《Z-Board-H.A.L.'s Monitor Report》


No.0348 - 2007/5/21

東京都渋谷区 M.H様より

Vol.2「この余韻は今まで聴こえていませんでした!!」

本企画はこのような概要ですが、会員の皆様にはNo.1494にてハルズモニターの
ご案内を差し上げておりました。
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/491.html

そして、待ちに待ったレポートの第二弾を頂きましたので早速ご紹介致します!!

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川又様

このたびは前田製管MMW-1の自宅試聴、ありがとうございます。

早速スピーカーの下に敷き、試聴してみましたのでご報告いたします。


私の使用しているスピーカーはJM Lab Alto Utopia Beです。
現在、足元は、砂状の粒子の詰まった制振構造の木製オーディオボードにスパイク
を直刺しにしています。この木製ボードをMMW-1に交換してみました。

MMW-1の上は、スパイクを直に置きました。
設置のときは、MMW-1に傷がつかないようにと、所有しているステンレス製の薄い
スパイク受けを使いました。

しかし、このステンレス製のスパイク受けは、イヤな響きが酷く乗るのです。
スパイク受けを外しMMW-1に傷がつかないように、そっとスパイクを下ろしました。
MMW-1の表面は硬く、傷は大丈夫そうです。

さてチェック。チェックとして使った曲は女性黒人ボーカルのソウルフルな曲です。

曲の冒頭のウィンドチャイムは、一音一音が切れよく、濃く聴こえます。
続くピアノは、音像が引き締まって少し小ぶりになり、音の密度が高くなりました。

ボーカルもフォーカスがぐっと絞られて、センターの一点より聴こえてきます。

それぞれの楽器の音像がコンパクトになったせいで、音像の間の空間が広くなりま
した。その空間の静寂性は高く、音楽は聴こえているのに、辺りはしーんと静かに
なったように感じます。

しかし、よく聴いてみるとその中に音の余韻が長く尾を引いているのが分かります。
これは不思議です。この余韻は、今まで聴こえていませんでした。

SN比が上がり、微弱音が聴き取りやすくなったということでしょうか。

左サイドから聴こえるギターは、音の粒が小さくなり、陰影がはっきりとし、やや
前方に浮かび上がります。

ベースやバスドラなどの低音の楽器も同様で、中央に硬く引き締まりますが、意外
に音が痩せるようには感じられません。
むしろハイスピードになり、実体感を増したように思えます。

早計な結論は避けようと、色々な曲を聴いていたところ、一つ残念な点を見つけて
しまいました。それは、ボーカルの声の肉感的な厚みが、少し薄れてしまったこと
です。目の前に立って熱く唄っているのに、クールに聴こえるのです。
その熱気が伝わってこないのです。

この点については、高解像度と音の温もりと、どちらを優先させるのかで、いつも
悩むところです。今回は、他のアクセサリーや機器のセッティングで調整できる
範囲だろうと考え、許容することにしました。

ということで、MMW-1、すっかり気に入ってしまいました。
購入を検討したいと思います。
おいくら程になるのか、お見積りをお願いいたします。

 よろしくお願いいたします。

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川又より

M.H様ありがとうございました。「肉感的な厚みが、少し薄れてしまった」という
そのお気持ちは良くわかります。

同時に選択の問題ではありますが、スピーカーシステムの設計上での制約が
音質の特徴として表れている場合があります。

http://dyna5555.cocolog-nifty.com/5555blog/7f/

これは昨日、私のアシスタントに勉強のために試聴課題を与えたものです。

スピーカーシステムそのものの質量が小さい、あるいはコストなどの制約から
ドライバーの振動を完全に吸収できない場合など、音像の描き方が多少ふくらみ
独特の個性としてゆったりしたフォーカス、あるいは音像の大きさとなることが
あります。

これをブログのように重しを載せたりすることで質量を大きくし、スピーカー本体
の余分な振動を制御すると解像度が向上します。

私はプロとして本当に多数のスピーカーで同じ曲を聞きますが、「ボーカルの声の
肉感的な厚み」ということが実は録音内容そのものではなく、スピーカーの個性に
よって脚色されている場合が結構ある・・・ということです。

録音に忠実に、という発想であればスピーカーの個性が演出しているものをどう
考えるかはユーザーの選択となりますが、今回MMW-1を使用して、そのような変化
の方向性を示したということを私は録音に忠実な再生音にシフトされたものと考え
ています。

つまり、使用前と使用後のどちらが録音された本来の音質に近いか、ということを
私の多岐に渡る経験からアドバイス申し上げたかったものです。

「大は小を兼ねる」の例えではないですが、フォーカスがきっちりしていて音像の
輪郭が鮮明であり音像としてもくっきりと小さく定位して聴こえるという場合に、
意図的にそれをソフトフォーカスにして音像をふっくらとさせるテクニックはいく
らでもありますが、逆に膨らんでいる音像を引き締めるということの方が大変です。

言い換えれば音像が小さく引き締まったものを膨張させることは簡単ですが、もと
もと膨らんでいるものを引き締めるのは大変だということ。再生音でも、太るのは
簡単ですが、ダイエットは難しいということでしょうか。(^^ゞ

でも、最終的には気に入って頂き大変うれしく思います。
早速お見積りをお送りしましたので、ご検討の程よろしくお願い致します。

本企画はNo.1494にてハルズモニターの受付を継続していますので、体験したいと
いう方は気軽にご応募頂ければと思います。


HAL's Monitor Report