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H.A.L.担当 川又利明
    
2024年9月17日 No.1776
 New Original Product Release - HIRO Acoustic 10th Anniversary Edition

■はじめに

私がオーディオに興味を持ち始めたのは昭和40年代後半という大昔の事。
時はオーディオブームで家電メーカー各社がこぞってステレオ製品の自社ブランドを
立ち上げ、毎年のように新製品を世に送り出していた時代でした。

そんな当時、10代の私はステレオに憧れていたものの、お金のない私は本格的な
オーディオ製品など買えることはなく、流行に押されて多数出版されていた雑誌を
ただ読み漁っていたものです。

そんな時代のオーディオ雑誌に書かれていた記事のこんな常套句を今でも覚えています。

「前作を上回る音質」「前作を凌駕するクォリティー」「前作をしのぐ素晴らしさ」

同じメーカーの一年前の製品と比べて新製品がいかに良いかという表現なのですが、
前作と同じ環境とシステム構成で新旧比較したとは書かれていませんでした。

オーディオブームであったからこそ許された事なのか、評論家やライターたちに
とっては国内メーカーが毎年送り出す新製品を語るには便利な表現だったのでしょう。

しかしながら、環境もシステム構成も違い一年前に聴いた製品の音質と比較する事など
私は出来ないと思うのです。でも時代の勢いがあれば問題視されなかったものでしょう。

何時の時代でも購入する人々にとって新製品を求める際には夢と希望、期待感が
あったからこそ大枚をはたくわけであって、その英断を下した製品が旧製品として
新製品の売込みのために踏み台にされての表現に少なからず幻滅し興醒めしてきた
のではないでしょうか。

私はこの仕事を長年続けてきましたが、新製品の音質を語るためには出来る限り
同じ環境で新旧比較を行い、確たる検証結果に基づいて文章化するようにしています。

しかし、そのような新製品の評価手段を取ったとしても、安直な表現で前作を
踏み台にしたような書き方は極力しないように心がけてきました。

ましてや、このHIRO Acousticのように当フロアーにおいて開発と研究を行い、
マスコミによる宣伝広告に頼らず音質本位に育ててきたブランドだけに、
HIRO Acousticの新世代の音質をどのように表現するのかという事に関して大変
慎重な姿勢で望まなくてはという思いを最初に述べておきたいと思います。


■HIRO Acousticの10年間の歩みと企画意図

HIRO Acoustic特設サイトは下記にて公開中。
https://www.dynamicaudio.jp/5555-7F/hiro/
http://www.hiro-ac.jp/

その中でHIRO Acousticの音質的開発による進化として下記をご紹介致します。

これらも文章量が多いので再読されるのは大変ですから、興味関心のある方は
チャレンジして頂ければよろしいかと思いまして、HIRO Acousticが進化してきた
過程におけるランドマークになればと考えたものです。

注:古い記事なので一部URLにリンク切れがあります。

「音楽を裸にするスピーカー登場!!その名はHIRO Acoustic Laboratory MODEL-CCS!!」
https://www.dynamicaudio.jp/5555-7F/news/1160.html

「H.A.L.'s One point impression-HIRO Acoustic Laboratory MODEL-CCS Vol.1」
https://www.dynamicaudio.jp/5555-7F/news/1166.html

「H.A.L.'s One point impression-HIRO Acoustic Laboratory MODEL-CCS Vol.2」
https://www.dynamicaudio.jp/5555-7F/news/1168.html

「H.A.L.'s One point impression-HIRO Acoustic Laboratory MODEL-CCS Vol.3」
https://www.dynamicaudio.jp/5555-7F/news/1172.html

「H.A.L.'s One point impression-HIRO Acoustic Laboratory MODEL-CCS Vol.4」
https://www.dynamicaudio.jp/5555-7F/news/1175.html

 「HIRO Acoustic Laboratory MODEL-CCSで話題のサントラ盤を聴き大感動!!」
https://www.dynamicaudio.jp/5555-7F/news/1195.html

上記のNo.1160の初出は2014年10月25日でした。この段階では商品化されていません。

No.1199 2015年3月11日
「特報!!HIRO Acoustic Laboratory MODEL-CCS Improvedとはこれだ!!」
https://www.dynamicaudio.jp/5555-7F/news/1199.html
注:古い記事なので一部URLにリンク切れがあります。

設計者である廣中さんは当フロアーで初めて自分のスピーカーが持っている潜在能力を
知ることになり、妥協して試作したクロスオーバーネットワークに対しても、本来ならば
理想とするものはこれだという思いがあり、私が背中を押して温めていた構想を実現したのです。
でも、その段階でも商品としての値段は決まっていませんでした。

No.1225 2015年6月13日
「大変お待たせ致しました!!HIRO Acoustic Laboratory MODEL-CCS Improvedの価格決定!」
https://www.dynamicaudio.jp/5555-7F/news/1225.html

このように試作品が当フロアーにやってきてから8か月間という時間をかけて研究と
改良を繰り返し、私も重要な役割を果たしつつ商品化する事が出来たものでした。

このように、Hi-End Audio Laboratoryとして研究と開発を行ってきた結果、
世界的にも前例のないブランドとしてHIRO Acousticの成長があったのです。

それは、消費者、雑誌メディア、メーカーという三者間での経済的循環という
枠組みに属さずに、オーディオ専門店の一フロアー担当者が全くの個人的活動に
よって研究開発の原動力となり、宣伝広告費をかけずに実演と試聴によってのみ
購入動機を作り販売実績を出してきたという異例のビジネスモデルとも言えます。

おー!世界レベルで認知されていたとは!HIRO Acousticの存在感が凄い!
https://www.dynamicaudio.jp/5555-7F/news/1768.html

個人オーナーの皆様も上記のように紹介され、世界企業として車の世界においても
下記のように納品実績を持つに至りました。本当にありがとうございました。

マツダが作り出す車の未来にはハイエンドオーディオの流れをくむ音の世界があった!
https://www.dynamicaudio.jp/5555-7F/news/1718.html

           -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

さて、そんなHIRO Acousticが10周年を迎えるに当たり、私としては記念碑的な
音質進化を何らかの方法で実現する事は出来ないだろうかと廣中さんに再三に渡り
相談したのですが、思うようなアイデアは簡単には浮かんできませんでした。

それもそのはずです。

前述のように「前作を上回る」というのは、その時代の設計者は時間とコストに
追われつつ仕事をしていたわけですから、どこかに妥協点があり、それを補完し
改善する事が新製品としての着眼点となったと思うのです。
(あくまでも個人的推測による考えなので当事者に失礼があったらお詫びします)

でも、廣中さんはご自身のオーディオ遍歴を通じて理想のスピーカーを作りたかった
という一心で設計したものであり、その過程の中で妥協点はなかったのですから、
今までのHIRO Acousticという完成度を疑う事もなく改良点など簡単には見つかりません。

そこで私は過去の記憶をさかのぼり、HIRO Acousticの音質をつかさどるものは
スピーカー本体の設計だけでなく、かつ廣中さんが理想を追求した結果No.1199の
記事で紹介しているクロスオーバーネットワークMODEL-CCXを作り出した事に視線を
向けると、その重要要素として次に浮かんできたのが下記の取り組みだったのです。

2015年7月7日 No.1237
HIRO Acoustic Laboratory MODEL-CCS Improvedの最終音質とは!!
https://www.dynamicaudio.jp/5555-7F/news/1237.html
注:古い記事なので一部URLにリンク切れがあります。

No.1199にて解説したMODEL-CCX Improvedという超弩級のクロスオーバーネット
ワークが開発できたことは、それとスピーカー本体を結ぶスピーカーケーブルの
重要性という次の着眼点につながっていったのです。
http://www.hiro-ac.jp/networkimpr11.html

MODEL-CCX Improved用専用ケーブルということで、私としても当時の音質には
妥協はなく現在に至ったものですが、この10年間に廣中さんとHIRO Acousticに
刺激され触発された登場人物がもう一人表れたのでした。吉崎さんです。

2018年9月9日 No.1491
H.A.L.に叩きつけられた挑戦状!!究極を目指したY'Acoustic Systemとは!!
https://www.dynamicaudio.jp/5555-7F/news/1491.html

吉崎さんが主宰するY'Acoustic Systemの全貌は下記サイトにて公開中
https://www.dynamicaudio.jp/5555-7F/yas/

HIRO Acousticと同じように自身のオーディオ遍歴から理想の音を追求するという
執念で開発されたスピーカー、Ta.Qu.To-Zeroの誕生は衝撃的でした。

そして、世界的に評価されたハイエンド・オーディオケーブルを多数購入し、
オーディオケーブルの可能性の高さを追求してきた吉崎さんはスピーカー同様に
理想のケーブルを作るという次のステップを踏み出したのです。

2019年10月22日 No.1564
New Original product release - Y'Acoustic System Ta.Qu.To-SPL
https://www.dynamicaudio.jp/5555-7F/news/1564.html

お陰様で、このTa.Qu.To-Cable各種は発売以来2024年9月時点で累計販売金額は
3,580万円という規模になり、前述のHIRO Acoustic同様に雑誌メディアでの宣伝
広告は一切なく私のオリジナル商品として販売されてきたものでした。

そして、最も重要な事はTa.Qu.To-Cableは試聴によって選択され購入して頂いたと
いう事であり、HIRO Acoustic同様なビジネスモデルとして成功したという事です。

更に2022年4月には Ta.Qu.To-Isolator を発表しています。
https://www.dynamicaudio.jp/5555-7F/yas/iso.html

ここで時間軸を確認します。吉崎さんは2018年9月にスピーカーTa.Qu.To-Zeroを、
その一年後2019年10月にTa.Qu.To-SPLを発表しました。そして、ここからが重要。

今まで非公開でしたが2023年2月にTa.Qu.To-Zeroのバージョンアップを行いました。

クロスオーバーネットワークの素子と回路の進化、同時にTa.Qu.To-Isolatorの
技術を応用した振動対策も強化しました。これらは外観からはわかりません。

そして、このバージョンアップで最も効果的、かつ目視できる大きな改良点として
クロスオーバーネットワークとスピーカー本体をつなぐスピーカーケーブルを
Ta.Qu.To-SPLの開発テクノロジーで刷新した事だったのです。

★初公開!Ta.Qu.To-Zero専用ケーブル(左が初期型、右がTa.Qu.To-SPL仕様)
https://www.dynamicaudio.jp/s/20240908135634.jpg

このスピーカーケーブルによって起こった音質進化は後述するHIRO Acousticでの
音質評価と同傾向なので、現時点では述べませんが私にとっては衝撃的でした!

           -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

さて、ここまでくればHIRO Acoustic 10th Anniversary Editionとは何か、
という事が想像できてくるのではないでしょうか。(以降10AEと表記)

クロスオーバーネットワークとスピーカー本体をつなぐケーブルに関しては、
その重要性を下記のように私は述べていました。
https://www.dynamicaudio.jp/5555-7F/news/1175.html

廣中さんの視野においてHIRO Acousticスピーカーには妥協ない完成度の高さがある。
吉崎さんのケーブルに対する開発力に注目した事が私の企みの原点となったのです。

台数限定生産となるHIRO Acoustic 10AEとはスピーカー本体とクロスオーバー
ネットワークは変更なく、両者をつなぐ特注仕様スピーカーケーブルによって
構成される2ブランドのアレンジによる新製品となります。

■Ta.Qu.To-SPL for HIRO Acoustic(単品販売はせず価格未公開)
https://www.dynamicaudio.jp/s/20240908134958.jpg

■Ta.Qu.To-SPL for HIRO Acoustic内部構造
https://www.dynamicaudio.jp/s/20240908135111.jpg

基本的にTa.Qu.To-SPL構造からシルク被覆の上にPFAスリーブとカプトン被覆が
加わった構造となります。スズメッキ銅線の太さに関しては下記の通り
・低域用:Ta.Qu.To-SPLと同じ12AWG(+−2本づつ)
・中域用:12AWG(+−1本づつ)+16AWG(+−1本づつ)
・高域用:16AWG(+−2本づつ)
特徴的な手裏剣型 制振ダンパーに関しては後述にて説明あり。

■特徴的な構造を説明するために従来のノーマル仕様ケーブルの画像が下記
https://www.dynamicaudio.jp/s/20240908133107.jpg

■上記の同じアングルにて10AEケーブルを接続した状態
https://www.dynamicaudio.jp/s/20240908133116.jpg

■後方からの視点では下記の通り。すっきりした配線状態です。
https://www.dynamicaudio.jp/s/20240908133144.jpg

■手裏剣型 制振ダンパーによってスピーカー本体とは完全に非接触となる。
  S.F.I.S(Self floating isolation system)★特許取得済み
https://www.dynamicaudio.jp/s/20240908133549.jpg

上記のS.F.I.Sを簡単に説明するとグレーの手裏剣のような形のもの。この材質は
Ta.Qu.To-Zeroのアイソレーションでも使用したクレハエラストマーのVBRAN G-N57と
いう5mm厚のシート素材で、適度な柔軟性と形状維持が同時に可能。
それをハンドプレス機によって一個ずつ抜型を使って打ち抜いて作っていく。
https://www.dynamicaudio.jp/s/20191019171033.jpg

このS.F.I.Sを25センチ間隔で取り付けると下記のように床からフローティングし、
床からの振動から完全にアイソレーションするという独自機構。
https://www.dynamicaudio.jp/s/20191019110527.jpg

これを上記の画像のように利用することでHIRO Acousticスピーカーのミッドレンジと
ウーファーのエンクロージャーからフローティングする事が可能となった。

従来は上記のノーマル仕様ケーブルのようにウレタン系の黒いL型パーツによって
振動対策していたものから完全なアイソレーションがなされるようになりました。

私は意地悪にも、わざとスピーカーケーブルをスピーカーボディーに接触させてみて、
その効果を比較試聴したのですが、このアイソレーション効果は大きな意味がありました!

■クロスオーバーネットワークとウーファー用ケーブルの接続状態
https://www.dynamicaudio.jp/s/20240908133152.jpg

■ダブルウーファーMODEL-CCCSの場合にはクロスオーバーネットワークの低域
 出力端子にガンタイプ・バナナプラグにて外側ウーファーに接続。
https://www.dynamicaudio.jp/s/20240908133135.jpg


■ここが違う!HIRO Acoustic 10th Anniversary Editionの音質的特徴とは

疑り深い私は冒頭で述べたように過去に聴いた記憶と比較して、前作を踏み台にして
新製品の音質を語るという事はしない主義です。

新旧比較を同じシステムと環境でしないかぎり真実は語れないと思っています。
そして、実はHIRO Acoustic 10AEの音を初めて聴いたのは三か月前の事でした。

オリジナルケーブルは過去10年間使い込んできたものなので聴き慣れているせいも
ありますが、HIRO Acousticとしての音質のまとめ方に関して廣中さんと色々と実験して
決定してきたケーブルの品位は相当高かったという事を今更ながらに実感しました。

まったくの新品であるTa.Qu.To-SPL for HIRO Acousticをつないでの第一印象は、
一言で言うとバーンイン不足という事もなく何も違和感なく鳴り始めたという事でした。

つまりエージングゼロであっても10AEの音質としては以前のケーブルとスタートラインは
一緒であり、熟成していなくとも基本的パフォーマンスが保証されています。

Ta.Qu.To-SPL for HIRO Acousticを使用開始してから以前のケーブルとの比較試聴を
行うためのバーンイン期間として、私は500時間以上をかけて鳴らし込み、新ケーブルに
関しても納得出来る熟成を施してから旧ケーブルとの比較を行おうと考えていたのです。

そして、10AEとしてのケーブルで500時間以上の鳴らし込みが出来たという頃に、
私は10年以上使い続けてきたオリジナルケーブルに戻して聴いてみたのですが、
一言で言うと懐かしい音でした。同時にこれはいけるという確信を持ったのです!

ただ、この段階で全てをまとめあげるのは時期尚早ではないかという思いに至る、
ある新製品の試聴課題が持ち込まれたのです。これです!

H.A.L.'s One point impression!! - ESSECI DESIGN RELAXA 800Series
https://www.dynamicaudio.jp/5555-7F/news/1770.html

私は以前から音質評価の基準として引き絞られた鮮明な音像、広大な空間表現が
可能な音場感というポイントを何度も述べてきましたが、この評価基準に対して
上記のRELAXA 800Seriesは大変大きな影響力を持っている事を確認したのです。

HIRO Acoustic 10AEの音質評価を本格的に行う前に、RELAXA 800Seriesに関わる
事実を分析評価し、その上でないとケーブルの評価が正しくできないという認識を
持つことになり、実は今だから告白しますが、上記RELAXA 800Seriesの試聴と
いうのは最初からHIRO Acoustic 10AEの状態で行っていたのです。

よって、上記の記事にて多数の課題曲によって私が述べた分析と評価という文章は
HIRO Acoustic 10AEの音質を語っていたという事にもなるものです。

言い換えればHIRO Acoustic 10AEであったからこそ、前述の音像と音場感の両立と
いう視点による分析と評価が正しくできたという事にもなります。

上記の記事を書いていた時から更に時間は経過して、HIRO Acoustic 10AEとしての
再生時間は優に1,000時間以上を経過していることになり、Ta.Qu.To-SPL for HIRO
Acousticとしての熟成期間は十分に達成されたという自信のもとに今回の発表という
流れになったものです。

私の悪癖である感動の大きさに比例して文章量は多くなるという傾向を抑えるため、
上記RELAXA 800Seriesの記事で各課題曲に対して私が述べていた感想はそのまま
HIRO Acoustic 10AEの評価として引用できるものとして推奨致しますので、時間が
許せば再読して頂ければありがたいものです。

その上でHIRO Acoustic 10AEとしての音質に関して以前のHIRO Acousticと比較して
このような変化・進化があるというポイントを抽出して述べる事にしました。

そして、以下に述べるコメントは従来のHIRO Acousticとの比較であり、
一度もHIRO Acousticを聴いたことがないという皆様に向けてというよりは、
HIRO Acousticオーナーの皆様に向けて語っているという書き方の表現となります。

Point.1 パーカッションなどの瞬発的楽音に関して

もし、あなたの好きな曲でトライアングルやウィンドチャイムなどの金物パーカッションが
印象的に叩かれている音があったとしたら、その一打一音の輝度が上がり輝きが増します。

それはスタジオ録音の近い距離感であってもホール録音のオーケストラの場合でも同様に、
音像そのものが明るくなった変化と余韻の滞空時間が長くなる変化が起こります。

木製のパーカッション、ドラムのシンバルやハイハット、ハープなどの撥弦楽器も同様に
一音ずつの音像が鮮明になり、その周辺に響きのレイヤーが拡散していく描写力が向上します。

Point.2 センター定位の音像に関して

もし、あなたの好きなヴォーカルを聴いたとしたら、その音像サイズが更に引き絞られて
いる事に気が付くはずです。ただし、小さくなったマウスサイズは周辺の残響成分を
ネグレクトして楽音を細身にしたからではないという事が重要な事です。

スタジオワークで周到なリバーブが施された歌声は周囲の空間に響きを存分に広げ、
歌手の周辺に空気感を醸成させるような巧妙な雰囲気づくりの妙技が楽しめます。

次にセンター定位の楽音としてピアノやハープなど鍵盤と弦の数が多い楽音はどうか、
それらは一打鍵ごとに緻密なパンポットによってセンターを中心に左右に展開する
音像を提示しますが、楽音の存在感は左右スピーカーの中間に広がるものの、その
各音階で打鍵と弦の一音ずつの音像にメリハリと鮮明さが向上していく事が分かります。

これはオーケストラによるピアノやヴァイオリンのソロをセンターに置いた協奏曲でも、
その恩恵がステージの左右方向への広がりという残響成分の拡散状態と、ソロ楽器の
音像がくっきりと屹立するという両立に更に磨きをかける進化として楽しむことが出来ます。

Point.3 低音楽器の質感に関して

あなたの好きなバンドの演奏、スタジオ録音でのドラムやベースなどの低音楽器に関して、
先ず最初に感じるのはやはり音像サイズの凝縮という変化のベクトルであると言えます。

特にキックドラムやウッドベースのようにアコースティックな低音楽器の音源として、
前後関係の定位感が読み取れるようになり、それらの低音楽器から放たれた響きの
中心点が目視できるほどはっきりと感じられるようになり録音センスの良し悪しを
具体的な音質として判定できる自信が湧いてくるでしょう。

ただでさえ楽音の輪郭をつかみにくい低音楽器ですが、音像の核とも言える低音の
中心部において、今までの低音よりも重厚感、重量感が増している事に次の段階で
気が付くはずです。重低音という言葉をHIRO Acoustic 10AEによって実感出来ます。

音像の中心部から周辺に向けて響きの階層がくっきりとなるにつれて、音色の濃淡が
認識できるようになると演奏している空間の大きさがイメージ出来るようになるのです。

更にアコースティックな低音楽器だけでなく、シンセサイザーやサンプリング音源の
打ち込みによる低音に関しても、電子的に作られた低音であるにも関わらず、楽音の
倍音成分がこれほど含まれていたのかという新発見もあります。これはいいです!

Point.4 オーケストラの各パートでは

あなたのごひいきのオーケストラの演奏では弦楽五部の配置が鮮明化されるという第一印象。
特に第一と第二、合わせて26のヴァイオリンは今まで緩やかな拘束ロープで束ねられていた
状態から、プツリとロープを切断し、26人の演奏者が束縛から放たれたように個々の音色の
違いが聴き分けられるようにほぐれていく事が快感です。爽快な弦楽の質感いいです!

上記にスタジオ録音での低音楽器の振る舞いを述べましたが、コントラバスや
グランカッサというホールの大空間において奏される低音楽器に関しては、
音像の鮮明さが向上すると同時に低音の残響成分が広範囲な空間に拡散していく
というスケール感の向上という事にも気が付くはずです。心地良いホールエコーです!

音量が大きい金管楽器に関しては以上のスケール感の増大を後押ししてくれる
面白味があり、ホルンやトランペットが奏でる響きの拡散領域が拡大されます。

短いパッセージが多い木管楽器では潤い成分が追加され、演奏者の頭上に響きを
引き上げてくれる余韻感の向上がメロディーの中間で良い役割を果たすようになります。

総じて旋律楽器の音色には倍音成分の情報量が加算されるので、弦楽器の連続音と
打楽器の瞬発力ある楽音、管楽器の伸びやかさがホールの奥行き方向への視野を
広げてくれることでオーケストラの魅力を以前にも増して高めてくれるでしょう。

Point.5 S.F.I.S(Self floating isolation system)の恩恵

上記にて説明したアイソレーションS.F.I.Sの効果は前述した四つのポイントの
全てに発揮されているものですが、この威力は総じて音像と音場感の両方に対して
極めて自然な楽音の消え方、音の発祥から消滅までという過程を聴き手に理解させます。

とても高速反応なパルシブな楽音が眼前の空間に出現したとして、その発祥地点を
的確に中空の一点にピン留めしていくように明確な位置情報として聴かせてくれます。

次に音の発祥地点にある音像からスタジオワークでのリバーブ、あるいはホールの
天井高をイメージさせる雄大な自由空間に拡散していく響きの拡散と方向性が見えます。

そして、点から面ではなく三次元的な空間へと余韻を残して消えていく過程において、
その透明度と純粋さが楽音が消滅する時まで、自然な減衰傾向を示し響きの混濁を
起こさない事で時間軸に対してリニアに美しく高純度な残響を聴かせてくれる事を
S.F.I.Sの恩恵として最後に述べておきたいものです。聴けば解かります!

           -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

以前のように課題曲のこの再生音というピンポイントでの説明ではありませんので、
抽象的な表現なってしまったことは否めませんがイメージして頂ければ幸いです。

そして、HIRO Acousticオーナーの皆様にとっては私が表現した言葉で理解して頂ける
という期待感はありますが、HIRO Acousticそのものを聴いたことがないという皆様に
とっては実感が湧かないだろうという思いもあり、私の力不足をお詫びするのみです。

ただし、私の文章力を補う実践的手段を持っている事を最後にお伝え致します。

オーナーの皆様は試聴によってHIRO Acousticを選択されました。

言葉で音を語ることの限界を承知している私は実体験によって皆様に選択して
頂ければと願っているものであり、当フロアーにて試聴をお薦め致します。


■HIRO Acoustic 10th Anniversary Editionの価格と今後の価格改定

現在HIRO Acoustic公式サイトでは製造コスト高騰のため価格改定を行うことを
下記のように発表しており、従前の価格では販売できない状況のみ公開しています。
http://www.hiro-ac.jp/specp.html

今後のHIRO Acoustic製品の価格に関しては、安定的継続生産を行うためのコスト計算を
入念に行った上で決定しますので現時点では新価格未定という事になっています。

その上で現在保有するパーツを駆使して通常モデルを3セットに限り、下記のように
台数限定生産価格としてラストチャンスを設ける事に致しました。

そして、HIRO Acoustic 10AEに関しては10周年記念モデルとして一過性の限定生産と
なりますので、下記の台数と価格にて限定販売としてご提供致します。

MODEL-CCS improved       税別定価¥14,800,000.
MODEL-CCS improved 10AE  税別定価¥16,800,000.
完全受注生産にて先着順3セットにて完売(その後は新価格)

MODEL-CCCS improved      税別定価¥22,980,000.
MODEL-CCCS improved 10AE 税別定価¥25,800,000.
完全受注生産にて先着順1セットにて完売(その後は新価格)
*この場合にはMODEL-CCSの1セットが販売可能です。

MODEL-CCCS VU-KIT        税別定価¥9,900,000.
完全受注生産にて先着順3セットにてバージョンアップ可能
*ただし上記4機種の販売実績において台数減少の可能性あり(その後は新価格)

★HIRO Acousticオーナーの皆様には10AEへのバージョンアップサービスを実施致します。
 Ta.Qu.To-SPL for HIRO Acousticは価格未公開ですが、ご愛顧に感謝し特別価格を
 ご用意致しますので詳細は川又にお問い合わせ下さい。

           -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

MODEL-CCCS improved 10AEをマラソン試聴会2024大トリでプレミア公開致します!

■実演日時 10月12日(土)17:45〜19:45 / 13日(日)16:15〜18:00

■マラソン試聴会 特設サイトの事前登録よりご応募下さい。
https://2020dynamicaudio.com/第44回マラソン試聴会/

川又利明
担当:川又利明
TEL 03-3253-5555 FAX 03-3253-5556
kawamata@dynamicaudio.jp

お店の場所はココです。お気軽に遊びに来てください!


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