発行元 株式会社ダイナミックオーディオ 〒101-0021 東京都千代田区外神田3-1-18 ダイナ5555 TEL:(03)3253−5555 FAX:(03)3253−5556 H.A.L.担当 川又利明 |
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『250年の時を経て蘇るScarlattiの系譜とは!? - Vol.3』 〔4〕Word syncの影響力 エフコンが無事に終わり、参加者の皆様から多数の感想を頂戴し本当に感謝して おります。ありがとうございました。しかし、まだまだScarlattiシリーズの魅力 と潜在能力はありそうです。更なる探究を続けていきます!! ■本編ではScarlatti Transportを“Transport”と、Scarlatti Clockを“Clock” Scarlatti DACを“DAC”と表記させて頂きます。 Step.6 「“Clock”と“G-0Rb”の驚くべき違い!!」 前項ではScarlatti ClockにESOTERIC G-0sからRubidium Directを注入した時の 驚きと感動を述べていたが、では同じRubidium精度のWord syncを本家のESOTERIC G-0Rbから直接“Transport”と“DAC”に接続したらどうなるのか? そして、Rubidium Directを注入した“Clock”との比較をしてみようと次のシス テムを設定した。 ◇ dCS Scarlatti series inspection system Vol.3 ◇ ……………………………………………………………………………… ESOTERIC G-0s(税別\1,200,000.) http://www.teac.co.jp/av/all_prod/esoteric/g0_g0s.html and JORMA DIGITAL/BNC-BNC for Internal Wiring http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/469.html ▽ ▽ ▽ Rubidium Direct out ▽ ▽ ▽ dCS Scarlatti Clock(税別\1,350,000.) http://www.ohbashoji.co.jp/products/dcs/scarlatti-clock/ and TRANSPARENT PLMM+PI8(税別\606,000.) http://www.axiss.co.jp/transparentlineup.html#POWER ……………………………………………………………………………… ■ vs ■ ……………………………………………………………………………… ESOTERIC G-0Rb(税別\1,350,000.) http://www.teac.co.jp/av/esoteric/g0rb/ and ESOTERIC PS-1500+7N-PC9100(税別\950,000.) http://www.teac.co.jp/av/esoteric/ps1500/ http://www.teac.co.jp/av/esoteric/powercable/9100mexc.html ……………………………………………………………………………… ▽ ▽ ▽ ESOTERIC 7N-DA6100 BNC 1.0m(税別\240,000.) http://www.teac.co.jp/av/esoteric/mexcel/ ▽ ▽ ▽ ……………………………………………………………………………… dCS Scarlatti Transport(税別\4,150,000.) http://www.ohbashoji.co.jp/products/dcs/scarlatti-transport/ and TRANSPARENT PLMM+PI8(税別\606,000.) http://www.axiss.co.jp/transparentlineup.html#POWER ……………………………………………………………………………… ▽ ▽ ▽ ESOTERIC 8N-6P/6Pi(税別\50,000.) http://www.teac.co.jp/av/esoteric/ilink_cable/ ▽ ▽ ▽ ……………………………………………………………………………… dCS Scarlatti DAC(税別\2,930,000.) http://www.ohbashoji.co.jp/products/dcs/scarlatti-dac/ and TRANSPARENT PLMM+PI8(税別\606,000.) http://www.axiss.co.jp/transparentlineup.html#POWER ……………………………………………………………………………… ▽ ▽ ▽ Stealth Indra Dynamic Audio 5555 HAL.XLR/2.0m (税別\2,204,000.) http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/315.html ▽ ▽ ▽ ……………………………………………………………………………… HALCRO dm8(税別\2,200,000.) http://www.harman-japan.co.jp/product/halcro/dm8_dm10.html and TRANSPARENT PLMM+PI8(税別\606,000.) http://www.axiss.co.jp/transparentlineup.html#POWER ……………………………………………………………………………… ▽ ▽ ▽ ESOTERIC 7N-DA6100 MEXCEL RCA 7.0m http://www.teac.co.jp/av/esoteric/mexcel/ ▽ ▽ ▽ ……………………………………………………………………………… HALCRO HALCRO dm88 ×2 (税別\7,600,000.) http://www.harman-japan.co.jp/product/halcro/dm88.html http://www.halcro.com/productsDM88.asp and TRANSPARENT PIMM+PLMM(税別\606,000.)×2set http://www.axiss.co.jp/transparentlineup.html#POWER ……………………………………………………………………………… ▽ ▽ ▽ STEALTH Hybrid MLT Speaker Cable 5.0m H.A.L.'s Special Version http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/290.html ▽ ▽ ▽ ……………………………………………………………………………… MOSQUITO NEO(税別\4,800,000.) http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/oto/oto54.htm ……………………………………………………………………………… -*-*-*-*-*-*-*-*-*- これまでにも述べてきたがESOTERICのシステムというのは実に徹底している。 どういう意味かと言うと、電源コンセントからも7N-PC9100を使いPS-1500へ、 そしてPS-1500からもすべて7N-PC9100にてESOTERICのコンポーネントへと電源を 供給し、更にインターコネクト、デジタルケーブルもすべてESOTERICのMEXCEL シリーズを使いパワーアンプまでESOTERIC一色なのだから。 この状態で聴くP-01とD-01のベストパフォーマンスには自信もあり、私の判定基準 として長らく愛用してきたものだ。その中の一角、G-0Rbから取り出すWord sync 信号も当然上記のような電源環境であるということを前提にしなければならない。 しかし、同じRubidiumモジュールを使っているのだから同じ音になるはずだ!?? さあ、こんな好奇心を満たすために前回に続き使用した課題曲は次ぎ二枚。 ちあきなおみ/ちあきなおみ全曲集「黄昏のビギン」 http://www.teichiku.co.jp/teichiku/artist/chiaki/disco/ce32335.html これは冒頭のヴァイオリン、ギターの質感、そしてヴォーカルの質感を集中して 比較して行きました。 ワレリー・ゲルギエフとウィーン・フィルハーモニー管弦楽団によるこれ。 http://www.universal-music.co.jp/classics/gergiev/discography.htm チャイコフスキー:交響曲 第6番 ロ短調 作品74《悲愴》第二楽章。 -*-*-*-*-*-*-*-*-*- 最初に“Clock”+Rubidium Directで最近聴き込んでいる ちあきなおみ をおさら いということでじっくり記憶に刻み付けた。 そして、本家G-0Rbへと二本のBNCケーブルを接続しなおした。すると…!? 「おいおい、ちょっと待てよ!!これじゃDACを交換したくらいの変化じゃないか!」 冒頭の弦楽四重奏のイントロからヴァイオリンがソロをとっていく。この録音では ホールエコーをたっぷりと含んだ潤いある弦楽器というよりは、ヴァイオリンには 殆んどリヴァーブをつけないで素のままという感じの録音。 そのヴァイオリンがきりりと引き締まった質感に豹変し、録音スタジオの吸音材を 二倍に増やしたように楽音そのものをクローズアップする感じ。解像度、描写力、 写実的ということでは“Clock”に対して圧倒的な違いを見せる。 そしてギターにも同様な変化が表れ、まるでナイロン弦からスチール弦に変わった ように一音一音のディティールがくっきりし切れ味が良くなっている。 このくっきり感と輪郭の鮮明さはなんという変化だろうか? そしてヴォーカルでは口許のサイズが何と更に縮小する!! 私が今回の二枚を選んだ理由は録音スタイルが全く対象的であるということ。 ヴォーカルの録音も数あれど海外の歌手では意図的にヴォーカルの音像を大きくし たっぷりとした声量で空間を満たすような録音が多い。 いわばグラマーなヴォーカルと言えよう。 それらは結果的に音楽を楽しむということでは何も異論はなく私も好きなのだが、 日本人の声質、国内のスタジオ、日本語の歌詞、国産の録音スタイルという総合的 な見地から見てもヴォーカルの存在感はスレンダーな音像となり、歌手の喉元が 細身の音像としてくっきりと輪郭を表し、その周囲の空間に向けてエコー感が拡散 していくというグラデーションの再現性が極めて鮮明に再生音に現れるものだ。 G-0Rbに直結したWord syncの状態では、この私が課題曲としてポイントにあげた 項目のすべてが国産ヴォーカル録音の特徴を最高レベルで引き出している!! イントロの終わり近く、ヴォーカルが入ってくる直前に叩かれるトライアングルの 金属的な輝きというか煌めく様子などは典型的なポイント。 しかし、ここからが重要な決め手なのだが質感はあくまでもScarlattiシリーズで 聴いているという感触は確かなのだ!!この妙味旨味はなんと表現していいやら? この曲のような録音で、このような音質変化が確認された場合に、先日のエフコン でやったように10人にブラインドテストを行なったとしたら、私の推測では10人中 で7から8人くらいはESOTERIC支持に回るだろうと思われる。 スタジオで録音された音楽における音像の再現性と鮮明さをScarlattiシリーズの タッチを残したままでESOTERIC G-0Rbがここまで変えるとは思わなかった!! -*-*-*-*-*-*-*-*-*- さて、間髪を入れず《悲愴》第二楽章での比較を行なう。配線はそのままで最初に G-0RbでWord syncを供給した場合の音質を基準とするため、いつものように三回 ほど同じパートを繰り返し再生し記憶していく。今度は逆に“Clock”+Rubidium Directに切り替えて、“Transport”をスタートさせた!? この選曲は ちあきなおみ とは全く対象的にムジークフェラインという世界的に 高い評価の歴史あるホールでの録音、しかもライブ録音ということで演奏者の テンションも客席の熱気も再生音の中で温度感として漂っているもの。 言い換えれば、一つの大きな空間の中で指揮者と演奏者が織り成す楽音の発散と 空気中で渾然一体となって響きが交じり合う余韻感の美意識が求められるもの。 そして、オーケストラがつむぎ出す響きとハーモニーは観客席の人体によって 吸音されているはずが、実は聴衆がいることでウィーンフィルの演奏者たちの情熱 が喚起されるという相互作用で演奏そのものがヒートアップしていることだろう。 さあ、それが…!? 「おー!!これはなんと言うことか!!Scarlattiとはこれほど美しかったのか!!」 邦題の《悲愴》を悲しくも美しく響かせるワルツは冒頭の流麗な弦楽器群のアルコ が幾重にも重なって醸し出す滑らかな響きが私のハートをぐぐっと引き付ける!! 対比して初めてわかるということがあるものだ。今まで散々聴いてきた第二楽章の 導入部で“Clock”+Rubidium Directは即座に己の存在感を鮮やかに見せ付けた!! チェロから始まりヴァイオリンの各パートが引継ぎ、流れを絶やさないように響き のレイヤーがいく層にも重なり、その余韻感が消滅する前に次のハーモニーが直前 の響きの尾にからまるように交差し、絶えることなくムジークフェラインの天井 から降りかかってくるようなホールエコーに包まれていく!! 音像そのものが混沌として輪郭を失い、曖昧なディティールで浮遊感ばかりを強調 するような音質を私が認めるはずはありません!! “Clock”+Rubidium Directが“Transport”と“DAC”に与えるWord syncには明確 にScarlattiの血筋、血統というものが感じられ、ため息がもれそうなほど美しい 艶やかで滑らかな弦楽器の質感と、音源位置を明確にしながらもふくよかな響き を発する管楽器のしとやかさはなんと例えたらいいのかわからないほどの変化だ!! コントラバスとヴァイオリンのピッチカートは弾く瞬間のエネルギー感を誇張せず、 むしろ弾かれた後の残響成分を空中に漂わせておくことに専念するような変化で 歴史的に優れたホールというのは弱音の演奏にスポットライトを当ててくれるもの だということがうかがい知れるようだ。 この曲を使って10人にブラインドテストを行なったとしたら、8から9人…いや、 もしかしたら10人がScarlattiに拍手を送るかもしれない。それほど私の耳と大脳 に官能的で蠱惑的な音楽を聴かせてくれたScarlattiの魅力にノックダウンされた! -*-*-*-*-*-*-*-*-*- オーディオ信号とは無縁のところで作用するMaster Clockの影響力がこれほど 大きく、かつ感動的な再生音の基礎を担っているとは驚きだ!! 前章でも述べていたように、Master Clock Generatorの心臓部は確かに発振素子の 精度ということも言えるのだが、それをWord syncに変換する回路にこそメーカー のアイデンティティーがあるのでしょう。 その証拠におおもとのRubidiumモジュールは同じであり、10MHzという発振周波数 も同じというのに、このような大きな違いが発生してしまうのですから!! この私でさえもここまで心動かされるのはなぜか? Master Clockと言えば、今まで殆んど出力する方も受ける方もESOTERICというブラ ンドの製品に限られた体験を長年してきたからだろう。最初に述べたように同社の 製品で統一したシステム構成の自信は変わりないものだ。 しかし、“Clock”+Rubidium DirectとG-0Rbという存在感をどのようにして説明 したものか、今日はつくづく自分のボキャブラリーの貧弱さを呪うばかりである。 そうだ!! こんな例えはどうだろう!? ScarlattiとG-0Rbとのコンビネーションは“おでん”のようなものである(^^ゞ 透明度のあるダシには絶妙な旨味があり、多様なネタは独自の風味と味を持って いながら煮込まれるうちに微妙な味をダシの中へと染み出していく。同時に多数の ネタから染み出したダシの美味さが逆に他のネタに滲みこんでいき、煮込まれる 程に全体の味を更に旨味のあるものに変えていく。 ただし、大原則として“おでん”ではネタそのものが溶け出してダシのスープを 濁したりしない。また、溶けるような強烈な煮込み方もしないし、あくまでもネタ の原型を保って煮崩れしないように気を使う。ダシは濁らせることなく、旨味を 加えながら使い続けることも伝統の技と言われることもあるようだ。 “おでん”のネタが楽音であり、ダシのスープは音場感であり再生音が浮かぶ スピーカー周辺の空気である、というものだろうか。 それに対してScarlatti“Clock”+Rubidium Directの醸し出す再生音の素晴らしさ は、長時間煮込まれるシチューというイメージだろうか。 煮崩れしないように大振りに切られた食材は形はとどめているものの、野菜の角は 丸くなりお肉からは肉汁は染み出してスープにまろやかな風味と旨味を加えていく。 極論を言えば食材を絶妙に溶かしながらスープに濃厚なテイストをこしらえていく のが煮込み料理の醍醐味かもしれない。 スープの中に溶け込んだ食材と例えた楽音が溶け込み、それをスプーンで一緒に 口に運び食するシチューの深く濃厚な味わいが想像できないだろうか!! 箸をつかったり串を持って一つずつ食べる“おでん”とは対象的なものだろう。 どうだろうか、“おでん”のESOTERIC、シチューのScarlatti…(^^ゞ 残業で空腹を抱える私が、今夜は試聴室にこそご馳走があったと例えてしまった 罪をどうぞお許し下さい<m(__)m> |
このページはダイナフォーファイブ(5555):川又が担当しています。 | |
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