発行元 株式会社ダイナミックオーディオ 〒101-0021 東京都千代田区外神田3-1-18 ダイナ5555 TEL:(03)3253−5555 FAX:(03)3253−5556 H.A.L.担当 川又利明 |
No.308 小編『音の細道』特別寄稿 *第36弾* 「Stradivari Homageの真の音を引き出した ESOTERIC 8N Cuパワーケーブル!?」 |
1.各論を語らず… 私はMOSQUITO NEOの分析と評価に関しては様々なコンポーネントとの組み合わせ、 そして多彩な選曲で色々な楽音を再生してみてと印象を事細かに語ってきた。 それは、“ウッドレス・スピーカー”というMOSQUITO社の長年の理想像を具現化 したNEOにおいて、想像しにくいところを補う意味で様々な引用をしてきたもの だった。 しかし、私はStradivari Homageの実際を耳にして、同様に分析的な手法でこの 傑作がどのような楽音にどのように反応し、そのリアクションと使い手の感性 の一致を推測するという考え方がむなしく思えてきたのである。 それは、私が10年前にオマージュ・シリーズの第一作目、Guarneri Homageを 紹介した次の随筆の中で、このように語っていることと共通するのである。 http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/oto/oto11.html -*-*-*-*-*-*-*-*-*- ガルネリ・オマージュの設計に当たっては再生する空間を特定していない。 雑踏の中でロックン・ロールを聴くことも出来るが、スタジオでのストリング ス・カルテットの録音モニターに是非使って欲しい。そして、オーケストラを 充分な音量とダイナミック・レンジで公平に評価することも出来る。 ガルネリ・オマージュの周辺に音楽が湧きあがり本物のステージ感に驚かされ、 そしてスピーカーが消滅してしまうのである。 これはリスニングルームの大小によって引き起こされるものとは違い、克明 な描写力は真の音楽に対するレプリカを味するものである。しかし、低音の軽 い質感はリスナーに再教育を必要とするであろう。 特にリスナーがベース・ジャンキーだったとしたら、なおさらのことである。 ヘビーな低音部が出ないからといって音楽を聴く喜びが損なわれるとは思わない。 むしろ、ガルネリ・オマージュは、その美しいデザインから使い手の警戒心を解 きほぐすような優しい話しかけをしてくる。 ガルネリ・オマージュの持つスピリットの真実は、これまでに出会ったことの ない特徴であり、私がこのスピーカーから受けた影響と同じくらい鮮明なものだ。 それは実際の楽器の材料を駆使したガルネリ・オマージュが、その特質を調和の とれた響きの豊かさとして伝える能力があるということだ。これは、音楽を拡大 解釈しているということではなく、他のスピーカーがそれを目指していないだけだ。 リアルなアコースティック・ギターのウッディな質感、トランペットのクールな 質感を今までに聴いていなかったという現実を警告してくれているのである。 他のスピーカーがレコーディングの中で得られた情報としての雰囲気と感触に反 応していなかったことを、ガルネリ・オマージュは暴露しているのである。 私は大変な危険を犯してこれを執筆している。私自身の好みを認めた上で、ガル ネリ・オマージュはこれまでに聴いたことのない最も小型なモニターであること を信じている。逆説的にいえば、とても重量感のある響き渡るような低音に私が まだ惑わされていない証拠である。 -*-*-*-*-*-*-*-*-*- さあ、ここで本文の引用は英国のオーディオ誌に執筆しているケン・ケスラー氏 の文章でもあるが、彼の言うところの“ベース・ジャンキー”というところに 注目したものである。つまり、低音の量感が豊かであるということが、すなわち スピーカー本来のクォリティーには直結しないということ。各論においてワンポ イントを弱点として、あるいはアドヴァンテージとして語ることがスピーカーの 評価に偏執をもたらす可能性があるということだ。 そして、最も重要なことはSonusfaberのフランコ・セルブリンはヴァイオリン をモチーフにしたオマージュ・シリーズにおいて、自分自身が求めるロマンと 理想とを作品にしたということである。これはある意味では大変大胆であり 贅沢なモノづくりの姿勢ではなかろうか。 これはハイファイスピーカーを科学的に設計する上では主観的なバイアスが かかるものだが、本人が好む音楽を自分の解釈で再現する道具としては大変に 魅力的なものとなるだろう。それは、多数の音楽家が残した楽譜は演奏の決まり ごとであり原型なのだが、指揮者の解釈と感性によって同じスコアの演奏でも 大きな違いになって表れることと同じ意味合いではなかろうかと思われるのだ。 従って、私はフランコ・セルブリンがオマージュ・シリーズを通じて発しよう とするメッセージ性を尊重し、彼の音楽観を通じて様々な曲を聴こうとする時、 私は彼が私たちに聴かせたいと願っている音を自然体で受け止めているのだ。 そう…、Stradivari Homageが聴かせてくれる演奏はどれも美味しいのである。 美味しいという理由をノウハウの面から各論として議論することが必要のな いスピーカーがStradivari Homageなのである。 2.Stradivari Homageは敏感なのか!? 作者の感性を尊重するということは決して使いこなしの上で妥協するという ことでもなく、またStradivari Homageの内面と可能性を追求しないという ことではない。ただ、それを楽しみながらやっていきたいと思わせるところ がこのスピーカーの素晴らしいところだ。だから、私もワンポイントの検証 ということではなく、Stradivari Homageと対面しているときは音楽を楽しも うというスタンスであり、その中から思わぬエピソードが姿を表すまでは 演奏に浸りたいという心境なのである。そして…!? -*-*-*-*- DOMINUSによるデジタル伝送のフロントエンド-*-*-*-*- ESOTERIC G-0s(ESOTERIC 8N-PC8100) ↓ ↓ ↓ 7N-DA6100 BNC(Wordsync) ↓ ↓ 7N-DA6100 BNC ESOTERIC P-0s+VUK-P0 (Wordsync) (AC/DC DOMINUS & RK-P0 & MEI Z-BOARD & PAD T.I.P) ↓ ↓ ↓ DIGITAL DOMINUS XLR ×2(Dual AES/EBU) ↓ ↓ dcs 974 D/D Converter(AC DOMINUS) ↓ ↓ DIGITAL DOMINUS 3CHAN/1TUBE;BNC-BNC 0.5m WITH PLASMA REV. B SIG. ↓ ↓ dcs Elgar plus 1394(AC DOMINUS+SAP RELAXA3PLUS & PAD T.I.P) ↓ ESOTERIC 7N-A2500 ↓ Viola SPRITO (AC DOMINUS) ↓ Viola BLUES SILVER INTERCONNECT 6m ↓ Viola BRAVO 2BOX SET (AC DOMINUS) ↓ Sonusfaber Stradivari Homage -*-*-*-*-*-*-*-*-*- 今日はこのシステムで諏訪内晶子 シベリウス:ヴァイオリン協奏曲 ニ短調 作品47から第3楽章:Allegro, ma non tantoをうっとりしながら聴いていた… http://www.universal-music.co.jp/classics/artist/akiko-suwanai/index.html クロック用ケーブルと一部はMEXCELケーブルを使用しているが、今までのリファ レンスとして安定感あるDOMINUSをデジタル伝送の系統に使用し、何の疑問もなく この録音で彼女が演奏しているのが1714年にAntonio Stradivari “Dolphin”の 音色とオーケストラの美しさを楽しんでいたのである。 ここではHybrid DiscのCD Layerから通常の44KHz 16bitの信号をピックアップし、 dcs 974でDSDに変換し、それをElgar plus 1394にてアナログ変換するという過程 でSACDフォーマットにコンバートしている状態である。さて、どうせだったら、 せっかくのHybrid DiscなのでSACDのフォーマットで再生してみようかと、ふと 先日の8N-PC8100の影響力にも期待して次のシステムにフロントエンドだけを 切り替えたのであった。そうしたら…!? http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/307.html -*-*-*-*- フルESOTERICによるフロントエンド-*-*-*-*- ESOTERIC G-0s(ESOTERIC 8N-PC8100) ↓ 7N-DA6100 BNC(Wordsync) ↓ ESOTERIC X-01(ESOTERIC 8N-PC8100) ↓ ESOTERIC 7N-A2500 ↓ Viola SPRITO (AC DOMINUS) ↓ Viola BLUES SILVER INTERCONNECT 6m ↓ Viola BRAVO 2BOX SET (AC DOMINUS) ↓ Sonusfaber Stradivari Homage -*-*-*-*-*-*-*-*-*- 「ちょっと待ってよ!! SACDの音ってこんなだったの!!」 プリアンプ以降はまったく同じシステムであり、フロントエンドのみをX-01に 変えただけなのに、今ここで起こっている現象を直ちに認めることができずに 戸惑っている自分がいた。 SACDのディスクでもレコーディングからDSD録音というものはクラシックでは タイトル数が少ないものだが、二年前にバーミンガム・シンフォニーホールで DSDレコーディングされたこのディスクにこれほどの情報量が記録されていた というのは今初めてわかったのである。 先ほどのP-0sを核とするフロントエンドのコンポーネントだけの総額でもG-0s を除いて575万円である。それが125万円のX-01に対して大敗をきっしたのだ。 先ほどのフロントエンドで、それだけを聴いている分にはふむふむ…とうな づける音質であったのだが、それはバーミンガム・シンフォニーホールの 照明が半分しか点灯していなかったのではないかと思わせるほどの違いなの である。X-01で同じ曲を聴き始めると、そうとしか思えなかった…。 コントラバスと低音の打楽器のリズムが右奥から響いてくる導入部が始まった 瞬間に、そのエコー感がStradivari Homageの後方に三倍以上の持続感をもって ステージの奥行き感を提示してくる。オーケストラの背後にしっかりした壁 があって、そこから反射してくる低域の楽音に生命力が宿ったように段違い の描写力がはっきりと認識される。 諏訪内晶子のソロがセンター左よりから浮き上がってくると、ホール全体の 照明が明るくなっているために、余韻のあり方は彼女の影がステージの上に くっきりと描かれるほどに音源とエコー感のセパレーションが明確になった。 それは同時に彼女のシルエットがより鮮明になり、かつStradivari “Dolphin” の放つ音量感が空間における支配力を高め、バックのオーケストラとの前後の 対比が比較にならないほど明確になる。これは絵画の中に描かれた諏訪内が 一人だけ彫像としてオーケストラの前面に立ち姿を見せたようなイメージで あり、言葉を失ったまま演奏が続いていく。 やがて金管楽器がステージ後方から駆け上がるような勢いでティンパニーと 絡み合うようにしてフォルテを奏で、諏訪内のソロはささやくようなアルコ に移行するのだが、そのときもヴァイオリンの陰影が驚くほどに鮮明になっ ているので希薄な印象を受けることはない。抑えた演奏がこれほど輪郭を 崩さずに再現できるとは思ってもいなかった。 「私がこれまでに聴いたSACDの中で最高の音質だ!!」 単純に、かつ自信を持って言い切れる!! どうしてこんなに違うのか!? ふと、思いつくところに8N-PC8100の存在があった。今まではX-01にもG-0s に関しても、これほどの情報量があるとは他社の電源ケーブルで聴いてきた 記憶にはないのである。 これを逆説的に考えれば、P-0sはHybrid LayerでSACD Layerの奥にあるCD Layer から反射効率の悪い信号をピックアップしているというデメリットが直ちに 音質比較で鮮明になったということだろう。 http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/oto/oto52-01.html 上記の随筆で述べているところから抜粋すると次のようになる。 「光線の話題が出たところで、CDがDVD/SACDに勝っているポイントがひとつ だけある。レーザー光線をディスクに照射したときの反射率である。 DVD/SACDではSingle Layerでは45%から85%、Dual LayerとHybrid Layerでは 18%から30%という反射率なのに対してCDでは約70%ということで、 Dual/Hybrid Layerに記録されたCDフォーマットやマルチチャンネルなどのピックアップに 比較して一律に良い条件であると言えるだろう。」 このように、いかにP-0sと言えども反射率の低いピックアップでは不利なのだ。 と、すればSACDの素晴らしさが8N-PC8100によってこれほど魅力的に引き出される というのであれば、X-01をセパレート化して8N-PC8100を使用したら一体どんな 究極のSACDの音質が実現することだろうか!? ここで、また私は意地悪にも確認のためにX-01の電源ケーブルを他社のものに 取り替えて同じシステムで同じ曲を同じボリュームで聴きなおした…!? 「あ〜、やっぱりそうなんだ!! X-01を8N-PC8100がこれほど光らせていたんだ!!」 Stradivari Homageは前述のようにフランコ・セルブリンの感性をそのままに 受け入れて楽しみたいスピーカーと考えていたが、それはスピーカーに届けら れる情報量の格差の違いを聴き手に隠してしまうということではないのだ。 フロントエンドの電源ケーブルの違いを克明に再現する分析力を備え、Stradivari Homageがどのようなコンディションで再生されているのかということを使い手に はっきりと知らせてくれるのである。 Stradivari Homageを楽器とすれば、それを演奏する人間の技量と感性によって、 同じ楽器とは思えないような変貌を遂げるということの端的な現れである。 -*-*-*-*-*-*-*-*-*- さあ、ここでもう一つ確認しなければならないこがある。Hybrid Discの二層の どちらの再生をするかでハンディギャップが発生するのであれば、各々のフロン トエンド両方とも普通のCDで比較したらどうか!? ということである。 そこでの選曲は最近のリファレンスとなってから、私がテストに使用する曲の 定番となったセミヨン・ビシュコフ指揮、パリ管弦楽団 ビゼー「アルルの女」 「カルメン」の両組曲から(PHCP-5276)1.前奏曲8.ファランドール10.アラゴネ ーズ15.ハバネラといつものトラックを聴き始めた。 「ほほ〜、そうなんだ〜!!」 先ほどのような大きな違いは直感的に感じられず、良い意味でdcsの個性が 再び漂ってくるようである。P-0s本来の解像度と情報量の素晴らしさが安心 感ともに蘇ってくるような比較であり、X-01+8N-PC8100が絶対的優位という 印象は薄らいでくれた。 しかし、それを自分自身に無理やり納得させたとしても、X-01+8N-PC8100を 合わせて155万円という現実を考えると、これは尋常ではないだろう。 3.電源とマスタークロックの貢献度を比較すると 日々皆様から貴重なご意見とレポートを頂戴しているが、最近もっとも敏感 に反応されたあるお客様のレポートが印象に残っていた。 http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/fan/hf_hear0168.html このなかでX-01に対する貢献度としてG-0sと8N-PC8100のどちらが大きいか という視点である。基本的には私もこのT H様と同様な結論なのだが、先ほど じっくりと比較をしてみた。 フロントエンドはX-01を使ったシステムで、選曲は諏訪内晶子の同じものだ。 ここで、X-01の電源ケーブルを他社製の一般的なものにした状態で、G-0sで マスタークロックに同期させた状態と使用しない状態を比較したのだが、これ は過去に何度も経験しているようにすべてのパラメータでG-0sの貢献度が 素晴らしく発揮されていた。下記はご参考まで。 http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/240.html 次に行ったのはG-0sを一切使用しないで、一般的な電源ケーブルと8N-PC8100 の比較を行ったのだが…!? 「これって本当だろうか!? 」 と自分の言葉を抑制しなければ自分の営業に不利になるのではと危機感を 持ちながら、しかし事実なので慎重に言葉を選んで表現すると…。 G-0sがない状態で8N-PC8100に切り替えた時の音質変化、総合的なクォリティー としては、先ほどの一般的な電源ケーブルでG-0sを同期させた時よりも この時の8N-PC8100による貢献度の方が微妙だが勝っているのである。 G-0s 120万円 8N-PC8100 30万円 (^^ゞ この対比を投資効果として考えた場合には8N-PC8100に軍配が上がったのだ。 どちらが効率の良い音信向上の手段かと言えば、私は迷わず8N-PC8100を 推選するだろう。だって、ここで比較試聴すれば誰でもわかってしまうこと なのだから…。ただ、これはどちらか一方を選ぶいう場合である。 ここのように、G-0sもX-01も両方ともに8N-PC8100を使っての演奏では単独 採用の四倍くらいの情報量の拡大と感動があることは言うまでもないが^_^; -*-*-*-*-*-*-*-*-*- スタジオモニター顔負けの敏感さがStradivari Homageという優雅なフォルム から発揮され、デリケートな判定にも十分対応できる描写力があるということ が聴き込むにつれてStradivari Homageの新たなる魅力として実感されてきた。 そして、8N-PC8100の潜在能力がコンポーネントに与える影響力の大きさが 時間を経るごとに確認されてくるのである。そして、同時に250本という限定 本数の残りも少なくなっていくのである。くれぐれも後悔なきように…!! |
このページはダイナフォーファイブ(5555):川又が担当しています。 | |
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