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H.A.L.担当 川又利明
    
2021年2月24日 No.1651
 新企画⇒New Original product release - H.A.L.'s E.S.M Insulator

突然の事ですが2021.02.17-☆-H.A.L.'s Circle Review-☆-No.4531-にて下記の
ブリーフニュースを掲載しました。

「重量たったの2グラムというインシュレーターに大感動!」

オーディオ製品としては何とも非常識な質量なのですが、先ず最初に実物の画像を
下記にてご覧下さい。大きい方のリングの直径は約45mm、小さい方は約36mm程度。

厚みは約1mm程度で、これ二枚で1セットとなり約2グラムというものなのです。
材質は非公開ですが手にした感触からプラスチック系ではないかと推察しました。
https://www.dynamicaudio.jp/s/20210219170353.jpg

しかし、さすがに上記の二枚のリングだけで私が取り上げるほどの音質的効果が
あるというものではなく、下記のようにセットすることで初めて役に立つものです。
https://www.dynamicaudio.jp/s/20210219170408.jpg

この段階でお分かりかと思いますが、下記のオリジナル商品に追加することで
初めてインシュレーターとして機能するものなのです!

New Original product release - H.A.L.'s E.S.Insulator!!
https://www.dynamicaudio.jp/5555-7F/news/1422.html

上記の記事でインシュレーターの種類に関して大別すると[A]と[B]に分けることが
出来るという事と、各々の特徴を説明していますので是非再読頂ければと思います。

そして、今回の質量がたった2グラムという二枚のリングを使用することで、
私が感動するほどの音質的効果があったという事実を大変貴重な存在として
受け止め、私は新たなネーミングを考案しました!

H.A.L.'s Electromagnetic Wave & Static Electricity & Mechanical Vibration Insulator

略して H.A.L.'s E.S.M Insulator というものです!

これは以前からあるH.A.L.'s E.S.Insulatorに二種のリングを追加することで
完成するわけですが、そのリングをキット化したものが下記です。
https://www.dynamicaudio.jp/s/20210220123723.jpg

これを私は[E.S.M Ring Kit]と命名しました!

インシュレーターに種類に関して[A]と[B]に分類しての解説をしていますが、
この両者は共に機械的振動に対する効果を狙ったものです。

しかし、H.A.L.'s E.S.Insulatorは新しい視点として下記のように静電気絶縁と
高周波対策ということで作られたものでした。

H.A.L.'s One point impression!! - H.A.L.'s E.S.Insulator
https://www.dynamicaudio.jp/5555-7F/news/1420.html

そして、上記の命名の由来からも解るようにE.S.M Insulatorへと発展させることで
機械的振動対策が新たに施されるということで、三つの対策項目を有する新種の
インシュレーターが誕生したという事なのです!

たった2グラムで機械的振動にどんな制振効果をもたらすというのか?

誰しも思うことであり、私も試聴するまでは実際に半信半疑でしたが、それは
この後に説明していくセッティング方法にも要素がありますので注目して下さい。

その前にAiTECが既にΛ8.24 Plusとして発表しているので下記サイトをご覧下さい。
http://www.aitec-ltd.co.jp/custom72.html

このページでは使用方法が紹介されていますが、それと並行して私の解説を
ご覧頂くと良いと思います。

             -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

先ず第一段階として当フロアーのリファレンスシステムにてESOTERIC Grandioso P1Xに
E.S.M Insulatorを使用することからスタートしています。

その取り付け方法に関して私なりにAiTECサイトとは違った解説を行っていきます。

1.リング小の位置決め

AiTECサイトでは「1.リング小を貼る」という写真にて事例が紹介されていますが、
では具体的にはどこに貼ればよいのか?

基本的にはコンポーネントの設計者が内蔵部品で重量のある電源部やメカニズムなどの
重量配分を考慮して取り付けた純正フットの少し内側という事が望ましいものでしょう。

フットが4個であれば対角線を引いたとして4点の少し内側ということ。
三点支持であれば各々3個のすこし内側ということで良いかと思います。

コンポーネントのグレードによっては見た目の安定性から4コーナーに均等な位置
関係でフットを取り付けているものも多いと思いますから、上記に関しては厳密な
位置ではなく目安ということでご理解頂ければ良いと思います。

また厳密に音質本位という事であれば、試聴しながらインシュレーターの位置を
動かして決めるというこが理想的な事と思いますので誤解なきようお願い致します。

さて、では私は最初にリング小の位置決めとして何をやったのかを下記にてご覧下さい。
https://www.dynamicaudio.jp/s/20210219170533.jpg

[E.S.M Ring Kit]付属リングガイドを最初から当てがってリング小の位置を検討しています。
その理由は二つあります。

先ず最初にAiTECサイトの取り付け方法の説明を見ていくと解りますが、付属リング
ガイドを後程コンポーネント下に差し込んで位置決定する必要があり、その際に
コンポーネント底部の奥まったところではリングガイドが届かなくなる可能性があります。

更にリングガイドの外形によって純正フットからも少し離さなくてはならず、
そのためには最初からリングガイドを当てがってリング小の位置決めをした方が
良いと思われるからです。

これは全てのコンポーネントに対してではなく、使用対象によって工夫が必要でしょう。
というのは、次の第二の理由があるからなのです。先ずは下記をご覧下さい。

カタログやwebでも紹介されていないESOTERICの新技術とはこれだ!!
https://www.dynamicaudio.jp/5555-7F/news/1121.html

上記の中に次の代表的なESOTERIC製品の事例を画像として紹介します。

http://www.dynamicaudio.jp/file/20140720-P-01_botom01.jpg
http://www.dynamicaudio.jp/file/20140720-P-01_botom02.jpg
http://www.dynamicaudio.jp/file/20140720-K-01X_botom01.jpg
http://www.dynamicaudio.jp/file/20140720-K-01X_botom02.jpg

このように近年のESOTERIC製品ではボトムプレートにスリットを設けてあり、
内蔵パーツの重量配分と共に振動対策を行っているという事なのです。

従って、私がリング小の位置を検討するに当たり、ESOTERICの設計者が配慮した
スリットによる分割に従い純正フットと同じブロックにて下記のように決定しました。
https://www.dynamicaudio.jp/s/20210219170517.jpg

そして、下記のようにリングの粘着シールの保護膜を剥がし貼り付けています。
この際には付属クリーナーで清掃し極力隙間なく空気も押し出してしっかりと
貼り付けることが肝心な事かとアドバイス致します。その理由も後述します。
https://www.dynamicaudio.jp/s/20210219170509.jpg


2.リング大の位置決め

当フロアーのARTESANIA AUDIOのシェルフ棚板に先ずは下記のようにラフに置きます。
https://www.dynamicaudio.jp/s/20210219170501.jpg

前述したようにリングガイドはコンポーネントからはみ出す位置関係が重要です。
それを特定する前にE.S.Insulatorとリングガイドのサイズ関係を下記にて示します。
https://www.dynamicaudio.jp/s/20210219170453.jpg


3.コンポーネントの仮設置から仕上げまで

AiTECサイトの4から6における説明箇所にて実際にGrandioso P1Xを仮設置した
状況を下記にて紹介します。
https://www.dynamicaudio.jp/s/20210219170442.jpg

この時に大切なことはリング大とリングガイドの接合性という点だと思います。

両者の加工精度は大変に高く、見事にピタリとはまり込むのですが、コンポーネント
底部の隙間が狭い時などは、しっかりとはまり込んでいるかどうかが判定しずらい
ものなので下記の画像も参考までに紹介しました。
https://www.dynamicaudio.jp/s/20210219170435.jpg

というのは、この後にリングガイドを付属の両面テープでラック棚板に貼り付ける
という作業になるのですが、リングガイドが少しでも浮き上がっていたりすると
しっかりとガイドにはまり込んでいない状態となり位置決定にずれが生じるからです。

従って、両面テープの保護シートを剥がしてしまうと結構強力な粘着性があるので、
いったんラックに接触してしまうと動かしたり剥がしたりすることが難しくなり、
保護シートを剥がす前に入念に両者の接合具合を確認しておく必要があります。

この作業には私も結構気を使い手間取ったところでした。作業後の画像が下記です。
https://www.dynamicaudio.jp/s/20210219170427.jpg

本体重量29キロというGrandioso P1Xをひっくり返したり、二度もラックから上げ下げ
するので、ひと汗かいての作業となりましたが無事にセッティングした状況が下記です。
https://www.dynamicaudio.jp/s/20210219170418.jpg

重たいコンポーネントで作業を行い慎重にラックに置くとピタリとはまり込む感触は
実に気持ちのいいもので、ほっと一息というところでした。

そして、ここがポイントなのですが上記画像を良く見ると大小のリングは直接に
円周上の面としてE.S.Insulatorとは接しておらず隙間があるということです。

セット後にGrandioso P1Xを前後左右に少し動かすと、あれだけ慎重にセットした
にも関わらず微妙に少し動きますが、実はそれで正解! これが秘訣なのです!

             -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

一般的なインシュレーターであれば手軽に付けたり外したり出来ますが、
上記のようにセッティングには慎重な作業と今回は写真撮影もしなければならず、
更に29キロもあるGrandioso P1Xを相手にしての初めてのセッティングということで
作業時間は30程度かかったでしょうか。

そのようなブランクが発生するだろうという事を承知の上での試聴ですから、
私は万全の準備をしておかなければとエンハンサーCD-Rを前日からリピートさせ、
この段階では半信半疑という心境で作業に取り掛かったものでした。

先ずは最近多用している課題曲を入念に聴き込み、曲ごとのポイントをしっかり
記憶に焼き付けて前述の取り付け作業を行いました。単純に置けばいいという
ものではないので慎重に位置決めしての作業量も多く必然的に期待が高まります。

先ずは定番となっている試聴システムを下記にご紹介しておきます。

H.A.L.'s Sound Recipe/H.A.L.'s E.S.M Insulator-inspection system
https://www.dynamicaudio.jp/s/20210307163236.pdf

私は冒頭でインシュレーターの種類に関して[A]と[B]に大別するできると述べて
いましたが、両者の比較項目として課題曲の選曲と指摘ポイントを心得ています。

セッティング作業前に聴いていた音量を忠実に再現し、どの楽音のどこに視点を
向けるべきかという事前の考えもあり、比較前の曲順通りに聴き直していきます。

その最初の課題曲として楽器の数が少なく音像と音場感の両者を同時にチェック
出来るものとして次の一曲を選んでおきました。ひと汗かいた後に先ずはこれ!

■UNCOMPRESSED WORLD VOL.1 よりTRACK NO. 3 TWO TREES
http://accusticarts.de/audiophile/index_en.html
http://www.dynamicaudio.jp/file/100407/UncompressedWorldVol.1_booklet.pdf

センター左寄りの中間位置にサックス、右寄りの中間位置にピアノという定位の
シンプルな編成での録音。正直な感想として、E.S.M Insulatorをセットして最初
であり最大の変化を感じたのではないかと驚いた一曲でした!

「えっ、サックスの質感がどうして! ピアノの響きの粒子がどうしてこうなるのか!」

以前にも最初にE.S.Insulatorを体験した時に音像が凝縮した変化と述べていた
記憶があるのですが、当然セッティング前にはE.S.Insulatorを使っていました。

その時の質感に比べても明らかにサックスのリードが醸し出すバイブレーションの
細やかさ、特に音階が低くなった際の躍動感というかエネルギー感が違うのです!

それは同じエネルギー感でも縮小した音像サイズの中で濃密さを増したという
表現でもいいと思うのですが、スピーカーユニットが存在しない中空に出現した
サックスが極めて鮮明さを高めて色鮮やかになっているのだから驚きました!

連続する管楽器の振る舞いは楽音の発生から響きの連鎖という事に関しても変化を
もたらしており、スタジオ録音の作品でありながら素晴らしいサウンドステージを
構築するECMレコードの創設者マンフレート・アイヒャーが手掛けた素晴らしい
音場感ということを事例として以前から述べてきましたが、たった2グラムという
E.S.M Ringがここまで広大な響きの空間を生み出したのかと驚嘆の一言!

同様にスピーカーユニットという音源位置から右側中間位置に浮かぶピアノが
登場すると、録音の前の晩には熟睡して目覚め良く気分爽快なピアニストの指が
気持ちよく鍵盤の上を駆け回っているのだと想像できるような、一音ずつが極めて
鮮明な音色として打ち出されてくるという変化を私は直ちに感じ取っていたのです!

響きの粒子と前述したのは打鍵の連続から一音ずつ残響成分の寿命が伸びたことと、
一鍵ずつの音階の移行によってハンマーの位置が微妙に左右にずれて定位し展開
していくという、ピアノならではの鍵盤ひとつずつの音像として感じ取れるリアルさ。

そして、打鍵の連続によって新しい音が発生し一瞬前の楽音と重なり合いながらも
正確な音程と、その連続による楽音が複合化された空間表現によって広大な音場感が
サックス同様に私の目の前に展開するようになったという変化に感動してしまいました!

デュオという小編成ながら両者の発する楽音が以前にも増して鮮明化されたこと、
それが極めて高い透明感を持つようになり、録音スタジオに無音の空気清浄機を
何台も運び込んだのではないかとイメージしてしまうほどの音響空間の清浄化を
なんと2グラムのリングがやってのけたという驚きにしびれてしまいました。

■Dominic Miller / Absinthe (CD)よりタイトル曲1.Absinthe
https://dominicmiller.com/product/absinthe-cd/
https://www.youtube.com/watch?v=sY6aQy0MJ7k

次の選曲は前曲と共通項の多いアコースティックなスタジオ録音で編成を少し
大きくしたクインテットのこれです。

スタートして最初の三秒間は無音でカウンター004から忽然とセンターに表れる
Dominic Millerのギター、この最初の出だしで私は硬直してしまいました!

「なんとまぁ! ギターの響きに表情が加わったように生き生きとしてるぞ!」

瞬発力ある爪弾きのリアルさが向上し、サウンドホールとボディーのふくよかな
響きとのバランスは当然のことながら、空間に拡散していく響きのレイヤーが実に
素晴らしい残響成分を提示してくるという変化。この絶妙なる音場感が凄い!

この録音の情報量とはこれほどの物だったのかと感激するも、考えてみれば前曲で
例えたマンフレート・アイヒャーが手掛けたECMレーベルご本家の作品とはたと気が付く。

冒頭のギターによるソロバートでさえE.S.M Ringの威力を思い知らされたところに、
ドラムManu Katcheの微細なタッチのシンバルが左右で展開する。これがまた凄い!

スポットライトが当てられたシンバルが叩かれ、細かく振動しながら煽られて
反射した光が空間に微細な反射光を撒き散らすがごとく、煌めくような響きの
鮮やかさがE.S.M Ringによってもたらされたというのか! 本当か! これ?

そんな懐疑的な思いをあざ笑うがごとく、金属のシンバルよりも遥かに小さく細かい
ブレード状の金属のリードを吹き鳴らすバンドネオンが入ってくると私の思いは軽く
一蹴され、ハーモニカに息を吹き込んだ時のバイブレーションを耳ではなく頬と肌で
感じた振動のように先程聴いていた質感との相違を目の当たりにした驚きにひれ伏す!

Nicolas Fiszmanのベースがセンター後方に登場し、その低音に重量感が加わり
同時に音像がぐっと凝縮されるのだから堪らない! これはいい!私の好みだ!

登場する楽器ごとにE.S.M Ringによって引き起こされた変化を瞬間的な分析で
比較前の音質と照合し、あまりの変化に次に起こる予測がつかないまま、最も
インパクトを受けたドラムの強烈な打音がHIRO Acousticから弾き出された!

「これは凄い! アタックと残響の両方ともに三割増しの情報量、いや、それ以上か!」

どうやったらこんなにタムのテンションが引き締まるのか?
どうやったらこんなに残響時間が引き伸ばされるのか?
そんな変化をもたらすアイテムなど他にあっただろうか?

ここです! [A]と[B]に大別したインシュレーターの種類に関して、どちらかの
メリットでありデメリットであるのか、打楽器のインパクトを高め同時に録音に
含まれていた余韻感も引き出せるのか。その両立という離れ技を私は目にした、
いや、E.S.M Ringによって耳にした瞬間でした!

今までの二曲で感じた事、気が付いたことはまだあるのですが、それは後述する
項目と変化要素を共有するものだと思いますので、この二曲で共通する最大の
変化を私は音響空間の透明性が向上した、オーディオ的に言えばノイズフロアーが
低下したということかと考えるようになりました。これをどう例えればいいのか…!?

透明なセルロイドに色鮮やかに描かれた絵画、アニメのセル画でもいいでしょう。
それを今までは白い画用紙に重ねて見ていたものと考えて下さい。

そして、E.S.M Ringを使用し始めると、そのセル画をガラスに重ねてみたという
イメージなのです!

音楽、演奏者それらを見事な描写で書き上げたセル画をクリアーなガラスに重ねたら、
絵具そのものの色彩感にガラスを通じてのバックライトが当たるように鮮明さと
透明感が得られるようになり、色彩感そのものに生命力が満ち溢れてくるのです!

そして、セル画の無色の部分には画用紙の白ではなく本物の無色というか
高い透明度が得られるようになり、それが音場感となってくるのです!
こんな変化をもたらすインシュレーターに私は覚えがありません!

シンプルな編成で驚くべき可能性を見せてくれたE.S.M Ringで次はヴォーカルです。

■Melody Gardot/Sunset in the Blue[SHM-CD]より1.If You Love Me
https://www.universal-music.co.jp/melody-gardot/products/uccm-1260/
https://www.universal-music.co.jp/melody-gardot/about/

アコースティックな録音で変化の方向性をつかんだ私は比較対象をもっと一般的な
選曲へと広げていこうと考え、最近お気に入りのヴォーカルとしました。

私はオーケストラなどのホール録音では弦楽器と言い、スタジオ録音での小編成では
ストリングスと表現するようにしています。ストリングスとは同時に楽音の収録後に
スタジオでの音質的調整と演出効果を加えることが通例という意味も含んでいます。

それを前提に冒頭から背景にしっとりとしたストリングスが展開し、数フレーズの
優雅な旋律を奏で、主役を迎え入れる舞台を楽音で作り上げ、一瞬の間をおいて
純白のHIRO Acousticの中央にMelody Gardotの「If You Love Me〜」という一声が
浮かび上がってきます。

「あ〜、なんと優しく透き通った歌声だろうか! しかも浮かんでいる!」

上記でセル画をガラスにという例えをしましたが、イントロのストリングスにおける
滑らかで艶やかであり透明感あふれる弦楽の調べは正に想像通りのものでした。

そのストリングスがフレーズの区切りに一瞬の間を置くという静寂感も同様に
色を塗っていないセル画から透けて見えるガラスの存在感を言い当てていましたが、
ヴォーカルが何と言っても素晴らしいのです!

外国人のヴォーカルは日本人のマウスサイズよりも大きめの音像となる録音傾向を
以前にも述べたことがありますが、この時のMelody Gardotのリップサイズは実に
チャーミングに変化していました。

その声色が生々しくオンマイクで息遣いまで拾い上げているような迫真性があり、
それが空間に浮かんでいるように感じるという表現をさせたものです。

そして、ヴォーカルの余韻に浮遊感が増しているという変化も歌手の存在感を
空中に浮かばせる要因となっていることも追記せざるを得ません。

スタジオワークで施された音のお化粧という表現は古くから使われてきたものですが、
歌手の表情と肌の質感を4K画質でクローズアップしたような鮮明さであると言えます!

歌声そのもののリアルさと音像として空間に留まるだけの響きのオーラをまとって
いるという、ヴォーカル好きには堪らない音質変化をE.S.M Ringがもたらしました!

ヴォーカルの質感で感激したら、人間の声に最も近い楽器と言われているチェロの
課題曲を聴かなければと、ディスクトレーの動作をもどかしく思いながら次の選曲。

■Espace 溝口 肇 best 
http://www.archcello.com/disc.html
http://mizoguchi.mystrikingly.com/

このベストアルバムは各曲ともに異なるレーベルでのリリース曲を集めたものであり、
年代も違う各国のスタジオで収録され、各々で伴奏ミュージシャンも違うし録音
エンジニアもばらばらで、楽曲としての成り立ちだけでなく録音センスも一曲ごとに
違うという面白いCD。

最近よく使うようになった「10.Offset Of Love」は1991年にパリのスタジオで収録された。

これを最初に聴き、次は1988年ニューヨークのMedia Soundスタジオで収録され、
名手Seigen Onoがレコーディングした「1.Espace」を聴き、最後に1997年にロンドンの
Living Stoneスタジオで録音された「2.世界の車窓から」の三曲を続けて聴く。

オーディオマニア向けの高音質テストCDなるお題目のディスクもあるが、
私は特に意識することなく一般的なCDを使うことが多い。

ごく普通に売られているCDにどのような情報が刻まれているのかということに関して、
そのクォリティーは再生装置の音質に依存しているものであり、普通のCDには
まだまだ大いなる可能性があると常日頃の経験から痛感していたからです。

特にこのディスクは最近のケーブルやコンポーネントの評価に多用するようになり、
チェロという楽器は録音センスによって音像サイズが大きく変化する事を注視している。

ホール録音などではチェロが演奏する音階が高くなると音像は小さくなり、
反対に低音では音像が大きくなるという傾向がスピーカー再生ではよくあること。

ところが、このディスクではスタジオ録音として楽器ひとつずつの鮮明さが大きな
前提となっていますが、チェロの音像サイズに関しては他のホール録音のような
傾向は見られず、各々きっちりとトラックごとにコントロールされているのです。

演奏する音階に関係なくチェロの音像サイズが小さい順では「10.Offset Of Love」
次に「2.世界の車窓から」そして「1.Espace」が最も大きな音像として聴こえる。

更にチェロとの遠近感という観点では手前に張り出してくるような至近距離で
聴こえるのは「1.Espace」であり、伴奏楽器と横並びの遠近感ということでは
「2.世界の車窓から」となり、そして「10.Offset Of Love」におけるチェロは
伴奏楽器よりも奥深くに位置する遠近法が感じられる。

さあ、こんな選曲に対する分析項目に対してE.S.M Ringの追加で何が起きるのか!?

「10.Offset Of Love」の冒頭ではセンター左寄りの中間位置に先ずはギターが…

「なに!このギターは!さっきのDominic Millerのギターと同傾向の変化だが…」

先ずは録音センスの違いとなって最初の驚きがギターでした。

6本の弦で太い方からE線、A線、D線となりますが、特にこの3本の爪弾きによる
エネルギー感が高まり、その響きの厚みと余韻感の増加というか残響が広がる
空間サイズが一回り大きくなったことに驚く!ピッキングの瞬間の立ち上がりが鋭い!

右チャンネルスピーカーの軸上に表れるコンガと思われるパーカッションの打音。
これが鋭角的な立ち上がりで切れ味が更に鋭くなったアタックで気持ちいい!

そして、圧巻だったのがセンターにずっしりと登場するベースの変化!

[A]と[B]に大別したインシュレーターの種類に関して打楽器における瞬間的な
楽音の変化について述べましたが、ベースのように連続する低音楽器に関しても
ぐっと音像が引き締まり沈み込むような重量感をともなう低域再生へと変化!

そして、E.S.M Ringの真骨頂とも言いたい楽音の美意識の新常識がチェロの質感に
極めつけの美しさとして表れてきたのです! これは実に素晴らしい!

パリのスタジオで収録された録音情報をミックスダウンした腕前、職人技の絶妙な
マスタリングによる楽音の素晴らしい演出というものか、スタジオ録音でありながら
見事な遠近法で描かれる遠目のチェロの音色が実に瑞々しく再現される快感に酔う!

それはチェロが発する楽音に付帯する残響成分の忠実な再現性と言えるのでしょうが、
遠くから余韻をはらませて響き渡るチェロの音像が見事なプロポーションに引き締まり、
鍛えられた響きの筋力が存在感を高めて朗々と鳴り響くことをE.S.M Ringが命じたのか!

この曲でも背景に添えられたストリングスが透明感溢れる響きのオーロラのように
溝口 肇の後方に残響による奥行き感を追加し、その広大なサウンドステージに
取り囲まれてピアノやパーカッションが鮮明さを増して輝く美しさに聴き惚れる!

再生音の情報量という尺度に、こんなに振れ幅があったのかをE.S.M Ringが証明した瞬間だ!

「1.Espace」は1988年ニューヨークのMedia Soundスタジオで収録されたものですが、
もしかしたらマスタリングスタジオはBernie Grundmanではなかろうか。

背景に微弱なテープヒスのようなノイズがあるのですが、敢て真空管のラインアンプを
通過させるということで楽音の質感に潤いを与えるという技法があることを以前に
耳にしたことがありますが、そんな音作りの魅力が更に高まって聴こえてきたのです!

ぐっと低い音程から溝口 肇のチェロが鳴り出し、ぐっと押し寄せてくるような
距離感の迫力として眼前に展開する。

しかし、音階の変化に従って音像はぎゅっと縮小したり大きくなったりとチェロ
特有の傾向としてスピーカーで再生する際の独特な音像サイズを正確に聴かせる。

だが、その音像と思われるチェロのボディーの響きの中に濃密さを増した音の核が
存在していたことを以前にも増して鮮明に聴かせるという変化をE.S.M Ringがもたらす。

演奏の途中からMaxine Neumanのセカンドチェロがピッチカートで短い響きを放つが、
センター左寄りから登場する第二のチェロにおいても音像の引き締まりが確認出来た。

マスタリングのセンスの素晴らしさがチェロのアルコによって響き鳴らされた音に
生命力を与えているのだろうか、E.S.M Ringを追加してからのサウンドステージの
拡張という音楽にとって旨味のある変化に私は舌鼓、いや…耳鼓を打った瞬間だった!

「2.世界の車窓から」は録音年代が一番新しく1997年にロンドンのLiving Stone
スタジオで録音された。前曲の背景ノイズがピタリと無くなりS/N比がぐっと向上。

そんな無音の一瞬から飛び出してくるのがキックドラムの連打。これがまたいい!

上記の課題曲でも切れ味鋭いドラムはあったが、ここでのキックドラムは重量感と
いうことでは前例とは違う低周波を含むもので、再生システムとスピーカーによって
千差万別の表情を見せる録音と言える。これがズシリと響く快感と迫力に驚く!

金物のパーカッションが左右に飛び交うように連打され、鉄道と機関車の躍動を
イメージさせる巧妙な伴奏が雰囲気を盛り上げる中でチェロが登場する。

長年に渡り同タイトルの長寿番組としてテレビから流れてくる曲なのでお馴染みの
メロディーを溝口 肇が奏で始めると、そのプロポーションがスマートになりつつ、
音像の輪郭がE.S.M Ringによって鮮明化されていることに気付く!素晴らしい!

前曲までの観察点で感じ取ったことごとが馴染み深い旋律のチェロに対して、
同時に多数の伴奏楽器に対してE.S.M Ringによる絶妙なチューニング結果を
もたらしていることに納得。今までに感じ取った変化のベクトル線を更に延長した!

■マーラー交響曲第一番「巨人」第二楽章 小澤征爾/ボストン交響楽団

大分前の話しですが私はオーケストラの再生音に関して弦楽器は面で、管楽器は
点で感じることができると述べたことがあります。

それは弦楽五部の50名の中でも第一と第二ヴァイオリンの合奏に関して感じるものですが、
優秀な再生音という事では、この面として感じられる弦楽合奏の中身が見えることが
重要だと考えています。

これは言い換えれば、それほど大人数での合奏でありながら演奏者個々の
存在感が解らなければならないということです。

標準的なオーケストラで第一(14)と第二ヴァイオリン(12)は26名ですが、
その両者が異なる旋律を演奏した時に違うメロディーであることが感じ取れるかどうか。

俗に言うお団子状態の集団として、ただの弦楽器の塊としてしか再生できないようでは
一流ではないという考え方です。

この弦楽合奏に対する分解能があるかどうか、私がオーケストラで最も注視している
ことは弦楽の演奏がほぐれて個々の演奏者の存在感が感じられるかどうかということなのです。

そんなこだわりにE.S.M Ringがどのような貢献をしてくれるのか、最後の選曲として
長年の定番であるオーケストラを聴き始めたわけです。

「あ〜ふ〜(ため息です)これはいい、美しくほぐれている。耳に優しい弦だ!」

リモコンのテンキーを操作してトラック2を選択した直後、私の内心で語った一言です!

決して今までのE.S.Insulatorを使用していた状態で分解能が不足していたという
事ではないのです。

何度も言いますが、たった2グラムのリングを追加したE.S.M Insulatorとして、
同じオーケストラを同じボリュームで聴き直した時に感動したのがこれでした。

第一第二ヴァイオリンと左側の面、右側ではビオラとチェローの面での掛け合い
による合奏の中に、集団として見事に同期する弓の動きをイメージしつつ、その
本数を思わず数えたくなるような分解能の高まりによって合奏そのものの質感に
艶やかな潤いが生まれているのだから参りました。とにかく美しいのです!

弦楽奏者一人ずつの響き、一人ずつの残響、それらが混然一体となって醸し出す
ハーモニーが面の中に演奏者個々の点という描写拠点をE.S.M Ringが与えたのか!

木管楽器の短いフレーズが交代で登場し、その一人ずつが放った響きが鮮明になり、
空間にピン留めされるように克明な定位感で緻密な音像を並べていく素晴らしさ!

ステージ上手の奥から轟くトランペットは決してぎらつかず、それでいて切れ味良く
爽快な響きをホール天井まで届かせるような余韻感の存続性を得て活気づく!

前曲までの分析で言わずもがなとも思えるティンパニーの打音は見事に引き締まり、
遠近法の消失点をステージ後方へと結びつける音像の鮮明さを証明する!これいい!

第二主題が始まる頃にはE.S.M Ringによって提供された快感に慣れ始めてしまったのか、
ディスクトランスポートだけでなく他のコンポーネントにも使いたくなってしまった
誘惑が早くも次の行動を催促し始めていた。でも、まだE.S.M Ringは一か所だけでいい!

試聴する曲数が増えるだけE.S.M Ring、いやE.S.M Insulatorの貢献度の大きさを
語りたくなる衝動に歯止めをかけなくてはと思う。なぜか…!?

それは…、この続きはお客様の感動のために取っておかなければと思うからです!

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さて、繰り返しになりますが、上記の命名の由来からも解るようにE.S.M Insulatorへと
発展させることで機械的振動対策が新たに施されるということで、三つの対策項目を
有する新種のインシュレーターが誕生したという事なのですが、私の分析はこうです。

E.S.M Ringそのものの質量によって制振効果をもたらすというものではないと考えます。
改めて下記の画像を再度ご覧下さい。
https://www.dynamicaudio.jp/s/20210219170418.jpg

上記画像を良く見ると大小のリングは直接に円周上の面としてE.S.Insulatorとは
接しておらず隙間があるということです。

そして、これがポイントですが大小のE.S.M Ringはラックとコンポーネントに
両面テープによって接着されているということです。

つまり、E.S.M Ringは接着されることでコンポーネントとラック(棚板)の質量と同化、
あるいは微妙な機械的連結をすることで、両者とはリング内周の一か所でわずかに
接することによって振動伝搬が行えるようにし、リングの内部損失と接着剤による
わずかな粘性によって伝送される波動の波形に変調を起こさないようにするという事。

これはあくまでも私の推測でしかありませんが、他のインシュレーターの使用法と
比較して考えるに機械的な固定を行わない事で前述の[A]と[B]という分類の両方の
メリットを獲得したものと考えています。

私は数時間に渡る試聴によってE.S.M Insulatorでのインプレッションをまとめ
ましたが、よくテレビCMや通販番組のテロップで「効果には個人差があります」
とか「これは個人の感想です」という断りの一言が表示されるのを見受けます。

上記に述べた私の感想も冷静に見れば同様なことで、下記のような私が設定した
システム構成によって感じられたものであるという事…

H.A.L.'s Sound Recipe/H.A.L.'s E.S.M Insulator-inspection system
https://www.dynamicaudio.jp/s/20210220190043.pdf

そして、下記のような音響的環境によって試聴されたという事実も追記します。

H.A.L.'s Hidden Story!! - 日本音響エンジニアリングHybrid-ANKH
https://www.dynamicaudio.jp/5555-7F/news/1647.html

たった2グラムのE.S.M Ringという新製品に関して、その効果のあり様は当然の如く
使い手の人々の各々によって違いがあるという事を確認として記しておきます。

でも、最も重要な事は私が感動したという事実なのです。

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しかしながら、このH.A.L.'s E.S.M Insulatorを推薦したい対象ユーザーは
ある意味で熟成したシステムをお使いの方々になるであろうと私は考えています。

その熟成とはどういう意味か?

先ず、使用されているコンポーネントがひとしおのグレードであり、それらに対して
一定の満足感を持たれている皆様という意味です。つまり、使用システムの何かを
アップグレードしたいという気持ちを持たれていない皆様ということになります。

次に上記のinspection systemでもお分かりのように、振動対策を施している
オーディオラックはもちろんのこと、電源関係やケーブルにも気配りし、
使用環境に存在する高周波への対策も行ったりE.S.Insulatorで静電気に対する
対策なども行ってきたりというコンポーネント以外の要素にも情熱をもって
取り組んでおられるという皆様ということになります。

もちろん前述の対策を全てやっているということではなく、いずれかの対策ひとつでも
実行していればという意味ですので誤解なきように一言追記しておきます。

このような熟成と自覚しながらも、今後はどのような方向性において音質向上の
手段があるのか…、と思案していらっしゃる皆様には大きな魅力となり得ることでしょう。

もっと簡単に言えば、現状システムおいて何らかの疑問や不満を持たれていた場合に、
それを解決するための対処療法としては推薦しないという考え方であるとご理解下さい。

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■H.A.L.'s E.S.M Ring Kit 税別価格¥18,000. (大小リング5セット入り)
キット内容は下記画像にて  税込み配送費込みとした販売価格¥20,000.
https://www.dynamicaudio.jp/s/20210220123723.jpg

■H.A.L.'s E.S.Insulator 税別販売価格¥48,000. (1セット4個入り)従来通り
             税込み配送費込み販売価格¥52,800.

■H.A.L.'s E.S.M Insulator 発売記念として先着100名様限定スターターキット
 E.S.Insulator 2セット+E.S.M Ring Kit 1セットの組み合わせにて限定販売
              税込み配送費込み販売価格¥120,000.

★新製品E.S.M Ring Kitはこれからの製造となりますので納期が2-3週間かかります。
 今後一週間以内にご注文を頂いた皆様には初期ロットにて納品致します。

★E.S.M Ring Kitはドライヤーなどで温めて頂ければ簡単に剥がれます。

             -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

H.A.L.'s E.S.InsulatorはAiTECのΛ8.24 The Professionalと同一個体であり、
H.A.L.'s E.S.M Ring Kitは同様にΛ8.24 Plusと構成パーツは同じですが、
セット内容で大小リングとリングガイドの枚数が異なるものです。

今回の新企画発表からハルズサークル会員の反響がどのような大きさになるか、
そして過去のオリジナル商品と同じようにハルズサークルの皆様の試聴評価によって
育てて頂きたいという願いがあります。

そして、ハルズサークル会員に向けての会員特典を上記の取り組みにて提案して
いるものであり、この機会にハルズサークルへのご入会をお勧め致します。

さて、本オリジナル商品はハルズサークル会員ではなく一般の皆様にも
販売して参りますので、下記の要領にてご注文頂ければ幸いです。

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            キーワードはズバリ!!

              「H.A.L.'s E.S.I発注( )セット」

              「H.A.L.'s E.S.M Ring Kit発注( )セット」

              「H.A.L.'s E.S.M.Iスターターキット発注( )セット」

このキーワードを件名に貼り付けてカッコ内に希望セット数の数字を記入し
送り先情報と署名の上でメールをお送り下さい。

          mailto:kawamata@dynamicaudio.jp

お支払い方法のご案内と納期回答を返信致しますので何卒よろしくお願い致します。

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販売価格はハルズサークル会員と同様ですが、会員特典としてご提案できる企画を
用意しておりますので、是非この機会にご入会をお薦め致します!!
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/circle.html

川又利明
担当:川又利明
TEL 03-3253-5555 FAX 03-3253-5556
kawamata@dynamicaudio.jp

お店の場所はココです。お気軽に遊びに来てください!


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