発行元 株式会社ダイナミックオーディオ
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H.A.L.担当 川又利明


2009年9月15日
No.676 「H.A.L.'s One point impression!!
       HB-1の進化⇒Wadia 381 & KRELL!!」
 

今月発売されたステレオサウンド誌にはWadia 381が紹介されています。

http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/674.html

どうも私の語り口とは違う温度感なので、戸惑ってしまう方もいらっしゃると
思いますが、どこまで掘り下げて製品を分析するかというスタンスは自ずと
違うものですから…。

三日目にして開花した本領に関しては、それ以上の時間をかけると更にどう
なっていくのか? これはスピーカーのHB-1と同じようにバーンインの進化が
期待できるものであり、また、それを私も見逃すことはないというものです。

優秀なスピーカーが登場し、それを鳴らすための様々なトライで音質は磨かれ、
そして、組み合わせるコンポーネントの潜在能力を更に開花させるという展開
はオーディオの醍醐味とも言えるものでしょう。

さて、一週間前に体験したCD専用プレーヤーでありながらコンピューターとの
連係を可能にしたWadia 381に関して、ハルズサークルの皆様の反響を募集す
ると共に、定常状態でWadia 381の実演をご提供すべく思い切ってシルバー
仕上げのWadia 381を常設展示として導入しました!!

やはり、電源を入れてから三日目というのが私のこだわりであり、更に細部に
渡るコーディネートを行い、今日のこと。また感動の音との出会いがあったのです!!

早いもので私がHB-1とのペアリングで合わせたパワーアンプは今回で8台目と
なりましたが、ケーブルも一新しての検証システムは次のようになりました。


 ◇ KRELL & Wadia 381 & Kiso Acoustic HB-1-inspection system Vol.8 ◇

………………………………………………………………………………
Wadia  Wadia 381(Silver) (税別\980,000.)
http://www.dynamicaudio.jp/file/090902/Wadia381_u.pdf
     and
TRANSPARENT PLMM+PI8(税別\606,000.)
http://www.axiss.co.jp/transparentlineup.html#POWER
     and
Project"H.A.L.C"H.C/3M(税込み\560,000.)
http://www.dynamicaudio.jp/audio/halc/
………………………………………………………………………………
                ▽ ▽ ▽
 
TRANSPARENT BRXL1.5 (1.5m)(税別\1,100,000.)
http://www.axiss.co.jp/ftran.html
 
                ▽ ▽ ▽
………………………………………………………………………………
JEFFROWLAND  Criterion (税別\2,780,000.)
http://www.ohbashoji.co.jp/products/jrdg/criterion/
     and
TRANSPARENT PLMM+PI8(税別\606,000.)
http://www.axiss.co.jp/transparentlineup.html#POWER
     and
Project"H.A.L.C"H.C/3M(税込み\560,000.)
http://www.dynamicaudio.jp/audio/halc/
………………………………………………………………………………
                ▽ ▽ ▽
 
TRANSPARENT RBL2 (2m)(税別\566,000.)
http://www.axiss.co.jp/ftran.html
 
                ▽ ▽ ▽
………………………………………………………………………………
KRELL  Evolution 402(税別\2,700,000.)
http://www.axiss.co.jp/fkrell.html
          and
TRANSPARENT PIMM+PLMM(20A)(税別\720,000.)
http://www.axiss.co.jp/transparentlineup.html#POWER
………………………………………………………………………………
                ▽ ▽ ▽
 
TRANSPARENT RSC10 (3m)(税別\780,000.)
http://www.axiss.co.jp/ftran.html
 
                ▽ ▽ ▽
………………………………………………………………………………
Kiso Acoustic HB-1/Mahogany(税別\1,300,000.)
http://kisoacoustic.com/
     and
H.A.L.'s original"P-board"×2 (税込み\136,000.)
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/508.html
………………………………………………………………………………

熟成が進むHB-1に対して色々なコンポーネントを組み合わせしていますが、
HB-1のバーンインが出来あがってくる以前の音質で聴いてきた過去のアンプに
はちょっと申し訳ない気持ちもあります。

今はアンプ作りを止めてしまったHOVLANDの二機種を当初組み合わせましたが、
良い意味でdiscontinueとなってしまったのは不幸中の幸いかもしれません。

その後に組み合わせしたアンプは事前に私の見立てによるものであり、各々の
パワーアンプともに素晴らしいマッチングを示してくれましたが、その中でも
MARKLEVINSON  No.532(280万円)は大変印象に残るものでした。

このアンプでWadia 381の第一印象を述べたものでしたが、このCDプレーヤー
の常設に当たり、フロントエンドの魅力を同様なインパクトで聴かせてくれる
パワーアンプは何だろうか…?という思いで白羽の矢を立てたのがKRELLでした。

奇しくもNo.532とほぼ同価格の270万円であり実効出力も同じ400W(8オーム)と
いうのだから興味深い。それがKRELL  Evolution 402だったのです。

三日前にWadia 381と一緒にセッティングして本日までバーンインを繰り返し
てきました。今朝、出勤して試聴室に入るとムッとする熱気が充満していて、
これでなくっちゃ〜KRELLのいいところは出ないと納得して午後になってから
やっと試聴の時間ができました。

電源とシグナルパスのケーブルをTRANSPARENTに統一し、十分にウォームアップ
されたシステムを早く聴きたいという気持ちから昼食も早く済ませて試聴室に
入ったものでした。先ずは定番のオーケストラからかけて行くことにしました。


■マーラー交響曲第一番「巨人」第二楽章  小澤征爾/ボストン交響楽団

職業として音質を吟味するという習性は、悲しいかな私から個人的音楽鑑賞の
楽しみという趣味性を退化させてしまうという局面がありますが、そんな思い
が自分でコーディネートしたシステムの音質に自信と使命感を催す場合もあり
まったく逆に一音楽ファンとして演奏に没頭させてくれるかどうかという
境界線も引いてくれる時があります。

私の希望的観測によって組み合わされたシステム構成によって職業人としての
分析の範疇にとどまるのか、それとも一線を越えて音楽鑑賞という領域で我を
忘れて演奏に没入するひと時を提供してくれるのか、この時も好奇心はあれど
比較的冷静にディスクをローディングしたものでした。お馴染みのトラック2です。

「何なんだー!!この弦楽器は!!こんな音がHB-1から聴けるなんて!!」

MARKLEVINSON  No.532を使ってWadia 381のインプレッションを述べた際に
私のボキャブラリーの大半を使い尽くしてしまったのだろうか? それとも何百
何千と繰り返し聴いている課題曲の音質表現に行き詰ってしまったのか、何とも
陳腐なコメントで我ながら情けないと思いつつ、この驚きと感動をどのよう
に表現したものか困ってしまうよりも驚きの言葉が先に出てしまった!!

流れるような流麗な弦楽器の艶やかさ美しさをどう表現したら良いのか!?

No.532で聴いたオーケストラはアグロサクソン系の白人美女のイメージだろうか?

ブロンドの髪は細く軽く風になびくように繊細でありながら、たくましい骨格
は骨太な低域とダイナミックな質感表現でオーケストラでのフォルテを迫力
万点で演奏し、グラマーで引き締まった体型は雄大に聴かせるポイントを心得
ているのか楽音の厚みというところで音量感以外にもエネルギー感を発揮して
いたようだ。

それに対して今回のWadia & KRELL & TRANSPARENT & HB-1というシステムが
私に強烈に印象付けたのは正にアジア系女性、というよりもズバリ日本人女性
の感性を思わせる音質でした。

黒髪の質感は一本ずつが充実し弦楽器の各々の楽音を個々の存在感として示し、
しかも緑の黒髪の例えのように艶やかな黒い流れに光がエンゼルリングのよう
に光の輪として輝く様子がイメージされます。

肩幅も狭く細身の骨格はたおやかな振る舞いを思わせ、エンジンの大きさと
高いトルクで押しまくるような傾向ではなく、脚の親指にちょっぴり力を入れ
ただけでアクセルが反応するような瞬発力を内包するしなやかさと言うべきか。

柳腰という言葉通り体型はほっそりとしているが芯が強く、スレンダーなプロ
ポーションは演奏に特定の力みを感じさせず、演奏の特徴という流れに逆らわず
細部を表現する慎ましさというところか。

私は以前からこんなことを考えた事がありました。人間同士、あるいは男性から
見ても、生まれて初めて見た女性に対して美しさ、魅力を感じるのはどうして
なのだろうかと。

初恋の思い出と言えばオーバーだが、不思議と人間には生まれながらにして
感じる美意識が備わっているのでしょう。美女とはこういう定義であり、こんな
女性を見たら美人だと思いなさいという教えを画像や活字で教えられたわけで
はないのに、先天的な観察眼というか自我に反応する美意識がDNAとして組み
込まれているのでしょう。

こんな例えをオーディオに転化すると、まったくオーディオの初心者であって
も良い音には反応し、美しさや迫力という体験時の印象を人々はちゃんと語る
ことができるのです。いや、これはオーディオ以外では生演奏の場合には演奏
の素晴らしさということを潜在的に感じとることができるというのも同様です。

知識と経験がなくとも美意識が自然と備わっているということだと思います。

そして、経験を積むことによって美の定義として考えられる評価基準のバリ
エーションを数多く持つことができるようになります。そして、それは人生
経験が長く多くなるほど数を増やしていくものでしょう。

ですから、美意識、美の鑑定と評価は無限大ということになります。
ミス・インターナショナルのようなコンテストで毎年違う女性が選ばれること。
また、音楽の世界でも時代に伴って毎年ヒット曲が生まれ、またジャズやクラ
シックの世界でもスタンダードと言われる曲があり、その演奏者が異なることで
新鮮な演奏として評価され続けて行きます。

こんな事をつらつらと考えていたことがありましたが、実に私がオーディオに
対して音質評価をするということはミスコンテストと同様な趣で、いつも更なる
美女を発見していくのと似てはいないかと思い当たることがあります。

オーディオにおける美意識、美の評価はまさに無限大と言えるでしょう。

今日私が聴いたWadia & KRELL & TRANSPARENT & HB-1では、あっけなく昨日まで
の記憶を認めつつ、更に新しい美音の発見という見出しのファイルを作ること
ができました!!


■セミヨン・ビシュコフ指揮/パリ管弦楽団 ビゼー「アルルの女」「カル
 メン」の両組曲から1.前奏曲 8.ファランドール

いつもの最初のマーラーを聴いただけで、私は楽音の個々における質感の表現
を述べるという手法を無意識に捨ててしまったようなところがあります。

この曲の冒頭では弦楽器の合奏が幾層ものレイヤーでと比喩していましたが、
このシステムで聴くオーケストラでは色彩感の多層構造の中にどんな色が混じ
っているのかという見方はしなくなっていました。

多様な色彩感が渾然一体となって私の眼前で展開しますが、それらの色素を
分類するのではなく、多様な色が混じり合って響くということを虹色、または
玉虫色というイメージに置き換えて聴いてしまっていることに気が付きます。

一色の色は確認した。すると、隣り合う色との境界線では二色が混じり合って
えもいえぬ美しい中間色を作り出し、しかも!!その中間色にほんのりとした
光沢感が見られるのだから堪らない!!


■チャイコフスキー:バレエ音楽《くるみ割り人形》op.71 全曲 サンクト
 ペテルブルク・キーロフ管弦楽団、合唱団指揮: ワレリー・ゲルギエフ
 
第一幕の序曲での弦楽器の質感にはため息が漏れそうな余韻感の美しさがあり、
アルコの切り替えしごとにヴァイオリンだけのエコー感がほんのりと展開する。

これは前回も感じた事だが、いやいや参った!!ほんのりとしたエコー感に上記
のような隣り合う色の境界線で見られる新種の色彩感が滲み出ているくるのだ
から新種の音色です。正に音の色が新しく生まれてきた瞬間を目撃したのです。

弦楽器での発見は管楽器や打楽器にも同様な傾向を当然発揮しています!!
木管楽器にはふくよかさを、金管楽器では切れ味を損なわずになごみを!!
打楽器ではグランカッサの雄大さ、トライアングルの緻密さの両極端な響きを
ホールという空間に溶け込ませていく浸透圧の一致を聴かせてくれるのです!!

前回に比べて新しい要素、KRELL & TRANSPARENTという変化は実に魅力的な
変化をWadiaという入口であるプレーヤーに、そしてHB-1という出口のスピー
カーに与えてくれました。正にオーディオの美的感覚とは無秩序であり無限大
だということでしょう。いや〜参りました!!


■MUSE 1.フィリッパ・ジョルダーノ/ハバネラ
http://www.universal-music.co.jp/classics/refresh/muse/muse.html
 
■DIANA KRALL「LOVE SCENES」11.My Love Is(MVCI-24004)
http://www.universal-music.co.jp/jazz/artist/diana/disco.html

■ちあきなおみ/ちあきなおみ全曲集「黄昏のビギン」
http://www.teichiku.co.jp/teichiku/artist/chiaki/disco/ce32335.html

ヴォーカルいいです!!こんなことはオーケストラを聴けば予想できたことなの
に、聴いて実感させられてしまうのだから仕方ない。日本女性の佇まいという
比喩を述べましたが、女性ヴォーカルを聴く殿方には効果絶大の媚薬となります。

このお薬の処方箋には次の二つが含まれています。KRELL & TRANSPARENT!!
虜にならないように用法用量を正しく守って正しく服用して下さい。(^^ゞ

           -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

ここにHB-1というスピーカーが存在している以上、私の探究心が色褪せること
はないでしょう。

Kiso Acoustic HB-1そのものがミスコンテストの主催者みたいなものです。
そして、私は審査員であろうと考えています(^^ゞ

時が代わり組み合わせが変われば変わっただけ、オーディオシステムを評価
する美意識そのものが常に新しく生まれてくるからです。

今回は取りとめのない文脈になってしまいましたが、私には稚拙な文章を補え
るだけの手段を持っているということからお許し頂ければと思います。

そうです!! 聴けばお解り頂けるからです!!
どうぞご来店下さい!!


このページはダイナフォーファイブ(5555):川又が担当しています。
担当川又 TEL:(03)3253−5555 FAX:(03)3253−5556
E−mail:kawamata@dynamicaudio.jp
お店の場所はココです。お気軽に遊びに来てください!!

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