《HAL's Monitor Report》
No.0246 - 2005/4/13
福島県 石川要一朗 様より モニター商品 TACET SACD S922 「 The Best of TACET on SACD2004/2005 」 H.A.L.'s Present-TACET SACDにご応募頂いた皆様にサンプラーをお送りいたしまし たが、早速感想が寄せられてきましたのでご紹介いたします。 -*-*-*-*-*-*-*-*-*- 川又様 「TACET SACD H.A.L.'s Monitor Report」大変遅くなりまして申し訳ありません でした。 パソコンを入れ替えたため、設定が元の通りになかなか戻らず、苦労の末やっと メールが開けるようになりましたが、そこには何人もの「TACET SACD H.A.L.'s Monitor Report」が…。あわてて感想を書いた次第です。 そのため、モニターディスク1曲ごとの感想ではなく、現在自分が取り組んでいる マルチチャンネルの感想も含めての内容になってしまいました。 読者の方には、川又さんの取り組みと同じところや違うところなど、いろいろと 参考になって面白いかと勝手に思っています。 さて、現有システムから紹介します。 ユニバーサルプレーヤー:ゴールドムンド エイドス18ME-V フロントSP:ウィルソンオーディオ X−1グランドスラム フロントパワーアンプ:ジェフロウランドデザイングループ モデル9T(200V) フロントプリアンプ:ジェフロウランドデザイングループ コヒレンスII リアSP:ウィルソンオーディオ WITT リアパワーアンプ:ジェフロウランドデザイングループ モデル9DC リアプリアンプ:ジェフロウランドデザイングループ コヒレンス 各種接続ケーブルやその他の機種については、下記のHPで参照ください。 http://www7.ocn.ne.jp/~audiofun/ HPでもお分かりの通り、私はオーディオとビジュアルとの両方を楽しんでいます。 経過としては、ピュアオーディオ(2チャンネル)→ビジュアル(5.1チャンネ ルサラウンド)→ピュアオーディオ(5.1マルチチャンネル)でしょうか。 ホームシアターとして5.1チャンネルサラウンドシステムを発展させているとこ ろに、システムの互換性があるSACDマルチやDVD-Aマルチといった5.1マルチ チャンネルのフォーマットが入ってきたことになります。 ところで、私はシステムそのものは共用していますが、5.1チャンネルサラウン ドと5.1マルチチャンネルとを言葉上区別しています。映画は5.1チャンネル サラウンド、音楽は5.1マルチチャンネルと分けています。 映画は映像に合わせてサウンドデザイナーがあたかもそう思わせるようなサウンド を無から作り出すのに対して、音楽はありえない音から作り出すことはなく、ホー ルエコーやリバーブなどを付加することになります。 実際に5.1チャンネルシステムで両者を再生してみると、映画ではセンターSP が台詞の再生、サブウーファーが爆発音などの人為的に加えられた超低域の再生に 重要を役割を担っていることが分かります。 しかし、マルチチャンネルで再生すると、センターSPやサブウーファーの存在が 邪魔になってきてしまうのです。 私が使っているウィルソンオーディオのグランドスラムをセンターSPにもう1本 置くなどということは非現実的ですし、音楽に人為的に超低域を加えるなどという ことは皆無なので、サブウーファーの必要性がありません。 センターSPに小型のSPを持ってきてもフロントSPとのつながりの悪さは一目 瞭然(一聴瞭然?)です。多くのSACDマルチやDVD-Aマルチのディスクを聴いてみて もセンターチャンネルに入っている情報はあまり多くはなく、センターSPをオフ (左右に振り分けずに音量を絞る)にして聞いても不自然さを感じることはありま せん。ごく一部のディスクではセンターチャンネルにボーカルを配しているので、 ボーカル無しの音楽になってしまうことがありましたが、例外でしょう。 そう考えると、川又さんが提唱する4.0チャンネルマルチチャンネルシステムは とても理にかなっているものです。 しかし、これには問題が2つあります。 まず、1つ目は5.1チャンネルから4.0チャンネルへのダウンミックスです。 ユニバーサルプレーヤーにはセンターチャンネルをオフ(左右に振り分ける)にす ると強制的に2チャンネルにダウンミックスされてしまうものがあり、4.0がで きないものがあります。 ハイエンドのユニバーサルプレーヤーはエソテリックを除いてほぼ4.0チャンネ ルへのダウンミックスができないと思います。 ゴールドムンドのエイドスリファレンスはどうなのかは不明です。 (これはできませんでした。川又より) また、4.0チャンネルへのダウンミックス時のスケーリングによる音質劣化に ついても、川又さんのレポートにあるように大なり小なり起きます。 これは、プロセッサーの演算処理能力が上がれば解決できる問題ではないかと 思っています。でも、P-01でも確認されるのですから、解決は難しそうですね。 2つ目は、音量調節の問題です。 4.0チャンネルを同時に音量調節できるプリアンプはアキュフェーズのCX-260 ぐらいしかハイエンドでの使用に耐えられないのが現状でしょう。サラウンドプロ セッサーであればAVプリアンプや一体型AVコントロールセンターで代用できますが、 マルチチャンネルとなると上記の機種ぐらいしかありません。 そう考えると川又さんの提唱するリアを独立して鳴らす方式は2チャンネルで取り 組んできた人がマルチチャンネルにスムーズに移行することができる最良の手段だ と思います。 現に私もフロントとリアとでほぼ同じ傾向のシステムで揃えるようになってしまい ました。私の場合はコヒレンスIIとコヒレンスがリモコンでの音量調節が可能なた め、最初にレベル設定をしておけば1つのリモコンで2台を同時に動かすことがで きるというジェフならではのメリットがあります。 ここからが、ようやくマルチチャンネルの音質です。 オーディオ評論家のM氏はマルチチャンネルの魅力を「解像度の向上」といってい ますが、私は「臨場感の再現性」だと思っています。 前述したように音楽のマルチチャンネルではなかった音を作り出してリアチャンネ ルに割り振ることはありません。ホールエコーやーリバーブなどをリアチャンネル に割り振ることによって、フロント2チャンネルの音場感が飛躍的に広がりあたか もその場にいるような錯覚を作り出すことができると思っています。 試しにリアチャンネルの音をカットしてしまうと、とたんに音場空間が狭くなり、 臨場感が薄まってしまいます。ウィルソンオーディオやアバロン、B&Wのような サウンドステージの再生を得意とするSPをお使いの方は一度でいいからリアに 小型SPをセットしプリメインアンプをつないでリアチャンネルを追加してみてくだ さい。きっと今まで以上の臨場感が再現されるはずです。 そのときに再生するディスクとしてふさわしいのが「TACET SACD」です。 もともとが4.0チャンネルで録音されているので、ダウンミックスが必要ありま せん。リアチャンネルを加えるだけで、マルチチャンネルが楽しめるのです。 このディスクのリアチャンネルにはほとんどホールエコーしか入っていません (一部例外もありますが)が、これを再生するのとしないのではサウンドステージ それも全チャンネルSACDの音質で聴くことができるのですから、音質的には問題は ないはずです。 いろいろと書いてしまいましたが、まずは一度マルチチャンネルのシステムを聴い てみることをお勧めいたします。それも、5.1チャンネルサラウンドシステムを 使ったマルチチャンネルシステムではなく川又ルームのようなマルチチャンネル専 用のシステムで。 蛇足ですが、私の友人のS君は我が家のマルチチャンネルシステムを聴いて、何と リアチャンネルにマークレビンソンのNo.33HLという超弩級のパワーアンプを 導入してしまいました。今は、フロントとリアのSP選びに苦悩する日々です! このレポートがマルチチャンネル発展のほんのわずかな後押しにでもなってくれれ ばと思っています。 今回のプレゼント、大変ありがとうございました。 |