《H.A.L.'s 訪問記》
No.0026 - 2010/3/26 東京都渋谷区 N.N様-H.A.L.'s 訪問記 Vol.26「私にとっては人生で最もビッグイベントだったかもしれません!!」 ■ Customer's history ■ N.N様がハルズサークルにご入会頂いたのは2008年6月27日のことでした。 この二年間というものは日々こちらの活動をご覧頂いていたわけですが、実は もっと以前から弊社のお得意様であったわけです。 唐突ながら下記のリンクをさらっと、あるいはじっくりとご覧頂ければと思います。 http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/244.html http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/247.html もうあれから7年経ったのですね〜、懐かしい思い出ですが、今の私と比べる と白髪はまだ少なかったかな〜(^_^;) http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/248.html このブリーフニュースの最後で私はこのように述べています。 「マラソン試聴会は、今後の試聴と可能性につながる“音の架け橋”であれば 何よりであると願っているものです。」 そして、このマラソン試聴会の最後に会場で私から「今回演奏したディスクの リストをご希望の方はメールにてお申し込み下さい。」とアナウンスした一言 がありました。その一言に応えて下さったのが実はN.N様だったのです!! 2003年10月30日のことでした。 -*-*-*-*-*-*-*-*-*- 川又様 第27回マラソン試聴会 土曜日の回に参加させて頂きました。 大変貴重な体験をさせて頂き、有り難うございました。 今回で5度目の参加になりますが、会場が再び広く新しくなり、参加者も立ち 見が出るほど盛況で、活気があり、例年以上にとても充実した時間を送ること が出来ました。 今回の参加で一番印象に残ったのはマルチディスクプレイヤーの進化と機器の 充実です。充分ハイエンドと呼べるマシンが出現し、どれも個性的な音を奏で てくれていました。P-0(&Wadia)ユーザーとしては少し複雑な気分です。 もう少しソフトの数が出揃ったところで視野に入れる必要がありそうです。 金額以上に設置場所や入力端子不足に悩みそうです。 SPではNautilusです。Jeffのアンプとも相性が良く、最新のスピーカーをはる かに凌駕していました。一緒に参加した友人も同意見でした。 (ちなみに私が個人的に一番好きなスピーカーはBoxer T-2です。) 選曲も普段自分が聴く音楽とは趣向が異なり、新たな発見の連続でした。 というわけで、今後の自分の新たな音楽のジャンルを広げる意味もあり、 土曜日の演奏曲リストを送付頂きたく存じます。 お手数ですがよろしくお願い致します。 東京都練馬区 N.Nより -*-*-*-*-*-*-*-*-*- N.N様も7年前のメールなどはお忘れになっていたことでしょうね。そして、 当時は熱心なユーザーのお一人という事で対応させて頂いたものでした。 そうでしたね〜、当時は練馬区にお住まいだったわけですね。 そして、三年前にオーディオルームを含むご自宅を渋谷区に新築されたという ことであり、それからハルズサークルにご入会頂いたということになります。 正確にいえばホームシアター兼リスニングルームということになりましょうが、 ハイエンドオーディオ製品の受け入れ場所を用意されてからハルズサークルに 入会されたということでしょうか。 そして、ハルズサークルに入会されてから日々の配信をご覧頂き、昨年のこと 遂に行動に移られたのでした。次のようなH.A.L.'s appointmentへの申し込み を頂きました。 -*-*-*-*-*-*-*-*-*- 2009年11月9日 試聴希望のコンポーネント:Kharma/Grand Ceramique Midi 1.0 http://www.axiss.co.jp/fKharma.html ハルズサークル会員のN.Nと申します。お世話になります。 といってもまだ7階までの登頂に成功したことはございません。 今回、真剣に購入を検討しています。よろしくお願いいたします。 今回、 Kharma / Grand Ceramique Midi 1.0の試聴の申し込みをさせて頂いた N.Nです。早速のご連絡ありがとうございます。 先走ったメールで失礼かと存じますが、Kharmaが、私のツボにハマった理由や 試聴に当たってのお願い事など… 昨年と今年の東京インターナショナルオーディオショー並びに昨年のマラソン 試聴会で拝聴いたしましたが、俊敏で制動のよく利いた低音や立体的に広がる 音場感は、オリジナル Nautilus や G1 GIYA にも負けていないと感じましたし、 音の緻密さやエネルギー感は、それ以上に感じ取れた次第です。 対抗馬となるスピーカーは、見当たらないのですが、Nautilus が常設されて いるとHP上にございましたので、(価格帯としての対抗馬は NEO かもしれませ んが)比較試聴させて頂ければありがたいです。 また、AXISS のHP(PDFダウンロードによるカタログ)を拝見すると、色が7色 より選べるようです。PIANO BLACK とDIAMOND BLACKで、色の違いが不明です。 色見本などあるとよいのですが。 さらに、本国では、Grand Ceramique Midi 1.0の上位に、ダブルウーファー 仕様の Grand Ceramique があるようですが、AXISS で取扱いを開始する可能 性なども、お尋ねしたいです。 今回、アンプの購入は予定していないのですが、現在使用しているアンプJEFF ROWLAND SYNERGY + MODEL 6の繋ぎ替えで暫く我慢です。 お薦めがあればお教え頂きたく存じます。 ちなみに音の好みということでは、東京インターナショナルオーディオショー で組合わせていたAyre KX-R & MX-R は非常に好印象でしたが、アンプ自体の 好みとしては、他にHALCRO や FM Acoustics のような、目の前の薄手のカー テンを取り払ったような音が好きです。 現実的には darTZeelやVIOLA、 VITUS AUDIO までが購入できる限界かと思っていま す。 いろいろ我儘なことを書き連ねましたが、話半分ということでご了解下さい。 長文失礼いたしました。来店の際にはいろいろと相談に乗って頂きたく存じます。 よろしくお願い申し上げます。 -*-*-*-*-*-*-*-*-*- そして、数日後にN.N様が来店されました。 http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/598.html この私のインプレッションも当然ご覧になっていたことと思いますが、この スピーカーの特徴を体験して頂くための選曲でシングルウーファータイプの Kharma Grand Ceramique Midi 1.0をじっくりと試聴して頂きました。 そして、ダブルウーファーのGrand Ceramiqueを輸入したらいくらになるのか。 これをリアルタイムでアクシスの室井社長に電話で問い合わせを行い、直ちに 日本価格を算出してN.N様にご提示差し上げたものでした。その価格を当時の 配信にて速報したのが次の記事でした。 …………………………………………………………………………………………… 2009.11.18配信-No.2088-のH.A.L.'s Brief Newsより Vol.3「あのスピーカーが再度試聴出来るようになりました!!」続報です!! ■価格改定されてお求め安くなりました。これです!! Kharma Grand Ceramique Midi 1.0 1pair \4,950,000. http://www.axiss.co.jp/fKharma.html 今後しばらくの間は当フロアーのリファレンスとして皆様に楽しんで頂ける ようにベストポジションにセッティング致しました。ぜひご来店下さい!! -*-*-*-*-*-*-*-*-*- これはアクシスがセレクトした製品の輸入を始めたということですが、実は この上位モデルがあります。 http://www.kharma.com/ceramique/kharma_loudspeakers_ceramique_grand_ceramique.php この度、下記のように日本価格が決定しました。 Grand Ceramique 1.0 ¥6,400,000 ペア(税別) Grand Ceramique 1.0 Enigma upgrade ¥6,900,000 ペア(税別) Grand Ceramique 1.0 Diamond Tweeter ¥9,850,000 ペア(税別) と、言いましてもアクシスがレギュラーで輸入するということではありません。 実は、本日目出度くGrand Ceramique 1.0 Enigmaのファーストオーナーとなる 会員からのご注文を頂戴致しました。国内初というセールスであり、そのため に日本価格を算出してもらったものです。これはあくまでも定価です。 特注扱いでの発注が可能ですので、皆様にも最新情報としてお知らせ致しました。 どうぞKharmaの魅力を聴きにいらして下さい!!お待ちしております。 …………………………………………………………………………………………… さて、試聴を終えたN.N様より早速次のようなメールを頂いたものでした。 -*-*-*-*-*-*-*-*-*- 川又様 本日は貴重な体験並びに数多くの相談にのって頂き本当にありがとうございました。 また、コーヒーまで淹れて頂き、ご馳走様でございました。 今にして思えば、名刺ぐらいお渡しすれば良かったのにと、後悔しております。 また、すぐにお渡しする機会があるとは思いますが・・・ すでに、購入の意思は固まっておりますので、すぐにお振り込みの手続きと ご連絡はすることになると思います。 ■そして、いよいよ仕上げの色が決定しました。 川又様 お世話様でございます。日本初代 Grand Ceramiqueオーナー(苦笑)のN.Nです。 お待たせいたしておりました色の件ですが、やはり、Aubergineに決めました。 やはり他ではなかなか得られないKharmaならではの色ですし、上品で、しかも 調光によっていろいろな表情を見せてくれる色なので見ていて楽しいのではな いかと判断いたしました。 部屋には30以上の照明器具と、結構手の込んだ調光システムもあり、それを 生かさないテはないのではないかと…。 ということで、Aubergine(ナス色!!)でお願いいたします。 -*-*-*-*-*-*-*-*-*- さあ、このような経緯で発注したGrand Ceramique 1.0 Enigma upgrade、しかも 私も見た事がないというAubergineとはどんなフィニッシュなのか? そして、N.N様ご自慢の部屋とはいかなるものなのか? 2010年3月某日のこと、遂にその日はやってきました!! ■ Customer's room ■ 前日の雨がきれいに上がって絶好の納品日和となった当日、私は本当に久しぶ りに代々木上原の駅を降り立ちました。約束の時間よりも30分ほど早く到着し、 付近を散策したかったのです。 なぜかと言いますと、実はN.N様のお宅から数分のところにあるマンションに 24年前に住んでいたことがあったからです。当時の通勤路を本当に久しぶりに 歩いてみたかったのです。 何といっても当時は井の頭通りは対向一車線だったのが今は片側二車線で広く なっていて、代々木公園まで見晴らせるという景観の違いが大きな変化ですが、 駅に至る商店街で行きつけだったスーパーも無くなってしまい時代の変化を 感じさせるものでした。 あの時は雑木林だったところが住宅になったり歩道もきれいに整備されたりして、 独身時代を懐かしく思い出しながら一回りしてN.N様のお宅にたどり着きました。 モダンな外観で玄関は二階、一階にガレージがありオーディオルームは地下。 バリアフリー設計で油圧式の段差解消機とエレベーターもあり、搬入は意外に 楽な方だったと思います。チャーターした業者に搬入作業を任せて一足先に お部屋へと案内して頂きました。 地下にも複数のお部屋があり、真新しい廊下からドアを開けるとこんな景色が。 http://www.dynamicaudio.jp/file/100403/P1070452.jpg おー!!何やらイタリアの香りがしてきそうなスピーカーが並んでいます!! 一歩足を踏み入れて飛び込んできた風景が↓これでした!! http://www.dynamicaudio.jp/file/100403/P1070455.jpg 何と贅沢な5.2chシステムであることか!!Sonusfeberの輸入元であるノアさん が見たら大喜びしてしまうことでしょう。そして、ドアの外から見えたものを 振り返ると↓こうなっています。リアのRchですね。 http://www.dynamicaudio.jp/file/100403/P1070462.jpg 当然、リアLchもあるわけで↓このような完璧なシンメトリーシステムです。 http://www.dynamicaudio.jp/file/100403/P1070463.jpg そして、正面から見ると↓このようになっています。 http://www.dynamicaudio.jp/file/100403/P1070458.jpg ではコンポーネントたちはどこにあるのか、と言いますとフロントスピーカー に向かって右側にこのように↓セットされています。 http://www.dynamicaudio.jp/file/100403/P1070459.jpg さて、この辺で気になるシステム構成をご紹介しましょう!! 何と、今回もN.N様のお手製によるシステムチャートをお送り頂きました!! ◆H.A.L.'s 訪問記-Vol.26 東京都渋谷区 N.N様-システム構成◆ ■ http://www.dynamicaudio.jp/file/100403/MyAudioSystem.pdf ■ いかがでしょうか。私の拙い説明よりも画像付きで解かり易くまとめて頂き ましたね〜(^^ゞありがとうございました。 さて、N.N様の思い入れが結実した見事なオーディオルームですが、室内を 見渡してちょっと気になることがありました。失礼ながら私の悪い癖で壁面を どうしてもコツコツと叩きたくなってしまうわけです(^^ゞ http://www.dynamicaudio.jp/file/100403/P1070501.jpg すると、コンポーネントが格納されている↑ラック近辺の壁面では打音が他の ところと違います。むむっ、この後ろ側に空間があるようだぞ!! と私は無遠慮にもN.N様に質問してしまいました。 「あの〜、ラックのある壁面は他と構造が違うようですが…、他のユーザーの 場合ですとソフトの収容棚なども作り付けすることがありますが、N.N様の お部屋には見当たりませんね〜?」 するとN.N様は待ってました!!とばかりに… 「川又さん、こちらを見て下さい。」 と、開け放たれた入り口ドアを閉めると、何とそこにもう一つのドアがあるで はないですか!! そのドアを開けると↓何と!! http://www.dynamicaudio.jp/file/100403/P1070491.jpg 何ということでしょう〜!! どこかで聞いたことあるセリフですが、膨大な ソフトがきちんと収納されていました!!そして、↓更に驚くことに… http://www.dynamicaudio.jp/file/100403/P1070496.jpg ちょうどラックの後ろ側に扉があって開くようになっています。それが… http://www.dynamicaudio.jp/file/100403/P1070494.jpg なるほど〜、考えましたね!!これは参考になりますね!!コンポーネントへの アクセスがこのように簡単であればラックをいちいち動かす必要もありません。 恐れ入りました〜<m(__)m> 感心しながら室内に戻り、どうしても更に細かいところに目が行ってしまいます。 例えば↓こういうところとか… http://www.dynamicaudio.jp/file/100403/P1070475.jpg QRDのDiffractalにしてもAbffusorにしても壁面への取り付けを考慮した構造 ではないので、とりあえず自立したものをどのように固定するかということで こんな工夫をしておられることも見逃しませんでした。気配りは↓まだ続きます。 http://www.dynamicaudio.jp/file/100403/P1070472.jpg 太いケーブルをきれいに引き回すためにピットを作るアイデアは他でも見た事 が何度もありましたが、このようにきれいに設計されたというは貴重な事例だ と思います。いいですね〜(^^♪ では、室内の向かって右側のコーナー部をちょっと見て下さい。 http://www.dynamicaudio.jp/file/100403/P1070476.jpg そして、左側のコーナー。BAD Cornerを左右に配置してルームチューニングの お手本のように設計されています。大場商事が見たら喜んでしまうでしょうね。 http://www.dynamicaudio.jp/file/100403/P1070489.jpg さて、左右コーナーの写真を見て壁と天井の境界線のアールを付けた仕上げと 間接照明を仕込んでいるという工夫も見落としませんでした。凝ってますね〜 そして、飾棚にも照明を仕込んでいるという凝りようでガラスのオブジェを 光が通り抜けて行くという↓こんなアイデアにも目がとまりました!! http://www.dynamicaudio.jp/file/100403/P1070482.jpg では、ビジュアル機器はどこにあるのか、というとセンターポジションの真後ろ にこのように↓椅子の背後に壁面にきっちりと格納されています。なるほど〜 http://www.dynamicaudio.jp/file/100403/P1070486.jpg お部屋の見学を続けるうちにそろそろKharma/Grand Ceramiqueが運び込まれて こようとしています。どこに置くのか? それも当然あらかじめ考えられている わけですが↓事前にこのようにB-Boardをお求め頂きセットされていました。 http://www.dynamicaudio.jp/file/100403/P1070470.jpg 様々なところで採用され、最近ではH-Boardまでバリエーションを拡大している MMW(Metal Matrix Works)シリーズは本当にお薦め致します!! http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/fan/BZ-bord.html さあ、いよいよGrand Ceramiqueがセットされました!! http://www.dynamicaudio.jp/file/100403/P1070515.jpg 従来からのフロント・メインスピーカーをKharmaに変更するかどうかは今後 楽しみながら決定していくということで、現状ではGUARNERI HOMAGEと併用する ことになりました。つまりは2chで音楽を聴く時にのみKharmaを使用していく という方針です。 さて、N.N様が悩みに悩んで決定したAubergineの美しさを見てみましょう!! http://www.dynamicaudio.jp/file/100403/P1070511.jpg ↓離れてみるとちょっと沈んだ色彩感のように見えますが… http://www.dynamicaudio.jp/file/100403/P1070512.jpg ↓もうちょっと寄ってみましょう〜 http://www.dynamicaudio.jp/file/100403/P1070508.jpg ↓いや、更にクローズアップしましょう!! http://www.dynamicaudio.jp/file/100403/P1070506.jpg ↓左側正面の照明ではこんな風に表情を変えて行きますね〜 http://www.dynamicaudio.jp/file/100403/P1070518.jpg Aubergine=ナスは間違いないですが、照明の当たり加減で本当に表情が変わる 上品な仕上げです。いいですね〜ハイセンスな選択であったと思います(^^ゞ さて、運送屋さんの仕事は終わりました。次はいよいよ私の仕事が始まります!! ■ Customer's Sound ■ さて、上記のようにN.N様が想定していたB-Boardの位置にとりあえずセットして、 先ずはN.N様がかねてより用意されていた↓このディスクで、そしてセンター ポジションにおかけ頂いてKharmaの産声を聴いて頂くことにしました。 http://www.dynamicaudio.jp/file/100403/P1070548.jpg 今まで長らくお待ち頂いたわけですから、N.N様ご本人に第一声を聴いて頂こう という事は必然の成り行きです。私は室内のあちこちに移動しながら低域の 質感をチェックしていました。 写真でもわかるようにスピーカーは後方の壁面に接近した位置に置かれています。 それはスチュアートのスクリーンが下りてくるので、ぎりぎりの配置という ことになりますが、低域の残響が残りすぎるという事もなく適切なルーム チューニングが功を奏していることがわかりました。いいバランスです!! マイケル・ジャクソンを最後まで心おきなくゆっくりと楽しんで頂き、Kharma の第一印象として先ずは順調な滑り出しであったことがN.N様の表情からお見 受けすることが出来ました。良かった〜ありがとうございました。<m(__)m> センターポジションではないので、室内での残響時間が適切であり、特定の 周波数のみ違和感を感じるという事もないというところまで確認しました。 しかし、ここからが私の仕事ということでN.N様にお願いしてソファーにかけ させて頂き、持参したいつもの課題曲を聴くことにしました。 ■マーラー交響曲第一番「巨人」第二楽章 小澤征爾/ボストン交響楽団 今となっては懐かしいESOTERIC P-0sとJEFFROWLAND Synergyのリモコンを お借りして、この曲を聴き始めて私の“音の美意識”に関する各種パラメー ターが瞬間的に採点を始め、オーケストラの弦楽器の質感、輪郭と空間表現、 管楽器のフォーカスなどを、こうあるべきという音質との比較を完了しました。 「やはりそうだね〜、これはちょっとセッティングを変える必要があるかな」 http://www.dynamicaudio.jp/file/100403/P1070536.jpg ↓右チャンネルは最初の角度からこのように変化させました。 http://www.dynamicaudio.jp/file/100403/P1070540.jpg http://www.dynamicaudio.jp/file/100403/P1070537.jpg ↓左チャンネルも同様に変化させました。 http://www.dynamicaudio.jp/file/100403/P1070544.jpg スピーカーの角度は音像の輪郭表現だけに影響するものではなく、弦楽器の 場合には質感にも影響してきます。弦楽器の個々が互いに音像を重ね合わせた ようにフォーカスが定まらないとハーモニーが崩れ乾燥気味のかさかさした 印象となってしまいます。 このようにリスナーに対する角度を調整することで弦楽器の集団が同時に発する 楽音に統一感が生まれ、各々のディティールが鮮明になることで余韻感が増し、 結果的に潤いが感じられるようになるから不思議なことです。 これが第一のチェックポイントでした。 次に、バイワイヤー仕様のGrand Ceramiqueは入力ターミナル付近にある スイッチでシングルワイヤーとの切り替えが出来るようになっています。 用意周到なN.N様はこの日のために某社のスピーカーケーブルを2ペア用意され ており、バイワイヤーにて音だしを開始したものでした。しかし… 角度のチューニングを終えて再度聴いた私には今一つの感があったのです。 以前にも経験がありますが、バイワイヤー仕様のスピーカーで切り替えスイッチ があるものだと使用するケーブルの品位によって反作用を起こすことがあります。 そこで私はN.N様がせっかく用意されていたケーブルでしたが、それを1ペア だけ接続するということでシングルワイヤーに切り替えました。すると… 「おー!!これですよこれ!!弦楽器の質感はこうでなくては!!」 これも不思議なことに楽音に潤いが発生し、余韻感として拡散していく響きの 要素が微小レベルまで観察できるようになってきました。スピーカーとして ここまで反応するという事はかえってありがたいことです。 N.N様には今後のハルズモニターで色々とケーブルをお試し頂くという課題が ありそうですね〜とお話ししました。セットして間もないGrand Ceramiqueが 自ら欲している音質をオーナーに示すように変化し、基本的なセットアップに よっての変化のベクトルが見えてきました。良くなってきましたね〜!! ■セミヨン・ビシュコフ指揮/パリ管弦楽団 ビゼー「アルルの女」「カル メン」の両組曲から1.前奏曲 8.ファランドール 前の曲でツボを押さえてあったので、次の課題曲もすんなりと聴かせて頂きました。 オーケストラの各パートの各論においては今後N.N様の美意識によって磨き 込んで頂ければと思います。そうこうしているうちに結構な時間が過ぎてしま いました。 美味しいコーヒーとケーキなどご馳走になりながら、今度はN.N様の選曲による オーケストラをじっくりと聴いて頂きました。この時、私は傍らで聴きながら おもてなしを頂戴していたのですが、真横で聴いているうちに更なるチェック ポイントに気が付きました。再度↓この写真をご覧下さい。 http://www.dynamicaudio.jp/file/100403/P1070544.jpg 当日はアクシスのご厚意によりKRELL Evolution302を自宅試聴で貸し出して 頂きセットしました。それは上記の写真のようにQUADRASPIREのQ4/MP/SOという 棚板一枚の上にパワーアンプを乗せるということで聴き始めたものです。 しかし、私はN.N様が選曲されたオーケストラの深い低域、重量感としては まだ重みが出ても良さそうなのに!?というポイントが気になったのでした。 そこで、アクシス担当者に手伝ってもらい、私がパワーアンプを持ちあげて いるうちに棚板のボードを取り去ってもらいました。この間はプリアンプの ボリュームは変えずにおいて、単純なセッティングの変化の後にN.N様に同じ 曲を聴き直して頂きました。そして…、私は傍らで聴きながら思わずニンマリ としてしまったのでした。 Grand Ceramique Midi 1.0のシングルウーファーに対してGrand Ceramiqueは ダブルウーファーになっていますが、振動面積が二倍になったから音圧も二倍 になるかというと、実はそうではありません。実際には1.4倍になります。 ただ、ダブルウーファー仕様にするのは単純に低域の音圧だけを求めてのこと なのかと言いますと、それも違うのです。低域におけるより多くの低歪化とい う性能追求が最も大きな理由なのです。 しかも、それは大音量での低歪化という目的もありますが、実は一般的な音量 においては情報量の拡大というポテンシャルを狙ったものと言えるのです。 そして、もうひとつ私が特筆したいのはEnigma upgradeの素晴らしさです。 http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/598.html 上記↑でも述べていますが、こんなに軽々と、そして深々と描かれる低域とは Enigma upgradeの魅力でもあり、またダブルウーファーによるゆとりが通常の 音量でも十二分に発揮されている証でもあります。この低域は実に素晴らしい。 セッティングと使いこなしによって更に発見されるKharmaの魅力は、表情を 見ているとN.N様にも認めて頂いたようです!! 「川又さん!!違いますね〜確かに!!」 というN.N様のお言葉を頂戴しました。もし、お時間のある方は↓この訪問記 をご覧頂ければと思います。 http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/fan/hf_visi0016.html パワーアンプは設置する環境、特にアンプの底部にあるフットが接地する床や ラックの影響を必ず受けているものなのです。 http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/625.html 私はパワーアンプのペースでも色々な体験をしてきましたが、私が推薦できる ものとしてはzoethecusのz.blockシリーズかProject"H.A.L.C" H.B/1M、または 上記でも紹介したB-Boardであれば間違いないものです。 せっかく低域の重量感が出せるパワーアンプなのに、その実力が置き方によって 減じられてしまうということは大変もったいないことです。ぜひ参考に!! さて、このようなチューニングを納品と同時にさせて頂きました。そして、 N.N様には再度マイケル・ジャクソンを聴き直して頂くことにしました。 高価なスピーカーであるだけに、お金をかけずに本来の魅力を引き出すことの 重要さ、そして、もし何も知らずに使い続けておられると想定すると、せっかく のシステム全体への投資効果が大きく減じられてしまったことになります。 実にもったいない…。 私がうかがった成果としてユーザーの目の前で比較実験して納得して頂ける ことの重要さがあると自負しております。 試聴されたN.N様の表情が、それを物語っているかのようでした。 そして、後日には次のようなメールとお写真もお送り頂きました。 -*-*-*-*-*-*-*-*-*- 川又様 本日は拙宅までお越し頂き、また、長時間に渡り貴重なアドバイスをたくさん 頂きありがとうございました。 ちょっとしたセッティングの妙で、見事に音が変わることを自分のシステムで 体験できるという、非常に貴重で贅沢な出来事でした。 私にとっては人生で最もビッグイベントだったかもしれません。 非常に光栄な出来事で、末代まで語り継ぎたいと思っています。 あれから Kharma も Krell もますます調子があがり、駆動力は圧倒的で、 低音にもこんなに色の違いがあるのだということを再認識させられました。 もともと今回の購入動機が、ガルネリでは不得手なフルオーケストラやロック などが「不満無く聴ける」事だったため、その点では大正解だったと思います。 まだまだ初日ですが、これからが楽しみなシステムだと思いました。 また、設置時はケーブルなどがごちゃごちゃだったので、ちょっとスッキリ させてミニ撮影会を行いました。 照明を変えて、いくつか撮影しましたので写真を添付いたします。 多少まだ硬さを感じるところもありますが、ますます歌ってくれるように なっています。とにかく、聴く度に新たな発見があります。 目指す方向は「大粒のエネルギーが空から降り注ぐ」イメージと「若くて健康 的な色気」の両立です。 このスピーカーならその願いを叶えてくれると確信するに至りました。 まだまだ迷いは多くあります。 今後ともアドバイスをよろしくお願いいたします。 http://www.dynamicaudio.jp/file/100403/Kharma01.JPG http://www.dynamicaudio.jp/file/100403/Kharma02.JPG http://www.dynamicaudio.jp/file/100403/Kharma03.JPG http://www.dynamicaudio.jp/file/100403/Kharma04.JPG http://www.dynamicaudio.jp/file/100403/Kharma05.JPG http://www.dynamicaudio.jp/file/100403/Kharma06.JPG http://www.dynamicaudio.jp/file/100403/Kharma07.JPG http://www.dynamicaudio.jp/file/100403/Kharma08.JPG http://www.dynamicaudio.jp/file/100403/Kharma09.JPG http://www.dynamicaudio.jp/file/100403/Kharma10.JPG -*-*-*-*-*-*-*-*-*- N.N様ありがとうございました。私のカメラとは違ってさすがに一眼レフの 画質と選択されたレンズでの構図は見事なものですね〜(^^ゞ ご自慢の照明システムも絶妙な雰囲気の演出がなされていていいですね〜!! このようにご自身のシステムを視覚的に見ての美意識があるということは、 後は時間の問題でN.N様の耳でも美意識を追求し磨き上げて行くだけでしょう。 N.N様の美意識によってお眼鏡にかなう音質になったと連絡を頂戴した時には 再度のSound checkに訪問させて頂く事も楽しみにしております。 今回は本当にありがとうございました。 |