発行元 株式会社ダイナミックオーディオ 〒101-0021 東京都千代田区外神田3-1-18 ダイナ5555 TEL:(03)3253−5555 FAX:(03)3253−5556 H.A.L.担当 川又利明 |
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http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/664.html このブリーフニュースの中で次のような一節があります。 -*-*-*-*-*-*-*-*-*- 「マホガニーモデルと違う部分は側面板・胴板がハワイアンコアになりフロント パネルには杢の美しいGoldener Madronaという銘木を使用しました。 また、杢をさらに引き立たせるため下地にセラック塗装を施しています。」 ということで凝りに凝った仕上げであり、これは商品ではなく作品という次元 の芸術的な美しさと言えます。 杢=木目というイメージでは流れるような筋模様というか連続性のある模様を 想像されるでしょうが、今回採用されたGoldener Madronaという木材の美しさ は誰しもが息を飲むほどのものだと思います。 仮に一般的な木目を目にした時、三センチ四方のスペースに区切って観察する と、あるポイントからとなりの区画に目を移しても想像できる範囲の連続した 木目の流れを見ることになるでしょう。しかし!! 何と、このGoldener Madronaの木目は隣り合う三センチ四方の区画でも全く 違う模様がうねっているのです!!この美しさを言葉で表現するのがいかに困難 であり虚しいものか、実物を、あるいは写真でも見て頂ければきっと皆様の 美意識を揺さぶり、その残像はいつまでも皆様の記憶に残ること間違いありません。 それほど魅惑的であり美しいものです。響きを作るスピーカーは視覚にも響き を作り出してくれます!!この意味は実物をご覧になると分かると思います!! -*-*-*-*-*-*-*-*-*- さて、このように私が言葉で表現することが困難だと思っていたハワイアンコア の実物を見て、私は感動のため息をついてしまいました。それを皆様に画像と して見て頂くということにいささかの躊躇がありました。 それは高峰楽器製作所の担当者から送られてきた写真はスタジオで撮影された ものであり、その解像度と質感は私のカメラとこの環境では表現できないだろ うと思ったからです。でも、そうこう言っても始まりませんので、せめてもの 救いは違う条件で複数の写真を撮影して見て頂くことだろうと思いました。 先ずは、上記で述べているGoldener Madronaのフロントバッフルの美しさです。 http://www.dynamicaudio.jp/file/090707/h+g.jpg 次に場所と照明を変えてみました。 http://www.dynamicaudio.jp/file/090707/h+g02.jpg いかがでしょうか…、私が「三センチ四方のスペースに区切って観察」と例え た模様がお分かり頂けますでしょうか? この色合いと質感が上手く撮れないので何十回もシャッターを切り、画質補正 もなるべく少しだけということでやってみましたが、やはり実物の方が数倍 美しいというものでした。 これをもっと正確にお伝えしたいということから高峰楽器製作所の担当者に 相談したところ下記のサイトを教えてもらいました。 http://www.wischer-gmbh.de/furnier_show3.htm このページをスクロールして頂くと上から11列目の一番左にGoldener Madrona がありますので、ぜひクリックして拡大写真を見て下さい。実に美しいです!! さて、肝心なHawaiian Koaはどうなっているのか、というのが次の写真です。 http://www.dynamicaudio.jp/file/090707/h+g03.jpg どうですか〜、このリアビューは!! さすがに銘木と言われるものですね〜 http://www.hoxan.co.jp/species/hawaiian_koa/ そして、更にアングルを変えて撮影して見ました。 http://www.dynamicaudio.jp/file/090707/h+g04.jpg 照明も変えているので色合いが違って見えます。 http://www.dynamicaudio.jp/file/090707/h+g04.jpg 真後ろから見てみるとこんな風になります。 http://www.dynamicaudio.jp/file/090707/h+g05.jpg このサイドビューの響板にも秘訣があります。 http://www.dynamicaudio.jp/file/090707/h+g06.jpg 一枚の原木から同じ木目をそろえて切り出すので、1セット2台の合計4枚の響板 は完全に木目が一致するというこだわりがあり、逆に製造過程において万一の 失敗があると1セット分の材料が全てパァになってしまうというリスクもあり、 品質管理には非常に気配りを要するということでした。 さて、ではなぜ現在はフロントバッフルとボディーに違う木材を使ったのか? 理由の第一はKiso Acoustic 原氏がGoldener Madronaの響きの良さを知って いたということ。 第二には現在入手できるHawaiian Koaの木材は楽器用として薄いものしかなく、 フロントバッフルの厚みに使用できるものがなかったということ。 しかし、潔癖症の原氏は既に現地ハワイの業者に対してHB-1が作れるだけの Hawaiian Koaの材木を発注しているが、それをエアコンルームで再度乾燥させ て使用できるようになるまで四ヶ月以上かかってしまうということでした。 逆に、上記のHawaiian KoaとGoldener Madronaの組み合わせによるHB-1は何と 現在保有しているGoldener Madronaの木材を使い切ったらおしまいという限定 生産になるというから正に世界に一つだけのレアな木目仕上げになるという。 ただし、ボディーとフロントバッフルまで含めて全てをHawaiian Koaで作ると 価格は10万ほど高くなってしまうという。その気になる価格というのは…!? これは後ほどご紹介することにしましょう。 もうひとつ紹介したい写真があるからです。前回撮影したMapleを再度ご覧下さい。 http://www.dynamicaudio.jp/file/090615/hb1_maple01.jpg http://www.dynamicaudio.jp/file/090615/hb1_maple02.jpg http://www.dynamicaudio.jp/file/090615/hb1_maple03.jpg 実は、前回持ち込まれたMapleはステレオサウンドの表紙として撮影すべく 急いで作られたものであり、音質的にも外観・仕上げの面でも本格的に作ると こうなるという実物も今回一緒に持ち込まれてきたものです!! 今回のMapleを見て私は何度目かのため息が出てしまいました!! http://www.dynamicaudio.jp/file/090707/maple04.jpg どうですか〜、この品格ある透明感の美しさは!! http://www.dynamicaudio.jp/file/090707/maple03.jpg 照明とアングルを変えると更に引き込まれるような木目の美しさです!! http://www.dynamicaudio.jp/file/090707/maple.jpg フロントバッフルとボディーに対比をぜひ見て下さい!! http://www.dynamicaudio.jp/file/090707/maple02.jpg 最後にフロントバッフルに光が当たると前回発見したように、うっすらと木目 が透き通り、ほんのわずかに青みがかる絶妙な仕上げがわかります!! さて、フィナーレとして三種類のHB-1を一堂に集めたみました!! http://www.dynamicaudio.jp/file/090707/3finish.jpg 画質補正が難しく、この色をこうすると隣のHB-1の色が変わってしまう…と いう試行錯誤を何回も繰り返して何とかまとめてみました(^^ゞ さあ、三種類のHB-1が揃い踏みしたところで、やっと価格のご紹介です。 ■Kiso Acoustic HB-1 / Mahogany (1ペア/税別 \1,300,000.) ■Kiso Acoustic HB-1 / Maple (1ペア/税別 \1,600,000.) ■Kiso Acoustic HB-1 / Hawaiian Koa & Goldener Madrona(1ペア/税別 \2,000,000.) ★生産可能台数は未定の限定生産 ■Kiso Acoustic HB-1 / Hawaiian Koa (1ペア/税別 \2,000,000.) これらはKiso Acoustic 原氏と膝つき合わせて相談し、また交渉もして設定 させたものであり、全てが“現在の時価”ということになります。 将来的に変動がある場合にはハルズサークルにて速報致します。 また、以前にも述べたように、これらの異なる仕上げのHB-1の製造も含めて 月産20セットということは変わりなく、Mahoganyの標準仕様以外の特注品を 受注してもMahoganyの生産台数が減ってしまうだけで総数としては20セットが やはり限界であるということでした。 そして、情熱的な皆様からMapleとHawaiian Koa & Goldener Madronaを既に 受注しましたので、これからの生産予定としては通常商品としてのMahoganyの 生産数もちょっと減ってくることが予想されています。 -*-*-*-*-*-*-*-*-*- 最近はこのHB-1を聴きたいという皆様が毎日後を絶たず、私が試聴できる時間 が少ない上にMapleとHawaiian Koa & Goldener Madronaの滞在時間は一日だけ ということで、私も全てを聴き尽くすことは出来ませんでしたが、三種類の HB-1を皆様よりも先に比較することが出来ました。 原氏は最初にMapleを聴いて欲しいとおっしゃる。以前に聴いた記憶があるが 自信満々という表情の原氏の言葉に従って先ずMapleを聴き始めました…!! ■マーラー交響曲第一番「巨人」第二楽章 小澤征爾/ボストン交響楽団 この最初の曲で原氏がおっしゃる自信の程を私は直感させられてしまいました。 先ず弦楽器群の分離が殊の外素晴らしい!! 見事にほぐれています!! ある意味ではMahoganyの方がオーケストラ全体を巧妙に融合させるというか、 全体の響きを調和させる妙味があるのですが、弦楽器奏者のひとりひとりを 実に克明に描き出すという解像度は好き嫌いは別として前回のMapleよりも 明らかに向上していました。 ■セミヨン・ビシュコフ指揮/パリ管弦楽団 ビゼー「アルルの女」「カル メン」の両組曲から1.前奏曲 8.ファランドール ■チャイコフスキー:バレエ音楽《くるみ割り人形》op.71 全曲 サンクトペテルブルク・キーロフ管弦楽団、合唱団 指揮: ワレリー・ゲルギエフ これらのオーケストラも聴きましたが、管楽器の再現性が奏者の描写サイズと しても感じられ、ステージ後方からの遠近法を見事に提示し、その音源となる 定位感のポイントが鮮明に伝わってきます。 ホール録音における各奏者の位置関係が詳細にわたり観察出来るということは 音像の輪郭が鮮明であるということ、楽音のエッジがくっきり提示されること が影響していると思うのですが、しかし!! そう、しかし、なのです!! HB-1に共通する“美しい響き”がここでも空中で楽音の発生から消失までを 響きという空間融合のうま味が全体を包み込んでくれるというお家芸を発揮 させるのだから堪らない!! ■ちあきなおみ/ちあきなおみ全曲集「黄昏のビギン」 このイントロでのギターとヴァイオリンの鮮度が音像の鮮明さに裏打ちされて 以前のMapleと対比を見せて弦一本まで、というフォーカスのクローズアップ をしているように感じられ、ギターの弦をつま弾くピックの柔らかさなどは Mahoganyよりもちょっぴり硬めというニュアンスの提示にはっと気がつく!! ちあきなおみのヴォーカルが始まった時には2.9メートルという間隔をあけて セットしたHB-1のジャストセンターにもうひとつのHB-1があるのではと思わせる ほど濃厚な音像を描き、すこぶる滞空時間の長い余韻感を発散するのだから 聴き惚れるを通り越して呆れるほどの“美しい響き”を平然と醸造する。 何と、まあ…、原氏が言っていた本物のMapleの完成度というのはここまで やるか!? というまで私をうならせ、同時に興奮させる。あ〜時間がない^_^; 当然、他の課題曲も全て聴いてみたが、上記のポイントを象徴する魅力が外観 の美しさでメークアップされたように音楽を楽しく聴かせるのできりがない!! -*-*-*-*-*-*-*-*-*- Hawaiian Koa & Goldener Madrona(以降H&Gと表記)をセットアップした。 いつまで生産できるかはわからないというHB-1のOne & Onlyという響きの違い は私にわかるだろうか? などと内心では期待と不安が半々だったが、何と最初のオーケストラでその 魅力は価格相応という私の評価を演奏が始まった直後に決定させられてしまった!! オーケストラの低音楽器が違う!! 先ずはコントラバスの量感が素晴らしい!! たった10センチ、重量は4.5キロ、今となっては既知のスペックであるはずな のに、MahoganyやMapleと比較して堂々たる低域を湛えるオーケストラに私は 嫉妬を感じてしまった!! ここで誤解してはいけないのは、量感は他者よりも明らかにあふれているの だが、それはMahoganyやMapleでの不足という意味ではない。 響きを描くのは中空であり、HB-1の周辺の空気であり、また目視できる自分の 前方にある空間であるわけだが、H&Gで聴くオーケストラでは低域の楽音が響く 領域が他者に比較してサイズアップしているという現象と言えるだろう!! 響きの連動というイメージか、コントラバスのアルコが揺さぶる空気の量が 多いというか、楽音の発生を受けて連鎖する音波の伝搬がスケールアップする。 これは実に気持ちいい!! Hawaiian Koaが楽器に用いられる高級木材であると聞くが、HB-1の響板が周囲 の空気に発散する低音の輻射効率が高いのだろうか? そんな想像をしながらも オーケストラの他の課題曲の全てにおいて充実した低域がグランカッサの響き を雄大に伝え、コントラバスのピッチカートをゆとりを持たせて運んでいく!! そうだ!!ピアノを聴こう!! YPM-005 山本英次「グリーン・スリーヴス」 http://www32.ocn.ne.jp/~ypm/cd.html コロコロと転がるように、またピアノの弦にハンマーがヒットするテンション の張り詰めた瞬間から余韻感がビブラートして響きを繰り返すリアルさ!! これは凄いことになった…、と興奮してきた私はピアニストの右手と左手の 高速運動をイメージしていた。 左手が鍵盤の外側に移動していくときにズシーンと響かせるエネルギー感。 それはオーケストラの分析で感じ取ったダイナミズムを間違いなく聴かせる。 しかし…、右手の軽やかさとスピード感は何と言うべきか!? 音階の高い楽音に関しては他の課題曲でも意識的に聞き直し確認していく。 そうか〜、そういうことか〜!! トゥイーターを擁するショートホーンは黒檀を削り出したもの。 それがフロントバッフルに巧妙に正確に埋め込まれていて、トゥイーターが 発するエネルギーをきちんとバッフルの木材に伝達しているという推論を私は 以前にも述べているが、正にそれだろう!! そうか、そういうことか!! つまりEbony+Mahoganyであり、Ebony+Mapleであり、Ebony+Goldener Madrona というコンビネーションがもたらす響きであり、当然共通項があるわけだ!! トゥイーターの音質はこのような一部共通の木材によって調合された響きで あり、低域の充実感に一瞬我を失った私が気がついたポイントはこれだった!! 全てのHB-1に共通する要素がここにあり、その意味では三者ともに甲乙つけが たい宿命があり、グレードという考え方ではなく響きの選択という発想で見る べきミッドハイ・レンジの“美しい響き”は共存しているということか!! 確かに価格的には高価なH&Gなのだが、その価格を物質的なコストの違いとい うだけで片付けるのは早計であろう。使い手の感性による選択こそが答えだ!! 明日には無くなってしまうH&Gの別れを惜しむように、私は試聴室の空調と 照明を落とし、深夜に一人だけという都会のビルの一室で最後の曲を何に しようかとしばし考えた。 そうだ!! HB-1に初めて感動したあの時と同じディスクにしよう!! 森山直太郎の「さくら」です。しかし、「さくら」ではなく4トラック目の 「手紙」という曲を聴くことにしました。 http://www.naotaro.com/index.asp 冒頭は街中の暗騒音がSEとして入っていて、カラスの鳴き声が聞こえてくる 日常的な音舞台が展開します。さも、青年が一人だけの部屋でギターを抱えて 歌っているような導入部はコンプレッサーを利かせて意図的に帯域を制限し、 効果音の延長として数フレーズの歌が続き、途中からがばっと視野が広がる ようにワイドレンジな録音に切り替わります。その時です!! 私の胸郭の中で何かがバイブレーションしているのを感じました!! H&Gの響きの触手が私の鼻腔から入り込み、咽喉を伝って肺の中の空気をくす ぐるように共鳴させるのです!! こんな経験は初めてです!! 森山直太郎の歌声が強く弱く、大きく小さく…。そして私が息を吸うことで 胸郭内部の空気が増えた時に響いてくるのです!! 青年が都会での暮らしに不安を覚え、胸の奥にしまってある女性への思いを 切なく歌う「手紙」というシンプルな曲。ギターに加えヴァイオリンが右側で しっとりと脇役という仕事を務めるうちにヴォーカルには少しずつ微妙な リヴァーヴが加えられていき、センターに控えなドラムが登場します。 「さくら」とは違って森山直太郎の声には何も抑制するところはなく、のびのび の喉と胸からほとばしる声が静まり返った試聴室の空間に広がっていきます。 胸のうちに起こったバイブレーションはやがて喉元から脳髄に浸透していき、 青春時代の切ない思いを自分の記憶の中に共通項として発見した私は不覚にも 目頭が熱くなるという“響きの連鎖反応”を抑えることが出来ませんでした!! そうですよね〜、音楽というのはこれでなくっちゃいけません!! H&Gは素晴らしいです!! しかし、大切なことはH&Gである前にHB-1だということです!! 透き通るような木目のHB-1はちょうど赤ちゃんくらいの重さです。 皆さんは、愛する対象としてお子さんを胸に抱いたことはあるでしょう。 いいものです、愛する者を腕に抱え、膝に乗せてスキンシップが図れるという ことは!! そんな体温を感じるように手に持った時の木の温もりは…。 音以外にもHB-1はハイファイスピーカーとしての存在感を皆さんの耳と肌と その両手に感じさせてくれることでしょう!! H&Gとの再会はきっとあるでしょう!! そのためにも皆様の好奇心と情熱で↓この企画にエールを送って下さい!! http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/664.html |
このページはダイナフォーファイブ(5555):川又が担当しています。 | |
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担当川又 |
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