発行元 株式会社ダイナミックオーディオ 〒101-0021 東京都千代田区外神田3-1-18 ダイナ5555 TEL:(03)3253−5555 FAX:(03)3253−5556 H.A.L.担当 川又利明 |
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『250年の時を経て蘇るScarlattiの系譜とは!? - Vol.1』 〔1〕第一印象の素晴らしさ スカルラッティ(Scarlatti)とは、イタリア・バロック時代の作曲家一族の姓。 時代と共にたどれば、アレッサンドロ・スカルラッティ(1660-1725) から始まり その息子がドメニコ・スカルラッティ(1685-1757) であり父と並び有名な人物。 アレッサンドロの息子ピエトロ・フィリッポ・スカルラッティ(1679-1750) そして 血がつながっているアレッサンドロの弟としてフランチェスコ・スカルラッティ (1666-1741頃) と家系が続いた。 しかし、お気付きのようにアレッサンドロの息子ピエトロは父親よりも短命の生涯 を送りアレッサンドロから始まったスカルラッティ家の血統としては1757年没の ドメニコにて終焉を迎えた。Domenico !? 同じ頭文字“D”の英国ブランドがこの 現代に250年ぶりにScarlattiを感動の系譜として蘇らせた!! http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/496.html このイベントを来週に控え、私は総額843万円という前代未聞のCD/SACDプレーヤー の音質を評価分析するために本日2007年6月8日、国内に1セットしかないScarlatti シリーズをセットアップした!! …それから数日後… -*-*-*-*-*-*-*-*-*- http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/496.html 今回の展示は上記のイベントを想定してのものだったが、第一印象があまりに 素晴らしく私はScarlattiシリーズをH.A.L.リファレンスとして常設展示として 導入することを決意した!! http://www.dynamicaudio.jp/file/070609/Scarlatti_setup.jpg このイベントではdCS同士での比較を行なう予定なので、Elgar plus、Verona、 Verdi Encore、もご覧のようにセッティングしている。 さて、ここで注目して頂きたいことがある。 http://www.dynamicaudio.jp/file/070609/Scarlatti_HALC.jpg ご覧のようにScarlatti TransportのサイズはH135xW510xD425mmであり、zoethecus では奥行きが不足して上手く乗らないのだが、それを想定してサイズを決定した Project“H.A.L.C”シリーズはきっちりとセットすることが出来る。 http://www.dynamicaudio.jp/audio/halc/ 当然ここの試聴室でもリファレンスとして“H.A.L.C”を全面採用しているので この状態での試聴と検証を進めていくことになる。 最初のシステム構成は次のようにした。 ◇ dCS Scarlatti series inspection system Vol.1 ◇ ……………………………………………………………………………… dCS Scarlatti Clock(税別\1,350,000.) http://www.ohbashoji.co.jp/products/dcs/scarlatti-clock/ and TRANSPARENT PLMM+PI8(税別\606,000.) http://www.axiss.co.jp/transparentlineup.html#POWER ……………………………………………………………………………… ▽ ▽ ▽ Cardas Lightning 15 BNC 1.0m(税別\44,500.)→for Scarlatti DAC http://www.ohbashoji.co.jp/products/cardas/lightning/ vs ESOTERIC 7N-DA6100 BNC 1.0m(税別\240,000.) http://www.teac.co.jp/av/esoteric/mexcel/ ▽ ▽ ▽ ……………………………………………………………………………… dCS Scarlatti Transport(税別\4,150,000.) http://www.ohbashoji.co.jp/products/dcs/scarlatti-transport/ and TRANSPARENT PLMM+PI8(税別\606,000.) http://www.axiss.co.jp/transparentlineup.html#POWER ……………………………………………………………………………… ▽ ▽ ▽ 付属品 IEEE1394 i-Link Cable http://www.elt.ro/ このメーカー製でした。 vs ESOTERIC 8N-6P/6Pi(税別\50,000.) http://www.teac.co.jp/av/esoteric/ilink_cable/ ▽ ▽ ▽ ……………………………………………………………………………… dCS Scarlatti DAC(税別\2,930,000.) http://www.ohbashoji.co.jp/products/dcs/scarlatti-dac/ and TRANSPARENT PLMM+PI8(税別\606,000.) http://www.axiss.co.jp/transparentlineup.html#POWER ……………………………………………………………………………… ▽ ▽ ▽ Stealth Indra Dynamic Audio 5555 HAL.XLR/2.0m (税別\2,204,000.) http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/315.html ▽ ▽ ▽ ……………………………………………………………………………… HALCRO dm8(税別\2,200,000.) http://www.harman-japan.co.jp/product/halcro/dm8_dm10.html and TRANSPARENT PLMM+PI8(税別\606,000.) http://www.axiss.co.jp/transparentlineup.html#POWER ……………………………………………………………………………… ▽ ▽ ▽ ESOTERIC 7N-DA6100 MEXCEL RCA 7.0m http://www.teac.co.jp/av/esoteric/mexcel/ ▽ ▽ ▽ ……………………………………………………………………………… HALCRO HALCRO dm88 ×2 (税別\7,600,000.) http://www.harman-japan.co.jp/product/halcro/dm88.html http://www.halcro.com/productsDM88.asp and TRANSPARENT PIMM+PLMM(税別\606,000.)×2set http://www.axiss.co.jp/transparentlineup.html#POWER ……………………………………………………………………………… ▽ ▽ ▽ STEALTH Hybrid MLT Speaker Cable 5.0m H.A.L.'s Special Version http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/290.html ▽ ▽ ▽ ……………………………………………………………………………… MOSQUITO NEO(税別\4,800,000.) http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/oto/oto54.html ……………………………………………………………………………… 最初はスピーカーを最も聴きなれており判定がしやすいMOSQUITO NEOにして、 大場商事がセットアップしてくれたままで聴き始めたのが四日前のことだった。 第一印象の衝撃は大きかった!! よく言われたものだが、松脂をつけた弓が擦っているはずの弦楽器の質感は信じら れない程に滑らかに響き、温度感を伴った音場感は前例なきスケール感を提示する。 オーケストラの紅一点ならぬ“光一点”の例えのように、煌めくトライアングルの 音像の大きさもチャーミングであり、一切のにじみもなく澄み渡った音色がNEOの センターに打音の輝きを浮き彫りにする。 ヴォーカルを聴けば口許の輪郭表現と対比してエコー感が拡散していく空間表現は 爽快に広がり、私が求めている輪郭の鮮明な音像と広大な音場感が最初から何の 苦もなく発揮されている。 各論の分析などせずとも、これでいいじゃないか!!と思わせるような優美な演奏を 聴かされた私は記憶との照合から前例のない美しさを直感し一目惚れしてしまった。 こんな美女に対して身上調査など必要ないじゃないか!? と初対面の男性を虜にしたScarlattiシリーズだった!! しかし、磨けば光るのが美女というもの。100時間以上のバーンインをしながら、 私がふさわしいコスチュームとメイクアップをしてあげることでScarlattiの美し さ、素晴らしさが更に発見できるのではと本日から本格的な検証がスタートした。 ■以降はScarlatti Transportを“Transport”と、Scarlatti Clockを“Clock” Scarlatti DACを“DAC”と表記させて頂きます。 〔2〕磨かれていく音質 Step.1 「へその緒」 VRDS-NEOを搭載した初の海外モデルということで私は“Transport”に大変大きな 期待と関心を持っていました。その実物が手元に来て、予想と違うところが色々と 発見されました。ESOTERIC P-01と同様な仕様・機能を持っているのではないかと 思っていましたが、セッティングの過程でなるほどね〜とわかってきたものです。 先ずアップサンプリング機能がPCMではありませんでした。P-01のように通常のCD を最大176.4KHzまでアップサンプリングして出力できる機能はありませんでした。 従って、私が両社のトランスポートを比較試聴しようとする試みはRCAデジタル ケーブル一本による44.1KHzの伝送にのみ可能ということでした。 ESOTERICは独自のESリンクという方式でAES/EBUデジタルケーブル二本でSACDを DSD信号として出力する方式ですが、“Transport”は通常のCDもSACDもいったん DSD信号に変換して“DAC”にIEEE1394 i-Link Cableで伝送することを標準として いるものです。もちろん、通常のCDも上記のようにRCAケーブル一本でPCM出力が できるので他社のD/Aコンバーターにも接続できます。 従って、Scarlattiシリーズを使っての最初の試聴はi-Link Cableのみを使って 始めたのですが、輸入元が持ってきたのは付属品のチープなグレーのケーブル。 これで聴き始めても前述のような第一印象で素晴らしかったのですが、それだけ ではないでしょう!! ということでESOTERIC 8N-6P/6Piに交換しました。 その瞬間から情報量がぐんと拡大し、チェレスタの響きは残響時間を延長し、 弦楽器群が発するエコー感は伸びやかになり、ヴォーカルの輪郭はくっきりする などなどの変化が先ず感じられました。このレベルが基本でありスタートです!! 母体と胎児をつなぐ生命線であり、すべての栄養素をたった一本で伝えていく 「へその緒」と同様にScarlattiシリーズには優秀なi-Link Cableが音質の生命線 ともなっているものです。ファーストステップとしてこれは見逃すことが出来ませ んでした!! このi-Link Cableも十分にバーンインを行い次のステップへ!! Step.2 「脚部骨格を強化」 100時間以上のバーンインを経て、いよいよ本格的なScarlattiシリーズの検証を 開始しました。次に私がどこをチューニングするのか、それは先ず数時間の試聴 からScarlattiシリーズの個性・特徴を嗅ぎ取ることから初めました。 そのために同社のElgar plus+Verona+Verdi Encoreというシステムとの比較。 ESOTERIC P-01+D-01との比較をじっくり行い、同社比較で既に数ランク上回る 再現性とESOTERICとの個性を比較し良いところを取り入れていくという方向性が 見え始めました。 本日の試聴で集中して使用した課題曲は次ぎの二枚。 ワレリー・ゲルギエフとウィーン・フィルハーモニー管弦楽団によるこれ。 http://www.universal-music.co.jp/classics/gergiev/discography.htm チャイコフスキー:交響曲 第6番 ロ短調 作品74《悲愴》SACD:UCGP-7048から 第二楽章と第四楽章。 ちあきなおみ/ちあきなおみ全曲集「黄昏のビギン」 http://www.teichiku.co.jp/teichiku/artist/chiaki/disco/ce32335.html これは冒頭のヴァイオリン、ギターの質感、そしてヴォーカルの質感を集中して 比較して行きました。 滑らかな質感。しかし、これは一歩間違えばフォーカスを甘くして浮遊感を演出 するようなシステムではありがちな傾向。 Scarlattiシリーズは最初から素晴らしい解像度を持っていることがわかっていま したが、Verdi Encoreのフィリップスのメカニズムで得られるパフォーマンスには 限界があるもの。従って、Elgar plus+Verona+Verdi Encoreシステムと比較して 最初から“Transport”の素晴らしさは比較にならないほどでした。しかし!! VRDS-NEOの本家、ESOTERICシステムと比較するとまだ追求の余地が残っていること が楽音の音像表現から感じられるのでした。 例えば《悲愴》の第二楽章で変則的な五拍子のワルツで聴かれるチェロのパートの 音源としてのサイズ、ちあきなおみでは特にギターの弦の鮮明さとヴォーカルの 口許のくっきり感の違いなどなど。いかに滑らかさを基調とするScarlattiの個性 とは言えども、ここはメカニズムの素晴らしさを引き出す方策が必要ではないか? これをご覧下さい。 http://www.dynamicaudio.jp/file/070611/scarlatti_transport_foot-01.jpg このように“Transport”のコーナー部には3ミリ厚くらいのゴムが貼られており、 これが全体を支えているものです。この写真では“Transport”が浮いていますが 何をやったのか? そこで、VRDS-NEOが左側に格納されている“Transport”の左側前後のコーナーに 二個、右側のボトムプレートの真ん中に一個のApex Couplersを使用して三点支持 のスパイク接地を試みました。これが大正解!! http://www.ohbashoji.co.jp/products/avalon/accessories/ 「おいおい、これを見逃したら使いこなしの第一歩として後に続く実験ができない 程大きな変化じゃないか!! いや〜、試しておいてよかった!!」 《悲愴》の第二楽章ではふっくらして気持ちいいと思っていたチェロの響きが整理 されて演奏者の位置がはっきりし、その響きがムジークフェラインの壁伝いに空間 に広がっていくという音像とエコー感のセパレーションが鮮明になってきました!! ちあきなおみではイントロのヴァイオリンが豹変。今までこんもりしていた輪郭が すーっと研ぎ澄まされてヴァイオリンの存在感が鮮明になり、ギターの余韻感は 音源の輪郭をきっちりすることでより一層響きが空気中を伝わってきます。 そして、ヴォーカルの唇が見え始めました!!このステップを欠いてしまったら本当 に以降のジャッジが出来なくなっていたでしょう!! Step.3 「“Clock”の選択」 機械的なセッティングでフォーカスが鮮明になることで、私の関心は他のポイント に進むことが出来ました。“Transport”の次に気になり始めたのは“Clock”です。 前述のように輸入元がセッティングしてくれた状態がスタートでしたが“Clock” のディスプレーには48KHzと表示が出ていました。まだ取扱説明書もないので私は いたずら半分にフロントパネルの「frequency」というスイッチを押すと44.1KHzと 48KHzの二種類しかありませんでした。 CDフォーマットは44.1KHzが基準です。しかし、オーディオ製品のスペックでは 往々にして数値が大きい方が音質もよかったりします。私も何を隠そうWord sync の周波数が大きいほど音質が良いと何回も発見したことがありました。 ですから、今まで…少なくとも前ステップのように機械的接地方法でフォーカスが 変わるという体験をこのScarlattiシリーズで確認するまでは“Clock”の表示など は気にしなかったでしょう。 Word syncには48KHz系と44.1KHzがありますが、DVD-Videoや懐かしいDATフォーマ ットでは48KHz系の倍数ですが、CDとSACDは44.1KHz系の倍数で処理されています。 だから、私の頭に浮かんだ率直な予感…、44.1KHzの方がフォーマット上での倍数 で割り切れるはずだし、48KHz系でも今まで聴いてきたように良かったんだから… という予想を元に“Clock”と48KHzと44.1KHzを比較してみました。すると… 「おいおい違うじゃないか〜、フォーカス、輪郭は44.1KHzでなくっちゃ!!」 意外というよりも驚き、今まで48KHzで聴いて感動していたのは何だったのか!? SACDで聴く《悲愴》の第二楽章ではチェロのパートの音像がきゅっと引き締まり ホールの壁面を背にして演奏しているのでは、という程に楽音が反射しながら空間 に漂いだしていくエコー感が鮮明になりました!! ちあきなおみのイントロでもヴァイオリンでも同様な変化、そして恐れ入ったのが ギターの解像度がため息が出るほど向上しました。ヴォーカルについては語るのが 虚しいくらいです。なんで今まで48KHzにしていたのか? いや、前のステップでの 学習と体験がこの変化を引き出してくれたのでしょう!! セット価格843万円のScarlattiシリーズの一翼を担う共通デザインの“Clock”で このような変化があるのだったら、RubidiumのMaster Clock Generatorを注入した らいったいどうなるのか!? こんな好奇心が頭をもたげてきました(笑) で、早速やりました(^^ゞ ESOTERIC G-0Rbから7N-DA6100 BNCを使って“Transport”と“DAC”にWord syncを 注入してみました!! 「むむ、この変化はいかがなものか!?」 もっともっと澄み渡り、Rubidiumクロックの恩恵が再生音の各項目にびしっと貢献 することを期待して比較試聴してみたものですが…。 確かに透明感が向上する気配はあるが“Clock”という純正クロックとの対比では 必ずしも諸手を上げて勝利宣言することは出来ないような印象なのです。 すっきりくっきりするというのは間違いありません。しかし、課題曲の対象的な 演奏空間、日本のスタジオとウィーン、ムジークフェラインというホールでの 空気が間違いなく高精度なRubidiumだからということでひっくり返るようなこと にはなりませんでした。 つまり“Clock”は同シリーズの音質決定に絶妙のバランス感覚でマッチしている ということなのでしょう。 いや、待てよケーブルか!? そこでG-0RbからWord syncを接続している7N-DA6100 BNCを外し、“Clock”から MEXCELケーブルにて“Transport”と“DAC”に44.1KHzのWord syncをつなぎました。 「おー!! これはいい!! “Clock”のテイストを良い方向で引き出していながら 特に“DAC”の魅力を絶妙に発揮させているぞ!!」 大場商事には申し訳ないですが、またCardas Lightning 15がだめだなどと言う つもりは毛頭ないのだが、いかんせん7N-DA6100 BNCはWord sync用に使うと抜群の 情報量と質感向上をもたらすのは間違いない。1メートル24万円という価格なので これは納得の上で勝負ありというところ。この発見は以後の試聴に大きく影響する ポイントだったので確認できて本当に良かったと思います。(^^ゞ -*-*-*-*-*-*-*-*-*- 本日のテストでも、いきなり多くのことがわかってきました。置いてつないだだけ では本当の能力・魅力は引き出していなかったという良い事例です。 自社比較と他社比較ということではまだまだたくさんの課題がありますが、私が 手がけた初日としては今後につながる興味深いポイントが、しかもScarlatti シリーズの実力とはいかなるものかということが次第に判明してきました。 Scarlattiシリーズはやりがいがあります!! 第一印象でダメだったらマイナスからのスタートですが、最初から素晴らしかった ものが次第に磨かれていく様子は私の好奇心を更に燃やしてくれるものでしょう!! さあ、まだまだ続きがありそうです。 続編にご期待下さい!! |
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