『次世代Master Clock Generatorの新機軸を“G”が切り拓く!!』
■ H.A.L.'s inspection/The ESOTERIC New“G”Series ■
〔1〕壮大なる無用
今年も若者たちが社会人としてスタートする時期になってきたが、ふと思う…!?
そうだ〜、二十代の若者たちの大半が生まれたときから既にデジタル世代なんだと。
CDプレーヤーが市販された年に誕生した子供たちは今年で何と25歳になっていると
いう事実がある。
自分自身も年をとったな〜、と思いつつデジタルオーディオの歴史も四半世紀たつ
という感慨を胸にふと考えたことがある。1982年の発売開始ではソニー、デノン、
マランツ、フィリップス、東芝、アイワなどなど一斉にCDプレーヤーを商品化した。
当時は「1と0のデジタルオーディオなんだから、各社共に同じ音になってしまうの
は何ともつまらないことだ」と真顔で言い合っていたのだから今となっては失笑も
のという時代だった。
ソニーの第一号機“CDP-101”というモデル名は今でも記憶しているが、1984年に
同社のCDP-552ESDに初めて装備された機能が「デジタル出力端子」であった。
これと対を成すD/AコンバーターとしてDAS-702ESが発売され、高級化イコール、
セパレート化という図式が初めて商品化されたものだが、それ以来単体としての
CDプレーヤーすべてにこの同軸RCAプラグによる「デジタル出力端子」が標準仕様
として現在までずっと取り付けられてきたが、いったい単体プレーヤーを使用して
いるユーザーの何割がこれを使ったことがあるだろうか?
使用方法としてはDATやMDなどへの録音出力としての利用はあったかもしれない。
しかし、この25年間の間にCDフォーマットの副産物として設定された機能だか、
世界的に見れば何億台という膨大な数が普及したはずのCDプレーヤーにおいて
「デジタル出力端子」を活用しているケースは極めて少ないのではないだろうか。
-*-*-*-*-*-*-*-*-*-
もちろん、この端子とは規模もスケールも大変異なるものだが、もうひとつ壮大な
無用と言える装備がある。そう、「Word sync端子」である。
それまでスタジオ用のプロ機器に使用されていたWord syncが家庭用として使われ
始めたのは90年代後半頃のこと。当時の輸入元がプロ機器と家庭用機器の両方を
扱っていたことからパイプができたこともありdcsの992が当時話題を集めていた。
そして、私の記憶ではWord sync入力端子を最初に装備したのが何を隠そう、あの
ESOTERIC P-0 であった。そこで調べてみると、何とESOTERICだけでもWord syncに
対応している製品がこれほどあろうとは…。
■ 資料 ESOTERIC製品に見るWord sync対応モデル一覧 ■
製品 | 税別定価 | 製品種別 | 発売年/月 |
P-0 | 1,200,000 | CDトランスポート | 1997/12/1 |
P-0S | 1,600,000 | CDトランスポート | 2000/8/1 |
P-70 | 700,000 | CDトランスポート | 2001/12/25 |
P-0S/VU | 1,950,000 | CDトランスポート | 2002/9/15 |
D-70/VU | 950,000 | D/Aコンバーター | 2003/9/1 |
UX-1 | 1,250,000 | ユニバーサルプレーヤー | 2003/12/31 |
X-01 | 1,250,000 | スーパーオーディオCDプレーヤー | 2003/12/31 |
P-70/VU | 850,000 | CDトランスポート | 2004/2/20 |
D-01 | 1,100,000 | モノーラルD/Aコンバータ | 2004/9/30 |
P-01 | 2,200,000 | SACD/CDトランスポート | 2004/9/30 |
UX-3 | 700,000 | ユニバーサルプレーヤー | 2005/1/1 |
X-03 | 650,000 | スーパーオーディオCDプレーヤー | 2005/1/1 |
X-01 LIMITED | 1,300,000 | スーパーオーディオCDプレーヤー | 2005/7/15 |
D-03 | 1,200,000 | D/Aコンバータ | 2005/9/30 |
P-03 | 1,200,000 | SACD/CDトランスポート | 2005/9/30 |
UZ-1 | 600,000 | ユニバーサルプレーヤー | 2005/9/30 |
UX-3SE | 750,000 | ユニバーサルプレーヤー | 2005/12/31 |
X-03SE | 700,000 | スーパーオーディオCDプレーヤー | 2005/12/31 |
UX-1 LIMITED | 1,300,000 | ユニバーサルプレーヤー | 2006/1/31 |
P-03UNIVERSAL | 1,600,000 | ユニバーサルトランスポート | 2006/2/14 |
DV-60 | 490,000 | ユニバーサルプレーヤー | 2006/6/30 |
SA-60 | 440,000 | スーパーオーディオCDプレーヤー | 2006/7/15 |
SZ-1 | 550,000 | スーパーオーディオCDプレーヤー | 2006/9/30 |
X-01D2 | 1,400,000 | スーパーオーディオCDプレーヤー | 2006/12/1 |
UX-3 Pi | 800,000 | ユニバーサルトランスポート | 2007/2/1 |
SA-10 | 320,000 | スーパーオーディオCDプレーヤー | 2007/3/30 |
そして、ご存知のdCSやSTUDER、国内ではSONYやmarantzでもWord sync入力端子を
装備するコンポーネントが増加しつつあり、その音質的な可能性をハイエンド
メーカーの多くが認めるようになってきました。
上記のESOTERICでは私の記憶するところでは初代からのP-0シリーズは累計で確か
1,400台以上の販売実績があり、それに後続する形で続々とWord sync対応機種が
発売され、VRDS-NEOを搭載するようになってからのX-01とUX-1両者でP-0シリーズ
の二倍以上の実績があるのではと推測しています。
これら26機種の累計総合販売台数は恐らく数万台に達しているものと考えられる!?
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そして、これらの膨大なWord sync対応製品が存在していながら、肝心なMaster
Clock Generatorとしての販売台数はどれほどあったのか…??
G-0sは発売以来ダイナミックオーディオにおいてもやっと100台と少し、G-0の販売
台数はもっと少ないだろう。これは私の推測だが、上記のWord sync対応コンポー
ネントの総数に対してMaster Clock Generatorの装着率は恐らく0.01%程度ではな
いかと考えている。
Master Clock Generatorの魅力、そして影響力の大きさを私は事あるごとに力説し、
そして実証してきた。
◇衝撃レポート◇
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/401.html
「こだわりの検証 ESOTERIC G-0(50万円)はG-0s(120万円)より音がいい!!」
こうして行き着いたのがご存知のハルズサークル限定50台限りの販売となって結実
したESOTERICとのコラボレーション“G-0d”であった。
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/plate.html
形だけのMaster Clock Generatorではなく、本当に音質のいいもの納得できるもの、
単品商品として価値あるものという追求は次ぎのストーリーでも確認された。
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/404.html
このG-0dは税込み\448,000.ということで、オリジナルG-0よりもパフォーマンスが
向上しているということで評価して頂いたものだが、なぜMaster Clock Generator
という存在が普及しなかったのだろうか?
上記の資料で26機種のうち100万円以内のものが半分の13機種、100万〜150万円の
ものが8機種となるが、この価格帯の製品を愛用しているユーザーにとってG-0の
50万円、G-0sの120万円というオプション製品の価格はやはり高価に過ぎるのでは
というのが最大要因だと私は考えている。
「でも、G-25Uという25万円の製品にマスタークロックの機能があるじゃないか?」
そう、確かにそうなのだが、UPCONVERT機能をも搭載し同時発売されたD-01という
モノラルDACに一般的なトランスポートを接続したりという補足的な役目は果たし
ていたのだが、音質的な魅力ということでは“G-0d”の開発段階でも一定レベルと
いうものだった。その当時から私はこんな希望をESOTERICに伝え続けてきた!!
「“G-0d”とまでは行かなくても同レベルの音で販売価格で30万円を切るMaster
Clock Generatorが出来れば一気に普及が加速するはずですよ!!」
オーディオセールスの最前線にいる私にとって、高音質と高級感を併せ持つ本物の
Master Clock Generatorを30万円で!! これが2007年3月遂に完成したのであった!!
〔2〕本物と呼べるだけの資質
正式には3月16日にプレス発表予定のものだが、私の念願かなった新製品情報を
どこよりも早くハルズサークルの皆様にお知らせする!!
http://www.dynamicaudio.jp/file/070313/G-0Rb_G-03X.pdf
今後の私の解説を省力化するためにも、後日の報道資料となる原稿を先ずはご覧
頂きたい。そう!! ESOTERIC G-03X 税別定価 \300,000. が実現した!!
G-25Uよりも5万円高い価格設定。上級機のG-0シリーズと同じ“ゼロ”ナンバーを
付けたG-03Xの品格とはどこにあるのか。
■外観とデザイン
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/op-pho/g03_003.jpg
先ずは正面からのデザイン。兄貴分“G”シリーズと同様な機能性をディスプレー
に表しているので必然性あるデザインの結果と言える。
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/op-pho/g03_005.jpg
ちょっと私の撮影が下手なので細部はご勘弁頂きたいのだが、高さは約90ミリとし
てCD/SACDプレーヤーとのスタッキングでも違和感のないボリューム感を確保した。
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/op-pho/g03_006.jpg
さあ、次をご覧頂きたい。上がG-25Uであり下がG-03Xである。
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/op-pho/g03_013.jpg
G-25Uのボンネットは1.2mm厚のスチール製で重量は7.9Kg、ちょっと見にくいが
鉄板を折り曲げた断面などで厚みがお解かりだろうか。G-03Xではボトムプレート
に2mm、その上のシャーシーに1.6mmのスチールを用い、ご覧のようにトップパネル
とサイドパネルには兄貴分の“G”シリーズと同じく5mmのアルミパネルで仕上げら
れており、それらの固定ビスは表面に露出しないという配慮をしている。
重量は9.1Kgという仕上がりで、Master Clock Generatorという単機能ながら充実
した内容を外観からも重さからも感じさせる。うん、これだったらいいぞ!!
■電源の充実
さて、これを見たことがある方は少ないでしょう。G-25Uの内部だ。
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/op-pho/g03_015a.jpg
この写真で見える左側の黒く四角いケースに囲まれているのは電源トランスだ。
実際には、このサイズの容積の半分くらいか、EI型のトランスが格納されている。
このケースから黄色と青色のケーブルが基板に接続された部分が整流回路となり、
ここからDC変換される実質的な電源部が基板と一体となっている。
さて、それに対してG-03Xではこのようになっている。
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/op-pho/g03_015b.jpg
ひと目見てわかるのが電源トランスの大きさ。Rコア型トランスで容量は25VA。
ということは、一般的なプリアンプが十分に使用できるほどの容量であり、更に
徹底しているのが電源部の物凄さ!! 大きなヒートシンクとコンデンサーがそそり
立つ独立基板は31Wという定格消費電力でありながら、その安定性を極限まで追求
しようとしたパワーレギュレーターとして設計されている。これはいい!!
■心臓部のクリスタル
さて、ここでMaster Clock Generatorとしての性能を示す上でカタログ表記では
内蔵する水晶発振器の発振周波数精度が気になるところだ。メーカー資料にある
ようにG-03X搭載のクリスタルでは±0.1ppmとなっている。
ここで視点をちょっと変えると、デジタル機器には各々に必ずクリスタル発振器が
使用されており、当然個々の発振精度があるがMaster Clock Generatorと比較する
ということに意味があるのかどうかを考えてみる。
一例として上記のESOTERIC製品リストから引用してみると次のようになった。
*下記にないものはカタログ上での公表をしていないもの。
□±0.05ppb以内
G-0s
□±0.1ppm以内
G-0
G-03X
□±1ppm以内
G-25U
AZ-1
AI-10
□±3ppm以内
D-03
P-03
P-03UNIVERSAL
X-01D2
P-0S/VU
D-70/VU
X-01
P-70/VU
D-01
P-01
X-03
X-01 LIMITED
X-03SE
□±25ppm以内
UX-1
UX-3
UZ-1
UX-3SE
UX-1 LIMITED
DV-60
SA-60
SZ-1
UX-3Pi
SA-10
▲このユニバーサルプレーヤーに関しては温度特性込みでの値で、パーツメーカー
の余裕をかなり含んだ値であり、実際に計測すると実力値は±10ppm以内程度。
30万円のG-03Xでも±0.1ppm、25万円のG-25Uでも±1ppm以内という精度ならば、
その数倍もする価格の多数のコンポーネントになぜ最初からもっと高精度な水晶
発振器をなぜ最初から搭載しないのだろうか!? と考えたことはないだろうか?
実は、これには理由があった。各種プレーヤーやD/Aコンバーターにも通常は1個
ないしは2個のクリスタルを使用している。CDプレーヤーの場合にはサンプリング
周波数の44.1KHzの整数倍の周波数で水晶発振器を発振させており、一例としては
512倍とすれば発振周波数は22.579MHzということになり、この倍数はメーカーに
よってまちまちだ。
結果的には安定した水晶発振器の非常に高い発振周波数を分周して数百分の一に
変換し目的の周波数を得ることで各回路の動作基準とするわけだが、プレーヤーの
場合にはメカニズムの駆動をはじめとして多種多様な電気的・機械的・温度的な
状況の変化が起こりえる。
発振周波数精度の尺度としてppmという百万分の一という単位がいかに微小なもの
かは想像出来るだろうが、前例であげた22.579MHzという値では極論を言えば下二
桁あたりの数値が00や99になったりする可能性があるということを表している。
そんなミクロの世界の話しをしても音質に本当に影響があるのか〜? と疑う気持ち
が起こるのが人情だが、デジタルオーディオの歴史では人間の耳はその変化を察知
するという現象が今では肯定的な見解となっているものだ。
従って、この発振周波数精度を単体のプレーヤーとしても良くしようという発想は
間違いではないのだが、音質向上のための優先順位からすると、言い換えれば音質
変化の大きな要素から対策していくとするとトランスポートとしてのメカニズムの
独立、D/A変換を行なうユニットの独立など多数の要素からクリスタル単体の発振
周波数精度の追求よりもウエイトが大きくなっているという現実がある。
つまり、発振周波数精度の向上だけが音質追求の最大要素にはなり得ないという
ことだろう。そして、肝心な水晶発振器を実装する際にどのようにチューニング
して回路に組み込むかということが本来の目的としてクローズアップされてくる。
お気付きだろうか、上記資料で上位を占めるもので単体のMaster Clock Generator
のG-0シリーズは別にして±1ppm以内というのはG-25Uの他にAZ-1とAI-10があるが、
これらAの頭文字はデジタルアンプであり、Word syncを出力するだけなのだ。
Word syncを送受信する方式では実はここにポイントがある。Word syncを受ける側
の立場では受け入れるクロックの発振周波数の精度にある程度のばらつきがあって
も同期して動作しなければいけないという絶対条件が求められる。
簡単に言えば前例であげたWord syncの送り出し側のクロックのおおもとの発振周
波数が22.579MHzを中心にして22.560MHzから22.590MHzの範囲でズレがあり、それ
をWord syncの44.1KHzに変換して送信してきたら、受ける側では ある程度の可変
範囲を確保する必要が出てくることになり、受ける側の水晶発振器のチューニング
が変わってくるということだ。
実は、この現象を私は以前にも体験していた。
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/401.html
この中の一節にこうある…
-*-*-*-*-*-*-*-*-*-
「ESOTERIC P-01&D-01にはワードシンク入力のオンオフの他に「in」と「Rb in」
のふたつのポジションがあります。この違いは私の随筆でも述べていましたが、
「加えてWORD SYNC入力ポジションを通常のINモードとRb INモードを新たに設定し、
Rb INが選択された場合にはルビジウムのような高精度クロックとの同期のため
に変動範囲と追従のさせ方をチューニングしたPLL回路が選択される。」
という解説がなされていました。私はクリスタルによるワードシンク信号を受け
るのだから、通常の「in」の方が良いのではないかと思い念のためにG-0もG-25U
でもクリスタルによるワードシンク信号をこの両方で試聴したのです。
するとどうでしょう!!
「Rb in」に入力したのはクリスタル精度のワードシンクのはずなのに、解像度、
質感、余韻感などすべての項目で、あたかもルビジウムのような素晴らしい音質
が再現されたのです!! これには驚きました!!
ワードシンクというものは送り出す側の精度だけではなく、受信する側の同期
回路のクォリティーも大変重要であるということでしょう。
これは勉強になりました。」
-*-*-*-*-*-*-*-*-*-
そして、Master Clock GeneratorというのはWord syncを送り出すだけの単機能だ。
つまり、Master Clock Generatorで使用する水晶発振器のチューニングは、自らが
外部からのWord syncを受けて同期して行かなければならないという必然性がない
ので自身の水晶発振器における周波数可変範囲を確保する必要がないのだ。
半固定化した発振周波数を維持すればよいので、内蔵しているクリスタルの動作を
発振周波数精度というスペックで取り出した場合には、このように大変有利な数値
として表れるということなのである。繰り返すが、この発振周波数精度ppmで表さ
れる数値だけが音質を支配するわけではない!!
さっ、話しを戻そう。
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/op-pho/g03_017.jpg
この写真は前出のG-25Uの基板を少し拡大したものであり、注目して頂きたいとこ
ろに赤い丸印が付いている。これは44KHz系と48KHz系の二個の水晶発振器だ。
G-25Uではこの二つのクリスタルが発振した信号を前述のCDプレーヤー内部のプロ
セスのように22.579MHzのような非常に高い周波数で発振させ、それを分周するこ
とで44.1KHzから176.4KHzのWord sync信号として処理し、写真の右上に並ぶ三つの
BNC端子へと送り出しているのである。
さあ、次にご注目頂きたい!!
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/op-pho/g03_016.jpg
この写真ではG-03Xの内部で大きな特徴となっている“オーブン”が見られる。
OCXO(Oven Controlled Crystal Oscillator)の意味で、基板の右下にある金属製の
ボックスに水晶発振器を格納しているのだ。この内部温度を一定にすることで外気
温マイナス20度から70度という変化にあっても±0.1ppmを維持するという極めて
高い安定性を実現しているのである。
■30万円でも、こんなことやってるんだ!!
そして、更に驚くべきこだわりがあった!!
OCXO小型恒温槽ボックスの左側に白い四角で囲まれた同じ金属質のデバイスが二つ
見えますが、これらが何と44KHz系と48KHz系で独立した水晶発振器なのです!!
えっ!? ではOCXOボックスの中に入っているクリスタルは何をしているのかって!??
はい、このOCXO内部のクリスタルはG-0sのRubidiumモジュールやG-0dのクリスタル
と同じ10MHzをきっちり±0.1ppmの精度で発振しているのです!!
そして、このOCXO内部のクリスタが作り出した10MHzをMaster Clock Generatorと
して発想し、つまり送り出し専用ですよ!!ということで、44KHz系と48KHz系両者に
PLL(位相比較回路)を通じて同期させているのです。
もっと簡単に言えば、G-03Xの中にはG-0と同じ精度のクリスタルがあり、それを
Word sync信号に変換する手法もG-0と同様な構成をとっているということです!!
■30万円でも、こんなことやってるんだ!!
-*-*-*-*-*-*-*-*-*-
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/op-pho/g03_019.jpg
最後に印象に残ったのが、この基板の中央にある大きな四角いLSIチップです。
どこかで見たことあるような…、あっ、そうだ!!
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/op-pho/g03_012.jpg
これは25Uでは使っていない。G-0の中で使われているパーツと同じで、プログラ
マブル・ロジック・デバイスというLSI。マイコンのようにプログラムを変更する
ことで内部の回路を変更できるようなLSIだ。
回路を集積化するのが目的だが、回路の高密度化の必要性があるほど中身が濃い
というものか、これもG-0同様とは恐れ入った!!
■30万円でも、こんなことやってるんだ!!
〔3〕試聴してわかる品格
Master Clock Generatorという性格のコンポーネントをジャッジするシステムと
して、そして今回はその内部における変化をチェックするものとして、私は最も
信頼している使い慣れたシステムを下記のように設定した。
◇ G-03X vs G-25U 比較検証システム◇
ESOTERIC G-03X(税別\300,000.) vs G-25U(税別\250,000.)
http://www.teac.co.jp/av/esoteric/g0_g0s.html
and
ESOTERIC PS-1500+7N-PC9100(税別\950,000.)
http://www.teac.co.jp/av/esoteric/ps1500/
http://www.teac.co.jp/av/esoteric/powercable/9100mexc.html
↓
ESOTERIC 7N-DA6100 BNC(Wordsync用)→ESOTERIC D-01
http://www.teac.co.jp/av/esoteric/mexcel/
↓
ESOTERIC P-01 (税別\2,200,000.)
http://www.teac.co.jp/av/esoteric/p01_d01/
and
ESOTERIC PS-1500+7N-PC9100×1(税別\9500,000.)
http://www.teac.co.jp/av/esoteric/ps1500/
http://www.teac.co.jp/av/esoteric/powercable/9100mexc.html
↓
ESOTERIC 7N-DA6300 XLR 1.0m Dual AES/EBUで二本使用(税別\560,000.)
http://www.teac.co.jp/av/esoteric/mexcel/6300.html
↓
ESOTERIC D-01(税別\2,200,000.)
http://www.teac.co.jp/av/esoteric/p01_d01/
and
ESOTERIC PS-1500+7N-PC9100×2(税別\1,300,000.)
http://www.teac.co.jp/av/esoteric/ps1500/
http://www.teac.co.jp/av/esoteric/powercable/9100mexc.html
↓
ESOTERIC 7N-DA6300 XLR 1.0m×2(税別\560,000.)
http://www.teac.co.jp/av/esoteric/mexcel/6300.html
↓
HALCRO dm8(税別\2,200,000.)
http://www.harman-japan.co.jp/products/halcro/dm8_10.htm
and
TRANSPARENT PLMM+PI8(税別\606,000.)
http://www.axiss.co.jp/transparentlineup.html#POWER
↓
ESOTERIC 7N-DA6100 MEXCEL RCA 7.0m
http://www.teac.co.jp/av/esoteric/mexcel/
↓
HALCRO HALCRO dm88 ×2 (税別\7,600,000.)
http://www.harman-japan.co.jp/products/halcro/dm38_68.htm#dm68
http://www.halcro.com/productsDM88.asp
and
TRANSPARENT PIMM+PLMM(税別\606,000.)×2set
http://www.axiss.co.jp/transparentlineup.html#POWER
↓
STEALTH Hybrid MLT Speaker Cable 5.0m H.A.L.'s Special Version
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/290.html
↓
MOSQUITO NEO(税別\4,800,000.)
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/oto/oto54.htm
-*-*-*-*-*-*-*-*-*-
使用するディスクは次の三枚として集中した比較を行うことにする。手順としては
先ずG-25Uで課題曲を数回聴き、その後にG-03Xに差し替えて比較するという単純な
作業である。
最初は、この曲から…SACDフォーマットによるサンプラーとして今ではなくては
ならないディスクの一枚「closer to the music - vol.1 」
http://www.stockfish-records.de/stckff/sf_r_artists/sf_sampler_re.html
この中からSara K.が歌う3.トラックめの「Turned My Upside Down」
次はやはりSACDで諏訪内晶子/詩 曲(ポエム)より
http://www.universal-music.co.jp/classics/artist/akiko-suwanai/
1トラック目のサン=サーンス:序奏とロンド・カプリチオーソ 作品28
ここ数ヶ月、私の愛聴盤として手放せなくなってしまったこれもSACD。Audiophile
Vocal Recordings の3トラックめ、日本生まれのValerie Joyceが歌う「Fever」
http://www.chesky.com/core/details.cfm?productcode=SACD323&productcategoryid=3
2007年3月某日、実はプレス発表前でありESOTERICとしては開発から生産へという
慌しい中での量産試作機を持ち込んで下さったので、いつものように長時間をかけ
て演奏の各論にわたる比較をじっくりと行なうゆとりがなかった。
そして、今回の配信では述べることが間に合わなかったG-0Rbも実は同時に試聴し
たために私のインプレッションをいつもの調子で詳細に述べることが出来ないが、
先にG-25Uを聴きG-03Xに切り替えた時の感想ということでご理解頂きたい。
□Sara K.が歌う「Turned My Upside Down」
冒頭のギターの鮮烈さはG-03Xで特に印象に残った。弾かれた弦が振動し、その
様子は一本の弦が数本に見える残像を残しながら私の耳の中で響きを延長する。
ベースの変化には参った。ごりっとした手応え、沈む開放弦の重量感、それでいて
NEOのセンターにどっしりと定位する輪郭の鮮明さ。うっと息を止めて聴いていた。
Sara K.のヴォーカルで音階が下がりながら発声のポイントが口許から胸元まで
降りてくるようなフォーカスの鮮明さと微妙な上下の定位の移動が感じられる。
参った、G-25Uでは気が付かなかったポイントが指折り数えて記録されていく。
■30万円でも、ここまでやるか!!
□諏訪内晶子のサン=サーンス
あっ!! 彼女のStradivari dolphinの音色がこんなに艶やかになっているのはなぜ?
フィルハーモニア管弦楽団が冒頭でささやくように弦楽器が奏でられるが、その
冒頭の情報量としてのエコー感にも違いがある。
そして、圧巻は諏訪内が繰り返すアルコでは弓の裏表に明暗があるのが感じられる
程にニュアンスの変化を演奏に織り交ぜ、彼女の呼吸音のように膨らむ余韻感と
弓の摩擦感に快感を感じながら9分間をあっという間に聴かせてくれた。参った!!
■30万円でも、ここまでやるか!!
□Valerie Joyceの「Fever」
右側からウッドベース、左チャンネルとセンターの間にフィンガータップの音、
しばらくすると右チャンネルのNEOとセンターの中間でコンガ。おいおい!!
個々の楽音がテリトリーとして持っていた音場感というか響きのエリアが広い!!
しかも、叩くコンガ、弾く指、そのアタックの基点から発したエコー感の拡散が
先程よりも自由自在にNEOの周囲に飛び散っていく!!
Valerie Joyceのヴォーカルは大きな音像として録音されているが、その響きの
範疇にピアノが埋もれることなく、ぴーんと張り詰めたテンションを維持したまま
左右のNEOが位置する空間に鍵盤のひとつひとつをピンポイントに定位させる。
フォーカス感と残響がクロックの影響で変化するということは、以前にも内部配線
の変更によるテストで体験したことだったが、G-03Xはそれ以前に演奏の“場”を
作り変えてしまっていることに気が付く!!
■30万円でも、ここまでやるか!!
-*-*-*-*-*-*-*-*-*-
Master Clock Generatorの品格、それは価格とスペックではないということだ!!
長時間ではないにしろ私には十分な時間でジャッジできた!!
“G”Seriesの弟はG-25Uではなかったのか!!
私はG-03Xの音に、あのESOTERIC“G”の 遺伝子 を発見していたのだった!!
〔4〕次世代フラッグシップの威厳
前回の配信で公開した暫定資料にて、このG-0Rbに関しても概要が述べられている
が、実はその内容には歴代の“G”シリーズになかった各種テクノロジーがあった。
http://www.dynamicaudio.jp/file/070313/G-0Rb_G-03X.pdf
さて、そもそもなぜRubidium専用モデルの開発を思い至ったかというのは、やはり
一年前の“G-0d”の教訓からだった。
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/404.html
この中で試行錯誤の実験と試聴を繰り返すうちに、ひとつのボディーの中で同時に
二つの発振素子がアクティブになっているという状況が音質に対してマイナス要因
となっていたことを確認したからである。
では、今回のG-0Rbでは単純にクリスタル発振器を外しただけなのか…!?
そんな単純なものではなく随所に納められた新技術の要所が見受けられた。
■外観とデザイン
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/op-pho/g03_004.jpg
正面から見るとフロントパネル上下のカッティングが作り出す陰影が高級感を醸し
出している。理想としてはP-01/D-01のようにコーナー部分も同様なラウンドデザ
インとしたいところだが、コストの問題とフロントパネルとサイドパネルの連結
部分での構造的な違いで実現は出来ないとのことだった。
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/op-pho/g03_008.jpg
しかし、フロントパネルの両サイドを含む外周にも面取りを施し、同時にこの写真
のようにディスプレー部分を落とし込む掘削部分の周辺部もスロープをつけて削る
というアイデアを出していたものだった。また、G-0sではディスプレーのアクリル
パネルの周囲に隙間があったが、今回は削り込んだ面積にほぼ等しい大きさとした。
実際のアイデアからスケッチを経て実態のサンプルの仕上がりを初めて見たのは
半年以上前のことだったろうか。P-01/D-01やP-03/D-03のラインアップとの違和感
を極力排除し、X-01/UX-1シリーズなどとの共存も意識して両方シリーズのデザイ
ンにマッチした風貌が仕上がったものだ。
■進化したRubidiumモジュール周辺
私が今回G-0Rbを手にして最初にやったことは中身の確認だった。
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/op-pho/g03_012.jpg
G-0sにおいてはRubidiumモジュールを取り出すのにちょっと手間がかかったという
ことから、今回はRubidiumモジュールへのアクセスがどうなっているのかに関心が
あったものだ。このように素直に上向きに取り付けられているのでほっとした…
なぜほっとしたか…と言えば!?
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/470.html
この企画のようにJORMA DIGITAL/BNC-BNCを内部配線に使用して確実な音質向上を
確認し、これを新製品でも応用できないかと考えたものだった。しかし!!
Rubidiumモジュールからマザーボードへのキーポイントとなるケーブルにいきなり
大きな改革のあとが!! なんだ? これは!!
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/op-pho/g03_009.jpg
このケーブルそのものは“G-0d”で使用した6Nケーブルと同様のものだが、何と
オーディオ製品ではとんと見かけたことのないコネクターが!!
IEC60169-10(TYPE SMB)という規格のコネクターだった。
http://www.jae.co.jp/new/jnew/jnews225.htm
http://www.jaeconnector.com/jp/type_jp.cfm?type_code=T0080
開発者のコメントによればメガヘルツ帯域の伝送で諸条件を追求するうちに採用に
至ったということで、こればかりは反論の余地はない。残念ながら今回の新製品
ではG-03XもG-0Rbでも内部配線の交換というお楽しみはなくなってしまったようだ。
このプラグを差し込む端子はこのようになっていた。
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/op-pho/g03_010.jpg
こちらはマザーボードの入力側だ。次がRubidiumモジュールの出力端子。
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/op-pho/g03_011.jpg
しかし、ここで再度注目してみると…
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/op-pho/g03_012.jpg
ここで見られるように10MHz外部入力とユニバーサルクロック出力に関しては従来
と同じBNCコネクターを使用しているので、この両者いずれかを使用することにな
ればJORMA DIGITAL/BNC-BNCの出番がありそうだ。
また、機能的には従来のスタンバイスイッチが省略され、その代わりにディスプ
レーの輝度を調整できるDIMMERスイッチが付けられた。音質優先の配慮からすれば
Rubidiumモジュールの温度を常に一定化させておくことは重要なことであり、これ
もこだわりの表れである。
-*-*-*-*-*-*-*-*-*-
さあ、いよいよ試聴だ!!次世代フラッグシップの検証ということでシステムは当然
使い慣れたものを用意した。しかし、NEOというスピーカーはリファレンスとして
見事に微妙な変化を確実な聴かせてくれるので手放せない存在となっている。
◇ G-0s vs G-0Rb 比較検証システム◇
ESOTERIC G-0s(税別\1,200,000.) vs G-0Rb(税別\1,350,000.)
http://www.teac.co.jp/av/esoteric/g0_g0s.html
and
ESOTERIC PS-1500+7N-PC9100(税別\950,000.)
http://www.teac.co.jp/av/esoteric/ps1500/
http://www.teac.co.jp/av/esoteric/powercable/9100mexc.html
↓
ESOTERIC 7N-DA6100 BNC(Wordsync用)→ESOTERIC D-01
http://www.teac.co.jp/av/esoteric/mexcel/
↓
ESOTERIC P-01 (税別\2,200,000.)
http://www.teac.co.jp/av/esoteric/p01_d01/
and
ESOTERIC PS-1500+7N-PC9100×1(税別\9500,000.)
http://www.teac.co.jp/av/esoteric/ps1500/
http://www.teac.co.jp/av/esoteric/powercable/9100mexc.html
↓
ESOTERIC 7N-DA6300 XLR 1.0m Dual AES/EBUで二本使用(税別\560,000.)
http://www.teac.co.jp/av/esoteric/mexcel/6300.html
↓
ESOTERIC D-01(税別\2,200,000.)
http://www.teac.co.jp/av/esoteric/p01_d01/
and
ESOTERIC PS-1500+7N-PC9100×2(税別\1,300,000.)
http://www.teac.co.jp/av/esoteric/ps1500/
http://www.teac.co.jp/av/esoteric/powercable/9100mexc.html
↓
ESOTERIC 7N-DA6300 XLR 1.0m×2(税別\560,000.)
http://www.teac.co.jp/av/esoteric/mexcel/6300.html
↓
HALCRO dm8(税別\2,200,000.)
http://www.harman-japan.co.jp/products/halcro/dm8_10.htm
and
TRANSPARENT PLMM+PI8(税別\606,000.)
http://www.axiss.co.jp/transparentlineup.html#POWER
↓
ESOTERIC 7N-DA6100 MEXCEL RCA 7.0m
http://www.teac.co.jp/av/esoteric/mexcel/
↓
HALCRO HALCRO dm88 ×2 (税別\7,600,000.)
http://www.harman-japan.co.jp/products/halcro/dm38_68.htm#dm68
http://www.halcro.com/productsDM88.asp
and
TRANSPARENT PIMM+PLMM(税別\606,000.)×2set
http://www.axiss.co.jp/transparentlineup.html#POWER
↓
STEALTH Hybrid MLT Speaker Cable 5.0m H.A.L.'s Special Version
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/290.html
↓
MOSQUITO NEO(税別\4,800,000.)
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/oto/oto54.htm
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ただし、ここで使用するG-0sはこれまでの経験から次のようなチューニングとした。
・Rubidiumモジュールの出力にはJORMA DIGITAL/BNC-BNCを使用
・当然クリスタル基板の出力と電源ケーブルも解除しRubidium専用動作とする。
・10MHz外部入力とユニバーサルクロック入出力端子すべてのケーブルを解除
・機械的な組み立て誤差をなくすため、すべてのビスをしっかりと締め込む。
これがG-0sのベストな状態だ。次世代フラッグシップを認定するのに手を緩める
必要はない!! いや、G-0sに関する研究を重ねてきて磨きをかけた最上の状態で
こそ相手にふさわしいというものだろう。
使用するディスクは前回同様の三枚としてポイントを絞って比較を行うことにする。
手順としては前回同様に先ずG-0sで比較原型を十分に記憶し、その後にG-0Rbに
差し替えて比較するといういつもの作業である。
最初は、「closer to the music - vol.1 」Sara K.の「Turned My Upside Down」
http://www.stockfish-records.de/stckff/sf_r_artists/sf_sampler_re.html
ここ最近定着して使用しているG-0s+JORMA DIGITAL/BNCはこれまでのMaster Clock
Generatorの中で最高のパフォーマンスを自負するだけのことはあって音場感の
大きさと楽音の切れ味、余韻感のテイストでは抜群のセンスを聴かせてくれると
いう自負を持っている。比較対象として数百回聴いてきたが、このハードルは高い。
さあ、三本の7N-DA6100 BNCをてきぱきと差し替えてスタンバイした!!
「むむ…、ギターのエコー感。拡散していく残響の微粒子では互角か!?」
と、第一印象は数秒間のうちに私の頭の中のメモパッド記されていく。内部配線に
よる変化もそうだが、Master Clock Generatorの進化に伴う音質変化の兆しは先ず
冒頭のエコー感の表現力で先ず第一ラウンドの比較が完了する。しかし…!!
「あっ、ベースが…」
スタジオ録音のエレキベースは固体感と重量感を両立させ、ともすると迫力という
イメージを求めると多少暴れた低音に軍配を上げたくなるところなのだが、ここで
はそのような幼稚な展開は早々に馬脚を現す。あくまでも輪郭表現はくっきり鮮明
にという方針は変わるところがない。
そして、重要なことは音階の低い楽音においても、残響感は音源の核とはセパレー
ションを明確に示さなければいけないということ。これがホール録音における低音
楽器の余韻感を司るカギになるからだ。
ここで驚いたことは、G-0Rbで聴くベースは音階が下がれば下がるほどにくっきり
と輪郭を描き、今まではふっと力が抜けてシルエットが崩れていたことを教えて
くれ、重低音のパートに差し掛かっても鮮明さを損なわないことだ。今まで完璧
だと思っていた高速反応を得意とするNEOのウーファーが、実は完全なグリップ
走行ではなくわずかにドリフトしていたのだということが初めてわかった!!
Sara K.のヴォーカルはどうだ!? これは難しい…、ほぼ互角というところだろうか。
いや、待てよもう一度。
監視カメラに映った犯行現場のビデオを繰り返し見つめる刑事のように、私はまだ
納得がいかず最初から聴きなおしていく。すると…
「そうか〜、これかー!!」
ヴォーカルも音階が高いところではわからなかったのか、音程が低くなりSara K.
の唇が閉じてハミングにちかい唸りに近いような声になったときに、それを包み
込むようにふわっと残る響き。
ハイスピードな反応を示すNEOだからこそできる600Hzまでという受け持ち帯域で
両チャンネルで四基のウーファーから再生される低い音階のパートでG-0Rbが送り
出すWord syncは末端のNEOにまで影響力を行使しているようだ!!
拡大解釈か私の気の使いすぎか!? デリケートな比較ではあるが聴き込むほどに
明らかな違いを見せるG-0Rbの再生音に私の耳と大脳は次第に反応し始めていた。
-*-*-*-*-*-*-*-*-*-
次はやはりSACDで諏訪内晶子/詩 曲(ポエム)より
http://www.universal-music.co.jp/classics/artist/akiko-suwanai/
1トラック目のサン=サーンス:序奏とロンド・カプリチオーソ 作品28
RubidiumオンリーでのG-0s+JORMA DIGITAL/BNCで、この曲での変化は大きかった。
ホールの照明が一際明るくなったかのように諏訪内のStradivari dolphinの音色に
色彩感が倍化し、彼女の発する余韻感が左右のNEOの両翼にまですーっと拡散して
いく美しさにため息の連続だった。Master Clock Generatorを磨けばこうなると
いう情報量の増加に感激し、内部配線の強化によって潜在能力を引き出すことが
できたG-0sは使用者へ投資を還元してくれる感動があった。これは手ごわいはずだ。
さあ、Word syncのロックを知らせるインジケーターの点滅がもどかしく、リモコ
ンに置いた指がスタートボタンに触れていた。
「まだだ…まだだぞ…」
フィルハーモニア管弦楽団の導入部の静かなアルコの繰り返し…、おや!?
諏訪内のヴァイオリンが長いストロークのアルコからすっと弓を抜く…、おや!?
溜め込んだエネルギーを一瞬にして開放するようなオーケストラ全体のフォルテ。
Master Clock Generatorの頂上対決は一瞬にして勝敗が決まるほど単純ではない。
テイスト、味わい、聴く人の好み、など判断基準は主観にしか過ぎず、それを私の
好みと言い切ってしまうば簡単だが、この私の求めるものとは通常レベルのもので
はないということは言い切れる。だからこそ、今回は見極めるまでに時間を要した。
「そうだよ、つながってるんだよ!!」
オーケストラの多様な楽器群における低音階の演奏に際して、G-0Rbはじわじわと
自己主張をシステム全体に浸透させていく。諏訪内のヴァイオリンがフォルテを
奏でるとき、ややセンターの左側に位置する彼女が発した響きは右チャンネルの
NEOにも余韻感の連鎖を求めホールの壁面を立ち上っていくかのようなエコー感の
到達領域を拡大している。つまり、空間表現という連係プレーを指揮するように
G-0Rbの統率力が音場感をつなげ広げていくというイメージ。
そして、コントラバスの脇役に徹した楽音、弦楽器群が揃って音階を下げるパート、
NEOが再生する周波数がウーファーで鳴らす領域にまでホールエコーの存在感を
新たな視点で私に見せつけてくるという低域方向への残響感へのつながり。
更に諏訪内のヴァイオリンが切れ味よくスコアーをトレースしながら、時折クレッ
シェンドしながら一気に音程を下げての濃密なアルコでの演奏場面でも、不思議な
ことにG-0Rbで聴いていると彼女の立ち位置からステージの左右と奥行き方向に
響きを返してくれる床板の存在感を思わせる空間のつながりをもスケール感として
一回り大きくなったようなのだ!!
私の誇大妄想か!? 敏感すぎる耳と感性が私の体内にアドレナリンを放出させる
トリガーになったのか!? 神経を研ぎ澄ませなければわからない違いをG-0Rbは
私にちょっぴり興奮し楽しみながらも気が付かせるようになってきたのだ!!
-*-*-*-*-*-*-*-*-*-
Audiophile Vocal Recordings のValerie Joyceが歌う「Fever」
http://www.chesky.com/core/details.cfm?productcode=SACD323&productcategoryid=3
ここでは本当に微細な変化までが現れる。そして、ここでチッェクされたことは
環境が変化しても同類項の差異として確認されることが多いので皆様にお勧めする
根拠としても自信が持てるものだ。さあ、今度はどうだろうか…
「あっ!! これはいきなり来たー!!」
G-0Rbにしてから低域に関する解像度の向上と全体的に拡大した情報量を確認して
きたが、それを納得するまでにはさすがの私も慎重にならざるをえなかった。
しかし、この曲は冒頭からいきなりのインパクトが私を襲った!!
右側からウッドベース…、
「あ〜、テンションは引き締まっているのにゆったり感じるのはなぜ!?」
これまでのチェックポイントで低域に関するG-0Rbでの変化を探し出してきたよう
なものだったが、この曲ではウッドベースのスタジオ録音で、しかもチェスキー
特有のアコースティックな空間提示の特徴ということから一発でわかった!!
そう、低域のエコー感の保存性がとにかく素晴らしいからだ!!
左チャンネルとセンターの間にフィンガータップの音…
「えっ!! 音源のスピーカーがない中空でこんなに切れ味のいい反応はなぜ!?」
驚くのは無理もないことか。こんな原始的な楽器? が弾き出した立ち上がりの鋭い
打音というかパルシブな音源からすーっとエコー感が伸びていく快感。そうそう、
ダイアナ・クラールの同様な指を鳴らす音でも興味深い比較試聴をしたことが
あったが、まさに同じ展開に。Word syncの純度を高めるということが、楽音が
発生したスタートから消滅するまでの時間軸をエクステンションさせるのだ!!
右チャンネルのNEOとセンターの中間でコンガ…
「これはわかりやすい!!コンガのヘッド(革)と演奏者の手の平が乾いたんだ!!」
タン!!タターン!!と繰り返されるリズムを聴き始めた瞬間にG-0Rbが演奏空間の
除湿をやってくれたんだ!! と一人勝手な解釈をして失笑まじりに耳を澄ます。
Valerie Joyceのヴォーカルは…
「気のせいか!? エコー感が透き通るようでバックの楽音が更に鮮明になった」
このヴォーカルの録音自体が音像を大きくゆったりとしているので、私が日頃
使ってきた大貫妙子のような国内録音のヴォーカルとは質感が大分違う。
チェスキーのヴォーカルは皆オフマイクで距離感を感じさせるところが魅力なの
だが、Valerie Joyceの場合も例外ではない。
これは言い換えれば声量によって音像の大きさも変化し、まるで息遣いのように
歌い方の変化で歌手のシルエットが刻々と変化するという感じだ。切れのいい楽音
を背後に従えて、彼女の声が定位感としてオーバーラップしているものの混濁する
ことは一切なく鮮明そのもの。
左右に広がるピアノは…
「あっ!! これはいい、ピアノの音が転がっていくようだ!!」
ピアノの打音がスピーカーに張り付くような幼稚な展開はない。ワックスの効いた
車のボディーを水滴が転がり落ちていくように、表面張力で水が球体を形作るよう
なビジュアルを私はピアノの再生音に当てはめていた。
五人の演奏者が空間を共有しながらもスタジオワークで定めた定位感で個々のテリ
トリーを割り当てられている。しかし、演奏者の各々が発するエコー感は定位感を
鮮明にすることとは別の使命を帯びて自由活発にスピーカーの周辺に飛翔していく。
その代表的なものがピアノだろう。左右のNEOが位置する私との物理的な距離感を
そのままに、ヴォーカルをセンターにはさむ形でピアニストの両手が踊っている。
立ち上がりはハイテンションで、エコー感は柔軟性を含ませる響きの成分が心地よ
く、打音のひとつひとつを中空に描き出す。
非常に高レベルで微妙な違いなのだが、私がコーディネートしたG-0sを既製品と
してメーカー製のG-0Rbが追い越していくことを私は拍手をもって迎えていた。
お見事!!
-*-*-*-*-*-*-*-*-*-
Master Clock Generatorの影響力が現れるのはどういうポイントなのだろうか?
・解像度・音場感・輪郭表現・周波数特性のバランス・立ち上がりのレスポンス
・余韻感の保存性・空間表現・音像のフォーカス・などなど…
答えはすべて!!
システム構成と環境、そして選曲によって多数の項目の中から何が感じられるかと
いう順番が変わるだけです。
四年前に産声を上げたG-0sが三年目にして得た教訓。それは発振素子の単一化に
よって起こるパフオーマンスの飛躍的な向上として“G-0d”が誕生し、一方では
Rubidium単独動作によってRubidium自身の本来の魅力が開花された。
そして、それらはH.A.L.における検証からスタートして確認され、クリスタルと
ルビジウムという発振素子の個性をも浮き彫りにすることになった。
これらに関わってきたことを私はうれしくも誇りに感ずるところであり、Master
Clock Generatorというジャンルに将来性ある二極分化をもたらしたことになった。
G-03XによるWord syncの更なる普及、G-0RbによるMaster Clock Generatorの可能
性の拡大。さあ、皆さんのシステムも±0.05ppbの世界へ、±0.1ppmの領域へと
シンクロさせようではありませんか!!
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◇ H.A.L.'s Member limitation sale/The ESOTERIC New“G”Series ◇
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