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H.A.L.担当 川又利明
    
2025年2月24日 No.1793
 Grandioso N1Tを通じてH.A.L.レベルのネットワークオーディオ研究その.1

■ティアック株式会社プレミアムオーディオ事業部より 2025/02/10 (月) 19:24
 Grandiosoシリーズ初のネットワーク・オーディオ・トランスポートGrandioso N1Tを新発売
 https://www.esoteric.jp/jp/product/n1t/top

「シリアルナンバー10001のESOTERIC Grandioso N1Tを川又はどう料理するのか!?」
 https://www.dynamicaudio.jp/5555-7F/news/1790.html
 
機械的なアイソレーションに関してはRELAXA 830を使用、付属電源ケーブルは
使用せずにTransparentのXLPCを採用したのはもちろんの事。
https://www.dynamicaudio.jp/s/20250210172250.jpg

当店4FのYAMAHAのルーターからNETGEAR社のHUBを経由して当フロアーにオーディオ専用
LAN回線を敷設し、TOPWINGのOPT ISOBOXで光アイソレートしてからフロアー内のHUBへ。
https://topwing.jp/opt_iso_box.html

そしてDELAのリファレンスネットワークスイッチ「S1」へ。
https://www.dynamicaudio.jp/s/20250210172239.jpg
https://www.dela-audio.com/product/s1/

Grandioso N1Tにも当然Grandioso G1XからY'Acoustic System Ta.Qu.To-BNCにて
10MHzクロック信号を入力。同時にDELA「S1」にも10MHzマスタークロックを注入。
https://www.dynamicaudio.jp/5555-7F/news/1624.html
https://www.esoteric.jp/jp/product/g1x/top

Grandioso N1Tの出力は広帯域伝送を可能にしたES-LINK5にて、Grandioso D1XSEの
今まで未使用だったES-LINK入力2に接続しているので他の選択肢は現在は不必要。

私は以前にはAurender W20やN30SAで内蔵ストレージに記録されたファイルをdCSや
MSBのハイエンドDACで再生するという事はしてきましたが、これらはミュージック
サーバーとDACが直結されているという状態であり、DACの音質に依存するという事で
ディスクトランスポートと同様な観点にて音質のクォリティーを確認してきました。

その段階でミュージックサーバーとDACを接続する際にAESかUSBで伝送するという
選択はあったのですが、両者の伝送方式において音質的個性は確認していたものの、
どちらの伝送方式であってもDACの音質が支配的であるがゆえに、私としてはケース
バイケースでAESもUSBも試聴システムによって選択すれば良いだろうと楽観的な
見方をしてきました。

つまりはCD/SACDにしてもミュージックサーバーでもトランスポート内部で生成された
デジタル信号を出力するに当たり、そのクォリティーは出力側と伝送方法、そして
受信する側という三者において特定できるものであり、その三要素の変更によって
起こる音質変化は選択の上で固定できる価値観があると思うのです。

そこで音楽を再生するための大元のデータとしてディスクか蓄積されたファイルか
という二者に関しては、取捨選択された個人のコレクションとして所有している
限定的なデータということになるものです。

しかし、私はApple Musicのヘビーユーザーであるということを以前にも述べて
きましたが、Grandioso N1Tでは同様なストリーミング再生という、ほぼ無限大に
ちかい情報量を持つインターネットから音楽データを取り込むという方法論が
前述の音楽データの出力側というトランスポートの位置付けと大きく異なると
考えています。

言い換えればトランスポートという役割の製品においては内部に保管されている
データを出力すれば良いので、そのデータは品質管理されたものであり固定された
ものであるという考え方が出来ると思うのです。

さて、そのような考え方をすると音楽データの出所がインターネットであるとすれば、
しかもダウンロードすることでファイルという形式で保存されているデータを再生
するのではなく、ストリーミング再生というリアルタイムで信号が連続的に伝送され
入力されるストリーマーと称される機能を使用するGrandioso N1Tにとって、インター
ネットから直接に接続されデータを受け入れる経路と方式の吟味こそ音質を特定する
ための第一段階の選択になるのではないかと考えました。

上記にてGrandioso N1T導入初期のネットワーク環境とセッティングを述べましたが、
今後取り組んでいく研究課題のスタートとして、先ず私が注目したのはイーサネット
RJ45端子とESOTERIC初のSFPポートの2つのインターフェースを装備した事でした。

ストリーミング再生に特化したGrandioso N1Tで最初の検証はここです!

2.高品位ネットワーク接続(SFPポート対応ネットワークスイッチを使用)を参照
https://www.esoteric.jp/jp/product/n1t/feature

上記の接続図にあるRJ45/LANケーブルはエイム電子NA2-020(税別¥14,000.)を採用。
https://aim-ele.com/product/detail/na2

SFPモジュール2個と光ケーブルのセットOP-SFP/020(税別¥65,000.)
https://www.dela-audio.com/products/networkswitch/op-sfp/

更にSFPケーブルはDELAのC1-D20-J(税別¥80,000.)の三種類を先ずは比較したのです。
https://www.dela-audio.com/product/c1/

もちろんGrandioso D1XSE以降はES-LINK AnalogによるC1X、M1XそしてHIRO Acoustic
という不動のラインアップであることを追記しておきます。

H.A.L.'s Sound Recipe / ESOTERIC Grandioso E1 & N1T- inspection system
https://www.dynamicaudio.jp/s/20250216143632.pdf

さて、ここでH.A.L.レベルでのストリーミング再生という私としては新規分野の
試聴と分析に取り組むに当たり、以前にも述べた次のような考え方を前提にしました。

             -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

「以前からオーディオマニアは特定の楽器の特定の再生音が変化したという事に
 一喜一憂して、音楽性にたどり着かないナンセンスな議論をしている…という
 風に言われていたことがありました。

 確かに、あの音がこう変わった、あの楽器の、このパートの音質が変化した
 などと近視眼的なこだわりで言い合っているという傾向はあると思います。

 そのような見方からすれば、私が今回…いや、今までに書いてきた文章などでは
 正に特定の再生音に注目しての変化を述べていたという事も事実だと思います。

 しかし、他にどのような方法があるでしょうか。

 交響曲の全楽章を聴いて、それらの音質を数行で、あるいは1ページでという短文で
 語る事でオーディオシステムの音を果たして解説出来るのでしょうか?

 また、音楽ジャンルは問わず、オーケストラの歴史をどれだけ知っているのか、
 指揮者の履歴や実績をどれだけ知っているのか、ジャズやポップスのアーチストの
 バイオグラフィーをどれだけ知っているのか、という知識と情報の多寡によって
 聴いた音を知り得る知識との連携において自己解釈して述べる事が音楽性を語る
 という事になるのでしょうか?

 オーディオシステムにおける音質評価という行為において、聴き手の感性による
 理解と解釈という事を文章によって表現し伝達するという事がいかに難しく、
 ある意味虚しい努力であるとも言えると思うのです。

 では、私が録音されている音の情報を特定の再生音の変化と比較によって語る事に
 どのような意味があるのかという事なのですが、私が述べた音質表現に関しては
 大きな自信を持っています。どうして自信過剰ともいえる物言いが出来るのか?

 雑誌やネットというメディアを通じて、オーディオに関する世の中に存在する多くの
 記事と文章を書いている人々は、自分が書いた文章に関して実際の音として証明する
 義務はなく必要性を求められることはありません。

 そのような責任の所在がない、言うだけ書くだけ投稿するだけという行為に対して、
 私が述べている再生音の各論とも言うべき一つの楽音の変化というものを実際に
 ここで実演して証明できるという事に決定的な違いがあるという事実です!」

             -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

よって、私としては課題曲の全体的な音質変化を語るにあたって、抽象的な文言で
上辺だけの印象のみ述べるのではなく、上記の試聴システムによって後述の選曲にて
感じ取った特定の楽音の変化というポイントにスポットライトを当てて表現して
いくのですが、それら一部の楽音によって察知した変化は他の楽音についても連鎖的
変化が起こっているという事をご理解頂ければありがたいものです。

先ずRJ45/LANケーブルでGrandioso N1Tを聴き始めましたが、第一印象としては
文句のつけようがないクォリティーであった事を最初に報告しておきたいと思います。

そして、ここで注記しておきたいのはDELAのリファレンスネットワークスイッチ
S1という存在です。同社のS100と比較して各項目の情報量は大きく違います。
https://www.dynamicaudio.jp/s/20250210172239.jpg
https://www.dela-audio.com/product/s1/

当然の興味としてディスクトランスポートGrandioso P1XSEで同じ曲で比較すると
いう事も行いましたが、同じES-LINK5でGrandioso D1XSEに入力された音質と比較して
直感できるほど品位の格差はなく、私は両者の違いを耳で感じてはいたのですが、
それを議論のテーブルに上げるほどのものではなかろうと思ったほどです。

そして、どんな選曲で比較すれば良いのか色々と何曲も聴いて行ったのですが、
Grandioso N1Tの完成度をまじまじと見せつけられたようで、上記の三種類の
インターフェースの個性を比較しようとすると中々適切な課題曲を見つけられず、
どれを聴いてもいいな〜と思えてしまい試行錯誤していたのです。

高品位なデジタル再生でインターフェースの違いを引き出そうとしましたが、
どうしても中高域の楽音ばかりに注目してしまい、これぞという選曲が出来ずに
いたのですが、これだったら誰でも解るだろうという曲を遂に見つけました。

最新のデジタル・インターフェースの違いを、どんな楽音でチェックするのかという
経験値を私は急ピッチで学習し、この曲で比較すべきポイントを発見することが出来ました。

             -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

■溝口肇「the origin of HAJIME MIZOGUCHI」より「14.帰水空間」
 RoonサーバーによるQobuzとTIDALにてFLAC 96KHz/24bitのファイルを使用
https://www.sonymusicshop.jp/m/item/itemShw.php?site=S&ima=3355&cd=MHCL000010099
http://www.archcello.com/disc.html

上記の第一印象はエイム電子NA2-020(税別¥14,000.)RJ45/LANケーブルを使用しての
ものでしたが、これを基準としてDELAのC1-D20-JとOP-SFP/020の違いを出来るだけ
客観的に述べていきたいと思います。

★OP-SFP/020による光接続の場合

SFP光トランシーバによってネットワークプレーヤーと光接続することでノイズの
発生源からアイソレーションするというOP-SFP/020は、オーディオ再生にとって
理想的な方式と考えられるのですが、この課題曲で意外な傾向が判明しました。

この曲は以前から述べてきたように左、右、センターとシンセドラムと思われる
無機的ではあるが倍音成分を多分に含む打音が冒頭から最後まで続きます。

このドラムです!

RJ45/LANケーブルに比較して音像が膨らみテンションが緩くなるという変化が
先ず直感されたのです。これは意外でした!

あくまでも14,000円のLANケーブルと比較してという事になるのですが、耳で聴ける
オーディオ帯域とは違い広帯域高速伝送を本意としているネットワークオーディオの
世界観からすれば(多少の先入観もありますが)中高域における変化が大きいのではないか
と推測していたのに、重低音の打楽器において光ケーブルでこんな変化が起こるとは!

光伝送というのは電気的ノイズの干渉がなくなり最も正確かつ広帯域で高速伝送
されるという理屈からすれば、予想されるのは低音楽器の質感はタイトに引き締め
られて張り詰めたテンションへと変化していくのではないかと思っていたのですが
予想に反してまったく逆の変化としか言いようがありません。

このドラムはRJ45/LANケーブルでの再生音に対して音像は1.5倍くらいのサイズとなり、
打音の立ち上がりもゆったりとして質感も軟らかくなったようで、重量感としても
軽く明るい音色へと変化してしまったのですから驚きです。

これがオーケストラなどホール録音の曲であれば、豊かな低音、広がりのある低音と
いう見方も出来るので一概に否定するわけではありませんが、スタジオ録音で音像が
鮮明に収録されていたとしたら、その変化の方向性としてスピーカーの個性と照らし
合わせて聴き手の好みとして許容できるかどうかは選択の問題となるでしょう。

つまりは低域の音像に関して、ゆったり広がりをもって再生するスピーカーを好む
という方であれば好意的な変化で受け入れられることもあるかと思いますが、こと
HIRO Acousticという音楽を裸にしてしまうスピーカーでのあからさまな変化に私は
予想外の戸惑いを覚えたという事になりました。

ただ、このような低音打楽器の変化は他の音階の高い楽音においても共通の変化と
して表れており、チェロはもちろんマリンバやピアノという楽音、パーカッションの
響きにも同傾向の変化があり、これらの残響と余韻感の美しさはRJ45/LANケーブル
よりも魅力的な質感であったという事は言えます。光伝送のイメージに一致します。

言い換えれば、低域から高域に至る全ての楽音で音像サイズは大きくなるものの、
緊張感よりは開放感というような残響が拡散していく空間領域は大きくなり、
ホールかスタジオかという録音環境の空間再現性は極めて透明度の高い余韻を
音楽の魅力として評価したい皆様には光ケーブルのメリットとして推薦出来るものです。

★C1-D20-J(Direct Attach Cable)の場合

銀メッキ AWG24 OFC 単線を採用した金属導体によるケーブル、方式上長距離は
実現しないため短距離に特化。また単線仕様で曲げづらいため2mのみという仕様。

光変換モジュールを使用しないので回路構成はなく、同時にMAC回路と呼ばれる
インターフェースのシグナルパスを経由しないというシンプルイズベストという
正にDirect Attachの発想。

ただし誤解を招かないようにケーブルの硬さということで言えば実用上は問題なし。

30センチくらいケーブルの末端を上に伸ばして持ってみても自立する程度の硬さは
あると思いますので、ふにゃふにゃした質感ではありません。

直径20-30センチ程度に丸めて袋に入っていましたので屈曲性もあります。
このケーブルは下記の写真のように手に持って軽く曲げられる程度のもので、
実際には硬いという印象は受けませんでした。
https://www.dynamicaudio.jp/s/20250223154617.jpg

同じSFPポートを使用する導体仕様のケーブルで何が起こるのか?
インターネットからGrandioso N1Tへとつながるたった一本のケーブルの違いとは!?

すると…またしても、このドラムです!

いやいや、驚きました!RJ45/LANケーブルに比較してぎゅっと引き締まった音像!

RJ45/LANケーブルに比較して音像サイズは三割減という縮小、しかも音像の投影
面積は小さくなるので凝縮され密度感は高まり質感は濃厚となり重量感も増加!

そして打音の立ち上がりはエッジがきいて鋭さを増し、切れ味のいいドラムへと
豹変してしまったのですから驚きです!

この変化は他の楽音にも飛び火してキーボードは切れ味が良くなり空間に閃き、
ピアノのタッチも鋭さを増してテンションが高まってくる。

ベースの音像も引き締まっており重厚さが増し、高音階の様々なパーカッションも
粒立ちが良くなり繊細な響きを撒き散らします!これは気持ちいい!

マリンバのこつんこつんという打音は転がるように展開し、反面シンセサイザーの
作り出す音の屏風のような背景音は残響が軽く舞い上がり再現空間を広大に広げる!

前述のように一つ一つの楽音の変化を言い表しているのですが、これらは他の曲を
聴いても最大公約数的に音質変化を示す方向性としては整合性があり、色々な曲で
聴く再生音の変化に共通した解釈として納得出来る音のベクトルを示すのです!

これも言い換えればオーケストラの弦楽の質感にメリハリが付くことになり、
管楽器の音像がきりっとすることを好まない方々にとってはマイナス方向での
変化として受け取られても仕方ないかもしれませんので選択肢が増えたという
理解にて上記の印象を理解して頂ければと思います。

そして、ここで強調しておきたいのは音像サイズの縮小という変化を好意的に考えると、
音場感として感じられる情報が減少したのかと言うと決してそのようなことはなく、
響きと余韻をもたらす微小信号に関しては見方を変えれば楽音から放射された余韻感の
存続性が向上しているのではないかとも思えるのです!クールな音と言ったらいいのか!

光伝送による高レベルなノイズからのアイソレーションによる効果と、Direct
Attach Cableという導体仕様のケーブルによってシグナルパスの回路を極限まで
減少させるという方法論によって起こる変化の方向性をつかむことが出来ました。

Grandioso N1TはNetwork Audio Transportという分類を受けていますが、前述のように
トランスポート内部で保存されている音楽ファイルというデータ、またはCD/SACDという
パッケージメディアからピックアップした信号を出力するという機能に関しては、
その内部で生成されたデジタル信号の送出側であると言えると思います。

しかし、今回取り組んでいるストリーミング再生という場面では、トランスポート
内部において生成される信号ではあるのですが、その大元の信号はネットから取り
入れているという実態があり、イーサネットRJ45端子とSFPポートの2つのインター
フェースの違いによって起こった変化は私にとって大変大きな収穫となりました。

この三種類のインターフェースから何を選択するのかという事は個人の選択で良いと思います。
そして、ここで公開はしませんが、私としては今後の基準とするべきケーブルは決定しました。

そして、次に私が取り組もうとしている課題はイーサネットRJ45/LANケーブルに
おけるハイエンドクォリティーの追求という課題です。

EST.1965記念企画 H.A.L.'s Listening Session Special Act.2
https://www.dynamicaudio.jp/5555-7F/news/1792.html

上記のイベントでは他社でやったことのない非常識な比較試聴を行います。

ネットワークオーディオ面白くなってきました!
今後の取り組みにどうぞご期待下さい。


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