発行元 株式会社ダイナミックオーディオ 〒101-0021 東京都千代田区外神田3-1-18 ダイナ5555 TEL:(03)3253−5555 FAX:(03)3253−5556 H.A.L.担当 川又利明 |
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早いものでもう一年経ってしまったとは…。 http://www.luxman.co.jp/product/b-1000f/ このB-1000fの登場を私はどのように見ていたのか!? http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/344.html 仕上がりとしては素晴らしいものがあったのだが、結果的にはB-1000fはこのH.A.L. のレギュラーとして常設されることは今までなかった。なぜか!? それはパワーアンプ単体では、そのメーカー・設計者が求めるレベルと方向性が 理解できないからだ。つまりはパワーアンプだけでは他社のプリアンプとの組み 合わせによって得られた一現象の評価であって、プリアンプの個性と能力に影響 された音質であるということを私は経験上で大変大きな要因として考えているから である。言い換えれば、同社プリアンプと純正の組み合わせでないとパワーアンプ の真価は発揮できない、つまり他社のプリアンプとの組み合わせでの試聴には不満 要素があったということだろう。 あのChordでもHALCROでもパワーアンプが先行して発表されたが、その一年後に 同社から発表されたプリアンプとの組み合わせで納得と感動をしたという経験が 多数あったからだ。そして、今回いよいよ待望のC-1000fが登場したのである!! http://www.luxman.co.jp/presspro/c1000f.html -*-*-*-*-*-*-*-*-*- さて、ここで事実をお話ししておくと正確にはC-1000fは二回目の試聴ということ になる。前回は私が常日頃求めている音場感のあり方、余韻感の保存性、楽音の 質感に求める要求という各項目で試作機のC-1000fとB-1000fの組み合わせでは納得 出来ずにご返却していたものだった。 当時比較の対象として同じ価格帯のHALCRO dm8でB-1000fを鳴らしたのだが、実は HALCROのプリアンプの方が好ましい結果になってしまったのである。だめでした。 あれから一ヶ月くらい経ったであろうか、「開発が更に店長の要求に応えるべく がんばったものが出来ましたので本日持ち込んでもいいですか!?」という電話を 頂戴したのが一昨日のことであった。それから使用するケーブルとセッティングの 吟味に時間をかけ、更に夕べは徹夜でエンハンサーをかけてバーンインを進めて 本日の試聴となった。そのシステムはこれ。 ◇ LUXMAN C-1000f & B-1000f 検証システム◇ ESOTERIC G-0s(税別\1,200,000.)*Rubidiumオンリー http://www.teac.co.jp/av/esoteric/g0_g0s.html ↓ 7N-DA6100 BNC(Wordsync)×3本 http://www.teac.co.jp/av/esoteric/mexcel/ ↓ ESOTERIC P-01 (税別\2,200,000.) http://www.teac.co.jp/av/esoteric/p01_d01/ ↓ ESOTERIC 7N-DA6300 MEXCEL RCA 1.0m http://www.teac.co.jp/av/esoteric/mexcel/ ↓ ESOTERIC D-01(税別\2,200,000.) http://www.teac.co.jp/av/esoteric/p01_d01/ ↓ LUXMAN C-1000f(税別\2,000,000.) http://www.luxman.co.jp/presspro/c1000f.html ↓ ESOTERIC 7N-DA6100 MEXCEL RCA 7.0m http://www.teac.co.jp/av/esoteric/mexcel/ ↓ LUXMAN B-1000f ×2 (税別\3,600,000.) http://www.luxman.co.jp/product/b-1000f/ ↓ STEALTH Hybrid MLT Speaker Cable 5.0m H.A.L.'s Special Version http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/290.html ↓ MOSQUITO NEO (税別\4,050,000.) http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/oto/oto54.html -*-*-*-*-*-*-*-*-*- 多数のご来店が予想される日曜日、朝一のメールの返信を処理してからいそいそと 試聴室に入った。 最初に何を聴こうかと考えて直感したのが前回のC-1000fの評価で気になったポイ ントを残していたオーケストラから、ということで定番のマーラー交響曲第一番 「巨人」小澤征爾/ボストン交響楽団で第二楽章をかけてみたのだが…。 「あー!! ほぐれてる!! 弦楽器が!!」 この第一印象は強烈だった!! オーケストラにおける弦楽器群はスピーカーの左右 に分かれすぎてはいけない。ステージでも指揮者を中心にしてステージの両翼まで 弦楽器奏者が並んでいるのが普通であり、左右スピーカーの中間定位で空間に弦楽 器が並んでいなくてはいけない。これがスピーカーの軸上だけに固まってしまう 再生音を良く耳にするが、それではいけない。 スピーカーの音源位置ではなく、その中間に定位してこそオーケストラの醍醐味が 感じられるものであり、それを私は“ほぐれている”という表現で言葉にしている。 オーケストラの中で最も多い弦楽器奏者は一群となって固まって聴こえるのでなく ステージの幅に沿って多数の奏者の存在感を空間に並べて欲しいものだ。それが 私の判定の第一段階であり、この第一声でC-1000f & B-1000fは見事にそれをクリ ヤーしていることがわかった!! これは素晴らしい!! 次にその弦楽器の質感に大きな魅力があることが聴き進むうちにわかってくる。 国産アンプに昔から言われてきた“平面的で無機質な表現”という感じがないのだ。 しなやかという単語を二乗して書き足したい欲求に駆られるほどしっとりと滑らか であり、その証拠は金管と木管を問わず管楽器のフォルテで刺激成分が皆無であり 爽快に響き渡る演奏によってオーケストラの基盤を支えるクォリティーがあること を実感として伝えてくるではないか。いやいや、恐れ入った!! ここで古きLUXの真空管アンプの思い出を引き合いに出すのははばかられるが、 このパワーにして、この質感を両立させるとはさすがだ!! と言わざるを得ない!! 解像度という輪郭表現の近代化に楽音の質感をマイルドに聴かせるという芸当を C-1000f & B-1000fのペアは実現したということだろうか!! この質感と解像度の調和という私のチェックポイントは異なるメーカーのプリと パワーアンプでは微妙なずれがあるのか、どうしても私には納得できないところだ。 しかし、今回のC-1000f & B-1000fではため息と共に、その不安要素が私から抜け て行くのが自分でもわかる。 安心して身をゆだねたい心境にしてくれるアンプは少ない!! 中高域の楽音が空間で程よくブレンドされながらNEOというスピーカーの存在感と ESOTERICのフロントエンドの優秀さを改めて私に実感させている時に、同時に私は 今まで同じ曲を数え切れないくらいに聴いてきた記憶との比較から、コントラバス の表現が以前とは異なっていることに気が付く!! これは何だ!! 冒頭の弦楽器が多彩なレイヤーを積み重ねるアルコの連続で、バスの重厚さと余韻 感が私の記憶にないレベルで充実しているではないか!?いや、これは量的なもので はなく質的なものだ。つまり、トーンコントロールでバスをブーストアップしたと いう低次元のものではないのだ。重く深く沈みこむコントラバスのアルコは、その 余韻感の上澄みとして、ホールエコーをNEOの周囲に空気を染色し、まるで目に見 える響きの残像のように私の眼前でゆったりと漂っていくのである。これは凄い!! -*-*-*-*-*-*-*-*-*- オーケストラのチェックポイントを観察する過程で気が付いた低域の充実感。 これは他の曲でもチェックしなければと数曲のヴォーカルを立て続けにかけた。 元 ちとせ 「春のかたみ」 http://www.office-augusta.com/hajime/information_hajime.html 一青窈 「もらい泣き」 http://columbia.jp/~hitoto/disc_al.html 優秀なスタジオワークは本当にアーチストを支えているという典型的な見本のよう なJ-POPが多数あるが、この二曲を今までNEOで何回聴いたことか。その記憶との 比較を次に進めていくが、本当に私は胸の中でジーン!!と感じるものがあった。 NEOはビスを一切使用しないユニークなマウント方式で二個のウーファーを搭載し ているが、そのスピード感と高速反応は聴く人の誰もが認めるところである。 そのNEOのウーファーの後ろに3000ccの大型エンジンのピストンが直付けされたの ではないかと思えるほどの強力な制動力を感じるのだ!! これは単純に言えば低音楽器の反応が大変高速であり、それが立ち上がりの早さと 立ち下りのブレーキの効き方が常識の枠を外れるほどのタイトな引き締まった音質 をもたらしているということだ。キックドラムの連打の切れ味はもちろんだが、 それと対象的に距離感を持って録音されたエコー感を含んだ雄大なパーカッション がきちんと鳴らし分けされているという見事さ。 録音の情報として低音楽器の打撃音はここで終わっているということを正確にNEO に伝えるので、それ以上の余分な尾を引く低域の残響を出すことはない。しかし、 録音の上でエコー感を施した打音はまだまだ余韻感を滞空させて響かせてくれ、と いう欲求を完全に満たした制動感を持っているのである。 これには驚いた!! なぜかと言うと、B-1000fのみを他社のプリアンプで試聴した時には、これほどの ドライブ感、制動感、スピード感をNEOのウーファーで感じたことはなかった!! これこそ同一設計者による純正ペアの完成度の追求という結果なのだろう!! 1+1が2ではなく、私には4.5くらいに評価できる驚きであった。これは凄い!! -*-*-*-*-*-*-*-*-*- オーケストラによる弦楽器の質感の素晴らしさ、そこから低域の物凄い制動感とい う常識では相反するような項目を事も無げにこなしてしまったC-1000f & B-1000f において私が最後にチェックしたいのが余韻感の保存性というポイントだった。 ここでも定番となっているディスクは複数をかけて自分の記憶を思い起こしながら C-1000f & B-1000fでの印象と比較していく。上述の二つは言わば前回の試作段階 との比較において印象が先立ったが、この音場感に関係する余韻感の保存性という ポイントはこれまでの記録更新となるほど生易しいものではない。 それだけ私が評価してきた多数のコンポーネント、ケーブルやラック、更に電源の 環境改善などにも関わることであり、以前の私の記憶と評価の合格ラインを超えて くれれば御の字というところだ。 ちなみに今回の試聴では当フロアーのリファレンスである“PLMM”や“PIMM”と いう“PEIP”デバイスの助力は一切受けていない。それは下記のこだわりにも敬意 を評してということからだ。 http://www.luxman.co.jp/product/b-1000f/power.html B-1000fのために新規開発された電源ケーブルJPA-20000をそのままに使用しての 試聴であるということを明言しておくことにする。 さて、余韻感に視線を向けながら試聴を開始したが… 「あっ!! これいい!! 絶対零度の瞬間凍結で保存したエコー感をたった今解凍した ようにみずみずしい余韻感じゃないか!!」 SACDでの選曲でクラシックも、ヴォーカルのシンプルな録音で肉声の響きも、 パーカッションの瞬間的なアタックから放たれるスタジオワークでのリヴァーヴの 鮮明さも、ピアノの打音が空気を揺るがすように消えていくほのかな余韻も、 何と何と!!前回のC-1000f & B-1000fでは決して聴くことが出来なかった情報量と してNEOの向こうから自信に満ちた誇り高い“LUXMAN”が微笑みながら私を見つめ ているような錯覚に陥るほどの実力をいとも簡単に見せ付けてくれるではないか!! 巨体のパワーアンプがこんなデリケートな信号に反応し微小信号をスピーカーまで 届けるためにプリアンプは何をしなければいけないのか!? ここに答えがあった!! -*-*-*-*-*-*-*-*-*- 興奮して試聴室とデスクを往復する私はふと気が付いた!! http://www.luxman.co.jp/product/b-1000f/spec.html ここでのキャッチフレーズ「力強さ」「繊細さ」「豊かさ」の三つの言葉だ。 正直に申し上げて私はこの三つの単語を今までどうしてもB-1000fの開発意図、 あるいはセールスポイントとして関連付けることは出来なかった。 ありていに言えば、B-1000f単体で評価しようとしても、これらの単語を製品の イメージとして重ね合わせることは出来なかった。いや、失礼ながら誇大妄想か 自信過剰の広告演出と半分思っていたかもしれない。(失礼しました(^^ゞ) しかし、今までここで聴いてきたB-1000fは物体としてB-1000fであっても音質と しては設計通りの目標を実現したB-1000fではなかったということだ!! 今日ここで私が聴いたB-1000fは、過去の記憶と評価によるB-1000fとは別物である。 いや、私にとってはB-1000fは今年、この日に誕生した新製品と思われてならない。 そのB-1000fとペアを解除してはならないのがC-1000fという存在なのだ!! -*-*-*-*-*-*-*-*-*- 日頃の営業活動の中でお客様から色々な問い合わせを頂きますが、「あれとこれと どっちがいいの?」という短絡的な質問を受けることが良くある。しかし、私は そのような問い合わせには明確な製品の特定という答えは出さないことにしている。 価格や音質をチェックはするが、ハイエンドオーディオの世界ではユーザーの存在 があってこそ、ユーザーの好みに立脚して発想し、ユーザーの感性を知ることと ユーザーが自分の好みを自己発見することで始めて答えが出るものだ。 そのためには何が必要か!? 高品位なデモで製品の能力と魅力が高い次元で実演できること、これに尽きる!! 私がしなければいけないことは商品のランク付けではない。 各製品が売るべき品質でユーザーの前で適切な判断方法で公平な選択が出来る環境 を用意することである。 新世代“LUXMAN”はC-1000f & B-1000fというペアでこそ本領発揮するものであり、 私はその鉄則を自分で選択し実行していくことにしよう!! B-1000fには一年待ってもらったが、C-1000fという伴侶が現れて初めて私はその気 になった!! 「力強さ」「繊細さ」「豊かさ」この意味で試聴で皆様に理解して頂ける準備が やっと整ったということで今回のレポートを締めくくります。 この続きと確認は今後の試聴によって皆様にジャッジして頂きたい!! |
このページはダイナフォーファイブ(5555):川又が担当しています。 | |
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