発行元 株式会社ダイナミックオーディオ 〒101-0021 東京都千代田区外神田3-1-18 ダイナ5555 TEL:(03)3253−5555 FAX:(03)3253−5556 H.A.L.担当 川又利明 |
|
Part.1 ken kesslerが送る喝采 http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/394.html ここでスクープしているX-2に関する最新情報です。まず最初に下記をご覧下さい。 http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/357.html ここでご紹介しているken kesslerがイギリスのハイファイニューズアンドオーデ ィオレヴユー誌で述べているX-2の記事をご紹介しましょう。 -*-*-*-*-*-*-*-*-*- 遂に、この惑星上に唯一無二の偉大なスピーカーが製品として出現した。 この製品を開発するにあたって、ディビッドウィルソンは約10年を費やしたが、 その製品の使命とはあの、高くて、非現実的、セットアップをデザイナーに要求 するWAMMというスピーカーに変わるべき性能を持って、WAMMに取って代わるべき スピーカー、というたいへんな命題である。 X-1グランドスラムが製品として大成功を納めたので、X-1を凌ぐ製品を計画する ことは当然として、WAMMに代わるという大変な使命を背負ったスピーカーである。 キャビネットの材料について Mマテリアル:MDFベースだが高密度でより共振性がない、それでいて寸法を精密に 工作でき、安定性のある材料 Xマテリアル:高密度フェノール系の材料で、地上でもっとも共振性の低い材料。 リンギングが無いために、音質的ピッチの変調をきたさない、ウィルソン独自の 材料。 グループディレィはクロスオーバーの設計とドライバーを時間軸で調整することに よって解決できる問題で、グループディレィによる害がなければ、シームレスな音 のつながりを得ることができる。 X-2ではさらに精密な微調整が可能となったので、私の4x9mのリスニングルームで も完璧に設置できるスピーカーである。 キャビネット材料自体はX-1と同じ、(即ち新開発の材料はない)ではあるが、 チューニング、組み合わせなどで、重量が大きく異なった。 さて、X-1 とX-2の比較をウィルソンのリスニングルームで体験した。 実は、これを目的にわざわざロンドンからユタ州まで飛んできたのであったが。 X-1は小生がなじんでいるスピーカーであり、よくこなれていてすばらしい音を 出した。やはり偉大なスピーカーだ、と一人納得したが、では、X-2はどうであっ たかというと、これはもう、大きなショックであった。 X-2に切り替えて、たった3秒もしない内に私は出し抜けに、"何てことだ!"と 本当に大きな声で叫んでしまったのだ。 X-2を一聴してすぐに気付いた点を列記する。 1)中域から上の部分の澄みやかさ。 2)全てにおいてよりオープン(押し込められたような窮屈な感じが無く、浪々と 鳴る) 3)ベースについてはX-1に比べよりしなやか。(X-1は攻撃的にさえ思われるほど) 4)視覚的なイメージがより細かく精緻(眼前に演奏家がよりはっきりと現れる) 5)右から左へのスムーズな広がり 6)よりすぐれた音質的一貫性。 7)ピンポイントな定位の正確さが高い 8)X-2はX-1をオーバーに言うと、"共鳴のないするどい鼻声"と感じるようにして しまった。そして、全てが私を当惑させた。 数秒前までX-1を聴きながら、これはすごいスピーカーだ、いい音だ、いいイメー ジが出ていると納得していたのだが、X-2に代わってから、全ての面でX-1を凌ぐ製 品であることが瞬時に分かるほど素晴らしいスピーカーであった。 たとえて言うなら、X-1、X-2はポルシェボクスターSと911ターボとの差に例える こともできよう。 どちらも同じメーカーで、車好きにはたまらない、自動車業界のみならず非常に 大きい注目と尊敬を集めている車で、世界の車フリークは"何故もっと高価なもの を求める理由があるのか!"というほどのもの。 ボクスターに乗ると、ハンドリングは夢心地、加速感、パフォーマンス、全ての 上で投資金額が価値あるもの、これ以上の車は要らない、と思う。 しかし、911ターボのキーを渡されそれに座ると同じインテリアとはいえ3倍の 価格になっている。しかし、911と比較すると、911ターボの存在があってもボク スターはただの車、とも思えなくもない。実際、ボクスターSは車としては素晴ら しく車には違いない。このような関係を思いついた。 無能な評論家が、この製品は世界一だ、と毎号毎号オーディオ誌に書くようなもの ではない。 例えば、月曜にすばらしかった、火曜日に新しく何かより良い点を持った製品が 出てきたにもかかわらず、水曜日にもやっぱり優れたものだ、と思えるモノがX-1 であった。 X-1は94年に出現以来、偉大な、本当に素晴らしいスピーカーであったが、今、 それを凌駕する製品が登場したのだ。 アコースティック楽器が本当に良質な木材からできていることを表現できるスピー カーがX-2であり、これを聴く度に私は身震いするようなスリルを味わうことがで きる。 月産2台、発表するやいなや、その形を見ただけでオーダーが寄せられ、8ヶ月に わたるウェイティングリストがあるとのこと。 ウィルソンの信頼、良い音を求めての飽くなき追求がこのような成功をもたらした ものであると確信する。 そのオーダーした方々のウィルソンに対する信頼は、それに値すると断言できる。 -*-*-*-*-*-*-*-*-*- 川又より:ここでX-1とX-2の比較したものが下記です。どうぞご覧下さい。 http://www.dynamicaudio.jp/file/060121/x-2-spec.html Part.2 米国のオーディオ誌(Sound StageはWeb Magazine)に掲載された評価 http://www.dynamicaudio.jp/file/060121/x-2-1.html ウィルソン・オーディオでは100種類以上のキャビネット材料を、あらゆる面で、 もちろん聴覚による判断も取り入れて、テスト、共振特性を測定した上で決定し ている。 最終的に決定した材料は、特定の共振性があり、スピーカー材として使用した場合 に非常に好ましい結果を得たもの、それがウィルソンオーディオが開発したM材、 X材である。 しかし、素材をそのまま使用しているわけではなく、使用するユニットの性能を フルに引き出すべく、適切なスポットに特定の共振周波数を得るための鉛インゴッ トをはめ込んでいる。 X-2については各ユニットがモジュール化されているので、そのドライバーに 合った共振特性を得ることができる。 材料は非常に硬く、特にX材は鉄の硬度以上に硬いため、CNC工作機械によって 切削加工されている。ルーターとダイアモンドブレードを使用し、コンピューター 管理のCNC機械でも非常に時間を消費する作業である。 また、使用する接着材にも広範囲な研究を行い、ダンピング性能と接着性能を検証 し、最終的にはウィルソンとその研究グループによって採用を決定した。 時間をかけて製作したキャビネットはジェルコート(下塗り)をかけ、そして車塗 装と同じプロセスを経て完成する。特に、接着剤の乾燥過程においては非常に神経 を使う。 また、外装塗装についても零下20度から摂氏60度までの温度、0%から100%まで の湿度に耐えられる塗料を選別している。高級車に使用されるペイントはその条件 を満たしてくれるので、フェラーリ、メルセデス、BMW等で使用されているペイン トによる塗装を行っている。 クロスオーバーも大きな特徴で、各周波数によって個別に分かれている。 クロスオーバーの性能的許容差は非常に厳しく、仕様部品の許容差を遙かに超える +/-0.3%以下という驚異的な精度を維持している。そのクロスオーバーはエポキシ によって、X材で仕上げた頑丈なコンテナーに封印されている。このコンテナーは スピーカーキャビネットと同様、とても手の込んだ造りで、しかも全くスピーカー と同様の工程で仕上げられている。 X-2の梱包重量は7梱包900kgにも及ぶ。本体の重量は方チャンネル340kg。 ちなみに、サイズは48cm(W) x 179cm(H) x 65cm (D)。 http://www.dynamicaudio.jp/file/060121/x-2-2.html X-2の性能上の目標はローレベルのディテールとリニアリティー、すなわち、小音 量でも自然な響き、ひずみや汚れのない再生を行うこと、である。そのために持て る力と知識をネットワークは当然としても、キャビネット共振、配置、設置方法、 位相精度、ドライバーの選択と選別、等全ての点に注いだ。 現行品を含むウィルソン・オーディオのモデルで培った経験を全て注いだ結果だ。 一言で言えば、どのモデルよりも洗練した音を再生する。決して大音量で再生する ことのみを目標としたスピーカーではない。小音量でも豊かにきめ細かく、細部を 浮き立たせる、そして大音量では、スケールの大きな、身体を揺さぶる音を奏でる スピーカーである。 -*-*-*-*-*-*-*-*-*- 私たちはX-2が演奏しているウィルソン氏の家を訪れた。 玄関に入ると壮大な音楽が響いており、オーディオシステムからというよりそこで 演奏家が演奏しているように感じ、既にこの段階でその音に強く感動した。 音のパッセィジはたぐい希な表現で流れ、音色、ハーモニーはごく自然に流れる。 声の表現も抜群であった。スピーカーは超リアルなプレゼンスでCDから音楽を 引き出す。 再現されるリアリスティックな空気感、演奏の高さ表現とダイナミズムの自然さと 聴きやすさによって、正に「私たちがその場にいるように」感じるのだ。 X-2はリスナーがCD、あるいはLPに求めるベストのサウンドをもいとも簡単に演奏 してしまう。 特にパヴァロッティによるドニゼッティ作「人知れぬ涙」は見事であった。 テノールがステージ後方に向かい、演奏の音が消えてしまうと、私はそこにホール の非常に自然な響きを聴いた。 それは、あたかも私がコンサートホールにいるのではないかと錯覚するような体験 であり、このように聞こえたスピーカーは私の知る限り無い。(オーディオビデオ プレステージ-フランスのオーディオ誌) X-1で培ったタイムアラインメント技術はその後MAXX, システム7へと継承されて いるが、X-2でそれがさらに精度を高めた。 スピーカー設置の環境は千差万別、厳密にはテーラーメードのスピーカーを求めな くては位相が完全にそろわない。その困難な問題を解決すべく、ウィルソンはWAMM からスタートし、どんな環境にでも適応し、リスニングポイントで位相を完全に 一致させる方法に挑戦してきた。 WAMMではなんと誤差25/1000秒というところまで追い込んでいる。(周波数のリス ナーに到達する時間差)WAMMは、しかしながら、ウィルソン本人のセットアップと いう完全なオーダーメードとなるために、費用と時間が莫大にかかる。 そこで、WAMMの思想をX-1に持ち込み、大型で高額なスピーカーとしては異例の 300セットという販売を記録した。オーディオファイルがいかに位相に敏感かが お分かりいただけるのではないか。 そのX-1に応用した位相整合の方法をさらに三次元的に進め、きめ細かく精密に 調整できるようにしたのがこのX-2である。 各モジュールで33段階の前後調整ができる。 これに、角度調整が4段階加わり、ほぼ完璧な位相整合を得る。 ウィルソンオーディオではこの調整方法をアスフェリカルグループディレイといっ ている。レンズのひずみを最小限に抑える方法は非球面レンズを採用することであ るが、その思想をオーディオの世界に応用したという自負である。 http://www.dynamicaudio.jp/file/060121/x-2-3.html ウーファーキャビネットのポート位置も今までのウィルソンシステムとは異なり、 正面に移動された。これは、背面からの空気振動が部屋を共振させる、共振点が 一致し共振周波数を強調するなどの害を防いでいる。数学的に決定されたポート 位置と面積はポートによる乱気流を感じないレベルにまで押さえることを目標と した。 「以上はサウンドステージマガジンの要約」 -*-*-*-*-*-*-*-*-*- 川又より http://www.dynamicaudio.jp/file/060121/x-2-3.html ここで、上記のこのリンクに関して私からいささか補足説明をさせて頂きます。 音響工学の基礎知識として、もしお時間のある方は下記の私の随筆をご一読頂けれ ばと思いますが… http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/oto/oto06.html http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/oto/oto07.html この随筆から今回の説明に必要なポイントを取り出すと、音速と波長ということに なる。音波の進行速度は周波数に関係なく一秒間に340m、100分の1秒では3.4m進行 するということです。 言い換えれば、スピーカーとの距離3.4mで聴く場合には各ユニットから放射された 音波は1/100秒たってから我々は耳で感じると言うことです。 さて、ここで波長ということが関連してきます。わかりやすいところでは100Hzの 低音の波長は3.4mとなり、これで一波長ですから正弦波としてプラス・マイナスの 一周期があるわけです。このように長い波長ではあまり問題にはならないのですが、 10KHzだと3.4cmとなり、20KHzだと1.7cmとなります。 イメージしてみましょう。1.7cmで一波長ということは正弦波のプラス側で位相で 表現すると180度という折り返し点までの長さは8.5mmということになります。 高い周波数になればなるほど、この波長は短くなっていき、位相のズレがリスナー の耳という到達点で発生することになります。 これも仮定として、ミッドレンジとトゥイーターの両方で20KHzの音波を出力する として、この二つのユニットが同じ平面のフロントバッフルに取り付けられていた としましょう。しかし、まったく同位置ではなく、必然的にユニットの中心位置は 取り付け位置によって10cm以上の配置が正面から見たときに異なることになります。 そうすると、上のトゥイーターと下のミッドレンジユニットという音源位置から 私たちの耳までの直線距離を測ったとしたら、二つのユニットを底辺として耳を 頂点とする三角形になり、耳との距離は微妙にずれることになってしまいます。 さあ、ここで推測できるでしょうが、音速は同じですから、耳までの距離で仮に 8.5mmという誤差がトゥイーターとミッドレンジとの関係であったとしたら、耳に 20KHzの音波が到着する時には双方の位相が180度ずれて聴こえてしまうという現象 が発生します。つまりトゥイーターとミッドレンジの音波が逆相で打ち消しあうと いう理屈になってしまいます。 であれば、8.5mmという誤差をユニットとの距離感で補正することで、二つのユニ ットが発生した音波の位相をリスナーの耳に到着する時間として一致させることが 出来ます。仮に耳の高さがトゥイーターと一致しているとすると、ミッドレンジと の距離が三角形の長辺となるので、トゥイーターに8.5mm引っ込んでもらうと両者 と耳の距離は均等になります。 こんな説明でお分かり頂けるでしょうか? 位相と時間軸をコントロールするということは、音源位置の機械的な修正によって 可能になるということであり、それを究極的に追い込んだものがWAMMという形態に なったわけです。それをユーザー側で手軽にチューニングできるようにトゥイー ターとミッドレンジに可動機構を取り入れたのがX-1であり、X-2であり、更にトゥ イーターとミッドレンジが一つのボックスに格納された場合でも両者の相対距離を スピーカーボックスの傾斜角度を調整することで位相と時間軸をチューニングしよ うという発想がMAXXであり、System 6-7というWATT側のヒップアップ機構なのです。 但し、これらの位相と時間軸のコントロールには内臓ネットワークによる調整も 可能であり、Thiel GOLDMUND AVALON lumen white などなど多数のメーカーは 独自のテクノロジーで同じ目標にチャレンジしているものです。前出のリンクでは 他社の事例として多数ユニットが一直線に取り付けられたイラストがありましたが、 トゥイーターとミッドレンジの取り付け位置が近接すること、または同軸構造にす ることなどでも解決策になるものです。 この事例でイラストにある構造だと、ちょうど下記のメーカーのクラシックシリー ズという製品の構造に似ていますが、彼らダンテックでもネットワークによる電気 的な調整で位相と時間軸をチューニングしているので、上記のイラストのような ユニット配置のスピーカーすべてを否定的に考えるのは早計というものでしょう。 http://www.duntech.com.au/images/all.html しかし、私が10年前に聴いたWilson X-1の時でも、意図的に自分の耳の高さを変化 させてみると、上記の解説で述べた中高域ユニットとの距離関係が変化するので 大きく音質が変化したという驚きは鮮明に記憶しているものです。 あれから10年、Wilsonのテクノロジーの進化をもうすぐ体験出来る時が来るという 知らせに私の期待は膨らむ一方です!! Alexandriaとは古代エジプトで世界で初めて図書館が作られた場所であり、従って そこに古代文明の知識が集約されました。ウィルソン・オーディオの知識と技術の 集大成という意味合いをアレキサンドリアという古代文明を発展させた歴史に重ね 合わせてX-2スピーカーをアレキサンドリアと命名したそうです。 日本で唯一、このAlexandriaが聴けるところ。そして、それにふさわしい音質まで 追求していける環境とコンポーネントが揃っているところ…それがH.A.L.だという ご指名をDavid Wilson その人がサゼッションしていたら…、という推測は実は!? -*-*-*-*-*-*-*-*-*- このAlexandria X-2は“エフコン”では取り上げる予定はありません。なぜなら 前述のような技術的な背景があるので、多数の皆様にベストな音質を提供するとい うことは難しいのです。お一人のためのベストポジションが与えられるだけです。 このような最新ニュースの配信はハルズサークルにて行っています。 皆様もどうぞご入会ください。 |
このページはダイナフォーファイブ(5555):川又が担当しています。 | |
---|---|
担当川又 |
TEL:(03)3253−5555 FAX:(03)3253−5556 E−mail:kawamata@dynamicaudio.jp お店の場所はココの(5)です。お気軽に遊びに来てください!! |