発行元 株式会社ダイナミックオーディオ
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H.A.L.担当 川又利明




2006年3月16日
No.413 「One point impression⇒脅威の進化 HALCRO dm88が凄い!!」
“エフコン”の開催を狙ってではないかと思ってしまうスケジュールでdm88が3/10
に持ち込まれ、3/13には輸入元が引き上げてしまうという予定で、わずか三日の
滞在期間だが私は久しぶりに新製品のアンプで感動の一時を楽しむことが出来た。


       ◇HALCRO dm68 vs dm88 徹底比較試聴システム◇

ESOTERIC G-0s(税別\1,200,000.)*Rubidiumオンリー
http://www.teac.co.jp/av/esoteric/g0_g0s.html
      ↓
7N-DA6100 BNC(Wordsync)×3本
http://www.teac.co.jp/av/esoteric/mexcel/
      ↓
ESOTERIC P-01 (税別\2,200,000.)
http://www.teac.co.jp/av/esoteric/p01_d01/
      ↓
ESOTERIC 7N-DA6300 MEXCEL RCA 1.0m
http://www.teac.co.jp/av/esoteric/mexcel/
      ↓
ESOTERIC D-01(税別\2,200,000.)
http://www.teac.co.jp/av/esoteric/p01_d01/
      ↓
HALCRO dm8(税別\2,200,000.)
http://www.harman-japan.co.jp/products/halcro/dm8_10.htm
      ↓
ESOTERIC 7N-DA6100 MEXCEL RCA 7.0m
http://www.teac.co.jp/av/esoteric/mexcel/
      ↓
HALCRO dm68 ×2 (税別\5,500,000.) vs HALCRO dm88 ×2 (税別\7,600,000.)
http://www.harman-japan.co.jp/products/halcro/dm38_68.htm#dm68
http://www.halcro.com/productsDM88.asp
      ↓
STEALTH Hybrid MLT Speaker Cable 5.0m H.A.L.'s Special Version
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/290.html
      ↓
 MOSQUITO NEO
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/oto/oto54.html

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今回はあまり時間が無いということもあり、複数のポイントを聞き分けたいという
ことからも新鮮な選曲で何回も聞き比べた。使用したのはこれだ。
元 ちとせ 「春のかたみ」
http://www.office-augusta.com/hajime/information_hajime.html

上記のシステムで今回は最初にdm88にて一度聴き、次にパワーアンプのみをdm68に
切り替えて同じ曲を最後まで聴き、その後で再度dm88に戻して試聴するということ
で一曲を最後まで通しで比較試聴した。

作詞・作曲 松任谷由実、 プロデュースを松任谷正隆が担当したというポイントが
この曲の斬新さに大きく関わっているのだろう。

イントロではかすれた笛のイメージのシンセサイザーが印象的なメロディーを奏で、
パーカッショニストの浜口茂外他の雄大なドラムがその後からラストまでずっと
元 ちとせのヴォーカルの背後で勇壮な打音を響かせている。最初はサンプリング
によるドラムなのかと思っていたら著名なパーカッショニストを起用し、かつスト
リングスも生の楽器を使用するなどプロデュースのこだわりが感じられる。

さあ、この一曲を通じてdm68 vs dm88 という比較で各パートの印象を語ると…!?

           -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

イントロのシンセサイザーは当然人工的に作られた楽音であるはずなのに、ふたつ
のパワーアンプによる違いを冒頭から鮮明に聴かせる。dm88では本物の横笛がスタ
ジオでまず鮮明な生音が収録され、それを時間をかけて2chのスピーカーから再生
させるときに入念なスタジオワークでリヴァーブを加えたように、人工的なはずの
息吹きのかすれ方、風を切るようなスピード感のリアルさ、そして音源のフォー
カスの表現が段違いに鮮明になる。たった数秒間で勝負の先が見通せるような格差
を見せるつけるのだから参ってしまった!!

その後に堂々としたドラムが登場するのだが、これはマスタリングの段階で低域の
エネルギーの広がり方を調整したのだろうが、心地よい温度感と重量感がNEOの4個
のウーファーから血の通ったような浜口茂外他のドラムが叩き出される。

この低域のエネルギーを時間軸と音像の両方を圧縮したように聴かせるdm88の進化
は何ということだろうか!! 一度これを聴いてしまうとdm68で昨日まで評価してい
た低域のドライバビリティーの素晴らしさはあっという間に消失してしまったのだ。
高速反応するNEOの低域だからこそ瞬時にしてわかる違いだろうが、まったく同じ
外観とサイズにして搭載したエンジンが倍の排気量になったようにぐいぐいとNEO
のウーファーを締め上げるような輪郭表現だ。しかし、そこに緊張感と危うさを
まったく感じさせない安定感が本物の実力と言わんばかりに、豪壮なドラムをこと
もなげに空間に叩き出す!! 恐れ入った!!

さあ、元 ちとせのヴォーカルがきた!!

「あっ、ここだ!! 」

スクープ写真をゲットしたパパラッチの心境ではないが、ヴォーカルの音像が集約
して表面積を60%位に縮小させ、その代わりにしつこすぎないエコー感を施した
伸びのある元 ちとせの声がNEOの中央から上昇気流に乗って余韻感を吹き上げる
ように拡散していく爽快さが素晴らしい!!

重厚なドラムが終始この曲の底辺を支えながら随所にギターや弦楽器というアコー
スティックなバックが潤いを提供してくれる。もちろん、ここにもフロントエンド
の最上流にあるMaster Clock Generatorを純粋なRubidiumだけの動作として情報量
を確保している有様が見て取れるが、それを受け取ってスピーカーを駆動する
パワーアンプの能力で実に大きな変化が感じられるものだ。

質感と空間表現という近代のハイエンドオーディオに求められるパラメータの各々
に対して、dm88の進化が超低歪という同社の設計思想をいかんなく発揮させている。

堂々とした低域の量感と重量感を共存させながらも輪郭表現が更に鮮明になるとい
うことは、スピーカーの低域をどれだけコントロールしているかという証であり、
ヴォーカルの純度を高めるようなフォーカス感の向上がバックの伴奏との前後感を
自然に引き立たせる。そのヴォーカルが生きている証として、エコー感の滞空時間
が前作のdm68に比較して広大な空間に漂って流れていく描写力が素晴らしく、録音
信号の忠実な再現性として微小信号の保存性を自然な形容詞で語りかけてくれる。

数曲の数秒間を何十回も繰り返して試聴するようなコンポーネントのチェック方法
もあるが、一曲すべてを聴きながら自分の情緒感をdm88がどう刺激してくれるのか
に着目しながら検証するという体験は久々に楽しめる仕事だった。

パワーの大きさ、筐体の大きさ、電源部の大きさ、何かというとバリューを気にし
て印象が決まるパワーアンプの音質評価において、今回のdm88は何という異端児だ
うか!! 重厚長大の潮流に流されるパワーアンプの設計に一石を投じるパフォーマ
ンスと、未だ未体験だった新発想の設計が同じ容積を持つ製品として画期的な進化
をしたということをくっきりと私の記憶に刻み付けた演奏だった!!

「dm88、それは各論で他社比較することを笑い飛ばしてくれる堂々たる自信が聴く
 人を魅了することだろう!!まさにパワーアンプのデザインを同一としながらも、
 その中に封じ込めた技術力によってハイエンドシーンに新風を吹き込むデビュー
 を飾ったと言える!!」

と、私は独り言をつぶやきながら、大言壮語のスペックよりも内面での進化を同じ
デザインで主張するdm88を大人のアンプとして、また玄人好みのアンプとして今後
も皆様に紹介していきたいと思う。まさに磨き上げられた音、dm88に拍手を贈る!!


このページはダイナフォーファイブ(5555):川又が担当しています。
担当川又 TEL:(03)3253−5555 FAX:(03)3253−5556
E−mail:kawamata@dynamicaudio.jp
お店の場所はココの(5)です。お気軽に遊びに来てください!!

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