《HAL's Monitor Report》
No.0244 - 2005/4/6 東京都西東京市 K U 様より モニター商品 TACET SACD S922 「 The Best of TACET on SACD2004/2005 」 H.A.L.'s Present-TACET SACDにご応募頂いた皆様にサンプラーをお送りいたしまし たが、早速感想が寄せられてきましたのでご紹介いたします。 -*-*-*-*-*-*-*-*-*- 川又様 この度はTACETのSACDを頂戴し、ありがとうございました。 大変遅くなりましたが、以下、試聴した感想等について報告させていただきます。 1.マルチチャンネルとの出会い 私は、2年ほど前に都内の某オーディオ店のデモで、SACDマルチを知りました。 その時の印象は鮮烈で、最初は冷やかし半分だったのですが、音が鳴り出すと、 一瞬わが耳を疑い、次いで、各スピーカーに耳を当てては首を捻る始末でした。 「何だこれは!」 3Dの絵をご覧になったことがあるかと思います。何の変哲もない模様なのですが、 目を凝らしていると、やがて視界が前後上下左右に一気に広がり、体が絵の中に 引き込まれる錯覚を覚えるとともに、何かの物体が浮かび上がってくる、あれです。 私の、SACDマルチの第一印象は、まさに「3Dの絵」そのものでした。 以来、「楽器の実在感が・・・」とか、「空間表現が・・・」とか言っては、何百 万円も買換えに費やし、その度に一喜一憂していた自分が空しくなり、ハイエンド 機器とドミナスのケーブル群、そして1,500枚程度のCD、LDを残らず売却し、 マルチで一から出直すことにしたのです。 それから早2年。遂に川又さんがマルチを始めたと聞き、今回ハルズサークルに 入れていただいた次第です。 2.試聴機器 その「一から出直した」という機器の概要は、次の通りです。 (1) DV−S858Ai (パイオニア) (2) VSA−AX10i (〃) (3) Signature805×3本 (4) Nautilus805×2本 (5) Digi Cube2 (サーロジック) (6) ES103A (ムラタ)×1セット (1)は、広島のFさん方で、クロック、底板、ベースの交換と基盤のクライオ処理 を施し、(2)とiLINK接続。(3)(4)は、可能な限りITU配置にした上、 (2)内蔵の音場補正装置で音量、音色、ディレイを補正後、附属の調整用ディスクで 最終調整。 (5)へは、LFEの他に、フロント左右信号を44Hz以上をカットして入力。 ケーブル類は標準品ですが、(1)にだけはACドミナスを使用、その他、結構アクセ サリーには凝りました。 なお、私の場合、音場補正装置は不可欠です。 リビング兼用なので、これなしではどうしても「3Dの絵」にならないのです (「3Dの絵」体験は、都内オーディオ店では、その後2度しか経験できませんで したが、2度とも補正装置で補正したデモでした)。また、(6)はフロントのみに 使用していますが、リアの気配も変わるので不思議です。 3.感想 さて、肝心の感想ですが、他の方々は川又さんの感想をご自身のシステムで確認し、 同意するというスタイルのレポートをされていらっしゃいますが、私のシステムで はそれは無理ですので、少し視点を変えて、私が持っている他社のサンプルディス クとの比較を述べたいと思います。 比較の対象は次の3枚で、単純に、「3D感」「楽器の質感」「音楽的に楽しめる か」だけの評価とします。 1. 「ペンタトーン スーパーオーディオCD 最新録音編」 (ペンタトーン) 2. 「Multichannel Reference SACD」 (dmp) 3. 「これがナチュラルサウンドだ」 (ニシムラ) 1.はDSD録音のSACDで5.0、2.もDSD録音のSACDですが特殊な 6.0、3.はDVDオーディオで、5.0チャンネルとのことです。 (結論) 結論としては、様々な工夫を凝らしており、十分に楽しめるディスクでした。 特に、ゴールドベルグ変奏曲は、室内楽のツボを押さえた好録音だと思います。 川又さんが、「実に、実に素晴らしい!!」と絶賛するブランデンブルグ協奏曲4番 も、とても澄んだ音で、爽快でした。 リアスピーカーから直接音が聞こえることについて、私は必ずしも肯定的ではない のですが、これなら納得。「後ろから音が聞こえるのは如何なものか?」と言って 大真面目にマルチを否定していた某オーディオ店のスタッフの顔を思い浮かべて、 つい失笑してしまったくらいです。 しかし、「3D感」については全体的に控えめ。 また、1.のような空間と楽音の芯とのバランス、2.のような臨場感と研ぎ澄まされ た質感をあまり感じさせない音作りで、更に、お風呂場にいるような無伴奏パルテ ィータの残響は、やり過ぎだと思います。 実は、私は、上記の中では3.が大好きです。 この盤って、日本では、玄人筋には絶対に受けないほど、下品なくらいに 「3D感」を前面に打ち出した録音なのです。 「カワマタルーム」でどのように響くのか、聴いてみたいものです。 4.最後に マルチ録音には、他にも、CHANNEL CLASSICSや BIS、サンフラ ンシスコ響の自主制作レーベルのAVIE、日本のEXTONや fine N等、 マイナーレーベルによる優秀録音が目白押しです。 川又さんが、これからもマルチの魅力をハルズサークルの皆様方に広く宣伝され、 そして、会員の方々が自分の耳と感性とで、自由に意見が言い合えるサークルに なって行っていただければ、幸甚です。 今回は、本当にありがとうございました。 |