《“ESOTERIC P-05+D-05+G-03X”H.A.L.'s Monitor Report》


No.0385 - 2007/8/15

東京都港区 T K 様より

Vol.1「本気で欲しくなってしまう製品をEsotericは発売してしまった!!」

前回の投稿をご紹介致します。
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/fan/hf_moni0364.html
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/fan/hf_hear0349.html

川又様  この度は、素晴らしい機会を与えて頂き、本当にありがとうございます。
さて、モニターのdutyであるレポートですが、ちょっと長くなりますのと、文章は
丁寧語ではなくなっていることをご了承願います。
(その方が書きやすかったためです。)

当方のシステムの概要です:
CDP: Wadia 860
DAC: Mark Levinson No. 36
Pre-amp: JRDG Concerto
Pre Power amp: JRDG 102
Speakers: Infinity Kappa 7.2i

もちろん、Cardas Myrtle Wood Block 18個!

比較試聴ではWadia単体ではなく、CDT+別筐体DACという設定で比較してみたかった
ので860 + 36 vs P05 + D05 (+ G03X)としました。

さて、今回は、あえて、モニターや試聴レポートでは登場しないようなジャンル、
曲を中心に報告したい。意図するところは、モニターでよく使われるジャンルは
今後続くであろう他の諸氏が繰り返し述べるであろう可能性、そして、HAL's Fan
でアーカイブされていくのであれば、いろいろなジャンルを聴かれる購入候補者の
役に立てばと思ってのことである。

なお、コメントで例えに、まるで音が見えたり、音が香ったりするような記述があ
るが、決して小生はその手の化学物質に手を出していなく、あくまでも情景を文字
という限られた表現法で伝えたい一心で表現しているだけであることを注釈として
追記する。

特に明記していないコメントは、Esoteric P05 + D05 + G03x、176.4へのアップ
サンプリング。SACDについては公平を保つため、CD-Layerで試聴している。

New Order	Technique	Vanishing point.

この曲がここまで広がりを持つとは思っていなかった。
とても聞き易くなり、なぜかこの曲がBGMでもよく聞こえる。

The LIM Family	Launa'Ole	Pua 'Olena

決してよいとはいえない録音が、立体的に、そしてノイズレベルが下がり、澄み
渡った中に美しいボーカルが響く。花の香りのする曲になった。

(テレサ・テン)
川又より:頂戴した原稿で漢文テキストが正確に再現されていないので詳細は割愛
させて頂きました。どうぞご了承下さい。

日本でも大ヒットした懐かしの曲。
Wadia (860 + Mark Levinson 36) vs Esoteric で聴いた他の曲同様、前者の方が
前にせり出してくる感じである。

Esotericにしたとき、驚きを隠せなかった。実は小生、テレサさんの東京滞在先の
マンションで幼少時を過ごしていた。

その時に優しく声をかけてくれていた、あの声が蘇ったのである!!!
マイクを通しての声でなく、ナマの声が拙宅のスピーカーの先に。
とても潤いのある美声が未だに脳裏を離れない。

是非、マエストロ川又氏のラボで聴いてみたいものである。

Rammstein	Live aus Berlin	Sehnsucht

このライブ録音では、いかにP05+ D05+ G03xが音場再生を得意としているかが明確
に判る。DVDのライブ映像を見なくても、会場の大きさや雰囲気が伝わってくる。

また、Wadiaではガツンと固まりで迫力のあるパフォーマンスであるが、分離が
良くなり、スッキリとする。

Rainey's Band	Live at R's Artcourt	Respect Yourself

これもまた、最高とはいえない録音のものであるが、知人であり、このバンドの
ボーカル、Kazuさんの声がWadia 860 + 36よりも重心が高くはなるものの、マイク
なしの実声に近い響きになる。

彼の体型や雰囲気が見える。
ただただ素晴らしいのは、彼らの演奏の魂が伝わってくること。

やはり、楽器同士、ボーカルの立つ位置の間に確実に空間が生まれ、音の強弱が
明確になり、その結果、生き生きとしてくるのだろう。Wadia 860 + 36でも決して
悪くはないのだが、この曲に関しては05の方が優位であった。

Gloria Estefan	Amor y Suerte	En El Jardin

このデュエット曲こそ、860 + 36では二人の声が一部重なった位置から出ていたの
が、はっきりと分かれ、それぞれの声になまめかしさが加わる。

もちろん、立体感は特筆もの。音の分離の良さと、空間の広がり、、、
部屋に音楽が満ちあふれる。

このゆったり感が心地よく、ロマンティックな雰囲気を強調する。
とにかく美しい。

Barry Manilow	manilow sings sinatra	I've Got The World On A String

Barryの声に色っぽさが乗り、スタジオの空気が描出される。Gloria Estefanでも
経験したが、ゆったりとした感じで、「溜め」があり、その所為で気持ちが入る。

聴いたことのなかった音も再現され、その情報量の多さに驚く。

Anoushka Shankar	Live at Carnegie Hall

あまりにもホールの描写と、シタール、ターブラ、などの織りなす美しい旋律と
響きが心地よく、聞き込んでしまった。

CD一枚スルーで聴いていたくなったのには驚いた。
これもまた、05の方が演奏者の位置が若干奥に入り、音場が横に拡がる。

壁の反響、シタールの余韻、後を引く音の美しさと繊細さは05に軍配である。

Deanna Kirk	mariana trench	Song of Bernadette

860 + 36よりも声の響きが強調され、音が横に拡がる。
Deannaの美声と優しい歌い方がなんとも感動的である。
唇の動きもわかる。

ちなみに、これも録音は最高のものではないが、まるでProphoneやLinn Records
などのレーベルから発売されているかのような錯覚を起こす。

Edo de Waart	Wagner Orchestral Works I	"Der Fliegende Hollander"

Overture 押し出しの迫力が860 + 36での経験であったが、Esotericでは横と奥へ
の広がり、分離、オーケストラのスケール、情報量の多さで前者を圧倒する。

ここは、好みの分かれるところであると思う。(一般的にWadiaはジャズ向きとい
われる諸氏もいるが、860 + 36に関してはオールラウンドであると感じている。
しかし、最新技術との比較ではどうしても情報量の違いなどが現れてしまう。)

Mahotella Queens	Queens of African Music	Awuthele Kancane

すべてに共通しているのは、05はアーティストが後ろに引き、楽器が横に拡がり
ながら、ボーカルを包む。

しかし、これはそれぞれの独立と空間描写が優れているため、立体感の欠如では
なく、なんとも生き生きとしたパフォーマンスが再現された。

自然に体が動き出す、そしてMahotella Queensの美声と情熱が響き渡る。

Mecano	Grandes Exitos		Mujer contra mujer

Anna Trojaの「いまにも割れてしまいそうなほど繊細なクリスタルガラス」のよう
な歌声が、これ以上はのぞめないほど透き通る。

拡がる空間と上下に伸びるワイドレンジが私を包み込む。
Annaの歌はアップサンプリングに適しているのだろう。

残念ながら、彼女のSACDは市場で見たことがなく、DVDに収録されているPVは
まったく勧められるようなものではない。

よって、CDをEsoteric P05 + D05 + G03x はこのような時に威力を発揮する。
もともとAnnaの美声には感銘を受けていたが、このセットでは更にその上のレベル
まで到達させる。

Linda Davis	I'm Yours	Make it Through (Duet with Randy Travis)

音の輪郭がはっきりしていて、スタジオ空間の描写と、各楽器と歌の分離がよい。
Lindaの声は色っぽく、なめらかだが、Randyの声が軽く、高めに聞こえるため、
Randy の色気や強さ・男気が薄れる。

Outkast	Stankonia	B.O.B.

05のスッキリ感と分離の良さはとても聞き易かった。
しかし、この手の曲は、小生の趣味としてはドスのきいた860が好み。

Sierra Maestra	Bande Originale du Film SALSA	Mi musica es tu musica

これは驚きでした。とても録音が良いとはいえないソースですが、ステージの描写
がしっかりされていて、ノイズフロアもかなり低くなった印象。

生き生きとして、演奏のゆとり、演奏者が楽しんでいる雰囲気などが伝わってくる。

  Black Box	dreamland	Strike it Up

Wadia 860 + 36はクラブにいる感じで力強い。Esotericは88.2でボーカルが若干奥
に引く。176.4では更に奥に行き、ステージでパーフォームしているかのよう。

後者は全体的に音の広がりが大きい。

谷村新司	21世紀 Best of the Red	群青

谷村新司の声の重心が高くなる。
なまめかしさと、彼の声にある色気が浮かび上がる。

この歌の悲しさの表現には860 + 36よりも適している。

 Bobby Womack 	The Very Best of Bobby Womack	Across the 110th Street

いわずと知られた、この名曲。結論から言うと、小生の好みでは860 + 36の方が
Bobby Womack、そして、「時代の音」になると思った。

試しに、P05 + D05のみで、アップサンプリング無しにしてみると、より好印象で
あった。ただ、音質のレベルはP05 + D05 + G03xでアップサンプリングをしたもの
が良かった。

Clara Haskil	Mozart Klavierkonzerte Nos. 20 & 24 	KV 466 No. 2 Romanze


Clara Haskil が他界する直前のレコーディング。860 + 36では聞けなかった、
女性ピアニストの繊細さが強調される。

透明感と情報量はLPで聞くものに似てはいるが、音の切れと芯はEsotericが優位。

Rubens Braun Bavislim	Zeppenfeld Mozart RequiemIII. Kyrie No. 2 Tuba mirum


Wadia 860 + 36でも充分にあったと思えていた低位感が、Esoteric各設定で更に
向上した。マスタークロックなし、アップサンプリングなしでも静粛感が向上。

ただし、軽い感じになっている。176.4では4人がもう少し各々から離れている。
マスタークロックありにすると、さらにテノールの体型、会場の大きさ、合唱と
壁の距離なども視覚的に見えてくるようであった。


次に、CD以外に、デジタル・オーディオ、殊にマックユーザーでは利用者も多いで
あろうワイアレスでのオーディオライフ。このシステムでは、簡単に曲を買えるこ
ともでき、傾向を見るくらいの比較試聴にもとても重宝する。

Apple AirMac Express + Mark Levinson No. 36 vs Apple AirMac Express +
Esoteric D05

Carol Kidd	A Place In My Heart	The Sunny Side Of The Street

これは、1536 kbps, 48 kHzのLinn Recordsから購入したデータである。
接続はPlastic Optical。Air Macで飛ばし、Expressからオプティカルで出る時点
で44.1kHzになる。

D05は 36よりも、やはり広がり感、すっきり感、そして、トランペットなどの音に
スピードが加わる。

もちろん、音の分離も良く、臨場感はD05がいい。
Carolのなめらかな歌声にもマッチしている。ただ、この曲はビッグバンドなので、
押し出しの強さやゴリゴリ感が好みの分かれるところであろう。


以上、レポートした以外にも様々なジャンル・曲を比較試聴したが、拙宅での全体
的な印象では、Esoteric の今回のセットと設定では、特に女性の声、編成の大き
さを問わず、クラシックの美しさが際だっていた。

また、録音の比較的よろしくないCDでも、とても満足、そして驚くほどの音質改善
どころか、リアル感が表現された。

「あのひどい録音のどこにこんな情報と、立体感が隠れていたのだ!」

これがアップサンプリングのなせる技なのか?

最後に、Myrtle Wood BlockをP05とD05のデジタル・インターコネクトR/Lともにか
ませる。(ちょうど、P05のDigital outのところがこのブロックのカットとちょう
ど良い高さなのである。)

D05-Concerto pre間のMusaeus XLRのブロックのオン・オフよりも、デジタルの
ところに使用した方が明確な差が生まれた。

感じとしてはマスタークロックを使用したときと、使用せず、D05からのWord-out
でP05を支配させたときの違いほどと感じた。

より透き通った、綺麗な余韻を残す効果があるように思える。
なぜなのかはサッパリ判らないが、このブロックごときで明らかに違う。

どのご家庭でも再現性があるものなのか、是非、他のモニターの方にも実験して
頂きたい。ちなみに、同部位に某御影石をかませると、逆にマイルドというか、
少々曇る感じが感じ取られた。


実をいうと、1週間お借りして試聴すると、非常に多くのCDを聴いてしまい、
それをすべて記述するのは正直めんどくさくなってしまいました。

お詫び申し上げます。

先日も相談に乗って頂いたように、本気で欲しくなってしまう製品をEsotericは
発売してしまったようですね。

価格も微妙なところで、完全にあきらめる値段設定ではないこともその要因の一つ
です。現在所有しているCDPとDACを処分したらなどと考えてしまいました。

今はタイミングがよろしくないのと、まずはスピーカーを第一優先で考えているの
で、休暇の静養中にでもじっくり悩んでみようと思っております。

とても素晴らしい音、音場再生力、音質のモデルだと思います。
本当にありがとうございました。

ESOTERIC担当者のI様にもよろしくお伝え下さい。

             -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

川又より

T K 様ありがとうございました。ここにも「感動の大きさは文章量に比例する」と
いう法則が生きているようですね。情熱的なレポートありがとうございました。

実は、私はH.A.L.'s Party 2007の第一部でESOTERIC同士の対決を実験してみよう
かと思っているものです。

X-01D2 税別140万円 http://www.teac.co.jp/av/esoteric/x01_ux1/x01d2.html
           対
P-05+D-05  税別120万円 http://www.teac.co.jp/av/esoteric/p05_d05/

良くアンプでは同一メーカーでステレオアンプとモノアンプが同価格帯で販売され
ていましたが、全く同じような図式で興味をそそりますよね〜。

H.A.L.'s Partyは懇親のチャンスを大切にしていますが、皆様の好奇心をくすぐる
ことを忘れてはいませんよ〜(^^ゞ+(笑) どうします〜!?


HAL's Monitor Report