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H.A.L.担当 川又利明
    
2024年7月12日 No.1770
 H.A.L.'s One point impression!! - ESSECI DESIGN RELAXA 800Series

私がRELAXAなる製品を手掛けたのは下記の企画にて何と22年前の事でした。

-H.A.L.'s Circle Review- 2002.05.29-No.0339-

【H.A.L.'s arrange order program!!】

Entry no.15「SAP by YUKIMU」SAP RELAXA2PLUS(¥110.000.)

ベテラン会員の皆様は記憶にあると思いますが、早い話が私の推薦により会員の
皆様からのオーダーを集約し、大量発注により大胆な特別価格を実現しようという
主旨の企画で当時大変盛り上がったハルズサークルの特徴的なイベントでした。

輸入元との交渉では50台以上になるとガクンとお安くできるということで、
結果的には想像を上回る百数十台という実績となり歴代のハルズサークル企画の
中で最高実績となった事を懐かしく思い出します。早いものであれから22年…!

*今回は結論を真っ先に述べておきます!
 正にハイエンドRELAXA、音像が剥離したぞ!これ素晴らしいです!

ESSECI DESIGN RELAXA 800 Series
https://www.yukimu-officialsite.com/relaxa800

「振動から解放されたオーディオ・プロダクトがそのポテンシャルを全開にする
 未体験ゾーンを是非体感してみてください。」*上記サイトより抜粋

言葉にすると陳腐なセールスポイントと言われても仕方ない文章であるかもしれません。
しかし、この私にして未体験ゾーンというものを実感し感動したのですから仕方ない。

私のこだわりという事では以前より多くのエピソードを紹介してきましたが、
今回の商品研究と分析・評価という実際面において若干の前置きをしたいと思います。

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H.A.L.'s One point impression!! - ESOTERIC Grandioso P1XSE & D1XSE
https://www.dynamicaudio.jp/5555-7F/news/1757.html

            ■上記より抜粋引用■

オーディオの世界に置き換えてみれば1982年のCDプレーヤー発売によって、
一般ユーザーがデジタル再生の手段を手にしたことが、まぎれもなく道具の進化に
よって得られたオーディオ界の大きな進歩であり飛躍であったと思うのです。

それから42年という歳月を経て世界中のメーカーと開発者がデジタルオーディオの
進化を押し進めてきたわけですが、デジタルの世界は日進月歩と言われつつも
様々な視点による開発対象の技術によって得られた音質変化を考えてみると、
前述の棒高跳びのように1センチの伸びなのか5センチ・10センチという伸び幅なのか、
長年の経験から思い返される新製品の音質評価に関して多様性を感じるものです。

何を言いたいのかと言いますと、簡単に言えば前作Grandioso P1X+D1Xという存在
そのものが世界最高クラスのレベルであり、更に当フロアーの環境とセットアップと
いう私のこだわりとプライドをかけて実演している音質レベルを前提にすると、
前述の棒高跳びの記録更新のように、はるか6メートルの高みにあるバーを
見上げるがごとくの大変高度かつ微妙な比較試聴となったという事なのです。

            -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

私が当フロアーの環境と再生システムにて分析と評価を行っているわけですが、
そのレベルという事では上記のインプレッション記事で述べているように、
最高到達点を達成したという感動において皆様への推薦の根拠としているものです。

言い換えれば、日頃当フロアーで試聴して頂く音質というものは、残すところ
数ページまで読み進めた長編小説で言う物語の起承転結の結びの最終章であり、
それ以前に大変な文章量によって積み重ねられた実績があるという例えであり、
何気なく聴いて頂いている音質の構成要素は実に膨大であるという事実です。

そのような意味合いから私が発見し感動した音質というレベルは前述の棒高跳びの
事例に引き合わせれば、世界記録の6メートル以上という積み重ねてきた実績の上で
更に数センチの記録を伸ばしていくが如きの挑戦で達成した音質レベルという事で、
一般ユーザーとは異なる視点と環境、そしてシステム構成で実現した事と言えます。

しかしながら、そのような条件下での私のこだわりによる評価基準は大変高い
ハードルとなっており、それを前提にした分析によって評価した製品を多様な
場面において推薦できる根拠となっている事を明記しておきたいと思います。

私は自分に嘘はつけません、良いものは良いと自信を持って語るのみであり、
そうでないものはノーコメント、もしくは題材として取り上げることはないのです。

            -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

今回の試聴システムを下記にてご紹介致します。

H.A.L.'s Sound Recipe / ESSECI DESIGN RELAXA  830 & 850 - inspection
system
https://www.dynamicaudio.jp/s/20240708154707.pdf

■ESOTERIC Grandiosoシリーズにセットアップした状況
https://www.dynamicaudio.jp/s/20240701160510.jpg

■重量29KgのGrandioso P1XSEはRELAXA 850にて確かにフローティング
https://www.dynamicaudio.jp/s/20240701160534.jpg
このARTESANIA AUDIOラックの棚板クリオンボードのサイズは535×435mmです。

■重量20.2kgのGrandioso C1XはRELAXA 830を使用してフローティング
https://www.dynamicaudio.jp/s/20240701160522.jpg

ESSECI DESIGN RELAXA 800 Series
https://www.yukimu-officialsite.com/relaxa800

セッティングしていて気が付きましたが、RELAXA 850は重たい。

歴代のRELAXAシリーズを取り扱ってきましたが、こんな高級感ある質量の手応え
というのは初めてであり、正にハイエンドRELAXAと言えると実感したものです。

ここで私が気が付いた注意点をお知らせしておきます。

RELAXA 830 本体サイズ:W480×D360×H83 mm ※H=ガイドピン高
ガラスボードサイズ:W430×D360 mm 重量:9.0kg
価格:¥297,000  ¥270,000 税別

ガラスボードサイズ横幅430mmとなっていますが、ガイドピンの支持部が下記
画像のように両脇にはみ出す形になり実際の設置には横幅480mmが必要です。
https://www.dynamicaudio.jp/s/20240701160443.jpg

RELAXA 850 本体サイズ:W600×D460×H83 mm  ※H=ガイドピン高
ガラスボードサイズ:W550×D460 mm 重量:15.6kg
価格:¥352,000  ¥320,000 税別

同様にガラスボードサイズ横幅550mmとなっていますが、下記画像のように実際の
設置には横幅600mm以上が必要になりますのでご注意下さい。
https://www.dynamicaudio.jp/s/20240701160454.jpg

そして、RELAXA 800Seriesには最大の注意点があります。高さです。

上記画像のようにコンポーネントを乗せた状態でガラスボードは少し下がりますが、
それでも実際にフローティングしている状態では約7センチ程の高さとなりますので、
ここでもラックの中段では使用出来ず最上段でのみセット出来たということです。

また、セッティングにおける注意点として、アッパーフレームをガイドピンに
差し込む際には慎重に真上からゆっくり降ろしてセットするようにして下さい。

私は少し斜めに降ろしてしまったのか、本来反発する磁極のはずが吸引しあう磁力の
位置関係になってしまい、恐ろしいほどの早さと力でマグネットが引き付けあい、
わずかに指先が挟まれてしまい痛い思いをしました。まともに挟まれたら大けがの
可能性もありますので、強力なマグネットだけに慎重に組み立てする必要があります。
その点は本当にご注意頂きたく皆様の記憶に残して頂ければと思います。

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今回は実際の使用前・使用後の比較試聴は容易ではありませんでした。
コンポーネントやケーブルのようにつなぎ換えればいいというわけにはいかず、
重量級のGrandioso P1XSEとC1Xの配線をすべて外し、いちいち乗せ換えるわけです。

そんな作業も若いうちだったら苦も無く出来ましたが、いやはや…、歳のせいには
したくないのですが、何度も何度もやるのですから良い運動になりました(笑)

さて、今回は私の過去の経験からしても最も衝撃的だったエピソードから紹介して
いきたいと思います。

私は仕事オンとオフでは聴く音楽は全く違うとハルズサークル配信では度々述べて
きました。同時にApplemusicのヘビーユーザーであり、移動中もiPhoneとAirPods Proで、
自宅ではHomePodで仕事オフの時には試聴の課題曲とはまったく別の音楽を聴いています。

そんな気ままな音楽旅行のような聴き方をしていても気になる曲に出会うとAmazonで
海外からCDを取り寄せて、当フロアーのHIRO Acousticで聴いてみるという未知の
音楽との出会いを楽しんでいるものです。

こんなミュージックライフの中で最もお気に入りのアーチストがDe-Phazzでしょうか。
https://dephazz.com/

昨年は2019年発表の「DE CAPO」というアルバムを購入し、今年は2022年発表の
「JellyBanquet」というアルバムを購入しました。
https://dephazz.com/discography
https://dephazz.com/wp-content/uploads/2022/06/JellyBanquet500a.jpg

また、同様な経緯からclub des belugasというアーチストもお気に入りとなり、
このアルバムも入手していました。「club des belugas best of 2002-2022」
https://www.club-des-belugas.com/best-of-2002-2022
http://www.rambling.ne.jp/catalog/club-des-belugas-best-of-2002-2022/

ところが、これらのCDをGrandiosoとHIRO Acousticで聴いた私の感想は?でした。
曲としては大変好きなのですが、リファレンスのハイファイシステムで聴いてみると
どうしても物足りなさを感じてしまうのです。

レンジ感も申し分なく録音品位としては悪くないと思うのですが、左右スピーカーが
構成するディメンションに音像が貼り付いたように並び立体感がないという感じなのです。

音像と音場感の両立を標榜する私の耳と感性において、日頃聴いている課題曲を
再生しているシステムのレベルには至らない、所詮ありきたりなポップミュージックの
範疇でしかないのかな〜ということで好きな曲なのですが仕事の上で試聴曲に
取り上げるという事にはなっていませんでした。

■溝口肇「the origin of HAJIME MIZOGUCHI」
https://www.sonymusicshop.jp/m/item/itemShw.php?site=S&ima=3355&cd=MHCL000010099
http://www.archcello.com/disc.html

RELAXA 800Seriesの試聴を開始した際に、実は恒例となっている上記の課題曲を
やはり最初に聴いたのですが、以前にも述べているように私の言う中間定位の音像
表現という録音が多い選曲でもあります。ここで最初の手応えを感じたのですが、
これをどのように分析し表現したらよいのか、直感的な文章が浮かんでこない…!?

そんな時に上記のDe-Phazz「JellyBanquet」の4.suddenlyをかけた時でした!

Karl Friersonのヴォーカルがフューチャーされたグルーブ感ある曲で、イントロの
ギターに続き強烈な低音が湧き起ります。

AirPods ProとHomePodで散々聴いてきた低音ですが、この低音はエレキベースでは
なくシンセサイザーでの超低域であり、イヤホンでは左右同相同レベルの低音は
頭の中に充満し、コンピューティング・オーディオという事で測定と補正を高速で
繰り返すアクティブスピーカーのHomePodなどでは唸りを上げる重低音が溢れ出ます。

そんな記憶のある曲を初めてHIRO Acousticで聴いた時、正確な低域再生という信頼性を
何ら疑うことのない私は、左右スピーカーの周辺から洪水のように押し寄せる低音の
量感に関してはさすがだと評価しつつ、ブォーンと盛大に鳴り響く低音に関しては
ハイファイ再生というよりもイヤホンやBluetoothスピーカーで聴く客層向けの演出
された録音ではなかろうかという見方をしていたのです。ところが…

この曲をRELAXA 800SeriesをセットしたGrandiosoとHIRO Acousticで鳴らしたら!?

アコースティックな生の楽器による低音とは違い、録音空間の特性やマイクアレンジの
影響を受けない無機的ではあるが、それ故に正確な波動感を響かせるサンプリングに
よって電気的に作られた重低音の質感に私でさえ未体験の変化をもたらしたのです!

まず重要な事は今までスピーカー周辺に展開していた低音がセンターに凝縮し音像を
形成し始めたということ!同じスピーカーとコンポーネントでこんな事があるのか!

前述のイヤホンやワイヤレススピーカーで聴き手の視野に充満するような低音の
エネルギーが、左右HIRO Acousticのセンターにピラミッド型の音像となり盛り上がる!

しかも正確な低周波の脈動を人工的な低音として収録している音色であるはずなのに、
その重量感までもが増強された低域の質感の変化に驚き戸惑う!こんな事あるのか!

未体験の変化に驚きつつ、コンポーネントの下に設置する使用法のインシュレーターと
いう分野の製品に関して、過去に経験した分析と評価法に関して記憶のファイルをめくると…

            -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

オーディオの世界ではインシュレーターと呼ばれる商品は多種多様なのですが、
その基本的な傾向と特徴、そして効用を私の考え方で説明させて頂きます。

市販のインシュレーターの材質としては金属、木材、アクリル、合成または
天然皮革、水晶(人工の結晶体)、セラミックなどなど実に色々なものがあります。

そして、インシュレーターの機能性を示す効果のあり方は二種類あります。

スパイク構造に代表されるように機械的接点を点支持にすることで共振を防止、
または振動を伝搬する際に振動モードに歪を与えないでメカニカル・グランディングを
とるというもの。説明のためにこれを[A]とします。

もう一つは、点支持ではなく面接触させることでコンポーネントそのものの
振動を吸収する考え方で、既存のフットとラックの棚板の間で緩衝材として
機能するものです。説明のためにこれを[B]とします。

この二種類の機能性・効果には各々にメリットとデメリットがありますが、
その各論を私が述べてしまうと両方式の商品に対してイメージダウンになり
ますのでノーコメントとしておきます。もちろん両方の製品には特有の効果が
ありますので商品価値は認めた上での説明ですから、誤解なきようよろしく
お願い致します。

さて、上記の解説をしかけたところでしたが製品名を特定しなければ問題は
ないだろうと判断致しまして、この製品の特徴を述べるためにインシュレーター
全体の総論として[A]と[B]の傾向について比較説明したいと思います。

先ず、上記のインシュレーターの機能性を[A]と[B]によって分類するという事は
製品そのものの硬度、つまり材質の硬さということに置き換えて説明出来ます。

[A]の分類による特徴としてはインシュレーターそのものが硬質であり硬い材質で
あるということが言えます。この場合にはコンポーネントの振動そのものを制御
するということで、リジッドな材質で機械的な支点を明確にします。

その結果、フォーカスイメージが鮮明になり音像の輪郭がくっきりとして
そのために音場感や奥行き感の向上に寄与するという働きがあります。

また、同様な効果を狙ってコンポーネントに純正付属品として同梱されている
フットやスパイクなども設計者が意図した音質をユーザーに届けるという責任
を追求するものとして私も歓迎するものです。

しかし、この[A]の分類では弱点もあります。それはインシュレーターの下側、
つまりラックの棚板であったり床面であったり、インシュレーターをセット
する土台となるものの性質と環境に影響を受けるという事です。

インシュレーターの下側に接するものが木材かコンクリートや石か、またはガラスか
などの材質の変化によって、その材質特有の響きというか傾向を音質に含むように
なってしまいます。つまり、インシュレーターの下側とのアイソレーション効果は
あまり期待できないという事です。

では[B]はどうでしょうか?点支持ではなく面接触させることで、コンポーネント
そのものの振動を吸収する考え方、という事は材質はある程度の柔らかさ柔軟性が
必要と言えます。指で押してみて形状が変化する程の柔らかさ、また究極的には
エアーサスペンションのようにインシュレーターの上下にあるものを完全に
アイソレーションするというものも[B]の範疇に含めても良いかもしれません。

[B]のような性質のインシュレーターは余韻感が大変美しく、響きの要素が一種の
浮遊感として音場感を形成するという傾向もあり、同時にアナログプレーヤーの
ようにハウリング対策としてコンポーネントの設置場所からの振動伝搬を遮断する
という効果もあります。

言い換えれば設置場所の影響を受けないということが[A]と反対のメリットとして
述べることが出来ます。そして、響きの美しさという項目に貢献度が大きい
インシュレーターとして[B]の特徴を述べることが出来ます。

しかし、[B]の分類でも弱点もあります。*下記の項目を後述します。

残響成分がきれいに再現されるという楽音の消滅方向への時間軸の推移に関しては
魅力的なわけですが、リズム楽器のアタックの鋭さ立ち上がりという点では多少
甘口になります。

そして、低域の楽音の音像も少しゆったりとしたイメージになります。
この方が雰囲気があって好ましいというユーザーはそれで良いでしょう。

これを見方を変えて説明しますと、コンポーネントが発する固有の振動があった
場合に、その振動を制御し減衰させるという機械的な抑制効果は少ないと言えます。

極論を言いますと、振動しているものをフローティングさせるので害はなくなりますが、
その振動にブレーキをかける、あるいはがっちりと抑え込むという働きは期待できない
という事です。

材質として柔軟性あるものは振動を遮断するというアイソレーション効果は
ありますが、柔らかい材質であるが故にコンポーネントを機械的にホールドする、
がっちりと固定するということには不向きという傾向があるのです。

[A]と[B]の特徴をメリット・デメリットとして述べましたが、私が過去の体験から
注目し評価していたBlack Ravioliとは一体どちらに属するのか? ここがポイントです!!

ここでBlack Ravioliという商品名が出てきましたが、それも13年前の事でした。

2011年7月11日 No.840「気になるBlack Ravioliの中身と特徴を解説!!」
https://www.dynamicaudio.jp/5555-7F/news/840.html

このBlack Ravioliはハルズサークル会員の皆様にざっと300個近くの販売実績と
なり大ヒットした商品でしたが、上記の続きとなる結論までは長くなりますので
興味関心のある方は上記リンクをご再読頂ければと思います。

さて、インシュレーターという商品の機能性を説明しましたが、実は前述の解説は
単純に機械的振動に対するものでした。そもそもインシュレーターとは振動対策を
行うという観点で作られてきたものなのです。

そして、2022年4月に登場したTa.Qu.To-Isolatorは、上記の[A]と[B]の両方の
メリットを巧妙なアイデアと技術力、そして作者の音質に対する絶妙な感性から
誕生したというところまで述べておきたいと思います。

上記は既に公開済みの文章からの一部引用ですが、インシュレーターではなく
アイソレーター、Ta.Qu.To-Isolatorというネーミングの根拠を皆様にご理解
頂ければという一節です。

             -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

呼び方はインシュレーター、アイソレーターと様々ですが、使用法としては各種
コンポーネントの下に置くという事は同様であり、上記の経験則によって私が
述べている論点を集約しますと、点接触か面接触かという事と材質の種類という
事になろうかと思います。

いずれにしても、インシュレーター、アイソレーターと称するものは振動を制御、
制動、減衰、吸収、拡散、熱変換、などの制振効果を狙ったものと考えられます。

ところが、このRELAXA 800Seriesに関しては非接触であり接点がないのですから、
振動を制御しコントロールするという概念は一切当てはまらないことになります。

しかし、そこで私なりのこじつけなのですが、前述の*[B]の分類でも弱点がある
という意味からすると、コンポーネントをフローティングさせるRELAXAにおいては
機械的にコンポーネントを固定ホールドするという[A]のような働きはないので、
上記で述べたシンセサイザーによる重低音の質感と音像が素晴らしい変化をした
という方向性に一致しないという不思議な傾向として考えられるのです。

[B]の弱点としてリズム楽器の音像が膨らみ緩くなると思いきや、全く逆に重厚さを
まして音像が見えるようになり引き締まった低音を繰り出すのですから驚きです!

そして、リズミカルなバックバンドの展開からKarl Friersonのヴォーカルが入ってくると、
その音像が正に浮き上がっくることに感動してしまいました!これいいです素晴らしいです!

センター定位のベースとドラムはもちろんの事、ギターやパーカッション、多重録音
されたバックコーラスなど曲を構成する全ての楽音が浮き上がっているのです!

更に中間定位の音像が多い課題曲で気が付かなかったポイントが次第に見えてきました。
この変化こそがRELAXA 800Seriesの本領というものかもしれません。

それを確認するために溝口肇の曲「14.帰水空間」を聴き直すことにしました。

毎回この課題曲を使うたびに注目すべき項目を述べるのですが、低域再生の質感で
最も異なる楽音として冒頭の三種のドラムが真っ先に比較の対象となる。

先ず左チャンネルからの深く沈み込む重量感あるドラムは最初の一打でHIRO Acousticが
成し得た低域再生の限界値を提示するのですが、この重量感がぐっと沈み込む音色の
変化としてRELAXAの効果をてき面に発揮する。これいいですね〜!

続く右チャンネルの切れ込み鋭く跳ねあがるようなドラムはインパクトの瞬間に
おいて加速された瞬発力を発揮するようになり、一打音の中で音程が飛び上がる
描写にRELAXAの威力を垣間見る!こんなスピード感こそ未体験、いいですね〜!

その後にセンターで連打される小気味よいドラムは駆動力が問われるかのように、
切れ味が良くなり引きずりやすい響きの延長を巧妙に断ち切る究極のダンピング!

シンセドラムと思われる無機的ではあるが、想像以上に倍音成分を含む打ち込みの
打楽器として多項目の観察点を聴き手に問いかけてくるドラムにRELAXAの開放感が
随所に観察できる素晴らしさ!

そんな使用前・使用後の格差を目の当たりにして、当フロアーの環境について
再考しなくてはと再生音を聴きながら心中にフラッグが立った。

弊社が入居しているビルの床は基本的には事務所向けのOAフロアーであり、
多数のOA機器のための配線が床下で行える浮き床構造となっています。

このビルが建築される前に担当するゼネコンの担当者たちと打ち合わせしたのですが、
浮き床板一枚当たりの耐荷重は300キロ以上ある浮き床なのだから、どんな重量物を
置いても大丈夫だという設計担当者の前で、私は持参したゴム製ハンマーで会議室の
床を叩いて回り、これだけ振動するのだからOAフロアーの浮き床にスピーカーを
置いたら良い音は出せないと力説した事を思い出します。

その打開策としてスピーカー設置スペースにおいて波型鉄板スラブの上に特殊な
シートによって床の基礎部分から分離させ、現状復帰が出来るような配慮を行い、
この試聴室の床の半分以上となる約38uに渡り厚さ10cmのコンクリートを流し込んで
固めてありますが、ざっと計算するとコンクリートの重量としては約8.7トンという
大変きな質量をもって床を補強していたのです。

しかし、残念ながらコンクリートでの補強を施しているのはラックの後方から
スピーカーを置いている向こう側だけ、ラックを置いている床はOAフロアーの
浮き床構造であるという事を白状しなければなりません。

H.A.L.'s Reference Audio Rack Renewal Planが遂に実現しました!!
https://www.dynamicaudio.jp/5555-7F/news/1466.html

輸入元サイトよりも詳しいARTESANIA AUDIOの日本語版カタログを公開!!
https://www.dynamicaudio.jp/5555-7F/news/1470.html

しかし、そのような状況下でもベストを尽くすこだわりから、試聴の上で判断し
当フロアーのリファレンスラックは上記のように2018年4月にARTESANIA AUDIOの
トップシリーズにリニューアルしました。これだったらいいだろうと…!
https://stella-inc.com/stellawebsite/artesania-audio-range/

これ程の重厚かつ精密に設計されたアイソレーション効果を持つラックであるにも
関わらず、RELAXA 800Seriesをセットして起こった現象をどう考えればいいのか!?

ARTESANIA AUDIOラックの機構的説明は下記ページにてご覧下さい。
https://stella-inc.com/stellawebsite/exoteryc-rack-4-steps/

これほど重厚であり床からのアイソレーションに関しては支柱のスパイク、更に
上記のページ(4)での頑強なフレームから吊り方式内部構造、内部フレームでは
非磁性ステンレス製のリニアアームには、自由に位置を変えられるスパイクが
装備され、振動絶縁用テフロンディスクやダンピングパッドを支えるという多重
構造のアイソレーション機構を備えているのです。

これだけ鉄壁のアイソレーションを行っていながらRELAXA 800Seriesを使用することで、
なぜ私が経験した事のない低域の質感の素晴らしい向上が起こり得るのか!?

ここからは私の推論となりますが、これほど重厚なARTESANIA AUDIOラックを設置
している床がOAフロアーの浮き床構造であるからだと考えています。

もし、仮に前述のようなスピーカーを置いているコンクリートを充填している巨大な
質量のある床にARTESANIA AUDIOのラックを置いたとしたら全く違う音質になっていた
と思われるのです。

では、なぜARTESANIA AUDIOラックのアイソレーション効果が発揮されていないのか、
という現象を考えると、設計者が想定している共振周波数の帯域が数百から数キロ
ヘルツという高域でのレゾナンスを想定しているのではないかと私は考えました。

これはARTESANIA AUDIOラックのアイソレーション効果を狙った機構の中で柔軟性が
あるパーツを使用している箇所が、上記サイトの(10)アイソレーション・ディスクと
いう物だけであり、200Hz程度からの下の低周波帯域では機械的振動が伝搬されて
しまっているという事がOAフロアーの浮き床構造では考えられるのです。

ここで前述のインシュレーターにおける[B]の特徴を再度引用すると、点支持では
なく面接触させることで、コンポーネントそのものの振動を吸収する考え方、
という事は材質はある程度の柔らかさ柔軟性が必要と言えます。

指で押してみて形状が変化する程の柔らかさ、また究極的にはエアーサスペンション
のようにインシュレーターの上下にあるものを完全にアイソレーションするという
ものも[B]の範疇に含めても良いかもしれません。

ARTESANIA AUDIOラックは前述の[A]の形状と材質によるアイソレーション効果は
大変素晴らしいのですが、それらは低周波の振動に対しては制御しきれていないと
今回の試聴から私は考えたものであり、その点RELAXA 800Seriesの非接触という完璧な、
しかもレゾナンス周波数が存在しない機構であるという要素が垣間見えるのです。

今までに経験してきたアクセサリー関係の製品では色々な発見がありました。
というよりも、その製品が登場しなければオーディオ再生において悪影響を及ぼす
要素がこんなにもあるという事を知り得なかったわけです。例えば…

コンポーネント内部に存在する高周波の影響を回避するという製品としては…
https://stella-inc.com/stellawebsite/cad-computer-audio-design-range/
https://www.andante-largo.com/products_category/ga/

室内の空間に存在する高電位の静電気を回避するもの…
https://www.dynamicaudio.jp/5555-7F/ESI/

空間に存在する高周波、電磁波の影響を回避するもの…
http://www.aitec-ltd.co.jp/custom3.html

商用電源に潜むノイズ成分の影響を回避するもの…
http://www.axiss.co.jp/brand/transparent/power-conditioner/power-conditioner/

これらの製品を試してみて音質的効果を確認した事により初めて各製品が主張する
音質悪化要因というものを知ることが出来たわけです。私も大いに学習しました!

さて、私が述べた推論に関係があるRELAXAの開発メーカーESSECI DESIGNのサイト
から面白い動画がありましたので下記に紹介します。ハンマーで叩く衝撃による
振動という低周波での共振というイメージをつかんで頂ければ何よりです。
https://www.essecidesign.it/isol-coupling/

前述のようにRELAXA 800Seriesをセットするためには高さ空間が必要なのですが、
当フロアーのARTESANIA AUDIOラックの中段にセットしているGrandioso D1XSEには
使用することが出来ないので、ESSECI DESIGNのユニークなアイソレーターである
ISOL COUPLING8を2セット用意してセッティングしたのです。
https://www.yukimu-officialsite.com/isolcoupling8

このメモリー・シリンダーと呼ぶグリーンとピンクのエレメントは指でつまむと
ぶよぶよした感触、大変軟らかい素材であることが解かります。

■接触面はありますがGrandioso D1XSEもフローティング
https://www.dynamicaudio.jp/s/20240706151831.jpg

シグナルパスを構成するコンポーネントを同一メーカーの思想により、とにかく
フローティングさせてRELAXA 800Seriesを試聴する最終形態を作ってみたのです。

前述したRELAXA 800Seriesだけを使用した際の素晴らしい変化がありましたが、
この段階でISOL COUPLING8を追加しGrandioso D1XSEに使用したらどうなったか、
後述する総合的な評価の前に低音の打楽器が印象的な下記の選曲にて実験しました。

■Flim & The BB's / Tricycle (DMP) 1.Tricycle
https://www.discogs.com/ja/Flim-The-BBs-Tricycle/release/6194802
https://www.discogs.com/ja/Flim-The-BBs-Tricycle/master/484773

■HELGE LIEN / SPIRAL CIRCLE   7.Take Five
http://diskunion.net/jazz/ct/detail/XAT-1245411462

この二曲は高解像度なドラムの破壊的に強烈な打音がチェックポイントであり、
許容されるレベルの大音量で再生してみたのです。

すると…、これまた未体験ゾーンの音質!

二曲ともに重厚かつ空気感をはらんだようなキックドラムの重低音が響きますが、
その音像がフローティングした!?という感じの質感と定位感に変化していることに驚く!

これは言い換えれば、これ以前の再生音では床に根を下ろしたように、あるいは床から
盛り上がってきたかのようにキックドラムの重低音には足があり、その足はしっかりと
床を踏みしめながらドラムの音像を立ち上げていた、音像の底辺は床にあったという
印象だったのですが、これ程の重低音でありながら打撃音の発祥地点はHIRO Acousticの
ウーファーの高さにあるという私にして初体験という三次元的に定位を示すのです!

この空間から炸裂するキックドラムの音像は前例なきほどに引き締まっており、
それは続く多数のタムの打撃音が大音量でも爽快に弾けるテンションの高まりという
打楽器の理想的な再生音の見本として私の記憶を上書きしていったのです!

Tricycleにおけるドラムの圧倒的なエネルギー感がコンマ数秒という瞬間で私の
後方へ飛び去って行く快感、SPIRAL CIRCLEの冒頭でキックドラムの音圧が眼前の
空気を叩く波動感として押し寄せてくる快感、低周波のアイソレーション効果が
アナログ信号の最上流であるGrandioso D1XSEに引き起こした変化が素晴らしい!

それは7.Take Fiveの演奏が中盤に差し掛かり右側の中間定位でウッドベースが
弓によるアルコで主題の旋律を奏で始めると、ISOL COUPLING8の威力が解像度の
高まりと音像の引き締まりという質感の向上に表れる摩擦感ある弦の迫力が凄い!

今感じ取ったISOL COUPLING8の有効性を確かめようと、これも音像と音場感の両立を
的確に聴き取れる課題曲で確認することに。

■Dominic Miller / Absinthe (CD)よりタイトル曲1.Absinthe
https://dominicmiller.com/product/absinthe-cd/
https://www.youtube.com/watch?v=sY6aQy0MJ7k

CDプレーヤーのカウンターが004まで全くの無音。そこにDominic Millerのギター、
ドラムのシンバルとハイハットの輝き、際立つバンドネオンのリードの響きが続き、
センターの空間に乾いたタムの強烈無比な打撃音が一定間隔で炸裂する。

各楽音の鮮明さも未体験のレベルであり、ISOL COUPLING8のぷよぷよした原色の
小さなエレメントの感触とは真逆のハイテンションな楽音が炸裂していく変化に痺れる!

アイソレーションを低周波まで実現するための素材として、共振周波数を持たない
指先でつぶれるほどに軟らかい材質がこれほどまでに絶大な効果があるのかと驚く!

言い換えれば、正にISOL COUPLING8も対象をフローティングさせるという概念であり、
音質に対する貢献度の大きさを確認し念頭においてRELAXA 800Seriesを試聴していく
土台という存在感を現時点で明記しておきます。これはいいです、素晴らしいです!

             -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

■マーラー交響曲第一番「巨人」
https://www.dynamicaudio.jp/s/20210519123606.jpg
この写真で録音の古い順に左上から[1]右へ[2][3]、下段の左から[4][5][6]となる。
この中から定番の選曲で小澤征爾/ボストン交響楽団の1987年録音[3]から第二楽章。

ステージ上に並ぶオーケストラの各パート、特に弦楽五部の配置が中間定位として
感じられることが重要と述べてきたものですが、RELAXA 800SeriesとISOL COUPLING8
によって描かれた情景描写の美しさは過去の試聴記憶すべてを上書きするものでした!

このCDに録音されていた弦楽器の質感とはこんなに美しいものだったのか!
トランペットなど金管楽器の音色というのはこんなに透き通るような音色だったのか!
正に浮き上がってくるような木管楽器の響きはこんなにふくよかだったのか!
ティンパニーなどの打楽器はステージ奥の定位置をこんなに正確に提示していたのか!

オーケストラを構成する楽器群の成り立ちが根底から再構成されたという、私には
大変に手厳しい新発見の再生音が出現した事に驚き感動し、HIRO Acousticにおける
過去の膨大な音質判定の歴史を修正していかなくてはと思い至る。私は素直に認める!

■Melody Gardot/Sunset in the Blue[SHM-CD/Deluxe Edition ]
 1.If you love me  9.From Paris with Love
https://www.universal-music.co.jp/melody-gardot/products/uccm-1264/
https://www.universal-music.co.jp/melody-gardot/about/

■Kirkelig Kulturverksted  30 years’ fidelity
https://www.kkv.no/en/music/divers-2

7. Som En Storm, O Hellig And - Ole Paus & Oslo Chamber Choir
https://www.youtube.com/watch?v=9CJBropx7SE

10. Mitt Hjerte Alltid Vanker - SKRUK / Rim Banna
https://www.youtube.com/watch?v=42fIQbjp3bY

以前から何度も多用してきた人間の声、歌声とVoiceという表現法の異なる二枚の
CDを聴きたくなってしまった。いや〜、これは聴かなければ良かったのか!?

声の背景を彩るストリングスとコーラス、これらの持続する楽音の存在が左右
スピーカーが構成する目の前にある空間に、揺れるレースのカーテンか、あるいは
夜空に壮大な情景を描く揺れるオーロラのごとく、正にたなびくように浮遊する
音像という珍現象?を見せてくれる驚きから始まってしまった!

そんな伴奏楽音が中空に流れるような響きの連鎖を形成して歌声とVoiceが登場する!

この声がHIRO Acousticのセンターに浮き上がってくるのです!
同時にギターもパーカッションも、曲を構成する全ての楽音が浮き上がっているのです!

さあ、この「浮き上がってくる」という表現はどういうことなのか。

H.A.L.'s One point impression!! - ESOTERIC K-01XDSE & F-01 & G-01XD
https://www.dynamicaudio.jp/5555-7F/news/1769.html

上記より次の一節を引用します。

「私が本格的に試聴する時には両目をしっかり開けて眼前の音の風景を観察しつつ、
 前方にあるスピーカーの周辺にグラフ用紙のような方形パターンをイメージする。

 そのグリッド一つずつのサイズはスピーカーによって異なるのですが、その空間に
 表れる音像を可視化するように意識して、音像のサイズや輪郭、更に遠近感を
 パターン認識するようにして再生音の分析を行っています。」

これに類似する表現として本稿では「左右スピーカーが構成するディメンションに
音像が貼り付いたように並び立体感がないという感じ」と前述していましたが、
音源である左右スピーカーユニットを1個のプロットとして考え、それら全てを
線でつなぎ構成される平面を一枚のスクリーンとして仮想したということです。

今までは、そのスクリーン上に上記のグリッドを想定し音像をイメージしてきました。
つまりはスクリーンに投射されたアーチスト、楽音、オーケストラなどを見ていたのです。

しかし、RELAXA 800SeriesとISOL COUPLING8を使い始めると、音源であるスピーカー
ユニットの存在感がかき消えてしまい、演奏者すべてが平面のグリッドから離脱して、
スクリーンというディメンションから浮き上がって空間に音像を結ぶのです!

これが冒頭で述べた「正にハイエンドRELAXA、音像が剥離したぞ」という意味です!

正に音像がフローティングしたという感じで、スピーカーユニットという音源から
放射された音波が、その根源であるスピーカーの振動板という足枷から開放された
という私にして初体験の素晴らしさに驚喜してしまいました!

そして何よりも、RELAXA 800SeriesとISOL COUPLING8によってフローティングされた
音質というもの、その質感が前例のない美しさであり、今までの再生音には未知の
歪感が含まれていたという事実が突き付けられたのです!これには参りました!

そうです、RELAXA 800SeriesとISOL COUPLING8は使用対象に対して、振動を制御、
制動、減衰、吸収、拡散、熱変換、など接触しているがゆえに起こり得る制振効果を
もたらしたのではなく、冒頭で述べたキャッチフレーズにあるように「振動から
解放された」という次元なのです!

             -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

私の悪癖で、またまた長文となってしまいましたが、言い訳をすれば「感動の
大きさに文章量は比例する」という事になります。

そして、ここで白状しなければならない事態に追い込まれた事を、冒頭に述べた
今回の結論に追記する形で、最後の締めくくりとして記しておかなければならないと
考えるに至りました。

HIRO Acousticが登場して今年で10周年となり、その間に膨大な数の試聴を行い
数え切れない製品研究の結果として拙い文章にて記事を作成してきました。

しかしながら、その歴史の中で私が聴き判定してきた音質に関して、それらの
分析について全てを見直さなければならない必要性が、RELAXA 800SeriesとISOL
COUPLING8のパフォーマンスを確認した事により発生したという事実を私は認め
なければならないということです!

そんな思いを決定的にした試聴感想を最後の締めくくりとして紹介します。

■GODZILLA: KING OF MONSTERS(ORIGINAL MOTION PICTURE SOUNDTRACK)
https://wmg.jp/ost/discography/21102/

「ゴジラ キング・オブ・ザ・モンスターズ」のサントラ盤ですが、現在では
下記サイトはシリーズ最新作に置き換わっています。
https://www.godzilla-movie.jp/

このサントラ盤を入手してから当フロアーのシステムで聴き、下記のようにロンドンでの
スタジオ録音、掛け声パフォーマー、渋い般若心経もあり、和太鼓のダイナミックな
低音あり、マスタリングはバーニー・グランドマン・スタジオで行ったという
こだわりももありオーディオ的にも注目できるものです。

Godzilla KOTM - Making the Music - Bear McCreary (official)
https://m.youtube.com/watch?v=YINrERKAR4A&list=RDYINrERKAR4A
https://www.youtube.com/watch?v=jV0w7jGK04s&list=RDYINrERKAR4A&index=4

スタジオ録音ながらマスタリングのセンスが良く、オーケストラとは異なる音場感
ながら、打楽器と声楽、そして掛け声セッションのバランスが良く調和しています。

私が課題曲にサントラ盤を使用するというのはたまにあることですが、著名アーチストが
自身のアルバムで発表している曲を寄せ集めてものではなく、その映画のために編曲、
作曲され新規に録音されたものということで、まさしくオリジナルサウンドトラックと
いうディスクです。

このCDを試聴に使い始めた理由のひとつが、近代化された劇場でサブウーファーを
駆使したサラウンドシステムで映画の効果音に負けじと、壮大かつ重厚な超低音を
意図的に録音に含ませているサントラ盤であるという事でした。

私は異なるサイズと画質のスクリーンと音響システムによる、三か所の劇場で
この映画を観ましたが、それぞれに共通するポイントもあれば違う印象もあり、
更に音楽だけのサントラ盤をHIRO Acousticで聴くことにより、音楽作品としての
聴かせどころというか、劇場の音響システムではなくハイファイシステムで聴いた
際の音像と音場感という着目点で観察分析をすることが出来ました。

【Disc 1】 17. Goodbye Old Friend

冒頭は宗教曲を思わせる女性コーラスから始まり、しばらくすると混声合唱に発展し
雄大な響きの大変美しいコーラスへと展開していく。これだけ聴いていると映画音楽
とは思えないような神秘的であり壮大な空間の広がりが、画像とスクリーンがなくとも
私の眼前に出現した事に興奮と感動が押し寄せてきたのです!ここから違うのか!

何故かと言えば、この合唱も空間に浮かび上がっているという三次元的な音像表現であり、
前述しているスピーカーが構成する音響的スクリーンと例えていたディメンションに
対して前後感、奥行き感が無限大に広がっていくような展開による響きのスケール感が
桁違いに素晴らしいからです!これには驚きました!

やがて右奥から勇壮なドラムによる力強いリズムが静かに始まり、次に左手から
低い音階を奏でる中国?の弦楽器が登場し、次第に高まるドラムのリズムに呼応する
ようにホルンを中心とした管楽器が壮大なサウンドステージを背景に描き始め、
そこにヴァイオリンの調べが空間を満たしていく。この盛り上がりいいです!

長大なクレッシェンドで声楽と管楽器による広大な空間へと拡大する響きが渦巻き、
うねるような旋律が頂点を迎えた時、一瞬の静寂が戻り再び混声合唱による主題が
繰り返され、壮大な低音の残響を残しながら消えていくドラマチックな一曲です。

そして、その重厚感極まる低音はドラムだけではなく、コントラバスかシンセサイザーか
分からないのですが、極めて低い周波数の低音階にて脈打つような重低音が空間を埋め
尽くしていることにはっと気が付く。サブウーファーは使っていないのに!

このディスクはサントラ盤なので劇場のサラウンドとスーパーウーファーの存在を
意識した重低音が含まれていることは織り込み済み。

そもそもがサントラ盤という映画音楽での演出的な重低音なのだから、HIRO Acousticで
聴いても正確な低域再生という大前提に立って、重く広がる膨大な低音の洪水が当たり
前なのだろうと今までは考えていたわけです。

映画の効果音と同じく作られた重低音なのだからと…。

ところが、音響的スクリーンと例えていた眼前の大空間に広がり展開していた重低音が、
驚くことにHIRO Acoustic後方の空間に集約し始め、黒々とした重低音の塊として
その音源位置が特定できるような変化を示し、なんと!今まで認識出来なかった
音像を造形し始めたのです!

同じスピーカーとコンポーネント、そして音響的環境が同じなのに、どうして
こんなに変化するのか!?私が知らなかった低周波振動があり、スピーカーから
放射された音響エネルギーが空間と床を通じてラックとソースコンポーネントに
侵入していたのか!

そんな低周波のループをRELAXA 800SeriesとISOL COUPLING8が断ち切ることによって、
こんなものだろうと思っていた低域再生の開眼をHIRO Acousticにもたらしたのです!

RELAXA 800SeriesとISOL COUPLING8の使用前・使用後の比較は実に圧巻でした!

三分に満たない短いトラックながら声楽とオーケストラが音の洪水のごとく押し寄せる
という迫力の中に、各パートの分解能を更に高めて音像を明確にし、広大な音場感と
両立させる再生空間の品位を、この音響空間が高めていたことに改めて驚き感動した!

この試聴室が稼働し初めて今年で23年目、数え切れない試聴体験によってハイエンド
オーディオを追求してきた(つもりでいた)私は、RELAXA 800SeriesとISOL COUPLING8に
よってアイソレーションしきれていなかった落とし穴があった事に気が付かされたのです!

【Disc 2】 07. Mothra’s Song  09. Godzilla Main Title

07.では冒頭から重厚なドラムが独特のリズムで叩き出されてくるのですが、
当然のことながらスクリーン後方のサブウーファーが大活躍する曲であり、
子供時代に観たモスラの映画で歌われていたテーマソングでしたが、これを
最初の劇場でエンドロールが流れ始めた時に聴いた時には感動ものでした。

このCDはクラシック音楽のように録音レベルが小さく、言い換えれば大きなピーク
マージンを必要とするほどダイナミックレンジが広い録音であり、この曲では
最初のドラムだけに音量を合わせてしまうと後で大変な事になるというもの。

初めて聴いたIMAX仕様の音響設備による演奏を思い出してみると、目の前の巨大
スクリーンのある一点から鳴り響いてきたドラムでしたが、重低音を含む打音を
HIRO Acousticで鳴らすと、全く印象の違う打撃音だったのですが…!?

ありていに言えば前曲同様にスピーカー周辺の空気を揺さぶるがごとくの大迫力の
ドラムではあるのですが、正確無比なHIRO Acousticの低域再生では100Hz以下の
重低音までしっかりと出してくるので、やはり室内の空間いっぱいに展開する打音
という事で認識していたものでした。ところが…、というか、ここまで来たらやはり!

こんな低周波であってもRELAXA 800SeriesとISOL COUPLING8の手にかかると、
今まで見たことのないドラムの音像が私の前に出現したことに驚喜してしまいました!

RELAXA 800SeriesとISOL COUPLING8の使用後の感動は実に圧巻でした!

劇場ではドラムの迫力だけで相当なものでしたが、ストリングスが入ってくると
やはり映画向けの音質だな〜と思ってしまうものですが、HIRO Acousticは待って
ましたとばかりに高品位な弦楽器として再現し、打楽器の強烈な音圧の中で緻密であり
正確なストリングスを丹念に響かせていく事で存在価値を発揮します!

こんな透明度の高いサントラ盤のストリングスを正直にHIRO Acousticは奏でるのですが、
だったら今までに聴いてきたHIRO Acousticによる弦楽器は本物ではなかったのか!

09.では冒頭のお馴染みのゴジラの主題がチューバとバストロンボーンの低音金管
楽器によって、重厚な合奏でバリバリと空間を突き破るような迫力で鳴り響く。

今までは若干の演出を意識した迫力優先の低音金管楽器の音色なのだろうと高をくくり、
議論の対象にすら考えていなかった冒頭の鬼気迫る迫力の合奏パートが豹変したのです!

本稿では述べていませんでしたが、マーラーの交響曲第五番、第一楽章冒頭での
右チャンネルから聴こえてくるトランペットの質感も、RELAXA 800SeriesとISOL
COUPLING8を使用したら激変したという経験があったのですが、チューバとバス
トロンボーンの質感がこんなにも清らかであったのかと驚き見直してしまいました!

日本人の掛け声パフォーマーたちが威勢のいい声を張り上げ、低弦楽器の重い合奏が
うねるように旋律を奏で、シンコペーションをきかせた叩きつけるような管楽器の
アクションが広大な空間へと残響を広げていく迫力に酔いしれる!気持ちいいのです!

RELAXA 800SeriesとISOL COUPLING8は正に未体験ゾーンを次々と拓いていくのです!

そして最後に劇場のサブウーファーをこれでもかと意識して叩かれるドラムの一撃!

空気をブルン!と震わせて空間に放り投げた重低音の残響が、まさにストップウォッチの
秒針の動きをイメージ出来るように余韻の時間軸を計れるような響きを残し、雷鳴のように
遠ざかっていく素晴らしさ!

この迫力は当然のことながら同様であるのですが、残響の中に含まれていた不純物を
RELAXA 800SeriesとISOL COUPLING8がきれいに浄化してしまった重低音の感動です!

それはサブウーファーの音質を肌で感じる劇場での低音とは違い、前述してきた
ように低周波ループが当フロアーに存在していたという事実を突き付けられたのですが、
同時に高級ラックでも取り去ることが出来なかった低周波振動を遮断したらこうなる
という模範解答として私に衝撃と安堵感の両方を同時にもたらしてくれたのです!

RELAXA 800SeriesとISOL COUPLING8のさりげないパフォーマンスによる音響特性の
変化によって、録音に含まれている超低域が室内に充満することなく速やかに減衰
することで、私も知らなかった低音楽器の詳細なディティールが描かれていたからです。

この未体験の低域の解像度によって描き出された情報量に私は白旗を上げたのでした!

             -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

私は今までの選曲において、多数の曲で上記の特徴を確認してのことですが、
特に高音質ディスクと謳っているCDではなく、ごく一般的な市販品での選曲で
チェックしたい音質差が的確に解る曲を常々探しているものです。

そんな折、休日の運転中にカーラジオで聴いた曲がどうにもこうにも印象に残り、
iPhoneで「Hey Siri、井上陽水のピポパをかけて」と呼びかけてみたのです。

そしてApple musicで見つかった曲をAir Podsで聴いてみたのですが、これは!
という可能性のある曲であり、本格的に聴かなくてはと早速CDで注文してHIRO
Acousticで聴いたところ、私の予感が的中したという曲で異例の選曲です。

井上陽水「ハンサムボーイ」
http://yosui.jp/
https://yosui.jp/discography/%e3%83%8f%e3%83%b3%e3%82%b5%e3%83%a0%e3%83%9c%e3%83%bc%e3%82%a4/

井上陽水は好きなアーチストの一人であり、実は当フロアーのコレクションには
既に5〜6枚のCDとして持っていたのですが、音楽としては好きなのですが録音
作品として試聴に使うにはヴォーカルのリバーブが強すぎる傾向がありました。

ごく一般的なラジオ、テレビ、カーオーディオやラジカセというレベルのもので
聴く分には良いのですが、ここのようなハイエンドオーディオで聴いてしまうと
マーケティングによって意図された音質的演出がくどすぎてダメなのです。

好きな音楽だけどオーディオ製品の音質を慎重に吟味する試聴には使えないという
井上陽水だったのですが、今回使用した二曲は今回の課題試聴にはもってこいと
いう録音だったのです。

01. Pi Po Pa(作詞/作曲:井上陽水)

Arrangement:井上陽水, 細野晴臣
井上陽水:Vocal, Acoustic Guitar
細野晴臣:Bass, Synthesizer, Percussion
コシミハル:Synthesizer
木本靖夫:Programming
浜口茂外也:Percussion
矢野顕子:Chorus

このように30年前にして錚々たるミュージシャンがバックを務める一曲。
このアルバムではバックコーラスには矢野顕子の他、吉田美奈子、石川セリと
いうソロシンガーとして著名な歌手が名を連ねるという豪華さ。

冒頭に陽水の「ワン、トゥー」という声がセンター奥から聞こえると、いきなり
強烈な低音のドラムが登場する。しかし、この低音打楽器が何だか分からない。

キックドラムではないし大口径のシェル(胴)なしタブラのように聴こえる打楽器、
HIRO Acousticで聴くと重低音を含む音色は正確に再生している事が解かるのですが、
やはり音像サイズとしては左右スピーカーのセンターにどかんと居座る感じの
打音として認識していたものです。

また繰り返しになると思いつつ、RELAXA 800SeriesとISOL COUPLING8によって、
叩かれた瞬間から音像を見せるようになり、同時に引き締まったテンションが
小気味よく空間に跳ねあがる切れの良さを発揮する!これいいですね〜堪らない!

今まで左右HIRO Acousticの間隔一杯に展開していた打音がセンターに集束され、
打音の投影面積をイメージすると1/3程度に凝縮した音像を見せる! これは凄い!

シェル(胴)なしのドラムと述べているが、胴の響きが感じられない打音であり、
純粋なドラムヘッドだけがズビーン!と空気を揺さぶる重量感がパワーアップした!

空間に飛散していた低音を砂場と例えれば、両手で左右からセンターに砂をかき集め
もっこりした砂山を作るようなイメージで低音のエネルギーを集約するRELAXAが凄い!

昔懐かしいスティーヴィー・ワンダーが「迷信」のイントロで使用したClavinet Cと
同じような音色のフレーズがセンターでひねりを利かせるのだが、そんな楽器でも
音像サイズが凝縮し軽妙なメロディーがバックを引き立てる。これも変わったぞ!

エスニックな音色と旋律のパーカッションが後方で軽やかな背景音を構成し、
キーボードのハーモニーがヴォーカルの背後に音の屏風を立てたように井上陽水と
矢野顕子のPi Po Paという声のリフに彩りを添える。いいじゃないですか〜これ!

ファ、ファと聴こえるアコーデオンのような音色の短いフレーズはシンセサイザーに
よるものか、一定のリズムで終始続く印象的な伴奏も音像サイズが縮小した。

そして、細野晴臣のベースは控えめながらもセンターで重要な立ち位置で響き、
ドラム同様に濃厚な低音に変化し引き締まった音像はごりっと凄みを増した!

背後に展開するパーカッションは細かい一粒ずつの音像をくっきりと描き、
その弾ける音の粒子は水平方向に展開領域を拡大してリバーブなしでも音場感を
スケールアップさせる効力があることが分かる。こんなことあるのか!

オーディオの試聴に30年前の井上陽水の選曲という初めてのケースながら、
数え切れないほどの楽曲を残した偉大なアーチストの録音にRELAXA 800Seriesと
ISOL COUPLING8の真価を見せつけられるとは思ってもしなかった!惚れました!

09. 夢寝見

このCDには最もヒットした「少年時代」も収録されていて、曲中に「風あざみ」と
いう言葉が出てくるが、これは陽水による造語で植物のアザミが直接関係がある訳
でもないという。陽水ワールドという世界観は独自なものであり心を打つ。

この曲のyumenemiと発音される言葉も独特な造語らしい。そして、この曲を私が
選曲した理由も聴けば瞬間に解って頂けるというものでしょう。

この曲でのパート担当は不明ですが、それにしても井上陽水のカリスマ性はバック
ミュージシャンの顔ぶれにも表れているのか、ソロアーチストとして活躍する錚々たる
メンバーに改めて感心します。

もう何回目だろうか、重量級のGrandioso P1XSEとC1Xの乗せ換え実験に汗する!
リモコンのテンキーを押して陽水の再登場に期待し一瞬身構えると…。

センターには独特のテンションで響く低い音階のドラム、その左右に五種類ほどの
パーカッションが居並び、重厚な打音と煌めく打音が広く左右に展開する冒頭。

いや〜、もうここから違うのです! もう何度も繰り返して述べているので変化の
方向性は皆様も想像が出来てしまうのではないでしょうか。

先ずはセンターのドラムの重厚感とインパクトのエネルギー感が増量しており、
打音そのものの時間軸が短縮されたようにテンションを高めていることに驚く!

前曲同様に低音打楽器に対する変化は誰でも解るレベル!

そして、左右チャンネルのスピーカーの軸上に陽水のyumenemiというフレーズが
同時に繰り出し、その後ずっと繰り返す中でシンセサイザーが背景を作っていく。

そのyumenemiのくっきり変化した鮮明さに目と耳を惹き付けられるが、センターに
ぽっかり浮かぶように登場した陽水のヴォーカルにおける変化こそ鮮烈でした!

今までベースの音像サイズと同等と思っていたものは実はもっとキュートな口元であり、
適度なリバーブを施して響きを広げていく展開と、歌手そのものの存在感に明確な
境界線を引くようにヴォーカルの解像度が高まっていることに気が付く! これいい!

そして、yumenemiというフレーズに石川セリのコーラスが重なってくるのですが、
セクシーさを増しているのは錯覚だろうと自分を納得させるのに時間がかかった。

ヴォーカルの質感に関して音像サイズだけでなく緻密で滑らかな表情が見えてくる!

かすれた連続音をプログラミングしたシンセサイザーが背景を彩り、ベースの質感と
同類の重厚さを響きの中に垣間見せる分解能の変化が私には貴重に思える! いい!

ありきたりと言えばそうか、あまりオーディオの試聴には使用しないと思われる
30年前に発表されたポップスのCDには、現在の再生装置になってから新たに発見
された新種の音楽情報が含まれていた。

それをこともなげに引き出してくるRELAXA 800SeriesとISOL COUPLING8が凄い!

自分のシステムが置かれている環境は熟成しているから…、と新たな可能性に
関して興味を持てなかった人々に対して、RELAXA 800SeriesとISOL COUPLING8は
強烈な一打を繰り出したと言えます!

             -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

まだ終わらないのか!?皆様のお叱りの声が聴こえてきそうですが、もう少しです。

私は仕事オンとオフでは聴く音楽は全く違うとハルズサークル配信では度々述べて
きました。同時にApplemusicのヘビーユーザーであり、移動中もiPhoneとAirPods Proで、
自宅ではHomePodで仕事オフの時には試聴の課題曲とはまったく別の音楽を聴いています。

そんな気ままな音楽旅行のような聴き方をしていても気になる曲に出会うとAmazonで
海外からCDを取り寄せて、当フロアーのHIRO Acousticで聴いてみるという未知の
音楽との出会いを楽しんでいるものです。

こんなミュージックライフの中で最もお気に入りのアーチストがDe-Phazzでしょうか。
https://dephazz.com/

昨年は2019年発表の「DE CAPO」というアルバムを購入し、今年は2022年発表の
「JellyBanquet」というアルバムを購入しました。
https://dephazz.com/discography
https://dephazz.com/wp-content/uploads/2022/06/JellyBanquet500a.jpg

また、同様な経緯からclub des belugasというアーチストもお気に入りとなり、
このアルバムも入手していました。「club des belugas best of 2002-2022」
https://www.club-des-belugas.com/best-of-2002-2022
http://www.rambling.ne.jp/catalog/club-des-belugas-best-of-2002-2022/

ところが、これらのCDをGrandiosoとHIRO Acousticで聴いた私の感想は?でした。
曲としては大変好きなのですが、リファレンスのハイファイシステムで聴いてみると
どうしても物足りなさを感じてしまうのです。

前述の引用ですが、曲としては大好きなのですがHIRO Acousticで聴くと面白くない。
そんな選曲に対してRELAXA 800SeriesとISOL COUPLING8が救世主となったエピソード
で締めくくりたいと思います。この曲です…

■葉加瀬太郎/Etupirka〜Best Acoustic〜より 1. エトピリカ 
https://taro-hakase.com/
https://hats.jp/discography/hucd10166/

スタジオ録音による弦楽のみのオーケストラをバックにしたお馴染みの曲。
日頃試聴ではあまり使わないCDが記事にしないだけで沢山あるうちのひとつ。

ヴァイオリンというとクラシック音楽での録音は試聴でも多用するのですが、
このアルバムは…、というより葉加瀬太郎の曲でヴァイオリンの質感について
商品としての音質的演出がどうしても気になる私は厳密な試聴には使ってこなかった。

さらに言うと、HIRO Acousticという録音まで裸にしてしまうスピーカーだと余計に
ヴァイオリンという楽器の質感が鮮明になってしまうため、ホール録音における
音場感という環境的整合性に対して、スタジオ録音の場合には違和感を感じてしまう
ことにも起因しているかもしれない。でも、好きな曲であることには間違いない。

テレビ番組「情熱大陸」のエンディングでかかるエトピリカのイメージとは全く
違う弦楽伴奏だけによる導入部からして、このCDのアコースティックが好きなのです。
https://www.youtube.com/watch?v=oFUeDjcChTw&list=LLbav6J9GCG0Fh4BBqSZcg2A&index=466

管弦楽団としてのフルオーケストラがステージに居並び録音した音楽とは違い、
スタジオ録音では楽器の配置そのものを左右チャンネル間でメリハリをつけて
定位させている。

つまり、センターの葉加瀬太郎を挟んで左側にヴァイオリン、右側にチェロと
コントラバス、時にセンターにコントラバスもありという位置関係です。

当フロアーのような高度なこだわりの再生装置が聴くと、私だけかもしれませんが
クラシック音楽でのヴァイオリンと比べて独特の誇張感を含んで聴こえてしまうと
いう印象があったのです。

主題の旋律をアレンジした弦楽伴奏が始まり、聴き慣れたメロディーが…

楽器はヴァイオリンであってもポップスというジャンルを明言している葉加瀬太郎ですが、
その人の才能と情熱はテレビやラジオでも事あるごとに見てきました。

エンターテイナーとして画面に登場する分には気にしていなかったヴァイオリンの
質感ですが、本格的なオーディオシステムで聴くと印象は変わってしまうものでした。

ところが…、それをRELAXA 800SeriesとISOL COUPLING8にて聴き直したら!

「いや〜、分解能は素晴らしいのに、この暖かさと滑らかさは何なの!?」

重低音のない曲であり弦楽器のみの質感に注目するのですが、どうしても今まで
HIRO Acousticで聴きたいと思えなかったエトピリカが大変身してしまったのです!

当然のことながら葉加瀬太郎のソロバートにおける音像にも視線を向けているが、
ご本人の体形よりスマート(失礼!)なシルエットで艶やかな音色で出現した葉加瀬
太郎のヴァイオリンが何とも素晴らしいのです!これには感動しました!

最後に私が言いたい事、好きな曲ではあるがHIRO Acousticで聴くことに触手が
動かなかった音楽が、こんなにも楽しめるという原点回帰が最終結論であると!

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長広舌を振るうという言葉がありますが、滔々と長くしゃべり続けること。
私の場合には長広筆という事になるのでしょうか。

感動の大きさに文章量は比例するという私の悪癖をお詫びしつつ、皆様の貴重な
時間を頂いてしまったことに感謝しているものです。

長々と述べてきたRELAXA 800SeriesとISOL COUPLING8ですが、私は声を大にして
推薦したく思っています。では、どのような方々に推薦したいのか!?

歴代のESOTERIC製CDプレーヤーの愛用者の皆様、機能性優先でオーディオラックを
選択されたという皆様、音楽を聴く住環境に不安のある方々、愛機の潜在能力を
引き出したいと考えていらっしゃる方々、様々なケースが考えられますが、私は
究極的にはこの一言で皆様に提案したいと考えました!

「振動から解放された未体験ゾーンを体感したいと考えた方々すべて」

私の結論、RELAXA 800SeriesとISOL COUPLING8をH.A.L.のリファレンスとして採用します。

あっ、最後に一言…
HIRO Acousticオーナーの皆様には必須アイテムとして推薦します(笑)

川又利明
担当:川又利明
TEL 03-3253-5555 FAX 03-3253-5556
kawamata@dynamicaudio.jp

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