発行元 株式会社ダイナミックオーディオ 〒101-0021 東京都千代田区外神田3-1-18 ダイナミックオーディオ5555 TEL 03-3253-5555 / FAX 03-3253-5556 H.A.L.担当 川又利明 |
2025年4月2日 No.1794 Grandioso N1Tを通じてH.A.L.レベルのネットワークオーディオ研究その.2 |
Grandioso N1Tを通じてH.A.L.レベルのネットワークオーディオ研究その.1 https://www.dynamicaudio.jp/5555-7F/news/1793.html 上記にて次に私が取り組もうとしている課題はイーサネットRJ45/LANケーブルに おけるハイエンドクォリティーの追求という課題です、と結びましたが続編です。 Grandioso N1Tのセッティングとネット環境は前回と同様であり、今回の試聴に 関しても再生音の特徴を出来るだけ客観的に説明しようという考え方も同じ。 今回の試聴に当たり、DELAのリファレンスネットワークスイッチ「S1」に関して 次の項目にて事前の実験を行い今後の試聴に対して決定した条件を記しておきます。 https://www.dela-audio.com/product/s1/ [S1の電源ケーブルに関して] 前回の試聴ではTransparentのXLPC2(税別¥382,200.)を使用していましたが、 他のGrandiosoシリーズで使用している同社OPC2(税別¥958,200.)に切り替えたところ、 情報量が格段に増加し楽音の質感にも大きな変化があり、今後の試聴ではOPC2を S1に使用する事にしました。 [S1に対する10MHzクロック信号に関して] こちらは前回の試聴では最初から行っていましたが、改めてクロック信号の有無にて 比較試聴し、音像の質感や音場感の情報量に顕著な違いを確認した事を現時点で明記。 また、クロック用BNCケーブルをESOTERICの7N-DA6100II BNC 1.0m(生産完了品/税別¥250,000.)と Y'Acoustic System Ta.Qu.To-BNC 1.0m(税別¥350,000.)にて比較し、ネットワークスイッチ 「S1」のパフォーマンスを発揮させるためにも、今後はTa.Qu.To-BNCに固定して試聴していく という点を重要項目とて確認しました。 https://www.dynamicaudio.jp/5555-7F/news/1623.html ■使用した課題曲とフォーマット 1)溝口肇「the origin of HAJIME MIZOGUCHI」より「14.帰水空間」 https://www.sonymusicshop.jp/m/item/itemShw.php?site=S&ima=3355&cd=MHCL000010099 http://www.archcello.com/disc.html RoonサーバーによるQobuzとTIDALにてFLAC 96KHz/24bitのファイルを使用。 ディスク再生では上記リンクのハイブリッドディスクにてSACDレイヤーを再生。 2)大貫妙子「ATTRACTION」より「1.Cosmic Moon」 https://www.universal-music.co.jp/onuki-taeko/products/upcy-7103/ RoonサーバーによるQobuzとTIDALにてFLAC 96KHz/24bitのファイルを使用。 ディスク再生では上記リンク(UPCY-7103)のSHM-CD仕様を再生。 3)マーラー交響曲第一番「巨人」第二楽章(Normal CD) この写真で録音の古い順に左上から[1]右へ[2][3]、下段の左から[4][5][6]となる。 この中から定番の選曲で小澤征爾/ボストン交響楽団の1987年録音[3]から第二楽章。 https://www.dynamicaudio.jp/s/20210519123606.jpg RoonサーバーによるQobuzとTIDALにてFLAC 44KHz/16bitのファイルを使用。 https://store.universal-music.co.jp/product/uccd4783/ ディスク再生では上記リンクの再発売ではなくオリジナル盤Philips-422 329-2を使用。 参考リンク : https://qr.paps.jp/8KVJi ■イーサネットRJ45/LANケーブルの比較試聴手順は次の通り Act.1 エイム電子NA2-020 RJ45/LANケーブル 2.0m (税別¥14,000.) https://aim-ele.com/product/detail/na2 ★下記3機種をグループAとします。 Act.2 JORMA ETHERNET REFERENCE 2.0m (税別¥362,000.) http://www.cs-field.co.jp/brand/jorma/products/ethernetref.html 参考として1.0mでは(税別¥310,000.) Act.3 Shunyata Research Sigma X(Ethernet)2.0m (税別¥505,000.) https://taiyoinc.jp/products/shunyata/digital_cables/index.html 参考として1.5mでは(税別¥491,000.) Act.4 NORDOST VALHALLA2 Ethernet Cable 2.0m (税別¥577,000.) https://www.electori.co.jp/nordost/net_2VH.html 参考として1.0mでは(税別¥510,000.) ★下記2機種をグループBとします。 Act.5 Siltech Double Crown(S10) LAN(RJ-45)2.0m (税別¥872,000.) https://www.noahcorporation.com/brand/siltech/ 参考として1.0mでは(税別¥584,000.) Act.6 Crystal Cable da Vinci network 2.0m (税別¥1,080,000.) https://zephyrn.com/crystal-connect-da-vinci-audio-cables/ 使用したデモ機は1.0 mで(税別¥720,000.) Act.7 これらの最後に同じ曲をGrandioso P1XSEで聴き直しました。 ■グループAの分析と評価 前回のネットワークオーディオ研究その.1で述べているように、ESOTERICの 独自規格であるES-LINK5にて伝送されるGrandioso N1TとGrandioso D1XSEに関しては ストリーマーという機能にてパッケージ化されたセット商品として考えられる。 そして、トランスポートに保管された信号を出力するという事ではなく、 インターネットから連続的に信号を受信するストリーミング再生という方式では、 ネットワークスイッチ「S1」というネット環境の末端を固定しておくという事で Grandioso N1Tへ入力するケーブルの規格と品位が以降にもたらす音質決定要素の 最上流であると考えられます。 私は以前からオーディオ信号は一切伝送していない電源ケーブルやクロック用 BNCケーブルによって、音質の変化が起こっている事を長年に渡り経験してきました。 今回比較したRJ45/LANケーブルによってつながれたネットワークスイッチ「S1」と Grandioso N1T双方の通信速度は1Gbps(10億bit/s)という古来のオーディオ知見では 想像もできなかった膨大かつ高速な情報処理が行われている伝送経路であり、 もはやそこには音声信号の波形というアナログ的イメージは微塵もない。 そんな領域で高価なGrandioso N1TとD1XSEに対してSFPケーブルによる音質変化を 体験した後に、価格として数百円程度から存在するLANケーブルにおける影響力とは どんなものなのか、ネットワークオーディオの導入にあたり私の興味関心が高まった。 ただ上記のAct.1からAct.7まで三曲の課題曲で21通りの寸評を述べる事には無理があり、 私の語彙では語り尽くせないものであり正確さも欠けてしまうと思いました。 よって今回はRJ45/LANケーブルに対する投資効果という結論を私がどのように感じ 導き出したかという経緯を、対象ケーブルをグループ化することでまとめてみました。 先ずはAct.1 エイム電子NA2-020からAct.2 JORMA ETHERNET REFERENCEに切り替えた 時の変化量の大きさに驚きました! そもそもGrandioso N1Tの第一声はAct.1でのものであり、これだけ聴いている分には 何の不満もない第一印象だったのですが、Act.2で溝口肇の「14.帰水空間」で例の ドラムが始まった時の変化は想像以上のものだったのです。 ドラムの音像は引き締まり質感も濃厚かつ緻密になり、重量感が増した音色に感動し、 その後に展開する様々な楽音に関しても個々の描写力が格段に向上する変化に驚きました! 価格の対比を見れば当然と思われるかもしれませんが、前述のSFPケーブルにおいて DELAのC1-D20-J(Direct Attach Cable)で起こった変化と同方向のベクトルと言える 音像と音場感の両方の変化が確認できたのです! ただし、C1-D20-Jとは異なる要素も同時に確認できました。 それは楽音の輪郭表現では同ベクトルといえるのですが、音像の中身というか質感、 音色という構成要素においてSFPインターフェースの傾向とは少し違うという感触です。 光の色を表す単位を色温度(K:ケルビン)という表現があり、電球色・温白色として 2000Kから3000Kという区分があり、蛍光灯や高輝度LEDなどの昼光色・昼白色として 5000Kから7000Kという人工光源の区分がありますが、同様なイメージで「音温度」と 造語で言い換えれば私が感じた印象を伝えやすいかもしれません。 参考リンク https://www.endo-lighting.co.jp/hikariiku/knowledge/15198/ https://www.e-hasegawa.co.jp/ceo-169/ C1-D20-Jで感じたイメージを昼光(白)色として基点にするならば、Act.1から始まった RJ45/LANケーブルでは電球色・温白色へと変化していったというイメージなのです。 では、同じLANケーブルでもAct.2以降の高額なケーブルで起こった変化はどうかというと、 同様な比喩を用いれば輝度(cd/u:カンデラ/平方メートル)の変化と例えられるのでは ないかと考えました。光源面からのある方向への光度を、その方向への見かけ上の面積で 割った値を輝度と呼ぶ。つまり、同じ光度である場合は、点光源に近いほど輝度が高くなる。 音温度という比喩において、Act.2 JORMA ETHERNET REFERENCEに切り替えたとき、 電球色・温白色への傾向変化を前提にして、各楽音の描写力という観点で輝度が高まり、 楽音の質感に対する解像度が高まったというイメージなのです。言い換えれば点光源に 近づき音像サイズは縮小し楽音内部が明るく照らし出されるイメージで分解能が高まった。 そして、上記のようにAct.2からAct.4までをグループAとしましたが、その三機種において 音温度という変化の方向性は共通なのですが、前記の輝度に例えた質感の微妙な違いを 私は確認していったのです。 それはAct.3 Shunyata Researchに切り替えた時に感じたのですが、Act.2 JORMAでは 光が当たる面積を縮小する傾向があり、楽音の核というか中心点に対して音の情報に 求心性があるように思え、楽音の個々の質感と音色に関しての解像度が高まる方向性。 Act.3 Shunyata Researchでは照明器具に散光型という分類があり、スポットライトの ように小面積に集中した光を当てるのではなく、広範囲に分散した明かりをもたらすと いうイメージと言ってよいと思います。 楽音そのものにスポットを当てるのではなく、楽音が発した響きと余韻を音像の周辺に広げ 拡散していく傾向があり、音場感の豊かさという見方では大変魅力的な傾向を感じ取りました。 ここで一言述べておかなくてはなりませんが、上記の各社LANケーブルの傾向というものを 私はデフォルメして述べているものであり、当フロアーの環境とシステム構成において 私の耳と感性にて感じた印象であるということです。両者に品位の上下はありません。 さて、Act.4 NORDOSTです。これ単体で試聴したら何と説明したら良いか悩んでしまう ところでしたが、前述の説明にて二社のLANケーブルに関する分析を述べましたが、 このNORDOSTに関しては正にAct.2とAct.3の中間的な傾向があると言えると思います。 音像に対する音の情報量が求心性をもって楽音の中身に対する解像度を高めていくという 能力は最初の一音から私を納得させ、課題曲が進み多様なスタジオ録音の明確な音像の 内部における描写力に感心しつつ、その後に空間に拡散していく残響成分の表現力が 絶妙のバランス感覚でホール録音の空間再現に威力を発揮していると感じられたのです! 私は以前からオーディオにおける各種ケーブルに関して、駄目なアンプを巧く鳴らす ケーブルはない、ダメなスピーカーを蘇らせるケーブルなどない、優秀なケーブルとは コンポーネントやスピーカーの潜在能力を引き出す存在でしかないと言ってきました。 つまりはコンポーネントやスピーカーの存在が先行するものであり、ケーブルの吟味は その次の課題という順番であるということです。 しかしながらネットワークオーディオの世界では商品数はまだ少なく、技術的にも 未開拓な要素が多々あり、その分野の製品を現時点で位置づけるということは中々に 難しいものだと思っているのですが、逆に言えばネットワークオーディオの信号源と なるインターネットから取り込むデータの経路となるケーブルに関して、今の時点で 研究しておかなければ各種コンポーネントの評価を下せないのではと痛感しました。 今回のようにオーディオ信号とはかけ離れたデータを伝送しているLANケーブルにおいて、 このようにパフォーマンスの大きな違いがあるという事、それを承知していなければ ネットワークオーディオの製品を分析評価出来ないだろうという有意義な勉強をする ことができました。まだグループAだけしか語っていませんが、この収穫は大きいものです! EST.1965記念企画 H.A.L.'s Listening Session Special Act.2 https://www.dynamicaudio.jp/5555-7F/news/1792.html 私の試聴では曲の最後まで聴くことにしていますが、時間の都合により上記の試聴会では 課題曲の冒頭から二分間だけの再生を行い、私が体験したことを参加者の皆様にも提供し、 試聴の順番に従って挙手によって二者択一にて各社ケーブルの人気投票をして頂きました。 ご参加頂きました皆様には改めてお礼申し上げます。 そして、これほど贅沢で非常識な価格帯のLANケーブルの一挙比較試聴という経験も他では 出来なかっな体験ではないかと思います。 その時の参加者の皆様の二者択一によって評価が高かった順番はというと…、結論から 言えば、きっちりと価格によって得票数が高くなったというものでしたが、グループBとして 私が分類した二社は別格だったのです! ■グループBの分析と評価 さて、次のグループBの感想を述べる前に私の信条とする要素を再確認しておきたい。 以前には次のように述べていました。 「CD/SACDにしてもミュージックサーバーでもトランスポート内部で生成された デジタル信号を出力するに当たり、そのクォリティーは出力側と伝送方法、 そして受信する側という三者において特定できるものであり、その三要素の 変更によって起こる音質変化は選択の上で固定できる価値観があると思うのです。 そこで音楽を再生するための大元のデータとしてディスクか蓄積されたファイルか という二者に関して言い換えれば、トランスポートという役割の製品においては 内部に保管されているデータを出力すれば良いので、そのデータは品質管理された ものであり固定されたものであるという考え方が出来ると思うのです。」 何が言いたかったかというと、私は当フロアーで実演する音質に関してのソースとして CD/SACDをリファレンスとしてきた根拠を再確認するものであり、それに勝る音質を 実感出来なかったということでネットワークオーディオ関連のソースを音質的基準と して採用して来なかったという経緯があったということです。 つまりプリアンプまたはDACの入力信号の選択肢が一種類多くなったということは 認めるものの、それを直ちにアンプやスピーカー他の音質判定の基準となるような 品位としては認めてこなかったというこだわりがあったのです。 ここでもう一つ私のこだわりを述べてみると、スペックの数値が高いから音がいい、 という考え方はしておらず、先ず音を聴いて自分の耳と感性で評価し認めた後に 性能表記の数値を見たら優秀なものであったという経験が重要だと考えています。 そんな私の経験から記憶をたどれば1997年に登場したESOTERIC P-0から始まり、 その進化系としてP-0s、更に2002年にはアップコンバーターを内蔵し私が50台 限定生産として独占販売したP-0s+VUK-P0というCDトランスポートがあり、 更に2004年にはP-01+D-01へと進化していったものです。 https://www.dynamicaudio.jp/5555-7F/news/314.html そして2013年、現在へとつながる初代Grandiosoシリーズが発表されました。 https://www.dynamicaudio.jp/5555-7F/news/1077.html https://www.dynamicaudio.jp/5555-7F/news/1085.html このように長きに渡り私の音質基準はCD/SACDというソースであったわけですが、 前述のようにディスクトランスポートとDACの関係において、最新のES-LINK5では 基本的な信号処理と伝送方式がどうなっているのかを調べてみました。 まず最初にDACの代表的なD/A変換方式には次の三種類があるということ。 最もスタンダードで歴史のあるマルチビット型、SACDの登場から注目されてきた1bit型、 そして、Grandioso D1XSEのMaster Sound Discrete DACで採用されたマルチレベルΔΣ型と 大きく分けて三種類のD/A変換方式があるということを名前だけでもいいのでご記憶下さい。 ■Grandioso P1XSE⇒D1XSE(マルチレベルΔΣ型DAC)における信号処理の概略 P1XSE:【CD】⇒<44.1kHz/16bit>⇒【UPCNV】⇒<352.8kHz/48bit>⇒ES-LINK出力<352.8kHz/48bit> D1XSE:ES-LINK入力⇒【ΔΣモジュレーター】⇒<22.5792MHz/9値(3bit+α)>⇒【D/A】⇒<アナログ信号> [注記:カタログ表記のD1XSEの64bit/512FsはΔΣモジュレーターのスペック] HDMIケーブルを使って、DSD、または352.8kHz/48bit PCMの超広帯域デジタル伝送を行う 独自の伝送フォーマットES-LINKが初代Grandioso P1で採用され、上記のように私の耳と 感性で音質の素晴らしさを確認したものですが、普通のCDをこのような高次元データに 変換しているという事が、流行し始めた「ハイレゾ」というファイル再生に対して私が 直ちに移行していかなかった理由でもありました。もちろん聴いてからの判断です。そして… ■Grandioso N1T⇒D1XSE(マルチレベルΔΣ型DAC)における信号処理の概略 [注記:N1T内蔵のアップコンバーターを使用せずハイレゾ最高値96kHz24bitファイルの場合] N1T:【96kHz/24bitファイル】⇒<96kHz/24bit>⇒ ES-LINK出力<96kHz/24bit> D1XSE:ES-LINK入力⇒【Digital Filter】⇒<384kHz/48bit>⇒【ΔΣモジュレーター】 ⇒ <22.5792MHz/9値(3bit+α)>⇒【D/A】⇒<アナログ信号> 以上の信号伝送の実態を見て気が付かれたと思いますが、Grandioso D1XSEのDACに 対して入力されるのはCDでもファイルでも結果的には22.5MHzにコンバートされた 信号であるということなのです。 私はCD/SACDというデータの大元が確立されているという利点を重要視して来ましたが、 上記の信号経路の最上流にあるということで音質決定されるという安心感でもありました。 それは言い換えれば動かしがたいディスクという存在感の特定でもあったわけです。 前置きが長くなってしまいましたが、そんな私の既成概念が覆される可能性を秘めた 体験がAct.5 Siltechによって引き起こされたという事なのです。どういう意味か!? Grandioso P1XSEにおけるデータの根源はCD/SACDというディスクであり、その手前には 何もないのですが、Grandioso N1Tが<96kHz/24bit>を受け入れる経路に想像以上の音質 変化、いや、可能性をもたらすケーブルが存在するということなのです! 海外のdCSやMASというデジタル再生に特化したブランドにおいて、最近は数千万円という 途方もない価格のD/A変換機能を持つ製品が登場し、それら各社の新製品はまだ未体験なので コメントは出来ませんが、私が長年リファレンスにしてきたESOTERICのデジタル再生において、 CDでもファイルでも22.5MHzにコンバートされた信号がDACに入力されているという大きな 要素を前提にして、ファイル再生の分野でハイエンドと言える音質の可能性をグループBの LANケーブルにて確認したのです! -*-*-*-*-*-*-*-*-*- Act.5 Siltechに切り替えてiPadで課題曲をタップした瞬間からでした…! 1)溝口肇「14.帰水空間」FLAC 96KHz/24bit 「グループBとして私が分類した二社は別格だったのです! 」という言葉は、この曲の 冒頭から響く三種のドラムが鳴り始めた瞬間に証明されました! 各々に音色と質感が左、右、センターに定位し順繰りに打ち出されるドラム。 今までのLANケーブルでも相当に高品位な音質ではありましたが、黒の水彩絵の具で 描かれていた黒点と例えれば、その周囲に薄く淡く残響のグラデーションが見られ、 周囲に余韻となる響きの情報を拡散していく描写を克明に示していたものでした。 ところが、Act.5 Siltechにしたとたん、その黒点の中心部に黒の油絵の具を太い絵筆で 塗り重ねたように重量感と重厚さを加えた打音へと変化したのですから驚きです! しかも、黒光りする艶のある表面の肉厚感がリアルさを増強し迫力を見せつけ、 最も素晴らしいと思ったことは水彩絵の具が周囲に広げていった余韻の情報量さえも 増強し空間表現にも大きく貢献しているということ!これはいいですね〜! キーボードが背景に描き出す神秘的な響きのオーラも濃密感を増し、高音階の細かい パーカッションの一粒ずつの響きが逆に明るく輝きだすのですから堪らない!いい! 透き通ったベルの長い余韻がす〜っと空間にたなびいていく描写力にうっとりです! そしてチェロ。曲によって異なる人格のようにスタイルを変える溝口肇のチェロは 虚空に浮かび、前例で語った音像への求心性によって濃厚な音色を発揮しつつも、 弓のひと引きによって奏でた濃密な弦の響きがセンターから左右両翼へと広がる パノラマチックな音場感を展開する痛快さ!気持ちいいの一言に尽きる快挙です! ネットワークスイッチ「S1」とGrandioso N1T双方の1Gbps(10億bit/s)という領域で 交わされる通信によってセンターに描かれるウッドベースはたおやかに響き渡り、 キーボードが醸し出す寛ぎの音空間に包まれて登場したマリンバの質感が絶妙! マレットが踊るように左右に展開し、間違いなく木製だと感じさせる鍵盤の質感が 小気味よく空間に跳ね回る情景をため息交じりに眺めてしまう心地よさ!これいい! 再びチェロが旋律をたどり次の出番というステージを拵えるとピアノが登場する。 ピアニストの右手の指をクローズアップして見せられたように錯覚するほど鮮明な 打鍵の連続が華麗に空間を駆け回る有様に、これは未体験の音だとラベリングした! 終始つづくドラムは冒頭の音量から絞られているものの、この曲の骨格となって 各パートの演奏に定位する場所を指示しているもので、スタジオ録音ながら巧妙な ミックスダウンの技前をしっかりと再生音に定着させるAct.5 SiltechとGrandioso N1Tとの共演に私は心中で拍手喝采していた!これ素晴らしいです! 2)大貫妙子「ATTRACTION」より「1.Cosmic Moon」FLAC 96KHz/24bit 2016年に発売されたSHM-CD仕様のリマスター盤を文字通りディスク再生した事があり、 この曲の詳細は下記にて述べていますので参考にして頂ければと思います。 https://www.dynamicaudio.jp/5555-7F/news/1788.html そして、同じアルバムをLPレコードでもコレクションしているので、以前には アナログとデジタルの比較試聴もした事がある課題曲を今度はファイル再生。 曲の冒頭は雷鳴と雨音から始まるのですが、そのSEの雷鳴が前曲同様に重量感を高め、 しかも響き渡る空間スケールが見事に拡大している事を最初に直観しました!凄い! Act.5 Siltechがもたらした壮大な大自然の音風景を展開させた次の瞬間、サンプリング による低音のリズムがセンターに湧き起るのですが、重厚な低音はアコースティックな 前曲のドラムと違い極めて低い周波数を含み、個体感のある打音ではなく正に湧き起る という表現にふさわしい量感と広がりをもってサウンドステージを構成するのです。 この空間に噴き出したかのような低音においても、前曲で述べた音色と質感の変化を 確実にトレースしており、ずっしりと耳で感じる重量感で響き渡るという予測が的中! そして、右チャンネルのHIRO Acousticが発したシェイカーの質感が更に私を驚かせた! 前曲のパーカッションやピアノ、マリンバの打音などで感じ取っていた質感の変化が、 ここでも威力を発揮しているのか、シェイカーの中で跳ね回る粒子の一粒ずつに質量が 認められるような実態感が4メートル先の空間で提示され、シンプルな楽器なのに変化量が 大きいことに驚く!この音…、CDでもLPでもなかったと記憶を探る私はしばし固まる。 すると左チャンネルからは鋭く叩かれるサンプリングによるスネアドラムが炸裂し、 その余韻が右方向へ飛んでいく残響の移動感を目の当たりに見せつけていく!いい! 大貫妙子のVoicesがCosmic moonへと続くシンプルなワードを空間に浮かび上がらせ、 日本語の二行の歌詞が幻想的につぶやかれると男性のVoicesが彩りを加え、短い パッセージのピアノが煌めき、センター奥の空間に出現するアコースティックギター には巧妙なリバーブが施され、スタジオで造形されたサウンドステージを忠実に 私の眼前で展開する!このしなやかさを感じる音とはLANケーブルによるものか? 多彩な楽音による旋律の流れとビートのきいたリズムセクションの巧妙な組み合わせが、 以前の記憶とは異なる興奮と感動へと昇華したのはGrandioso N1TのせいかSiltechのせいか? 3)マーラー交響曲第一番「巨人」第二楽章 FLAC 44KHz/16bit 冒頭の弦楽五部の合奏が始まった時に、第一、第二バイオリンの内部の音色の違いを感じ、 ビオラ、チェロの共演部の詳細な音質を提示する描写力の変化に戸惑う!これ凄いこと! 右手奥からのトランペットは輝きながらも眩しさはなく爽快に空間に残響を広げていき、 時折空間に浮かぶ木管楽器のディティールを大事に丁寧に聴かせる配慮に感心する。いい! スタジオ録音の課題曲で分析してきた変化の各項目がオーケストラにおいても忠実に プロットされ、この上なにを語ればいいのかと私に反問してくるSiltechが憎らしい! 同じマスターテープから各種の信号変換方式によってパッケージ化された音楽が、 アナログにおける磁気テープと機械的振幅によるLPレコード、デジタルにおける 光ディスクとデータファイルという伝達手段において、各々が持つ音質変化の要素が 多数あることを承知しつつ、1Gbps(10億bit/s)という領域で伝送されるファイル再生に おいてLANケーブルが果たす役割と音質変化の実態に私は大きな感動と驚きに打たれた。 各種メディアによる音楽再生において、オーディオシステムの構成要素に方程式が あると例えれば、等式の左辺と右辺の定数をコンポーネントとすれば変数{X}とは何か? 私は今回の試聴を通じてネットワークオーディオのコンポーネントを研究していく つもりではあるが、その定数をしっかりと分析評価するためには変数{X}として LANケーブルという存在を十分に研究し理解する必要があると実感したのです。 ホール録音のオーケストラにおいても、他の課題曲で感じ取った各種LANケーブルによる 変化を学習し、職業的感覚において音質の変化をもたらす変数{X}を小澤征爾と ボストン交響楽団の録音に当てはめた時、私の頭には既に音の方程式の解があったのです! さて、グループBにはもう一つAct.6 Crystal Cableがありました。 フラッグシップモデルTriple Crownと同じ単結晶銀“S10”を採用し、6本の導体を 六角形(ヘキサゴン)に配置するSiltech Double Crown。 同様な銀線素材としてInfinite CrystalSilver(iCS)コンダクターをコアに採用し、 シールドには同素材の細密線を撚り合わせるという原理のCrystal Cableも素晴らしい。 経営母体はSiltechと同じであり、姉妹関係のブランドであり、当然私も同じ時間を かけて試聴してきました。 ただ、Act.6 Crystal Cableの評価を語るとすれば、Siltechとの共通項があまりに多く、 私の語彙の未熟さから同じ文章量で語るのは難しいと考えて、要約すれば次のような 表現でご理解頂ければと思います。 「黒の水彩絵の具で描かれた黒点の中心に黒の油絵の具を太い絵筆で塗り重ねたような」 水彩絵の具による周辺に広がっていく余韻感という情報は同じくして、塗り重ねた 油絵の具の濃さが微妙に薄く淡く感じられるイメージと言ったら良いでしょうか。 その濃淡に聴き手の好みが表れるものと考えられ、大変に高価なLANケーブルの選択を 試みる時には実際に比較試聴されて皆様個々の結論をお出しになれば良いと思うのです。 -*-*-*-*-*-*-*-*-*- さて、上記には下記の一節もありました。 「そんな私の既成概念が覆される可能性を秘めた体験がAct.5 Siltechによって 引き起こされたという事なのです」 そして、次の一節もありました。 Act.7 これらの最後に同じ曲をGrandioso P1XSEで聴き直しました。 私の既成概念とはディスク再生の優位性ということでしたが、これに対して 「可能性を秘めた」という表現をしていました。 最後にP1XSEで聴いた結果、どちらを最高位として位置づけたのか!? 微妙な違いはあるのですが、ここで結論を述べることは差し控えたいと思います。 でも、これだけは言っても良いでしょう。 「ディスク再生とファイル再生の優劣を議論する時代ではなくなってきた」 ただし、条件付きです。 今回のようなLANケーブルの価値観を知ってしまった以上、見過ごすことの できない要素があるという事実があるということです! |