《HAL's Monitor Report》


No.0243 - 2005/4/4

埼玉県春日部市 S A 様より

モニター商品 TACET SACD S922
「 The Best of TACET on SACD2004/2005 」

H.A.L.'s Present-TACET SACDにご応募頂いた皆様にサンプラーをお送りいたしまし
たが、早速感想が寄せられてきましたのでご紹介いたします。

               -*-*-*-*-*-*-*-*-*-


埼玉のS.Aです。

-☆-H.A.L.'s Circle Review-☆-No.1059-で幸運にもプレゼントに当選しました。

ぐずぐずしているうちに、既にNo.1063にてK.N様とLUX FAN様から素晴らしいレポ
ートが届けられておりまして、私が付け足すようなこともないのではないかと思い
ましたが感想を述べさせていただきます。

最初、送付されたパッケージを開けた時に…
「かっかっ川又店長〜〜〜これはワタシに対する嫌がらせですか〜〜〜っ???」
と思わず喉から出かかったのは事実です。

収録されている曲目を見たら、我家で苦手というか、「出てくる音が気に食わない
から再生しない」という、ヴァイオリンとピアノがズラズラ〜ッと曲目を埋め尽く
しているではありませんか^^;

なんだかんだで年数は25年以上オーディオをやっておりますが、ヴァイオリンを
軋ませず艶やかに鳴らすこと、ピアノをアタックは鋭くかつ余韻を残して、と
いう再生は自分の頭の中で補完しないと、まだまだ全然自分のイメージとは
程遠い状況です。


現有機器はCD 2chのみで、SACDやDVDは全然手をつけておりません。

CD Transport: Esoteric VUK-P0s
        ↓
D/A Converter: Esoteric VUK-D70
        ↓
Pre: Mark Levinson No.380SL
        ↓
Power: Mark Levinson No.333L
        ↓
SP: Infinity IRS-SIGMA

上記の機器構成で、「CD フロント2chのみでどこまで空間を引き出せるか」を
自分のテーマとしています。

いただきましたサンプラーSACDに戻りまして…。

過去、私はこのようなサンプラー盤に対して良いイメージを持っておりません。
国内で最初のデジタル録音LPを発売したD社やクラシック盤ではよくサンプラー盤を
発売するDG社などをはじめとして何枚か持っていますが、「聴き所だけを集めてき
た」のが良く判り、1枚の盤としてのポリシーが伺えないものがほとんどだったから
です。

ですから、試聴記を書いている今となっては本当にTACET社には申し訳ないのです
が、第一印象の「川又店長〜〜〜^^;」ということもあり、全然期待しないで聴き
始めました。

最初はとりあえず通して聴きましょう、と。

素直に第1トラックから。

ウン、川又店長が既に述べられている通り、空間情報豊かな録音ですね、と。
1トラックの時点ではそんなもんです。

第2、第3トラックと進んで。

「すみません、ごめんなさい。あなた方(=TACET)をナメてました。」というのが
第3トラックを聴き終わった時の印象です。

そのまま、18トラックまで一気に惹き込まれて聴き通してしまいました。

「ウンウン、充実した『30分』だったなあ!」

…チョット待ってください。

18トラックもあって30分で済むワケないでしょうが!!
慌ててTOTAL演奏タイムをP0sのウィンドゥで確認。

「67分44秒とな!?」
イヤびっくり。
感覚的にはホント、30分も経ってないですよ。
それだけ集中して惹き込まれていたワケですね。

全18トラック中、特に気に入ったのは

2)TACETS 117 Ave Maria
6)TACETS 52 AUCASSIN & Nicolette
15)TACETS 101 Brandenburg Concerto IV G major
の3つです。

2)は、空間を埋め尽くして消えてゆくヴァイオリンとピアノ。
ヴァイオリンはCD 2chだと、奏者の透明人間状態がかなり太めに、ヴァイオリンも
ヴィオラくらいの大きさで定位します。

音像は決してシャープでクッキリ、ではありませんが8畳洋間のペラペラのベニヤの
板壁を通してどこまでも散ってゆくその余韻!弓と弦が擦れる鋭さを残しつつ、
「キーッ」と引っ掻く音ではありません。

ピアノもアタックは鋭く、かつ決してヒステリックではなく、太く豊かな響きを
ヴァイオリンに重ねながら空間に吸い込まれていきます。

この2トラックを聴いたときに、「ああ、TACETの方達は本当に音楽を愛していて
かつ『空間を収録』したかったのだ」と思いました。

6)は、音楽よりもオーディオ的に、ずっとステージの床が「地震のような」
地響きがしてるんですね。
小型スピーカーを使用されておられる方、事情で大きな音が出せない環境の方には
申し訳ございません。
H.A.L.-Iで確認してください。

冒頭と楽曲の終わりは特に「ズズゥン…」という感じのステージの床鳴りの音が
分ります。

(この床鳴り、トラック6と7、18のTACET S 52 に全て共通で入っています)
演奏的にも情緒豊かで演奏者の感性、録音エンジニアの方の感性が伝わってきます。

15)は、フルート2本、チェンバロ、ヴァイオリン、チェロが前後左右に立体的
に並び、その三次元的な重なりと音楽の掛け合いが面白いです。

聴き所は、どこまで細かく個々の楽器の音と定位を分解しながら、音楽としてま
とめあげているか?だと思います。

三次元的前後の重なりで思い出しましたが、トラック5のTACET S 101も前後に
重なっていましたね。
…ここでライナーノートを確認したら、なるほどTACETS 101はDVD-Aのサラウンドで
録音されているのだ、と。


以上、特に気に入った3トラックを挙げてみましたが、どのトラックを聴いても
録音スタッフの「音楽を、空間の響きを捕らえてやるんだ!」というポリシーが
一貫して感じられます。

ここは、先にあげたD社やDG社の「その時々の最新技術の録音で聴かせてくれるのだ
けど、サンプラー盤としての一貫性は感じられない」選曲や録音方法とは明らかに
違うところですね。

TACETはサンプラー盤としてではなく、1枚の音楽CDとしても聴き応え充分です。

これ書き終わったら、時間の許す限りまた聴いてこようと考えつつ書いてます。

CD層のフロント2chのミックスダウンですら、これだけの情報量と空間が入っている
のですから、SACDやDVD-Aの4chだと一体どれほどの空間が記録されているものやら。

これは、H.A.L.-Iに来て確かめてくれ、との川又店長のお誘いなのでしょうね?

そのうち絶対H.A.L.-Iに「よんちゃんではどうなのか!?」を確かめに行かせてい
ただきますので、その節はよろしくお願いしますね。

いやいや、これはホント川又店長が一体どのようなオイシイモノを味わっておら
れるのか気になりますよ!!


今回は(正確には今回も、ですね)素晴らしいサンプラー盤をありがとうござい
ました。
私のほうは既にSコースを申し込んでありますので、A.O.P価格にならなくても
かまいません、よろしくお願いします。

ホント、素晴らしい盤をありがとうございました!

すみません、サンプラー盤が届いた日から急に忙しくなってしまい、やはりと
いうか平日の帰宅が遅くなりオーディオ部屋にはこもれず、土曜は久しぶりに
残業なんぞやったせいか?

38度の熱で耳が正常ではありませんでした。

ところが、日曜の午後に37度台まで熱が下がったので、この盤を聴いているうちに
熱が見る見るうちに下がりまして。
良い音楽は心だけでなく体そのものも癒してくれるのだな、と実感した次第です。


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