発行元 株式会社ダイナミックオーディオ 〒101-0021 東京都千代田区外神田3-1-18 ダイナミックオーディオ5555 TEL 03-3253-5555 / FAX 03-3253-5556 H.A.L.担当 川又利明 |
2020年12月17日 No.1642 H.A.L.'s One point impression!! - CHORD Power ARAY & Ground ARAY |
思い返せば私の手元にCHORD Power ARAYが届けられたのは11月16日の事でした。 その二日後に入院し手術を受ける予定となっていたため試聴は後日に先延ばし。 https://www.dynamicaudio.jp/5555-7F/news/1636.html 退院後も体調が回復するまでに時間を要し、その後も期間限定の展示品が入荷し 複数の課題試聴が続き、ついぞ本新製品の試聴が昨日まで出来ませんでした。 H.A.L.'s One point impression!! - Transparent OPUS Power Isolator https://www.dynamicaudio.jp/5555-7F/news/1332.html https://www.dynamicaudio.jp/5555-7F/news/1365.html また当フロアーでは電源環境にいたく注意を払っており、既にご存知のように 上記のTransparentのOPUS Power lsolator(195万円)を多数使用しているので、 正直なところ今回のPower ARAYがいかほどのものか半信半疑(失礼!)というか、 あまり期待していなかったことも本格的に試聴しようという意欲が薄くなって いたという心境もあったと思います。 そんな私よりも先行してPower ARAYを評価して下さったのが下記のT T 様でした。 T T 様のお蔭でハルズサークルの皆様の関心が一気に高まったものです。 https://www.andante-largo.com/products/poweraray/ H.A.L.'s Monitor Report - CHORD Ground ARAY & Power ARAY https://www.dynamicaudio.jp/5555-7F/fan/hf_moni0634.html さて、前記のように当フロアーでは相当に電源環境にこだわっているのですが、 既に使用しているOPUS Power lsolator(以降OPIと表記)がある中で、どのように Power ARAYの分析と評価をしていくのか、その過程を述べる前に今回のシステム 構成を先ずご覧頂ければと思います。 ■H.A.L.'s Sound Recipe/CHORD PowerARAY & GroundARAY-inspection system https://www.dynamicaudio.jp/s/20201215180111.pdf Ground ARAYはコンポーネントの空き端子に使用するものであり、そのような 使用法のアイテムはなかったので、リファレンスシステムに追加するだけで 良かったのですが、今回は電源に関わる製品だけにOPUS Power Cord(75万円 以降OPC2と表記)を使用したままの試聴となりました。 今回手元にあるPower ARAYは二個だけ。これをどこにどのように使うのか。 そして、電源ケーブルの方が12万円のPower ARAYよりも高価という非常識な システム構成なのですが、これがまた意外な展開を見せるのですから面白い! -*-*-*-*-*-*-*-*-*- 先ず私が取り組んだのがGrandioso P1XだけOPIを使用しないで音質を確認する事。 この際、電源ケーブルはOPC2としたままです。 そして重要なことは、その他のコンポーネントに関しては以前のままTransparent 製品のみを使用し、Power ARAYは一切使用せずというもの。 今回の比較試聴のスタートとして私がした選曲は音像と音場感の両方を緻密に 比較出来るこの曲です。 ■Dominic Miller / Absinthe (CD)よりタイトル曲1.Absinthe https://dominicmiller.com/product/absinthe-cd/ https://www.youtube.com/watch?v=sY6aQy0MJ7k Grandioso P1Xのカウンターが001、002、003と進むが全くの無音。 そして4秒後、スティングの多くの曲でサイドメンを務めているDominic Millerの ギターがセンターに登場する、すると…。 「ありゃ〜、長らくリファレンスとしてきたシステムのたった一か所だけでこれか!」 今まで長期安定的に使用してきたOPIがディスクトランスポートから外れただけ というのに、音像の輪郭はぼやけるし音場感はスケールダウンするし、逆に言えば 常日頃聴いていた音質そのものが相当なレベルであったんだと再確認出来ました。 その上でGrandioso P1Xに接続しているOPC2をつないでいるコンセントの隣に、 おもむろにPower ARAYを差し込んでみたわけです。そうしたら… 「えっ!?このギターの変化はなに!? いや、それだけではないぞ!」 3秒間の無音からスタートした冒頭のギターの質感に生じた変化にまず驚く! ギターの爪弾きの一音一音にテンションが蘇り、その一弦ずつの音像が鮮明になる。 それは空白の中空に表れた最初の楽音として察知された変化だが、同時に音像が 鮮明化されたことが音場感が明るくなったのではと感じるほど静寂感の向上がある! これはOPIを外した直後の音と比較して、ある意味では硬質に感じるのだが、 それは音像の輪郭再現性が極めて高い証拠となり、一切のにじみがなく極めつけの 透明感をもって音像を造形する。Power ARAYやるじゃないか! その後にドラムManu Katcheの微細なタッチと質感のシンバルの細かい刻みが 左右から展開するが、音場感と言える響きと余韻の拡散領域全体の見晴らしが 良くなったように視界が開け、それが目の前の空間という音のキャンバスを 明るくしたという変化の方向性を私に示してくれた。シンバルが輝くのです! スティックがシンバルを細かく叩き、あるいはブラシで撫でているのかと錯覚 するほど繊細な響きに明るい描写力が付加され、Power ARAYがもたらした変化を 大変シンプルな楽音として確認出来た。これはいい! HIRO Acousticのお家芸とも言える空間描写力とESOTERIC Grandiosoシステムの 膨大な情報量の威力が、そのディスクトランスポートの電源環境の変更だけで 目に見える改善として実感されてしまったのです! そのセンターのギター、左右のシンバルという三者によって構成されるステージに に切れ込むようにして登場するのがSantiago Ariasのバンドネオン。 このバンドネオンは鋭い明快なスタッカートを響かせ、リードそのものが露出して いるのではないかと思うほど、細やかなバイブレーションが空気を震わせる。 耳に感じやすい帯域で三種類の楽音を変化させたPower ARAYの第一印象は更に 低音楽器でも威力を発揮する。 Nicolas Fiszmanのベースがセンター後方に登場し、その低音の音像に表れた 変化に私が期待する変化の方向性を確認し、思わずニンマリとしてしまった! だって、Power ARAYは12万円で使い方も簡単でサイズもコンパクトそのもの。 その前に展開してきた三種類の楽音は響きと余韻に注目しての評価でしたが、 それらとは好対照にソリッドに引き締まるベースだ!これですよコレ! この後に聴いた多数の課題曲においても共通した変化をPower ARAYがもたらした ということは、あえてこの段階で言及しておくことに意味があるでしょう。いいです! その引き締まった音像のベースがサウンドステージに重みを加え、残響の拡散と いう変化と逆に音像のダイエット効果も同時に発揮するPower ARAYのポイントは高い! Mike Lindupのキーボードは浮遊感のある幻想的なハーモニーをスピーカー後方に 展開し、ECM独特の音場感を形成する残響の連鎖を遠近感をもって表現する。 サイドメンが出そろったところでDominic Millerのギターが再度リードを取るが、 手の平に納まる小さなPower ARAYの本領発揮とも言える快感がここから始まる。 金物パーカッションを左右チャンネル間でロールさせていたドラムManu Katcheが 叩くタムの強烈、かつインパクトの鋭い打音が炸裂し、その変化に私は安堵した! このドラムのテンションの張り詰め方が更にキュッと強められたように、 その打音の鋭さが驚くほどに素晴らしく緊張感を爽快に高めたからなのです! そして、インパクトの瞬間における立ち上がりの素晴らしさと同時に、その打音に 対してかけられたリバーブ、簡単に言えば余韻の時間軸が圧倒的に長く引き伸ばされ、 打音の発祥から消滅までのプロセスを前例のないほど克明に描き出した情報量の 拡大という現象に舌を巻いてしまいました! もちろん、これ以外の課題曲でも確認しましたが、変化のベクトルが同様に確認 されました。いいですね〜Power ARAY! -*-*-*-*-*-*-*-*-*- 壁コンセントの空いているコンセントに差し込むだけという単純な使い方のPower ARAY。 そして、ACテーブルタップの空きコンセントでも同様な使い方ができるという。 上記のシステム構成には含めていませんが、実は当フロアーではAccustic Artsの POWER STRIP PASSIVE 8というテーブルタップにてTransparent OPIを使用している。 そこでは二台のOPIからGrandioso P1X、D1X、G1の4系統の電源をとっているので、 ここにPower ARAYを一個使用すればデジタル・ソースコンポーネント全てにおいて OPIとの相乗効果を期待できるのではないかというポイントが次なる注目点。 最近KHATIA BUNIATISHVILIという女流ピアニストを良く聴くのですが、次の選曲は ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番ハ短調 作品18第二楽章としました。 https://www.sonymusic.co.jp/artist/khatiabuniatishvili/discography/SICC-40072 http://www.bestclassics100.jp/ 先ずは下記のように以前のシステム構成でラフマニノフをじっくりと聴き込みます。 ■Anti radio frequency item CHORD COMPANY Ground ARAY-inspection system https://www.dynamicaudio.jp/s/20200108151233.pdf 一般的には当フロアーのようにTransparent OPIをここまで使用していないでしょうが、 私としてはPower ARAYを単体使用した上での効果を前記の課題曲に加えて多数の 選曲にて確認してきたので、何とか両者の共存は出来ないものかという実験を どうしてみしてみたかったのです。熟成システムを更に熟成させたかったのです! 「あ〜、弦楽合奏の出だしから違う! 静けさ静寂感の進化が凄い!」 冒頭の弦楽合奏におけるノイズフロアーの低下ということか、その空気感の中で 静々と始まった弦楽の美しさに先ずは心奪われてしまいました! TransparentとCHORDの電源に対する抑制効果の対象はほぼ同じなのだろうが、 その方法論としてのアプローチは各社なりの理論を展開している。 その高周波に対する抑制方法は異なれど音楽信号の純度を高めるということは、 その電源環境に対する改善手段の商品化として、どちらも効果があるのだが 同方向を目指すベクトルが一致した時の偶発的な未体験の進化に驚くのみだ! オーケストラの演奏空間の清浄化ということは楽音の質感にも多大な影響をもたらし、 それは弱音で演奏される弦楽器の美的要素を開拓したと言える! これは凄い! そこにしっとりとKHATIAのピアノが現れた時、その響きの解放感たるや前代未聞! ゆったりと弾きながら余韻感は倍増しステージの上に、更に天井まで視線を上げて いかないと最後の響きの消滅まで見届けられないように極めて美しい残響に息をのむ! 自然なクレッシェンドによる弦楽序奏にピアノが加わり、最初フルートで奏でられた メロディーがクラリネットに、更にヴァイオリンに引き継がれていく協奏の美しさは 私でも経験がないほどの豊饒な響きの連携を成立させているという驚嘆と感動が 入り混じった心境で、私の身体はしばらく硬直状態が続いてしまった! 素晴らしい! ESOTERIC GrandiosoシステムをTransparentのPower Productsを駆使して鳴らすと、 コンポーネントの潜在能力がこれでもかと発揮されるパフォーマンスを当たり前に してきたものですが、OPIの根っこにPower ARAYという栄養剤を注入することで 更なる表現力の拡張があったなどと今の今まで私も想像できなかったことです! 「いや、待てよ! もう一個Power ARAYがあるな〜」 そう、プリアンプGrandioso C1Xの電源ケーブルは二本なので一台のOPIにて給電 しているが、そのOPIの根っこにもPower ARAYを使ったら一体どうなるのか!? それが今回のシステムの最終形というもので、私はいそいそと作業に取り掛かった。 https://www.dynamicaudio.jp/s/20201215180111.pdf -*-*-*-*-*-*-*-*-*- パワーアンプ以外のコンポーネント全てにPower ARAYのドーピング効果をもたらす という実験には迷わず選曲は定番のこれを聴くことにした。 ■Espace 溝口 肇 bestより「10.Offset Of Love」 http://www.archcello.com/disc.html http://mizoguchi.mystrikingly.com/ 上記にて最初はスタジオ録音にて精密な音像とECM独特の空間表現の双方で確認し、 次にホール録音にて広大な空間においての響きの調和という美しさに感動した。 その音像と音場感という両方の要素を楽音個々の遠近法によって緻密に観察できる 選曲ということで、先ずはプリにPower ARAYを使わずに前述の段階にて比較対象の 原型をしっかりと聴き記憶に焼き付けた。さあ、Power ARAYだ。ポンと取り付け! 「うわ! なにこれ! なんと素晴らしい情報量であることか!」 センター左寄りの空間に出現した冒頭のギターを聴いた時の内心の叫びです! 今まで何度聴いたか分からない程聴き慣れているギターの質感に驚愕の変化! 情報量と一言で言うと簡単ですが、ギターの一弦ずつの分解能は当然極めつけと 言えるレベルなのですが、6本の弦が醸し出す響きの重奏感というか音色の多様さ というか、異次元の音数と言える素晴らしいハーモニクスが出現したのです! このギターとの距離感と等しいセンター右寄りからのパーカッションとピアノが 続けて入ってくるのですが、その切れ味が見事な音像となり存在感を高めており、 ギターのハーモニーに対して単発の打音が爽快に響き、ピアノは控えめに背後の 空間で主役を導きいれるような展開でサウンドステージを構成していく。 スピーカーという音源との距離感に一致した伴奏楽器が舞台を作り上げ、センターの 後方からチェロが登場すると私は数秒間の無呼吸状態となり、溝口 肇が織りなすチェロ の響きに視線を釘付けされてしまったように静止して聴き惚れている自分に気が付いた! 絵画の遠近法では遠くのものは輪郭をぼかし淡い色彩感にすることで表現するのだが、 この時のチェロに関しては遠近法の常識を覆す解像度の素晴らしさと鮮明な音像が 両立した前例のない高度な描写力で迫ってきたのです! そう、圧倒的美しさ! きりっと引き締まったプロポーションのチェロは輪郭と残響を正確に描き分けており、 音像の立ち位置から左右に拡散していく余韻を克明にトレースしていく。 そして、圧巻なのが先程オーケストラで体験した弦楽の美しさが、スタジオ録音での ストリングスとしてチェロを取り囲むように展開し、その響きと融合しながら背景を 飾り美しすぎる質感で溝口 肇の脇を固めているという事だろうか。素晴らしい! スタジオワークで造形された音場感の中で演奏者の音像が引き立つ表現性の進化。 私は「音場感が明るくなった・音のキャンバスを明るくした」という表現をしましたが、 先ずはカーテンを開ければ日が差し込み明るくなりますが、更にレースのカーテンが もう一枚あったということをPower ARAYによって気が付かされたということなのです! 光は入るが…まだ薄いレースのカーテンがあった、それをサッと引き開けた時に 見える光景に私は今初めて巡り合ったということでしょうか! これがPower ARAYか! 段階的にPower ARAYを取り入れ上記以外の課題曲でも聴き続けてきましたが、 この効果を万人の人々に味わって頂けるかどうかについては慎重論を取りたい。 H.A.L.'s One point impression!! - これは高度(CHORD)なアクセサリーです!! https://www.dynamicaudio.jp/5555-7F/news/1583.html 上記より次の一節を引用します。 -*-*-*-*-*-*-*-*-*- しかしながら、このCAD Ground Controlを推薦したい対象ユーザーはある意味で 熟成したシステムをお使いの方々になるであろうと私は考えています。 その熟成とはどういう意味か? 先ず、使用されているコンポーネントがひとしおのグレードであり、それらに対して 一定の満足感を持たれている皆様という意味です。つまり、使用システムの何かを アップグレードしたいという気持ちを持たれていない皆様ということになります。 次に上記のinspection systemでもお分かりのように、前述のように振動対策を 施しているオーディオラックはもちろんのこと、電源関係やケーブルにも気配りし、 使用環境に存在する高周波への対策も行ったりH.A.L.'s E.S.Insulatorで静電気に 対する対策なども行ってきたりというコンポーネント以外の要素にも情熱をもって 取り組んでおられるという皆様ということになります。 もちろん前述の対策を全てやっているということではなく、いずれかの対策ひとつでも 実行していればという意味ですので誤解なきように一言追記しておきます。 このような熟成と自覚しながらも、今後はどのような方向性において音質向上の 手段があるのか…、と思案していらっしゃる皆様には大きな魅力となり得ることでしょう。 注:CAD Ground Controlの現在の輸入元URLは下記になります。 https://www.stella-inc.com/cad/index.html つまり、現用システムの音質に何らかの不満や疑問がある場合に、対処療法としての 問題解決用アイテムではないということです。 その意味で熟成とはハードウエアとしてのシステム構成だけでなく、使い手の感性と しても比較的上級者向けアクセサリーという事になろうかと思います。 -*-*-*-*-*-*-*-*-*- 上記のアドバイスをそっくりPower ARAYにも適用したいと思います。 そして、Power ARAYの魅力をご理解頂くことには自信があります。 その根拠として上記で述べてきた私の体験を当フロアーで実演し証明出来ること。 もう一つはハルズモニターとして会員限定企画により皆様に確認して頂けることです。 それは皆様のオーディオシステムにレースのカーテンがかかっているかどうかを Power ARAYによって検証できるということになるでしょう。 そんな薄いカーテンの存在なんか気にしないという皆様にはお薦めは致しません。 お客様はいかがでしょうか…。 この機会に是非ハルズサークルにご入会頂ければと推薦致します。 https://www.dynamicaudio.jp/5555-7F/circle.html |
担当:川又利明 |
TEL 03-3253-5555 FAX 03-3253-5556 kawamata@dynamicaudio.jp お店の場所はココです。お気軽に遊びに来てください! |