発行元 株式会社ダイナミックオーディオ 〒101-0021 東京都千代田区外神田3-1-18 ダイナミックオーディオ5555 TEL 03-3253-5555 / FAX 03-3253-5556 H.A.L.担当 川又利明 |
2021年1月15日 No.1645 新企画⇒New Original product release - Y'Acoustic System Ta.Qu.To-AES |
New Original product release - Y'Acoustic System Ta.Qu.To-BNC https://www.dynamicaudio.jp/5555-7F/news/1623.html 上記より引用開始 - Y'Acoustic System Ta.Qu.To-SPL & XLR -特設サイトは下記にてご覧下さい。 https://www.dynamicaudio.jp/5555-7F/yas/spl.html スピーカーケーブルやインターコネクトケーブルとアナログ系のシグナルパスを Ta.Qu.Toケーブルにて統一していった進化の過程はH.A.L.リファレンスとして 私が納得し満足するだけの高レベルであることは上記サイトで述べてきたものです。 同一設計者による同一思想での音作り、このこだわりが次に向かうところを私は デジタルケーブルではないかと想像していたのですが、吉崎さんには更にもう 一段階のこだわりがあったということで次のコメントがありました。 「以前にもお話ししましたが、なぜAESからじゃなくてニッチなBNCから開発したかですが…、 最初はAESを開発していたのですが、クロックケーブルの影響が大きく最良のAESを作るには、 まず最良のクロックケーブルを…と言う流れからBNCの開発に着手いたしました。 クロックを使わずに、AESケーブル単体でも勿論開発は可能なのですが、クロックを 入れていないAESでは、最高のAESは作れないという拘りからBNCを先に開発致しました。」 -*-*-*-*-*-*-*-*-*- 上記は高価なBNCケーブルですが、既に販売本数は9本以上となっておりハイエンド レベルのBNCケーブルとしては近年にないヒット商品となっています。 そして前述のように吉崎さんは既にTa.Qu.To-AESの開発に着手しており、二種の 試作品が持ち込まれたのは2020年11月末のことでした。 しかし、私は手術のため退院した直後であり体調は優れず、更に新製品が相次いで 持ち込まれるという次第で本格的な試聴は体調も仕事量も一段してからという事で 大分遅くなってしまいました。 また、Ta.Qu.To-AESは二種届いている試作品のどちらの音質を評価して発売する のかという私の判定もまだであり価格も決定しておらず、正式リリースは2021年の 年明けということになってしまったものでした。 各種Ta.Qu.To-Cableの音質的な特徴は統一された方向性をもっており、特に下記の Ta.Qu.To-XLRのリリースでも述べているように手裏剣型ダンパーの制振効果は大きく、 全シリーズにおいて共通の構造となっています。 https://www.dynamicaudio.jp/5555-7F/news/1604.html ここでもう一度Ta.Qu.To-XLRの外観画像を下記に紹介します。 https://www.dynamicaudio.jp/s/20200608153539.jpg 同じXLRプラグを採用るのでAES/EBU規格のデジタルケーブルにおける外観仕様を どうしたかという事で完成したTa.Qu.To-AESを下記にてご覧頂ければと思います。 https://www.dynamicaudio.jp/s/20210110171930.jpg このように外観はカーボンパイプに貼られたステッカーの色が違うということですが、 内部構造はどうなっているのか? これも比較してみましょう。先ずはTa.Qu.To-XLR。 https://www.dynamicaudio.jp/s/20200608153602.jpg 更にデジタルケーブルとしてTa.Qu.To-BNCの断面・内部構造図も再度ご覧下さい。 https://www.dynamicaudio.jp/s/20200929164431.jpg 通常のRCAまたはBNCのデジタルケーブルでは単芯シールド線として信号導体は 一本が普通なのですが、その構造の一例として下記をご覧下さい。 https://www.esoteric.jp/jp/product/7n-da6100iii_mexcel/spec 銅編組のシールドがグランド側(-)となっているわけですが、Ta.Qu.To-BNCでは 銅単線を同軸内に格納しシールドと共通させグランドとして実質二芯構造です。 同様に後述しますがESOTERIC 7N-DA6300III MEXCELの内部構造もご確認下さい。 https://www.esoteric.jp/jp/product/7n-da6300ii_mexcel/spec そして、下記のTa.Qu.To-AESの内部構造図と比べて頂ければと思います。 https://www.dynamicaudio.jp/s/20210111140638.jpg 通常のAES/EBUケーブルは二芯シールド線なのですが、同様に銅単線を組み込み Ta.Qu.To-AESは三芯構造として信号導体に沿わせる形でグランドにつなげています。 私は初めてTa.Qu.To-AESの断面図を見た時に、信号導体がBNCケーブルと同じ ムンドルフのSilver(99%)Gold(1%)-wire 1,5mm(15.5AWG単線)が使われていると いうことに直ぐに気が付きました。この素線のお値段は相当高そうだな〜 https://www.dynamicaudio.jp/s/20200929164405.pdf ムンドルフのサイトはセキュリティーが高度なのかズバリというページを私は 開くことが出来ませんでしたが、ネットでの流通価格を調べてみると… https://www.partsconnexion.com/MUNDORF-72181.html 1Foot=30.48cm 1m=3.28Footですので、3.28×$43.75=$143.5ということで$100以上、 送料や関税がかかってくるので相当な値段と言う事になりそうです。 また、Ta.Qu.To-XLRではスズメッキ導線を束ねた信号導体に直接に油浸透コットン 被覆が施されていましたが、BNCもAESもTa.Qu.To-デジタルケーブルではSilver Gold導体に油浸透コットン被覆は巻かれていないのです。 なぜかと吉崎さんに尋ねました! すると… 「デジタル&クロックに最適な素材として求めたのは、情報量の多さやコントロールの し易さだけで無く聴いていて心地よく、それでいて奥深い音色感で行きついたのが SilverGoldでした。 素線として入手可能なのは、裸線とPTFE(テフロン)被覆した状態の2種類なのですが PTFE被覆は音が硬かったので、裸線にシルクの被覆をしてから、PFA(テフロンの一種) 被覆しています。 PFAもチューブ状ですと音が硬かったので、スリーブにして、触れる面積を小さくして 音質をコントロールしています。 グランド用の銅線だけ油浸透コットン被覆がされているのは、元々の素線に施されて いるからです(笑) 油浸透コットン被覆を剥いで裸線の状態も試しましたが、油浸透コットン被覆した 状態の方が音が良かったので、そのまま採用しています。 ただ、こちらもそのままですと緩い音となりましたので、シルク被覆とPFAスリーブで 目的の音質にコントロールしています。 因みに、グランド線だけ銅線なのも、音質的な理由からです。」 なるほど、全て試聴の上でご自身の耳で確認し選択してきたという事なのですから 私としては納得せざるを得ませんでした。その耳での物作りという信念こそが 素晴らしいものであり、吉崎さんの耳と感性を私はそれだけ信頼しているということです! ちなみに、EMIシールドスリーブ・PFAスリーブ共に、スピーカーケーブルで採用した 真鍮スリーブや静電防止スリーブと同じTechflex社製の製品でFlexo Shieldです。 https://www.techflex.jp/metal-shielding/flexo-shield その詳細は下記のTa.Qu.To-XLRのストーリーでも紹介しているものです。 https://www.dynamicaudio.jp/5555-7F/news/1604.html さて、ここで思い出したのが下記の17年前となるブリーフニュースです! 「ケーブルのアナログ用とデジタル用とは何が違うの!?」 https://www.dynamicaudio.jp/5555-7F/news/300.html つまりデジタルケーブルはインピーダンス管理はされているが、アナログ用の インターコネクトケーブルではインピーダンスの制約はなく音質本位でのモノ 作りがされているという事。では各種Ta.Qu.To-Cableではどうなのかというと…。 これを公表するかどうかは大変迷ったのですが、設計者の吉崎さん曰くTa.Qu.To-AESは インターコネクトとしても使用可能ということでした。しかし、あまり長いケーブルは 製造できませんが…と発言があったことを紹介しておきます。 ただし、Ta.Qu.To-XLRはデジタル用としては不向きです。私は現時点では未確認ですが、 将来的にTa.Qu.To-AESをアナログ系統に使用しての試聴もやってみるつもりなので、 開発者のコメントを紹介しておくことで私が試聴しての判定につなげる布石として おきたいと思います。両者が揃った頃に比較してみますのでご期待下さい。 前述のように素線がスズメッキ銅線のスピーカーケーブルやXLRケーブルとは違い、 相当高価なSilver(99%)Gold(1%)-wireを使用したTa.Qu.To-AESの価格が決定しました! Ta.Qu.To-AES 1.0m 税別定価 ¥350,000. Ta.Qu.To-AES 1.5m 税別定価 ¥400,000. Ta.Qu.To-AES 2.0m 税別定価 ¥450,000. 0.5m延長ごとに税別¥50,000.にて特注可能 ■Ta.Qu.To-XLRも含めて実際には両端子間の長さは製品名の長さにリードワイヤーの 20センチが加算された実効長となっていますので、この機会にお知らせ致します。 また、各種Ta.Qu.To-Cableの販売価格は税別定価に消費税が加算されたものになり、 値引きを前提とした値付けは行わずにギリギリの価格設定となっておりますので ご理解の程何卒よろしくお願い致します。 -*-*-*-*-*-*-*-*-*- そして、いよいよTa.Qu.To-AESの試聴です。システム構成は下記となりますが これにて各種Ta.Qu.To-Cableが勢ぞろいしたことになります! H.A.L.'s Sound Recipe / Y'Acoustic System Ta.Qu.To-AES inspection system https://www.dynamicaudio.jp/s/20210111153509.pdf ESOTERIC Grandioso P1Xのデジタル出力をDUAL_8として352.8KHzを出力させ、 Grandioso D1Xでも入力DUALとして二本のAESデジタルケーブルを接続します。 今まで音質を認めて当フロアーで使用してきた次の二機種とTa.Qu.To-AESの試作 二機種の合計四種類を比較試聴しました。ちなみにESOTERICは生産完了品です。 ESOTERIC 7N-DA6300III MEXCEL AES/EBUデジタルケーブル/1.0m二本/税別定価¥590,000. https://www.esoteric.jp/jp/product/7n-da6300iii_mexcel/top TRANSPARENT REFERENCE XL 110ΩAES/EBU Digital 1.0m二本/税別定価¥960,000 http://www.axiss.co.jp/brand/transparent/transparent-2/ Y'Acoustic System Ta.Qu.To-AES (試作.1) 1.0m 税別定価 ¥350,000./1本 Y'Acoustic System Ta.Qu.To-AES (試作.2) 1.0m 税別定価 ¥350,000./1本 各ケーブル共にエンハンサーCD-ROMを50時間以上リピートさせ、極力均一な バーンインを行ってから試聴を行いました。ここで注意点が一つ。 Grandioso P1XとD1Xに付属するES-LINK5用のHDMIケーブルは各コンポーネントの グラウンドの干渉が異なる接続方式のデジタルケーブル間で発生する可能性を 排除するために敢て配線を外しての試聴を行いました。これ結構影響ありです。 最初の課題曲はこれです。 Melody Gardot/Sunset in the Blue[SHM-CD]より1.If You Love Me https://www.universal-music.co.jp/melody-gardot/products/uccm-1260/ https://www.universal-music.co.jp/melody-gardot/about/ Melody Gardotは大好きなシンガーの一人でデビューアルバムから全てのディスクを コレクションしているもので、五年ぶりの新作ということで先日購入していました。 1.If You Love Meは優雅でロマンチックな旋律のストリングスに彩られ、 一見オーディオ的分析には使われないような印象ですが、ヴォーカルもバックの 録音も大変に優秀なものであり、今回はこれを20回以上繰り返しての試聴でした。 -*-*-*-*-*-*-*-*-*- 先ずは長らく当フロアーのリファレンスであったESOTERIC MEXCELケーブルから。 HDMIケーブルでのES-LINK5がもっぱらの標準として今まで聴いてきましたが、 DUAL_8による8倍アップコンバートの352.8KHzで聴く最初のケーブルとして大変 優秀であり文句のつけようはありません。 各帯域のバランスはもちろんの事、音像と音場感両方の分解能に優れ、 十分な情報量にてMelody Gardotのヴォーカルをしっかりと聴かせてくれます。 何の不満も疑問もなくDUAL AESいいじゃないか〜というスタートです。 記憶が鮮明なうちに早速、TRANSPARENT RXL AESケーブルに切り替えると…。 お〜! 流石です! と思わず倍音の豊富さと情報量の増加に唸る! ストリングスのハーモニーが重厚な階層となって響き、ヴォーカルの質感も充実! これはいいですね〜とTransparentの実力を再認識されられる見事な音! 先ずはDUAL_8伝送によるGrandioso P1X+D1Xの実力を改めて確認した思いで、 それでは…と、おもむろにTa.Qu.To-AES(試作.1)に切り替えたわけです。すると… 「おー! ストリングスが! ヴォーカルが! 何と浮き上がってきたではないか!」 冒頭からのストリングスはオーケストラのホール録音とは違いスタジオ録音。 適度なイコライジングとリバーブ処理によって艶やかさ滑らかさが美しい。 その清潔感ある弦楽器が空間に浮遊するがごとく立体感を獲得している! 日本人のヴォーカルと外国人のヴォーカルでは音像の大きさが違う傾向がある。 日本の録音では歌手の唇がクローズアップされたがごとく、口元の動きとサイズが 克明であり極めて小ぶりの音像として再生される場合が多い。 それに対して海外のヴォーカル録音をビジュアルで表現すれば、バストショットと して胸から上の顔の表情までも含めて大きめの音像として表れることが多いのだが、 Ta.Qu.To-AES(試作.1)によって空間に浮かぶ立体像のように3D効果が見られる! 今まで私が各種Ta.Qu.To-Cableに対して最大の特徴として掲げた一節を敢て、 聞き飽きたかもしれませんが再度ここで連呼しておきたい。 他のケーブルにはない最大の特徴! 音像を支配するTa.Qu.To-SPLの神業! 他のケーブルにはない最大の特徴! 音像を支配するTa.Qu.To-XLRの神業! 他のケーブルにはない最大の特徴! 音像を支配するTa.Qu.To-BNCの神業! 例えばスタジオで整然と並んだストリングスの各パートにおいても、音階によって ヴァイオリンを筆頭に各セクションの位置関係が明確になり、今まで各パートは 集団として描かれていたものがTa.Qu.To-AESによって独立した音像へと進化し、 更に各セクションから放たれた残響成分が音像を空間に宙吊りにするという芸当を見せる! この現象はヴォーカルにとっても同様に表れ、背景から浮き出た音像として歌声の 背後に響きを拡散していく事で立体感を醸造していく。これは素晴らしい! もう、この段階で私は断言したくなった! 他のケーブルにはない最大の特徴! 音像を支配するTa.Qu.To-AESの神業! この他にも数項目の特徴を私は捉えていたのですが、心は早くも(試作.2)を早く 聴きたいという欲望を押さえきれず席を立って配線替えの作業に向かっていた。そして… 「いやはや…、これは! 私の耳が美味しいと言っているのだから仕方ない!」 二種の試作において商品化はどちらにするか、私はこの瞬間に決めていた! Ta.Qu.To-AES(試作.2)が更に素晴らしいと確認するに十分な一曲でした! 冒頭のストリングスが放つ響きのレイヤーは三割増し! 弦楽奏者の弓が完璧に同期して上下しているのは当然のことながら、一人ずつの 異なる音色であることが情報量の増加として実感できる気持ち良さ! ブラジルのベーシストDadi Carvalhoがヴォーカルと同じくセンター定位で弾く ウッドベースの音色は濃厚になり重厚感を増して心地よく音像を引き締めた。 左右スピーカーにまたがって展開するドラムはブラッシングによる静かなリズムを 空間に散りばめるが、先ほどより明るく鮮明に響くのは気のせいなのか? それはセンター右寄りの空間でゆったりと爪弾かれるアコースティックギターの リズムにも表れていて、音像の解像度が楽音の存在感に大きく貢献したことに驚く! そんなバックの美的変化に負けずとMelody Gardotのヴォーカルがリアルさを倍化した! 歌声の発生した瞬間から残響成分の再現性が歌手の三次元化につながる革新性がある。 ヴォーカルの残響成分が乏しい場合に音場感は平坦化し伴奏楽器と横並びの一枚の キャンバスに描かれるものだ。伴奏も同様であり余韻感という情報量が少ないと 平面的な再生音として左右に展開するのが関の山というところだろう。 しかし、歌声にかけられた自然なリバーブが完璧に再現されると、まるで飛び出す 絵本のように再生音のすべてが浮かび上がり迫ってくる音像の立体化が起こる! それはMelody Gardotの背後に余韻という影をもたらしたかの如く、自身の歌声が 瞬間的に作り出した背景としてのサウンドステージを造形するのだから堪らない! このTa.Qu.To-AESの特徴がヴォーカル同様に感じられるのが、曲の中盤から入ってくる フリューゲルホーンです。儚げな音色でMelody Gardotと同じセンター定位で表れ、 軽やかな旋律を切々と響かせるホーンの残響寿命がぐっと引き伸ばされる快挙! H.A.L.'s One point impression!! - ESOTERIC Grandioso C1X https://www.dynamicaudio.jp/5555-7F/news/1612.html ここで肝心な事を失念していました。 Ta.Qu.To-AESによってもたらされた変化は同じソースコンポーネントではありますが、 上記でも述べているES-LINK Analogで再生していることです。 いや〜、それにしてもMelody Gardotのヴォーカルが素晴らしい! ぞくっとするようなリアル感が背筋を這い上がり、三回以上繰り返して聴いて しまいました。正に私の耳が美味しいと言っているのだから仕方ない! Grandioso P1X+D1X、前作のP1+D1ではHDMIケーブルが付属しているので、それと どちらが良いのかという議論をするつもりは毛頭ないものです。なぜか… DUAL_8による352.8KHz伝送において引き出された情報量は最新のES-LINK5では ないものの、それ以前のES-LINKではDUAL AES伝送していたという事実もあり、 ESOTERICの技術進歩としてES-LINKの歴史を簡単に調べてみました。 ES-LINK1(DUAL AES)伝送Fs:88.2kHz/176.4kHz 伝送ビット: 24bit ※P-01+D-01から採用 2004年9月発売 https://www.esoteric.jp/downloads/archive/brochure/p-01_d-01.pdf 下記は懐かしい私の随筆 参考まで http://www.dynamicaudio.jp/file/060906/oto-no-hosomichi_no53.pdf ES-LINK2(DUAL AES)伝送Fs:88.2kHz/176.4kHz 伝送ビット: 24bit ※ ES-LINK1との違いは、DSD伝送時の暗号化のアルゴリズム ※P-03+D-03から採用 2005年10月発売 https://www.esoteric.jp/downloads/archive/brochure/p-03_d-03.pdf ES-LINK3(DUAL AES)伝送Fs:44.1kHz/88.2kHz/176.4kHz/352.8kHz 伝送ビット:24bit(8fs伝送時)/32bit(4fs/ES-LINK3接続時) ※8fs伝送時は通常のDUAL AES/EBUフォーマット※P-02+D-02から採用2012年発売 https://www.esoteric.jp/jp/product/p-02/top https://www.esoteric.jp/jp/product/d-02/top ここまでがESOTERICにおけるDUAL AES伝送時代でした。 ES-LINK4(HDMIケーブル使用)伝送Fs:352.8kHz 伝送ビット:〜64bit ※HDMIフォーマットには非準拠の独自フォーマット ※Grandioso P1/D1から採用 ※P1は48bit/352.8kHz出力 2013年発売 https://www.esoteric.jp/jp/product/p1/top https://www.esoteric.jp/jp/product/d1/top ES-LINK5(HDMIケーブル使用)伝送Fs:44.1kHz/88.2kHz/176.4kHz/352.8kHz 伝送ビット:〜64bit ※HDMIフォーマットには非準拠の独自フォーマット ※Grandioso P1X/D1X ※P1Xは64bit/352.8kHz出力固定 https://www.esoteric.jp/jp/product/p1x/top https://www.esoteric.jp/jp/product/d1x/top ちなみにAES/EBU伝送では一本のケーブルで16から24ビットのデジタルオーディオ データを2チャンネル(ステレオ)まで伝送することが可能。サンプリング周波数は CDなどで使われている44.1KHzから最大で176.4KHzとなり、その場合には二本の デジタルケーブルを使用することになる。 それに対してHDMIでは既に四年前でもGbps(Giga bits per second)という途方もない 伝送スピードになっているので、私には適切な説明が出来ないくらい高周波高速伝送 という分野での最新技術となっています。 https://www.hdmi.org/ 吉崎さんは当フロアーで歴代のESOTERIC製品を聴いてきたわけですが、HDMI伝送の 音質を上回る音を出したいということが目標だとおっしゃっていました。 H.A.L.'s One point impression & Hidden Story - ESOTERIC Grandioso P1X & D1X https://www.dynamicaudio.jp/5555-7F/news/1548.html しかし、現在のGrandioso P1X+D1XにおけるES-LINK5での音質は唯一無二のものであり、 更に従来のような半導体メーカーが製造するDACチップの性能に依存していた時代から Master Sound Discrete DACという自社製D/A変換機構を完成させたという事で、 HDMI伝送の価値観が大いに高まったものと思われます。 よって、ES-LINK5は文字通りESOTERICそのものの個性であり音質として、私は依然と して当フロアーの音質基準であるということを再確認し、その音質的方向性とは異なる ベクトルにてTa.Qu.To-AESを評価しなければならないと考えて次の選曲へ! -*-*-*-*-*-*-*-*-*- セルゲイ・ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番ハ短調 作品18第二楽章を元にして 作られたのがEric Carmenの「All by myself」というエピソードもありました。 KHATIA BUNIATISHVILI セルゲイ・ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番ハ短調 https://www.sonymusic.co.jp/artist/khatiabuniatishvili/discography/SICC-30427 この演奏時間は約11分という第二楽章を結果的には五回聴いてしまいました! 先ずはESOTERIC MEXCELケーブルにて。神秘的な弦楽序奏が美しい和音を展開し、 その直後にはフルートとピアノが主題を交換する印象的な導入部。 コンサートホールの広大な空間で奏でられる冒頭で、このケーブルの象徴的な 分解能と情報量の素晴らしい能力が早速に感じ取れる。今までの長年に渡り リファレンスとしてきた私の選択に間違いはないという思いに納得していた。 そして、TRANSPARENT RXL AESケーブルに切り替えると…。 冒頭での弦楽序奏においては濃厚さを増した響きとなり、Transparentの特徴が 倍音成分の増大として感じられ流石、と聴き惚れているとフルートとピアノの 残響成分も豊かさを増し満足感がぐっと高まってくるのは素晴らしいことです。 さあ、いよいよTa.Qu.To-AES(試作.1)です! 前曲での経緯から変化の方向性は予測出来ているのですが、それでも実物を聴きたい という渇望が配線作業の手を早め、速足でセンターポジションに戻る期待感! 「あ〜、これですね! やはり、そうきましたか〜、音像ですよ音像!」 導入部の短い弦楽序奏のあと、フルートとピアノの掛け合いが始まった時に私は 内心でさっと白いフラッグを掲げてしまいました。 陸上競技の走り幅跳びで助走から踏切板を蹴って跳躍した瞬間、それを見つめて いた審判がセーフの白旗をさっと振り上げたのと同じ心境というものでしょうか! そしてもうひとつは、もう…この段階で、この音に降参!という意味です! 素晴らしいのです、フルートとピアノが! 録音に使われたチェコのプラハにあるドヴォルザーク・ホールの広大な空間に 楽音の核心をくっきりと示し、優雅な響きをHIRO Acousticから湧き起こさせる という離れ技をデジタルケーブルというアイテムが実際にやってのけるのだから凄い! 私が前曲でヴォーカルが浮き上がってきたという表現をしました。 スタジオ録音の空間表現は作られたものですが、コンサートホールにおける音像の 浮き上がり効果とはいかなるものかというと三次元的空間再現性というものに 他なりません。素晴らしい! もう一度言います! 他のケーブルにはない最大の特徴! 音像を支配するTa.Qu.To-AESの神業! そして、音像が立体化するということは同時に空間表現も三次元化するということ! 既に三回同じ曲を聴いたわけですが、私は既に次の課題Ta.Qu.To-AES(試作.2)を 意識していて、11分の演奏時間を中断しようかと悩みましたが、吉崎さんが丹精 込めて作ってくれた(試作.1)にも敬意を示して最後までじっくりと聴き続けました。 さあ、(試作.2)だ! 気が付かない程ゆったりとした、おおらかな自然なクレッシェンドによる 神秘的な弦楽序奏が美しい和音を展開するが、おや!? これは…!? 「あー! 弦楽の音色と質感…不思議だが微妙に明るく聴こえるのはなぜだ!」 冒頭からの変化に少し戸惑いました。スタジオ録音の前曲とは変化の仕方が違う! 響きの情報量が増えたのか背景となるヴァイオリンの音色の透明度が上がった! そして、例のピアノがゆったりとリラックスした音色で入ってくるが、その響きの 鮮明さも向上していることを直感する。これいいですね〜! たおやかに弾かれる後方でのコントラバスのピッチカートの響きに融合するかの 楽音のシナリオを空間に描く音像の造形力が引き立っているではないか! そのシナリオはAll by myselfのフレーズに寄り添ったものかと思っていると、 その上からフルートの甘美で息の長いメロディーが入ってくる。ここです! 「フルートとピアノ双方にスポットライトが当たったかの如く音像が浮き上がったぞ!」 最初フルートで奏でられたメロディーがクラリネット、ピアノ、ヴァイオリンへと 受け継がれていく過程において、そのライティングもスイッチされるのか演奏者が 交代しても音像の鮮やかさは(試作.1)を上回っている。ここで再度白いフラッグを上げた! 清らかな空間に指揮者が音量を抑えるように楽員にアイコンタクトしているのか、 KHATIAの優しく優雅な旋律に従うようにオーケストラ全体が静寂感を背景にして しっとりと主題を奏でる。これいいな〜! そして、わずかにテンポが上がり、ピアノが第二主題を思い悩むかのように短調で奏でる。 ファゴットや低弦、更にフルートとオーボエなどと絡み、ピアノがメロディーを 奏でて盛り上がる過程において、主題の演奏をピアノとオーケストラが交代する 有様に私は安らぎと癒しを覚え、もはや白旗が自分の手からすり落ちてしまっている ことにも気づかずに聴き惚れていた! このシステム構成における情報量の素晴らしさに改めて納得と感動にひたりながらも、 商品化するのであれば、もう(試作.2)しかあり得ないだろうと言葉にしない確信が 頭の中に定着してしまったのです! その後ピアノソロになりテンポも上がり、華やかな分散和音の後に再度オーケストラと 絡んで、ピアノのカデンツァへと進み、その上で最初のメロディーをヴァイオリンが 奏でて再現する。 このヴァイオリンの音色は更に磨きがかかり、音像は鮮明になるし余韻感は向上し、 終焉部のピアノの右手が和音を波のように揺れて奏でながら、最後はピアノだけで 優しく静かにまとめる。この最後のピアノの響きの消え方が素晴らしくいいのです! これで四回目を聴き終わりました。では五回目をなぜ私は聴きたくなったのか? 「いやはや…、これは! 私の耳が美味しいと言っているのだから仕方ない!」 そうです…、この音はTa.Qu.To-AESでしか出せないものだと確信し、 私の本能が美味しいという音楽を、もう一度おかわりしたかったからです! -*-*-*-*-*-*-*-*-*- 最後にTa.Qu.To-AESは最新のESOTERIC ES-LINK5との比較に意義があるかどうか、 吉崎さんが目指した目標を達成できたのかどうか、という事を常日頃述べている 多項目の評価基準と方法で判定するという必然性を私は感じなくなっていました。 DUAL AESで聴いた音楽性に私は素直に従おうと思ったのです。 それはTa.Qu.To-AESの個性と特徴に従順になることで音楽による幸福感が得られた からと言い換えても良いと思っています。ES-LINKとは一味違う幸せです! AESデジタルケーブルを使用可能なトランスポートとDACを使用している方々へ、 Ta.Qu.To-AESは更なる美意識と幸福感をお届けできるものと推薦致します! ハルズサークル会員限定の自宅試聴も行っていますので是非ご入会下さい! http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/circle.html |
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