発行元 株式会社ダイナミックオーディオ
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H.A.L.担当 川又利明




2007年12月12日
No.556 「H.A.L.'s One point impression!!」
「なぜsoulutionなのか!?美しく逞しい空前絶後のパフォーマンスとは!!」

     〔1〕アンプというカテゴリーに新風を巻き起こす予感

そもそも、一ヶ月ほど前にStereo Sound GRAND PRIX 2007の表彰内容を見て
これは知らないな〜と思っていたブランドがこれsoulutionだった。
輸入元からペーパーの資料を頂いたのが二週間ほど前だったろうか?

http://en.red-dot.org/design.html

ドイツの工業デザインに対するアワードで2007年レッドドット・デザイン賞を
受賞しているというのだが、製品の細部での作り込みで評価を得たのだろうが
写真だけではピンと来ない。いや、価格にふさわしい音質とパフオーマンスな
のかが私の経験からもイメージできなかったという言い方の方がふさわしい
だろう。写真を見た限りではオーディオコンポーネントとして特に魅力的と
いう外観にも思えず、機能性として最低限必要なダイヤルノブとディスプレー
というシンプルな外観であり、特に惹きつけられるものは感じなかった。

しかし、プリアンプで30Kg、パワーアンプも80Kgという重量を知った後に内部
の写真で見る限り、JEFFROWLANDのようにアルミのインゴットから削りだした
という大げさなシャーシーでもなさそうだし、パネル構成のボディーの中身の
充実感が物凄いという印象だった。

私も過去に錚々たるアンプの数々を聴いてきたが、日本価格でセット960万円
というプライスタグを見て中途半端な評価は出来ないものと慎重に構えていた。

そして、一昨日のこと輸入元の担当者から急な電話でsoulutionをこれから
持ち込みたいというお話し^_^;いくらなんでも突然だろう〜、しかも滞在期間
はたったの三日間で12月10日の月曜日には引き上げてしまうという。

私も多数の試聴課題を抱えていて、いずれも手を抜けないものばかり。先日も
十日間以上かけてSACD/CDプレーヤー三機種の検証を終えたばかりで、やっと
次の新製品に取り掛かろうとしていた矢先である。

ちょっと迷惑半分と思いつつ、しかし今だショップでは音だしをしていない
はずだし、いつかは聴かなくてはならないのだから、この際にチェックして
おこうと受け入れた。

今回私がsoulutionの検証のためにセットしたのは下記のシステム。


             ◇ soulution -inspection system ◇

………………………………………………………………………………
ESOTERIC G-0Rb(税別\1,350,000.)
http://www.teac.co.jp/av/esoteric/g0rb/
     and
H.A.L.'s original-JORMA DIGITAL/SMB Internal Wire (税込み\88,000.)
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/544.html
     and
ESOTERIC PS-1500MEXCEL+7N-PC9100(税別\1,250,000.)
http://www.teac.co.jp/av/esoteric/ps1500/
     and
H.A.L.'s original“Z-board” (税込み\57,000.)
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/508.html
     and
H.A.L.'s original“P-board” (税込み\68,000.)
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/508.html
     and
Project“H.A.L.C”H.C/3M(税込み\500,000.)
http://www.dynamicaudio.jp/audio/halc/index.html
………………………………………………………………………………
                ▽ ▽ ▽

ESOTERIC 7N-DA6100 BNC(Wordsync用)(税別\240,000.)→and ESOTERIC D-01
http://www.teac.co.jp/av/esoteric/mexcel/

                ▽ ▽ ▽
………………………………………………………………………………
ESOTERIC P-01 (税別\2,200,000.)
http://www.teac.co.jp/av/esoteric/p01_d01/
     and
ESOTERIC PS-1500MEXCEL+7N-PC9100×1(税別\1,250,000.)
http://www.teac.co.jp/av/esoteric/ps1500/
http://www.teac.co.jp/av/esoteric/powercable/9100mexc.html
     and
H.A.L.'s original“P-board” (税込み\68,000.)
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/508.html
     and
Project“H.A.L.C”H.C/3M(税込み\500,000.)
http://www.dynamicaudio.jp/audio/halc/index.html
………………………………………………………………………………
                ▽ ▽ ▽

ESOTERIC 7N-DA6300 XLR 1.0m×2 Dual AES/EBU(税別\560,000.)
http://www.teac.co.jp/av/esoteric/mexcel/6300.html

                ▽ ▽ ▽
………………………………………………………………………………
ESOTERIC D-01(税別\2,200,000.)
http://www.teac.co.jp/av/esoteric/p01_d01/
     and
ESOTERIC PS-1500MEXCEL+7N-PC9100×2(税別\1,600,000.)
http://www.teac.co.jp/av/esoteric/ps1500/
http://www.teac.co.jp/av/esoteric/powercable/9100mexc.html
     and
H.A.L.'s original“P-board” (税込み\68,000.)
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/508.html
     and
Project“H.A.L.C”H.C/3M(税込み\500,000.)
http://www.dynamicaudio.jp/audio/halc/
………………………………………………………………………………
                ▽ ▽ ▽

TRANSPARENT  OPUS MM Balanced INTERCONNECT CABLE 2.0m(税別\2,660,000.)
http://www.axiss.co.jp/transparentlineup.html#OPUS

                ▽ ▽ ▽
………………………………………………………………………………
soulution stereo pre amp 720   (税別\4,400,000)
http://www.dynamicaudio.jp/file/071207/SOULUTION720.pdf
http://www.soulution-audio.com/english/e_home.html
     and
TRANSPARENT PLMM+PI8(税別\606,000.)
http://www.axiss.co.jp/transparentlineup.html#POWER
     and
Project“H.A.L.C”H.C/3M(税込み\500,000.)
http://www.dynamicaudio.jp/audio/halc/index.html
………………………………………………………………………………
                ▽ ▽ ▽

ESOTERIC 7N-A2500 XLR 7.0m (税別\2,280,000)
http://www.teac.co.jp/av/esoteric/mexcel/2500.html

                ▽ ▽ ▽
………………………………………………………………………………
soulution  stereo power amp 710   (税別\5,200,000)
http://www.dynamicaudio.jp/file/071207/SOULUTION710.pdf
http://www.soulution-audio.com/english/e_home.html
          and
TRANSPARENT PIMM+PLMM(税別\606,000.)×2set
http://www.axiss.co.jp/transparentlineup.html#POWER
………………………………………………………………………………
                ▽ ▽ ▽

STEALTH Hybrid MLT Speaker Cable 5.0m H.A.L.'s Special Version
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/290.html

                ▽ ▽ ▽
………………………………………………………………………………
MOSQUITO NEO(税別\4,800,000.)
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/oto/oto54.htm
………………………………………………………………………………

久しぶりにESOTERICのフラッグシップP-01 & D-01を使用するが、妥協なき
セッティングは周辺機器とZ-boardやP-boardなどでG-0Rbをはじめとして
電源もPS-1500MEXCEL+7N-PC9100という鉄壁の備え。

スピーカーも一番聴きなれており、ここ数年のリファレンスとして信頼厚い
MOSQUITO NEOを使用する。

これで一晩ずっとバーンインを続け、試聴開始の時点では電源投入後からは
ざっと30時間以上を経過させている。

ここまで準備すればいいだろう…、と今夜も閉店後にやっと時間が出来たと
いうことで、いざ試聴室へ!!


         〔2〕第一印象からノックダウン!!

先ずは定番のマーラー交響曲第一番「巨人」小澤征爾/ボストン交響楽団から
第二楽章を聴くことにする。久しぶりにセットしたESOTERICのシステムも同様
に入念なバーンインを行なっており、これは先週まで聴き続けていたワン
ボディータイプのSACD/CDプレーヤーの各機種よりも相当に高い到達点の音質
へと私も磨きをかけてきた自信がある。聴き慣れたディスクを入れてリモコン
でトラック2をスタートさせた。すると…

「おー!! なんなんだ!! この弦楽器の質感は!!」

ボストン交響楽団の弦楽器がこんな質感で聴けるとは想像もしていなかった。
この演奏で音質を表現するためのボキャブラリーは既に枯渇しているのだが、
そんな私の記憶をあざ笑うようにsoulutionの第一印象は鮮烈だった!!

オーケストラでの弦楽器の質感を日本女性の黒髪に例える表現をこれまでにも
何回か使っているので、そもそも使い古された思いがある。
しかし、soulutionが初めて聴かせてくれたこの質感をどう例えたらいいのか!

「あっ、そうだ!! ミンクの毛皮だぞ、これは!!」

ヴァイオリンだけでなく、ビオラもチェロも、そしてコントラバスも、すべて
の弦楽器に作用するsoulutionの再現性は素晴らしい光沢感が先ず最初に印象
に残った。

艶やかであり、しっとりとした肌触りが媚薬のように私の感性をくすぐる。

そして、その光沢感は光の角度によって幾重にも輝きのレイヤーを積み重ね、
数十人の弦楽器奏者の個々の存在感を毛並みの流れとして指揮者の思うがまま
に楽音としての流れを構成していく。

指先で触れる毛皮の感触はぬめっとした濃厚なイメージを指先の敏感な神経に
伝え、毛足は短くとも動物特有の油脂が体毛に含まれているのだろうか…。

指先を滑らせるとさざ波のように細かい毛足が自分の触覚に絡みつくように
しっとりとまとわり付き、弦楽器奏者がアルコの切り替えしを繰り替えること
が、手の平を返して指の両側で新たな毛皮の感触を楽しむように思えるのだ!!

こんな弦楽器の質感を最初から聴かせるアンプは私の記憶でも前例がない。
いきない興奮モードに突入してしまった私はオーケストラの他のパートにも
更なるチェックポイントを見つけ出した!!

「あっ!! 管楽器のエコー感ってこんなに豊かだったかな!?」

オーケストラの内声部から次々に木管楽器のソロパートが繰り返される。
クラリネットやオーボエなど、リードを使用している楽器のぬくもりが余韻感
としてスピーカーの周辺まで響き渡る快感を情報量の素晴らしさとして記憶に
留めようとするが、ホールエコーのあまりの豊潤さに驚いてしまった。

「そりゃ〜自信のフロントエンドだから情報量も素晴らしいはずだが、しかし
 今まで木管楽器の響きの領域がこんなに大きかったか? いや、一本の楽器の
 発した音がホールの壁と天井に反射するイメージが今まであったか!?」

同じ曲の過去の記憶を、体験したシステム構成やポイントになるスピーカーと
コンポーネントたちで大別してファイルしている私の引き出しにも、こんな
音はしまわれていなかった!! なんと初体験だ!!

聴き進むうちに納得されてきことは、実は木管楽器という一人の奏者が発した
音がホールの空間の何かでどのように振舞うのか、という余韻感での観察は
そっくり弦楽器にも生きていたということだ!!

1stヴァイオリンのみがピアノッシモでゆったりとしたアルコを奏するとき、
その余韻感が右側のNEOにも浸透してホールエコーの連続性を明らかな
右チャンネルの再生音としてくっきりと出力しているという実感が恐ろしい!!

「おいおい、ホルンの響きがステージの横幅一杯に広がったなんて嘘でしょ〜」

金管楽器のエネルギー感というか、大きな音量で吹くとシャープなイメージに
なってしまい、きつく感じることがあるが、soulutionではどうしてそれが…
そう、マウスピースの中のほんのわずかな空間の空気とホールの大気が実は
一体となり連動していると言ったらオーバーだろうか。

ホルンに代表され、トランペットでも感じたホールの空気を同時に響かせると
いうのか、金管楽器の背後に反射板のつい立を置いて後方に散ってしまう音波
を正面に反射させたような、タンギングの瞬間から立ち上るエコー感がオーラ
のように各管楽器の周囲にくっきりと見えているリアリズムをどうすればいい
のだろうか、と戸惑いながら私の耳はsoulutionに釘付けとなってしまった!!

            -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

オーケストラにおける各パートで新発見が相次ぐ。しかし、何といっても私を
虜にしたのはヴァイオリンの美しさだ。多数の合奏による弦楽器の解像度が
以前にも増して素晴らしく、そして合奏であるがゆえの旋律の美しさを強烈に
意識しつつも、ソロでのヴァイオリンはどうなんだ!? と好奇心が騒ぐ!!

http://www.universal-music.co.jp/classics/artist/akiko-suwanai/

それでは、ということでSACDからの選曲で諏訪内晶子/詩 曲(ポエム)より
1.サン=サーンス:序奏とロンド・カプリチオーソ 作品28
3. ラロ:ギター 作品28
5. クライスラー:シチリアーノとリゴードン(フランクールのスタイルによる)
6. クライスラー:才たけた貴婦人(L.クープランのスタイルによる)
7. ベルリオーズ:夢とカプリッチョ 作品8
8. ラヴェル:ツィガーヌ

そう、止まらない、止められない!! (^^ゞ
一曲目の冒頭から諏訪内の奏でるStradivari dolphinの音色は筆舌に尽くしが
たい美しさ。強靭でありしなやかであり、ビブラートを効かせながらロング
トーンをゆったりと弾き続ける彼女の揺れる姿態がイメージされ、その肩から
は微小な輝きを放つミンクの毛皮が見えてくるように想像力をたくましくした。

このディスクではバックを努める指揮シャルル・デュトワとフィルハーモニア
管弦楽団の演奏も重要なポイントだが、ソリストとの距離感、弦楽だけのバック
が放つ瞬間的なフォルテのあとに空間に染み入るような余韻感のリアルさ。

フィルハーモニア管弦楽団が繰り広げる弱音のアルコがふーっと始まった時、
録音に使われたイングランドはワトフォードにあるコロッセウムの暗騒音か、
あるいは硬い壁面が反射音を折り返すのか、周囲の残響音が大きく変化して
いることが瞬時にわかってしまう。こんなことあってもいいのか!!

そして、呆気にとられたのが諏訪内のStradivari dolphinが発する余韻感の
物凄さ!!こんなにコロッセウムのエコー感は深く長く濃厚だったのか!!

もちろん、私が評価の基準として必ず使用するセミヨン・ビシュコフ指揮パリ
管弦楽団ビゼー「アルルの女」「カルメン」の両組曲、更に、指揮ワレリー・
ゲルギエフ/チャイコフスキー《くるみ割り人形》全曲/サンクトペテルブルク
・キーロフ管弦楽団、合唱団などすべてのオーケストラにおいて私が過去に
聴いたことのない新たな美意識を聴けば聴くほどsoulutionが授けてくれます!!
これは素晴らしい!!


         〔3〕スタジオ録音で聴かせる魅力!!

弦楽器が美しく聴こえるということはヴォーカルも素晴らしい。これは過去の
経験から推測できる評価であり、オーケストラの次にはスタジオ録音の数々で
楽音の各々でチェックしてみるのが私の流儀。最近の選曲はどれだけ同じ曲を
聴いてきたかという流れで迷うことはない。

Lisa「Embraceable」エンブレイサブル この1.LIGHT MY FIREで試すことに。
http://www.spiceoflife.co.jp/sb_cd03.html

http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/553.html

この選曲は上記↑の検証において最新型プレーヤーの比較でいやというほど
繰り返し聴いたきたもの。それをESOTERICのフラッグシップで聴き始めたとき
当然と言えば当然のことながらCDからピックアップされる情報量の多さが先ず
私に安心感を与えてくれる。

各論で個々の楽音に視線を向けて比較していたのを思い出すと、それらのどこ
にもスキがないという音質はさすがと言わざるを得ない。そして…

「おいおい、ここまでやるのかー!!」

冒頭のシェイカーの音、ピアノにギター、そしてウッドベースというメンバー
がイントロで聴かせる安定感、それはやはり音像がジャストフォーカスであり
そのエコー成分が大変細かいグラデーションを見せて展開することから、同じ
曲の記憶との違いが先ず先行する。

そして、リーサのヴォーカルが…!?

「あっ、これ逆三角形だ!!」

と思わず内心で叫んだのは口許の音像のエコー感が展開する空間の見え方に
対するイメージだった。これは大きな特徴だ。スタジオ録音の女性ヴォーカル
で発見した個性を直ちに違う曲で、今度は男性ヴォーカルでチェックしよう!!

MICHAEL BUBLE/デビューアルバムの一曲目「Fever」も同様に試してみました。
http://wmg.jp/artist/michaelbuble/profile.html

イントロのベース、シンバルのシャープな切れ味、そしてヴォーカルが…

「やっぱりそうだよ、逆三角形だ!!」

ESOTERICのシステムが再現する音質はとにかく輪郭が鮮明なのが特徴。そして、
ヴォーカルの口許の定位感をぴったりとNEOのセンターに、高さとしてはNEOの
左右のミッドレンジドライバーのあるあたりに位置させている。

二曲で聴くヴォーカルの共通点というのは、口許から発せられた声の残響が
左右のNEOの頭上に広がって展開するという音場感の大きさを述べたかった。

逆三角形の下向きの頂点にちょうど口があり、そこから左右の上方向に向けて
素晴らしい情報量の余韻感が拡散していくのである。逆三角形の上のふたつの
頂点はNEOの両翼に残響成分を拡張し、それは遠近法の消失点のように忠実な
音量感の減衰として空中を突き進んでいくのが目に見えるかのようだ。

今までにも経験したことがあるが、優秀なシステムで聴くスタジオ録音は
あたかもホール録音のようにスピーカーの頭上に響きの伝播する領域を見事に
作り上げていくものだ。今まで慣れ親しんだNEOとESOTERICという両者の中間
で躍動するsoulutionは同じ曲であっても聴くことの楽しさと醍醐味を再発見
させてくれるのだから興奮しないというのが不自然なくらいだ。

            -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

次の課題曲もヴォーカルだが、同じスタジオ録音でも前曲とは違うチェック
ポイントを意識して聴くことにした。

“Basia”「 The Best Remixes 」   Epic (Japan) ESCA-5164

http://www.sonymusic.co.jp/Music/International/Arch/ES/Basia/
http://www.basiaweb.com/
http://members.tripod.com/~Basiafan/moreimages.html#remixes1

シンセサイザーによる打ち込みによる正確無比なリズム楽器、サンプリング
音源による人工的でありながら透明感のある楽音、それにチェロなどが織り
交ぜられた、まさに音像の輪郭表現や低域の迫力と輪郭の再現性ということに
重きを置いて聴くことにする。さあ、スタートだ!!

「えー!! ちょっと待ってよ、調べなくっちゃ!!」

冒頭のバスドラムの連打、エレキベースの質感。この両者を耳にした瞬間に
思い立ったのは、このsoulutionのパワーアンプの出力が何ワットだったか?
という基本的なことだった。なぜか?

今までにも多数の組み合わせでチェックしてきた低域のダイナミックな打音と
ベースの連続音、その重量感と固体感のあり方、ブレーキが利いて引き締まった
テンションの見事さ。これらのどれをとっても三ッ星のパフォーマンスに私の
常識が反応したもの。こんな強烈な低域を叩き出すのは、いったい何ワットの
アンプなんだろう!? そうしたら…

「えー!! うそでしょー!!」

■soulution 710 とは、120W/ch(8オーム) 240W/ch(6オーム)

たった120Wですか〜!? MOSQUITO NEOは公称インピーダンスは6オームだが、
150Hzでインピーダンスは最小となり4オームに低下する。
つまり、もろにNEOのウーファーがほぼ4オームで駆動されるということだ。

今までMOSQUITO NEOを鳴らしてきたパワーアンプは数知れず、もっと大きな
出力のアンプが大半であったのに、何とsoulution 710の定格パワーはそんな
ものだったのか!?

いや、待てよ!! 再生周波数帯域は何と0Hzから1MHzまで-3dBだってー!!
まるでGOLDMUNDじゃないですか〜!!

スペックが音を語るのではない。音を聴いて想像するパワー感が極めて大きい
ので気になってしまったものだ。それほどの低域の制動感がありながら…!?

Basiaのヴォーカルはどうか? うん、これも同様に逆三角形ではないか!!

ともすると彼女のヴォーカルはクールでシャープでクリスタルにイメージに
聴こえることがあるのだが、何とsoulutionで聴くと気持ちのいいことか!!
そして、音像から音場感への展開はやはり広範囲な広がりを見せながら口許は
きっちりとNEOのセンターに定位している。

潤いのあるしっとりしたヴォーカルを聴かせ、バックの伴奏のエコー感も豊潤
であり、それが空間表現の大きさになっている。

しかし、低域に関してはコンパクトな音像を結びながら輪郭は極めて鮮明に、
更にずっしりした重量感をたたえる低音楽器の魅力が私の記憶に新しいアンプ
の世代が到来してきたことを書き加えた!!

「素晴らしいです!!私が追求してきた方向性にジャストミートです!!」

            -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

http://www.soulution-audio.com/english/e_home.html

soulutionのwebサイトではどのページを開いても右上に誇らしげな一言が
あります。そう、nature of sound というメッセージです。

これを輸入元での資料では「自然で色づけのない音」と意訳しています。

でも、画面を良く見るとnature of soundはブランド名の下にレイアウトされ
ています。

私はnature of soundを「音の本質」という直訳で理解しました。なぜか!?

soulutionではなくて、solutionとは〔問題などの〕解決(策)解明、解答を
意味することですね。

では、なぜsoulutionなのか!? 皆さんおわかりですか!?

私はこの二日間というものsoulutionをじっくり聴いてわかりました!!

soulですよ!! ソウル!! 魂!! です!! 心、ハートであり精神でもあります!!

「オーディオによってsoulをsolutionしてくれる存在!! それがsoulution!!」

だから精神的象徴とも言える空前のパフォーマンスを誇るsoulutionの下には
nature of sound「音の本質」を追求するという意味が生きてくるのです!!

「音の本質」を追求する魂、以前の問題を解決してくれる技術力と感性!!

“soulution”このブランドが10年後にどういう存在になっているのか!?

それは、日本のオーディオファイルのレベルの高さによって決まります!!

そして、最後に一言。

皆様の感性、それは“soulution”を聴くことによってレベルアップされます!!

            -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

今回“soulution”を輸入販売されることになった株式会社ノアに対して私は
拍手をお送りしたいものです!!

ところで…株式会社ノアの代表者である野田社長へ

“soulution”の解釈が間違っていたらごめんなさい<m(__)m>
確認してみて下さい。あるいは、日本ではこれで行こうということであれば
それも良いかと…(^^ゞ&(笑)

ハルズサークルの皆様!!“soulution”を聴かないと後悔します!!

皆さんのsoulもsolutionしてくれます!!

                    【完】


こんな締めくくりに対して、株式会社ノアの代表者である野田社長より早速の
メッセージが寄せられました。私以上に饒舌であり雄弁さを物語るメールなの
で、ハルズサークルの皆様にもご紹介したくなりました。(^^ゞ

            -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

川又様
渾身のリポートありがとうございます。改めて川又さんの分析力と、そして
それを伝える表現力と文章力に感心しています。

soulution=ソウリューション、お察しの通り、soulとsolutionを組み合わせた
造語ですが、オーナー(Mr. Cyrill Hammer)と製作者(Mr. Christoph Schuerman)
の自分達のオーディオ機器に対する願いに「音楽魂の解析」という意味が込め
られている所からこの造語がブランド名になったそうです。
再生音を聴くと正にその通りでびっくりですね。

10,11,12月とめちゃめちゃなスケジュールになっていて、まず最初に川又さん
に聞いて貰いたいという考えでしたのですが、其れが叶わず今になりました
ことをお詫びいたします。 

といっても本機が突然「試聴器の準備が出来たので送ろうかと思うのだけど
どうする?指示して」と先方から言って来たのが10月17日(水)でした。 

昨年の5月にsoulutionを知ってすぐさまサンプルオーダーし、今年1月ラス
ベガスで聴き、また5月のミュンヘン・ハイエンドショーで聴き、ますます
その魅力にとりつかれ「一体頼んだサンプルは何時になるの?」と詰問した
ものでした。 

日本向けの100V用トランスの完成に手間取っていて多分9月には大丈夫
だろうとのことで、楽しみに待っていたのですがぜんぜん知らせもなく、
この調子では今年の導入は無理だろうなと思っていた矢先の知らせでした。

残された日数から、どう考えても今年のStereo Sound GRAND PRIX 2007に
ノミネートするのは無理だな、まあ準備できたというのなら取り寄せて、
じっくりどのように進めるか作戦を練ってからにしよう。

と思い「OK何時でも良いから送って…。」と返事をしましたらすぐに送って
きて、通関を終え、我が社に届きましたのが10月23日(火)でした。

動作チェックを終え其の日の午後一人で聴き始めたら…。

「さあー大変、どうしよう、どうしよう…。これをそのまま来年まで持ち越す
 なんてとても出来ない !!」 と興奮してしまったわけです。 

ご存知の通りグランプリの選考会は11月1日、Stereo Sound GRAND PRIX選考
委員の日程は当然のことながらびっしり埋まっている事でしょうし…。

社員たちも「じっくり来年やりましょうよ」などというし…。
でもこれをそのままにはしておけない。興奮の私は皆の意見を否定し、多少
強引であっても動こうと思い行動に移ったわけです。

この時まず一番に電話したのが川又さんの所だったのですが、あいにく
マラソン試聴会の準備で席を外しておられた為に話できず、いずれお聞かせ
したいので…とご案内したわけです。

お蔭様で、強引に選考会前に全委員に聴いてもらうことが出来、グランプリ
受賞できました。グランプリの規定でプリとパワーは別々のカテゴリーと
いうことで、そこへ急に飛び込んできた新顔がプリ、パワー両方で受賞は、
ちょっと欲張りじゃないの…?ということでどちらか一つとなったようです。
ま、いずれにせよ間に合い、受賞出来たので良かったと思っています。 

その後は、取材、撮影、が続き、やっと本機が我が社に戻った所です。

来年早々2月頃にはModel 700というモノラルアンプ(1台97kg!これ又凄い!)
春頃にはCDプレーヤーが出る予定です。

本来伺ってお願いするのが本当ですが、取り急ぎメールにて失礼いたしました。
ぜひとも来年の目玉として本腰を入れてのお付き合いのお願いたします。

潟mア 野田頴克

            -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

音を聴いたら興奮してしまって誰かに聴かせたいという心境は私もまったく
同じですから、当時の野田社長のお気持ちは大変よくわかります。

何といっても、私も“soulution”の音を知ってしまった一人ですから(^^ゞ

さあ、これから日本で“soulution”のブランドイメージをどのように築いて
いきましょうか?

再度ここで“soulution”が聴ける日程がわかりましたらお知らせ致します
ので、どうぞご期待下さい。


このページはダイナフォーファイブ(5555):川又が担当しています。
担当川又 TEL:(03)3253−5555 FAX:(03)3253−5556
E−mail:kawamata@dynamicaudio.jp
お店の場所はココです。お気軽に遊びに来てください!!

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