発行元 株式会社ダイナミックオーディオ 〒101-0021 東京都千代田区外神田3-1-18 ダイナミックオーディオ5555 TEL 03-3253-5555 / FAX 03-3253-5556 H.A.L.担当 川又利明 |
2020年9月19日 No.1619 H.A.L.'s One point impression!! - Wilson Audio Pedestal Isolation |
2020.08.01-No.4461-にて速報した下記の新製品をやっと試聴することが出来ました。 ■詳細は下記の輸入元サイトにてご覧下さい。 https://www.stella-inc.com/wilson/page/pedestal.html Pedestal Isolationと称していますが、基本的にはインシュレーターと呼んでも 構わないものであり、ことインシュレーターに関しては私にも一家言があります。 オーディオの世界ではインシュレーターと呼ばれる商品は多種多様なのですが、 その効用を私の考え方で説明させて頂きます。 市販のインシュレーターの材質としては金属、木材、アクリル、合成または 天然皮革、水晶(人工の結晶体)、セラミックなどなど実に色々なものがあります。 そして、インシュレーターの機能性を示す効果のあり方は二種類あります。 スパイク構造に代表されるように機械的接点を点支持にすることで共振を防止、 または振動を伝搬する際に振動モードに歪を与えないでメカニカル・グランディングを とるというもの。説明のためにこれを[A]とします。 もう一つは、点支持ではなく面接触させることでコンポーネントそのものの 振動を吸収する考え方で、既存のフットとラックの棚板の間で緩衝材として 機能するものです。説明のためにこれを[B]とします。 この二種類の機能性・効果には各々にメリットとデメリットがありますが、 その各論を私が述べてしまうと両方式の商品に対してイメージダウンになり ますのでノーコメントとしておきます。もちろん両方の製品には特有の効果が ありますので商品価値は認めた上での説明ですから、誤解なきようよろしく お願い致します。 さて、上記の解説をしかけたところでしたが製品名を特定しなければ問題は ないだろうと判断致しまして、この製品の特徴を述べるためにインシュレーター 全体の総論として[A]と[B]の傾向について比較説明したいと思います。 この続きは是非下記ページをご覧頂ければと思います。 [A]と[B]の特徴をメリット・デメリットとして説明しているからです。 New Original product release - H.A.L.'s E.S.Insulator!! https://www.dynamicaudio.jp/5555-7F/news/1422.html -*-*-*-*-*-*-*-*-*- さて、上記の予備知識を元に私は前代未聞の価格というPedestal Isolationの 試聴と分析に臨んだのでした。使用システムは下記にてご覧下さい。 H.A.L.'s Sound Recipe/Wilson Audio Pedestal Isolation- inspection system https://www.dynamicaudio.jp/s/20200916152601.pdf 今回はサンプルが1セット(3個)しかないのでシステムの上流にあたりメカニズムを 搭載しているディスクトランスポートのみにて実験しています。 6枚のCDで何も使用しない状態、H.A.L.'s E.S.Insulatorを使用しての音、 そしてPedestal Isolationを使用しての再生音と三種類の比較試聴を行いました。 その度に29キロもあるESOTERIC Grandioso P1Xを持ち上げてセッティングし直し、 それを18回以上も繰り返して試聴するのですから時間と労力を要しました。 私は日頃から限りなく凝縮された鮮明な音像と広大な音場感を理想としていると 述べてきましたが、この基本方針はスピーカーやコンポーネント、ケーブルや 各種のアクセサリー製品の評価にも通じるものです。 そして、現時点では未公開の某社で開発中であるケーブルの新製品に関する試聴で ずっと聴き続けていた課題曲を最初に聴くことにしました。 ■石川さゆり「天城越え」よりトラック2の「朝花」 http://www.stereosound.co.jp/news/article/2012/11/06/15333.html このギターバージョンの「朝花」は伴奏はアコースティックギターのみの曲で、 素晴らしい歌唱力のヴォーカルとのシンプルな編成の録音です。 先ずは二種類のセットアップで聴き最後にPedestal Isolationを使用しました。 すると… 「おや! 音像サイズにはあまり変化はないが、それにしても…この違いはなんだ?」 ギターとヴォーカルだけというシンプルな録音であり、楽器の数が少ない分 素晴らしい音場感が展開する選曲。何も使わない時、H.A.L.'s E.S.Insulatorを 使用した時に比べて特段に音像サイズに変化はないのだが音色と質感が違う! 私はもっと強烈に絞り込まれた音像表現になるのではないかと想像していたのですが、 ギターもヴォーカルも絶妙なリバーブがかけられており、その余韻感が空気中に拡散 していく有様は再生装置の情報量と密接な関係にあり、私のリファレンスシステムでは 素晴らしく広大なサウンドステージを展開する。 それにしてもギターの音像サイズはほぼ同じなのに、何で質感がこれほど鮮明になるのか! またヴォーカルの肉厚感というか生々しさが激増していることに驚く! 小編成の演奏であるがゆえに重低音も超高音もないが、ギターとヴォーカルが 発散する響きのグラデーションが倍加し、その音色を緻密に濃厚に変化させた! これは何やら胸騒ぎの期待感だ! ■Espace 溝口 肇 bestより「1.Espace」「2.世界の車窓から」「10.Offset Of Love」 http://www.archcello.com/disc.html http://mizoguchi.mystrikingly.com/ チェロのソロバートでの前方への張り出し方、楽音と接近したリアルさと生々しさ。 「1.Espace」でPedestal Isolationを使用すると上品な躍動感が加わっていた。 それは迫力として誤解されがちなダーティーな音質変化ではなく、逆にチェロの 音色が滑らかに変化しているもので音像を絞り込むという方向性とは少し違う。 それでは「2.世界の車窓から」冒頭のキックドラムやパーカッションの鮮烈さはどうか? インシュレーターとして前述の[A]と[B]の違いにおいて低音打楽器の変化で解るだろう。 すると、キックドラムの質感はハードな方向へというよりは打音の中身が整理された ような印象で、インパクトの瞬間に続く響きの解像度が上がっていることに気付く。 また強烈で鋭角的なパーカッションの打音は切れ味が良くなり鋭さが増すというよりは 打撃の瞬間から放たれる余韻感の透明度が向上し聴きやすくなっていることに気付く。 そして、センター定位のベースとチェロが始まると、ここでは音像サイズが凝縮 する方向性の変化を示していることが分かる。濃厚で重厚という変化と言っていい。 「10.Offset Of Love」での冒頭のギターは前曲同様な変化で響きがきれいになった。 しかし、センターの遠くでチェロが始まった時、その音色と質感に明らかな浄化作用が 働いていることに驚愕する。これはいい! このチェロの質感は過去にないくらいだ! しかし、インシュレーターを使ったら音像にもっと変化が欲しいところだが…、 という私の好奇心に対して次の選曲がひらめいた! ■DIANA KRALL 「LOVE SCENES」11.MY LOVE IS https://www.universal-music.co.jp/diana-krall/products/uccv-9580/ そうです! 以前から多用している課題曲のこれ。 DIANA KRALLのフィンガースナップ、エネルギッシュなChristian McBrideのウッドベース、 そして広大な音場感をともなうヴォーカルという楽音は三種というデュオの録音。 冒頭の炸裂するフィンガースナップ、何と前曲同様に鋭さは変わらずだが聴きやすい。 指を弾いた瞬間からほとばしる余韻感がすこぶるクリアーであり透明感が素晴らしい。 そして、ここぞとばかりに音像を引き締めてくるかと思ったベースなのですが、 それはプロポーションを引き絞ったというダイエット効果だけではなく、適度な トレーニングで筋肉質になったように強靭さを増した印象で重厚さを増していた。 更にヴォーカル、この変化は他のインシュレーターではなかったものだ! しっとりと潤いを帯びたような質感の変化が堪らない! これはいいです! ■UNCOMPRESSED WORLD VOL.1 よりTRACK NO. 3 TWO TREES http://accusticarts.de/audiophile/index_en.html http://www.dynamicaudio.jp/file/100407/UncompressedWorldVol.1_booklet.pdf 音像が引き締まりサイズが小さくなればいいというものではない。 音像が凝縮されることで、楽音周辺の空間に透明性がたかまり、その空間に響きが 拡散していく事で音場感が鮮明にならなくてはならない。 そんな視点からの選曲がサックスとピアノだけというこれ。しかし、この曲で 音像がどうかという観点ではサックスという楽器での分析は難しい。しかし… サックスのリードのバイブレーションが以前に増して感じられるというのはどうして? センター左寄りに定位して右方向にも長い余韻を展開する巧妙なリバーブが素晴らしい サックスなのだが、その楽音の発祥地点をずっと見ていると明らかな質感の変化がある。 更にピアノの質感についても同様な向上があり、打鍵のひとつずつに音像があると したら、それが凝縮したというサイズ感の変化よりも輪郭が鮮明になったという 印象の方が強い。言い換えればハイテンションなピアノという硬質なインシュレーターに ありがちな変化ではなく、むしろ…そう、しっとりしていながら高解像度と言える! ■Flim & The BB's - Tricycle https://www.discogs.com/ja/Flim-The-BBs-Tricycle/master/484773 さて、今までの課題曲で他のインシュレーターとの違いが少しずつ浮き彫りに なってきたようだが、まだ試していなかったのがドラムのインパクトの質感が どう変化するかという事でした。 [A]と[B]の特徴ということを前述していましたが、各々の個性として違いを発揮 することを確認するのであれば大音量で強烈な、しかも鮮明なドラムで試して みるという選曲なのです。ところが… この曲だけは確認のために二度繰り返して比較試聴してしまいました。 タム、スネア、キック、シンバルとハイハットというドラムの各パートにおける インパクトの瞬間のエネルギー感というものは激変というわけではないのですが、 特に低音階のキックとタムの解像度がぐんと向上しているという印象があります。 しかし、それ以上に驚いたのはイントロで弾かれる軽やかピアノだったのです! 物凄いダイナミックレンジの一曲であり、その最大音量のピークを正確に録音した この曲は至って録音レベルが低い。言い換えれば私が求める音量にするには他の 曲に比べて10dBくらいボリュームを上げ、かなりのパワーを最初から投入しての再生。 従って導入部のピアノは本当に軽く弱音と言ってよいくらいに録音されているのですが、 その余韻感の存続性と持続性が桁違いに向上しているのです! 大音量の打楽器に着目するはずが、本当に微弱と言えるピアノの響きに驚いてしまいました! 軽く優しく弾かれたピアノの残響成分がこんなに記録されていたと気が付いたのは初めて! 小さい音ほど大事にして再生するインシュレーターというものがあったのです! 私は今までにも多数のインシュレーターを試してきましたが、それらと共通する 要素もあれば逆な方向性の変化もあり、今までの課題曲で予想した方向性と全く 想定外の変化という二局面を聴かせてくれるPedestal Isolationでしたが、これらが 何を意味するのか、私は最後のオーケストラの選曲で答えを得ることが出来ました! ■マーラー:交響曲第1番ニ長調「巨人」1893年版スコアーによる第二楽章 2.花の章 https://www.kinginternational.co.jp/genre/kkc-6022/ このフランソワ=グザヴィエ・ロト(指揮)レ・シエクルでの録音は2018年の 最新テクノロジーによる高品位なデジタル録音ですが、使用している楽器は ピリオド楽器ということで百年前の楽器を集めて録音されたものです。 ですから近代的なオーケストラで聴ける弦楽器とは違うガット弦で高音階が微妙に ひきつったような印象があり、管楽器もドイツ製とオーストリア製という古いもので 暗い音色と音量が小さいという特徴があります。 つまり、作曲者が当時聴いていた楽器を使用して、マーラーの感性を忠実に再現 しようという試みによる、最新録音により忠実度を高めた時代物の楽器による演奏なのです。 先ず最新録音であるがゆえに各楽器の音像の捉え方は極めて鮮明であり、更に 指揮者の感性によるものかマスタリングによるリバーブの追加が極めて淡泊と いう特徴もあります。ゆえに他のオーケストラの録音とは違った観察点があります。 もう何度、重たいP1Xの下に入れたり出したりしたでしょうか。 その度に変化を感じたり手応えもありながら、今までのインシュレーターとの 違いをどう表現したらよいのかと今一歩具体化出来ていなかったのですが…。 Pedestal Isolationに交換してリモコンでトラック2を押した瞬間から次々と 答えが導かれるように出現してきたのです。 冒頭のはかなげなトランペットの音色。まずここから違う! きらきら輝くトランペットというよりはいぶし銀のコルネットという印象だろうか。 あたかも空の雲を見上げるような距離感で遠くにたなびく余韻眺めているようだ。 金管楽器のはずが何と優しい音色であり後続の弦楽器と見事な調和を見せる! そんな印象は遠くのトランペットに対して音像サイズがどうこうという議論を忘れる。 そこに重なるように入ってきた弦楽器の変貌ぶりに驚き、そこに結論を見出した! 「お~、何と艶やかであり潤いがあり、しなやかな弦楽器であることか!」 今までの労力が報われたような気がして私は思わず安堵してしまいました。 そうか~、そういう事だったのか! インシュレーターとは機械的振動のアイソレーションを行うものであり、 その分類によって変化の方向性が違うということは承知していたが、 私が音像と音場感というチェックポイントを最優先してきたことに修正を加え なくてはならないと、Pedestal Isolationに教えられてしまいました。 とにかく美しい弦楽器であり、それは当然のごとく管楽器にも同類の浄化作用を 提供するものであり、楽音の純度を高めるという語るのは簡単だが難問と言える 課題をこのように簡単にこなしてしまうインシュレーターが現れたのです! Pedestal Isolationとはオーケストラの再生音において最大の効果を発揮した、 いや実際にはスタジオ録音でも効用は認められていたのですが、この価格における 価値観をどこでフォーカスするのかというとクラシック音楽が最適だと感じたのです! H.A.L.'s One point impression!! - Computer Audio Design Ground Control!! https://www.dynamicaudio.jp/5555-7F/news/1462.html 上記より次の一節を引用します。 -*-*-*-*-*-*-*-*-*- しかしながら、このWilson Audio Pedestal Isolationを推薦したい対象ユーザーは ある意味で熟成したシステムをお使いの方々になるであろうと私は考えています。 その熟成とはどういう意味か? 先ず、使用されているコンポーネントがひとしおのグレードであり、それらに対して 一定の満足感を持たれている皆様という意味です。つまり、使用システムの何かを アップグレードしたいという気持ちを持たれていない皆様ということになります。 次に上記のinspection systemでもお分かりのように、前述のように振動対策を 施しているオーディオラックはもちろんのこと、電源関係やケーブルにも気配りし、 使用環境に存在する高周波への対策も行ったり静電気に対する対策なども行って きたりというコンポーネント以外の要素にも情熱をもって取り組んでおられる という皆様ということになります。 もちろん前述の対策を全てやっているということではなく、いずれかの対策ひとつでも 実行していればという意味ですので誤解なきように一言追記しておきます。 このような熟成と自覚しながらも、今後はどのような方向性において音質向上の 手段があるのか…、と思案していらっしゃる皆様には大きな魅力となり得ることでしょう。 注:CAD Ground Controlの現在の輸入元URLは下記になります。 https://www.stella-inc.com/cad/index.html つまり、現用システムの音質に何らかの不満や疑問がある場合に、対処療法としての 問題解決用アイテムではないということです。 その意味で熟成とはハードウエアとしてのシステム構成だけでなく、使い手の感性と しても比較的上級者向けアクセサリーという事になろうかと思います。 -*-*-*-*-*-*-*-*-*- Hi-End Audio Laboratoryとしての拙い研究結果は以上ですが、上記を仮説としたら それを実証する手段を私は持ち合わせているということが重要なことです。 前述のようにPedestal Isolationの効果は当フロアーでも実演し証明できますが、 上記のように価値観を証明するためには皆様のシステムにて実験して頂けるように 私が試聴機会を提供できるということです。 これはオーケストラ、クラシック音楽、アコースティックな音楽という臨場感を 重んじる音楽に最高最適であるということを結論と致します。 あとは熟成システムという上記の考え方によって、我がシステムで使ってみたい という皆様からのリクエストをお待ちするのみです。 ■ハルズサークル会員限定企画としてハルズモニターによって貸し出し致します。 この機会にハルズサークルに是非ご入会下さい! https://www.dynamicaudio.jp/5555-7F/circle.html |
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