《H.A.L.'s Monitor Report-Viard audiodesign》


No.0513 - 2011/1/7

東京都武蔵野市 Y.Y 様より

Vol.3「響きが長い割にはそれが混濁せず透明度の高い音場を見せる!!」
 
川又様
 
昨年末から今年年始にかけて貸し出し頂いた上記ケーブルモニター品の試聴記
をお送り致します。 
 
お貸し出し頂いたケーブルおよび試聴に使用するシステムは以下。
 
  Unbalanced Line(1.5m) 
  Speaker(Silver HD20 3.0m)アンプ側バナナ SP側Y-ラグ   
  http://www.viardaudiodesign.com/produits.html
 
  SACDプレーヤー  Luxman D-06 (Luxman JPA-15000)
  プリメインアンプ Goldmund Telos 390.2 (Esoteric 7N-PC7300)
  スピーカー    Josef Audio Pulser
  周辺機器     RGPC 400 Pro (Kimber Kable PK-10G)
           KRIPTONオーディオボード
           Irungoインシュレーター 等々
 
お貸し頂いたUnbalanced LineをSACDプレーヤーとプリメインアンプ間に現在
使用中のJ社ラインケーブル(No.2 RCA)の代わりに使用、またSpeaker Silver 
HD20を現在使用中のH社SPケーブルの代わりに使用し、そのBefore & Afterを
比較しました。
 
また、試聴したソースは下記の通り、全てクラッシック音楽です。
 
 ★シューベルト ピアノ五重奏曲『ます』  (SACD)
  田部京子+カルミナ四重奏団        DENON COGC-31 
 ★ヴィヴァルディ『四季』         (CD)
  カルミニョーラ+マルカソロイスツ     Brilliant 93091
 ★チャイコフスキー ヴァイオリン協奏曲  (HQCD)
  神尾真由子+ザンデルリンク+ハレ管弦楽団 RCA SICC-1413
 ★ベートーヴェン ピアノ協奏曲第4番   (CD) 
  ブレンデル+ラトル+ウィーンフィル    DECCA 478 0349
 ★ブラームス 交響曲第1番        (CD) 
  ベーム+ウィーンフィル          DG UCCG-3629
 ★マーラー 交響曲第1番『巨人』     (SACD)
  M.T.トーマス+サンフランシスコSO     R 21936-0002-2 
 ★ストラヴィンスキー『火の鳥』      (SACD)
  ヤンソンス+ロイヤルコンセルトヘボウ   RCO 08002
 ★モーツァルト レクイエム        (SACD+SHM-CD)
  ベーム+ウィーンフィル          DG UCGG-9003
 
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『ます』では、ピアノの響きがやや多めに感じ、その為ストップペダルの動き
が不鮮明になる時がありましたが、音色には統一感があって好印象でした。
 
同じピアノでも、ベートーヴェンの協奏曲は、右手小指に独特の音色のある
録音ですが、響きの質と長さが全体域に亘って安定しているため、うまく
まとまり自然な表現になりました。
 
『四季』ではガット弦の松脂が飛んでくるようなリアルさと通奏低音がブンブン
と鳴る様は圧倒的です。
 
チャイコフスキーのV協は神尾真由子の一種泥臭いロシア流コブシが十分に
表現された演奏になりました。オケとソロのバランスは申し分なく音場もリアルです。
 
ストラディヴァリウスの華麗な音が、ともすると綺麗なだけに終わってしまい
勝ちなこのソースですが、陰影の深い音になりました。
 
ベームのブラームスの交響曲は小生の保有するソースの中でも最も再生の難し
いソースです(それゆえ試聴の際に良く使う)。リマスターの失敗作の代表みた
いなソースですが、そこそこ無難に演奏できたのではないかと思います。
中低域の響きが高域の雑味をうまくカバーした結果だろうと思われます。
 
MTTのマーラーシリーズは録音も演奏も素晴らしく、中でも『巨人』は最も
高度な出来栄えだと思います。オーケストラが壁面に整然と並び各楽器が生々
しく展開します。
 
小生のシンプルシステムで聴いても、あたかも演奏会場の前列5列目ぐらいの
ところで聴いているような錯覚を起させる演奏でした。
 
川又さんが良く使用される小沢+BSOの演奏もよくできた録音だと思いますが、
Viardで聴くMTT+SFOの録音のリアルさはちょっと類を見ない演奏だと思います。
 
同様にストラヴィンスキーでも、ライブながら最新録音のハイレベルな写実感
が良く出ており、オケがやや遠めに展開する録音ですが、各楽器の音色にそれ
らしい実在感を出しているところは流石です。
 
木管楽器が哀愁を帯びた音色でメロディーを奏でたあと突如大太鼓とともに
オケの全奏が入ってくるのですが、大太鼓の皮が初めに鳴って直後に地鳴りの
する大太鼓の低音が響く様は快感とも言えます。
 
モーツァルトのレクイエムは、今回の試聴で唯一の声楽曲。
シングルレイヤーSACD+SHM-CDによるソフトの改善効果もあると思いますが、
元々少しひび割れ気味な女性陣の声が自然に鳴りました。
 
各ソースごとの印象は以上ですが、全体的には低域から高域に亘る音色に統一
感があり、エネルギーバランスも整っていると感じました。
 
また響きが長い割にはそれが混濁せず透明度の高い音場を見せてくれたのでは
ないでしょうか。そのため大変音場の見通しが良く、バックのオケが整然と
並ぶ中にソロ楽器がピンポイントで定位する様は圧巻です。
 
傾向としては(J社品に比べ)音像は前に出てくる方だと思います。
ピアノという音階が広くかつ倍音成分の多い楽器においても左手から右手に
至るまでの音色に統一感を持たせながら倍音成分をきちんと表現していること
も生半可な製品にはないところだと思います。
 
ケーブルは両方とも柔らかい白色の高分子樹脂のシースに包まれており、その
径はかなり太めですが、シースの中はケーブル本体がぎっしり詰まっているの
ではなく適度な空間があるので引き回しは大変楽です。
 
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以上、試聴記ですが、冗長・拙文、大変失礼いたしました。最後ですが、今回
の貸し出しによる試聴の機会を頂戴し誠にありがとうございました。
 
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川又より
 
Y.Y様ありがとうございました。初めての投稿にして詳細な分析のポイントを
押さえた評価を頂き感謝しております。
 
私がこのケーブルを推薦する理由は「響きが長い割には…」ここなのです!!
響きを削ってしまうケーブルはありますが、ケーブルの内部で意図的に響きを
作り出すということは不可能であり、聴こえるものは全て情報であるという
考え方で私はケーブルを評価しているからです。
 
響きを作り出すのではなく、伝送する信号にロスがないからこそ信号の純度が
保たれて響きを含んでいる録音であるということが言えるのです。
それをご理解頂けたことを大変嬉しく思っています。
 
さあ、この新進気鋭にしてコストパフォーマンスの優れたケーブルを皆様も
体験してみませんか!?そして、モニター体験者のご感想をお待ちしております!!


HAL's Monitor Report