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H.A.L.担当 川又利明


2005年4月2日
No.341 「小型スピーカーの常識ってなんだったの!? 驚きのMagicoのマジック!!」
No.1063で予告していたMAGICO, LLC “Mini”の試聴機が本日入りました。
http://www.electori.co.jp/magico.html
下記はメーカーへのリンクです。
http://www.magico.net/

そもそも私がBlief Newsで速報として皆様にお知らせしたい事実とは何か?
当然それは試聴して感動したからに他なりません。(^^ゞ

商品としての紹介はステレオサウンド誌や上記のwebにありますので重複は避けたい
と思いますが、“Mini”というネーミングの割には実物は堂々とした姿です。

私のフロアーではどうしても場所柄というかコンセプトからも大型フロアースタン
ディング・スピーカーが主流となっていますが、決して小さいスピーカーを軽視す
る事も否定しているということもありません。その時折に私が目を付けて気に入っ
たものは適宜取り上げてきました。

私の記憶では11年前のSonusfaber、Guarneri Homageが、そして8年前のGOLDMUND
EPILOGUE 1 が私が推選できる小型スピーカーの最有力モデルでした。

しかし、今日はこれらに勝るとも劣らない素晴らしい小型スピーカーにめぐり合い
ました。簡単ではありますが、速報として私のインプレッションをお送り致します。


  -*-*-*-*- MAGICO“Mini”第一段階のリファレンスシステム -*-*-*-*-

 ESOTERIC G-0s ■8N-PC8100■    
     ↓
 7N-DA6100 BNC(Wordsync)×3本
      ↓
 ESOTERIC P-01 ■8N-PC8100■
      ↓
 PAD DIGITAL YEMANJA XLR 1.0m ×2 (税別価格\588,000.×2)
      ↓
 ESOTERIC D-01 ■8N-PC8100■
      ↓  
 PAD YEMANJA XLR 1.0m  (税別価格\1,480,000.)
      ↓   
 Chord  CPA 4000E(税別価格\1,620,000.)■ESOTERIC 8N-PC8100■
      ↓  
 PAD YEMANJA XLR 3.0m  (税別価格\1,800,000.)
      ↓  
 Chord  SPM 14000(税別価格\8,000,000.)
     ↓  
 PAD YEMANJA BI-WIRE SPK 5.0m  (税別価格\6,670,000.)*シングルで使用
     ↓
 MAGICO“Mini”(税別価格\2,800,000.)

               -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

なんだ〜、いつものシステムか〜(^^ゞ ということで、まずは単純にいつもNEOを
演奏しているシステムにつないで聴き始めました。最初はこの一曲です。

これがダメだったら後は聴く気がしなくなってしまうほどのスタンダードになって
しまった小澤征爾とボストン交響楽団によるマーラーの交響曲第一番「巨人」から
第二楽章を選曲し、新たにセンターポジションを決めて席に着きました。すると!?

「おおー!! この音の数の多さはなんなんだ!!」

と、第一印象からして素晴らしい演奏に驚いてしまいました。音の数という表現を
していますが、これは情報量という言葉に置き換えても良いでしょう。

オーケストラの楽音ひとつひとつの解像度が極めて素晴らしく、その質感も明るく
開放的であり、余韻感も素晴らしいものがあります。能率は87dBですから決して高
い方ではないのですが、この“Mini”の発する音場感は只者ではありません。

スキャンスピークのトゥイーターはKRELL  LAT-1やStradivari Homageでも採用され
ており、独特の形状のフェイズプラグが印象的なリングラジエーターです。ただし
このリングラジエーターのコア材はソフトドームに用いられるものと同様の素材で
ありシルク・コアのダイヤフラムとなっています。“Mini”の高域特性は40KHzまで
伸びていますが、この最高域40KHzでの波長は0.85センチという大変短いものであ
り、
この半波長では0.425センチとなります。このような大変に細かい波長を再生すると
きにはダイヤフラムが単純なドーム型であると、そのドームの頂点と外周での高低
差から位置的なずれが発生し、細かい波長の位相がずれてしまい歪みの原因ともな
ってしまいます。それを回避するためのリングラジエーターという振動面積に高低
差を持たない形状と、鋭くとがったフェイズプラグにて位相を整えているものです。

“Mini”の素晴らしい音場感が、このトゥイーターの貢献だけにあるとは言い切れ
ませんが、余韻感の最後の一滴までを微小な再生音として出力していることが直ち
にわかりました。スピーカーのボディーの大小は問わず、このような豊富な色彩感
の楽音と広大な音場感を鳴らし始めた直後から聴かせてくれるのですから只者では
ありません!!

次に私が選曲したのは…!?

http://www.kkv.no/
kirkelig Kulturverksted(シルケリグ・クルチュールヴェルクスタ)
・Thirty Years’Fidelity より
7. Som en storm/Ole Paus/Oslo Kammerkor/Det begynner a bli et liv....(1998)
10 Mitt hjerte alltid vanker/Rim Banna/Skruk/Krybberom (2003)
http://www.kkv.no/musikk_klubb/tekster/285_fidelity.htm

この二曲で共通するのは豊かな音場感の中に展開するコーラスなのですが、7.Trの
冒頭からして“Mini”の周囲にオーラか立ち上るようにエコー感が広がり、ギター
の質感に心地良い緊張感を伴って登場するとOle PausのVoiceがセンターに浮かびま
す。このVoiceの質感は、優に二倍の価格となるここでの常設スピーカーたちと比較
してみてもまったく見劣りしないどころか、ボディーが小さい分だけポッカリと
空間に浮かぶのです。しかも、声質としてはバリトンのVoiceが実に低い音階として
感じられるのですが、声の周波数が低くなってもバッフル効果によるふくらみが無
いので、信じられないくらいに透明感のある声なのです。これはいいです!!

10.TrではRIM BANNAのソロ・ヴォーカルが始まったときに直ちに感じられたことが
コーラスが始まったときに実感として確認できました。それは“Mini”の周囲から
後方にかけて、正確に言えば“Mini”のトゥイーターよりも上の方向への音場感の
拡散が実に素晴らしく広大な余韻感を発生しているということです。記録されてい
る余韻感としての信号レベルは時間の経過とともに低下していくわけですが、その
微小な空気感とも言えるエコー感の滞空時間が極めて長く捉えられているのです。

低域の絶対量は当然フロアー型スピーカーの方が優位なのは承知の上ですが、それ
を敢えて見捨てたとしても余りある魅力が“Mini”にはあります!! 本当に(^^ゞ

               -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

さて、次のステップで私なりに“Mini”を鳴らすシステムとしてコーディネイトを
してみることにしました。

  -*-*-*-*- MAGICO“Mini”第二段階のリファレンスシステム -*-*-*-*-

 Burmester 948 Power-Conditioner
 http://www.noahcorporation.com/burmester/p_c948.html
以降の各コンポーネントに電源供給
   ↓
 Burmester 969 CD Transport
 http://www.noahcorporation.com/burmester/cd969.html
      ↓
 NORDOST Valhalla AES/EBU DIGITAL Cable
 http://www.conductcompany.com/nordost/valhalla_d.html
      ↓
 Burmester 970 SRC D/A Converter
 http://www.noahcorporation.com/burmester/da970.html
      ↓
STEALTH  H.A.L.'s Special Version Indra RCA  Interconnect Cable
 http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/315.html
 http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/op-pho/indra_hal.html
      ↓  
 Burmester  808 Mk5   Pre-Amp
 http://www.noahcorporation.com/burmester/pre808.html
      ↓   
 NORDOST Valhalla XLR Interconnect Cable
 http://www.conductcompany.com/nordost/valhalla_i.html
      ↓  
 Burmester  911 Mk2   Power-Amp
 http://www.noahcorporation.com/burmester/power911.html
      ↓  
 NORDOST Valhalla Speaker Cable
 http://www.conductcompany.com/nordost/valhalla_s.html
     ↓  
 MAGICO“Mini”(税別価格\2,800,000.)
 http://www.electori.co.jp/magico.html

               -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

私はしばらくの間聴いていて、更に MAGICO“Mini”にふさわしい組み合わせはない
だろうかと考え始めていました。第一段階では直前まで使用していたシステムに単
純につなげてみましたが、聞き進むにつれてもうちょっと…という欲張りな発想が
浮かんできたのです。もちろん第一段階のシステムが物足りないということではあ
りません。(笑)どうぞ誤解なきように(^^ゞ

スタジオでの採用が大きな実績となっているChordのアンプに超強力なフロントエン
ドとしてのESOTERICという布陣には何の不満や疑問があるわけではありません。

しかし、 MAGICO“Mini”というボディーサイズを、ここにある他のスピーカーたち
と比べたら当然低域の量感が違うのは仕方のないことです。それを補うという発想
で、情報量をそのままにして楽音のテンションにわずかなクッション性を加える事
で高域の緊張感を緩和する方向でチューニングしたいと考えたからです。

輝くデザインが目を引くBurmesterのコンポーネントは視覚的なイメージとは逆に
高域の眩しさを抑え、ギラギラした高域の質感を情報量を削らずに滑らかな質感に
してくれるという特徴があるのです。そして、それにはNORDOST Valhallaシリーズ
とSTEALTHのH.A.L.特注 Indra RCA Cableが質感の調和として大きな貢献をしてくれ
ました。同時にスピーカーのリプレースメントもやり直して、第二段階の試聴へと
進みます。さあ、どうでしょうか!!

               -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

左右のMAGICO“Mini”のトゥイーターの間隔で2.4メートル、私の耳からトゥイー
ターまでは約2.8メートルと普段のセッティングよりぐっとコンパクトにして、多少
ボリュームを控えめにしてマーラーから再度聴き始めました。すると…!?

「おー!! ドンぴしゃり!! 狙い通りだ!!」

そうなのです。弦楽器の質感にまずそれは表れました。その質感はほぐれながら情
報量は損なうことなくしなやかになり、でもトライアングルの余韻感は見事な鮮度
で空間に漂っていきます。しかも、眩しくない高域であり私が予想した通りの展開
となってきました。

続いて注目したのは木管楽器と金管楽器の振る舞いなのですが、これがデフォルメ
さることもなくトランペットの響き優雅さを加え、クラリネットのリードにも潤い
を与えることに成功しました。いえいえ、それまでの組み合わせが決して合わない
ということではなく、セッティングをコンパクトにして距離を縮め、低域の量感を
ボリュームを絞っても維持し、高域とのバランスをちょっぴり変更したかったとい
う私の思惑に一致した喜びです。どうぞ誤解なきようにお願いします。(^^ゞ

Burmesterのコンポーネントと新しいケーブルたちのコーディネイトが更に“Mini”
の表現力を魅力的にメークアップしたということでしょう!! これはいい!!

               -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

Thirty Years’Fidelityでのコーラスでも面白い展開がありました。
Burmester 948 Power-Conditionerのオンオフ・スイッチに反応して、ヴォーカルの
フォーカスが引き締まり、同時にエコー感の拡散する空間が広くなり、何とも空間
表現を得意としスピーカーの存在感を消し去るという小型スピーカーの特徴を上手
く引き出してくれました。

Ole PausのVoiceなどは面白いように音像の輪郭がはっきりし、試聴距離を縮めたこ
とが良い方向で音像の質感を高め、コンポーネントとケーブルのチョイスを肯定的
に聴かせてくれました。そして、それがもっと大きく貢献したのがkkvのディスク
でのコーラスです。この演奏は本当に色々なシステムで試聴して来ましたが、これ
ほどスピーカーの背後にビジュアル的に見事なコーラスを展開させたものはありま
せんでした。

それはRIM BANNAのソロ・ヴォーカルとの対比にあるもので、彼女の口元のサイズは
小型化するのに余韻感の放射空間が拡大するということ、それに反してMAGICO
“Mini”の背後にある空気を楽音のキャンバスとして広げる余韻感の情報量がセッ
ティングの変更で際立ってきたということです。

つまり歌手の口という圧縮したい音像と、漂う余韻感をどこまでも広げていきたい
という相反するような再現性がMAGICO“Mini”の魅力としてセッティングをコンパ
クトにしてから感じられるようになってきたからです。これはいいです。

2.4メートルというスピーカー間隔とリスナーから2.8メートルという距離。
このスケールは皆さんのお部屋でも十分に受け入れられるものではないでしょうか?

               -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

珍しく初日から興奮している私ですが、今夜から徹夜でシステムエンハンサーを回
してバーンインすると明日は更に素晴らしくなっていることでしょう。
そして、それを待ちきれずに皆様にお知らせしたかったという私の心境をご理解
頂ければと思います。

小型スピーカーの魅力とは何でしょうか?

小さいボディーでも大きいスピーカーと同じ低域再生ができるから省スペースで
使いやすい!?

いえいえ、私の常識では大型スピーカーと同じ低域を出すということはありません。

しかし、音源サイズが小さいということは音場展開では有利であり、楽音の質感と
しても今回のシステム変更のようにコントロールしやすいと言うことが大切なのだ
と感じました。つまり、使い手の感性に素直に反応するということです!!

小型でも凄い低音が出るからいいんだ、なんて事はありません。
バッフル効果が小さいということで得られる音場感の素晴らしさ。

小口径ユニットを使用していることでコンポーネントやケーブルなどの変化を機敏
に表現することでユーザーの好みに近付けることが容易だということ。

この二つのポイントが小型スピーカーの魅力であり、私が強調したいことなのです。
これが小型スピーカーの常識ということです!!

28インチの画面が100インチの表現力を持つ逆転劇の感動、これがオーディオの面白
さではないでしょうか!!

               -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

Guarneri Homage…、確かに素晴らしいスピーカーです。
私も数多く販売してきました。

EPILOGUE 1 …、これも大変魅力的なスピーカーです。
私も結構な台数を納品させて頂きました。

しかし、お部屋のサイズやインテリアの制限から、もうこれ以上の小型スピーカー
はないだろうと諦めていた皆様が多かったのではないでしょうか?

いや、小型スピーカーという分野における皆様の探究心に対して私が推奨できる物
が数年間登場してこなかったということなのです。

Guarneri Homageオーナーの皆様、EPILOGUE 1ユーザーの方々、そして他メーカーの
小型スピーカーをご愛用の皆様へ、これを聴かないと後悔するという新しい可能性
を今夜皆様にお知らせ致します。

36センチ×46センチの床面積をMAGICO“Mini”のために用意して頂ければ幸いです。

最後に一言!!

MAGICO“Mini”は決してニアフィールド・リスニングという聴き方には制約されま
せん。ここH.A.L.の試聴室(約55畳あります)でも立派に主役を張れる役者です!!


このページはダイナフォーファイブ(5555):川又が担当しています。
担当川又 TEL:(03)3253−5555 FAX:(03)3253−5556
E−mail:kawamata@dynamicaudio.jp
お店の場所はココの(5)です。お気軽に遊びに来てください!!

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