第十五話 「音楽の絵画的鑑賞法による近代スピーカーの進化論」





 1994年6月3日、米国ウィルソンオーディオから大変うれしい予期せぬプレゼン
トが届いた。本国のオーディオ誌にも発表されておらず、ましてや日本のオーディオ誌
にも掲載された事のない新製品である。WATT5とPUPPY5がそれである。後を
見るとWATT5は3215と6、PUPPY5は2815と6というシリアルナンバ
ーが打ち込まれており、これは以前からの同シリーズにおける通し番号になっているよ
うである。「日本人にウケるような音にするから、試作品を聴いて意見を言ってくれ。
」ではなく「こういう素晴らしいものを作ったから、自信を持って日本のユーザーに紹
介してくれ。」という感じであり、れっきとしたプロダクションモデルなのだ。つまり
、このまま販売出来る状態の製品なのである。私の旺盛な好奇心が驚きと感激に変わる
まではほんの数秒間、次第に納得と満足へ変質していくまでには一時間で十分であった
。そもそも、このウィルソンオーディオの頭文字の後に、かわいいおちびさんを意味す
るタイニートットの頭文字を並べたWATTは86年にデビューしており、当時でも大
型パワーアンプで鳴らさないとソプラノが声を張り上げた時などは高域が歪んでしまい
、アンプには贅沢を求めるスピーカーであった。原因は2キロHz(2ウェイのWAT
Tのクロスオーバー周波数は公表されていなが、多分2キロHzがそうだと思う)にお
いて1Ωに落ちこむインピーダンスにあったようだ。ステレオサウンド誌の著名な評論
家であるY氏は「相当にタッチが繊細でハイファイ感に満ちた雰囲気だが、いかにも響
きが細身で神経質な印象を抱いてしまう。どうしても音楽を楽しめないスピーカーに思
える。」と、当時の価格ペアで156万円のWATTを評している。それから2年たっ
た88年、WATT2への改良を受けることとなる。当然インピーンダンスの問題、初
代モデルの高域再生限界が16キロHzだったのに対してトゥイーター振動板の背面処
理を施した上で18キロHzまで拡張、エンクロージャーの仕上げの変更などが行われ
た。ちなみにエンクロージャーの素材はメタクリレートポリマーである。これはセラミ
ック、鉱物粉末をエポキシに混入して固めたものでとにかく硬い。昔のウォールナット
のスピーカーと同じ感覚で、指の関節でコツンと叩こうものなら骨が痛くなる。この硬
質な素材で構成され、わずか30リットル程度のエンクロージャー内部ではウーファー
の背圧は凄まじいものになる。ここに内蔵されるネットワークはアルミのトランクで知
られるハリーバートンに特注し、WATTの内容積の半分を占めるケースに格納し樹脂
で密封されている。内部にはクロスブレーシングが施され、さらにエンクロージャーの
スイートスポットに亜鉛板を配置し徹底した共振対策が施されて、重量は約28kgに
及んでいる。側面に貼付られた板はオプションとして発注の際に装着するかどうかを指
定する事になっている。このサイドパネルはもとはヨットの船体用の素材で、一インチ
当たり18層にも集積をした高密度バーチ材でフィンランド製である。カタログなどで
はWATTにしか取り付けられていないが、特注でPUPPYにも装着することが出来
る。さて、この段階ではWATTが如何に優秀であると言えども低域が不足している感
は否めない。

 そして、90年に専用サブウーファーであるPUPPY(小犬の鳴き声を英語で表現
した命名)が登場する。一二五 でクロスオーバーが設定されたパッシブネットワーク
が内蔵され、一旦PUPPYに入力してからWATTへローカットした信号を送り出す
ことになっている。翌年91年にはWATT3が登場する。PUPPYとのつながりを
良くするためにネットワークに改良を加え、トゥイーターの再生限界が二二キロ まで
拡張された。次いで、92年にはカタログ上でのスペックは変わらずエンクロージャー
のボトムプレートに特殊なセラミック材を用いた補強を施してPUPPY2が登場する
。ウィルソンオーディオからの資料を和訳した輸入元の文献によると、WATTのトゥ
イーターについては「それ自体の振動板がおこすバックウェーブがトゥイーターの振動
板に及ぼす悪影響を排除するため、個別にチューニングされたチューブトラップを付け
徹底した歪対策を行っている。」と言う表記がある。チューブトラップという言葉から
連想したものは、トゥイーターの後方にユニットと同径のパイプを取付け、独自のバッ
クキャビティーを確保し吸音材を盛んに積め込んだものだった。ところが、本体からト
ゥイーターを取り外してみて思わず苦笑いをしてしまったのである。何とWATTのト
ゥイーターには尻尾が付いていたのである。トゥイーター・マグネットのお尻の真中か
ら、ちょうど天狗の鼻のような太さが2cm程度で長さが4cm程度の黒い硬質ゴムの
円柱が接着されているのである。この尻尾の長さは音波の波長から推測すると、8キロ
Hzから20キロHzを超える領域のトラップとして、機械的にそれらの帯域の不要振
動を吸収してしまう仕掛けになっていると思われる。ついでに、内部のクロスブレーシ
ングとは実際にはどのような処置がしてあるのかと覗いて見ると、こんな小さなボディ
ーにはオーバーではないかと思われるほど頑強な補強がなされている。エンクロージャ
ーの素材にメタクリレートという超高硬度の素材を使ったとは言え、ウィルソンは更に
重厚な補強材で各外壁をクロスブレーシングによって連結し強固に固めている。ブレー
シングの意味合いを簡単に言えば、エンクロージャー内部に対するユニットの後面放射
によって、箱自体が息をするように傍聴収縮するような微妙な変化を表している。そし
て、同時にその現象に対する対策をもブレーシングと呼び表しているのである。これら
の構造はWATTの歴代モデルで一貫しているので、象徴的な特徴を捕らえて簡単に説
明すると以上がWATT&PUPPYの変遷ということになる。

 さて、やって来たWATT5とPUPPY5のプロポーションは従来と何ら変わると
ころはない。そこで先ずWATT5前面の粗いスポンジ状のカバーを取り外してみた。
トゥイーターは従来のグラスファイバーの繊維質が見える逆ドーム型のフォーカル製か
ら、グランドスラムX1で採用された同じフォーカル社のチタンダイヤフラムの逆ドー
ム型に変更されている。但し、フォーカル社の自社ブランドであるJMラボの新製品「
アルコア」に搭載されているチタンを芯材とした、くすんだグレーのチオキシドコーテ
ィングではなく光沢のある滑らかな銀色をしている。エッジも従来型の逆ドームの縁を
平らに延長して押さえ込んだような構造ではなく、ごくわずかなロールを形成しており
正確なピストンモーションとゆとりあるストロークが得られるように変更されている。
さて、興味深いのはウーファーである。以前の滑らかな表面仕上げのコーンではなくザ
ラッとしている。一見すると黒く染めたガーゼにわざと皺を寄せて貼り付けたような感
じだ。イタリアのソナース・ファベールがデンマークのダイナオーディオ製のウーファ
ーのコーンに起伏のある、粘土を塗付けたようなコーティングをしているがそれとも違
う。良く観察すると布地の繊維質とは違う、触って見るとザラッと乾いた質感が指先で
感じられる。そこで、ハッとひらめいた。「紙だ!」和紙を透く工程では解きほぐした
パルプの繊維質を、平らに張った細かい目の網のなかに職人芸の鮮やかさで薄くきれい
にすくって乾燥させるわけだ。このパルプ繊維をあまり細かくせずに、掻き混ぜて所々
に盛り上がりを残したままセンターキャップを含めたコーン全体に貼り付けて乾燥させ
た感じだ。その後にまるで墨のような黒い色の固定剤をスプレーして表面を固めたよう
な印象を受ける。大体において、2キロから3キロ 程度にクロスオーバーが設定され
た2ウェイのウーファーに対して、この様な特殊なコーティングが施されるのにはいく
つかの理由がある。まず、フルレンジ的に使用されるウーファーの分割振動を排除する
ための補強として、ウーファーが発生する高調波の指向性を広げ拡散する、ウーファー
の素材がもつ特有な高域の共振(コーンを取り外して糸で吊るし、指ではじいて聞こえ
る音)をダンピングする、最後に振動板の質量を若干多くすることによってユニットの
エフゼロ最低共振周波数を低下させる。なにせ現段階では情報が乏しいので、後からウ
ィルソン氏に違うと言われたら笑い話にすればいいと思っている。実物を見ての私の推
測が、どこまで的中しているかが楽しみである。

 顔の観察はこのくらいにして後を見ると、入力ターミナルがグランドスラムX1と同
じドイツのWBT社製ポール・ターミナル0700に変更されている。ポール先端のバ
ナナ端子はコレクトチャック方式を採用しており、ゴールドムンドのバナナプラグの様
に先端が開いてロックしなくても受ける端子側で絞りこんでロックしてしまうものだ。
また、ポール側面のスクリューロック式の開口部は単線では5.5mmψまで、スペー
ド型Yチップなら幅が15.5mmψまで使用することが出来る。レフレックス・チュ
ーニング・ポートは従来と変化はない。次にPUPPY5は一見して足元の変化に気が
つく。PUPPY2のオプションである、大変太く強靱なスパイクが標準装備となって
いる。前面のユニット構成には変化は見られず、スパイクをアジャストしながら後へ周
り込んでいった。入力とWATTへ信号を送るジャンパーケーブルを接続するターミナ
ルはWATT5同様である。そして、その上に視線をあげていくと思わず声が出た。「
アァッ、やっぱり変えちゃったんだ!」PUPPY2では本体のリアバッフル(背板)
に2cm×6cm、深さ7cm程度の楕円形の穴があいているだけだった。PUPPY
5ではポートの直径8cm、内周にウレタンを貼った円形ダクトが取り付けられている
。しかも、その長さは17cmと、本体の奥行きの半分程度の深さを持っている。はて
、これはどこかで測ったような記憶がある数字だ。そうだ!JBLのK2S5500の
バスレフポートと全くの同寸法ではないか。K2S5500は30cmウーファー2本
に対して、同寸法のバスレフポートを後方に2本装備している。PUPPY5の20c
mウーファー2本に対して1本、なるほどと思わずうなずいてしまう。一般的に言って
、ウーファーをエンクロージャーに納めて、その内容積を一定とした場合、バスレフ・
ポートの開口径面積を小さくしていくとシステムのエフゼロは低下し低音の質感は重く
なる。この最たる物が密閉型エンクロージャーということで、能率と低域のトランジェ
ントやスピード感が犠牲になる傾向がある。次にポートの開口径面積が同じであった場
合には、バスレフ・ダクトの長さ(深さ)が長くなればなるほどシステムのエフゼロは
低下し同様な結果に結び付いていく傾向にある。

 そして、これらの諸条件が逆の方向へ向かえばエフゼロは上昇し、質感は軽くなるが
能率と低域のトランジェントは向上しスピード感が増してくる。この場合にはユニット
の磁気回路を強化したり、振動板やフレームなどの剛性を見直したりして軽い質感の向
上を計っていくわけだ。「なんだ、バスレフの方が良いことずくめじゃないか!」と思
われる方も多いと思うが、実は大変難しい設計が必要になってくる。ポート開口部が狭
い場合に大きな出力を求めると、そのデザインにもよるがポートの近辺で風切り音が発
生しノイズとなり、これが振動板の正確なピストンモーションに音響的な抵抗をもたら
すことで歪の原因ともなりえる。よく、ポートから吹き出す風を感じて、「どうです!
凄いパワーでしょう」といってミニコンポなどを宣伝しているが、はっきり言って間違
いである。LPでもCDでも、あらゆる音楽ソフトにあの様な風を吹かせる信号は入っ
ていない。そもそもバスレフレックス(位相反転型)というのは、振動板の向う側に出
た低音を低域の充実に応用しようという考えである。そのままだと逆相で相殺されてし
まうので箱の中で少しお待ち頂いて、正面から出る音波と待合せをしてもらおうという
ものである。その待合せの場所がバスレフポートというトンネルの出口になるわけだ。
さて、ここで問題がある。ダイヤフラムの振動面積、エンクロージャーの内容積、そし
てこのトンネルの長さと太さによって得られる関係によってエンクロージャーの固有の
共振周波数が発生してくるのである。至極簡単な事例を挙げれば、ビンの口に息を吹き
かけると音がするが、中に入っている水の量によって音程が変わるのは経験のあるとこ
ろだ。完全な密閉型では発生しない低音のピークが、箱に一旦穴を開けてしまうことで
発生してしまう。従ってグランドスラムX1などでは、エンクロージャー後方の大きな
穴は単なるエアー抜きとしての役目だけで、振動板の向う側に放出される音で低域の補
強をしようとは考えられていない。PUPPY5の今回の処置は、この方法論に限りな
く近い発想であると解釈している。更にエンクロージャーの素材にも変化があった。グ
ランドスラムX1で開発されたもので、主原料は石油化学系の樹脂として特殊配合のプ
ラスティックにフェノール樹脂を混合させたものだ。高比重、高剛性のこの素材はダイ
ヤモンド・ブレードによる切削でも一回に0.04mmの深さまでしか切断出来ないた
め、一面の加工には一週間を要するということだ。この素材がPUPPY5ではフロン
トバッフル、トップおよびボトムプレートの三面に採用されている。

 以前この素材でWATTを試作したらあまり思わしくなかったというコメントを伝え
聞いているので、両側面とリアバッフルには使わなかったという理由がこの辺にあるの
かも知れない。(あるいは単純なコスト面の問題かも知れないが?)この素材について
は、昨年の秋デビッド・ウィルソン氏が大場商事の内田常務といっしょに私を尋ねて下
さった事があり、ご自身がデータを持参されて詳しく説明を伺った。そのグラフには横
軸〔x〕には周波数、縦軸〔y〕にはレスポンス、奥行き方向には時間軸〔z〕が配さ
れた3次元振動解析のデータだった。多くのスピーカーメーカーがエンクロージャー素
材として採用しているMDFと、ウィルソンオーディオが新開発した素材を固定しピッ
クアップ・センサーを取り付ける。そこへ糸で吊るした錘を振り子よろしく引っ張って
から放し、固定したテスト素材に与えた衝撃振動を分析したものだった。例えれば、M
DFのグラフの波形は日本アルプスで、新開発素材の方は富士山のような結果になって
いた。つまり、MDFはx軸に対しては振動の中心点の周波数から、2倍、4倍、ある
いは2分の1、4分の1の周波数帯域にも共振が及んでいる。奥行き方向の(z)時間
軸については、MDFは長い尾を引いて日本アルプスの峰々を手前に引き延ばして共振
している周波数の間に谷間を形成している。それに引き換え新素材の方は時間軸に対し
て急俊な減衰特性で、ちょうどピラミッドを縦半分にしたような外形を成している。剛
性に富み内部損失が大きく、大変理想的な素材を開発したものだと関心させられた。鋸
では歯が立たない、ましてやダイヤモンドカッターを使っても、やっと傷が付く程度の
硬度を有する素材を使うなど誰も考えも付かなかった。それにしても、同じ内容量で同
じユニットを使っているのに、なぜこれ程チューニングが変わるのか。これをもとにこ
んなことを考えてみた。WATT3をPUPPY5に載せる、またはWATT5をPU
PPY2に載せる、当然予想される各世代のクロスした組合せについて一つの推論が成
り立つ。昨年のウィルソン氏来訪の際に交わされた色々な話の中に、これらの答えのヒ
ントがあるように思われてならない。

 私が最初に投げかけた質問はこうだった。「WATTの素晴らしさを認めるユーザー
は多いが、PUPPYとのコンビネーションにおいては低域にスピード感の欠如と音像
を絞り込んでいけずふくらんでしまう傾向を指摘するユーザーがある。そのお客様はW
ATTとエンテックのサブウーファーの組合せを評価して購入した。PUPPYの低域
についてのこれらの意見をどう思われますか。」さすがに紳士的なウィルソン氏は穏や
かに、しかも説得力のある話し方でこう答えてくれた。「確かにエンテックのウーファ
ーには認めるべき良さがある。それは40Hz前後の最低音部における十分なレスポン
スだ。しかし、私が設計したPUPPYはWATTとのつながりに肝心な100Hz前
後の位相を正確に合わせてあり、音楽にとって真に大切なものは位相の乱れをなくすこ
とであると考えている。」エンテックはアクティブウーファーでパワーアンプを内蔵し
ており、各周波数帯には独自の位相を所有している。従って、WATTを頭上に搭載し
た場合のように、他のスピーカーがごく至近距離にあると理論的に言って完全なリニア
・フェイズを実現するには相当の技術力を要することになる。もちろん、これらのクロ
スオーバー周波数が100Hz前後ということは、波長が3.4m以上という比較的ゆ
っくりとした位相変化が救いになって聞くに耐えないような状態にはならない。要は正
確な比較試聴によってのユーザーの選択であり、双方共に魅力あるものと判断している
。さて、先に述べたように九一年にWATT3が登場して、すぐ翌年にはPUPPY2
へと追い掛けるようにして改良されていった。

 また、WATT3からWATT5への改良が以前のようにトゥイーターだけに留まら
ず、ウーファーに対しても及んだということは何を意味するのか。そして、ウィルソン
氏は今回の新製品を「システム5」と称し、一体として設計したということを聴き及ん
でいる。各世代の相互乗り入れには、このような背景説明から結論を推測して頂ければ
幸いである。いたく感動した私は、WATT5&PUPPY5双方に美しいローズ・ウ
ッドのサイドパネルを取り付けた特注品を発注した。肝心な音質については実物をお聴
き頂くのが最善かと思うが、私なりの文章表現で魅力の一端をお伝えしたいと思う。皆
様の部屋でスピーカーが置いてある空間をキャンバスとして例えるなら、こんな絵がき
上がってくるのをイメージして頂きたい。手前には欝蒼とした大きな木立があり、その
向こうには陽光をきらめかせる澄んだ湖がある。そのかなたには裾野が延々と続く緑の
山々がある。この構図を描くのに与えられた道具が万年筆だけだったらどうだろう。手
前の木々の葉っぱが一枚一枚、克明に描かれることでは解像度と切れ味を評価できるだ
ろう。しかし、なだらかな斜面が深い緑に包まれている山の稜線内の色彩の変化を、同
じペン先で描けるだろうか。また逆に、二インチの平筆一本で同じ絵を描くことは可能
だろうか。湖の水面をなめるように見事に描きあげ、遥かな山の中腹から頂上に向けて
段階的にボカシながら、深い緑から明るい緑へと色彩の変化も絶妙に描けるだろう。こ
んな感じが余韻や響きを再現するのに必要な要素となるわけだ。しかし、木の葉の間か
ら差し込む光と、水辺に映える木々の枝の重なりを描くには細いペン先が必要になるは
ずである。この様に音と音の重なりあいを奥行き感として捕らえるならば、全体的に曖
昧な響きを付け加えるのではなく、一音一音を正確に描写することによって空間のディ
ティールを描くという事に結び付いていくのである。WATT5とPUPPY5が、の
音像の各論を徹底して鮮明化する事により音楽の総論をより理解しやすくした事で、自
らの指標を見事に証明した事を皆様にご報告したい。
                                     【完】


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