《H.A.L.'s 訪問記》


No.0006 - 2008/5/27

埼玉県さいたま市浦和区 G.S 様-H.A.L.'s 訪問記

Vol.6「釈迦牟尼世尊に見守られて!! Nautilus forever!!」

今回は先ずこの↓2002年のエピソードからたどっていきたい。

http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/184.html

ここで述べているMIKE GOUGH 氏とは下記↓のような出会だった。

http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/124.html

ここで私が思わず「Nautilus forever!!」と述べている一節があるが、B&Wの
オリジナルNautilusと言えば正に近代のオーディオ史に燦然と輝く名器であり、
それを私の記憶では10年以上に渡り通算50セット以上という販売をしてきた。
この記録は今後も破られることはないだろう。

今までに、その数多いNautilusオーナーがこのH.A.L.'s 訪問記に登場してこ
なかったということに格別の理由はない。あくまでも皆様とのご相談の上で
順次進めている訪問活動は特にご愛用システムの内容によって順番を決めてい
るわけでもなく、同じNautilusを長年ご愛用頂いている皆様をお訪ねすること
は今後も続いていくだろうと考えている。

果たして、我が家のNautilusはあるべき姿と音質ということで安心できるのだ
ろうか? という素朴な疑問と不安がおありになり、それを私の耳で確認させて
頂くという価値観をどのように評価して下さるのか、正にNautilusを世界中で
最も多くの時間扱い聴いてきたという私の年表を紐解き、その経験とノウハウ
を納品後の皆様のお役に立てたいという思いは変わることはない。

            -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

開発著しいさいたま市の一角に鬱蒼とした木々が生い茂り、せっかちな初夏の
日差しが五月にしてはまぶしいある日、私は一度も正面の本堂側からお邪魔し
たことはなく、いつもご自宅のある広大な敷地の裏側からお伺いしていた。

http://www.dynamicaudio.jp/file/080525/56.jpg

そんな私をいつも迎えてくれるのが、この↑大きな銀杏の大木。最近、剪定さ
れたらしく大きな枝の切り口には幾層もの年輪を刻んでいるのが遠目からでも
わかるようだ。枝の年輪だけでも凄いのだから、この太い幹が積み重ねてきた
樹齢は相当なものだろう。いつもは都会のビルを見上げている私だが、こんな
大木を見上げている時間というものは不思議に安らぎを感じるものである。

G.S 様との出会いは今を去ること八年前。現在三十七代目に当たるという由緒
ある寺院を現代に支えるご住職というお仕事は俗人の思いもよらぬ厳しさと
ご苦労がおありになられるのだろう。こんな同じ風景を毎日見ているG.S 様の
心境として、私が到底思いもつかない世界観をお持ちのはずだ。

しかし、八年前から存じ上げているG.S 様は大変気さくなお人柄であり、それ
以上に明るく振る舞われる奥様とご一緒に当時の旧サウンドパーク・ダイナの
7Fにお見えになったものだった。G.S 様はご自身でオーケストラの楽員として
クラリネットを吹かれていたという経験をお持ちであり、お聴きになるのは
もっぱらオーケストラを中心としたクラシックばかりである。当時のG.S 様は
一切インターネットをご覧になっていなかったので、下記のような取り組みは
実際にご来店されて体験されていたものだった。これらのエピソードは現在で
は私のBrief Newsでは一般公開していないリンクであり、お時間のある方は
歴史を振り返る意味でも読み直して頂ければ幸いである。

http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/116.html
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/128.html
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/130.html
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/131.html

しかし、このようなNautilusを核とした積極果敢な様々な取り組みが私だけで
なく多くの皆様を次第に惹き付けていったことは間違いない。そして、G.S 様
からNautilusとアンプという基本的な構成をご注文頂いたのは2000年の四月の
ことだった。

ここで私は八年前に初めてお目にかかったG.S 様との会話の中で大変印象に
残っていることがある。平たく申し上げれば、ご住職というご職業に関する
一般論であり、俗な言葉で述べれば「坊主丸儲け」という風に思われたくない
ということであり、世間体からすると宗教関係に携わる一人として個人の所得
に関してのはっきりとしたもの言いであり分別のあり方だった。

ハルズサークルの会員中には同じような宗教関係のお仕事をしていらっしゃる
方が他にもたくさんいらっしゃるのだが、G.S 様の場合にも宗教法人としての
経営の母体があり、その代表役員というお立場で法人から一定の賃金を頂いて
いるという事実を当時の私に力説されていた。

「川又さん、私とて一般のサラリーマンの皆さんと同じように給料生活者なん
 ですよ。酒も煙草も、もちろん昔からの男の道楽も私は何もやりません。

 ただただ地道にお努めを果たし、多年に渡る仕事で頑張ってきた私個人の
 収入を何とか蓄財して趣味に当てたものなんです。そう、私の趣味は音楽と
 オーディオだけ、このたったひとつの息抜きだけが唯一の楽しみであり趣味
 と言えるものなんです!! どうか、これだけはわかって下さい。」

はい、今でもしっかり記憶しているG.S 様のお言葉を今回の訪問にあたり再度
私は思い出し、これはぜひ述べておかなければと思い至ったものである。

そして、ご注文頂いたNautilusは、その年に直ちに納品されたものではなく、
その後にオーディオルームを新築するので、それからフルシステムを納品して
欲しいという大きな計画のスタートとなったものだった。

そのオーディオルームの設計に関しても私のコネクションでG.S 様のご希望を
汲み取り、ご契約から二年ほどの時間をかけて新築が完成された。その事例は
建築デザイン会社のwebサイトでも下記のように紹介されている。

http://www.aad-ar.com/home114.html

この完成に至る二年間にアンプ以外のコンポーネントを慎重、かつハイレベル
なものを時間をかけて選択されていったという経緯があり、上記のように私が
手がけた様々なNautilusシステムの要素が取り入れられていったのである。

当初のG.S 様のNautilusシステムはあくまでもスタートに過ぎなかった。
初めてNautilusの音がG.S 様のお部屋に響いてから七年猶予の時間を経て、
G.S 様のシステム構成は大きく変貌していったのである。

最初のCDプレーヤーはESOTERIC P-0に始まり、P-0sへのバージョンアップ、
更にVUK-P0へとアップグレードされた。そして、P-0の初期にはアップサンプ
リングの機能はなかったので、dcs  Elgar plusと972/2、992という布陣でDAC
を構成し、Nautilus導入当初からMaster Clock Generatorを使用してアップサ
ンプリングし、CDもDSD変換されて再生するという最先端のフロントエンドを
導入して頂いたものだった。

更に、そのフロントエンドに磨きをかけたのがTimelord Chronosであり、この
フロントエンドが現在までに大きく進化している。当初から変わっていないの
はプリアンプとパワーアンプだけということだろうか。いや、後述するが電源
ケーブルや周辺機器は最初から妥協のない選択がなされていた。そして現在は。

http://www.dynamicaudio.jp/file/080525/69.jpg

大きく進化したフロントエンドを一望するとこのようになっている。

http://www.dynamicaudio.jp/file/080525/66.jpg

その電源環境もこのように大胆な改革がなされ、見た目にはわからないが最初
はESOTERIC PS-1500であったが、現在はPS-1500 MEXCELとなっている。そして、
今回の訪問の直前に“P-board”二枚が導入され、その足元を盤石の態勢に!!

http://www.dynamicaudio.jp/file/080525/67.jpg

その電源部の裏側をのぞくとこのようになっている。最初のP-0の頃に導入し
たPAD  DC-Power Cable for P0は現在でも使用され続け、本当に良いものは
何年たっても色褪せることなく逆に現在のシステムを根底から支えている。

http://www.dynamicaudio.jp/file/080525/73.jpg

ESOTERIC P-01を搭載するラックはProject H.A.L.C.を使用して頂いている。
しかし、実はこれはP-01とD-01を最初に導入されたときにはなかったものだ。

http://www.dynamicaudio.jp/file/080525/77.jpg

その答えがここにある。SACDの4チャンネル再生を実現したいということから
ご覧のようなシステムアップを行い、D-01の導入に合わせて順送りに以前の
ラックに4台のD-01が移り住んだということだ。

http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/330.html

このプランのきっかけになったのが↑この取り組みだった。

そして、いよいよ実行という時にちょうど良いリアスピーカーが登場していた。
フロントチャンネルのNautilusと同じデザイナーであるLaurence Dickieが
開発したVIVID Audioのミドルクラスを採用された。

これはNautilusと同じ素材のダイヤフラムを使用しているということで楽音の
質感を調和させるということであり、私としてはやっとNautilusにふさわしい
リアスピーカーが誕生したということで自信を持って推薦したものだった。

http://www.dynamicaudio.jp/file/080525/80.jpg
http://www.dynamicaudio.jp/file/080525/83.jpg

そして、Nautilusはキャスター付きの特注ベースに載せているが、リアスピー
カーも同様に部屋のコーナーから引き出して簡単にリプレースメントできる
ようにと、このような特注ベースでセットしている。B-1はきっちりとスパイ
クで接地するので、もちろんキャスター付きで重量のある台座である。

http://www.dynamicaudio.jp/file/080525/60.jpg

さて、フロント側に目を向けてみると、天井の反射・拡散構造にうまく照明が
取り込まれ、和風のインテリアというG.S 様のご要望が的確に実現されている
ことがお分かり頂けるだろう。

http://www.dynamicaudio.jp/file/080525/90.jpg

右側のNautilusとパワーアンプ周辺をご覧頂くと、付属のチャンネルディバイ
ダーのセットアップにも二重の工夫をされていることがわかる。電磁波・高周
波からのアイソレーションではPAD  T.I.P(Total Isolation Platform) を、
そしてメカニカルな振動対策としては、あのSAP  RELAXA2PLUSを併用し、この
二重の効果がことのほか音質的にメリットが大きかったと述べられていた。

これらのラックの下にも黒く太いケーブルが見えるが、画像で見たシステム
構成で見えないところにも相当な情熱が費やされている。入念に調べ上げた
結果としてG.S 様のシステム構成を系統立てて紹介すると次のような流れに
なってくる。どうぞ、ゆっくりとスクロールして頂きたい。


◆H.A.L.'s 訪問記-Vol.6 埼玉県さいたま市浦和区 G.S 様システム構成◆

       □ Front Channel System □

………………………………………………………………………………
ESOTERIC G-0Rb(税別\1,350,000.)
http://www.teac.co.jp/audio/esoteric/g0rb/index.html
               with
JORMA DIGITAL/SMB-SMB for Internal Wire(税別\88,000.)
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/545.html
               with
PAD  T.I.P(Total Isolation Platform)
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/107.html
               with
zoethecus z.3/R(cherry)+z.slab×3 (税別 \384,000.)          
http://www.axiss.co.jp/fzeoth.html

        □Power equipments□
ESOTERIC PS-1500 MEXCEL(税別\900,000.) 
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/560.html
               and
ESOTERIC 7N-PC9100×2(税別\700,000.)
http://www.teac.co.jp/audio/esoteric/7npc9100/index.html
               and
H.A.L.'s  Original Products“P-board”(税込み販売価格\68,000.)
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/508.html
………………………………………………………………………………
                ▽ ▽ ▽

ESOTERIC 7N-DA6100BNC×3(税別\720,000.)→Wordsync-for ESOTERIC D-01×2
http://www.teac.co.jp/audio/esoteric/7nda6000/index.html

                ▽ ▽ ▽
………………………………………………………………………………
ESOTERIC P-01+VUK-P01(税別\2,500,000.)
http://www.teac.co.jp/audio/esoteric/p01_d01/index.html
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/576.html
               with
PAD  T.I.P(Total Isolation Platform)
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/107.html
               with
PAD  DC-Power Cable for P0(with fluid)(税別\1,520,000.)
               with
Project H.A.L.C. H.C/3M (税込み販売価格 \560,000.)
http://www.dynamicaudio.jp/audio/halc/index.html

        □Power equipments□
ESOTERIC PS-1500 MEXCEL(税別\900,000.) 
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/560.html
               and
ESOTERIC 7N-PC9100×2(税別\700,000.)
http://www.teac.co.jp/audio/esoteric/7npc9100/index.html
               and
H.A.L.'s  Original Products“P-board”(税込み販売価格\68,000.)
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/508.html
………………………………………………………………………………
                ▽ ▽ ▽

PAD Signature Series DIGITAL DOMINUS PLASMA XLR×2 (税別\800,000.)  

                ▽ ▽ ▽
………………………………………………………………………………
ESOTERIC D-01+VUK-D01×2(税別\2,500,000.)
http://www.teac.co.jp/audio/esoteric/p01_d01/index.html
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/576.html
               with
PAD  T.I.P(Total Isolation Platform) ×2
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/107.html

        □Power equipments□
ESOTERIC PS-1500 MEXCEL + ESOTERIC 7N-PC9100×2(税別\1,500,000.) 
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/560.html
http://www.teac.co.jp/audio/esoteric/7npc9100/index.html
………………………………………………………………………………
                ▽ ▽ ▽

PAD Signature Series DOMINUS PLASMA Interconnect/XLR 1.0m (税別\1,200,000.)

                ▽ ▽ ▽
………………………………………………………………………………
JEFFROWLAND COHERENCE 2  (税別\2,400,000.)
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/109.html
http://www.jeffrowland.com/ClassicPreamps.htm
http://www.ohbashoji.co.jp/support/discontinued/file/coherence.pdf
               with
PAD  DC-Power Cable for COHERENCE(with fluid)(税別\680,000.)
               with
H.A.L.'s  Original Products“Z-board”(税込み販売価格\57,000.)
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/fan/BZ-bord.html
               with
PAD  T.I.P(Total Isolation Platform)
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/107.html
               with
Project H.A.L.C. H.C/3M (税込み販売価格 \560,000.)
http://www.dynamicaudio.jp/audio/halc/index.html

        □Power equipments□
ESOTERIC PS-1500 MEXCEL(税別\900,000.) 
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/560.html
               and
ESOTERIC 7N-PC9100(税別\350,000.)
http://www.teac.co.jp/audio/esoteric/7npc9100/index.html
               and
H.A.L.'s  Original Products“P-board”(税込み販売価格\68,000.)
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/508.html
………………………………………………………………………………
                ▽ ▽ ▽

PAD Signature Series DOMINUS PLASMA Interconnect/XLR 10.0m (税別\2,460,000.)

                ▽ ▽ ▽
………………………………………………………………………………
B&W  Nautilus専用ch/Divider *現在は付属品として輸入されていません。
               with
PAD  T.I.P(Total Isolation Platform)
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/107.html               with
SAP  RELAXA2PLUS
http://www.yukimu.com/products/SAP/RELAXA2PLUS/relaxa2plus.html
               with
zoethecus z.3/R(cherry)+z.slab×3 - 2set(税別 \768,000.)       
http://www.axiss.co.jp/fzeoth.html

        □Power equipments□
TRANSPARENT PIMM+PLMM×2set(税別\1,440,000.)
http://www.axiss.co.jp/transparentlineup.html#POWER
………………………………………………………………………………
                ▽ ▽ ▽

STEALTH Indra Dynamic Audio 5555 HAL.XLR(1.0m)×4Pair(税別\5,072,000.)
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/315.html

                ▽ ▽ ▽
………………………………………………………………………………
JEFFROWLAND MODEL 12 ×4set  (税別\10,400,000.)
http://www.jeffrowland.com/ClassicAmps.htm
http://www.ohbashoji.co.jp/support/discontinued/file/model12-10.pdf
               with
zoethecus z.2/R(cherry)+z.slab×2 - 2set(税別 \512,000.)       
http://www.axiss.co.jp/fzeoth.html

        □Power equipments□
PAD Signature Series AC DOMINUS PLASMA(20A)×4(税別\1,560,000.)
               and
TRANSPARENT PIMM×4(税別\1,920,000.)
http://www.axiss.co.jp/transparentlineup.html#POWER
………………………………………………………………………………

                ▽ ▽ ▽

………………………………………………………………………………
B&W Nautilus / Black  (税別\11,000,000.) 2007年7月1日より
http://www.bwspeakers.jp/news/nautilus01.html
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/514.html
               with
murata ES-103B(税別\240,000.)
http://www.murata.co.jp/speaker/tw/index.html
               and
PAD  ALTEUS SUPER TWEETER CABLE 5.0m (税別\236,000.)
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/181.html
………………………………………………………………………………


       □ Rear Channel System □

………………………………………………………………………………
ESOTERIC G-0Rb(税別\1,350,000.)
http://www.teac.co.jp/audio/esoteric/g0rb/index.html
               with
JORMA DIGITAL/SMB-SMB for Internal Wire(税別\88,000.)
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/545.html
               with
PAD  T.I.P(Total Isolation Platform)
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/107.html
               with
zoethecus z.3/R(cherry)+z.slab×3 (税別 \384,000.)          
http://www.axiss.co.jp/fzeoth.html

        □Power equipments□
ESOTERIC PS-1500 MEXCEL(税別\900,000.) 
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/560.html
               and
ESOTERIC 7N-PC9100×2(税別\700,000.)
http://www.teac.co.jp/audio/esoteric/7npc9100/index.html
               and
H.A.L.'s  Original Products“P-board”(税込み販売価格\68,000.)
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/508.html
………………………………………………………………………………
                ▽ ▽ ▽

ESOTERIC 7N-DA6100BNC×3(税別\720,000.)→Wordsync-for ESOTERIC D-01×2
http://www.teac.co.jp/audio/esoteric/7nda6000/index.html

                ▽ ▽ ▽
………………………………………………………………………………
ESOTERIC P-01+VUK-P01(税別\2,500,000.)
http://www.teac.co.jp/audio/esoteric/p01_d01/index.html
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/576.html
               with
PAD  T.I.P(Total Isolation Platform)
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/107.html
               with
PAD  DC-Power Cable for P0(with fluid)(税別\1,520,000.)
               with
Project H.A.L.C. H.C/3M (税込み販売価格 \560,000.)
http://www.dynamicaudio.jp/audio/halc/index.html

        □Power equipments□
ESOTERIC PS-1500 MEXCEL(税別\900,000.) 
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/560.html
               and
ESOTERIC 7N-PC9100×2(税別\700,000.)
http://www.teac.co.jp/audio/esoteric/7npc9100/index.html
               and
H.A.L.'s  Original Products“P-board”(税込み販売価格\68,000.)
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/508.html
………………………………………………………………………………
                ▽ ▽ ▽

ESOTERIC 7N-DA6300 XLR 1.5m×2 Dual AES/EBU(税別\820,000.)
http://www.teac.co.jp/audio/esoteric/7nda6300/index.html

                ▽ ▽ ▽
………………………………………………………………………………
ESOTERIC D-01×2(税別\2,200,000.)
http://www.teac.co.jp/audio/esoteric/p01_d01/index.html

        □Power equipments□
TRANSPARENT PIMM+PLMM(税別\720,000.)
http://www.axiss.co.jp/transparentlineup.html#POWER
………………………………………………………………………………
                ▽ ▽ ▽

ESOTERIC 7N-A2500 XLR 1.0m×2 (税別\360,000.)
http://www.teac.co.jp/audio/esoteric/7na2500/index.html

                ▽ ▽ ▽
………………………………………………………………………………
JEFFROWLAND Concerto Pre  (税別\700,000.)
http://www.ohbashoji.co.jp/support/discontinued/file/concerto-pre.pdf

        □Power equipments□
TRANSPARENT PIMM+PLMM(税別\720,000.)
http://www.axiss.co.jp/transparentlineup.html#POWER
………………………………………………………………………………
                ▽ ▽ ▽

ESOTERIC 7N-A2500 XLR 1.0m×2 (税別\360,000.)
http://www.teac.co.jp/audio/esoteric/7na2500/index.html

                ▽ ▽ ▽
………………………………………………………………………………
JEFFROWLAND MODEL 501 (税別\1,300,000.)
http://www.ohbashoji.co.jp/products/jrdg/model501/

        □Power equipments□
TRANSPARENT PIMM+PLMM×2set(税別\1,440,000.)
http://www.axiss.co.jp/transparentlineup.html#POWER
………………………………………………………………………………
                ▽ ▽ ▽

JORMA DESIGN No.1 BIW(3m+7m特注)(税別\1,234,000.)
http://www.cs-field.co.jp/jormadesign/jormadesignmain.htm

                ▽ ▽ ▽
………………………………………………………………………………
VIVID AUDIO B-1(SAHARA FINISH)(税別\2,000,000.)
http://www.stellavox-japan.co.jp/products/vividaudio/
               with
特注キャスター付きスピーカーベース(税込み販売価格\126,000.)
http://www.dynamicaudio.jp/file/080525/80.jpg
http://www.dynamicaudio.jp/file/080525/83.jpg
………………………………………………………………………………

当日は到着早々に茶菓のおもてなしを頂き、恐縮しながら先ず要所の撮影を
させて頂いた。お仕事の関係上、週末はお努めが忙しく平日の午前中からお伺
いすることになったものだが、ついつい膝を崩して世間話に時を忘れてしまう。

多忙を極める日々において、この贅沢な音楽の部屋に入れるのは二日に一遍と
いうペースだという。しかし、ご住職というお仕事柄ゆえに精神的な面での
ご苦労は並々ならぬものがあり、本当に自分一人で開放感に浸り好きな音楽で
ストレス発散を求められるということは大いに理解できるものである。
G.S 様にとっては欠かすことのできない気分転換のひと時であるという。

であるがゆえに、このシステムの音質を年々磨き上げていくという情熱は他人
の想像以上にG.S 様にとって大きく意義深いものとなっている。

そんなG.S 様の思いが正しく再生音に表れていてこそ、今度は“私のお努め”
が重要となってくるのだ、という思いが一種の使命感として訪問の意味を高め
ることになった。

さて、試聴を開始する段階でNautilusの配置はこの↓ようになっていた。

http://www.dynamicaudio.jp/file/080525/58.jpg

            -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

G.S 様がお好きなオーケストラということで、これまでの訪問事例とは違い
最初から私も試聴のポイントは絞り込んであった。当然、最初の曲はこれだ。

■マーラー交響曲第一番「巨人」小澤征爾/ボストン交響楽団第二楽章

P-01とCOHERENCEのリモコンを両手に持って、普段G.S 様がおかけになってい
る椅子に座らせて頂いた。室内の半分は畳というインテリアであり、その畳の
上に和風の椅子を置かれているので畳の上にはくっきりと椅子の跡が残っている。

私の脳裏には様々な組み合わせで聴いてきたNautilusの記憶のファイルが膨大
な厚みになっており、この↓随筆のように多数のメーカーが作りだしたエレク
トロニクス・コンポーネントで鳴らしたNautilusの音は生涯の記憶となって
今でも鮮明に思い出すことができる。

http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/oto/oto39.html

それは、アンプやプレーヤーがどのように変わろうとも、Nautilusのこの特徴
だけは不変であるという音質のエッセンスであり、その到達点の違いによって
Nautilusというスピーカーはどんどん進化していくという使いこなしの楽しみ
がある。敏感なスピーカーほどこまやかなチューニングの結果を鮮明に音質と
して表現してくれるので、スピーカー以外に投資したパフォーマンスを正確に
音質向上という結果で示してくれる。こういうものを名器というのだろう。

COHERENCE 2のボリュームインジケーターの数字は最大で63.5であり、これま
での幾多の経験からオーケストラであれば50から55くらいで聴きたいというこ
とでボリュームを上げ、P-01で2トラック目をスタートさせた。

「むむ…!! これはどういうことかな〜?」

一分程聴き、再度冒頭から聴き直す。この時点ではG.S 様には何のコメントも
申し上げることなく、私は思わず席を立ってNautilusのウーファーのエッジに
指先で触れ、その次にチャンネルディバイダーとパワーアンプの配線を確認す
るためにラックの後ろをのぞき込んでいた。配線は異常なし、各部のセットも
問題ないようで各コンポーネントとスピーカーの動作には異常はない。

しかし…、この音質はどういうことだろうか!?

ぱっと聴き始めの第一印象でどのような傾向があるかは察知したが、もう少し
確認が必要だ。楽音の質感がどうだろうか、という議論の前に低域から高域に
至る帯域ごとのバランスをオーケストラで認識した私は、その確証をつかむ
べくスタジオ録音の曲で確認することにした。


■MICHAEL BUBLE/1.「Fever」WPCR-11777
http://wmg.jp/artist/michaelbuble/profile.html

冒頭のペース、ドラム、そしてヴォーカルからホーンセクションまで、普段の
G.S 様は全くお聴きにならない選曲で第一印象で感じたアンバランスを確認し
ようと思ったものだ。往々にしてオーケストラで分析した傾向はスタジオ録音
でも推測通りの展開となる。

ここで私はいつものように自分の上半身を前後に傾け、耳とスピーカーの距離
感を変化させて低域の変化を確認する。

「なるほど〜、たった1メートルくらいの違いでもこれほど違うか!!」

まだ判定としてはG.S 様に何もお知らせすることなく症状の確認ということで
私はディスクを交換するタイミングを早めていった。次はこれだ。


■MUSE 1.フィリッパ・ジョルダーノ/ハバネラ
http://www.universal-music.co.jp/classics/refresh/muse/muse.html

中高域のヴォーカルの質感や空間表現という各論はさておいて、サブソニック
帯域までレスポンスがあるNautilusの本来の音質とはどういうものなのか、
先ず帯域バランスのあり方を吟味しなければ追い込みようがない。

この曲では一定のリズムでズシーンとセンターに響くドラムの質感を注視して
私は二分程度聴き、自分の分析がほぼ間違いないという確信に近づいた。次だ。


■DIANA KRALL 「LOVE SCENES」11.My Love Is(MVCI-24004)
http://www.universal-music.co.jp/jazz/artist/diana/disco.html

この曲も訪問時の七つ道具のような定番となっている。ただ、この時に私が
チェックしたかったのは例のDIANA KRALLが指を鳴らす音ではなく、真っ向か
らクリスチャン・マクプライドのウッドベースの質感だった。ドラムという
区切れ区切れに発せられる低音ではなく、ピッチカートの立ち上がりから開放
弦のダイナミックな量感をも含む連続した低音がポイントだった。

「なるほど〜、そういうことか!!」

ホームドクターが聴診器を当てて診察し、その症状から診断を下すように私は
いつものディスクを聴き進むうちにルームアコースティックの特徴が次第に
わかり始めたものだった。

そこで、そろそろこれから行うことの意味と現状認識ということで、これらの
テスト曲を使ってG.S 様に実体験して頂くことにした。

            -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

先ず、私の分析だが、最初に聴いたマーラーの一番の冒頭の再生音で傾向を
察知し、それを裏付けるためにスタジオ録音の三曲を次々に聴いて分かって
きたこと。それは、あれだけの低域の再生能力を持っているNautilusにして
G.S 様のお部屋では再生周波数帯域が下がれば下がるほどリスナーに届く低域
の量感が減少してしまっているという現象だった。ただ、これは繰り返すが
コンポーネントとスピーカーの動作と性能には問題はないということが重要だ。

私はDIANA KRALLとフィリッパ・ジョルダーノの二曲を使ってG.S 様に実際の
違いをお聴き頂くことにした。システムのセッティングは全く変更せず、先ず
リスニングポジションによって低域のレスポンスがこれほど違うということを。

「G.S 様、まずいつもの椅子で、次に1メートル程前で、私が同じ音量で同じ
 パートをリピートしますので低域を注視して比較してみてください。」

G.S 様が普段聴かれている椅子で、そして一歩前進した畳の上で、合計4回に
渡り一曲ずつ同じ低音楽器の演奏を聴いて頂いた。

「あ〜、確かに違いますね。こんなことってあるんですね!!」

はい、先ずここで言えることは一歩前進した位置において、フィリッパ・ジョ
ルダーノの曲で叩かれるドラムの音質は、いつもの椅子の位置よりも重厚さと
量感の両方が低音に加わってきます。いや、むしろこちらの方が正しい低音の
バランスと言えます。

つまり、いつも聴いている椅子の位置では低音の伝送特性で低域が吸収される
傾向にあるということです。この曲のドラムという一例の再生周波数帯域では
明らかに前方の位置での低音の方が充実していますね。しかし…!!

ここからが厄介なところなのだが、今度はDIANA KRALLのクリスチャン・マク
プライドのウッドベースというサンプルで同じ実験をして頂くと結果は逆に
なってしまうのである。つまり、一歩前よりもいつもの定位置の方が低音の
量感と重量感に優れるという傾向が感じられるのです。大切なのは、この両方
の現象をG.S 様に体験し確認して頂いたということです。

この相反する現象はサンプルとして試聴した低音楽器の周波数帯域と楽音の
成り立ちとして含まれる倍音成分の違いということもあり、同時にもっと大切
な要素はスピーカーとの距離だけが問題ではないということです。

実際にスピーカーとの距離を変化させても傾向は一致せず相反する特徴を聴く
ということになりました。これは再生音の周波数スペクトラムの分布が違うと
いうこととルームアコースティックの特徴が相互作用となっていたずらしてい
るからです。

さて、ではこのような特異な傾向をどのように修正していくのか!?

グラフィックイコライザーやデジタルフィルターを使って電気的に周波数特性
を変化させるということに私は否定的な考えを持っています。

スピーカーから放射された音波が耳に到達するまでの過程で、つまりリスニン
グルームという空間を伝わってくる間に室内の影響を受け、同時に低域に関し
てはリスニングポジションによって波長の長い音波の量感に大きな変化が出る
ということは承知していました。

周波数特性をコントロールする手段がコンポーネントそのものの機能として
ない場合に、低域の質感をどのように変化させていくというのか!?

G.S 様のオーディオルームは約60センチ程の間隔を開けて二枚のドアを開閉し
て入室します。言いかえれば、廊下とオーディオルームとを隔てる壁はそれだ
けの厚みがあるということ。それは一面だけではなく四方の壁面に関しても
同様であり、十分な遮音・防音対策が施されている。

次に室内に平行面をなくし音波の拡散も意識した内装であり、しかし畳敷きと
いうことから床面では高い周波数は反射するが低い周波数に対しては吸音され
る特徴がある。これらの傾向を踏まえて診断から治療へと進めていく。

「音圧は距離の二乗に反比例して減衰する」という大原則は周波数には関係な
いということを前提に、一切の道具を使わずにNautilusの発した低域が正確に
リスナーに届くようにするたにはどうしたらいいのか。

            -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

DIANA KRALLとフィリッパ・ジョルダーノの二曲を使って調整を行うことにした。

先ずはキャスターで大変簡単に動かすことのできるNautilusだが、最初の位置
から思い切って約80センチ程後方の壁に近づける。これは前後の移動だけで
左右のNautilusの間隔は変えないでおく。この位置で二曲を各々比較していく。

「うん、やっぱりそうだ!! これでいい!!」

非常に単純なことなのに気がつかなければ、ずっこのままだったのか…!?

壁に接近させたことによって低域の反射効率が良くなる。同時に畳からも距離
ができるのでフローリングの床面がNautilusの手前に広がってくる。この際に
大切なことは室内の壁面の構造がしっかりしていないと反射音の周波数特性が
変調を受けてしまうということだが、さすがにしっかり作られた壁は叩くと
低い周波数の打音が返ってくるので剛性が十分な壁であることがわかる。

ここでテスト曲を変えて再度オーケストラを聴くが、思った通りの変化の兆し
に私は内心でほくそ笑んでしまった。コントラバスとチェロのパートが以前
よりも充実し、量感と重量感を次第に回復してきた低弦楽器がつながるように
なってきた。300Hzから150Hzくらいのレスポンスが感じられるようになって
きたことで進むべき方向に間違いはないという自信が得られた。しかし…

「オーケストラにおける低音の量感と重量感の変化の可能性は見えてきたが、
 スタジオ録音のテスト曲でもきっちり解像度を維持しておかなくては…」

実は、この思いにはもう一つの低域の修正方法があるというこで課題を残して
いたということだ。それは、左右のウーファーの距離、間隔を狭めて接近させ
ることでアンプのボリューム設定は同じでも量感が変化するというノウハウだ。

私はこの方法にも賭けてみることにした。いったん大きく後退させたNautilus
を今度は逆に手前に10センチ程引き出し、クロスセッティングさせている角度
を意識してパワーアンプのラックのコーナーに接近させることで左右の間隔を
60センチ程狭めるようにした。さあ、どうなるか!?

「あっ!ウッドベースの輪郭が出てきたぞ!ドラムの立ち上がりが加速したぞ!!」

スタジオ録音のテスト曲ではバッチリ解像度の向上ということで正解が出た!!
さあ、ここでオーケストラでもチェックしておこう。

「おー!!ボリュームは変えていないのに、低域の充実感が更に1ランクアップしたぞ!!」

左右のウーファーを接近させることで不思議な事に低域の音圧感も向上する。
10センチ単位の調整に素直に反応してくれるというのはNautilusの素晴らしさ
の一つだろう!!と、しみじみ感心してしまった。いいですね〜やっぱり!!

            -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

全帯域において球面波を発生する理想のスピーカーとはNautilusのことだが、
この特異な放射パターンが音場感を創生する最大要因でもあり、4wayの各ドラ
イバーがオーバーラップしながらも共同作業でひとつの楽音を同様な球面波で
送り出すという仕事をしている。

これは四角い箱に丸いスピーカーユニットをはめ込んだというスピーカーには
到底真似のできないことだが、四角いスピーカーの真正面で聴くリズム楽器に
もそれなりの説得力がある。つまり、バッフル効果を伴って平面波として突進
してくる打撃音などは好意的に受け取られる場合があるということだ。そして
Nautilusは音源の全く存在しない中空にあらゆる楽音を定位させ、いわば何も
身に付けていない「裸の低音」というイメージの低域を再生するのである。

この特徴を踏まえて、低音楽器にある種の個体感を持たせて輪郭の再現性を
高めていくという使いこなしには左右間隔以外にもう一つのポイントがある。

そう、Nautilusならではのクロスセッティングの角度だ。私は、二段階の変化
をリプレースメントによって確認してきたが、次は左右Nautilusの主軸が交差
する角度を再度調整することにした。

このNautilusの角度調整は実のところ低域だけでなく、全帯域での質感を変化
させるものであり、キャスターベースを使用することで本当に容易にできる
ようになった。この角度の調整は今までの室内空間における伝送周波数特性の
調整というよりは、むしろ立体感、空間表現、奥行き感、各楽音の間隔という
音場感のあり方全体に変化をもたらすものであり、オーナーの楽しみでもある。

さあ、文章では縷々述べてきたが、私の行ったセッティングの変化を写真で
ご覧頂くとこのようになる!!

http://www.dynamicaudio.jp/file/080525/58.jpg 調整前の状態
        ↓↓↓↓
http://www.dynamicaudio.jp/file/080525/95.jpg 調整後の状態

たったこれだけのこと!?

はい、結果から見ればそれだけのことです。ただし、スーパートゥイーター
murata ES-103Bのポジションに関してはちょっとこだわりがありました。

元来のスーパートゥイーターの目的は楽音の質感向上と音場感の拡大という
ことにあり、その意味ではオーケストラを中心として楽しまれているG.S 様の
お好みからすればサウンドステージのサイズを縮小してはいけないという配慮
からNautilusの位置関係よりも広めにセットしたものです。念のため。

私が訪問する目的は使いこなしであって商品の売り込みではありません。
何かを追加して音質が変わるということを提案したいのであればハルズモニ
ターという方法がありますから!!

何も使わず一切のお金をかけず、皆様が購入されたものだけを使い、そして
それらが本当に有効に機能しているかどうかというこを確認させて頂くのが
Sound checkの目的なのです。それが使いこなしというものだと思います!!

そして、Nautilusシステムという錚々たるコンポーネントたちが実現しなけれ
ばいけないパフォーマンスレベルというシステム全体の価値観を、あるべき
状態に復元するという意味合いにおいては、電気的な調整手段ではなく使い
こなしによって本来の能力と魅力を引き出すというノウハウに大きな意味が
ある。しかし、まだ終わりではない!!

Nautilusのリプレースメントとして低域の質感が回復したということは事実
なのだが、もうひとつのチェックポイントがあった。それはG.S 様がこれまで
座っておられた椅子のポジションが果たして良いかどうか、という問題である。

結果的にNautilusは約60センチほど遠くなったということなのだが、その位置
においても低域の伝送特性はリスニングポジションによっても変化している。

私はフロントチャンネルの再調整を進めていく際に、実は同時進行でG.S 様の
以前の椅子の位置における変化と調整後に選択すべきリスニングポジションも
吟味しておいたのである。

不思議なこと、あるいは当然のように思われること、と両方の解釈があるが
調整後では以前の椅子も同様に60センチほど前方に移動した方が良かった。
これも私は事前に何も告げずにG.S 様の耳によって確認して頂くことにした。

理由は何も説明せずに、以前の位置と前方に移動したときを聴き比べて頂く。

「あ〜、川又さん、こっちの方がいいですよ。私もそうかな〜と思ってはいた
 のですが、やっぱりそうだったんですか!!これで安心しました。」

と、きっちりご自身の耳で確認して頂き、リスニングポジションも調整完了!!

            -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

さあ、この日私がお伺いするまでG.S 様が聴いておられたオーケストラと比較
してどのように変化したのか!!

■マーラー交響曲第一番「巨人」小澤征爾/ボストン交響楽団第二楽章

冒頭の弦楽器群の重厚なアルコの繰り返しによる、左右からのうねりのように
脈動するような弦楽器がきれいにつながってきました。コントラバスの響きが
明確に右手後方のから押し寄せてくる感じと、チェロとビオラが近接した音階
を多数のレイヤーで繰り広げる展開。しかも、それら多数の弦楽器があくまで
も一人ずつ独立した奏者であることを明確に聴かせてくれる解像度との共存。
これでこそ、Nautilusの面目躍如たる演奏です!!


■セミヨン・ビシュコフ指揮/パリ管弦楽団 ビゼー「アルルの女」「カル
 メン」の両組曲から1.前奏曲8.ファランドール

これでオーケストラの再生音に自信が持てるようになりました。
続けてもう一枚でNautilusのオーケストラを聴いてみることにしました。

「おー!! これですよこれ!! 前奏曲での弦楽器の合奏の重厚さ。これは低域が
 しっかり支えてくれてこその演奏であり、これこそ本来のNautilusです!!」

二時間前の音質とは全く異なるイメージでファランドールの管楽器が冴え、
パーカッションの距離感が弦楽器を超えて奥の方から響いてくる快感はさすが。

テスト曲の音質表現は今までに何回も文章化してきたので、ここは結果を優先
して述べれば全く同じシステム構成で得られる低域の充実感と、それによって
もたらされる感動のレベルが数段階向上したと言えるだろう。

ここまでで大よそ二時間ほど経過しており、私もG.S 様の午後のお努めに差し
支えがあるといけないと気になってきたが、調整後の試聴を進めていく中で
またまた私本人が疑問に思うことを発見してしまった。まだ終わりではない!!

今まではオーケストラの根底を支える低域の質感調整ということに気を奪われ
てしまったが、それが解決していく過程においてチラチラと垣間見えた不満。

そして、調整後にゆったりした低音楽器の充実感に満たされるにつれて新たに
感じられてきた今一つというポイントの追求。このままでは帰れない(^^ゞ

「Nautilusとは元来膨らんだり位相が遅れたりするような低域は出さない。
 その意味からも調整後に得られた低域の表現はバランス感覚の問題で必要
 十分というレベルの音量感であり、解像度に優れ輪郭を持った質感だ。

 言いかえれば中高域の楽音がことさら鮮明に聴こえてくるという大前提に
 基づいた調整であったわけだが、それを済ませると余計に高域の質感に
 注目できた。その質感とは…」

このチェックポイントはスタジオ録音では逆にチェックできない要素がある。
そう、G.S 様がお聴きになられるオーケストラという演奏では高域にいま一つ
潤いが物足りないという現象が低域の改善と入れ替わりに耳に付き始めたのだ。

さあ、これはどう対処すべきか?

私は再びG.S 様には理由を告げずにある実験を始めた。使用した曲はこれだ。

■チャイコフスキー:バレエ音楽《くるみ割り人形》op.71 全曲
サンクトペテルブルク・キーロフ管弦楽団、合唱団
指揮: ワレリー・ゲルギエフ CD PHCP-11132
http://www.universal-music.co.jp/classics/gergiev/discography.htm

思いついた対処方法を四つのモードで比較し、私は推薦できるモード設定を
二つに絞り込むというチューニングだった。

どのレーベルの作品でもゲルギエフの録音というのは切れ味が鋭いという特徴
があり、それはG.S 様も気がつかれていた様子。私はG.S 様とラックの間に
中腰で立ち何をやっているかが分からないようにして、二種類の音を出します
から気に入った方を教えてください、とブラインドテストをしかけてみた。

「私は後の方の音質の方がいいですね。こちらの方が好きです!!」

と、ここでもオーナーその人からの結論を引き出すことに成功した。
G.S 様ご本人にそのような回答を誘導するような私のセッティングとはこれだ。

http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/oto/oto53.html

この↑随筆の22ページにその答えがある。高域のニュアンスを変化させると
いうことではNautilusに頼るところは残念ながらない。
と言うよりもスピーカーとして、限りなく入力された信号を忠実に音波に変換
するという使命をもったNautilusは十分に役目を果たしている。

従って、さすがに高域の質感のコントロールはシグナルパスの過程において
対処しなければならないと判断したものだった。

ESOTERIC D-01のDigital FilterのモードはFIR、RDOT、FIR+RDOTのポジション
があるのだが、実はD-01には四つ目のポジションが存在するのである。
写真24でデジタルフィルターのスイッチを押すと、上記の三種類のインジケー
ターが順送りに点灯していくのだが、更にもう一度押すとすべてのランプは
消灯し、デジタルフィルター・オフのモードとなる。

と、随筆から引用したが、このDigital Filterが高域のチューニングに関して
隠されたキーとなっていた。私は上記の四つのモードをすべて聴き比べた上で
G.S 様に二者択一の比較試聴をして頂き、その結果は私の想定通りとなった。

今までは私も自分の試聴室での判断としてはDigital Filter/OFFのモードが
最も評価すべき音質だと思ってきた。それは伸びやかな高域の情報量によって
音場感が広大に広がっていくという認識からであり、上記の随筆の32ページで
述べている分析は今も変わりない。

しかし、その開放感と伸びやかさが場合によっては強い光がまぶしいような、
目を細めたくなるようなケースもあるということなのだろう。私がG.S 様に
お願いしたブラインドテストとは、以前から聴いていたDigital Filter/OFFと
FIR+RDOTのポジションとの比較であり、課題曲を聴いてG.S 様が選択されたの
は何とFIR+RDOTだった!!

これは、私がFIR、RDOT、FIR+RDOTという三種類を比較して推薦として残した
ポジションであり、FIR、RDOT、の両者では高域のニュアンスを抑圧するよう
な傾向が強かったために選択はしなかった。これまでの調整過程において私が
確認したことをG.S 様にも実体験して頂き、音質調整の着目点に気がつかれた
G.S 様なら多分こちらを選択するであろうという私の読みが的中したのだった。

鋭く切り込むようでありながら柔軟性ある質感も含み《くるみ割り人形》の
各パートでの弦楽器のしなやかさ、対称的なピッコロの鋭い切れ味、ホール
エコーを存分に含んだ弦楽器のピッチカート、これらが絶妙に絡み合う中で
私が程良いさじ加減として候補に残しておいたモード設定だが、もしもG.S 様
が気に入って下さらなかったら更に時間がかかっていたことでだろう。

しかし、G.S 様の好みを推測し的中させるというのは正しくホームドクターと
しての腕の見せ所でした。それが功を奏して私も内心では大きく安堵のため息
をついていたものでした。G.S 様の笑顔を見て、お伺いして本当に良かった!!

            -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

さて、最も重要であり、これなくしては4チャンネル再生の基本が成し得ない
という最大のポイント、フロントチャンネルの音質を何とか調整することが
出来ました。それでは、訪問時間を延長してせっかくの4.0chの演奏を最後に
聴かせて頂きましょう!!

ということで、実は私もこれがゴールであろうと想定して以前にテストに使用
したSACDを二枚ほど持参していったのでした。その一枚がこれ。

http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/333.html

ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 指揮:ワレリー・ゲルギエフによる
ムソルグスキー:組曲《展覧会の絵》他、のディスクでした。これをwebでは
全文公開をしていないのですが、ハルズサークルの会員の皆様でしたらバック
ナンバーNo.1050をぜひ再読して頂ければと思います。

http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/330.html

もとよりG.S 様が4ch再生を志したのは↑ここから始まったものでしたが、
フロントとリアーの両方を同時にボリュームコントロールできる高品位な
プリアンプがあればいいのだが、残念ながら私のお眼鏡にかなうものがなく
G.S 様のシステムでも前述のようにJEFFROWLANDの2chプリアンプを一台増設
して頂くことで実現したものだった。

フロントのJEFFROWLAND COHERENCE 2ではボリューム最大値のカウンターは
63.5、そしてリアのJEFFROWLAND Concerto Preでは同じく最大値は99.5という
数字になり、両者はともに同じリモコンで反応するのだが同じ数字では実際の
音量は違ってしまう。

これを最初にG.S 様にもご説明したが、厄介なことにSACDのサラウンド録音は
ディスクによってリアとフロントのバランスが違うので経験によって一枚ずつ
微調整する必要がある。

そのポイントとしてはオーケストラなどのホール録音では2ch再生でミックス
ダウンされた曲ではリアはほんの余韻感程度の音量として、決して前方の
ステージにあるべき楽器の定位感が後方に移動するような聴こえ方ではいけな
いというものです。

それをG.S 様のシステムにおいてプリアンプのボリュームの数値で試すと…。
フロントのCOHERENCE 2では50〜55程度だとすると、リアのConcerto Preでは
50〜60程度という範囲が適当と言える。

このボリューム感覚を前提にして《展覧会の絵》の冒頭でトランペットが響く
プロムナードを聴き始めた。

「いや〜、素晴らしいですね〜!!」

これは私の胸のうちのセリフであって声に出したものではない。トランペット
の連続する楽音が2chだけだと突き刺さるような鋭さを含み、またこれが快感
とも言える解像度の極みなのだが、想像でしかないムジークフェラインという
広大な空間を余韻感が満たし、Nautilusの発したトランペットの音が私の頭上
を滑るようにして後方にエコー感を運んでいくという空間の連鎖は久しぶりの
感動であった。

NautilusとVIVID AUDIO B-1のコンビネーションはざっと15年の歳月を経て、
日本という国で見事な融合を果たすとは設計者Laurence Dickie当人も想像
出来なかったことだろう。この音場感にうっとりしつつ時間の許す限り聴き
続けていたかった!!

http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/334.html

さあ、もう一曲これ↑をぜひ聴きたかった。G.S 様の趣味とは全く違うSting
が抜群のセンスで立体キャンパスに描いた音場感、いや楽器各々が私の全方位
に定位するというオーケストラとは視点が全く違う4ch再生の醍醐味だ。

これに関してはバックナンバーNo.1051に詳細を述べているので、お時間が
あればぜひ再読頂ければと思う。まずは1.INSIDE から。楽音の配置が2chから
4chへと変化した時にフロントのNautilusから飛び出してリアスピーカーの
性能を試すように後方に定位して展開するダイナミックさ!! これはいい!!

次は私がこのディスクでお気に入りの一曲、7.FORGET ABOUT THE FUTUREだ。
「Yes, ma'am 」という女性の声がフロントからリアへ定位を変えて飛び出す
変化は4ch再生の醍醐味。ただし、スタジオ録音のポップスではバランスが
大きく異なり、この場合にはフロントのCOHERENCE 2では少し抑えて45〜50
程度とすると、リアのConcerto Preでは逆に65〜70程度まで思い切ってリア
チャンネルは持ち上げてやるのがコツというもの。

そして、深ぶかとした重厚なシンセベースをNautilusのウーファーがえぐるよ
うにして叩き出すと、VIVID AUDIO B-1はそれにならって完全同期という印象
の低域を私の背後から包み込むように叩き出して来る。この一糸乱れぬ一体感
として私をとり囲む全方位にキャンパスが表れ、様々な楽器が極彩色の定位感
として飛び交うように私の頭上で交差していく。これが実に気持ちいい!!

4ch再生で最後の締めくくりと診察をしていると、G.S 様から更なる課題が…。

「川又さん、リアチャンネルのD-01ではDigital Filterのモードはどうしたら
 いいでしょうか? 」

はい、ごもっともな質問です。私は再度ディスクを《展覧会の絵》に戻して
冒頭のトランペットがホールエコーを良く聴かせてくれるので、FIR、RDOT、
FIR+RDOT、それにDigital Filter/OFFという四種類を順番に聴いていった。

Nautilusの高域特性と更にスーパートゥイーターmurata ES-103Bという存在を
配慮しつつ、リアチャンネルの傾向としても余韻感の存続性を大事にしたいと
いうことから、試聴の結果フロントチャンネルと同じFIR+RDOTを推奨しました。

これは微妙な判断なので、敢えてリアチャンネルの音量を少し大きくして聴き、
VIVID AUDIO B-1の反応を見たものでした。ただし、リアスピーカーを接近
させてということであればRDOTのポジションでも良いと思います。参考まで。

いや〜、気が付いてみるとこんなに時間が経ってしまいました。
でも、聴けば聴くほど課題が見つかり、的確な対症療法ができたというこで
良かったと思います。

最後に、最寄駅までわざわざお車でお送り頂きまして本当にありがとうござい
ました。G.S 様のお心遣いに感謝しつつ東京を目指して帰路につきました。

            -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

人間は音楽に何を求めるのか?

そして、オーディオは人々に何を与えてくれるのか?

音楽とオーディオを神仏と置き換えれば、G.S 様のお努めは信仰の中で同様な
答えを人々にもたらすことかとお察し致します。

そのG.S 様の心中には当然信仰の象徴となるものがあられるはずです。

私はG.S 様のオーディオルームの設計から完成まで、オーディオシステムの
販売と並行して携わらせて頂きましたが、お部屋の中心にご本尊を据えられて
いることを新築当時から拝見しておりました。↓こちらです。

http://www.dynamicaudio.jp/file/080525/93.jpg 「釈迦牟尼世尊」立像

目を見張るほどの精巧な彫刻と、たおやかであり安らかな表情のご本尊は
ずっとG.S 様とNautilusシステムを見守って下さることでしょう。

冒頭で… Nautilusよ永遠なれ!!

と述べた一言はスピーカーとしての魅力と完成度によってオーナー皆様の所有
する満足感を半永久的なものとして位置付けされるだろうという私の願いでも
あります。

そして、その意味で最も大切なことは、Nautilusにふさわしい音質をユーザー
の手元において実現しなければならないという教訓でした。

私も今回の訪問で大変勉強させて頂きました。そして、自分が習得してきた
ノウハウによってNautilusが蘇ったという喜びにも通じるものです。

私は、そこまで追求したいし責任を持ちたいと考えています。

今回の訪問でG.S 様と「釈迦牟尼世尊」から、そしてNautilusシステムから
お教え頂いた多くのことは今後の私のライフワークに大きな教訓として役に
たってくれることでしょう。

ありがとうございました。

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かれこれ三時間以上かかってしまいましたが、いわばオーディオシステムの
音質を往診させて頂くというSound checkの目的としては大変有意義であった
と思います。そして、帰社してからG.S 様よりお電話を頂戴しました。
(G.S 様はeメールは読まれますが、返信はなさらない方なのです)

「川又さんがお帰りになってからもずっと聴き続けていました。
 同じNautilusかと思われるくらいに低音が聴こえるようになり、今までに
 ないくらいに感動しています。本当にありがとうございました。」

という生の声を頂戴しました。お礼を申し上げるのは私の方でございます。

私が訪問先で先ず最初に観察するのはルームアコースティックです。

次に、その環境の中でスピーカーとリスナーの関係が正しいかどうかをチェックします。

これが出来ていないと、いくら高価な装置でも本領を発揮しません。
そして、自分ではやっているつもりでも客観的な診断をしてもらうことで、
自分が良しとしたことに自信を持って頂くこともSound checkの目的の一つです。

Sound checkとは先ず現状認識から入り、その現象をご本人に自覚して頂ける
ように実験によって証明し、できればお金をかけないで調整していけるように
アドバイスさせて頂くことが主目的です。

どうぞ、こんな活動を皆様にもご利用頂ければと願っております。

そのためには、先ずはハルズサークルにご入会下さい。


HAL's Hearing Report