《ESOTERIC “PS-1500”H.A.L.'s Monitor Report》
No.0329 - 2006/10/24
東京都世田谷区 S 様より Vol.5「結論から言いますと、7N-PC9100は麻薬、PS-1500は劇薬です!!」 これまでの投稿をご紹介いたします。歴史がありますね〜(^^ゞ http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/fan/hf_hear0280.html http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/fan/hf_hear0271.html http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/fan/hf_hear0250.html http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/fan/hf_hear0205.html ESOTERIC PS-1500&7N-PC9100×3モニターレポート 川又様 世田谷のSです。 PS-1500と3本の7N-PC9100を貸していただきありがとうございました。 試聴リポートをお送りします。 両方とも60時間のバーンインを行いました。すべて新品を貸していただいたので、 7N-PC9100はまだ通電時間が足りないかと思います。 結論から言いますと、7N-PC9100は麻薬、PS-1500は劇薬です!! 重複を避けるために、これまでの川又さんやハルズサークルの方々のリポートが 誇張ではないことを確認しました。 両製品とも素晴らしい効果があります。 ただし……というのが私の場合、麻薬と劇薬を分けた理由です。 私は今、P0s、D70、G0、プリ、パワーに5本のPLMMを使い、電源を供給しています。 PIMM、PI8MMは後に各述べる理由(実はお金がないことが大きい)から見合わせて いました。その前は、P0s、D70、プリに8N-PC8100を使っていました。というわけ で、このところ話題になった3種類の電源ケーブルを体験できたわけです。 7N-PC9100については、あまりといえばあまり、次から次へといいものが出てきて、 毎度つきあっていたら、アンプだってスピーカーだって新しいのが買えるじゃない か、と弱々しく凍結を決めていたのです。 できもしない禁煙宣言みたいなものです。 でも、川又ルームに立ち寄ったのがいけなかった!! お客様がどなたもいらっしゃらず、7N-PC9100とPS-1500を聴いてしまったのです。 気づいたときには、自宅試聴を申し込んでいました。 で、本題です。 私はいつも、オーディオの試聴には不向きと思われる千住真理子のディスク「カン タービレ」から始めます。彼女が弾くヴァイオリンは300年の眠りから覚めた いわく付きのストラディバリ。 ふくよかで、伸びやかで、こんなに素性のいい楽器はめったにお目にかかれません。 演奏もこのディスクに限ってはまずまずです。伴奏はピアノのみ。 いつものオールPLMMで聴いてからトランスポートのケーブルだけを7N-PC9100に 変えます。伴奏のピアノが粒立ち、しっかりと鳴ります。 伴奏のピアノはやや控えめでマイルドに録音されていることが多く、このディスク はひときわその傾向が強いと思います。 もう少しクリアに鳴ってもいいのにと、日ごろ思っていました。 それが7N-PC9100に変えたとたんに変わりました。 ほどよく前に出てきて、いいのです。 そして、ストラディバリが入ってきます。 そのとたんに「これを待っていたんだ」と思いました。 弦の音が潤い、粘り気が増します。したがって、コクが増します。 低音が入っている2曲目、3曲目もあわてて聴きました。 間違いありません。 ヴァイオリンの低音が、音圧によってではなく、潤いと粘り加減で内蔵を揺さぶる ほどに迫ってきます。あんぐりと口を開けたまま、しびれてしまいました。 期待を込めて7N-PC9100をPS-1500につなぎます。 「ん?」 ピアノはさらに粒立つが、弦はちょっときついか。なにより粘り気が弱くなる。 だからコクも薄れる。PLMMをPS-1500につないでも同じ傾向でした。 粘り気って、どういうことでしょう。 納豆は何も加えずに100回かき回せとよく言います。強い粘りが生じます。 それに醤油を混ぜます。 すると粘りはやわらかくなり、混ぜるのも楽になります。 そんな違いです。 ヴァイオリンの音には、いつまでも弓が弦に吸着して押し引きしているように、 強く粘ってほしい、納豆100回かき混ぜ状態で鳴ってほしいと勝手に思っている だけです。 なぜこのディスク「カンタービレ」から始めるか。弦の潤いと粘り気を確かめたい からに他なりません。それにはこのディスクがよくわかります。 7N-PC9100を単体で聴いたときに「待っていたんだ」と思ったのは、以下のような わけです。8N-PC8100を3本導入したとき、同じ感覚を持ちました。 天上の音を聴いているような気分がしたものです。 それを全部PLMMに変えたとき、抜けの良さ、さわやかさ、隈取りの確かさに爽快な 気分になりました。粘り気はほんの少し薄れたかな、とはチラッと思いましたが、 その余の効果の方が圧倒的に大きかった。 ただ、全体として、音は軽めになった印象がありました。 今回、7N-PC9100をたった1本使っただけで、PLMMに変えたときのマイナス点が 払拭されたばかりか、8N-PC8100にも増して潤い、粘り気、コク(みな同じことか も)が出ました。 実は、PLMMでもプリとパワーにPIMMを通したときに、潤い、粘り気、コクがいくら か増すことを確認しています。 PI8Mはそれほどではありませんでした。 だから、PIMMはいずれ導入するか、ほかの手段でも実現できるのか、もう少し見極 めようと思っていたわけです。 それにしても7N-PC9100恐るべしです!! なお、今回お借りした3本の7N-PC9100のうち、1本はPS-1500の電源供給に使い、 残りの2本をフロントエンドに差し替えて使ったのですが、効果はトランスポート が一番、次がDAC、G0の順でした。 傾向はいずれも同じで、以下、分かりやすくするためトランスポートに7N-PC9100 を使ったものとして話を進めます。 次はモーツアルトの弦楽5重奏1番。 スメタナ・カルテットにビオラのスークが加わったクインテットです。 PCM録音の初期ですから、録音は古い。いまの録音と比べると、セパレーション があまりよくなく、5本の楽器が渾然としがちです。 PLMMに変えてからというもの、5本の楽器が見えてきました。 7N-PC9100ではよりはっきりし、やはりコクが加わります。 7N-PC9100+PS-1500にすると、新しいディスクのよう聞こえます。 音の分離・分解がさらに明瞭になります。 ただ、5本の楽器のブレンド具合がほぐれすぎます。 7N-PC9100を単体で使ったときの方がほどよいブレンドで、好みです。 弦楽器を聴く楽しみは、先ほどの潤い、粘り気、コクと、楽器同士のブレンドの 妙だと私は感じています。混ざりすぎればモヤモヤするし、完全分離の方向にいく と潤わない。 楽器は見えるけれども、音はほどよく混ざってほしい。勝手なものです。 好みの個人差も大きいでしょう。 第2楽章は弱音器をつけた演奏です。もやの中から弦楽が聞こえるような、その くもり具合がなんともいい雰囲気を醸し出すのですが、PS-1500を使うとそのくも りがかなりとれます。 なんとなく聴いていると、弱音器に気づかないかも知れないほどに、くもりが晴れ ます。PS-1500恐るべしです!! でも、私はこのディスクでも迷うことなくPS-1500を通さない7N-PC9100の単独使用 をとりました。 一気に大編成のオーケストラです。 モーツアルトの交響曲39番。クーベリックが指揮するバイエルン放送交響楽団の 演奏です。これは問題なく7N-PC9100+PS-1500に軍配が上がりました。 素晴らしいです!! オーケストラがここまで分離して各楽器が聞こえ、低音が締まるとは予測を超えま した。オケの中にいて聴いている(そんな経験ありませんが)ような感じです。 オーケストラにこのような楽しみがあったか、と再認識させられました。 もともと、オーケストラは大編成なので、楽音の分離が難しい音楽です。 オーディオで聴くときの不満もそこでした。ブレンドしすぎているという不満です。 そこが解決に向かって、音楽そのものが生き生きとしてきたようです。 PS-1500のクインテットとオーケストラに対する効果の違いはどこにあるの? そんな疑問がわきました。しからば、ヴィヴァルディの協奏曲集「調和の霊感」 作品3。イタリア合奏団の演奏です。ヴァイオリン×6、ビオラ×2、チェロ×2、 コントラバス×1、ハープシコード×1の12人編成です。 PLMMオンリーでは何ともさわやかで、いい録音です。7N-PC9100単体ではそれに コクが加わって、ブレンド感もさらに素晴らしい。7N-PC9100+PS-1500では12人 の姿がさらに見えて強烈です。 ただ、音は気持ち細身になる。これは7N-PC9100単体をとるか7N-PC9100+PS-1500 をとるか難しい。どちらもいい。意見は分かれるでしょう。 つまり、弦楽器を中心にしたものは、このあたりが分離とブレンドの兼ね合いの 分岐点ということになりそうです。 弦楽器大好き人間ですが、もちろんほかのディスクも聴きました。 ほかのディスクに関してはPLMMより7N-PC9100、それよりも7N-PC9100+PS-1500に はっきりと軍配を上げます。 ボーカルグループIL DIVO。7N-PC9100で圧倒的にエコーがきれいに漂い、PS-1500 を加えると口元が小さくなります。 以前の8N-PC8100にすると、全体がモヤモヤし、大口になります。 いいケーブルなのに、比較するとこうなっちゃうのですね。 大貫妙子、アトラクションから1曲目「Cosmic Moon」。 打楽器系が主体ですが、7N-PC9100に変えると各楽器が存在感を増し、音が前に 出てくるし、天上からとどろく雷鳴の破裂音が乾いて、みごとにはじけます。 7N-PC9100+PS-1500にすると、さらにその傾向が増します。 ジャズのエディ・ヒギンズ・トリオです。 7N-PC9100では低音の締まり、ピアノの粒立ち、全体のエネルギー感が抜群です。 7N-PC9100+PS-1500さらにそれが加速します。 使っているスピーカーは最近変えたソナルファベールのアマティです。 低音に関していえば、ゆるいといわざるを得ないでしょう。 それが7N-PC9100+PS-1500を使うと、「こんなに出るの」「こんなに締まるの」 という印象を得ます。 では、なぜ小編成の弦楽ではPS-1500を使わない方が良かったのかを、考えてみま した。というより、今回の試聴で自然に答えが見つかったと思うのです。 かれこれ4年以上、いいスピーカーを探してきました。 弦楽器の一つひとつをきちんと聴かせてくれて、なおかつうまくブレンドしてくれ るものはないかと。 矛盾するようなこの条件はなかなか見つかりませんでした。 あたらしいソナスの製品群に出会って、現段階では「これしかないだろう」と思え ました。速い低音や全体の押し出しといったオーディオ的楽しみには目をつぶりまし た。 7N-PC9100では個々の楽器の描き方、ブレンド具合、音楽のコク、すべてが向上し ました。7N-PC9100は何にでも有効に効く麻薬であり、媚薬でもあります。 一方、PS-1500にはソナスのブレンド具合を変えるほど強烈な力があるのだと思い ます。ですから劇薬です。 というわけで、皆さんにもぜひ自宅試聴をおすすめします。 お金がないので、とりあえず7N-PC9100を1本いただきます。 あとはインターコネクトケーブルやスピーカーケーブルでもかなり変わるので、 どのように導入していくか検討します。 それにしても、川又さん、いつもありがとうございます。 -*-*-*-*-*-*-*-*-*- 川又より S様お礼を申し上げるのは私の方でございます。ありがとうございました。 確かに次から次へと良いものが出てきますが、TRANSPARENTの“PEIP”デバイスを 推薦しているのは現在も同じであり、PLMMの価格税別\216,000.と7N-PC9100の35万 円という価格差を考えてみてもパフォーマンスの比例関係があるということかと 思います。 お陰さまで、PS-1500は戻ってくると次の会員へと当日のうちに発送されるという ことが続いており、体験者を徐々に増やしつつあります。皆様もどうぞご利用頂け ればと思います。何かが変わり、何かが発見されることでしょう。 |