発行元 株式会社ダイナミックオーディオ 〒101-0021 東京都千代田区外神田3-1-18 ダイナ5555 TEL:(03)3253−5555 FAX:(03)3253−5556 H.A.L.担当 川又利明 |
No.319 「今だから明かせる!? あのときのイベントの裏話!?」 |
ハルズサークル・レビューの-No.0975-でご紹介した「 ESOTERIC P-01 & D-01独占試 聴会 」を去る9/12に 行いました。前日の11日も同様なイベントを行ったのものですが、二日目の このときに思わぬアクシデントが発生したのです。というのは… (^^ゞ 当時はまだ動作にちょっと不安定さが残る時期の試作品にて演奏していたもの ですが、イベントを開始して20分くらい経過したときでした。私がD-01のデジ タル入力を切り替えて、P-01とP-0sのトランスポーの比較をしようと思った その時でした。何と!! 入力セレクターがフリーズしてしまい全く反応しなく なってしまったのです。では、このような時に良く試してみるように電源を 抜いてリセットさせようとしたら…、おお〜、なんと今度は電源が入らない(T_T) まだ90分もあるというのに主役のD-01の音が出ないとは…、あ〜何たることか(T_T) -*-*-*-*-*-*-*-*-*- 冷や汗をかきながらも、せっかくご来場頂いた皆様の期待を裏切るわけには いかない!! と、とっさに思いついたのがトランスポートの徹底比較だった!! D/AコンバーターをDCS ELGAR PLUS1394に切り替えて、P-01とP-0sの両者から 176.4KHzのデジタル信号を送り、一回ずつ接続を差し替えてじっくりと比較 試聴して頂こうとイベントの内容を急遽変更したのである。しかし、90分もの 間単純にトランスポートだけを切り替えていたのでは能がない(^^ゞ そこではたと思いついたのが、強力な電源部を別筐体で設計したP-01とP-0s で、その電源部から本体につながるDCケーブルの比較である。それまでは P-01に純正で付属するDCケーブルとPADのDOMINUSグレードで作られたP-0s用 のDCケーブルを使用していたのだが、急遽P-0s付属のDCケーブルを持ち出して きたのである。下記の写真が、その三種類のDCケーブルである。 http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/op-pho/p0_dc.jpg 一番左がP-0に付属しているもの、右がPADの特注DCケーブルである。この PADもプラズマ仕様にアップグレードしており、1.5mもので価格は152万円だ。 そして、真ん中がP-01で新たに設計されたものである。これは高純度6N銅を 導体に使って、ピュアーで高分解能とテクスチャアーを併せもつサウンドを 追求したものであり、6N銅線材の被覆には音質と環境性を考慮したポリオレ フィンを使っている。写真でしっとりと高級感のある仕上げまでは伝わって いないが、質感としては同社のメクセルシリーズと同等の仕上がりである。 この高純度6N銅ケーブルはESOTERIC「MEXCEL」インターコネクトケーブル、 8N銅パワーケーブルと同様に株式会社アクロジャパンの協力により共同開発 しているものだ。 この三種類のDCケーブルを最初にP-0sで使用し、次にP-01でも使用して合計 六種類の音を比較試聴することにしたのだった。 -*-*-*-*-*-*-*-*-*- まず、今までリファレンスで使用していたPADのDCケーブルでELGAR PLUS1394 での演奏をリピートして次の切り替えのために基準を来場者に聴いて頂く。 そして、手始めにP-0付属のDCケーブルに切り替えると…!? 「あら〜、MOSQUITO NEOの得意技の音場感がしぼんでしまった!!」 DCを供給するだけのケーブルで一体何が起こるのか? H.A.L.における歴代の リファレンスとして使用してきたP-0s+VUK-P0ではPADを常時使用してきたの で、それからの付属品ケーブルに戻すと圧倒的な違いが出てしまう。 最初に感じたのは音場感の収縮であり、スピーカーのポテンシャルが許容 範囲ギリギリまで抑圧されてしまう感じである。情報量としてのエコー感、 それが作り出す空気感によって広がっていく空間表現、余韻感がしっとり 充実することで楽音そのものに潤いが出ることの貢献の大きさ。これらが DCケーブルの変化であっという間に色あせてしまうのである。しかし、何と 言っても152万円との付属品との格差なので、これはPADの開発力に敬意を 払う場面であってESOTERICに文句を言ってもしかたがない(^^ゞ -*-*-*-*-*-*-*-*-*- さあ、次はP-01付属の6N導体で作られたDCケーブルに差し替えるとしよう。 P-0と全く互換性があるので、そのままカチッと差し替えるだけだ。しかし、 これは付属品とは言えどMEXCELシリーズと同様な被覆と表面仕上げであり、 P-0時代の付属と比較すると仕上げ面でも格段の違いがある。当時はこれを 単体で発売する予定があるという構想は聞いていたが、MEXCELシリーズと 同程度の仕上げと内部構造いう前提を知っているだけに私の頭の中では早 くも1ペアで25万から30万程度になるのでは…、と発売したときの価格を 気にし始めていたのである。何と言っても8N-PC8100のパフォーマンスの 素晴らしさと仕上げの素晴らしさの両方を知っているだけに、この推測は 妥当なところだろうと出てくる音質に対しても当然相応のレベルを要求す る事になったのである。さあ〜、新旧の付属品同士の対決である!! 当日は私が頻繁に使っているテストディスクからヴォーカルを含み音場感 が認知しやすいものを選択し、いちいちDCケーブルを差し替えることで 条件を同じものとしてP-0付属品のケーブルで基準となる演奏を記憶して 頂いてからP-01付属DCケーブルに切り替え、P-0sのワードシンク同期が 落ち着くのを待ってからリモコンで同じ曲をスタートさせた。すると…。 「お〜、これはいい!!」 もちろん私も当時はこんなことになるとは思っていなかったので、新製品 の付属DCケーブルでの比較は初めてのことなのだが、演奏が進んでいくう ちに前回のものとの比較が同時に私の頭の中で進んでいった。 まず最初に何でこんなに音場感が広がるんだ!! しかも、楽音の各々に濃密 な質感の凝縮と言うか、楽音の芯と言えるような色彩感の高まりが表れる ので、そこから拡散していくエコー感との対比が一層感じられるのである。 不思議なもので余韻感が豊富に感じられると楽音はみずみずしくなり、 ヴォーカルがしっとりしてくるのがうれしい!! 打楽器のインパクトは エネルギーを以前より蓄積してから爆発するようでインパクトの瞬間が 弾けるように爽快になる。 弦楽器とヴォーカルのような連続する楽音が放射する余韻感はNEOの周囲 を包み込んで臨場感を刺激するビジュアルイメージを目の前に展開する。 打楽器やギター、ピアノのように打音から飛散し、スピーカーの全周囲に 放物線を描いて漂いながら次の打音を明確に捉えてくれる解像度と反応の 素晴らしさが次第に実感されてくる。間違いない!! -*-*-*-*-*-*-*-*-*- DCケーブルによる変化がこれほど大きいいうことを想像はしても中々求め やすい価格では入手できるものではなかった。これらの実験を通じても さすがに152万円のPADは素晴らしいということが実感されたのだが、それ は当然のことでありリファレンスとして使い込んできたDCケーブルの面目 躍如とはこのこであろう。 当然、同様な実験をP-01でも行ったのだが、さすがにP-0付属のDCケーブル を新型のトランスポートに接続するのははばかられたものだった。私が 随筆で高く評価したP-01 & D-01については8N-PC8100を使用し、6NのP-01 専用のDCケーブルを使っての音質であった。P-0sでの実験と同じ過程を 進めていくのだが、全く同様な影響力が発見されDCケーブルの重要さが 認識されるばかりである。 しかし、このP-01の開発過程で生まれてきたDCケーブルは一体いくらで 販売できるのだろうか!? 当日は謎が期待を呼び、期待が謎を深めていく…、という心境であっと いう間に90分間が終わってしまった。来場された方の数名はP-0sとDCSの セットで使用されているオーナーもあり、急遽DACをELGAR PLUS1394に 変更しての実験で愛用システムと同様な比較が出来て楽しんで頂けた ようであった。ほっと一息ついてイベントを終わってみると、P-01の ご契約というご相談を頂き、災い転じて福となす…、の一日でした。 そして、DCケーブルに対する注目度がいっきに高まった90分間だったのです。 |
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