《H.A.L.'s 訪問記》
No.0017 - 2009/3/13 埼玉県幸手市 T.M 様-H.A.L.'s 訪問記 Vol.17「システムチューニングの技が聴かせるB&W 802dのスレンダートーン!!」 このSound checkを始めたのが昨年の4月からだったでしょうか。もうそろそろ 一年が経とうというのですから時間の経過が本当に早く感じられるようになり ましたね〜(^^ゞ 早いもので、今回のT.M 様とのお付き合いは11年目となりました。ESOTERICの 初代P-0をお求め頂いたお客様で20歳代という方はお二人いらしたと思いますが、 そのうちのお一人です。本当にまじめな青年という感じで“誠意・誠実”が 服を着て歩いているような方なのです!!(^^ゞ 実は、私のブログ「Today's lunch!!」にも後姿でご出演頂いたことがありました。<m(__)m> http://dyna5555.cocolog-nifty.com/5555blog/2007/05/todays_lunchvol_fc38.html ランチと言えば、訪問する日程を打合せしていたメールには次のようなお言葉が… 「もしよければ近くにうまい蕎麦屋があるので時間的に都合がつけば昼でも ご一緒にと思うのですが…」 普段は試聴室とデスクで仕事をしている私が外出できるのは納品や商談の他に このSound checkだけですから、そりゃ〜お断りするはずがありません。(笑) そして、Sound checkを通じて私は生まれて初めて訪問するという各地の様子 や町並み、そして美味いもの所を訪ねるのが楽しみになってきました(^^) 今回は訪問したのは埼玉県の幸手市です。桜の名所なのですが、私がお訪ねし た二月末では桜花のにぎわいにはちょっと早い寒い曇りの日でしたが、おっと オーディオの前に地元の名所を先ずはご案内頂けることになりました。先ずは 幸手市観光協会のサイトをご覧になって下さい。何と見事な桜でしょうか!! http://www.satte-k.com/ T.M 様のお宅はここでも紹介されている権現堂堤からほど近いところにあり、 車中から眺めていた私は頭の中で桜花満開の風景をイメージしていました。 さて、事前にお打ち合せした時刻に東武日光線の幸手駅に降り立った私は遠い 記憶を呼び覚まそうとしたのですが、今はもう当時のビジュアルは戻ってき ませんでした。実は、この幸手市には高校時代に一度来たことがあるのですが いかんせん30数年前のこと、人生二度目の訪問の地と言えども初めてという 言った方がいいでしょう。 大変恐縮ながらお車でお出迎え頂き、この日のためにわざわざ予約して下さった という蕎麦屋に先ずは直行です。 T.M 様のお薦めは「十割そばふくろう」というお店。居酒屋ではなく蕎麦屋 ですから…というT.M 様の念押しがありました。詳しくは下記をご覧下さい。 http://gourmet.gyao.jp/0002044710/ http://gourmet.yahoo.co.jp/0000526128/U0002044710/ http://blogs.yahoo.co.jp/gour_gour_007/9675456.html 「川又さん、何にしますか? 夜に来てもいい店なんですよ〜」とのことですが、 T.M 様と同じものでおまかせします。ということで「板蕎麦定食」にホタテの 天ぷらを追加ということで注文して頂きました。店内は込み合っていて繁盛し ていますが、開店当時から常連だったT.M 様が現在に至るメニューの変化と 名物の日本酒の話題などお話し頂き、オーディオの話しはこれっぽっちも出て 来ないところがいいですね〜(^^ゞ で、いよいよ出てきたのがこれです!! http://www.dynamicaudio.jp/file/090225/soba01.jpg 普段の私は秋葉原の街中で蕎麦屋で昼食ということはあまりないものです。 理由は夜遅くまで仕事なのでお腹がもたないからですが(笑) でも、このボリュームには感激しましたね〜^_^; で、なぜかつけだれが二つ ありますが尋ねてみると… 「つけだれは薄い方が薄口しょうゆ、濃い方が濃い口しょうゆを使用し、 それぞれお出汁のかえしも違うそうです。おそばが多いので二種のたれで 味の違いを楽しんでもらいたいと言う店主のこだわりだそうです。」 ということで、なるほど〜と納得!! http://www.dynamicaudio.jp/file/090225/soba02.jpg そして、揚げたての天ぷらがまたいい!! 何がいいかというと、そばのつけだれに大根おろしとわさびを一緒に入れて 天つゆ代わりに食べさせる「天ざる」の江戸前風の店も多いのですが、それも 美味しくはありますが、そばつゆに天ぷらの油が出てしまうということで好き 嫌いもあろうかと思います。 そして、私も以前の「Today's lunch!!」で述べていたものですが、揚げ物は とんかつもカキフライも天ぷらも塩で頂くのが自分流というこだわりがあります。 そして、ここでは塩も一緒に供されてきたのですから思わずうれしくなって しまいました!! しかも、このお塩は北海道産の「なまら塩」を使用している というこだわり。う〜ん、ますますいいですね〜 http://www.m-style1000.jp/ 上記の写真のように天ぷらなのにレモンが添えてあり、ますます塩を理解して いるご主人のこだわりが感じられます。レモンの上にあるのがまん丸とした ホタテですが、これがまた柔らかくて甘くて塩で頂くと最高でした(*^_^*) 揚げたての野菜も香ばしくうま味があり、小鉢のかぼちゃのサラダもいけますね〜!! そして、十割そばがまた美味い!!私の義理の兄も趣味で蕎麦を打つので頂いた ことがありますが、そばにコシがあるというのがやはりプロの打ち方なので しょうか、二種類のつけだれのコクと風味の違いを壊さないそばのハイエンド と言ったら褒めすぎでしょうか(笑) この神田界隈にも蕎麦屋は結構ありますが、元はと言えばT.M 様は幼い頃は 有名な神田やぶそばの子供たちとも遊び友達で、神田や秋葉原の昔の風情が 色濃かった時代に江戸前名物のそばを食しておられたという経験の持ち主。 そして、学生時代にも食とお酒にはこだわりがあったということで、美味い ものを自然に察知されるのか、お薦めには間違いはありませんでした!! 十割そばとはかくあるべきという美味しい食事の後に何とデザートまで!! http://www.dynamicaudio.jp/file/090225/soba03.jpg デザートは日替わりらしいのですが、今回は自家製「牛乳プリン」でした。 こんな器用なご主人ですから女性客も多いわけです。壁に貼られた夜の料理の あれこれを見ていると、いいね〜と思ってしまう私好みの料理がたくさん!! でも、蕎麦屋なんです〜というT.M 様がご近所でうらやましくなりました(笑) さて、昼食が終わったらご自宅へ向かうのかと思いきや、「川又さん、おやつ を買っていきますから!!」と次に向かったのはこちら。 http://www.tmo-satte.org/suishouhin/tenpo/makinoki.html?mode=aboutus 駅前から伸びる通りを逆戻りして着いたお店がここ西洋菓子「槇の木」です!! 上記のサイトでは「槙の木」となっていますが違うんです!! http://www.dynamicaudio.jp/file/090225/maki09.jpg この写真のように屋号としては「槇の木」なんですね〜(^^ゞ http://www.dynamicaudio.jp/file/090225/maki08.jpg 店内はこんな感じです。シンプルなインテリアが実質本位のお菓子を作ろうと いうこだわりがうかがえるというもの。店内を色々と見回してみるとあれこれ と珍しいものがありました。 http://www.dynamicaudio.jp/file/090225/maki01.jpg お店の屋号が書いてあるPOPのスタンドにも「槇の木」とありますが、その 後ろのバンダナ人形に目がとまりました。小さなお店なので店員さんとも 親近感がわきやすいというもの。これ何ですか?売りものですか?と尋ねると… 「お得意さまが趣味でお作りになっているのですが、飾っておいたら「売り 物ですか?」とよく訊かれますので販売するようになってしまいました。 もちろんマージン取っていませんよ(笑)」ということ。 更にその隣には…シーズンにふさわしいお雛様があるではないですか!? http://www.dynamicaudio.jp/file/090225/maki02.jpg 洋菓子屋さんなのに雛人形とは!? これも訊ねてみると… 「親戚がパンフラワーの先生をしておりましてパンフラワーで出来ています。 昔は本当のパンで作ったものですが、現在は「パン粘土」と言う小麦粉から 作った粘土を使っています。お雛様はこの時期になるとお客様から注文を よく頂きますが、納品は翌年になってしまいますが…(笑)」ということ。 何とも個人経営の親しみやすさがあり自然と話が弾んでしまいました。 ついでに、その隣にあるものは何!?と思わず口が先に動いてしまいました。 http://www.dynamicaudio.jp/file/090225/maki03.jpg 「こちらもパンフラワーです。お客様からの要望があればお分けしています。 また、大体のイメージと用途、予算などによって特注も承っています。 こちらも納期にはかなりの時間を頂いております。」なるほど〜 本業の洋菓子についてはどうなのか? そのこだわりからか、後日写真をわざ わざ送って頂いたので、前記のリンクのものと同じですが高画質版でご紹介を。 http://www.dynamicaudio.jp/file/090225/maki04.jpg 「“槇の木”は幸手が桜の名所という事もあり、桜を使用したお菓子を多数 そろえております。 左の白っぽい飴のような物は「桜メレンゲ」一袋200円 上の桜花漬けが付いたものが「桜マドレーヌ」一個180円 右のカットしてあるケーキが「桜パウンド」1本、1700円(カット売り はしていません)写真の3種は通年通して販売しております。」 http://www.dynamicaudio.jp/file/090225/maki05.jpg 「期間限定(1月~5月上旬くらい)で販売しております「桜ロール」1050円 中身は桜のリキュールを使った桜餡ですが隠し味に意外なものを使っています。 食べて分かった人は一人しかいませんでした。 何が入っているか言うと…内緒です(^_^) 食品表示ラベルを見るとバレバレなんですが(笑) 桜のお菓子に入っている桜はすべて小田原産の「桜花漬」「桜葉漬」を使用 しております。」 ということで、何と“槇の木”のご店主もオーディオ好きということから話し が盛り上がってしまい、頂いた写真の説明のコメントをそのまま引用させて 頂きました。こういう事例はかなり珍しいですが、訪問記の主旨として美味しい 味と音を同じようにご紹介したいということで大目に見て頂ければと思います。 で、私がそうこう話しをしているうちにT.M 様が買われたのは…!? 取れたての苺は地元農家で作ってもらっているという「苺ショートケーキ」と りんごは青森産「紅玉」を使っているという「りんごタルト」の二種類とか。 う〜ん、こればかりは音を聴いてからのおやつということですね〜(^^ゞ -*-*-*-*-*-*-*-*-*- いやはや、大分話しが脱線してしまいましたが、こんな気さくなお付き合いを させて頂いているT.M 様のシステム遍歴をちょっとご紹介致します。 やっとオーディオの話しに戻ってきました(^^ゞ 1998年-ESOTERIC P-0導入 http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/oto/oto44-1.html 2000年-JEFFROWLAND CONCENTRA導入 http://www.ohbashoji.co.jp/support/discontinued/file/concentra.pdf 2002年-dCS Delius 1394 & ESOTERIC VUK-P0 & G-0s導入 2003年-ESOTERIC G-0s導入 2004年-JEFFROWLAND MODEL 12 & Synergy2i & ESOTERIC UX-1導入 2006年-B&W 802d導入 このような経過を経て現在に至っていますが、こだわりはコンポーネントだけ でなく、各種アクセサリーやケーブルにも当然及んでいるものです。 こんなシステム構成をどのように使いこなしていらっしゃるのか? 買い物が 終わり再び車に乗って前述のように桜の名所を見ながら、ご自宅に向かったの でした。 幸手市の市街地からちょっと離れた住宅は閑静なたたずまいというか、周りに は農地が広がる田園地帯と隣り合わせの静かな環境です。さて、いよいよです。 二階のオーディオルームに招き入れられて最初に目についたのがこれでした!! http://www.dynamicaudio.jp/file/090225/hcp.jpg 二年連続でのハルズパーティーへのご参加ありがとうございました。<m(__)m> 先ずはスピーカー周辺のセッティングからご紹介しましょう。 http://www.dynamicaudio.jp/file/090225/sys01.jpg http://www.dynamicaudio.jp/file/090225/sys03.jpg http://www.dynamicaudio.jp/file/090225/sys04.jpg スピーカーに接近してみると… http://www.dynamicaudio.jp/file/090225/802d.jpg そうです!!あの“BRASS SHELL”をご愛用頂いています。 次に、その足元を見ますと… http://www.dynamicaudio.jp/file/090225/802d02.jpg T.M 様より 「ミッドレンジのプラグはご存知「BRASS SHELL」ですね(笑) スパイクはB&W純正スパイク、受けはthe J1 project製「BA50HBDLC」 スピーカーベースは中国産の御影石、名前失念40×60cm ベースと床の間に羊の皮をはさんでいます。 また、SP本体と御影石ベースの間には定在波対策(気休め)として フェルトを挿入。具体的には某有名DIYショップで購入した「ニードル フェルト」の二枚重ねですが、あまりにも見た目が悪いので黒いフェルト で外側をカバーしています。」 とのこと。次にパワーアンプ周辺ですが… http://www.dynamicaudio.jp/file/090225/m12.jpg T.M 様より 「ボードはBDR製「THE SHELF 18×14」ボードの足は十円玉大にカットした フェルトシート。 ラック下の黒いものはホームセンターで買える「竹炭調湿材」畳の下に入れ たりするものですね(笑) 別所で使用してあまったもので、床とラック間の定在波対策のつもり(気休め) ついでに竹炭パワーで消臭、マイナスイオン、電磁波対策を狙ったものです が後に竹炭は導電性が無いことが発覚、電磁波キャンセルは無いと思います(^^; (みんな気休め)ちなみに導電性があるのは「備長炭」のような高温で炭化 させたものだそうです。」 いいですね〜、こだわりが随所に表れているではないですか!! -*-*-*-*-*-*-*-*-*- 11年をかけて揃えてきたコンポーネントはこのようになっています。 http://www.dynamicaudio.jp/file/090225/sys02.jpg そこで私が注目したのがこれ、やっぱりP-0の使いこなしというポイントです。 http://www.dynamicaudio.jp/file/090225/p0.2.jpg これが↑普通の状態ですが… http://www.dynamicaudio.jp/file/090225/p0.1.jpg このように↑丸いグラスの天窓から外光が入らないようにフェルトで遮蔽して いますが、これは私も何回も体験してきたコツの一つなのです。いいですね〜 そして、次には足元ですが… http://www.dynamicaudio.jp/file/090225/p0.3.jpg T.M 様より 「ボードは初期のP-0時代に購入したもので現在日本では手に入らないものです。 ACOUSTIC & ENGINEERING製「Voodoo Board」です。 シンガポールのメーカーみたいですね。 これでメカノイズはだいぶ目立たなくなりました。 P-0本体とボードの間にあるものは5ミリ厚のフェルトです。 これはP-0初期型時代のメカノイズをいかに耳につかないようにするかの 苦肉の策のなごりです。 実はフェルトとボードの間には某有名100円ショップで売っている 「竹炭シート」が入っています。インシュレーターには直接触れてはいませ んが、入れるとなぜか音がマイルドになります。(ぼけた音とも…) 改めて外したり入れたりしてみますと、なるほど入れたほうが現状では聴き やすい質感です。 ボードとラックの間にある黒いものはSP本体と御影石ボードの間に挿入し てあるフェルトと同じもの、で…これもP-0初期時代のメカノイズ対策です。 余談ですがP-0初期型にはメカノイズ対策で非常に勉強させられました。 現在のオーディオ設置方法に非常に役立っています。(しみじみ…) 」 そうでしたね〜、でもその後にP-0sになってからメカノイズの問題は解消され たものですが、当時の名残りとして現在もセッティングは変えていないという ことですね。しかし、このように細かい事に気を使うというこだわりを私は 大いに評価するものです。さて、どんな音がするのか!? 今回は音を聴く前に大分話し込んでしまいましたが、それだけ語る要素が多い というものかと思います。 さて、T.M 様のシステム構成を詳細にご紹介しましょう!! ◆ H.A.L.'s 訪問記-Vol.17 埼玉県幸手市 T.M 様システム構成 ◆ ■Digital Main System■ ……………………………………………………………………………… ESOTERIC G-0s(税別\1,200,000.) http://www.esoteric.jp/products/esoteric/g0_g0s/index.html and JORMA DIGITAL/BNC-BNC(税込み販売価格 \68,000.) http://www.dynamicaudio.co.jp/audio/5555/7f/brn/470.html http://www.dynamicaudio.co.jp/audio/5555/7f/brn/467.html http://www.dynamicaudio.co.jp/audio/5555/7f/brn/468.html http://www.dynamicaudio.co.jp/audio/5555/7f/brn/469.html and Black Diamond Racing THE SOURCE 19×15 http://www.pacificaudio.jp/maker/bdr/index.html □Power equipments□ ESOTERIC 8N-PC8100/1.5m(税別\300,000.) http://www.esoteric.jp/products/esoteric/8ncpc8100/index.html ……………………………………………………………………………… ▽ ▽ ▽ ESOTERIC 7N-DA6100 BNC/1m×2 (税別\240,000.)×2 http://www.esoteric.jp/products/esoteric/7nda6000/index.html ▽ ▽ ▽ ……………………………………………………………………………… ESOTERIC P-0s+VUK-P0(税別\1,950,000.) http://www.dynamicaudio.co.jp/audio/5555/7f/brn/216.html http://www.dynamicaudio.co.jp/audio/5555/7f/brn/108.html and http://www.dynamicaudio.jp/file/090225/p0.3.jpg Audio Replas OPT-100HG HR×4(税別\172,000.) http://www.phileweb.com/ec/index.php?p=10928 http://www.audio-replas.com/html/what1.html with ACOUSTIC & ENGINEERING Voodoo Board http://www.ane.com.sg/main.html http://www.ane.com.sg/a&e_voodoo.htm with TEAC PINPOINT BASE ST-1+the J1 project A3619R/4P http://www.naspec.co.jp/j1/ids01.html with ESOTERIC P-0s spike base -*-*-*-*-*-*-*-*-*- P-0s+VUK-P0 Power Supply and ACOUSTIC REVIVE RIQ-5010 http://www.acoustic-revive.com/japanese/riq5010/riq5010_01.html with Black Diamond Racing THE SHELF 19×15(税別\98,000.) http://www.pacificaudio.jp/maker/bdr/board.html □Power equipments□ ESOTERIC 7N-PC9100/1.5m(税別\350,000.) http://www.esoteric.jp/products/esoteric/7npc9100/index.html and ACOUSTIC REVIVE RTP-6 evolution 改造(コネクター/コンセント/内部配線変更) http://www.acoustic-revive.com/japanese/rtp/rtp_01.html with the J1 project J1B3040(税別\38,000.) http://www.naspec.co.jp/j1/board01.html and ESOTERIC 8N-PC8100/1.5m(税別\300,000.) http://www.esoteric.jp/products/esoteric/8ncpc8100/index.html ……………………………………………………………………………… ▽ ▽ ▽ ACROLINK 8N-A2080U Premium/1m×2(税別\98,000.) http://www.acrolink.jp/products/index.html http://www.oyaide.com/audio/review_colum_files/8n-2080plemium.htm ▽ ▽ ▽ ……………………………………………………………………………… dCS Delius 1394 (税別\1,500,000.) http://www.dcsltd.co.uk/page/assets/DeliusManual.pdf オールドモデルのため参考として英文説明書のリンクです。 and MEI MMW-1(税別\52,000.) http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/fan/BZ-bord.html http://www.maeta.co.jp/_Maetaseikan/Products/pro_10/Audio_Board.htm □Power equipments□ ESOTERIC 7N-PC9100/1.5m(税別\350,000.) http://www.esoteric.jp/products/esoteric/7npc9100/index.html and ACOUSTIC REVIVE RTP-6 evolution 改造(コネクター/コンセント/内部配線変更) http://www.acoustic-revive.com/japanese/rtp/rtp_01.html with the J1 project J1B3040(税別\38,000.) http://www.naspec.co.jp/j1/board01.html and ESOTERIC 8N-PC8100/1.5m(税別\300,000.) http://www.esoteric.jp/products/esoteric/8ncpc8100/index.html ……………………………………………………………………………… ▽ ▽ ▽ NBS Black Label XLR/1.8m http://www.eagle-saver.com/price.htm ▽ ▽ ▽ ……………………………………………………………………………… JEFFROWLAND Synergy2i (税別\1,150,000.) http://www.ohbashoji.co.jp/support/discontinued/file/synergy.pdf そして、私のレポートはこちら http://www.dynamicaudio.co.jp/audio/5555/7f/brn/148.html and ilungo sonorite-R×2 http://www.ilungo.com/ with SAP RELAXA2PLUS(税別\110,000.) http://www.yukimu.com/products/SAP/RELAXA2PLUS/relaxa2plus.html □Power equipments□ PAD AC DOMINUS PLASMA(15A)/1.5m(税別\490,000.) ……………………………………………………………………………… ▽ ▽ ▽ ACROLINK 7N-A2070XLR/4.5m(税別\155,000.) http://www.acrolink.jp/products/index.html http://www.acrolink.jp/products/7n_a2070.html ▽ ▽ ▽ ……………………………………………………………………………… JEFFROWLAND Model 12 (税別\2,600,000.) http://www.ohbashoji.co.jp/support/discontinued/file/model12-10.pdf and Black Diamond Racing THE SHELF 18×14(税別\126,000.) http://www.pacificaudio.jp/maker/bdr/board.html witi QUADRASPIRE QAVM(税別\128,000.) http://www.quadraspire.jp/main.html with the J1 project BA50HBDLC http://www.naspec.co.jp/j1/j1-diamond.html □Power equipments□ PAD AC DOMINUS PLASMA(20A)/1m ……………………………………………………………………………… ▽ ▽ ▽ PAD VENUSTAS Rev.C Bi-Wire /1.5m http://www.hinoetp.com/pad-american-st.htm ▽ ▽ ▽ ……………………………………………………………………………… B&W 802d (税別\1,600,000.) http://bwspeakers.mzcm.jp/ and H.A.L.'s Original Item“BRASS SHELL”(税込み販売価格 \98,000.) http://www.dynamicaudio.co.jp/audio/5555/7f/b_shell/b_shell.html and B&W Floor spikes kit http://www.dynamicaudio.jp/file/090225/802d02.jpg with the J1 project BA50HBDLC http://www.naspec.co.jp/j1/j1-diamond.html with 石匠運慶 中国産黒御影石 600x400x50mm with 羊革 ……………………………………………………………………………… ■Visual System & source component■ ……………………………………………………………………………… ESOTERIC G-0s(税別\1,200,000.) http://www.esoteric.jp/products/esoteric/g0_g0s/index.html and JORMA DIGITAL/BNC-BNC(税込み販売価格 \68,000.) http://www.dynamicaudio.co.jp/audio/5555/7f/brn/470.html http://www.dynamicaudio.co.jp/audio/5555/7f/brn/467.html http://www.dynamicaudio.co.jp/audio/5555/7f/brn/468.html http://www.dynamicaudio.co.jp/audio/5555/7f/brn/469.html and Black Diamond Racing THE SOURCE 19×15(税別\130,000.) http://www.pacificaudio.jp/maker/bdr/board.html □Power equipments□ ESOTERIC 8N-PC8100/1.5m(税別\300,000.) http://www.esoteric.jp/products/esoteric/8ncpc8100/index.html ……………………………………………………………………………… ▽ ▽ ▽ ESOTERIC 7N-DA6100 BNC/1m×2 (税別\240,000.)×2 http://www.esoteric.jp/products/esoteric/7nda6000/index.html ▽ ▽ ▽ ……………………………………………………………………………… ESOTERIC UX-1(税別\1,250,000.) http://www.esoteric.jp/products/esoteric/ux1/index.html and ESOTERIC VUK-UX1Pi + VUK-X01(税別\350,000.) http://www.esoteric.jp/products/vup/index.html#VUP_AV and ACOUSTIC & ENGINEERING Voodoo Board http://www.ane.com.sg/main.html http://www.ane.com.sg/a&e_voodoo.htm with the J1 project(旧)HB-35T+HB-35B http://www.naspec.co.jp/j1/icp01.html □Audio output□ NBS OMEGA XLR/1.2m →JEFFROWLAND Synergy2i AUDIOTRAK Giass Black/1.5m Optical Digital→dCS Delius 1394 □Power equipments□ ESOTERIC 7N-PC9100/1.5m(税別\350,000.) http://www.esoteric.jp/products/esoteric/7npc9100/index.html and ACOUSTIC REVIVE RTP-6 evolution 改造(コネクター/コンセント/内部配線変更) http://www.acoustic-revive.com/japanese/rtp/rtp_01.html and the J1 project J1B3040(税別\34,000.) http://www.naspec.co.jp/j1/board01.html and ESOTERIC 8N-PC8100/1.5m(税別\300,000.) http://www.esoteric.jp/products/esoteric/8ncpc8100/index.html ……………………………………………………………………………… ▽ ▽ ▽ WIREWORLD SILVER STARLIGHT 5-2/9m(税別\173,000.) http://www.naspec.co.jp/wire/ww-hdmi.html ▽ ▽ ▽ ……………………………………………………………………………… SONY VPL-VW100(税別\1,300,000.)(200V駆動) http://www.ecat.sony.co.jp/visual/projector/products/index.cfm?PD=22674 □Power equipments□ PAD AC VENUSTARS Rev.C/1.5m改造(インレットプラグ変更) ……………………………………………………………………………… ▽ ▽ ▽ ……………………………………………………………………………… OS SCREEN E1-090H-051 WF202(税別\220,000.) http://www.hometheater.co.jp/japanese/products/osscreen/electric/e1.html ……………………………………………………………………………… ■other source component■ ……………………………………………………………………………… http://www.dynamicaudio.jp/file/090225/sys02.jpg ▽ ▽ ▽ SONY MDS-JA555ES(税別\12,000.)古いので参考まで http://audio-heritage.jp/SONY-ESPRIT/player/mds-ja555es.html SONY DTC-59ESJ(税別\9,5000.)古いので参考まで http://audio-heritage.jp/SONY-ESPRIT/player/dtc-59esj.html □Power equipments□ ESOTERIC 7N-PC9100/1.5m(税別\350,000.) http://www.esoteric.jp/products/esoteric/7npc9100/index.html and ACOUSTIC REVIVE RTP-6 evolution 改造(コネクター/コンセント/内部配線変更) http://www.acoustic-revive.com/japanese/rtp/rtp_01.html and the J1 project J1B3040(税別\34,000.) http://www.naspec.co.jp/j1/board01.html and ESOTERIC 8N-PC8100/1.5m(税別\300,000.) http://www.esoteric.jp/products/esoteric/8ncpc8100/index.html ……………………………………………………………………………… いかがでしょうか、詳細なアクセサリーやケーブルまでも含めてT.M 様の こだわりが随所に見られるシステム構成です。もちろん、これだけで音質が 予測できるわけではありません。 というよりも、私が知っているB&Wの音質に新しいバリエーションが発生した のではないかという音を聴くことになるのです!! -*-*-*-*-*-*-*-*-*- 人間の姿形、プロポーションを判断するためには全身が写った写真がなければ わからないように、顔だけ足だけという部分的なものでは全体像が判断できな いもの。逆に手先や目鼻口の部分的クローズアップがなければ、その人が自分 の体をいかに鍛えたりケアしているかということも分からないものでしょう。 オーディオ的に発想すれば、前者の全体像のバランスを観察したいという場合 にはオーケストラがふさわしく、また後者の場合には私はスタジオ録音の曲で 判断することにしている。 今まで実に多くのシステムを聴き、訪問記として記録はしてこなかったが以前 から多数のユーザーを訪問してきた経験からも先ずはオーケストラから聴き始 めることにしています。 さて、いざ試聴という時になってT.M 様から「はい、これどうぞ!!」と言って 渡して下さったのがこれ、Logicool Harmony 882です。 http://www.logitech.com/index.cfm/remotes/universal_remotes/devices/372&cl=jp,ja 過去の訪問記でも紹介し、それを見て購入したハルズサークルの会員も結構な 数になるのではと思いますが、残念ながらメーカーでは生産完了してしまい 流通在庫もなくなっているということで、他のお客様から悔しい〜という話し を聞かされたことがあり、今となっては貴重なリモコンとなっています。 さて、普段はT.M 様がおかけになっているセンターポジションの椅子を譲って 頂き、802dと対峙していよいよ第一声を聴かせて頂く事にしました。もちろん、 最初の一曲はこれです。 ■マーラー交響曲第一番「巨人」第二楽章 小澤征爾/ボストン交響楽団 冒頭の弦楽器群のアルコが重厚な合奏を奏で始めてから数瞬のうちに、既に私 の頭の中ではT.M 様のシステムのプロポーションがイメージされていました。 「いやいや〜、しかし、良く出てるな〜細かい音が!!」 一口に言うならばスレンダーな細身の体形と言えるでしょう。決してグラマー なボリューム感ある体形ではありません。T.M 様が行ってきた数々のチューニ ングの方向性は明らかに音像の引き締め効果、いや着痩せ効果を狙ったものと して私は直観しました。実に、楽音ひとつひとつが細かく描写されています!! 私はオリジナルNautilusから始まりN800シリーズ、そして現在のdが付く800 シリーズなどではクロスセッティングを推奨していますが、T.M 様の場合には 左右スピーカーの主軸がリスナーの前方で直角にクロスするようなセッティング ではなく、ほぼリスナーに正対するような角度で802dをセットしておられます。 私がクロスセッティングを推奨するのは音源であるスピーカーユニットの位置 関係がリスナーに察知されず、俗にいうスピーカーが消えるという音場感重視 の聴き方をB&Wの特徴として際立たせたいという狙いがあるからです。 その私の指向性からすると、T.M 様のセッティングでは内振りの角度が少し 浅いというか、スピーカーの正面を見るようなアングルと言えます。 そのような角度をT.M 様がご自身で選択されたのですから、私はT.M 様の目指 したものを肯定的に見つめることにしました。なぜならば、前述したように T.M 様がご自身の判断で追い込んでいったセッティングのノウハウの細かさと こだわりに信頼性を感じずにはいられなかったからです。 それを音質的傾向として述べるならば音場感重視よりも音像のフォーカスを いかにくっきりと描こうとするか、という聴き方であると思われたからです。 その証拠にオーケストラの各パート、弦楽器も管楽器も聴こえてくる音の数、 情報量としては膨大な数の素晴らしく鮮明な微粒子を圧倒的なスケールで私の 目の前に展開させてくれました。これは見事です!! いつも聴いている音量は私が上げていったボリュームよりは小さめだという ことでしたが、それも理解されるところです。再生音量の好みがもう少し小さ い音量であれば、反射波の影響を嫌って一次反射音が直接音の解像度を鈍らせ ないようにと潜在的に音量感よりも精緻な楽音の輪郭表現を知らず知らずに 求めてしまうという傾向があるものです。 つまりは、私が日頃ここで出している音量というものはルームアコースティック を追い込んでチューニングしていることと、それに加えてエアボリュームの 大きさがあるからこそ可能なものであり、一般的なお部屋では反射波の影響で 楽音のフォーカスがにじんでしまうことを本能的に嫌っているからこその音量 設定と言えるものです。つまり、T.M 様はご自身で出している音質に関して かなりの分析を行っているからこそ、たどり着いた音質であるということが 私には大変良く理解できるのです。 一般的な室内でルームアコースティックをそこまで追い込むのは大変なことで すが、聴き手のスタンスで音量の大きさを求めないということはに二通りの 解釈があります。 ひとつは、音量はもっと上げたいという欲求を持ちながら、反射波の影響で 音質が混濁してしまうので、やむなくこのくらいの音量で聴いているという 状態。つまり、大きな音を出したいが音質が濁ってしまうので上げられない ということ。 別な言い方をすれば、食欲は旺盛なのだがウエイトが増えてしまい体形が崩れ てしまうことを自分で許せないから、あくまで腹八分目ということで自制でき るという意志の強さもあるかもしれません。一般論としてはこのケースが多い と思います。 これは大音量を出すためには、特別に設計されていない普通の部屋の場合では 結構な量の吸音材を内装に追加しなければなりませんが、インテリアデザイン を崩したくないので音量が上げられないということを割り切って妥協すると いうことと同意義であるかもしれません。 もう一つは敢えて音量を上げて聴きたくないというストレートなものです。 なぜ音量を上げたくないのか、という目的はご本人の判断によるものでしょう。 日本庭園の造形のように緻密なものを自分の視野に収められる広さの音場展開 でよしとするものであり、大音量で室内に残る残響で鮮明な音像表現を壊した くないという気持ちもあると思います。 日本庭園と言えば枯山水ですが、白砂や小石を敷いて水面に見立てるものです。 その水面の波や水流の流れを表わすあれです。特殊な熊手で細かい砂利の上に 幾重もの筋を作っている、あの風景のようではないでしょうか。 また、料理の味付けに関しても、調味料はごくわずかでダシのうま味で食べさ せるようなものでしょうか。澄まし汁の透き通った汁を含むとダシの風味が 口いっぱいに広がり、醤油や塩という調味料は少なめにというものでしょう。 俗にいうニアフィールドでの聴き方などはそうなのかもしれません。 T.M 様のお部屋では吸音性のパネルはほとんど使っていないのですが、低域が わだかまるように残響時間を引き延ばす悪さもせず、不思議に特別な設計を していない部屋なのに適度な低域の抜けというか開放感があるのです。 ですから、私は日頃の自分のスタンスで低域をもうちょっと出したいという 思いからついつい音量が上がってしまいました。 しかし、ルームアコースティックとしてはあっさりとしており、前述の音量を 上げたくない理由として前者と後者の中間的な方向性をT.M 様はつかんで いらっしゃるようなのです。 でも、それにしても低域がもう少し…という思いがあり、先ずは検証という ことで次の曲ではオーケストラはやめました。これです。 ■“Basia”「 The Best Remixes 」CRUSING FOR BRUSING(EXTENDED MIX) http://www.sonymusic.co.jp/Music/International/Arch/ES/Basia/ http://www.basiaweb.com/ http://members.tripod.com/~Basiafan/moreimages.html#remixes1 さあ、この曲のイントロで聴ける強烈であり無機的でもあり、スピーカーの 低域と部屋の残響を一挙に観察できる曲を次にかけたものです。すると…!? 「あれ〜、ほほ〜、そういうことでしたか〜!!」 新素材ロハセルを使用した20センチ口径のウーファーが左右で4基、一糸乱れぬ 高速反応のインパクトでドラムを叩き出してきます。しかし、引きずるような 付帯音は一切なく、むしろ「ドスドス!!」という印象より「タンタン!!」と 切れ味のいい打音です。 これがまた4基のウーファーで各々の対角線がクロスするセンターにピタリと 定位が決まり、B&W製のペースメーカーが鼓動を生み出すパルスをスピーカー 中央の空気に送り込んでいるようにメリハリのある打音が繰り出されてきます。 そして、それが室内の空間に居座らずに速やかに一打一打の残響を整理しつつ 次の打音を送りだしてくる爽快感はなかなかのものです。これはいいです!! 同時にシャカシャカと聴こえる高域でのパーカッションの乱舞が左右802dの 頭頂部から周辺にまき散らされるのですが、ここにも透き通るストレスフリー の再生音が見事に展開します。 輝きながらもまぶしくないという高域はBRASS SHELLの魅力の一つでもあり、 同時に足元のスパイクから御影石というセッティングのノウハウが低域の テンションの高まりと高域の透明感に大きく貢献しているのがわかります。 「いや〜、実に見事に追い込みましたね〜!!」 というのは私の胸のうちの声であり、T.M 様の前ではとても恥ずかしくて言え ないものでした。それはBasiaのヴォーカルが入ってきたところで発見から 納得というレベルに私の理解は進行しており、多分T.M 様はヴォーカルの口許 サイズを気にしながらチューニングしてきたのだろうな〜という努力の跡を 私は再生音の中に感じていました。いや〜、お見事です。<m(__)m> 低域と高域の信号が気持ちよく展開する中で、Basiaのヴォーカルはクールに クリスタルなイメージで聴こえてくれるのが正解というもの。でも、しっとり とした歌声も同様にひんやりと聴かせるというのではシステムのキャラクター が強すぎるということもあり得ます。では対象的なヴォーカルでチェックしよ うと私は早速次の選曲でP-0sのリモコンを操作していました。次はこれです!! ■ちあきなおみ/ちあきなおみ全曲集「黄昏のビギン」 http://www.teichiku.co.jp/teichiku/artist/chiaki/disco/ce32335.html イントロのヴァイオリンとギターのテンションを先ず注目します。ギターの弦 は一本ずつがくっきりと見えるように聴かせてくれれば良し。これは合格!! そして、わがままにもヴァイオリンの質感は一本の弦だけを見たくないと思う。 弦は四本であることを忘れさせてくれるように、滑るように往復する弓が音源 であり、複数の弦が擦られているのではなく完璧に調和した一本の弦として 質感が統一されて欲しいという思いをT.M 様の802dは見事に現実のものとして 鳴り響く!! センターより右寄りの中空でベルの一打がきらめくように響き渡ると、ちあき なおみ が第一声の前にプリージングした気配がふっと空気を震わせ、ギター のアルペジオの爪弾きを空間に縫い込むようにフォーカスがしっかりした歌声 として802dのセンターに出現する。 そして、凝縮された口許の輪郭から発せられた声量豊かにビブラートのきいた ちあきなおみ の声は802dの後方へ、また左右へと余韻感を拡散していくのだ から堪らない!! 「いや〜ホントにヴォーカルがいい!!」 これも当人の前では口にしていない内面の声です。これすなわちT.M 様が取り 組んできたオーディオにおける自己主張の表れだと益々納得させられていく!! フォーカスを鮮明にするということは遠近感を求めることとイコールなのですが、 スタジオワークで施されたヴォーカルに対するリヴァーヴの深さと潤いの追加 というものがきっちり聴き取れるのですから素晴らしい。 モニターライクな性格は当然B&Wだから実績としてあり得るものでしょう。 でも、ごく一般的な室内で左右スピーカーと私が作るトライアングルのサイズ はどちらかと言えば小さいものだろう。 この距離感でヴォーカルが広がっていく過程をここまで見せてくれるのか!! では、その観察方法で違う選曲で試してみよう、ということで次のヴォーカル。 ■MICHAEL BUBLE/1.「Fever」WPCR-11777 http://wmg.jp/artist/michaelbuble/profile.html イントロのペースとドラムは今ではすっかり予測した音で始まりました。 先ず予測できたポイントは低域の音像表現が実に鮮明であり、くっきりして いるということなのですが、ベースという連続する低音、ドラムという叩く 低音という性格の違う両者のバランス感覚でした。 打音は高速で立ち上がり録音されている信号が終われば直ちに消滅して欲しい、 つまり低域のエネルギーをスピーカー内部に貯め込んで位相をずらし時間が 遅れて放射されてはいけないという原則がありますが、これが忠実にT.M 様の 802dとシステムは実現しています。いいですね〜!! では、ベースのように連続する低音というものはどうか? これは引き付けられ弾かれるというペースの弦の振る舞いをイメージすると 弾いた直後から得てして音像が拡大することで迫力と演奏のノリを表現する ものなのだが、この音像の膨張と収縮の過程にあっても輪郭が鮮明であると いう大前提が必要になる。 その意味ではT.M 様のシステムは輪郭の再現性ということではあっさりと及第点 を取得しているので何の不安もなく聴くことができるし、私の日頃のバランス 感覚からいうと音量をもうちょっと上げたいという欲求がふと湧いたりもする。 「おー!!気持ちいいね〜、このベースは!!」 MICHAEL BUBLEのヴォーカルは意図的に大きな音像として認識できる演出をし ているのですが、これはリヴァーヴの深さがもたらす隠し味の効果というもの。 いつものように私は上半身を前後させて低域の変化を観察していると、何と T.M 様も同様なチェックを以前からやっていました、ということ。 ふと見るとリスニングポイントの左右の壁面と床に黒い小さな丸いものがいく つも貼り付けられています。ご自分の耳の位置関係と低域との関係を繰り返し 試聴し、その都度良かったところにマーキングしていったのだという。 う〜む、そこまでやっていましたか〜(笑) 私がこれまでに訪問記で述べてきたことを実践されていたとは恐れ入りました。 ■DIANA KRALL「LOVE SCENES」11.My Love Is(MVCI-24004) http://www.universal-music.co.jp/jazz/artist/diana/disco.html さて、先ほどのペースに関しての印象を裏打ちするような選曲としてアコー スティックなChristian McBrideのウッドペースでチェックすることに。 「いやいや、お見事!! よくぞここまで絞り込みましたね〜」 またまた私の内なる声を発するのですが、T.M 様に悟られるような表情はしな いように注意していました(笑) ウッドベースをピッチカートして直後に解放された弦が響き渡るのに任せて 音像も呼吸体のように伸縮膨張するというさじ加減は実は相当上級者向けの チューニングといってよいと思います。 大は小を兼ねる、ではなく小は大を兼ねる…というイメージで音像のくまどり をくっきりと鮮明にしておくこと。小さい音像を先ず実現しておいて、そこ から少しずつ手綱を緩めるようにテンションを緩めていくことで響きの量感を 追加していくという方法が望ましいものです。料理の調味料は少しずつ足して いくのと同じでしょうか。これがまた上手くまとめられていますね〜。 えっ、DIANA KRALLのヴォーカルはどうかって!? いやいや心配には及びません。 リヴァーヴの演出効果は見事に空間への拡散領域を拡大しており、802dのトゥ イーターがどういう仕事をしているのかを言わずもがなで分からせてくれます。 順番がいつもと逆になりましたが、DIANA KRALLが指を鳴らすイントロですが、 逆にこれは渋い!!キラキラと輝くように閃くように指が弾かれるという派手さ ではなく、ぎらつかないようにというチューニングを各所に施してきたT.M 様 の尽力がこんなところにも表れていました。私も勉強しなくては(笑) ■MUSE 1.フィリッパ・ジョルダーノ/ハバネラ http://www.universal-music.co.jp/classics/refresh/muse/muse.html さて、この辺で低域のテンションの引き締まりと打音が残すゆったり感のある 響きという難関の選曲です。今までのように引き締め効果が色々なスタジオ 録音で低域の再現性にオーナーの価値観による秩序を音質で表わしてきたと いう素晴らしい実績を私は高く評価しました。しかし、今度の選曲は違います。 冒頭からドラムの二連打が続くこの曲。このドラムはある程度のゆったり感と いうか、スタジオ録音ではなくホールでドラムを叩いたらどうなるのかという シミュレーションを演出として意図的に含ませた録音と言えると思います。 そして、このドラムは室内のポイントにおいて耳の位置で大きく変化してしま うものであり、上半身を前後させてのチェックで最も変化がわかりやすいもの。 「ほほ〜、そうなりますか〜」 T.M 様の定席である椅子にゆったりと持たれた時の耳の位置よりも1メートル 近く前進したところに、この低音が増量して聴かれるポイントがありました。 そこで両脇を見るとありました!!黒いシールが貼ってありますね〜、ちゃんと T.M 様は分かっておられたようです。 そして、いつもの耳の位置で聴くこのドラムは、やはりこれまでT.M 様が追求 してきた方向性での選択であったことが納得できました。旨味として誤解され やすい低音の増量、味付けが濃厚な方に行きすぎるという一歩手前ではなく、 三歩手前くらいで低音楽器と向き合うというチューニングの結果と一致する リスニングポイントの選択なのです。 私だったらもう少し…というこの私の好みもありますが、それを見越して既に T.M 様はご自分で実験され、ご自分の感性で選択したチューニングポイントを 特定しておられたということです。その努力と情熱に対しては私のアドバイス など不要と言えるものでしょう!! でも、これらの試聴からT.M 様には口頭で二つほどのアドバイスをさせて頂き ました。でも、今回はそれを公開するのは控えておこうと思いました。 それはなぜか? これからの数日間、いや数ヶ月間で私のアドバイスを実験され、T.M 様の感性 で私が指摘したオプションに賛意を示されセッティングを変更されたという 報告を頂いた時にこそ、私も安心して今回のアドバイスの内容を公開させて 頂くことにします!! さて、今回のSound checkは昼食からということで滞在時間が大分長くなって しまいました(^^ゞでも、楽しかったので一分の後悔もありませんが(笑) そしたら…すっかり忘れていました。おやつがあったんです〜(^^ゞ あの“槇の木”の「苺ショートケーキ」と「りんごタルト」です!! いや〜、恐縮しちゃうな〜^_^; これもきっちり写真に撮らせて頂きました。 http://www.dynamicaudio.jp/file/090225/maki06.jpg どうですか!! このイチゴの色艶は!! http://www.dynamicaudio.jp/file/090225/maki07.jpg どうですか!! このリンゴのしっとり感は!! などと思いながら、T.M 様にどちらを召しあがりますか〜?と尋ねると!? 「川又さん、両方食べて下さい!!」 え〜、そんな〜、食べきれませんよ〜(^_^;)と、言いつつ、二つとも…(笑) -*-*-*-*-*-*-*-*-*- 今回のSound checkは私も良い勉強になりました。何がと言うと、これほど スキのないユーザーというのは本当に珍しいからです。 オーディオシステムを使いこなすノウハウの項目というのは人によって数が 違うということです。 今出ている音、聴いている音に対してどのくらいの分析ができるのか? これは方法論として原理は意外と簡単です。二者択一でいけばいいのです!! 何かしら変化を与えて、その前後を比較する。すべてこの繰り返しなのです。 問題は何をどう変化させるのか、というパラメータの発見なのです。 それはひとえにオーディオに対する情熱であり、学習意欲であり、また他の オーディオシステムを聴いた時の素直な感想と記憶力によってチェックポイント を持ち帰るというものです。 T.M 様は私の所で多くを盗んでいったことでしょう。 私はそのような熱心なユーザーに飽きられないように、また追い越されないよ うに、ここで演奏する音質を絶えずアップデートして行かなくてはとしみじみと 思いました。 それが今回の訪問で学習させて頂いた最大のポイントだと思います。 T.M 様本当にありがとうございました。 -*-*-*-*-*-*-*-*-*- あれから一週間後の三月某日、当社では近所のクリニックで恒例の健康診断が 行われました。毎年のことなので手順は分かっているのですが体重測定です。 「川又さん、去年より2キロ増えてますね〜。気を付けて下さいよ〜!!」 と、ドクターの一声(-_-;) 「う〜む…、“槇の木”恐るべし!!」(爆笑) T.M 様のように私も引き締めなければ!! ■H.A.L.'s 訪問記Vol.17-後日談としてメッセージを頂きました。 川又 様 お世話になります。 ご多忙中の執筆お疲れ様でした。 イベントと重なるなか、このような長編作をわずかな期間で完成頂き本当に感激です。 しかも、思いの他お褒めの言葉を頂き実は知人に自慢しまくっていたりします。 ひとこと言わせてください。 「川又さん、ほめすぎっ!!」(*^o^*) さて、お褒め頂いた部分は802d購入時から現在に至るまで私が最も重点を置い ていた部分であり、試行錯誤を繰り返した部分でもあるため、川又さんに ご理解いただけたことは無常の喜びであります。 ご存知のように左右対称でない部屋であるため購入当初はセンターに有るべき ものがセンターに定位せず、帯域によっては右に左に定位が不安定になり大変 苦労しました。 定位、フォーカス、エコー感は私の第一の問題と言うか課題だったわけです。 最初にSound checkのお誘いを頂いたときは、まさに… 「webに公開してもらうような部屋ではないからな〜(^^ゞ」 が大部分を占めていましたが、その様な課題が納得できるレベルでクリアでき ていないため、なんとなくはぐらかしていた所も実は有ります。 最近になり、第一の課題が自分的にかなりのレベルでクリアできたのではない かとの思いに至り、今回のSound checkをお願いした次第です。 ただ、ある程度問題がクリアできてきますと次なる問題がより鮮明になってく るのも事実で、更にその先にある問題も見え隠れと言うか、その存在を意識せ ずにはいられなくなってきたりもします。 この辺もふくめ、駄目だしして貰おうという思惑もあり、今回はオフ会などで ありがちな良い音になるような努力をしないよう努めました(笑) ようはいつもどおりにということですね(^^) さすがに礼儀として機械は前日の晩から暖めておきましたが… ご指摘いただいた低域に関しては自分的にも問題視しており、第二の課題と 考えていたものですが、今回のSound checkで川又さんにその問題をより明確化 してもらい課題克服の原動力になっています。 特に川又さんより頂いたセッティング上のヒントは自分の中では意識的に排除 していた部分でもあるので改めてセッティングの奥の深さを知ると同時に、 川又さんの経験の豊富さに驚きを隠せません。 そして、自分的には今ひとつはっきりせずに感じていた問題点も納得の出来る 形で明確化してもらい第三の課題として意識できるようになったことも大きな 成果だと思います。 今現在、川又さんのヒントをベースに数種類のセッティングパターンを考えて おり、また別方面からのアプローチも考えています。 ちびちびやっていこうと思いますので数日と言うわけには行きませんが結果を 楽しみにしていてくださいね。 今改めて考えますとHALには大編成のオーケストラなど今回の問題が明確化 するようなディスクは持って行ったことはありませんでした。 しかし、どのようなジャンルで音決めしているのかよく分かりますよね? 何にこだわっているのかとか… 以前の訪問記でどなたかおっしゃっていましたね 「裸にされていくようだ…」と、 嬉しくもあり、恐ろしくもありますね(^^; 今度HALに行くときには今までと毛色の違うディスクを持っていきますので また勉強させてくださいね。 よろしくお願いします。 今回、Sound checkにお誘い頂き本当にありがとうございました。 非常に密度の濃い、楽しくも緊張の一日でした。 -*-*-*-*-*-*-*-*-*- 川又より T.M 様こちらこそ、ご丁寧な感想をお送り頂きありがとうございました。 私は褒めすぎとは思っていませんし、指摘するスキがないというのが本音です から、どうぞあまり気にしないでください。 私の好みと尺度というのは当然あるのですが、その範疇に入っている音質と いうことで先ずOK。低域をもう少しボリュームアップしたいな〜と思いつつ T.M 様がご自分でそのベクトルに追い込んできたということがわかってしまう ので、私は現在のセッティングに手を付けるということはありませんでした。 「自分的には今ひとつはっきりせずに感じていた問題点」これですね〜私が 口頭で申し上げましたが、サウンドステージに並ぶ楽器・楽音たち相互の距離感 と言いましょうか、こうあるべきではないかな〜というここの試聴室で普段 私が追求している音質との相違点をご説明したものでした。 私はSound checkにうかがった現場でセッティングを修正するというケースも ありますが、聴かせて頂いて課題をアドバイスさせて頂くのみということもあり、 個々のユーザーによってケースバイケースとなっています。 そして、訪問時に直ちにチューニングを変更しないという場合には、往々に してユーザーご自身が自分の手で変化を与え訪問記の本文でも述べていた二者 択一という判定をご自分で納得して行われることでスキルアップして頂きたい という狙いもあるからです。 もちろん、お客様によってはご自身で判断に自信がないという場合であれば 私がこうあるべきという状態にセッティングを修正させて頂きますので、その ような場合にも気軽にご相談下さい。 対処療法というのはユーザーが現在の音質に疑問を持つことから始まります。 その問題点の音質を自覚されなければ何もアクションは起こりません。 その問題点を発見することもSound checkの目的の一つでもあるわけですね。 T.M 様も本音を語って頂きましたが、Sound checkをより気軽に皆様にご利用 頂ければと願っておりますのでどうぞよろしくお願い致します。 |