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H.A.L.担当 川又利明




2005年6月11日
No.352 小編『音の細道』特別寄稿 *第48弾*
      「Nautilusを目指したスピーカーの更なる進化とは!?」

1.初来日されたMOSQUITOの人々

2005年4月15日のこと、NEOを開発したMOSQUITOの皆さんが初めて日本を訪れ、同時
にここH.A.L.を訪問された。

http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/op-pho/mosquito.html

皆さんジェットラグのため睡眠不足の疲労が残っている中でも笑顔を絶やさず、
記念撮影とあいなったものだ。皆さんは他国のオーディオショップを多数視察した
経験をお持ちであるが、果たして自分たちが作り出したNEOが海外でどのように
評価されているのか不安の面持ちであるが、数時間に及ぶ試聴とミーティングで
更に新しい情報と将来性を知ることとなった。

まずはH.A.L.での試聴の印象をどのように感じられたのか、後日レポートを頂戴
したのでご紹介したい。

              -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

まずはMOSQUITOの創立者であるMarc NOUCHI社長からのメッセージ。
フランス語の原文がこれ。
http://www.dynamicaudio.jp/file/050520/marc_report.pdf

翻訳すると次のようになる。

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ダイナミックオーデイオを訪れて

私達はNEOに大きな夢と期待を抱き、音楽の表現に必要だと信ずるすべての能力を
与えました。

(スピーカーシステム制作者として、当たり前のことをしただけですが…)

そして、NEOの才能を開花させることができる人を探すため、ヨーロッパ中、アメ
リカ中を歩きましたが、長年日本でビジネスをしているコネクスジャパンのエリッ
ク・シャルリーと出会い日本に進路を絞りました。

幸運なことに、彼が川又さんというスピーカーシステムを知り尽くした人を探し
出し、NEOを預かっていただくことになったのです。

私たちはダイナミックオーディオを訪れるとすぐに大きな驚きを感じました。

そこは、プロフェッショナリズムと厳格さだけで彩られており、既存のブランド名
等ではなく、ただ性能だけが評価される場だったのです。

使われている機材も素晴らしいものでした!

私たちは日ごろ最良の機材を使って仕事をしているのですが、こんなに多く最高級
の機材が集まった所を見るのは初めてでした。

また、川又さんが設定するリファレンスシステムは優れたもので、構成部品と音響
学的知識に完璧に基づいています。

川又さんはリスナーに対し、自分の意見や好みを押し付けることは決してしません。
様々な音楽の趣味や好みを持つリスナー達をそれぞれに満足させるため、色々な
機材や音楽を使い、NEOの性能を違った方法で引き出し、提示するのです。

そして、リスナー自身が自分の好みに合ったリファレンスシステムを見つけだす
のです。私達もさまざな機材に繋ぎかえたNEOで、色々な音楽を聴きました。
それぞれ違った引き出し方でしたが、NEOの才能が毎回顕われていました。

私自身、普段は決して聞くことのないタイプの音楽も今回ダイナミックオーデイオ
で聞き、改めて良さを感じた程です。数時間かけ、様々な方法でNEOを試聴をしま
したが、時間が過ぎるのが何と早かったことでしょう!

今回ダイナミックオーデイオを訪れ、かつては音楽家の卵だったNEOが川又さんの
豊かな知識と経験で有能な演奏家に成長したのを私達は確認することができました。

これは、NEOの産みの親である私達にとって、本当に誇らしいことです。

Merci, Dynamic Audio!

Merci, Monsieur Kawamata!

代表取締役社長 Marc Nouchi (マーク・ヌシ)

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次にMOSQUITO社の音響エンジニアのトップPhilippe PENNA氏からは技術者らしく
次のようなレポートを頂いた。

http://www.dynamicaudio.jp/file/050520/philippe_report.pdf

翻訳したものが次である。

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訪問地 2004年 4月15日 Dynamic Audio 5555 ‐ Conex - Mosquito
文 :Philippe Penna


1/ Neo 1.2を用いたハイエンドシステムの試聴

1.1 試聴システム
CDドライブ  GOLMUND Eidos Reference  8,500,000 円
デジタル/アナログ コンバーター  GOLMUND Minesis 20 ME  4,900,000 円
プリアンプ  GOLMUND Minesis 24 ME  5,000,000 円
2 x モノアンプ  GOLMUND Telos 600  5,100,000 円
2 x スピーカーシステム  Mosquito Neo 1.2  4,050,000 円
デジタル接続ケーブル  GOLMUND Lineal  410,000 円
スピーカーケーブル  STEALTH Hybrid MLT H.A.L Special Version


1.2 試聴室の音響

Dynamic Audio 5555のHigh-End Audio Laboratory音響処理は、大方のハイエンド
試聴室と違って非常によく考えられたものである。

その音響処理は、主に天井と内壁上部の3次元シュレーダー拡散パネルが担って
いる。内壁の残りの部分を補うために、2次元シュレーダー拡散パネルが張られ
ている。さらに、これらのパネルは、両側と奥に位置するものは多孔質の素材で
覆われ、エンクロージャーの後ろに置かれたものは合板でできている。
このように、拡散特性に加えて、吸音/反射も兼ね備えているのである。

よって私たちは最良の条件下にいた。

即ち、高域周波数・中域周波数・低域と中域の中間帯の周波数の残響時間は0.3-
0.4秒であった。勿論フラッターエコーも、低音の高音への重なりもなかった。

重低音はいつも室内の配置に左右されるものである。そのために、Neoは部屋の
横方向のほぼ中央に、正面壁から十分に離して置かれていた。

エンクロージャーは約15-20°の角度で内側を向いており、おおよそ10°の角度で
後方に傾いていた。かなり低い試聴席は後壁から約1.5-2m離されていた。

最終結果の50%は試聴室の音響にかかっているのは周知のとおりであるが、私は
初めてこの法則を完全に理解している店に出会った。
私は電気音響学と室内音響学の専門家としてこの試聴室に満足している。


1.3 試聴

Dynamic Audio 5555の店長川又氏の実演は約3時間続いた。あまりに速く時間が
流れたために、聴き終えたCDの山を前にしてやっと時が経ったことを思い出した
のが本当のところである。

試聴は大編成のクラシックの楽団の演奏の一部分を聴くことから始まり、コーラス、
インストルメンタルとヴォーカルの小編成ジャズバンド、楽器のソロ演奏、そして
ポピュラーと続いた。

一番印象に残ったのは、マーラーの交響曲「巨人」、ビゼーの「カルメン」、
ジャズトリオの歌手アジザ・ムスタファ-ザデであった。

以下の文は、私が試聴した印象を要約したものである。CDごとの印象ではなく、
音像、中高域の統合、低域再生、楽音の生成という観点からまとめたものである。


1.3.1 音像

Mosquitoの試聴室にあるシステムのおかげで、私はすでに非常にすぐれた深さと
解像度には慣れていたが、ここHigh-End Audio Laboratoryでは既成の枠を越えて
いた。

音楽表現がどのように複雑であろうと(マーラーの交響曲の100人の演奏者、
コラール、スカンジナビアの歌手あるいはジャズ室内トリオ)、左から右へと、
そして二つのエンクロージャーのある位置からかなり奥まで、正確でリアルに、
すべてが立ち顕われてくる。

音の高さは完全に保たれている。とりわけ中域と高域のすばらしい統合によって
演奏者と楽器の立体再現が改善されている。おなじように注目すべきなのは、
≪フォルテ≫での安定性である。交響楽団のそれぞれの演奏者が、浮き上がる
ことなく、まるで床に貼りつけられているかのように、自在に描かれるのである!


1.3.2 中域と高域の統合、音色の保持

生まれて初めて私は試聴室で考え込むことがなかった。

楽音の音色は完璧である。

特に立体再現は完璧で演奏者の顔を描くことさえできる。中域は豊かで、明確で、
速い。高域は...贅沢な程だ。

私はよくフランスのDIAPASON(音域)誌の編集長と話し合うが、交響曲で管楽器が
フォルテで演奏される時に、鈴やシンバルをリアルに再現するのは、とりわけマス
キングや特定の楽器音の突出を起こすことなく立体再現を保つというのは、非常に
難しく、不可能とさえ言えるという点で意見を同じくする。

しかしながらここでは、マーラーあるいはビゼーの曲は完璧であった。


1.3.3 低域再生

私は勿論Neoのほぼ完璧な低域再生を確認した。

即ち、速さ、明瞭度、重低音であっても音色を保っていること、そして重量感をで
ある。MosquitoにあるElectrocompaniet社のユニットNemoはすでに低域と重低音を
非常によく制御しているが、ここでは反応速度のすばらしさが目にとまった。

低域の忠実な再生は私たちが持っているシステムで聞けるものとそれほど離れては
いないとしても、 ここで用いられているシステム構成は、家にとっての基礎と同
じように、音像の安定した構築の土台になっていると思う。


1.3.4 速さ / 楽音の生成

この最後の点はおそらく最も捉えにくい点である。

ここで聴いたどの音楽表現のときも、私はまるで誰かがスピーカーの前から薄い
カーテンを取り去ってくれたかのように、その音楽に浸っている感覚をもっていた。

ここで注意しなければならない。

明晰さと混同してはいけないのだ。明晰さを越えているのだ。

楽音の生成の仕組みが再現されていることによって、音色が保持されるという現象
が厳然と存在しているのだ。

簡単にいうと、楽音には三つの生成段階がある:アタック、楽音の保持、そして
消滅。この試聴室で使われているシステムは楽音がどんなに高くとも、また楽音の
数がどんなに多くとも、この三つの段階を見事に保っているので、忠実性が感じら
れるのである。


1.3.5 結論

この試聴によって、川又氏がNeoにすべての潜在能力を発揮させる構成要素を見つ
けることができたこと、また、川又氏が最も高価な機器を選ぶことだけでは満足し
なかったことがわかる。

それぞれの機器が能力を発揮し、最終的な音響はすばらしいものになっている。

川又氏は、ミシュランの星印を受けたシェフが食材を自在に料理するように、HiFi
コンポーネントの客観的・主観的パラメーターを完璧に操るのである。

この3時間の試聴の間、私はかつてないほど音楽のリズムを追った。

それは同行の者も同じであった。この甘美な時間は、音の記憶としてだけ私に
残ったが、この音の記憶はこれからの私の耳の基準として刻み込まれるであろう。


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さて、MOSQUITO NEOはデザインだけでなく、構造や設計、素材など色々とユニーク
な側面を持ち合わせているスピーカーなのだが、もうひとつ貴重な事実がある。

それはオーディオ商品として日本市場で販売していくことについて、マスコミを
使ってまず知名度を高め、メディアを多用したセールスを行っていないということ
である。日本でNEOが展示してあるのはここだけ、世界的にもフランスとドイツの
ショップと合わせて三箇所しかない。残念ながらヨーロッパでは販売実績はまだ
上がっていないという。また、昨年のインターナショナル・オーディオショー開催
の時に、ここを訪れた韓国のディーラーに私がデモを行ったところ自分の会社で
輸入したいということでMOSQUITOにコンタクトしたようである。

早い話が、NEOが世界で始めて売れたのが日本であり、そのセールスの過程では
すべてのお客様がここで実物を試聴して感動され導入されたということである。
その数は発売以来の一年間で12セット、405万円のスピーカーの販売台数として
多いか少ないかは解釈の問題だろう。雑誌による多大な宣伝広告に経費をかけず、
私の解説とコーディネートによる実演だけでの実績でということだ。

これまでに公開してきたNEOの情報を集約したものがこれである。

http://www.dynamicaudio.jp/file/050413/oto-no-hosomichi_neo.pdf



2.デビューからの一年間で再確認されたNEOの特徴

NEOは輸入開始からの一年間で12名のオーナーが生まれ、その間にも多数のコン
ポーネントを評価するリファレンスとして、また新製品が持ち込まれ音質決定の
基準として使用を続けてきた。一例として下記にこの一年間の代表的なエピソード
を述べているが、それほど信頼厚く、また聴く人々に支持率100%という高い評価を
日本のユーザーから得ているのである。

http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/347.html

http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/346.html

http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/344.html

http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/340.html

http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/330.html

http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/329.html

http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/324.html

http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/322.html

http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/321.html

http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/314.html

http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/312.html

http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/310.html

http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/307.html

http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/306.html

このように新しく輸入開始されたアンプ、開発段階でのSACDプレーヤーのテスト、
高級ケーブルの音質評価の基準として今ではなくてはならない存在となっている。

当然その間には多数のスピーカーが登場しNEOと比較されることが常となっていた
ものだ。その経験の中で他社のスピーカーと比較することが多々あり、この一年間
でNEOに関する音質的な評価が設計上の裏づけとして認識されてきたのである。

              -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

さて、MOSQUITO社のMarc NOUCHI社長、音響エンジニアのPhilippe PENNA氏らと
ミーティングしている中で新たな発見と驚きがあり、そしてNEOの特徴が私の経験
と分析から浮き彫りになってきたポイントを再度述べておきたい。

Philippe PENNA氏の目標はB&WのオリジナルNautilusであったと公言しておられた。

NEOの持つ音場感の素晴らしさはことごとくに述べているが、トゥイーターをどの
ようにエンクロージャーにマウントするか、そのデザインによって体感できる音場
感の広さ大きさは大きく異なってくるものだ。他社のスピーカーデザインでも共通
するところがあるものだが、Nautilus同様にトゥイーターの周囲に極力バッフル面
を持たせないということが秘訣となっている。

しかし、Nautilusを目指したことの本質とは実は外見からではなく内部の構造に
その本流があるものだ。それは…!?

「NEOはスピーカーユニットの取り付けに一本のビスも使用していない!!」

という設計のユニークさなのである。

http://www.dynamicaudio.jp/file/050413/oto-no-hosomichi_neo.pdf

上記のリンクで紹介しているが、ミッドレンジとトゥイーターはDEFLEXによって
メカニカルにフローティングされている。実はNautilusもトゥイーター、ミッド
ハイ、ミッドローの各ユニットはラバー系の素材でエンクロージャー本体から同様
にフローティングされている。

Nautilusのウーファーは、その後方にある金具がレバー操作でユニットを本体内部
に引き込む構造になっており、ウーファーユニットの周辺をビスでキャビネットに
固定するという方法はとっていないものだ。

NEOは上記でも述べているように、ウーファーユニット後方からガスシリンダーの
プレッシャーでフロンドバッフルに圧着させているもので、以前はその圧力は25Kg
と聞いていたが、Philippe PENNA氏によれば正しくは30Kgのプレッシャーであると
いうことがわかった。

よく、ユニットを取り付けているビスの増し締め、トルクマネージメントなどと
既存スピーカーの弱点を補うアイデアが雑誌などでも騒がれたことがあったが、
NEOにはそんな心配は皆無なのである。

二つのウーファーユニットの中間には上記の6ページにある内部構造の写真のよう
に間仕切りのボードがはめ込まれているのだが、これを彼らは「フィルター」と
呼んでいた。この小さい穴が多数あいているボードが二つのウーファーのバックプ
レッシャーを低い周波数に向けては開放し流通させ、低域のテンションを引き締め
て極めてハイスピードな低音を叩き出すのである。

そして、周波数が高くなるにつれて独自のデザインによるエンクロージャーの形態
と内部の吸音材による消音効果で中域に至るバックプレッシャーを減じる工夫がさ
れている。そこに33Hzにチューニングされたバスレフポートの効用が引き立つので
重量感があり解像度が素晴らしい低域再生が可能となっているものだ。

上記のように数々の試聴のリファレンスとして安心して使用できる信頼性と中立性
は、この低域の素晴らしさが土台になっているものであり、ここに持ち込まれる
新製品のスピーカーたちと比較しても、NEOを最も特徴付けるポイントとして低域
の素晴らしさを特筆しておきたいものだ。

              -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

このようにNautilusを意識して設計されたNEOに対して私は更なる要求をしていた。

今回のMOSQUITOの方々の来日の目的には、そのサンプルを持参されてきたという
こともあったのだ。音楽ジャンルにこだわらず、使用する部屋の大きさの大小にも
対応し、NEOが更に多くのユーザーに浸透していくための次世代チューニングを
私は身をもって体験したのだった。



3.NEO TAILの驚くべき音とは

先ずはこれをご覧頂きたい。
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/op-pho/mosquito_neof.html
不思議な形の金属の塊が二つあるが、一体これは何か?
私はこれを“NEO TAIL”と命名した。下のNEO TAILには先端が鋭いスパイクが二本
差し込まれているのがお解かりだろうか?

NEO TAILの床に対する面には深さの違う穴が三箇所空けられており、一番右の穴が
最も深いのでスパイクの先端部しか見えておらず、真ん中の穴に入れた状態で写真
のように半分程度露出してくる。一番左の穴に入れるともっとスパイクが長く突き
出すことになり、写真ではこの部分は穴が空いているだけの状態で何も差し込まれ
ていないものだ。

このNEO TAILを取り付けるとこのようになる。
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/op-pho/mosquito_neof0.html

New footとタイトルを付けた一番上の写真は右に見える状態がNEO TAILの一番左の
穴にスパイクを差し込んだ状態であり、左に映っているNEO TAILはTAILの先端に近
い最も深い穴にスパイクを差し込んでセッティングしたところである。

このようにNEO TAILを装着することでNEOはヒップアップするのである。
それを側面から見た状態がNew technique-Elevation adjustmentと題した真ん中の
写真であり、NEOの仰角にこれだけの変化を付けることが出来るようになった。

従来はNEOの背中までアームのようにスタンドの一部が伸びていたが、その先端に
はゴムが貼ってあるだけでNEOのカーボンのボディーに触れているだけだったのだ。

つまり従来のスタンドを取り外してもNEOの背中にはビス穴のようなものは一切な
く、スタンドを固定しているのはフロントバッフルに対して二本の太いビスだけで
あったのだ。私はてっきりNEOの背中にも穴が空いていてスタンドの先端もビスで
固定しているのではと思っていたが、実際にはスタンドの支点は一箇所だけだった
のだ。

昔懐かしいウルトラセブンの頭に付いている、ちょんまげのような形が「アイスラ
ッガー」という飛び道具の武器になるものだが、それと同じようなデザインの従来
のスタンドを取り去ってNEO TAILを取り付けるとRefined designの写真のように
大変すっきりとしたデザインになり、スタンド部の取り付け強度は以前と何ら変わ
らないのである。このスタイルはNEOのユニークなデザインをより洗練させるもの
であり、私は大変気に入った!!

私はNEOの音質を様々なシステムで検証し評価してきた中で、このスピーカーの特
徴を理解し、より音質的な追求を行える可能性があるポイントとして指摘して制作
を要望していたのが、このNEO TAILなのである。

さあ、NEOが登場して一年目にしてNEOは更に新しい魅力を振りまき始めた。

さて、NEO TAILを装着することでNEOは三種類の表情を持つスピーカーとして生ま
れ変わった。それを分析するのに使用したシステムがこれだ。

   -*-*-*-*- NEO TAIL検証のためのリファレンスシステム -*-*-*-*-
 
GOLDMUND MULTIFORMAT PLAYER EIDOS REFERENCE 税別 \8,500,000.
http://www.stellavox-japan.co.jp/products/goldmund/players.html
   ↓  
 GOLDMUND LINEAL DIGITAL CABLE
   ↓   
 GOLDMUND MIMESIS 24ME  税別 \5,000,000.
http://www.stellavox-japan.co.jp/products/goldmund/ultimate/mimesis24.html
   ↓  
 GOLDMUND LINEAL DIGITAL CABLE
   ↓  
 GOLDMUND TELOS 600    税別 \5,100,000.
http://www.goldmund.com/products/Telos600/
   ↓  
 STEALTH Hybrid MLT Speaker Cable 5.0m H.A.L.'s Special Version
   ↓
 MOSQUITO NEO + NEO TAIL  税別 \4,050,000.+アルファ
http://www.mosquito-groupe.com/englishversion/base.html

              -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

NEO TAILの一番浅くフロントバッフルに近い穴にスパイクを差し込んだ場合には、
ほぼ垂直に近い状態となりElevation adjustmentの写真の向こう側のセッティング
となる。この状態を便宜上の表現で“A”と表記する。

次に中間の穴にスパイクを差し込んだ状態は当然Elevation adjustmentの写真での
中間の仰角となり“B”と表記し、最も深い穴でスパイクを使用して仰角が最も大
きくなった状態が写真の手前側の状態であり、これを“C”と称することにする。

最初は1987年録音のマーラー交響曲第一番「巨人」小澤征爾/ボストン交響楽団で
第二楽章で試してみることにした。余談だが、この曲を他のオーケストラではどう
なるかに興味がわき、89年に録音されたベルリン・フィルハーモニーとクラウディ
オ・アバド指揮によるグラムフォンのディスクを求めて聴いたのだが、あまりの
違いに唖然としてしまい、自分が持っていたマーラーのイメージとかけ離れすぎて
いるので驚いてしまった。それに引き換え先日サントリーホールでヒュー・ウォル
フ指揮によるフランクフルト放送交響楽団による同じマーラーの一番を聴いたのだ
が、この時の演奏は小澤征爾の解釈に大変近いものがあり感激してしまった。

もちろんクラシック音楽で交響曲には色々な解釈があって当然でもあり、経験と知
識の少ない私がとやかく言えるものではないのだが、アバドとベルリンフィルの録
音では楽章の間にテンポが変わったりするなど、どうも優雅であり華麗な印象が優
先し、主題に対して軽く流れすぎるような演出に聴こえて仕方がなかった。生意気
な発言をしてしまったようだが、色々な曲を聴いたきたなかで違いの大きさに驚い
た一幕ということで述べさせて頂いた。

さて、NEO TAILの調整は大変原始的であり、ふっくらした70キロあるNEOのボデ
ィーを後ろから肩を入れるようにして持ち上げ、そのスキにスパイクの差し込み
位置を変えるという単純な力仕事である。これを何十回と繰り返し同じ曲を同じ
ボリュームで比較していくのである。

MIMESIS 24MEのボリュームは80として、最初に“B”を聴いた。
うん、やはりいい!!

次に“A”にしてみたら…!?

「おお!! オーケストラ全体との距離感が縮まったぞ!!
 弦楽器がNEOの軸上に定位が移動してきた。その代わり木管楽器の音像が小ぶり
 になりシルエットが鮮明になった感じだ。トライアングルも輝きを増している。
 でも金管楽器の音像もトゥイーターの付近に集まってきてしまった。
 ステージ直前の最前列より五列目くらいの客席の雰囲気かな〜。手前にステージ
 がせり出してきたという表現でいいかもしれない。ホールエコーは減少してしま
 ったが、その代わ りに解像度が上がったということか。」

それでは、と今度は“C”にしてみると…!?

「ありゃ〜、今度はオーケストラとの距離感が遠のいたぞ!!
 弦楽器群はNEOのユニットがあるラインから外れて内側に移動し、音源のない
 空間から響いてくるという中間定位の浮遊感が素晴らしく、ホールエコーが同じ
 音源のはずが盛大に感じられる。しかし、反作用としては木管楽器の音像はちょ
 っと大きくなり、金管楽器の輪郭は随分とソフトになった。スピーカーという
 音源が消えてしまったという錯覚を強烈に催すものであり、NEOが持っている
 遠近法の尺度を二倍にしたくらいに奥行き感が増加した。ティンパニーなどは、
 そんな表現がピッタリのように奥の方から響いてくるが、直接の打音よりも間接
 音の割合の方が多くなってしまったようだ。“A”との対比でかなり違う表情が
 楽しめるものであり、ホール録音では想像させる空間の大きさをかなり拡大して
 くれるということで、これは使い手の解釈によってはハマッテしまう人も多いだ
 ろう!!」

最初の課題曲でこれほどまでに変化を見せるので念のために“B”に戻した。

「私だったら、これかな〜。
 弦楽器は“A”ほどスピーカーの位置関係にはりつかず、木管・金管楽器の輪郭
 も望ましい大きさで整っていて好ましい。不思議なことに“C”よりも近いオー
 ケストラでありながらホールエコーがよく空間に拡散し爽快である。音像の定位
 がスピーカーという音源から中空に外れて雰囲気をよく表しながらも楽音の鮮明
 さを維持し、私が欲しいそれらの条件を満たした上で余韻感は間違いなく“A”
 を上回っている。これがいい!!」

NEO TAILのアレンジでホール感の空間の大きさとオーケストラとの距離感が変わり、
使いこなしに大変大きな可能性をもたらしてくれた。リスニングルームの大きさに
ゆとりがない場合やNEOとの距離がここの半分で2メートル程度の場合などは“C”
のセッティングはクラシックファンにはたまらない妙味となるであろう。
逆にライブな空間で部屋の残響時間が長めという場合には“A”におけるフォーカ
スの素晴らしさを推奨したい。もちろん、これらはオーナーの選択であるので、私
と同じようにちょっぴり力仕事に精を出して頂きたいものです。
しかし、コツを覚えてしまえば数秒間で変更できるのでご安心を。

              -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

さて次も定番となったディスクだ。http://www.kkv.no/ kirkelig Kulturverksted
(シルケリグ・クルチュールヴェルクスタ)・Thirty Years’Fidelity 
これは現在でも店頭にて販売しているので、ご来店の際にお申し付け下さい。

最初はこの曲だ。

7. Som en storm/Ole Paus/Oslo Kammerkor/Det begynner a blietliv....(1998)

この曲は直前のオーケストラでの分析を元に“A”から聴き始めました。

そして“C”にしてみたら…!?

「おー!! バックコーラスが空間に溶け込んでいるぞ!!
 この曲は冒頭に教会の聖歌隊を思わせるバックコーラスが入っているのだが、
 そのコーラスがNEOの音源という位置関係を完全に消し去るように、Nautilusも
 真っ青というくらいに見事に空気中に浮かび、そして余韻をスピーカーの周辺の
 空気に溶け込ませてしまうのである。これは“A”との比較で極めて大きな違い
 であった。
 それにつられて、ということなのだろうかOle PausのVoiceの色彩感は少し淡く
 薄くなっている。同時にウッドベースの輪郭も少し希薄になり、ギターのカット
 も薄口になっている。楽音の濃淡表現を薄くしていく傾向があるのだが、スピー
 カーの存在感を前例のないほど消し去ってくれる効果とどちらを選択するか、と
 いう悩みはオーナーにとって楽しみともなるはずである。まるでカメレオンの
 保護色のように楽音をスピーカー周辺の空気に溶け込ませてしまう変化は確かに
 私を魅了した。」

さて、今度は“B”にして再度スタートしたら…!?

「予想的中!! Ole PausのVoiceの輪郭が鮮明になってきたぞ!!
 コーラスの余韻の広がり方は“C”よりもスケールは小さくなるが、歌手の口元
 が見えてくるような解像度の向上があり、音像が鮮明になるのでエコー感との
 セパレーションも認識しやすくなった。ギターのカットは“C”よりも弾けてい
 るし、ウッドベースの色合いも“C”より濃くなってきた。バリトンの低いVoice
 の息づかいの低い周波数の部分やウッドベースの変化を見ていると、仰角が垂直
 に近づくにつれて鮮明になってくるようだ。これを確認しなくては!!」

次第に変化の推測が出来るようになってきたので確認のために再度“A”に戻した。

「あー、やっぱりそうだ!!
 この状態がOle PausのVoiceの口元を最も鮮明にしている。そして“B”や“C”
 では声のエコー感が周辺に拡散していたのに対して、今はすっと音像の位置が
 上に持ち上がったようにしてすっきりしている。
 声の質感はこれが一番いいかも!

 ギターの切れもいいが、その音像はNEOの軸上、つまり音源の位置付近に定着し
 てしまうようだ。ウッドベースの輪郭もやはりこれが一番くっきりしている。
 “A”のセッティングでは低域に向かうほど、つまり再生する楽音の周波数が
 低くなればなるほど、その輪郭表現を鮮明にしていくことがわかった。これは
 スタジオ録音のポップスなどを楽しみたいときには素晴らしい調味料になる
 セッティングの変化だろう。しかし、演奏全体の奥行き感は“C”ほどには深く
 ならない。
 顕著な例えがバックコーラスの歌手は五歩手前に全員が歩み寄ってきたような
 音場感の縮小がある。だからこそ解像度が良くなったということもあるのだが、
 聴き方によってはホール録音とスタジオ録音で見事に使い分けが出来るので楽し
 さ倍増というものだ。」

              -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

これは面白くなってきたぞ!! では次だ!!

10 Mitt hjerte alltid vanker/Rim Banna/Skruk/Krybberom (2003)
http://www.kkv.no/musikk_klubb/tekster/285_fidelity.htm

次第に作業に慣れてくると五秒程度でセッティングを変えられるようになってきた。

7. Som en stormでは冒頭と最後にコーラスがあり演奏の中心はNEOのセンターに
ポッカリ浮かぶOle PausのVoiceだったが、今度の曲はまったく逆で最初に女性
ヴォーカリストRIM BANNAのソロが冒頭にあり、それ以後はずっとコーラスが続く
というものだ。つまり、スピーカーのセンターにくっきりと浮かんで欲しいソロと、
スピーカーの周辺と奥行き方向に広大に広がって欲しいバックコーラスのウェイト
が逆転している曲なのである。

これも先ほどと同じように、まず“A”から聴き始めた。
これまでの分析からソロヴォーカルがもっともくっきりと再現されるセッティング
であり、他のスピーカーに比べれば大変素晴らしい音場感を持っているNEOにして、
それを控えめにして楽音の解像度を印象付けるチューニングと言える。

最も変化量の多い“C”にしてみたら…!?

「おー!! この浮遊感というか空気に溶け込んでいくソロヴォーカルは凄い!!
 コーラスはどうだ?? おー!! 霧散するという表現がピッタリの余韻の消え方だ。
 霧吹きを手に持って頭上で空に向かってスプレーした霧は、日差しの中で瞬く間
 に蒸発したものか自分の顔に降りかかってくることなく消えていくように、コー
 ラスのエコー感はNEOの後方へ広がりながら空気に浸透していくようだ。
 スピーカーが消えるというフレーズはNautilusで散々使い古した言葉となってし
 まったが、他の引用を思いつくことが出来ない自分が情けない。
 しかし、同じNEOがなぜこれほどまでに再生音が漂っていく空域を拡大してしま
 うのか!!」

“B”に切り替える時間が惜しいほどに好奇心が高まっていくが…!?

「あっ、このRIM BANNAのソロでは口元が見えてきたぞ!!
 この第一印象はコーラスでも引き継がれ、合唱団の一人一人の立っている場所が
 認識された上でのエコー感の豊かさが感じられるようになった。言い換えれば
 ソロヴォーカルと同じように、声という楽音の発生点がそこにあるとわからせな
 がら広大な音場感を同時に聴かせるのである。
 それはピアノの音が空間を転がっていくような質感にも表れていて、“C”より
 もピアノの一音ずつに個体感が感じられる。つまり打音の瞬間が鮮明になってい
 るということだ。“A”までいかないが楽音の核を思わせる音色の中心部分が
 濃厚になることで、“C”の魅力との駆け引きになるだろう。これは難しい。」

コーラス中心の10 Mitt hjerte alltid vankerでは、“C”の浮遊感ばかりが優先さ
れると歯がゆくなってしまうところもあるが、余韻感の広がる空間の領域を狭める
“A”までいかず、まことに“B”のセッティングが旨みを残して解像度を維持して
くれることがわかった!! しかし、コーラスという楽音の性格を考慮しての分析で
あり、センターに定位する楽音の鮮明さを重視するのか、NEOの背景に広大に広が
る余韻感を楽しむのか、という選択は実に贅沢な悩みとなってしまった。

              -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

NEO TAILでの三種類の音質変化は実に多くの発見と感動をもたらしてくれた。
オーケストラにおけるホールエコーと弦楽器群との関連、木管・金管楽器の両方で
起こる音像変化の振る舞い。教会で録音されたコーラスとシンプルなバックの演奏
がアコースティックな空間でのミックスを操ってしまうNEO TAILの物凄さ!!
これまでは演奏空間において存在していた余韻感の保存性と再生時の拡大と縮小と
いうことに着目してきたが、最後は超がつくほどはっきりくっきりのスタジオ録音
での検証だ。

私が数瞬悩んで選んだ曲がこれだ。こんな古いディスクもここにはたくさんある。
http://home.t03.itscom.net/chotaro/src-msc/Disco/D014.htm
 Donald Fagen Trans-Island Skywayである。当時のディスクナンバーはWPCP5373
だが、もうとっくに廃盤になっているEP盤CDでリンクがなかったのだが、上記は
バッチリとヒットしたのでリンクフリーということだったので紹介させて頂いた。
ありがとうございました。

スタジオ録音でも様々に音場感をイメージさせるものがあるのだが、私がこのディ
スクを選び出したのにも理由がある。2トラックめの「Trans Island Skyway 」と
3トラックめの「Snowbound」では「Bass,Drums,Vocal Only」と記されているよう
に目が覚めるように炸裂するドラムと、非常に低重心で切れのいいエレキベース、
そしてDonald Fagenのソロヴォーカルとオーバーダビングして左右チャンネルに分
かれた彼自身によるバックコーラスというシンプルでありながらリヴァーヴをかけ
ていない鮮明な音像として録音されているからだ。つまりは飾り気のないスタジオ
での楽器そのものの演奏ということになるだろう。さあ、今までとまったく違う超
クリアーなスタジオ録音ではいかなる発見があることか!?

とにかく音像が鮮明なこの曲を最初は中間の“B”から聴き、これを基準にした。

三回ほど聴き続けてしっかりと記憶に焼き付けてから“C”に変更したら…!?

「あら〜、これはいかん!!
 最初の五秒間を聴いただけで直ちに結論が出てしまった。
 エレキベースの質感は軽く浮き上がり音像は大きくなり、キックドラムも同様に
 ふっくらと打音が聴こえる面積を拡大してしまっている。つまり、しまりがない。
 シンバルの音も透明感を損なうのか、ちょっと荒れ気味になり鋭くヒットするタ
 ムの打音もにじみがあるようだ。
 ヴォーカルは口元が大きくなってしまい、いいところなし。こんなにはっきり
 違いがわかるなんて予想以上だ。アコースティックな響きという情緒的な要素が
 個人の好みを反映する選択は人によって“A”“B”“C”と選択が分かれること
 も理解できるのだが、この曲のように鮮明さが勝負という音楽だと“C”の支持
 者はいないだろうな〜。それほどはっきりと違いが出てしまう。」

もう何回目になるのか忘れてしまったが、それでは…と“A”に切り替えた。

「おー!! これだよこれ!!
 こんなにタイトに引き締まったエレキベースは今までのNEOで最高だ!!
 いや、このテンションと重量感が両立して個体感のある低域の再現性というのは
 このフロアーにあるスピーカーの中でも最高だろう!! これは凄い!!

 おー!! キックドラムの打音の音像がこんなにコンパクトになってる!!
 しかも、立ち上がりのインパクトも鋭く、またブレーキがきっちりと効いて打音
 の立ち消え方も引き締まっている。それに音像が集約されるのでエネルギー感と
 重みが加わっているではないか!!

 来たー!! このタムのヒットしたときの炸裂するスピード感は一体なんなんだ!!
 耳のすぐ近くで両手を打ち鳴らしたように爆裂するかのごとくのインパクト。
 叩く音にエコー感をつけないと瞬発力の鋭さが身に、いや耳に沁みる!!
 そしてシンバルの音色も不思議なことに透き通るように輝き、にじみや濁りは
 まったく感じられなくなってしまった。これは不思議だ!!

 そして、ヴォーカルは以前よりも定位感をちょっぴりNEOのトゥイーターレベル
 に高くなって表れ、そのフォーカス感の何ともジャストなこと!!
 音像の輪郭がエコーをかけない分だけ鮮明に感じられ、左右のバックコーラスも
 センターのヴォーカルの同じクォリティーでNEOの軸上で歌っている。

 こんなNEOはもしかしたら始めてかもしれないぞ!! 」

あまりの変化の大きさに我を忘れて曲の最後まで聴いてしまった!!
いや、疑り深い私は再度“B”に戻してみると…!?

「あれ〜、最初に聴いた時には感じなかったのに、いったん“A”を聴いてしまっ
 たら、もう戻れないや!!
 さっきは平然と聴いていたが“A”と比較すると、ちょうど“B”の後で“C”を
 聴いて、テンションがたるんでしまって失望したときと同じことを“B”にも感
 じてしまう。“B”でさえも音像のフォーカスが甘く感じられ輪郭が薄くなり、
 低域も軽くなってしまうように思われる。とにかく“A”が凄すぎるんだ!! 」

これまでのホールや教会での録音による空間の大きさをイメージさせる楽音とは違
って、眼前で直接的に観察できる鮮明なスタジオ録音については議論の余地はない
程に“A”の圧勝である。これ以外は認められない程にギャップは大きい!!

アコースティックに余韻を長く滞空させる音楽では情緒的に“B”や“C”を選択し、
そこに楽しみも見出すことが出来るだろうが、楽音と音像の精密なディティールを
目視によって誰もが共通の選択をしてしまうのがこのような音楽なのだろう。この
比較試聴を10人のユーザーに行ったとしたら、間違いなく支持率100%で“A”が選
ばれるに違いない。職業的なカンというよりも、もっと単純で誰にでもわかるNEO
の新しい使い方、いや魅力が発見されたのだ!! これは以前のNEOとも違う。

NEO TAILによって新しいNEOが誕生したということだ!!

              -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

数時間に渡りテストしてきたNEO TAILによる三つの表情をまとめてみると次のよう
に表すことが出来る。色々な楽音でのパラメーターを一言ずつ整理してみた。

・オーケストラ(ステージ)との距離感が大きい順      “C” “B” “A”

・弦楽器群の定位感がNEO本体から遊離して中間に浮かぶ順 “C” “B” “A”

・ヴァイオリンの質感に柔軟性を感じる順         “C” “B” “A”

・木管楽器の音像が小さく引き締まる順          “A” “B” “C”

・金管楽器の奥行き感が大きい順             “C” “B” “A”

・ホールでの打楽器の残響成分の含み方が多い順      “C” “B” “A”

・オーケストラ各パートの分離感が良い順         “A” “B” “C”

・センター定位の声の輪郭が鮮明な順           “A” “B” “C”

・コーラスのような連続楽音の音場感が広い順       “C” “B” “A”

・残響のある環境で録音された打楽器の解像度が良い順   “B” “A” “C”

・余韻感を伴う演奏で解像度とエコー感のバランスの良い順 “B” “A” “C”

・ギターの定位感がNEO本体から遊離して中間に浮かぶ順  “C” “B” “A”

・スタジオ録音の低音楽器の鮮明さと解像度が良い順    “A” “B” “C”

・スタジオ録音の低音楽器の個体感と重量感が良い順    “A” “B” “C”

・スタジオ録音の打楽器の鮮明さと解像度が良い順     “A” “B” “C”

・スタジオ録音のヴォーカルの鮮明さと解像度が良い順   “A” “B” “C”

              -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

左から順に良い評価を並べてみたものだが、言葉とは裏腹なもので反対語の表現で
は順番は逆になるが、そこに使い手が望む感性を引用して利用して頂ければと思う。
例えば…!?

・ヴァイオリンの質感に柔軟性を感じる順
・木管楽器の音像が小さく引き締まる順

この二つは対照的なのだが、使い手が求める感性、言い換えればどのような楽曲を
好み、それをどのような雰囲気と質感で鳴らしたいのか、という選択肢がここに
あるということだ。

しかも、それはNEOという忠実な再現性を持つスピーカーとしてのクォリティーを
私が保証した上での選択であり、極端な失敗はないという安心感を強調したい。
ひとつひとつ私がここで検証したものなので間違いはない!!

              -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

私が提示したアイデアから更なる可能性が出現したのだが、本日現在ではNEO TAIL
のプライスは決定していない。オプションとして発売する予定だが、今後の生産
計画では標準装備となる可能性もあるかもしれない。しかし、その時には日本仕様
として他国のセールスではNEO TAILは標準化しないように交渉するつもりだ。

私とH.A.L.があるからこそNEOのテイクオフが出来たのだとしたら、それを理解し
支援して下さった皆様にとっても、日本仕様のNEOを購入できるというアドヴァン
テージはハルズサークルの皆様に提供したいからである。事実、NEOのオーナーの
皆様はすべてハルズサークル会員なのだから。

現在のNEOを鳴らしているリファレンスシステムは4/15にMOSQUITOの皆さんが試聴
された下記のシステムである。
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/340.html

つまり、これは前号でご紹介した「Go to Full Digital Nautilus 」と同じ構成で
あるということが、NEOとNautilusが異母兄弟であるという証なのである!!

今年の夏はNautilusオーナーにとっても、そしてNEOを目指している皆様にとって
も、GOLDMUNDでドライブすることで更にヒートアップすることだろう!!

Nautilusのセールスが完了した今、私がなぜNEOを推奨するのか!?

それは言葉ではなく、ここでNEOを聴かれることによってご理解頂けるでしょう!!


このページはダイナフォーファイブ(5555):川又が担当しています。
担当川又 TEL:(03)3253−5555 FAX:(03)3253−5556
E−mail:kawamata@dynamicaudio.jp
お店の場所はココの(5)です。お気軽に遊びに来てください!!

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