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H.A.L.担当 川又利明
    
2021年7月23日 No.1667
 H.A.L.'s One point impression!!-Chord Electronics Reference Range Vol.3

H.A.L.'s One point impression!!-Chord Electronics Reference Range
https://www.dynamicaudio.jp/5555-7F/news/1660.html

H.A.L.'s One point impression!!-Chord Electronics Reference Range Vol.2
https://www.dynamicaudio.jp/5555-7F/news/1662.html

Ta.Qu.To-Cableを全面採用して試聴した上記のインプレッションでしたが、
そもそもプリアウトが一系統しかないプリアンプChord Electronics UltimaPre2を
バイアンプで使用するためにと下記のスプリッターが開発されたものでした。

New Original product release - Y'Acoustic System Ta.Qu.To-Spritter
https://www.dynamicaudio.jp/5555-7F/news/1663.html

そして、上記のNo.1662で結びの言葉として次のように述べていました。

「私は決意しました!
 UltimaPre2とUltima5(×2 Bi-Amp)のペアをH.A.L.の一軍登録とすることを!」

世界的なコロナ禍で入荷が遅れに遅れていましたが、やっと常設展示が実現し
セッティングされました事を下記にてご報告致します!
https://www.dynamicaudio.jp/s/20210706122725.jpg

このようにシグナルパスを全てTa.Qu.To-Cableにて統一し完成したシステム構成を
下記にてご覧頂ければと思います。私のベストチョイスによる自信作と言えます!

H.A.L.'s Sound Recipe / Chord Electronics UltimaPre2 & Ultima5 - inspection system Vol.3
https://www.dynamicaudio.jp/s/20210706122840.pdf

上記No.1662では当フロアーでコレクションしているマーラー交響曲第一番「巨人」
のディスクをすべて引っ張り出してきて聴き比べてみたと述べていました。
https://www.dynamicaudio.jp/s/20210519123606.jpg
録音の古い順に写真左上から[1]右へ[2][3]、下段の左から[4][5][6]とします。

(中略)

オーディオの使い手による独断と偏見、自画自賛、あるいは自己満足とも言えますが、
五種類のマーラーを聴いた私が最後に聴くことにしたのは、52歳という指揮者として
脂の乗り切った小澤征爾とボストン交響楽団による1987年録音の[3]でした。

その詳細はNo.1662で述べていますが、私が長きに渡りリファレンスとしており
最も好きな録音というのが[3]であり、これをUltimaPre2とUltima5の上記システム
にて毎日聴き続け熟成の変化を観察してきたのでした。そして…

「あ〜、何と滑らかで美しい弦、何と清らかな透明感ある管の質感だろうか!」

同じ曲を数え切れないほど多くのシステム構成で聴いてきた私が初めて体験した音。
これを述べると長くなってしまいますが、とにかく素晴らしい音色だったのです!

上記インプレッションでも述べていましたが、私が納得出来る音質が出るまでに
三日間かかったというUltimaPre2とUltima5ですから、Ta.Qu.To-Spritterを含めた
このシステムでも恐らくは200時間を超えただろうというバーンインを続けていたところ、
ひとつの到達点を極めたという実感が今までに知り得なかった音質と共に出現したのです!

私が自分の言葉でオーディオ製品を評価し、ひとつの研究成果として文章化して
発表するという手段において、一通りの記事を公開すれば一仕事を終えたという
区切りがつくものですが、このUltimaPre2とUltima5に関しては磨けば磨くほどに
更に熟成した音の香り、そう! 今まで知り得なかった音楽の芳香を放ち始めたのです!

          -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

私は大分以前から耳にした音、音質を表現し皆様に何とか文章表現で伝えたいと
人間の五感に基づいた色々な比喩を考えてきました。聴覚以外に例えば…

視覚的な表現では、そもそも私が集中して試聴する時にはしっかりと目を見開き
音像の定位感や音場感を視線で追跡したり、また万年筆で描く文字の線の細さと太さ
として、更にはパレットに置いた絵具を混ぜ合わせた色彩感として音色を表現したり、
絵画の遠近法と消失点などで空間を表現したりという事例がありました。

触覚としてはシルクと今治タオルの肌触りや、金属と木材に触れた際の冷感と
ぬくもりの比較のような表現や温度感として楽音の感触をイメージしたりしました。

プロの物書きとは違い原稿での文字数の制限を持たない私は、自分が聴いた音を
何とか皆様にも解りやすくイメージしやすい表現はないかと長きに渡り考えて
来たものですが、最近取り組んでいた課題試聴に際してボキャブラリーの枯渇を
意識するようになり、悩んでしまう時があったというのが本音のところです。

もちろん私が検証している環境とシステム構成という大きなこだわりの中で感じて
来たものであり、私の独断と偏見に基づく文章化という大前提があるのですが、
私がここで作り出している音に対しての評価は実演によって証明出来るという
他のメディアとは大きく異なる実態があります。

そして、私が認め評価したものを実演することで多くの皆様に推薦の根拠を体験
として納得して頂き、ビジネスへと発展して来たという事実がありました。

さて、そんな私が最近の体験を経て耳で聞く音を人間の五感として表現するとしたら、
残るは味覚と嗅覚ということになりますが、ちょっと言葉の意味を調べてみました。

「味覚は動物の五感の一つであり、食する物質に応じて認識される感覚である。
 生理学的には、甘味、酸味、塩味、苦味、うま味の五味が基本味に位置づけられる。
 基本味の受容器はヒトの場合おもに舌にある。基本味が他の要素(嗅覚、視覚、記憶など)で
  拡張された知覚心理学的な感覚としての味は風味と呼ばれることが多い。wikipediaより」

人間の五感にも個人差があり人によっては感じ方の大小があるので一概に言えませんが、
例えば見た目透明な液体があったとして、砂糖水か塩水か酢なのか、苦い粉薬が溶けて
いるのか、うま味調味料が入っているのか、実際に口に入れないと解らないのが味覚であり、
対象物を見ただけでは想像が出来ないのが視覚から連想する味覚かもしれません。

そして、実際に口に入れた事から嗅覚の作用で風味を感じ取ることにより、
飲食物の味というものに知覚的な評価が上乗せされることになり、風味の
重要さを実感することが出来ます。

コロナ禍のニュースで味覚障害、嗅覚障害の症状が見られるという話題は記憶に
新しいところですが、風邪などで鼻づまりを起こしても食べ物の味が変わってしまい
味覚と嗅覚の関連性は非常に大きいものだという事に気が付かされるものです。

でも、湯気の立つコーヒーを見た時、色鮮やかな花を見た時、私たちは本能的に
以前の好ましい記憶から視覚で捉えた対象物から特定の香り匂いを連想します。

さて、前述の小澤征爾とボストン交響楽団によるマーラー交響曲だけでなく、
五線譜で表される全ての音楽には作曲者があり、その譜面を読み取り指揮者の解釈の
上で演奏される音楽には原点は同じ譜面であっても実際の演奏には多様性が発生します。

音楽制作者の感性による作曲、更に作詞も含め音楽作品の原点が形成される譜面、
それを実演する時空間の共有から生演奏の醍醐味があり、同時に演奏の音波を録音し
加工し様々な形式で固定化した商品として再生音の原点が特定されることになります。

そして、それらの高度な演奏を近代的な録音手法によって音楽データとして、
ひとつの原点をパッケージ化したとして、今度は同じ音楽データでも再生手法に
よって無数の多様性が発生するという現実があります。

この音楽という再生芸術における多様性は音質的価値観と特有の個性として、
オーディオ装置を使っての再生音のグレード、品格には大変大きな格差が生じる
ということも事実であり、であるからこそ音質追求と研究による進歩がありました。

その再生音楽をめぐる研究活動をビジネスの起点としている私には大きなこだわりがあり、
それ故に音に対する独特な嗅覚が備わっていたのではないかと考えています。

聴覚、音に対する嗅覚というのは理解しにくい例えだと思いますが、私の経験から
次のような場合に使用したい比喩の一手段であるとご理解頂ければと思います。

先ず上記のように、受容器として舌で感じる基本味の甘味、酸味、塩味、苦味、
うま味の五味などは耳で聴いた時の楽器や声の認知であると言い換えたいのです。

これはヴァイオリンだピアノだ、これは女性の声だテノールだ、という具合に
楽音の種類や音源の特定という事ではないだろうかと私は考えました。

ある音波が耳に入り感じた時、ハイファイ再生の最も基本的な性能として、
楽器の種類や音階を識別できること、聴覚における基本的な認識というレベルが
ここにあると例えたいのです。舌と耳という二種の受容器での共通項とします。

そこで味覚と関連性をもつ風味という感覚を私は耳で聴いた時の再生音の中に
含まれる多様な情報量として、前述のように視覚、記憶などによって想起され、
聴覚によって認知された楽音(再生音)に対して拡張された知覚心理学的な感覚として
補足・追加された音の味わい、テイストとして次のような項目を当てはめました。

質感、音色、響き、余韻感、音像と音場感という立体感、これらが高い次元で
感じられる再生音こそが、耳で受け取り嗅覚で補足された音の風味として重要な
パラメーターではないかと考えたのです。

ただし、食通・グルメは自分の味覚を鍛えるかと如く、美味いものを探し求め、
食した時の印象を舌(味覚)と嗅覚の両方で風味を含めて評価し記憶していくように、
聴覚における音の風味という感性はトレーニングしなければ備わらないものです。

そして、これは再生装置によって大きく左右される項目であり、単純に楽器の種類
だけが解れば良いというハイファイの基準を上回る音の風味であり、食べ物を舌と
同時に嗅覚による風味を上乗せして味わうという事に基づいて、前述の次の一節を
私は考えたのです。

「私には音に対する独特な嗅覚が備わっていた」そして「音の香り」更に「音楽の芳香」
という私なりの表現方法であり、オーディオに対する研究成果を説明する時に新しく
使用していきたいボキャブラリーの発見であったということなのです!

長くなってしまいましたが、ここで話しを戻しましょう。

■マーラー交響曲第一番「巨人」小澤征爾/ボストン交響楽団/1987年録音の[3]

数ある課題曲の中で、この曲を使っての試聴が最も多かったわけですが、
Chord Electronics UltimaPre2とUltima5を使っての検証システムを長時間に渡り
鳴らし続けてきた結果、今までになかった音の香り、音楽の芳香を感じたのです!

第二楽章における弦楽五部の合奏では、未体験の艶やかさと滑らかさが新鮮な音色として
他のアンプでは知り得なかった音の風味を味わわせてくれました。実に素晴らしい!

金管楽器の透明感は言葉で言い尽くせない程の純度で響き渡り、その余韻感は直接
耳で受け取ったスケール感以上に空間を広げてくれる楽音の香りの展開でした!

第四楽章の冒頭でのシンバルは今まで耳で感じる苦味があったのだと気付かされる
ことになり、喉ごしのいいビールではありませんが心地よい刺激に味わいを感じる。

続くグランカッサと低弦の重厚な響きは耳だけでなく、音の嗅覚からもたらされた
風味の一環として体表を揺さぶる空気の波動感を伴い、強烈なオーケストラの立ち
上がりから流麗な弦楽による主題へと進行していくホールの響きに酔いしれたのです!

せっかく耳で感じた美味しさを表現しているのに下世話な見方ですが、Ultima5が
170万円であるということを考えると、当フロアーで過去に扱ってきたアンプたちと
比較して何と費用対効果が大きい事か。ただし純正プリを組み合わせてのことですが。

とにかく今までに経験のない音質に熟成したChord Electronicsの潜在能力に驚き、
この私にして他のアンプにはない音という強烈な印象に打ちのめされてしまったのです!

耳で感じて舌鼓を打ったという事なのですが、この熟成によって得られたChordが
他の選曲でどんな音の香りを感じさせてくれるのか好奇心が沸騰したのは当然のこと!

          -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

溝口 肇と言えば、ベストアルバム「Espace」からタイトル曲の「1.Espace」
そして、「2.世界の車窓から」「10.Offset Of Love」を今まで多用してきました。
http://www.archcello.com/disc.html

そして、つい最近ですがApple Musicで違うアルバムを見つけたのです。
「the origin of HAJIME MIZOGUCHI」
https://www.sonymusicshop.jp/m/item/itemShw.php?site=S&ima=3355&cd=MHCL000010099

上記の課題曲が全てSACDで聴けるということに注目したのですが、実はキック
ドラムの連打から始まる溝口 肇の代表曲「世界の車窓から」は何と!彼のチェロと
ハープ(堀米綾)だけという新規録音の別ヴァージョンだったのです。

Chord Electronicsが放つ音楽の芳香をオーケストラ以外でも感じたいと思ったら、
こんな素敵なデュオの演奏を見逃すことは出来ません!

歴史に残るコロナ禍でオリンピックの夏、梅雨明けと共に訪れた猛暑の東京ですが、
私は試聴室のエアコンと換気扇の両方ともに止めて、可能な限りの高S/N環境を用意
して試聴の臨んだのです!

「あ〜、美しい! この質感、この音色、そして響きが造形する空間の素晴らしさ!」

クラシック系のハープだけのCDもコレクションしているので、本格的なハープが
放つ正弦波に近い正確な波形による音波のエネルギー感が凄いということは経験済み。

この録音ではチェロもハープもセンター定位。しかし、ハープは演奏者の右側に
マイクをセットしてあるのか音程の高低によって左右に展開する弦一本ずつの
音像に位置関係を見ることができる。

ありていに言えばハープの音階が低くなると右側に、高い音階では左側に展開し、
視覚的に言えばハープの弦を透かして見ると、その向こう側にチェロがいるという構図。

ハープの三音からなる鋭いピッチカートの和音が冒頭に弾かれてスタートする。
この瞬間的ともいえるハープをHIRO Acousticが放って1/100秒後に私の耳に届き、
弦の周辺となる空間の全くの静寂と、その中心に屹立した鋭いハープに驚き感動する!

センターを中心に左右に音階を広げるハープが空間の透明度を最高潮に仕上げ、
チェロの登場を心待ちにするイントロが続くと、今までに聴いた溝口 肇のチェロとは
一味違う質感をもってセンターの奥に実に素晴らしいアルコの音像が浮かび上がる!

私はオーディオで聴く音楽の力強さエネルギー感は楽音の立ち上がりの迫力で
感じ取ることが多いと思っているが、美しい音というのは音波の発祥時点ではなく、
いかにして空間に響きが留まり滞空し、そしていかにして最後の余韻までをも聴かせて
消滅していくか、音が消えていく情景描写にこそ美意識を感じるものなのです。

このたった二人だけの演奏、しかも瞬間的に立ち上がり消えていくハープの儚さと、
朗々としたアルコという連続音で奏でられるチェロの対比が、各々の楽音の発生から
消滅までも小編成であるが故の大きく広い無音の空間を背景にして実に克明に
聴き取ることが出来るのです!

そして、楽音の数が少なければ少ないほど、音源位置を視線で捉えながら、
その音像を眼前の空間という透明なキャンバスに描かれいてく過程が感動的に
観察できるのですが、私は両者の音像から立ち昇る響きの香り、余韻の芳香と
いう音楽の風味を存分に感じることが出来たのです!いや〜、これは素晴らしい!

お馴染みの主題をチェロが奏で、ハープが伴奏のメロディーを空間に散りばめ、
フレーズが進むと今度はハープが主題の旋律を奏でると溝口 肇が伴奏者となって、
ゆったりとしたチェロの響きから清々しい香りが放たれ私の耳と鼻腔をくすぐる!

上記で音の風味として表現した各項目の情報量がChordな表現力によって香ばしい
楽音の味わいを作り出したことに私は心り中で喝采を送っていたのです!


私の仕事は聴くことから始まる…、という一節は既に常套句となっているのですが、
仕事では同じ曲を何度も何度も繰り返し聴くのですが、これはオーディオ的分析の
ために仕方ない事なので、苦痛ではありませんが心から楽しんでいるのかというと
必ずしもそうとは言い切れないのが現実。

でも、オフの時にApple Musicで未知の音楽に触れることができるというのは実に楽しい!
出勤の道中でイヤホンで無作為に選曲された初めて聞く音楽に感動する事もしばしば。

そんな私が「あれ、これはどこかで聴いたことがあるぞ」と、ハッとして調べて
当フロアーのシステムで聴いてみたくなり購入したCDの一枚がこれです。

久石譲「Dream Songs:The Essential Joe Hisaishi」
https://www.universal-music.co.jp/hisaishi-joe/products/umck-1638/
http://www.joehisaishi.com/information/2019/11/dream_songsthe_essential_joe_h.html

クラシック・レーベルDECCA GOLDよりリリースされ、ロンドン交響楽団と共演している
ということで、私の好奇心にヒビっと刺激が走り今回の試聴に間に合わせたのです。

3.Summer(菊次郎の夏)

先ずは右チャンネルからチェロとコントラバスのピッチカートが軽妙なリズムを奏で、
次に左チャンネルからヴァイオリンのピッチカートが主題の旋律を奏し始めた。

この時既に「あれ〜、これはどこかで聴いたことがあるな〜」と気が付く。
ホール録音ではなくロンドン交響楽団がスタジオ入りして演奏しているので、
各パートの定位感は当初から明確であり、妙にセンターがガラ空きとなる。

このイントロだけでChordな味わいという私の評価が響きの美しさとして証明される。
ピッチカート、しかもスタジオ録音という事で、各パートが放つ響きの領域が
コントロールされており実に鮮明。

そのぽっかり空いたセンターに木管楽器が順を追って登場し、低弦のリズムに
合わせて短いパッセージを展開する。いいですね〜、スタジオ録音のオーケストラで
既に響きの風味を感じさせる情報量に納得できる素晴らしさに加点が加わる!

そこに弦楽器のリズムと同じパターンで久石譲のピアノが登場し、このあたりで
あー! あの曲か! という思い出が蘇ってくる。確かに聴いたことがあったんだ!

オーケストラでの協奏曲でピアノが主役となる場合には、交響曲の録音センスとは
異なりピアノ奏者の居場所がセンターに設けられるのが通常の事ですが、ここでは
スタジオ録音ということもありコントロールされた響きの中でピアノが引き立つ。

ホール録音とは違う音楽の香りというか、ホールの余韻感に依存しない各パートの
音像と音場感の風味は克明な楽音の存在感を若干のリバーブで上品に味付けした
仕上がりに感動し次の選曲へと心が逸る!

ネットを探せば何のCMだったかは分かるのですが、ここでは触れないでおきましょう。

7.Oriental Wind

この曲では久石譲のピアノが最初から主題を演奏するのですが、もう直ぐに何の
CMに使われたかピンと解ってしまうというくらい聴き馴染んだ曲です。

そのピアノを取り囲むように弦楽五部が実に日本的な情緒溢れる旋律を奏ではじめ、
ゆったりと、しかし躍動感あるメロディーが展開していきます。

音場感の大きさによって楽音の響きを追跡する範囲が広くなるという傾向ではないが、
金管楽器が登場し中央奥からスネアの連打とコントラバスが同期した盛り上がりを見せ、
ここでもChordがもたらした音楽の芳香が作曲者の感性としてオーケストラの集約した
響きを作り上げ、HIRO Acousticが得意とする空間表現に素晴らしい風味を醸し出した!

テレビCMでは15秒間しか使われないメロディーであるが、聴き知っていた旋律が
実はこんな交響詩的な雄大な演奏に連なっていくということに驚いてしまった。

あっという間の5分30秒という演奏でしたが、熟成したUltimaPre2とUltima5が
如何に音楽に麗しい香りをもたらしていたか、他社にはない魅力を実感したのです!

          -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

新型コロナウィルスの第四波から更に第五波による緊急事態宣言が発出されてから、
今回で七作のインプレッションを発表するというハイペースが続いてきました。

これは正直に申し上げて皆様にも想像が出来ると思いますが、不要不急の外出を
自粛するということで来店のお客様が極端に減少し、私が試聴室を自由に使える
時間が大変多くなったということでもあります。

しかし、その中でもHi-End Audio Laboratoryという研究所としての活動は留まることなく、
逆に研究成果としての優秀なコンポーネントの分析と評価に努力してきました。

緊急事態宣言の中で来店を促すことは出来ませんでしたが、その間に蓄積してきた
研究成果を近い将来の“コロナ明け”が実現した時に、これまでの私の活動を実際の
演奏として皆様に聴いて頂ける事を楽しみにして頑張ってきました。

オーディオ雑誌やネットでの記事による音質評価は膨大な数となりますが、
文章で語ったことを実際の音として実演してくれるところはありません。

でも私が述べた音を事実として皆様に体験して頂くことは可能です。
ここが違うのです!

H.A.L.の研究成果は無料にて公開し皆様に体験して頂くために
私はこれからも聴き続けていく事でしょう!

皆様とお目にかかれる日を楽しみにしております!

川又利明
担当:川又利明
TEL 03-3253-5555 FAX 03-3253-5556
kawamata@dynamicaudio.jp

お店の場所はココです。お気軽に遊びに来てください!


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