあると思います。 “プリメイン”だから“セパレート”より下位モデル・・といった概念を捨てて考えて欲しいアンプです。 それでは、それぞれ特徴をレポートして参ります。 ■JEFF ROWLAND 「 Continuum 500 」 以前のモデル「Concerto Integrated Amplifier」が薄型の筺体だったのに対し、こちらはかなり大きくなっております。 Continuum 500の“500”という数字は、同社モノラル・パワーアンプ「MODEL501」が持つ500W(8Ω)と同じく出力を表す数字となっており、パワーアンプ「MODEL501」と 既に生産終了となりましたプリアンプ「Concerto Pre」を1台に集約したモデルと言えます。 フロントパネルはJEFFの代名詞でもある美しいアルミの削り出しで、デザインを重視したのか面はフラットではなく、ややカーブがかかっています。 フロント以外のボディはアルミブラック仕上げとなっており、放熱を考えたを形状になっています。実際無信号時でも本体は熱くなりますが、これは問題ございません。 パワーアンプ部はICEモジュールを採用、このサイズでこれだけの出力を出せるというのが、このモジュールの利点となっております。 電源はACをDCに変更し、バッテリーに近い状態で、安定した電源をプリ / パワーアンプ部に送っているというのもこのアンプの魅力でしょう。 フロント操作部分は4系統の入力ボタンが独立しており、その横に“BYPASS”、“PHASE”、“MUTE”ボタンが並んでおります。 ヴォリュームのディスプレイはブルーで、その横にヴォリュームが付いております。 リアパネルは左右対象となっており、入力は RCA / XLR 各2系統、出力は RCA / XLR 各1系統となっております。 またRCAで“BYPASS入力”というものがありますが、一般的には“SSP入力”という表記をしているメーカーが多く、AVプリ等を入力する時に使用します。 Continuum 500をパワーアンプとして使う時にもこちらに入力して頂くことになります。 スピーカーターミナルはYラグ専用となっています。 細かいスペックは下記の通りになります。
■GOLDMUND 「 TELOS390 」 GOLDMUNDのサウンドを質はそのままに、より手軽に楽しめるようにと開発されたのが「MIMESIS330ME(L)」ですが、パワーアンプがTELOSシリーズになり、そのテクロノジーを注ぎ込んだモデルがこの「TELOS390」です。 パワーアンプ部は同社スレレオ・パワーアンプ「TELOS150L」と同じものが入っております。 フロントはGOLDMUNDならではのシンプルなデザイン、エンブレムはここ最近仕様変更されましたロジウムメッキを採用。 天板はアルミ製になっており、以前のMIMEISIS330MEに比べて、こちらもサイズは大きくなっております。 今回の大きな魅力の一つがMIMESIS330MEではオプションとなっていたデジタル入力が最初から装備されているという所です。 そのデジタル入力はSPDIF3系統となっており、外部デジタル機器の接続が可能です。 現在お持ちのCD PLAYERをトランスポートとして使い、2種類の音を楽しむことも出来ます。 D/AモジュールはGOLDMUNDのオリジナル“ALIZE4”が入っております。 リアパネルは、RCAのアナログ入力×4系統、デジタル同軸×3系統、プリ出力がRCA×1系統となります。 スピーカー出力は1系統で、ヒートシンクがある為、接続しにくいという場合には付属のBANANAプラグをご使用下さい。 細かいスペックは下記の通りになります。
それでは、音質チェックに入らせて頂きます。 試聴システムは、スピーカーがSonusfaber「CREMONA M」、CD/SACDプレーヤーがDENONの新製品「DCD-SX」です。 まずは“BILL EVANS TRIO”で試聴致しました。 Continuum 500は重心の低さとエネルギー感が際立ち、聴いていて安心感があります。 また雰囲気も良く出ており、スピーカーを余裕を持ってドライブしてくれます。 GOLDMUNDは、TELOSシリーズになって余裕が出ており、ある意味万能系と言えると思います。 その中にGOLDMUNDの美音が重なり、上品な音色になっております。シンバルなどは小気味良く、アップテンポに感じる点もあります。 次に藤田恵美“ココロの食卓”より♪街の灯りで試聴。 Continuum 500ですと、中域の温かみを感じ、歌声に安心感を覚えます。 ここでもベースがしっかり出ており、結果音楽全体もしっかりとして来ます。やはりエネルギー感は強く、全体的に前に出てくる印象です。 TELOS390の方は、やはりGOLDMUNDならではの美音と透明感を感じ、うっとりとします。 鳴り方としてはContinuum 500と比較すれば少し控えめで、グングン前に出て来るという感じではありません。情報量が多く、見通しも良く感じます。 サウンドステージも広く、Continuum 500に比べれば全体的にフレッシュなイメージです。 “カルロスクライバー指揮ウィーンフィル / ベートーベン 交響曲7番4楽章”を試聴。 Continuum 500のエネルギー感が目立ち、ハーモニーが良く伝わって来ます。 「パワーアンプがスピーカーを駆動する」といった仕事をきっちりこなしているように感じます。 全体的には中低域寄りに感じ、やはり前に出て来ますので、聴き応えがあります。 解像度を重視というよりも全体的なエネルギーで音楽を楽しくさせてくれます。 TELOS390ですと、Continuum 500に比べてダイナミックさは感じませんが、楽器一つ一つの音色が綺麗で、独特な響きを感じます。 全体的に上品な音作りで歯切れの良さはあります。 今回「Continuum 500」と「TELOS390」を比較してみて、どちらともに優秀なプリメインアンプですが、 “音楽の聴き方”という観点から、どちらが「より好みか?」という判断になって来るのではないでしょうか。 美音を求めるか、厚みを重要視するのか・・・例えば女性VOCALの場合ですと、その声に癒されるような“温かみ”を求めるか、色っぽさや艶やかさなどの“美しさ”を求めるのか。 また、デザインや大きさなどの“見た目”も重要な要素となって来ると思います。 それぞれ音色・外観共に個性的で魅力あるモデルですが、両機共にクオリティは非常に高いものを持っています。 「ハイエンドプリメイン」とはどういうものなのか? 興味のある方は是非一度、ご試聴頂ければと思います。 試聴のご予約、お問い合わせ、ご注文も承っております。 当フロア担当“ 島 ”まで、お気軽にご連絡下さい。 |
DENON 「DCD-SX」 |
「DCD-SX」 \840,000 (税込) 今回はDENONよりフラッグシップモデルとして発売されましたSACD/CD PLAYER「DCD-SX」をご紹介させて頂きます。2004年、当時の最上位モデルとして「DCD-SA1」(\525,000/ 税込)を発売して以来沈黙を続けておりましたが、ここに来てこれを超えるモデルを発売致しました。 正直申し上げて、SACDソフトのラインナップが増えて来ないこの時期に、新しくCD/SACD PLAYERを発売する、という事に多少驚きを感じる所もありましたが、実際試聴してみると、まだまだディスクプレーヤーには可能性を感じ、 DENONのオーディオへの情熱の高さに感銘を受けました。 この新しく芽吹いたDENONの「DCD-SX」の魅力に迫ってみたいと思います。 【1】Advanced AL32 Processing DCD-SA1は“Advanced AL24 Processing”でしたが、DCD-SXは“Advanced AL32 Processing”へと進化しております。 こちらはDENON独自のビット拡張技術の名称となっておりますが、24ビットで処理していたものが、SXになって32ビットでの処理に変わりました。 この技術により、情報量の向上と滑らかな音楽再生が出来るようになっております。 【2】DENON Master Clock Core 今回のDCD-SXもクロック入力は装備させていないのですが、内部クロックにはこだわっております。 ±0.5ppmという数値ですが、温度変化を圧縮する恒温槽を装備しており、周囲の温度変化に影響されにくく常に安定した周波数を発振します。 本体電源を入れた直後ディスプレイに“ F ”という表示が点滅しますが、こちらは恒温槽が安定した温度になるまで点滅し、安定すると消えます。 【3】DENON LINK装備 DENON LINKを搭載するデノンのAVサラウンドアンプと組み合わせることでSACDのマルチチャンネル再生が可能です。 フロントボタンに“DISC LAYER切替”がありますので、SACDハイブリットディスクであればこちらで“CD”、“STEREO(SACD STEREO)”、“MULTI(SACD MULTI)”の切替えを行って下さい。(リモコンでも切替可) またDENON LINKを使用するの際は、フロントボタンに“DIGITAL OUT”がありますので、そちらで“DONON LINK”に設定してください。(リモコンでも設定可) 【4】デジタル入力 DCD-SA1にも搭載されておりますが、“COAXIAL”と“OPTICAL”のデジタル入力があります。 入力できる周波数は「32kHz」、「44.1kHz」、「48kHz」、「64kHz」、「88.2kHz」、「96kHz」、「128kHz」、「176,4kHz」、「192kHz」のリニアPCMとなります。 【5】PURE DIRECTモード こちらもDCD-SA1にも搭載されておりますが、DCD-SXではフロントパネルの右下に切り替えスィッチがあります。 こちらをONすることで、デジタル出力がOFFとなり、またディスプレイの表示が消えます。 このモードに切り替える事で、S/Nが良くなり、より高音質なサウンドを得ることが出来ます。 その他にも新設計のドライブメカ、薄型トレイ、サイドキャビネット、バランス設計など魅力的なところが満載となっております。 詳細はメーカーHPをご覧下さい。
それでは、試聴に入りますが、「DCD-SA1」との比較も交えながらレポート致します。 まずは最近発売された藤田恵美の「ココロの食卓」より“愛の景色”を試聴しましたが、音場の広さと全体的な開放感をまず一番に感じました。 情報量も向上しておりますが、それが決して音というものを全面に出すことなく、高域の響きを整え、音の繋がりをスムースにすることでVOCAL・ピアノが聴き易くなり、 音楽に没頭する事が出来ます。 またPURE DIRECTモードをONにすることで、S/Nが良くなり、強弱のメリハリが増します。音の消え際も非常に自然になり、見通しが良くなった感じがします。 次に押尾コータロー「YOU&ME」よりCharとのコラボーレーション“With You”では、2本のギターの個性が旨くブレンドして、それぞれの特徴的な演奏に花を添えています。 アコスティックギターの良さはやはり音色とその響きだと思いますが、余分な着色もなく、自然な広がりを感じる事が出来ます。 低域のエネルギー感に関してはDCD-SA1よりもはやや少なく感じる所もあるのですが、重心が下がり、深みは増しているよう感じます。 良い意味で膨らみが減り、より質の高い低域再生になっております。 デュトワ指揮 / モントリオール交響楽団「サンサーンス 交響曲第3番」の第2楽章(第2部)では、立体感とスケールの良さを感じることが出来ます。 こちらはSHM-CDを使用しており通常盤よりも高音質ですが、それを差し引いても新しいAdvanced AL32 Processingの影響力とも思える肌理細かさと、 ストレスを感じない立ち上がりの良さを感じました。オルガンもしっかりした低域が出ており、演奏全体がしっかりとしたものに感じられます。 HERBIE HANCOCKの「MAIDEN VOYAGE(処女航海)」では、多少薄味にも感じますが、トランペットやサックスなどブラスセクションは明瞭度もあり、かつ強弱もはっきり解ります。 シンバルの小刻みなリズムも心地良く、細かい表現力も非常に良くなっております。 あえて言えば多少落ち着いた分、エネルギッシュさが減ったようにも感じますが、狭い場所に押し込まれていたものが広い所へ解放され、音がのびのびして、肩の力を抜いて聴けるようになっております。 DENONは昔からプレーヤーへのこだわりも強く、当時からトランスポート「DP-S1」(\880,000)、DAC「DA-S1」(\780,000)という高級機を作っておりました。 またプレーヤーでは「DCD-S1」(\500,000)という製品もあり、それが今の「DCD-SA1」、更に「DCD-SX」へと進化を遂げて来ました。 昔を美化する訳ではありませんが、個性といった面ではマルチビットにこだわっていた昔の方が強かったように感じますが、細かいニュアンスや情報量といった部分では、圧倒的な差を感じます。 また、SACDであればより大きな差を感じる事が出来ます。情報量だけがオーディオではないですが、その情報量やS/Nの良さによる静寂感、見通しの良さを感じて頂く事で、音楽の面白さを再発見することが出来ると思います。 現在、パソコンを使い、非圧縮でディスクの情報をハードディスクに取り込み、そのデジタル信号をアナログに変換するといった製品が、LINNより「DSシリーズ」として発売されております。 またいくつかのレコードメーカーが高音質の音源を配信して、パソコンでダウンロードが可能にもなっております。 こういう動きが活発な中、DENONが新しくプレーヤーを発売したという事は、個人的には嬉しく感じます。 LINNが推奨しているDSシリーズも、今は独自な路線ではありますが、利便性などの面から見て、こういう時代が来るのかもしれませんが、こういう時期に日本のオーディオメーカーが こだわりを持ってプレーヤーを作ったという事に対して拍手を送りたいです。 是非そのこだわりのプレーヤーをご試聴頂ければと思います。 |
CEC「TL1N」&「DA1N」 |
写真上より CECは日本が誇るオーディオブランドの一つで、“ベルトドライブ”という独自な設計でオーディオマニアからも一目置かれている存在です。 歴史は古く1954年 4月に「中央電機株式会社」として創立し、レコードプレーヤー用フォノモーターをCECブランドにて生産開始したことから始まります。 それから社名を変更したりしましたが、現在では「CEC(株)」ということで、トランスポート、DAコンバーター、アンプなどをメインに開発しております。 また今回のTL1Nもベルトドライブのトランスポートになりますが、遡ること1991年ベルトドライブトランスポートを発売してからそのこだわりを今でも貫いております。 特に受注生産の最高峰「TL-OX」は音楽性が非常に高く、素晴らしいトランスポートです。その技術を生かしつつ、新たなテクノロジーを投入し、コストを考えて作ったモデルがこの「TL1N」ではないでしょうか。 そのこだわりのベルトドライブトランスポートのTL1Nから、詳しくご紹介させて頂きます。 ■ TL1N このTL1Nは先ほどもご説明させて頂きましたが、ベルト方式のメカニズムになっております。ベルトドライブ方式を採用している他社製品もありますが、このモデルはCDをセットするスピンドルと更にピックアップのトラッキング移動もベルトで駆動しており、いわばダブルベルトドライブのトランスポートになります。 メカニズムに関してはCECのホームページに記載されております。 デザインは良い意味で国産らしくない、ユニークなデザインとなっておりますが、このトランスポートはトレイタイプではなく、トップローディングを採用しております。 手動で上面をスライドさせ、CDをセットした後に370gの真鍮のスタビライザーを乗せセットします。これもCECのこだわりとなっております。 電源部はクリーン化装置を備えたスイッチング電源を採用しております。 また脚の部分ですが、4点支持となっており、それぞれの脚の高さが調整可能で、リング状のものが挟んであります。また底面にはCEC独自に開発したベースで補強してあり、その部分に脚が取り付けられており、床から本体までの高さは40mm弱と比較的高くなっております。 (電源と脚の部分はDA1Nも同じ設計となっております。) リアパネルですが、背面向かって左側から「AES/EBU」、「同軸」、「TOS」となっております。 またこのモデルでは、CECの最も特徴的なこだわりの一つとも言える「SUPER LINK」用のBNC端子が付いております。こちらは同社DA1Nとの伝送を4本のBNCで行うという独自の接続方法です。 この4つの端子は、 (1)デジタルオーディオデータ・ (2)マスタークロック・ (3)ビットクロック・ (4)L/Rクロック となっております。 ※「SUPER LINK」関しての詳細はこちらをご覧下さい。 ※「TL1N」関しての詳細はこちらをご覧下さい。 ■ DA1N 次にDA1Nをご紹介させて頂きます。 基本的にはトランスポート「TL1N」とペアとなるD/Aコンバーターとして開発しておりますが、他のトランスポートでも対応可能なように様々な入力に対応しております。 背面左から、アナログ出力は 「RCA」と「XLR(2番HOT)」。デジタル入力は「USB」、「TOS」、「同軸」、「AES/EBU」。その右側には「SUPER LINK」用のBNC端子。 同社の「TL51X」、「TL51XR」などの従来機との接続方法である「D-sub9型端子」も装備されております。 また、TL1NとSUPER LINK接続するためのBNCケーブル4本はDA1Nの方に付属されております。 各入力のサンプリング周波数は以下となります。
※こちらは「FLAT」と「PULSE」の2種類のデジタルフィルターを切り替えますが、「FLAT」は一般的なもので、 「PULSE」に関しては周波数帯域で異なる伝達速度を同じにすることで、リングング(デジタル信号が回路を通過したときに生じる波打った波形)を抑え、 20kHz近辺で徐々に減衰する周波数特性を持っています。
※サンプリングレートコンバーターがONの時は32fsに固定 ※DA1Nの詳細に関してはこちらをご覧下さい。 それでは試聴レポートに入ります。 【1】 「TL1N」+「DA1N」を“AES/EBU”で接続して試聴 これは“SUPER LINK”との比較、他のD/Aコンバーターとの比較、また他のトランスポートと比較する為に必要となる基準、という事で行っております。 トランスポートの影響力によるものなのか、低域の深みがあり、普通のCDプレーヤーではあまり感じない油絵的なニュアンスが感じ取れます。 これはベルトドライブの特徴なのか、CECの特徴になるのか判断は難しいですが、音の骨格がしっかりしており、耳障りな所は少なく感じます。 ただ、D/Aコンバーターのクオリティもあり、多少の情報量の少なさと華やかさに欠けるといった印象もあります。 実はこの最初の試聴時には、D/Aコンバーターのモードは一般的なモードにしておりました。これからサンプリングレートコンバーターをONにしたり、 オーバーサンプリングの切替えなど行いましたが、サンプリング周波数を上げると情報量も上がり、繊細さも出てきます。しかしその分エネルギー感や 音の芯が細めになったりという変化もありますので、こちらは聴く音楽によって変えてみても面白いと思います。 またこの切替えをリモコンで出来るのは非常に便利です。 【2】 「TL1N」+「DA1N」を“SUPER LINK”で接続して試聴 SUPER LINKへ切替えする際、一度トランスポート側はLINKさせている都合リセット状態になり、ストップします。 さて、このSUPER LINKで再生するとレンジも広がり、見通しが非常に良くなります。また立体感、コントラストともにオーディオ的には非常に魅力的な音になります。 その分やや深みが減ったようにも感じますが、このセットでプレーヤーと考えた場合は非常にクオリティの高いものに感じます。 【3】 「TL1N」+CHORD 「QBD 76」で試聴 TL1NをトランスポートにD/AコンバーターをCHORD社「QBD 76」に変更しました。 単純に比較すれば、この組み合わせはやはりワンランク上の音という印象を受けますが、これはどうしてもDAC単体として比較した場合の価格差が出て来てしまう所だと思います。 しかし、CECのD/Aコンバーターの音色自体はニュートラルで細かい情報量もあるという事が分かります。 こうして考えると、スケール感、音楽性などを取ってみても、「DA1N」はDAC単体として非常にコストパフォーマンスは高いのではないかと思います。 【4】 ESOTERIC「X-01D2」+CHORD 「QBD 76」で試聴 CHORD「 QBD 76」をDACにして、トランスポートをESOETRIC「X-01D2」に変更しました。 ESOTERICならではの圧倒的な情報量とレンジの広さを感じましたが、この比較によって「TL1N」の持つ音色の温かさと深み、そして色彩感を改めて理解することが出来ました。 ムーディーな色気を持ちながら、深みのある安心感がこの「TL1N」の魅力ではないかと思います。 今回実験をしながら試聴を行いましたが、以前よりも情報量は上がっており、現代っぽさを感じるところもありますが、やはりCECならではの奥深さと温かみは感じます。 これはトランスポートの支配力による所が大きいですが、「TL1N」と「DA1N」のセットで定価が \979,500(税込)という点を考えてみると、この価格帯のCD PLAYERとしては非常に評価出来るものです。 また、もうひとつ上を行くサウンドが欲しければDACを別のメーカーにするという選択肢もあります。 いずれにしても、他メーカーでは出せないような音楽性を持っておりますので、まだお聴きになった事のない方は是非一度ご試聴してみると宜しいかと思います。 |
CHORD「QBD76」 |
「QBD76 / SILVER」 \714,000 (税込) 今回はCHORDの新しいD/Aコンバーター「QBD76」をご紹介させて頂きます。この試聴に関してはCHORDの旧モデル「DAC64mk2」をお持ちのお客様宅にて試聴させて頂きました。O様ご協力誠に有難うございました。 それでは、QBD76の仕様をDAC64と比較しながら説明を進めて参ります。 ※QBD76の詳しい資料はこちらをご確認下さい。 今回大きな変更点として、DAC64では本体背面で“入力及びバッファー切替え”を行っておりましたが、QBD76は本体トップパネルに3つのセレクトボタンが付き、操作性が良くなっております。 また表示窓も付き、切り替えした際に解るようになっております。 3つのボタンに関しては以下の通りです。
(44.1kHzの場合、最小バッファで0.7秒前後/最大の場合3〜4秒 ※入力する周波数が高い場合はもう少し短くなります。) こちらはDAC64でも持ち合わせていた機能です。
次にリアパネルの説明をさせて頂きます。 【1】バランス及びアンバランス出力 【2】USB 入力 【3】SPDIF BNC 入力 (上下) こちらに関してはCHORD社のトランスポートとDUAL接続する為、2系統のBNCが設けられております。通常1系統のみの仕様です。 【4】AES XLR 入力 (左1/右2) こちらに関してはCHORD社のトランスポートとDUAL接続する為、2系統のXLRが設けられております。他社との場合はご相談下さい。通常1系統のみの仕様です。QBD76に追加された接続方法です。 【5】オプチカル入力 オプチカル入力2系統ありますが、DUAL用とのことです。こちらに関してはケーブルの先端部分が太いと入らない場合もありますので、ご注意下さい。 【6】クロック出力 QBD76に新しく付いた機能ですが、44.1kHzのクロック出力が出ております。クロック入力のある機器の場合はご使用いただければと思います。 価格は、DAC64mkの最終価格が¥556,500(税込)だったのにに対して、¥714,000(税込)となっております。 またボディ・ロゴバッチ・ディスプレーの色などで5種類の中から選択が可能です。 それでは、試聴レポートに入ります。 今回はトランスポート部分にESOTERIC「UX-1LIMITED」を使用し、その後にEOTERIC「G-25U」でアップサンプリングさせた信号をオプチカルにて「DAC64mk2」に入れた音とQBD76に入れた音で比較を致しました。 まず、試聴用ディスクをDAC64mk2で40分ほど試聴し、全体的なイメージを掴んだ所で、QBD76に変更致しました。それまでの間QBD76へ信号は入れていませんが、電源を繋ぎウォーミングアップ状態にしておきました。 最初に、私の試聴では左右のチェックを含めて良く使用するEXTREM「VSEIDES TO EVERY STORY」の“Tragic Comic”を試聴しましたが、その違いに耳を疑いました。 まずドラムのスネアの張り、アコギの弦の張り具合が変化し、全体的にテンポも早くなったように感じました。良い意味で明瞭度、解像度が上がり、現代っぽくなっております。 次にシンディーローパーのVOCALですが、色っぽいという変化ではなく、美音になり、透明感がぐんと増しました。 仲道 郁代のピアノ協奏曲 第5番「皇帝」では、音の強弱が良く解り、スケール感が上がったように感じます。ロイヤルコンセルトヘボウ/指揮リッカルド・シャイーのシェエラザードでは、 無音の状態からの出だしの一音目や静寂感、楽器の定位感などはっきりしてきました。オーディオ的なクオリティはかなり向上しており、価格差以上のものを感じます。 しかし、こういった変化率が大きければ大きいほど失うものも出てきます。DAC64/2の持っている中低域の独特さと温かみは少なくなりました。 例えば男性VOCALの中低域の渋みは前の方が良い部分も感じますが、実際もっと鳴らし込めばもっと印象が変わると思いますし、電源ケーブルなどでも音を追い込むことが出来るのではないかと思います。 次にもう少しお客様にお時間を頂き、XLRと同軸との接続方法による音質の変化を試聴しました。 今回使用したのはJORMA DESIGNのヨルマデジタルのXLRタイプとBNCタイプ。JORMA DESIGNはエージングが必要なケーブルということもありますので、多少落ち着いかせた状態で比較すると、よりはっきりと違いを聞き取ることが出来ました。 TOSでつないだ状態よりも落ち着きが出て、全体的なバランスも良くなりました。またBNCタイプですと、スピード感や音の切れは良いですが、多少音にばらつきを感じる部分もあり、XLRタイプですと重心が下がり、広がりが出た印象です。 総評としてCHORD「DAC64MK2」をお持ちのお客様からすれば、賛否両論出てもおかしくないぐらいの変化です。 「DAC64MK2」が持っていた温かみなどを重要視するのであれば難しいところがあります。しかしながら、今現在CD プレーヤーをお持ちのお客様が、ひとつ上を行くサウンドが欲しいとなった場合、この「QBD76」は非常に効果的です。 店頭でも100万クラスのプレーヤーのデジタル出力をQBD76に接続して試聴しましたが、プレーヤーのクオリティに十分マッチする実力があります。 SACDプレーヤーの場合で互換性の問題でSACD再生時にはデジタル出力は出せませんが、CD再生時には曲によってこのQBD76で違うサウンドをお楽しみいただくというのも一つの方法かと思います。 是非一つ上行くCDサウンドをお楽しみ下さい。 |
OCTAVE 「HP 500 SE」 |
「HP 500 SE / SILVER」 \1,659,000 (税込) 今回の試聴レポートは「今更・・・?」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、OVTAVEの真空管プリアンプ「HP500SE」をご紹介させて頂きます。何故今この製品を取り上げるかと申しますと、“100ユニット限定生産”ということで発売されたこのモデルもとうとう残り数台となってしまい、 現在でも試聴の度に評価を頂いているこのプリアンプの、最後のアピールを是非、という思いで取り上げさせて頂きました。 H.A.L.3では期間限定という形で不定期展示をしておりましたが、ここに来てその人気は急上昇しております。 また、ステレオサウンド誌「100万以上のプリアンプ・ランキング」では、2005年4位・2006年3位・2007年4位と3連連続で高位置をキープしております。 それだけここ数年に渡って評価されていたということでしょう。 それでは、その「HP500SE」の魅力を遅ればせながらレポート致します。 OVTAVEは1980年創業のドイツの真空管アンプメーカーで、市場に本格的に参入したのは1986年とのことで、オーディオメーカーの歴史としては比較的新しい方かもしれません。 日本でもメジャーではなかったかもしれませんが、その名を轟かせたのはこの「HP500SE」ではないでしょうか。 特徴としては、OCTAVEの輸入元フューレンコーディネート取扱い製品は、現代的な洒落たデザインのものが多い中、やや無機質で手作り感があり、オーディオ機器らしいデザインに懐かしさを感じてしまいます。 電源部は別筺体で、電源部に1.3mほとのケーブルが着いており、本体へコネクティングするようになっております。 メーカーによっては、この様な電源部別筺体のものでも、電源部と本体とがあらかじめケーブルで繋がっており、設置等の際に不便を感じる場合がありますが、 そういった点でこちらは非常に使い易くなっております。 フロントパネルは中心に大きなヴォリューム。その下に左から電源、ゲイン切り替え及びミュートの切り替え、セレクター、Source/Tapeの切り替えと実にシンプルな設計となっております。 電源に関しては電源部にメインスィッチがあり、本体電源との2段階入力となっております。また真空管という事で、本体電源をONにしてから温まるまでの数分(3分〜4分ぐらい)は立ち上がりに時間がかかります。 立ち上がるとSource切替スィッチの上か、Source/Tape切り替えの上のLEDが青く光ります。 電源ON後立ち上がっていなくても、ゲイン切り替えのLED、ONのLEDなどは青く光りますが、この時点ではまだ立ち上がっておりませんのでお気をつけ下さい。 ゲイン切り替えに関してはHi(17.5dB)、Lo(9.5dB)の2種類があり、こちらで音の調整も出来ます。 入力に関しては、フォノを含めたメインセレクター部で4系統、これにSource/Tape切り替えで独立したTape入力がありますので、合計5系統の入力を持ちます。 廉価版のHP300の場合はフォノの有り無しのモデルがありますが、HP500SEに関しては最初からフォノイコライザーが内蔵されております。 次にリアパネルですが、フォノ専用でMM入力とMC入力が独立しており、ディップスィッチで切り替えるようになっております。 またサブソニックフィルター(20Hz/-3dB)のON/OFFのディップスィッチも付いております。出力はアンバランス2系統、バランス1系統となっております。 入力はアンバランス(RAA)のみとなっておりますが、出力に関してはきちんとした回路を持ってバランスに変換しておりますので、安心してご使用下さい。 リモコンは途中変更があり、ヴォリューム調整のみ可能な万能リモコンが付属となっております。 色に関してはブラックとシルバーの2種類ございます。 それ以外の資料に関してはこちらをご覧下さい。 それでは、試聴に入らせていただきます。
まず全体的な印象としては、良く言われるところの“真空管らしい”感じではなく、S/Nも非常に良く、瑞々しい印象を受けます。 以前関係者から聞いた話によると、「真空管を使ったアンプの設計」ということで開発を始めた訳では無く、良い音を追求したら真空管に辿り着いたという、音色追及の結果がこのアンプの開発の経緯のようです。 女性VOCALでは透明感の中に生々しさを感じます。渋い音色と言うよりも、色付けが少なく、リアルな再生という印象を持ちます。 アコスティック楽器に関しては、独特な世界観を出すというのではなく、実寸大の弦の響きやボディの響きを再現してくれます。 オーケストラは、過剰にスケールを演出するのではなく自然な響きを持たせ、楽器一つ一つのセパレーションを際立たせて聴かせるのではなく、音楽をハーモニーとして伝えたい部分はまとまり良く、ソロの部にはその楽器をしっかりと聴かせてくれる、という様な印象です。 今回の試聴では、血統を重んじるメーカーの代表格でもあるGOLDMUNDのパワーアンプと組み合わせておりますが、それぞれがソロ活動するのではなく、GOLDMUNDの良さをしっかり受け止めつつ、自分の色も控えめに出そうとしているように感じます。 プリアンプの役目をしっかり理解し、果たしている感があります。一つ難点を上げるとすればバランス入力が無いことですが、現代プリアンプの中では、個性を全面に押し出すタイプではなく、システムの中で自分の役割をしっかり果たし、各メーカーのパワーアンプとも合わせ易いプリアンプだと思います。 接続の方法としては、普通のSource入力とTape入力がありますが、個人的にはTape入力に接続した時の音の方が見通しが良いように感じます。 セレクターを通すか、通さないかの問題が大きいかと思いますが、1系統しか入力を使用しないという方や録音機器を使わない方は、一度お試し頂くのも面白いと思います。 長年使っているシステムですと、エージングの問題があると思いますので、一概に言えなくなると思いますが・・・ もう一つ本体側にゲイン切り替えがありますが、HiとLoではLoの方がヴォリュームの位置が上がります。 エネルギー感、音の切れなど変化しますので、ソフトや好みによって使い分けて下さい。 この「HP500SE」が人気の高い理由として、内蔵のフォノイコライザーアンプのクオリティの高さもあると思います。 おまけで付いているようなレベルではなく、しっかりとしたアナログサウンドを出してくれます。数十万のフォノイコライザーをつけるのであれば、 この内蔵のもので十分と思わせるようなサウンドで、アナログもやられる方であれば非常にコストパフォーマンスが高いモデルではないでしょうか。 濃厚な音というのではないですが、しっかりとターンテーブル、アーム、カートリッジの魅力を引き出してくれます。 ドイツのブランドといえば、全体的に鮮明な音というイメージが強いのですが、そういった部分もありながら優しさも持ち合わせた、非常に緩急のあるプリアンプだと思います。 プリアンプとしては非常にクオリティも高くデザインもシンプルですので、音色、外観共に他社製品とも合わせやすいと思います。 この製品を試聴出来るのも残り僅かとなるかもしれません。まだ試聴されていない方は是非ご試聴頂ければと思います。 |
GOLDMUND「EIDOS 20A」 |
「EIDOS 20A」 \1,470,000 (税込) 今回の試聴レポートはGOLDMUND新製品第2弾CD/SACDプレーヤーの「EIDOS20A」をご紹介させて頂きます。この「EIDOS20A」の発売までCD/SACDプレーヤーは「EIDOS 36-2CH Reference」(¥4,600,000 / 税別)と「EIDOS 18CD-G」(¥880,000 / 税別)〜※SRモデルは生産終了〜の2種類のみでした。 1年ほど前まではこの今週のチェックVOL.34でもご紹介致しました「EIDOS19-2CH」(¥1,500,000 / 税別)もございましたが、 部材供給の問題で急遽生産終了となっており、その後継機を期待して待っていた、という状況でした。 そしてここに来てやっとのEIDOS20Aの登場、という訳です。 それでは、期待の新製品「EIDOS20A」の魅力に迫って参ります。
まず外観上で目立つ点としてはこのモデルも天板にホワイトアルミを採用しているという所です。 これで今現在、一部を除いてはほぼカーボントップが無くなったことになります。 GOLDMUND側では、天板はアルミに統一し音作りを変更したともいえますが、見慣れたカーボンが無くなったのも何か寂しさを感じます。 次に目立つのは現行のEIDOS18CD-Gなどに比べ奥行きが284mmとかなり浅くなっており、その分高さは高くなっております。 奥行きの浅い理由としては内部回路を出来るだけ短くして、余分なロスを少なくしたかったということと、筐体への振動の影響を体積を小さくすることで軽減したかったとのことです。 ここにも拘りがあるのですね。 トレイですが、今までは正直頼りないところもありましたが、今回はアルミ削り出しになっており、しっかりとした作りになっております。 電源に関してはメインスィッチがリアについており、オンにするとフロントディスプレイに緑のマークが点灯します。待機状態ではそのマークのみとなります。 EIDOS19-2CHの時からですが、今回も2番HOTのバランス端子も装備されております。GOLDMUNDのプリアンプであればアンバランス(RCA)をお勧めしますが、 バランス端子の付いているプリアンプであれば、スピード感重視のアンバランス、エネルギー感のバランスといった感じで使い分けていただいても面白いかもしれません。 本体を支えるFOOTですが、MIMESIS37Signature同様4点支持になっており、最初からスパイク状になっております。 ラックやボードなどに傷を付けたくない場合は、4月中旬発売のGOLDMUND「MMカーボンベース」(¥55,000/4個1組)をお勧めしたいところです。あまり深みのあるタイプのスパイク受けですと、このスパイクの形状の問題で点接点にならず、 スパイク効果が期待出来なくなってしまいますのでご注意下さい。MMカーボンベースについては、改めてご紹介させて頂きます。 それでは、試聴に入らせていただきます。 ≪試聴システム≫ ■PRE AMPLIFIER:GOLDMUND 「MIMESIS37 Signature」 ■POWER AMPLIFIER:GOLDMUND 「TELOS200A」 ■SPEAKER SYSTEM:B&W 「Signature Diamond」 ※ラインケーブルは全てGOLDMUDNの純正「LINEAL IC」を使用しております まずは、GOLDMUNDの特徴が掴み易い女性VOCALでを試聴しましたが、情報量も多く、エネルギー感もあり、艶っぽさも感じます。 これまでもそうでしたが、ユニバーサルメカだからクオリティが低いかと言うとそのような事は感じません。 若干気になったのは高域が多少ピーキーな所でしたが、今回スパイクが標準ということで、設置したラックの素材の影響を受けていたようで、 試しに今回発売された「MMカーボンベース」を使用した所、その高域のピーキーさも減り、音も落ち着き、しっかりとした音になりました。 殆どのプレーヤーに言える事ですが、足回りでかなり音が変化しますので、多少のチューニングは足回りと電源ケーブルで行っていただければと思います。 話を戻しまして、女性VOCALでは、以前は試聴した瞬間「GOLDMUNDらしい」と感じたモデルが多かったのですが、この「EIDOS20A」も、前回ご紹介致しました「MIMESIS37Signature」同様バランスが取れており、 個性を前面に押し出す、と言うよりは“素直な音作り”をしている様に感じます。といっても時折覗かせる“GOLDMUNDらしさ”はきちんと感じられ、何故か安心してしまいました。 オーケストラを試聴してみましたが、立体感もあり、音の分離も良く、問題無く聞けますが、他のプレーヤーとあえて比較してと言うのであれば、開放感は少ないのかなというイメージです。 低域は厚みもあり、重心がしっかりとして安定感を感じます。 ジャズに関しても低域の力強さがあり、音像もしっかりしております。 今回検証してみて、プレーヤーとしては非常に優秀であり、音のクオリティは前モデル「EIDOS19−2CH」以上だと感じております。 ただ“GOLDMUNDらしさ”というのが控え目に感じる分、音のバランスは非常に良くなり、GOLDMUNDはもとより他のブランドと組み合わせても申し分ないと思います。 この機種もバランス出力がありますので、力強さを求めたいのであればバランス接続、繊細さということであればアンバランス接続、という風に場合によって変えてみるのも面白いと思いますので、 プレーヤー候補の一つとして是非ご検討いただければと思います。 まずはご試聴していただければと思います。 |
GOLDMUND「MIMESIS37 Signature」 |
「MIMESIS37 Signature」 \2,730,000 (税込) 今週のチェックはGOLDMUNDより新しく発売されたアナログプリアンプ「MIMESIS37 Signature」をご紹介させて頂きます。“ハイエンドシリーズ”として、「MIMESIS27」、「MIEMSIS27EVO」、そして最終の「MIMESIS27ME」と人気モデルだったプリアンプは、既にご存知のお客様も多いのではないかと思いますし、 実際、ユーザー様も相当数いらっしゃるのではないかと思います。その中でGOLDMUNDの“デジタル化”の動きが活発となり、デジタルプリアンプ「MIMESIS30ME」の発売、 その後「MIMESIS27ME」を生産終了させ、廉価版の「MIMESIS27.3ME(L)」に移行したというここ近年の流れがございました。(「MIMESIS27ME」に関しては、暫く日本専用モデルとして発売しておりましたが、スイス本国では既にラインナップから外れておりました)。 “デジタル伝送”を推進しておりましたGOLDMUNDですが、やはりアナログの要望は強く、また日本においては「MIMESIS27ME」の人気が非常に高かったということもあり、新しいアナログプリアンプを開発しておりました。 そしてここに来てついに「MIMESIS37 Signature」として産声を上げました。 “ハイエンドシリーズ”の最上位モデルのプリアンプとしての期待も高い「MIMESIS37 Signature」ですが、その実力の程は如何に・・・ まずは輸入代理店のステラボックスの資料をご覧下さい。 ≪MIMESIS37 Signature≫ ゴールドムンドの新たなプリアンプMIMESIS 37 Signatureは、デリカシーに富んだ繊細さと、えもいわれぬ柔らかなテクスチュア、 圧倒的な空間再現力やドライブ能力を持った傑作プリアンプです。別筐体とした強力な電源部、完全デュアルモノラルコンストラクションなど、 その究極ともいえる技術はフラッグシップモデルMIMESIS 22 Signatureを踏襲し、シンプルかつピュアな新時代のゴールドムンドプリアンプの性能を追求しました。 【主な特徴】 ●電源部を別筐体とした2BOXコンフィグレーション ●電源部を強力に、また電源部が回路部に与える影響を排除するために、MIMESIS22 Signature と同様の別筐体の電源部「Signature PowerUnit」を装備。 トランスまで独立させた左右別電源とし、さらにプリアンプ回路部と制御部系をもアイソレーションバッファーにより完全に分離させています。 L・R独立デュアルモノラルコンストラクション ●入力端子から出力端子にいたる回路部を、左右チャンネルで完全に分離した、デュアルモノラルコンストラクション。左右チャンネル間での電気的・物理的干渉を排し、クロストークを限りなくゼロにしました。 新世代メカニカルグラウンディング ●MIMESIS 37 Signatureでは、厚さ20mm、重量7kgの無垢のソリッドアルミニウムから成るダンピングプレートに回路基板を直結。 さらにダンピングプレートとスパイクは強固に連結されているため、回路基板の不要振動は、充分なマスを持ったダンピングプレートに吸収され、 速やかにスパイクを通して外部に放出されます。この新世代の振動拡散テクノロジーにより従来以上にS/Nが向上し、ローレベルの再現性を徹底的に磨き上げました。 ●フルバランス回路設計 ●従来、ゴールドムンドはアンバランス回路の音質的メリットをアナウンスしてまいりました。 これは現在でも全く変わりませんが、他ブランドの機器との組み合わせにおいてバランス入出力の装備を要望する声が多く寄せられていたことも事実です。 ゴールドムンドではこの要望を真摯に検討した結果、最良のパフォーマンスを発揮できる入出力フルバランス構成を採用いたしました。 リモートコントロールユニット付属 ●MIMESIS 37 Signatureの機能を全てコントロールできるリモートコントロールユニットを付属しています。
まず、今回最も目を引く特徴として、リファレンスプリアンプでもある「MIMESIS22 Signature」同様に電源部が別筐体という点が挙げられます。 大きさはSRモデルを彷彿させるような筐体で、若干奥行きが浅くなっております。 また脚の部分は4点のゴム脚となっております。その電源部から本体には両方着脱式の専用ケーブルで接続します。 次に本体です。一見「MIMESIS27.3L」と変わらない様な外見ですが、内容的にはかなりのグレードアップとなっております。 まず、GOLDMUNDのリファレンスプリアンプ「MIMESIS22 Signature」と同じく“完全バランス回路”になっております。 これはステラボックスの資料にもありますが、基本的にGOLDMUND同士であればアンバランス接続を推奨しております。ただ別ブランドのプレーヤーやパワーアンプの組み合せる場合、 バランス接続を推奨しているものも多く、それらとの接続を考えた場合、フルバランス構成をとった方が良いという、柔軟な発想の元での採用だと思います。 背面を見ると左右独立した構成になっております。 入力はアンバランス入力×5系統、バランス×2系統。出力はアンバランス、バランスが1系統ずつ。、TAPE OUT×1系統と、非常にシンプルな形です。 こちらの本体の脚ですが、メカニカルグランディングということを今までも推奨してきましたが、MIEMSIS27.3の様な3点支持ではなく、4点に変更となっております。 またMIMESIS27.3Lのように回せばスパイクが出てくるという構造ではなく、最初からスパイクになっており。ラックに傷をつけたくないということであれば、 スパイク受けをご使用下さい。 それでは、試聴に入らせていただきます。 ≪試聴システム≫ ・CD/SACD PLAYER:ESOTERIC 「X-01D2」 ・PRE AMPLIFIER:GOLDMUND 「MIMESIS37 Signature」 ・POWER AMPLIFIER:GOLDMUND 「TELOS200A」 ・SPEAKER SYSTEM:B&W 「802D」 ※ラインケーブルは全てGOLDMUDNの純正「LINEAL IC」を使用しております。 まず一聴して感じたのが、今までの音色の強かった部分が減り、音に厚みが加わり、深みが出たように感じます。正直な印象を言ってしまえば、良い意味でも 悪い意味でもGOLDMUND色が減ったような印象です。 女性VOCALを試聴しても、今まで遠くできれいに歌っていた感じが、もっと実在感が増し、前面に押し出して歌っている感じがします。 オーケストラに関しては、圧倒される様な躍動感があり、エネルギー感が今までとは数段違います。 これは「MIMESIS27」に近いというよりも「MIMESIS22 Signature」に近い音の出方の様にに感じます。これまでとは音色の路線変更をしているのが良く解ります。 色々考えながら試聴しましたが、ここで、このプリアンプは「電源部が別筐体」ということを見落していた事に気が付きました。これまでの電源部が別の製品に関して考えてみても、その置き方によって音はかなり変わって来ます。 そこで、電源部の足元を強化すると共に、コーン状のスパイクを使用したところ、音が激変しました。 こちらで再度試聴しましたが、音の抜け、解像度も良くなり、重ための音がすっきりして、段違いに良くなっております。 エージングでどこまで変化するかはまだ未知数ですが、オーディオ的なクオリティは数段上がっており、追い込めばもっと良くなる潜在能力を感じます。 第一印象としては「GOLDMUND色が減ったような」と申し上げましたが、ずっと試聴して行くにつれて、今までのGOLDMUNDらしさも顔を覗かせて来ます。 やはり他メーカーでは表せない、確固とした“独自のワールド”を持っていると言って良いのでしょう。 今までGOLDMUNDの音が好きではなかったというお客様にも是非聞いていただきたいアンプです。 また、「血統を重んじる」と言う信念は変わっていないと思いますが、より幅広く他社のアンプに対応出来る汎用性の高さも持ち合わせており、 プリアンプ選択の候補の一つとして入れていただきたいと思います。 |
B&W 40周年記念モデル 「SIGNATURE DIAMOND」 |
「SIGNATURE DIAMOND」 \2,730,000 (税込) 遅くなりましたが今回はB&Wの40周年記念モデル「Signature Diamond」をご紹介させて頂きます。2006年・秋のインターナショナルオーディオショーでの初お披露目後、H.A.L.3では既にイベントを行いご紹介しておりました。 それから1年経過した現在、ご紹介させて頂くというのも少し遅い気も致しますが、常設して腰を落ち着けて試聴した後にコメントをしたいという想いが強く、 ここまで引き伸ばしてしまいました。 さてまず今回H.A.L.3で展示したのは、「ミニマリストホワイト」、「ワカメ」の2色有る中の「ワカメ」の方に致しました。 実はホワイトでしたらもっと早く入荷出来ていたのですが、試聴室に置くのであれば「ワカメ」の方が良いだろうと思い、納期がかかる「ワカメ」を選んだ次第です。 待ち遠しかったのは言うまでも無いですが・・・。 思い起こせば、25周年モデル「Silver Signature 25」というネットワーク外付けのブックシュルフ。 30周年モデル「Silver Signature 30」というトールボーイ。あまり表には出しませんでしたが35周年モデル扱いが「Signature 805」。 そして今回の40周年モデル「Signature Diamond」となっておりますが、この全てのモデルをリアルタイムで聞いているということを何故か嬉しく感じてしまいます。 特に「Silver Signature 25」は扱いが大変だったことが深く印象に残っております。 冒頭はここまでに致しまして、「Signature Diamond」の話に移らせて頂きます。 まずは、この「Signature Diamond」の特徴といえば“サイズ”とその“フォルム”だと思います。 雑誌などでは大きく見えるようで、実物をご覧になったお客様は皆様、「意外と小さい」という事にまず驚かれます。ちなみに、サイズは「W 230×H 930×D 375/mm」、重量は25kgとなっており、頑張れば一人でも動かすことが可能です。 デザインはこの業界では既に有名なケネス・グランジとなっておりますが、音響デザイナーのジョン・ディブ博士とタッグで組んで、全て曲線で構成されたこのモデルが生み出されました。 |
ツィーターは言うまでも無くDiamondドームツィーターでありますが、そのツィーターのエンクロージャーは天然の大理石をくり貫いて使用しているというのが驚きです。
発売が遅れたのも、この石の加工に問題があったという噂も・・・。 ウーファーユニットですが、ケブラーを使用した18cm口径のユニット。フェイズプラグは今回は真鍮製となっております。 |
バスレフポートは今回も底部についておりますが、2WAYだけに拘りがあると思います。 スピーカーターミナルはデザインを重視した為か底面裏部にあり、接続部分は外からは全く見えない構造で、WBTのターミナルを採用したバイワイヤータイプとなっております。 また、ケーブルが外れたりするのを防止する為に、固定用クランパーが装備してある点は、非常に素晴らしいです。 スピーカーケーブルについてですが、底面にターミナルがあるだけに、バナナプラグではなく、Yプラグを使用した方が良いでしょう。 ジャンパーケーブルはバンデンハル社製のものが付属されております。 脚は、同梱されているアクセサリーボックスの中にスパイクとゴム脚の2種類が入っております。本体自身は前1点、横2点、後ろ2点の5点支持です。 まずはゴム脚を使って良い位置を見つけ出し、その後にスパイクに変更すると楽でしょう。 スパイク装着の際、ボードに直接セッティングする場合には、一度スパイク受けに乗せ、位置を見ながらセッティングした方がスムーズに行くと思います。 5点支持である事と、本体が特殊な形であるという事で、いきなりボードの中央を取るのは多少難しいかもしれませんので、この方法が一番やり易いかと思います。 さて、今回「ミニマリストホワイト」、「ワカメ」と2色展開で発売されておりますが、この2種では1つ違う点がございます。 ミニマリストホワイトの場合、ツィーターと本体の間に1cm弱のアルミの板が乗っておりますが、ワカメにはありません。 厳密に言えばウーファーユニットとツィーターの高さが違う訳ですから音は変わってくるでしょう。 メーカー側の説明によりますとデザイン上の問題との事ですが、この点につきましては、あまり深くは踏み入れないようにさせて頂きます。 最後に、このモデルはB&Wの「40周年記念モデル」ということで、各色500組の限定生産となっております。 世界規模で考えますと、生産台数としては非常に少ないとの事ですので、気になる方はお早めにご検討頂いた方が良いかと思います。またこのモデルは完全受注生産となっており、オーダーを頂いてから納品まで 多少お時間を頂きますので、ご了承下さい。 またご購入頂いたお客様には英国B&W社より、直々にお礼状が届くとのことです。なんとなく嬉しい感じがしますね。 詳しいスペックは以下をご覧下さい。
それでは、試聴に入らせて頂きます。 【使用システム】 ・CD/SACD PLAYER : LINN 「AKURATE CD」 (\997,500) ・PRE AMPLIFIER : OCTAVE 「HP500SE」 (\1,659,000) ・POWER AMPLIFIER : OCTAVE 「RE-280U」 (\1,008,000) |
まずは昨年12月19日に発売されたコブクロのニューアルバム「5296」(写真左上)より、アルバム用に若干マスタリングを変更したという ♪蕾 を試聴致しました。 “声は一番身近にある楽器”という意味が非常に良く分かるような自然な鳴りっぷりです。またアコスティックギターの音色も自然で、空間に溶け込んでいる感じがします。 スピーカーの背丈が低いという先入観から、厚みのあるボードの上にセッティングしていましたが、そこはさすがB&W。平均的な40mm厚のボードでもVOCALの位置は低くならずに聞えてきました。 また、筐体が全て曲線で構成されていると言うだけあり、スピーカーの存在が薄く、音楽がに立体的に聞えます。「802D」とも比較しましたが、このモデルはアンプの良さを忠実に生かしながらも、肌に染み入る音楽性を持っているように感じます。 お客様によってはトールボーイ型ではなくブックシェルフのスピーカーを好まれるケースもありますが、その気持ちが非常に良く解るような鳴り方をしてくれます。 2WAYなので位相特性が優れているという事と、ネットワークにも相当拘りを持って作られているという事で、繋がりの良さは抜群で、2つのVOCALが旨く絡み合い、ハーモニーという素晴らしい音楽を奏でています。 さて、このサイズですとやはり気になるのがその低音だと思います。 RAY BROWN TRIOの「THE RED HOT」(写真右上)より ♪LADY BE GOOD を試聴しました。 低域は好みが分かれるところが非常に大きいですが、無理に出している低域というのでは無く、質の良い低域を自然に出してくれていると思います。 ウッドベースに関しても、ブーミーになることなく、生で聞く演奏に近い感覚を覚えます。それでもやはり、大型スピーカーの低域が好きなお客様からすると、物足り無さを感じてしまうかもしれません。 しかし、スピーカーの選択肢の一つとして「サイズ」というものがあります。私個人的には、このサイズでここまでの低域が出れば申し分ないですね。 多少空間を意識したのかピアノが曖昧に感じるところがありますが、エージングやセッティングで追い込んでいける範囲なのではないかと思っています。 次に、イベントでも良く使用するヒラリーハーンの ♪パガニーニ/ヴァイオリン協奏曲 (写真中央下)では、スピーカーの外にまで音が回り、サイズからは予想できないほどのステージを再現してくれました。 B&Wと言えば「音像型」と言われる事が多い中、このモデルは楽器の位置が明確に分かる音像型でありながらも、スケール感や広がり間も持ち合わせた音場型とも言えるのではないかと思います。 もちろん他にも音場型といわれるスピーカーもあり、それらと同等、とまでは行きませんが、あくまで「このサイズで」という点を考慮して、という事でご理解頂ければと思います。 ヴァイオリンも非常に滑らかで、ギターやウッドベースも含めて生楽器が非常に気持ち良く聞ける印象です。 「802D」や「800D」を最初に聞いた時に、「音」よりも「音楽」という事に耳が行くようになったと感じましたが、この「Signature Diamond」ですと、もっと音楽の「浸透力」が高いようです。 何をお聞き頂いても“40周年モデル”だけあり、期待は裏切りませんでした。アンプによって明るい感じにも出来ますし、落ち着いた感じにも出来ますが、その両方を生かしながら豊かな空間表現力を持つ素晴らしいスピーカーの誕生だと思います。 是非このクオリティをお手元に置いて、ご堪能頂ければと思います。 |
フォノイコライザー比較試聴 |
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