発行元 株式会社ダイナミックオーディオ 〒101-0021 東京都千代田区外神田3-1-18 ダイナ5555 TEL:(03)3253−5555 FAX:(03)3253−5556 H.A.L.担当 川又利明 |
No.318 小編『音の細道』特別寄稿 *第39弾* 「ドキュメント!! 第28回マラソン試聴会“私の体験を語る”」 |
-*-*-*- 1.setup -*-*-*- 2004年10月22日金曜日、いよいよマラソン試聴会の搬入とセッティングの日 である。前日までここの試聴室から大量のケーブルとラックを運び込むために 上遠野が大分悪戦苦闘してくれました。さて、今年も会場はここ。 http://www.asahi.com/asahihall/hamarikyu/ この中の小ホールであるこちらです。 http://www.asahi.com/asahihall/multipurpose/multipurpose.html 既に27回を数える過去のマラソン試聴会でも色々なホール、ホテル、複合設 備のあるビルなどで行ってきましたたが、フルコンサートサイズのピアノが 入る3トンのエレベーターが使えるということで搬入搬出には便利な会場です。 幅13メートル、奥行き25メートル、天上高4.6メートルの空間は家庭用のハイ ファイ装置を何とか無理して鳴らせるギリギリのサイズではないでしょうか。 10名のプレーヤーが使用するフロントエンドの機材を両翼に、カーテンの前に 設置した大きなパーテーションは高域がすべてカーテン生地に吸収されない ようにと毎回用意しているもの。その直前に大型のパワーアンプを並べ、次に スピーカーのエリアをテープを床に貼って設定し、更に前列には小型?のパワー アンプがずらりと並ぶ。 10名のプレーヤーたちも自分のシステムが搬入されてくるのを今か今かと 待ちうけていて、各社の便が到着するたびに次第に10人のシステムが組み あがっていく。そこには色々なエピソードが持ち上がり、それを眺めている のも舞台裏の喧騒として面白いものです。 リハーサルの時間は順不同でセッティングが完了した人から音出しを開始。 その先陣を切ったのが秋山でした。最もコンパクトであり、CDプレーヤー からプリ・パワーアンプまでキャスター付きラックでステージに引き出して きて演奏するという構成です。 http://www.dynamicaudio.jp/mar28/akiyama.html さて、その次に私がリハーサルを行いました。各装置が問題なく動作すると いうこと以外に最も大切なのがスピーカーのポジション。奥行き方向で25 メートルもある会場でも、前後に1メートル移動するだけで低域の質感は変 わり、左右スピーカーの間隔を同様に1メートル広げたり縮めたりしても ヴォーカルのフォーカスが変わる。NEOを使っての位置決めもセッティング 用に選曲した大貫妙子の一分程度の再生で状態がよく解り、頻繁に位置を 変えながらセッティングが決まってくる。「うん、ここだろう!!」と納得したら 次のプレーヤーのために早々に場所を空ける。 リハーサルで毎回起こるのが思わぬノイズの発生。メーカーの皆さんも集ま って電源を取り直し配線を取り替え、原因究明でどんどん時間が押してくる。 9時までという制限時間では全員がじっくりとセッティングするのは至難の業。 明日の本番前に早出してリハーサルを行うプレーヤーが必ず毎回あるものだ。 何とか形が整った会場だが、明朝も早くから音出しの確認が行われました。 -*-*-*- 2.初対戦は島と -*-*-*- 今回の企画のポイントは10名のプレーヤーの対抗戦ということで、悩みに 悩んで組み合わせを考えたものだ。初戦敗退しても翌日に出番があるよう にexhibitionへの流れも慎重に検討して作成したのがこのトーナメント。 http://www.dynamicaudio.jp/dyna/tt.gif 開会に際しての挨拶で一同が並んだ場面が下記のPhoto 1とPhoto 2です。 http://www.dynamicaudio.jp/mar28/report01.html ここで毎回私が述べていることが次のようなコメントだ。 「わずか500円玉一枚と同じトゥイーターを持つ家庭用として設計された これらのスピーカーは本来このような大きな空間で演奏することを想定 して設計されたものではありません。 エンターテイメントとして皆様に楽しんで頂けることを前提に今回の マラソン試聴会を企画いたしましたが、製品をじっくりと吟味すると いうことはどうぞ意識なさらないで下さい。 むしろ、集団見合いのような感じで、このスピーカーが良かった…、 あのアンプはいいね〜、という印象だけをお持ち帰り頂き、気になる 製品が見つかったときには今後ダイナミックオーディオの各支店にて じっくりと試聴して頂ければと思います。 イベントというものは必ず音質的な妥協があって行っているものだと いうことを私たちが一番良く承知しておりますので、その点を誤解な きようによろしくお願い致します。」 さあ、初日はmatch1から6までの試合が行われることになっている。 その第一試合の勝者と私が対戦することになるのだが…。 http://www.dynamicaudio.jp/dyna/tt.gif match1はDyna5555 4FでH.A.L.3を担当する若手の島と…。 http://www.dynamicaudio.jp/mar28/shima.jpg 使用システムは… http://www.dynamicaudio.jp/mar28/shima.html 対 サウンドハウスの2Fを担当する若手の白崎の対戦である。 http://www.dynamicaudio.jp/mar28/shiro.jpg 使用システムは… http://www.dynamicaudio.jp/mar28/shirosaki.html 何と同じスピーカーを使っての対戦ということになったが、この10名の プレーヤー個々から回想記が述べられると思うので、私は自分の対戦経 験を述べさせていただくことにするが、結果的にはDyna5555の島が初戦 の相手となった。 -*-*-*-*-*-*-*-*-*- match2は秋葉原トレードセンター秋山と…。 http://www.dynamicaudio.jp/mar28/akiyama.jpg 使用システムは… http://www.dynamicaudio.jp/mar28/akiyama.html 対 新宿店の宮井の対戦です。 http://www.dynamicaudio.jp/mar28/miyai.jpg 使用システムは… http://www.dynamicaudio.jp/mar28/miyai.html 次々と登場するハイエンドオーディオの数々だが、ご来場の皆様の評価 によって勝敗を決するとはどういうことか? これは対戦した二者の選曲、 演奏した音質、解説の巧みさ、などを総合して結果的にどららの演奏が 音楽を楽しめたかということで対戦者各々に皆様から拍手を頂戴し、 その拍手の大きさで勝敗を決めようとしたものだ。 http://www.dynamicaudio.jp/mar28/guest02.jpg 真剣に聴き入る皆様の表情をぜひご覧下さい。 しかし、その拍手の大きさというカウントできない要素を誰が決定する のか? ということでご来場の女性のお一人様にご協力をお願いしてこの ように審査委員として判定をして頂いた。 http://www.dynamicaudio.jp/mar28/report02.html 私が簡単にインタビューさせて頂いたところ、最もご遠方から来場された と言う方は岐阜県からお車でいらしたという方もありました。そして、 私から「ご主人は買ってきたオーディオの値段はちゃんと教えてくれます か?」「購入前に相談はありますか?」などなど、家計を預かる奥様の立場 でオーディオという趣味をどのようにご理解頂いているかを問いかけまし たが、会場の笑いを取るような場面もあり皆様夫婦円満でオーディオとい う趣味を楽しまれているご様子でした。本当にありがとうございした。 このように女性審判の裁定には文句の付けようもなく、私たちもご来場の 皆様も納得されてイベントは進行していきました。 -*-*-*-*-*-*-*-*-*- match3はサウンドハウスの厚木店長と…。 http://www.dynamicaudio.jp/mar28/atsugi.jpg 使用システムは… http://www.dynamicaudio.jp/mar28/atsugi.html 対 Dyna5555で私の弟子? として日々健闘している上遠野の対戦となった。 http://www.dynamicaudio.jp/mar28/ken.jpg 使用システムは… http://www.dynamicaudio.jp/mar28/ken.html 試合前に厚木店長は「ケンに負けたらダイナやめなくちゃ〜(笑)」と コメントしていましたが、この勝負は厚木店長の貫録勝ちとなりました。 詳しくは当人のレポートが上がりましたらご覧下さい。 -*-*-*-*-*-*-*-*-*- match4は中古センターの島田と…。 http://www.dynamicaudio.jp/mar28/shimada.jpg 使用システムは… http://www.dynamicaudio.jp/mar28/shimada.html 対 新宿店の小林の対戦となりました。 http://www.dynamicaudio.jp/mar28/koba.jpg 使用システムは… http://www.dynamicaudio.jp/mar28/kobayashi.html この判定は難しかった(^^ゞ 私が聞いていても二人に対する拍手はほぼ同じに聞こえてしまう。 私は思わず「皆さん、二回拍手してませんよね〜? 」とジョークを飛ばし 会場にも笑いが起こりましたが、これも審査員の女性に一任して島田の 勝利となりました。ご協力ありがとうございました。 -*-*-*-*-*-*-*-*-*- さあ、夕方5時になりmatch5で、やっと私の出番がまわってきました。(^^ゞ さて、ここで私が使用する機材の組み合わせですが…。 http://www.dynamicaudio.jp/mar28/kawamata.html これらのラインアップで2セットを次のように設定しました。 NEOシステム ESOTERIC G-0s * 8N-PC8100 ↓ 7N-DA6100 BNC(Wordsync) ↓ ESOTERIC P-01* 8N-PC8100 ↓ 7N-A2500 XLR ×2本 ↓ ESOTERIC D-01* 8N-PC8100 ↓ 7N-A2500 XLR ↓ HALCRO dm8 * 8N-PC8100 ↓ 7N-A2500 XLR ↓ HALCRO dm68 * 8N-PC8100 ↓ ESOTERIC 7N-S20000 ↓ MOSQUITO NEO -*-*-*-*-*-*-*-*-*- Stradivari Homageシステム Burmester 969 *AC DOMINUS ←Burmester 948 ↓ Burmester 970SR *AC DOMINUS ←Burmester 948 ↓ PAD YEMANJA/XLR/1.0m or Stealth Indra XLR Dynamic Audio 5555 HAL./5.8m ↓ Burmester 808 MK5 *AC DOMINUS ←Burmester 948 ↓ PAD DOMINUS/XLR/7.0m or Stealth Indra XLR Dynamic Audio 5555 HAL./1.0m ↓ Burmester 911MK3(2台でMONO仕様) *AC DOMINUS ↓ PAD YEMANJA/Bi-Wire/3.0m or Stealth Hybrid MLT biwire Dynamic 5555HAL/5.0m. ↓ Sonusfaber Stradivari Homage COPULARE TONBASENBAU BRONZE COPULARE TONBASENBAU Zonal Black shadow mask zoethecus z./3R system ×2set システムラックはこれら4台を使用していますが… http://www.dynamicaudio.jp/mar28/report01.html Photo 3とPhoto 4にてフロントエンドが写っています。 -*-*-*-*-*-*-*-*-*- 先攻は島が15分、私が15分、それから10分ずつを最後に二人で演奏し一人 の持ち時間を40分として対戦することになりました。 島の演奏内容は下記をご覧下さい。さて、先攻の15分が終わり… http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/4f/island_pause02.html 私の演奏予定は下記のディスクですが、一部時間の関係でかけられな かったものもあります。この中から最初の一曲をかけたのですが…。 http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/news/playlist.html Crystal/諏訪内晶子Bestから1.無伴奏ヴァイオリン・パルティータ 第3番:プレリューディオ(J.S.バッハ)この冒頭部分の一分程度 しか使いませんでした。それはある実験をこのイベントの最初にやり たかったからです。 http://www.dynamicaudio.jp/mar28/report01.html さて、この写真のPhoto 5がこの時の模様ですが、よ〜くご覧頂くと MOSQUITO NEOの足元に黒い点が見えますね。その正体はこれなのですが… http://www.naspec.co.jp/j1/icp01.html この中のBA72D大型ベースです。20ミリの高さがありますが中央上部に 直径35mmのくぼみがあり、ここにNEOのステンレスボールの足を乗せて 仰角を変化させて同じ曲を同じボリュームでかけたのです。そして、 私はご来場の皆様に問いかけました。 「いかかですか? 何か変化ありました?? では、スペーサーを入れて 仰角を大きくして演奏した二回目の音の方が良かったと思われた方は 手を上げてみてください!!」 そうすると、中央正面から左右にいたる各位置にいらっしゃる皆様まで 一斉に手が上がりました。圧倒的多数です!! 私は思わず、ニヤリ(^^ゞ としてしまいました。 そうです。NEOは普段ここの試聴室で聴き慣れていますが、立ったままで の耳の位置で聴くと弦楽器の質感は荒れてしまい、声楽でもガサガサした ようなヴォーカルになってしまうのです。これは他のスピーカーでも良く 見かけることなのですが、ちゃんと座ってトゥイーターとミッドレンジの 中間くらいの高さに耳を持っていくと、下記のレポートでも述べているよ うに、それはそれは素晴らしい音質に変化していきます。 http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/280.html なぜこうなるかの解説は次回に見送りますが、この会場ではスピーカーを 見下ろす位置に皆様の椅子があるので、高低差によるハンディギッャプを 極力少なくしたいという私の狙いが成功したことになりました。この体験 を皆様にして頂くために最初の一曲を用意していたのです。 次にヴォーカルが美しいNEOで聴いて頂きたかったのがこれ。KARI BRAMNESが 10年前に録音した「EN ELSKER I BERLIN」を2000年にセルフカバーしたのが 「A LOVER IN BERLIN」で、前者はノルウェーの言語で歌っていたのですが 後者は英語でのヴォーカルであり、伴奏もがらっと変わっています。しかし、 ヴォーカルのリアルさということでは甲乙付けがたく、同じメロディーの 二曲をNEOのシステムでステージの空間に見事に描き出してくれました。 -*-*-*-*-*-*-*-*-*- さて、次の15分ではまたまた会場の皆様にテストを受けてもらいました(笑) Yo-Yo Ma/OBRIGADO BRAZILから4. Doce de cocoをかけたのですが、不通の CDを440万円もするP-01とD-01にローディングし、X-01では同じ曲のSACDを 用意しました。かたや440万円もするハードウェアの豪華さ、しかしスペック ではCDの何倍も優れているというSACDを125万円のX-01で演奏し、来場者に どちらの演奏がSACDのものかを手を上げて答えてもらおうとしたものです。 http://www.dynamicaudio.jp/mar28/guest01.jpg 皆様真剣です!! ここでは正解を先に明かしてしまいますが、最初にX-01でSACDをかけました。 次にP-01とD-01では通常のCDをかけました。両方共に3分30秒程度の同じ演奏 を終わってから、私は来場者に問いかけました。 「では皆さん!! あとに再生した方がSACDだと思った方は手を上げてください」 当時は私は正解を述べていなかったわけですが、後者の再生音をSACDだと 思った方が大多数を占め、八割程度の皆様が手を上げられました。そして、 私が「SACDは最初で、あとの方の音は不通のCDでした」と正解を述べると 思わず会場はざわついてしまいました。意地悪な実験でごめんなさい(^^ゞ この時、客席中央の後ろの中ほどにESOTERICの大間知プレジデントがいら しゃったのですが、ご本人はどのようにこの実験結果を受け取られたもの でしょうか? (笑) SACDは確かにスペックは素晴らしいのですが、SACDさえ使えば音質は極め つけに素晴らしくなるのでしょうか? いや…、どうやらディスクの規格が いかに素晴らしくとも再生音の実態はプレーヤーというハードウェアの 完成度の高さに依存するいう事実が皆様の反応でも証明されたということ だと思います。その証拠に「それでは皆さん、SACDをP-01とD-01で演奏す るとどうなるかをやってみましょう!!」と私は客席の皆様の表情を見なが らディスクをローディングしてスタートスイッチを押しました。すると…。 満面の笑みを浮かべる多くのお客様、思わずうなずいて納得される皆様の 顔が会場に溢れていました。これも私はしてやったりという心境でした(笑) 次にstockfish-recordsの選曲でCDとSACDで同じ曲を比較試聴して頂きました。 演奏内容はシンプルなものですが、エコー感が大変鮮明で美しく、ヴォー カルの質感も抜群のレーベルであり、NEOシステムの魅力を十分に表現し てくれました。これは私も期待していた選曲で大変楽しめました。 -*-*-*-*-*-*-*-*-*- しかし、ここで問題が…^_^; 私の悪い癖で皆様が美味しそうに食べている 音楽を途中でカットアウトすることが出来ず最後までかけてしまったのです。 その結果、持ち時間が押してしまい予定していた曲が全部かけられなく なってきました。さあ、急いで次の曲です。 opus3recordsからThe Oskarshamn Ensemble/Concertos for Double Bassを これもCDとSACDでの比較をしてみました。10年前にステレオサウンド社が 輸入販売を始めたときに知ったレーベルなのですが、アナログ録音、アナログ マスタリング、そしてデジタルプレスという面白い手法を貫くopus3records なのですが、85年の録音がSACDになってどのように蘇ったかに興味があり、 それが会場でどのように再現されるかに期待していたものでした。これも 同様にP-01とD-01で比較試聴してみました。 さあ、いよいよ時間がなくなってきた(~_~) では、ということでStradivari Homageシステムに切り替えますが、ここでも ちょっと実験的なことをやりました。P-01とD-01で再生したSACDをBurmester のプリアンプ808 MK5に入力して、その後は上記の流れでStradivari Homageで 同じ曲をかけたのです。最も上流のCDプレーヤーは同じとして、プリアンプ 以降が全く切り替わったシステムでSACDがどのように再現されたか!? そして、最後にはBurmester 969と970SRのペアで通常のCDにて同じ曲を演奏し、 前述のようにより高価なシステムでのCD再生との比較も行いました。^_^; いや〜、最後には駆け足になってしまいましたが、ここまでの持ち時間を オーバーしながらも何とか狙っていたポイントは実演できました。そして、 勝敗は…(^^ゞ お陰さまで会場の皆様に多数の拍手を頂き面目が保てました(笑) と、いうことで二日目のsemifinal.1に進むことになりました。 ありがとうございました。<m(__)m> -*-*-*-*-*-*-*-*-*- そして次のmatch6で当店の東が登場します。 http://www.dynamicaudio.jp/mar28/azuma.jpg 使用システムは… http://www.dynamicaudio.jp/mar28/azuma.html 対 対戦はmatchの勝者、秋葉原トレードセンターの秋山です。 http://www.dynamicaudio.jp/mar28/akiyama.jpg 使用システムは… http://www.dynamicaudio.jp/mar28/akiyama.html 東が切り札で用意していた予価600万円という超弩級の某社真空管パワー アンプがノイズを発生してしまうというアクシデントがあったものの、 大方の予想を裏切って…(いや、これは失礼(^^ゞ)女性審査員は秋山の 勝利を宣言されたのです。 秋山が相手のシステムの価格の物凄さを見て対戦中にこぼした一言。 「まるでドン○ホー○と三越の戦いのようですが〜(笑)」という一言が 会場でも笑いを誘い、楽屋に集まった社員に大うけしたことをばらして しまいましょう!! ^_^; -*-*-*- 3.準決勝の相手は厚木と -*-*-*- この当日の朝、社員一同がステージでご挨拶を述べるときに冒頭の言葉 を述べた私から、昨日帰宅してから被害の大きさを始めて知った新潟県 中越地震の被災にあわれた皆様にお見舞い申し上げました。さて…、 二日目はいよいよ準決勝。出番は12時55分からと今日は早めの登場です。 支給された弁当を早々に食べながら頭の中では作戦を考えていました。 昨日は15分を二回に10分を一回という時間割で演奏が長引いてしまい時間が 押してしまったという反省をもとに、今回は厚木店長が最初の40分を、次に 私が40分を受け持つという時間割に変更しました。 サウンドハウスの厚木店長の使用システムは…。 http://www.dynamicaudio.jp/mar28/atsugi.html このようになっていますが、スピーカーが3セットあり、決勝戦までいか ないと登場できない商品もあるという。その中で準決勝で使用されたのが LINN KOMRIでした。ここで演奏された内容に関してはご本人のレポートに ご期待下さい。 -*-*-*-*-*-*-*-*-*- そして、私は昨日出番が少なかったStradivari Homageのシステムから登場 させることにしました。そして、昨日NEOシステムの冒頭に行った実験を 今回は選曲を変えて行ってみることにしました。これは演奏予定のリスト には入れていなかったもので、今は廃盤になっていると思われるアンネ・ ソフィー・オッターがムジカ・アンティクワ・ケルンのオリジナル楽器に よって歌い上げている「マリアン・カンタータ&アリア」(POCA-1077)の 12トラック目「合唱付きアリア:悩み多きこの世と、苦しみにあえぐ人の 子」をかけてみました。オリジナル楽器のヴァイオリンがどのように再現 されるかでStradivari Homageの前足二つのスパイクに前述のスペーサー を入れて仰角を変化させたものです。結果は前回同様に、スペーサーを 入れた時の音質を支持する方が大半でした。 次に私が試みたのは名前の通りStradivari Homageはヴァイオリンの再生 だけが良しとされるスピーカーで良いのだろうか!? という既成概念を 一旦は壊してみようという実験でした。そこで、まずはサックス一本から 始まる演奏ということで、ジョー・ヘンダーソンの渋〜い一曲をかけました。 いや〜、このサックスのリアルさが会場一杯に広がっていくエコー感で 上手く表現できて良かった〜(^^ゞと出足の一曲でほっとしました(笑) -*-*-*-*-*-*-*-*-*- さて、次に他のプレーヤーも何回か使っていましたがビートルズからも 選曲しました。しかし、フィル・スペクターが商品として作り出した 過剰なエコーとオーバーダビングによるビートルズのイメージから初めて 脱して、バンドとしての生の質感をポールの提唱で実現させたのが、この THE BEATLES /Let it be NAKEDである。2000年に発売されたデジタル・ リマスター版ではあるが従来からの音質のLet it beと、このNAKEDによ るLet it beを何とStradivari Homageを使って比較してみたのです。 SACDのスペックがどうこうという前に、音楽ソフトの制作側の意図で これほどまでに同じ演奏者の音楽が変わってしまうという事例を皆様 が興味を持ってじっくり聴いていたようです。この選曲は同じビートルズ でもちょっとこだわった甲斐がありました。全然違いますから(笑) -*-*-*-*-*-*-*-*-*- http://www.arion-edo.org/guide/artist/toriology/index.jsp このリンクで既にお解かりのように、今回の会場となった浜離宮ホールの 大ホールで今年3/10にコンサートを行ったのが、このグループでした。 この録音では本当にそっけないほど化粧っけがない弦楽器の音が収録され ていますが、その味気ないとも言える録音をStradivari Homageがどのよう に聴かせるかが、まず第一のポイントです。そして、同じ曲を豪華な オーケストラをバックにRUSSELL WATSONに歌ってもらうというカバー選曲 が次の出し物でした。同じ曲がトリオの小編成から大編成へのバリエーシ ョンの変化で楽しんで頂きました。 -*-*-*-*-*-*-*-*-*- 次に五嶋みどり/エルガー「愛の挨拶」作品12 を通常のCDで演奏し、 途中から昨日のようにP-01とD-01でSACDの再生を行って、Stradivari Homageでディスクの違いを比較するという実験を行いました。さあ、 そして次にNEOシステムに切り替えて、同じ曲を比較して頂くことで NEOの魅力のひとつでもある弦楽器の滑らかさも楽しんで頂きました。 いや〜、しかし時間が足りない^_^; 曲を最後までかけてしまうという 悪癖もあってか、想像以上に時間が押してきました。本来ならば、この 五嶋みどり/エルガーを使って昨日のようにX-01でSACD、P-01とD-01で CDをかけて会場の皆様に当てて頂くという実験をしたかったのですが、 どうも時間が足りないようだ。思い切って、この実験はカットとした。 次の選曲はまったく実験的な要素はなく、私がここの試聴室でNEOを 使って聴いた印象があまりにも良かったので絶対かけようと思って いたオリガのポーリュシカ・ポーレを最後までかけてしまった(^^ゞ さて、強敵の厚木店長を前にして最後の一曲をどうするか!? これは事前から作戦を考えていたのだが、ベルリン・フィルハーモニー 管弦楽団、指揮:ヘルベルト・フォン・カラヤンの1961年録音からSACD化 されたベートーヴェン:交響曲 第9番のボーナスディスクに収録されて いる.Presto-Rehearsalを3分半ほど楽しんでいただくことにした。 当時53歳のカラヤンの肉声が入っていて、ベルリンフィルの楽員に対して 早口のドイツ語で解釈と指導を行い、その重厚な弦バスのパートが次第に 熱を帯びる演奏に仕上がっていく過程を録音したものである。このコント ラバスのパートがそれはそれは生々しく響き、SACDをESOTERICのフラッグ シップモデルが精密に再生し、HALCROのアンプが持ち前の超低歪でNEOを 鳴らし、会場のステージの大きさを倍化したような広がりを見せて鳴り 響いたのである。この演奏は面白かった!! さあ、準決勝の結果はどうなったか!? このような時に辛いのは自分が 自分で司会進行しているので、自分への拍手も自分で声を出してお願い しなければいけないという場面なのだが、会場の皆様の拍手と女性審査員 にすべてをお任せして伺ってみると…。 「皆さんがもっと川又さんの演奏を聴きたがっているということだと 思いますので…」 というありがたい一言を頂き勝ちとさせて頂きました。と、いうことで 決勝戦へ進むことになりました。(^^ゞ -*-*-*- 4.決勝の相手は秋山と -*-*-*- 「宴もたけなわ」という雰囲気の夕方4時40分くらいか? 今まで時間が 押しているのを気にして、ひとつ前の宮井と上遠野のexhibition.3を 短時間で切り上げてくれました。全体の流れを見ながらのプレゼンテ ーションで閉会時間が延びるのはやむなしと勝手に思いながらいよいよ 決勝戦となりました。 ここで私は最もやりにくい相手と対戦することになったのです。 なんと言ってもあの一言…「ドン○ホー○対三越」という価格差を もじったユーモアが脳裏をよぎり、かつ相手は選曲の妙と語り口で 決勝までやってきた男!! これほどの強敵はいないでしょう^_^; この対戦も事前に秋山が先攻で40分、私が後攻で40分という時間を打ち 合わせ秋山からスタートしました。この辺のレポートも後日本人から 述べられると思いますので、私が行ったプレゼンテーションに進みます。 -*-*-*-*-*-*-*-*-*- 最初はStradivari Homageから始めました。狙っていたところは、やはり クラシック以外のジャンルをStradivari Homageがどのように楽しませて くれるのかという着目点と、今まで一度も使用しなかったJ-Popというか 日本人アーチストの選曲をここで始めて使うことにしたかったのです。 32年前の自分の声とデュエットをして作られた、ご存知ユーミンの代表曲 「やさしさに包まれたなら」を最初にかけました。後日談では、この選曲 を気に入って頂いた方も多かったとか。スピーカーの外観からくるイメー ジと演奏される曲層のギャップが新鮮でした。よしよし…(^^ゞ -*-*-*-*-*-*-*-*-*- 次はデュエットということに興味を持っての選曲で、これも珍しいフランス のJane Birkinと井上陽水のデュエットでCanary Canary-東京バージョンを。 その流れで82年のアルバムに入っていた原曲を本人がセルフカバーした井上 陽水のカナリアを少しだけ比較してみました。 次は、このアルバムからもう一曲「飾りじゃないのよ 涙は」これは陽水の 曲ではリヴァーブが深すぎて厚化粧なのが目立ちすぎてしまうので、同じ 曲をあっさりとファクトリーライブという手法で録音した福山雅治のヴォー カルで聴きなおしてもらいました。この対比は面白かったですよ(^^ゞ さあ、これが一番やってみたかった選曲で、このようなイベントでは絶対に 使われないだろうというアーチストを持ってきました。中森 明菜です(^^ゞ アコースティックなピアノのイントロに続いて東京スカパラダイスの強力な ホーンセクションが鳴り響き、遠めにオフで録られた中森 明菜のヴォーカル がお馴染みの歌詞をトレースしていきます。これは面白かった!! -*-*-*-*-*-*-*-*-*- 次は一転してStradivari Homageの本領発揮を狙って前回の五嶋みどり/エル ガー「愛の挨拶」作品12をまず流しました。そして、全く同じ曲を今井信子 が演奏するビオラで楽器の音色の違いを聴いて頂きました。この比較も面白 いものでした。しかし、やはり私の場合には時間が押してきます。予定の曲 を一曲カットしてスピーカーをNEOシステムに変えました。 ハルズサークルの皆様に限定販売したディスクからエレクトリックハーブと ヴォーカル&パーカッションというデュエットで、このホールでもほぼリアル サイズで演奏できるのでは、という狙いからPure The essence of Music」 Primrose PathからChantal(F.E.Conard)をかけてみました。NEOの空間表現 が心地良く音場感を広げてくれたようです。 次は演奏時間の短い曲を意識して選び、Keiko Lee Live 1999から11.Imagine を使ってCDとSACDでの違いを比較してみました。あ〜、やはり時間が足りない しかし、次の実験はどうしてもしたかったものであり、かつ準決勝の時には リハーサルだけで終わってしまったので、本番の録音をかけなければと次の 曲に進んでいきました。 -*-*-*-*-*-*-*-*-*- ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団、指揮:ヘルベルト・フォン・カラヤン のベートーベン交響曲九番を使ってある実験をしたのです。ここでは私はある 意図から第二楽章を使いました。 最初は全く同じ曲をカラヤンとベルリンフィルが1976年に録音したもの。 この時代には録音設備としてもトランジスターが開発された後でもあり レコーディング技術の進歩が著しかったころの録音です。しかし、逆に カラヤンの年齢は68歳になっていたはずです。こんな背景の演奏を最初に かけたのです。もちろん、これもSACDです。 次に、準決勝でリハーサル場面を演奏した1961年の全く同じ曲目です。 当時は真空管しかなかった時代なのですが、カラヤンは53歳と若く脂の のりきった時代でもあったでしょう。同じ指揮者とオーケストラが時代 をずらして全く同じベートーベンを録音していたものですが、これもSACD になっていました。 私は、この二曲を紹介しながら来場者には演奏する順番を知らせずに、 両方の演奏が終わってからこのように問いかけました。 「さて皆さん!! 76年に録音された新しい方はどちらだったでしょうか?」 最初の演奏だと思う方は手を上げてください、とお願いするとほぼ半数 の皆様が挙手され、念のために後の方の演奏が新しいものだと思う方は、 とお願いすると、これも半数程度だったでしょうか。そして、私が正解 を述べると会場がまたまたざわつきました。自信をもたれていた方も あったのでしょうが、この両者の録音を私が聴いてみてもカラヤンが 若かったころの録音、つまり先ほどのリハーサルから録音に入っていった ものの方が演奏がエネルギッシュであり、弦楽パートの解像度なども 当時の真空管アンプでの録音とは思えないほどに素晴らしく、また ダイナミックな演奏でした。ぜひ皆さんも比較してみてください。 -*-*-*-*-*-*-*-*-*- さあ、これで事前に公開していた選曲リストは終わってしまいました。 しかし、実は私にはまだ隠し玉があったのです。もしも、決勝戦にまで いけたらやってみようということで、リハーサルの段階で贅沢にもNEO とStradivari Homageの両方を使用するフォーメーションを上遠野に 指示していたのです。もちろん、この段階では決勝戦までいけるとは 思っていなかったので、こんなへんてこなセッティングでどんな曲を かけるかは誰にも知らせていませんでした。そのセッティングは…。 http://www.dynamicaudio.jp/mar28/stage_kawamata.jpg トゥイーターの間隔をせばめやすく音場感の豊かなNEOをこのように センターで背中合わせにして、その両翼を扇状に囲む形でStradivari Homageを配置しました。各々のレベルはNEOを100とするとStradivari Homageでは70程度でしょうか。アドリブで二つのプリアンプのボリュー ムを調整して一発本番で隠し持っていたディスクをスタートさせました。 この曲はこのようなイベントでは絶対に演奏されないものであり、モノ ラル録音の再生いうことで上記のような演出をしたものでした。それは 何か…、ハルズサークルの皆様には既にわかってしまっている思います が、日本人が誰でも知っている昭和の名曲、坂本九の「上を向いて歩こう」 でした。2セットのハイエンド・スピーカーがホールの空間に向けて 今は亡き坂本九の歌声を響かせてくれました。ちょっぴり涙です(T_T) だからこそ、このようなご意見も頂戴したものでした。 http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/fan/hf_hear0179.html 選曲と語りでオーディオは値段だけではない、という良い意味でのイメージ をアピールした秋山に対して、私も最後には選曲で音楽そのものを皆様 に聴いて頂ければという反撃の一手を最後に放ったものでした。決勝戦を 観戦されなかった皆様には申し訳ございませんが、この最後の一曲は会場 の空間の大きさとスピーカーのセッティングもあって、我々が今までハイ ファイ・システムで聴こうとしなかった「上を向いて歩こう」をまったく 違う次元で感動的に演奏されたということを最後に述べさせて頂きます。 と、いっても自我自賛が大分入っていますが…(笑) -*-*-*-*-*-*-*-*-*- さあ、それでは決勝戦でも今までのように女性審査員にお願いして決着を 付けなければ…!? と思って会場を探したのですが、最後の女性客が一瞬 早く退席されてしまい、会場には何と男ばかり(笑) これは困った(-_-;) そこで、私は機転を利かせました。「では、皆様に拍手だけ頂きましょう」 秋山への拍手…、そして私への拍手。言い換えれば、ノイズがあっても 自分の好きな音楽は聴いてしまうもの、と語る秋山のオーディオは価格 だけではないぞ!? という発想と、文字通り日頃のハイエンドへの追求を 会場に持ち込んだ私と、どちらに軍配が上がったかを明確ににする必要 もなかろう!! ということで…。 「では、決勝戦の拍手の大きさは引き分けということにさせて頂きます!! 皆様長時間ありがとうございました!!」 これが結果でした。決勝戦には勝者も敗者もなし!! (*^_^*) 最後の坂本九ちゃんで負け? という汚名を着せることもなく(笑)最後に 会場で大変な作業を助けてくださった関係者一同にも来場の皆様から 盛大な拍手を頂き閉会となりました。これで良かったのでしょう!! 今、思い出してみても近年にない印象深いマラソン試聴会となりました。 ご来場の皆様、本当にありがとうございました。 そして、残念ながらお越しになれなかった皆様にも上記のストーリーが 再現されるような企画を私も検討しておりますのでどうぞご期待下さい。 では、また来年、マラソン試聴会の会場でお目にかかりましょう!! |
このページはダイナフォーファイブ(5555):川又が担当しています。 | |
---|---|
担当川又 |
TEL:(03)3253−5555 FAX:(03)3253−5556 E−mail:kawamata@dynamicaudio.jp お店の場所はココの(5)です。お気軽に遊びに来てください!! |