発行元 株式会社ダイナミックオーディオ 〒101-0021 東京都千代田区外神田3-1-18 ダイナ5555 TEL:(03)3253−5555 FAX:(03)3253−5556 H.A.L.担当 川又利明 |
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先ずはこのMEXCELシリーズとはどのようなケーブルなのか。これをはじめて体験 したときのレポートは下記に述べている。 http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/273.html そして、この中でもMEXCELシリーズの導体としての特徴を簡単に解説しているのが これであろう。 http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/pdf/040224/esocable-ja.pdf これを1ページずつぱらぱらのめくって頂ければ、オーディオケーブルにおける 課題とESOTERICが到達した答えが導体の素材と構造の両面でご理解頂けるのでは と思う。しかし、昨年の春に発売されたMEXCELシリーズでは7N-DA6000 MEXCEL/ 7N-DA6100 という上位モデルにバランスケーブルはなかった。 下位モデルの7N-A2500 MEXCELのみにバランスケーブルがあるのみで、私は本当に 頂点を極めるケーブルを目指すのであればアナログインターコネクトもデジタルも バランスケーブルを仕上げて欲しいものだと熱望していたのである。 それが2005年の夏にとうとう発表された。 http://www.teac.co.jp/av/esoteric/mexcel/6300.html 既にかなり以前からESOTERICのwebサイトには掲載され、その前にも実物のサンプ ルが持ち込まれていたのだが、新製品ラッシュでついつい私も本格的に試聴する 機会がのびのびになってしまっていたものだった。 -*-*-*-*- ESOTERIC MEXCEL新シリーズの検証システム -*-*-*-*- ESOTERIC G-0s ■8N-PC8100 ↓ 7N-DA6100 BNC(Wordsync)×3本 ↓ ESOTERIC P-01 ■8N-PC8100 ↓ ESOTERIC 7N-DA6300 MEXCEL AES/EBU 1.0m ×2 vs ESOTERIC 7N-A2500 MEXCEL AES/EBU 1.0m ×2 ↓ ESOTERIC D-01 ■8N-PC8100 ↓ ESOTERIC 7N-DA6300 MEXCEL XLR 1.0m ×2 vs ESOTERIC 7N-A2500 MEXCEL XLR 1.0m ×2 ↓ KRELL Evolusion Two■PAD AC DOMINUS×2 ↓ KRELL CAST ケーブル 10.0m ↓ KRELL Evolusion One ↓ TRANSPARENT OPUS MM Speaker Cable 2.4m *税別 410万円 http://www.axiss.co.jp/whatsnew_transOPUS.html ↓ KRELL LAT-1000 -*-*-*-*-*-*-*-*-*- 私は本格的で正確なケーブルの検証にはすべてを同一メーカーで統一して試聴する ということが理想的だとは考えているのだが、今回のような新製品の場合には中々 その条件を満たすことが難しい。ましてや、ここの試聴室では長いインターコネク トケーブルがプリとパワー間で必要になるため、よほどのことがないとすべての ケーブルを一社に統一することが難しいものだ。 そこで、今回は上記のようにプリとパワー間についてはKRELL独自の電流伝送方式 であるCASTの専用ケーブルを使用することにより、その部分の中立さを確立させる と共に、アンプ設計者が理想とする伝送方式で他社ケーブルの質感が混じらないよ うに配慮した。そして、MEXCELシリーズの特徴でもある、デジタル・アナログ両方 に使用できるケーブルということで、P-01からD-01へのデジタル伝送とD-01から プリアンプまでのアナログインターコネクトの両方を同時に切り替えるということ で単純で正確な比較をしようと考えたものだ。なぜ、それでよいのかは下記を↓ http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/300.html 下記はアナログとデジタル両方を7N-A2500にして最初に試聴し、後に同様に両方と もに7N-DA6300に切り替えた場合の音質変化について印象を述べたものだ。 -*-*-*-*-*-*-*-*-*- ケーブルの伝送帯域は聴覚ではどのように違って聴こえるのか、またスペックだけ ではなく耳での判定ということで高域の情報量確保に有利なSACDからまったく好対 照な二枚のディスクを選択した。最初はこれだ。 http://www.universal-music.co.jp/classics/artist/akiko-suwanai/ 諏訪内晶子/詩 曲(ポエム)より3トラック目の3. ラロ:ギター 作品28 ここには何枚も諏訪内晶子のディスクがあるが、オーケストラをバックに迫力も あり情熱的に演奏される選曲もさることながら、このディスクではヴァイオリンの ソロがいかに背後のオーケストラから浮かび上がった存在感を聴かせるか、そして 背景にちりばめられた脇役としてのオーケストラの佇まいをどのように聴かせるの か、最近のテストには欠かせない一枚となっているものだ。 流麗としか言いようのない諏訪内のソロは滑らかなアルコを繰り返し、その背後で はコントラバスとヴァイオリンがピッチカートでステージを構成する。特にコント ラバスのピッチカートは力強く、その重量感をたっぷりと蓄えながらもエコー感は ふーっと軽く広がっていく。ピッチカート各々の余韻感が素晴らしいので諏訪内の 背景にオーケストラの存在感を弱音の中から漂わせ、諏訪内の背後には右奥方向に タンバリンが一定のリズムで鳴り響き、それが中空に浮かぶようにスピーカーの背 景に余韻感を漂わせていく。 P-01からのデジタル出力という音楽信号の最も上流に位置する経路と、D-01でアナ ログ化されたシグナルパスのおおもとで7N-A2500を使用しての印象を記憶に焼き付 けていく。今までのMEXCELシリーズでのバランスケーブルというのは、7N-A2500し かなかったわけであり、それを使用しての演奏は何度となく経験してきた。 MEXCELシリーズの音質とはこういうものなのだ、という認識は既に出来上がってい るものであり、何の違和感もなくすんなりと聴き終わってしまった。 7N-A2500を4本使用しているが、税別価格の合計は\720,000.である。それに対して 7N-DA6300を4本ということは税別\1,120,000.ということで、約1.5倍の違いがある。 そして、いよいよ7N-DA6300に差し替える。 しかし、いつも思うのだが、このMEXCELシリーズのコネクターのかっちりした使用 感は本当に素晴らしい。きっちりとソケットに平行に抜き差ししないと中々外れず、 加工精度の高さが思われるものだ。つまり、遊びがないということで、ロックした 後は微動だにしない堅実な結合をしている。これは他社のケーブルではない感触だ。 http://www.teac.co.jp/av/esoteric/conect/index.html さあ、トラック3をスタートさせた!! 冒頭の演奏が始まった直後から、私は最前の7N-A2500での演奏にトレーシングペー パーを上に重ねて比較するように7N-DA6300による再生音をトラッキングしていく。 シャルル・デュトワの指揮でフィルハーモニア管弦楽団がピアノッシモのアルコと ピッチカートを繰り返し打楽器が背後で彩を添える。中でも右手奥の方でタンバリ ンがリズムを刻むのだが、先ず最初に感じたことはSACDの特徴とも言える余韻感の 豊富さと消失までの時間軸の延長が7N-DA6300に変えてから見事に増加していると いうことだ。その結果、ステージに新たな照明が当てられたかのように、あるいは 映画で言えばスクリーン全体の輝度が上がったかのように視野が広くなったようだ。 毎度申し上げるようにケーブル自体が楽音のエコー感を作り出す、というようなこ とはありえない。エコー感という情報はロスすることを防止するだけであり、伝送 経路の過程で増長されるようなことはないのだ。つまり、それを私が余韻感は存続 させるものとして、オーディオシステムの重要な能力評価基準として考えているも のなのである。 そして、諏訪内のソロが始まった。しばらく聞き惚れていると、ふと開放感を感じ るようになった。今まではどこかしらの壁と天井で囲われた空間で演奏していたと いうことが対比としてわかるのである。それは7N-DA6300に変えてからというもの、 締め切っていた窓を全開にしたように、楽音がす〜っとスピーカー周辺に拡散して いく過程において、その余韻感の終端というか消失点が更に開け放たれた窓から風 と一緒に漂い出て行ったようにきれいに空気中に溶け込んでいくからである。 これは言い換えれば、空間表現のスケールが見事に拡大したということだろう!! フィルハーモニア管弦楽団の弦楽器群の穏やかなピッチカート、打楽器、タンバリ ンなどもすべての余韻感の広がる空間の大きさを倍増させるという芸当を見せてく れた。コンポーネントには中々出来ない方向性でのアップグレードだが、本来の ケーブルが果たしうるロスのない伝送の貢献とはこういうものかもしれない。 今までやむを得ずMEXCELシリーズでのバランス伝送では7N-A2500を使用してきたも のだが、今回の比較では圧倒的な情報量の拡大が確認された。これは捨て置けない。 -*-*-*-*-*-*-*-*-*- さて、なぜかここにはマイケル・ジャクソンの「Thriller」がSACDで用意してある。 先日もKRELLシステムでは爽快な演奏を楽しんだものだが、CDが世に登場する4年前 に録音された「Thriller」を再度聴きなおすことにした。テストの方法は前回同様 に7N-A2500を先に聴き、次に7N-DA6300に切り替えてという順番である。 「Human Nature」ではパーカッションの名手、ウェザーリポートでも活躍していた ポリーニョ・ダ・コスタが左右のスピーカーの空間一般に広がるようにシェイカー の音がちりばめられているのだが、これが何とも大きく変化しているではないか!! これは参考まで↓ http://www.gakki.com/shop3/latin_percussion.html 金属の缶に粗い砂粒を入れたものを文字通り手でシェイクする単純な楽器なのだが 「シャカ、シャカ」という音で聞き覚えがあると思われる。音程としては高いもの であり、恐らくはスタジオワークで加工されているのかも知れないが、この高音を 発する小さな楽器の音色が俄然明るくなっているではないか。この音色の違いは 10人中10人がすべてわかるほどの顕著なものであった。 気がつけばマイケルのヴォーカルの質感も滑らかになっているし、シンセサイザー の高音部の切れ味も良くなっている。しかし、それらの楽音に刺激成分はまったく 感じられず、ここにも開放感につながるエコー感の豊かさが感じられるではないか。 当然スタジオワークとマスタリングで微妙なリヴァーブを施されてお化粧された音 なのだろうが、単純にポップスを楽しみたいという手合いでもこの変化には誰でも が気がつくはずだ。華やかにちりばめられた楽音のエコー成分だけをトリミングし てチェックしていた私は思わず笑い出してしまった。それほど露骨な変化がケーブ ルで、しかも同じメーカーの新旧比較で現れようとは思ってもいなかった。 -*-*-*-*-*-*-*-*-*- 国産の高級ケーブルとして位置づけられたMEXCELシリーズに、あえて弱点があると すればバランスケーブルでの選択肢が7N-A2500しかないということであった。 そして、それは私のメインシステムをセッティングするときにはPADやStelthの グレードから比較すれば、妥協という印象を抱きながら使用してきたものだったが、 今回の7N-DA6300では拍手喝采の実力を見せてくれたのである。 これだったら海外のハイエンドケーブルと十二分に伍していけるものだろう。 そして、そこで大切なのはテイストとして海外メーカーとは違った緻密さを表現 することが出来るバランスケーブルの登場と言うことを断言できるのである。 これはMEXCELシリーズでの7N-DA6100を採用されてきた皆様にとって大いなるライ バルの出現を見せるものであり、国内メーカーのケーブルがここまで来たのかと いう高いパフォーマンスの到達点を確認したものだった。さあ、これを誰に聴いて 頂こうか!! ここからがまた私の仕事の面白いところである。 この後、ハルズサークルにどのような企画が発信されたのか!? 皆様もぜひご入会下さい。 |
このページはダイナフォーファイブ(5555):川又が担当しています。 | |
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担当川又 |
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