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H.A.L.担当 川又利明
    
2019年4月20日 No.1539
 H.A.L.'s One point impression & Hidden Story - HIRO Acoustic Laboratory MODEL-C8CS

2019年4月3日 No.1536
H.A.L.'s Special Release - HIRO Acoustic Laboratory MODEL-C8CS
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/1536.html

上記のリリースに当たり冒頭に紹介した次の一言が今回の挑戦を可能とした発想であり、
直ちに販売につながるものではなくとも研究者としてのポリシーを貫く検証を実現した。

2017年12月12日 HIRO Acoustic Laboratory 代表 廣中義樹 氏
「1台も売れなくてもよい」という覚悟
http://www.hiro-ac.jp/introduction.html

廣中さんが計算したMODEL-C8CSの税別価格は何と¥81,320,000.という前代未聞の
値段になり、国産としても前例のないスピーカーと言える。

私の記憶では10年ほど前に欧州の某社が某国の王族に特注の巨大なスピーカーを
二億円で販売したというエピソードがあったが、それは映画館のスクリーンのような
サイズの巨大なものであり、ハイファイスピーカーの研究成果というよりは物量と
して積み重ねたものであり音質的な議論の対象とはならないものだった。

その証拠に当事者である某メーカーではWebサイト他でも上記の履歴を現在は公開
しておらず、自社の実績として世界に誇るという経歴としては残していない。

あるいは話題性ということだけで言えば、もしも日本に輸入したとしたら一億円
以上の値付けになると想定される欧米のスピーカーメーカーのトップモデルが
あることも事実であるが、これも上記のようにオーディオショップの店頭にて
実演しての販売ではなく、やはり某国の超セレブ層が購入したというものらしい。

つまりは今ここで実演しているように、一般ユーザーにその実態を赤裸々に公開し、
その音質を世に問いながら自社が目指した音を追求していくという姿勢を前提に
考えられた価格が8,132万円ということになる。

また、この価格にはクロスオーバーネットワークとケーブル関係は含まれていない。
今回の実験機として組み合わせしたMODEL-C8CSのスピーカー本体のみという価格だ。

MODEL-CCS、MODEL-CCCS、そしてMODEL-C4CSまでは専用のクロスオーバーネットワーク
MODEL-CCX Improvedによってアンプ1台でも使用することが出来るが現在のMODEL-C8CSには
使用していない。
http://www.hiro-ac.jp/networkimpr11.html

なぜかというと、後述するがMODEL-C8CSで追加したサブウーファーの駆動帯域が大変に
低い周波数となり、そのクロスオーバー周波数を廣中さんのこだわりによる設計にて
クロスオーバーネットワークを作成するとハイカット用インダクターが巨大化し、
シグナルパスも長くなるので電流損失も考慮すると非現実的という判断から今回は
4ウエイ・マルチアンプ・システムとしてチャンネルディバイダーを使用することになった。

「それだけ、ウーファーというものは音楽全体の基礎となる重要なパートであり、
 その歪率の低下がどんな世界を聴かせてくれるのかという観点では、まさに
 前人未踏の音をMODEL-C4CSが実現したと断言できるものでしょう!」

上記H.A.L.'s Special Releaseで述べたように、ひとつの頂点を達成したと言える
MODEL-C4CSに対して、理論的には低域の歪率の更なる低下がどんな世界を聴かせて
くれるのか、廣中さんも私も未体験の挑戦は2019年3月中旬に開始された!


■HIRO Acoustic MODEL-C8CSの低域再生能力に関するHidden Storyとは!?

H.A.L.'s Sound Recipe/HIRO Acoustic C8CS & ESOTERIC New Grandioso-inspection system
https://www.dynamicaudio.jp/5555-7F/H.A.L.'sSoundRecipe_HIROAcousticC8CS_NewGrandioso.pdf

このシステム構成はキーポイントは何といってもパワーアンプESOTERIC Grandioso M1×8台に
よるマルチアンプシステムであるということ。そして、それは昨年夏の下記の取り組みに
よって多数のノウハウを発見し習得したという土台から今回はスタートしている。

2018年7月5日 No.1483
H.A.L.'s One point impression!! - Very Exciting Sound by HIRO Acoustic and Accuphase Vol.2
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/1483.html

2018年6月28日 No.1482
H.A.L.'s One point impression!! - Very Exciting Sound by HIRO Acoustic and Accuphase
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/1482.html

HIRO Acousticの各モデルはウーファーの個数に関係なく総合的な再生周波数特性は
基本的には同一であり、昨年MODEL-CCCSにて行った上記のトライアルで研究した
AccuphaseのチャンネルディバイダーDF-65の設定値は次の引用の通り。

「HIRO Acousticは各モデルのクロスオーバー周波数は非公開としています。
 ここではDF-65にプリセットされているクロスオーバー周波数から、自社製クロス
 オーバーネットワークMODEL-CCX Improvedとの近似値を選択したということで、
 下記にお知らせしておきます。これが基本設定となります。」

■トゥイーター・ハイパス・カットオフ周波数  3550Hz -18dB/oct
 アッテネーター設定値 -2.5dB

■ミッドレンジ・ローバス・カットオフ周波数  3150Hz -18dB/oct
 アッテネーター設定値 -1.8dB

■ミッドレンジ・ハイパス・カットオフ周波数  400Hz -18dB/oct
 アッテネーター設定値 -1.8dB

■ウーファー・ローバス・カットオフ周波数  355Hz -18dB/oct
 アッテネーター設定値 -0.0dB

以上の設定値によって先ずはMODEL-C4CSの3ウエイ・マルチアンプシステムが構成され、
そこにMODEL-C8CSとして後方に配置したサブウーファーの使用方法が重要なカギを握る。

3月中旬に当フロアーにて組み上げたMODEL-C8CSを先ずは鳴らしてみようという
最初の設定値は、廣中さんが経験に基づく計算と推測の上で次のようになっていた!

■ウーファー・ローバス・カットオフ周波数  355Hz -18dB/oct
 アッテネーター設定値 -0.0dB

■ウーファー・ハイパス・カットオフ周波数  20Hz -24dB/oct
 アッテネーター設定値 -0.0dB

■サブウーファー・ローバス・カットオフ周波数  31.5Hz -12dB/oct
 アッテネーター設定値 -0.0dB PHASE / REVERSE

MODEL-C4CSとしてのフロント側ウーファーは4ウエイ化に伴いバンドパスフィルターに
よって駆動されることになり、新たにローパスフィルターが追加される。

廣中さん曰く、この設定値はMODEL-C4CSの完成度を重視して、そのバランスを
崩すことなく出来るだけ温存し、サブソニック帯域でサブウーファーを駆動する
という想定のものだった。その意図は十分に私も理解するところであり、
初日から二日間はこの設定値にて私は試聴を繰り返していた。

そして、初日は時間的な制約もありAccuphase DF-65のデジタルフィルターの特性上、
サブウーファーの位相設定を正相とするか逆相とするかという判定のみ測定して確認し、
綿密な周波数特性の測定は後日にするということだった。

思い出せば、あのGOLDMUND FULL EPILOGUEのサブウーファーのクロスオーバー周波数は
私の記憶では確か50Hzであったと思う。ミッドハイレンジの完成度と充実感に自信が
ある設計者であればサブウーファーに依存せず、そのスピーカーの低域再生に関しては
レスポンスの増量ではなく再生帯域の拡張ということを重視する姿勢に私も賛成だ。
https://goldmund.com/full-epilogue-loudspeaker/

この設定にて廣中さん不在の状態で私は二日間聴き続けた。以前に聴いていた
MODEL-C4CSはクロスオーバーネットワークでのバイアンプ仕様だった。それが
4ウエイ・マルチアンプシステムになったことでのトランジェント特性の向上と
いうことでは楽音の質的向上という視点においてはうなずけるものがあった!

試聴開始から二日目、バーンインも程よく進行したところで私はこの曲を聴いた。

マーラー:交響曲第五番 嬰ハ短調
フランソワ=グザヴィエ・ロト(指揮) ケルン・ギュルツェニヒ管弦楽団
録音:2017年2月20-22日/シュトールベルク街スタジオ(ケルン)
http://www.kinginternational.co.jp/classics/hmm-905285/
http://www.kinginternational.co.jp/classics/kkc-5842/
https://www.ongakunotomo.co.jp/m_square/readers_choice_total/index.html

以前にも多用してきた課題曲でグランカッサのゆったりした重低音がたなびく余韻と
化してホールの空間を埋め尽くしていく情景が見事に収録された録音である。

上記のサブウーファーの使い方ということは今後の課題としても、今回の素晴らしい
システム構成による4ウエイ・マルチアンプシステムによる音質貢献度が極めて高く、
前例のないオーケストラの音質に感動し、私は試聴室からデスクに戻るなり
廣中さんに思わず電話をしていた。

「いや〜、実に素晴らしいオーケストラです。こんな美しい質感と余韻感は初めてです!」

Grandioso M1をトゥイーター一個のために、ミッドレンジ一個のために使用すると
いう豪華な組み合わせ。そして何よりも新製品Grandioso P1X & D1Xが可能とした
緻密でダイナミックな素晴らしい情報量と相まって未体験のHIRO Acousticが
ここに誕生したという瞬間だった!

しかし、費用対効果、ウーファーユニットの倍化という物量投入を行った上で
目指しているものはこの程度なのだろうか…、という疑問があったのである。

二日目の夕方、私は複数の課題曲をかけて超低域が録音されている曲での試聴、
一般的な低音とされる鮮明なスタジオ録音の選曲でも試聴を繰り返し、数種類の
実験を行って確信し、すぐさま廣中さんに二回目の電話をかけていた。

再生周波数特性を20Hzまで平坦化するという廣中さんの目標に関しては理論上は
達成できたものと数曲の課題曲では感じることが出来るのだが、それほどの超低域が
録音に含まれている曲はあまりにも少ない。それだけのために、これほどの費用と
物量をかけることの意義を発揮するには違う方法があるのではないかと…。

「でもね、廣中さん…」と私は最大限の賛辞の後に最小限の苦言を口にしていた。

すると、こう来た! 「私も気になって仕方ないので明日行きます!」これがいい!

            -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

三日目の午前中、私は出社して直ぐに昨日の課題曲を聴き直し、更にバーンインが
進行して昨日にも増して麗しい音質となったオーケストラを確認していると、
楽しそうな表情の廣中さんがやって来た。

私は昨日二時間以上かけて多数の課題曲で実験した再生音のサンプルを、
私がチェックした順番通り廣中さんに聴かせ、このドラムはこうあるべき、
このベースはこうでなくちゃおかしい、そもそも超低域が録音されている曲では
このように反応して欲しいと実際の再生音のひとつずつに注釈をつけて試聴を行い、
サブウーファーの設定に関してどうするのか廣中さんにお任せすることにした。

MODEL-C4CSとしての完成度を維持したい、せっかくの傑作なのだからバランスを
崩したくないという設計者である廣中さんのプライドと自信を肯定しつつも、
私としてはこれだけの費用と物量をかけるのだからMODEL-C4CSの上級機としての
存在感を音で示して欲しいと考えていた。

355Hzからローエンドまで担うMODEL-C4CSのウーファーだが、私が求める音量で
低域のここを試したいという課題曲をかけると、シングルウーファーに対して
振動板の振幅が理論上では1/4になるというMODEL-C4CSなのだが、それでも目視
して分かるウーファーのピストンモーションがあるのは事実。

車のメーカーであればオーバルコースで最高速度で走らせてのテストで、開発中の
新車における安定性や挙動を各項目に渡り試験するように、私が求める音量というのは
一般家庭ではあり得ないボリュームであろうと自分でも思っている。

でも、当フロアーのエアボリュームと音響的環境において、歪感のない再生音であれば、
気持ちよく自然に音量が上がってしまうということが判定法のひとつでもある。
その音量で確認出来れば一般ユーザーのあらゆる使用法においても問題なしと言える。

その条件の中で私が求めたこととは、いかにMODEL-C4CSであっても目に見える振動が
ウーファーにあるのだから、その大きなストロークによって再生される超低域こそ
サブウーファーに受け持たせ、フロント側4個のウーファーが微動だにしないという
状態を作ってやれば更に変調歪率が低下し、そこに新境地が見つかるのではないか!?
というのが私が求めていたことであり挑戦だったのです。

そもそも左右4台での総重量が1,600KgというMODEL-C8CSをセッティングした当日は
一日がかりの作業になり、サブウーファーの位相だけをチェックして帰られた廣中さんは、
その第一印象から感じた音質をしっかりと耳に焼き付けていたのか、設定値の変更に
関してはいくつかの候補を既にイメージしていたようだ。

それに対して私が説明しながら聴かせた選曲の各々に対して、頭の中に用意してきた
Accuphase DF-65の設定値があり、持参してきた測定器で実際の周波数特性を確認しつつ、
意外なほど短時間で推奨値を設定し「出来ました! 川又さん聴いて下さい」と声がかかった。

ここで結論を先にお知らせする。ミッドハイレンジの設定は変更なしで、
MODEL-C8CSの真価を発揮した低域における帯域分割の設定値はこれだ!!

■ウーファー・ローバス・カットオフ周波数  355Hz -18dB/oct
 アッテネーター設定値 -0.0dB

■ウーファー・ハイパス・カットオフ周波数  160Hz -18dB/oct
 アッテネーター設定値 -0.0dB

■サブウーファー・ローバス・カットオフ周波数  160Hz -18dB/oct
 アッテネーター設定値 -0.0dB PHASE / NORMAL

この他にもサブウーファーのクロスオーバー周波数を200Hz、100Hzと変化させて
試聴してみたが、いずれの場合にも上記が最高と断言できる!!

そして、MODEL-C8CSによる実験にて発見された新境地とはどんな世界観なのか!?


■MODEL-C8CSがもたらした超低歪の再生音に関するHidden Storyとは!?

「HIRO Acousticにしか出せない低域!!」
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/1481.html

「理解しづらい喩えかもしれませんが、重たい低音を軽く出してしまうのです!」

上記でもHIRO Acousticの特徴を述べて使用した曲、マーラー:交響曲第五番 嬰ハ短調
フランソワ=グザヴィエ・ロト(指揮)ケルン・ギュルツェニヒ管弦楽団を私は今回の
試聴で多用していた。

そして、この曲であることに気が付き、それを確認していくことで狙っていた
MODEL-C8CSの本当の魅力と能力ということに気が付いたのです!

それは前述のMODEL-C4CSの3ウエイ・マルチアンプシステムと、4ウエイ化した
MODEL-C8CSをAccuphase DF-65のメモリーの切り替えによって瞬時に比較できると
いう試聴で発見したことでした。もちろん、この時のMODEL-C8CSの低域の設定値は
前記のようにサブウーファーのクロスオーバー周波数は160Hzとしての事です。

サブウーファーがオンかオフかということでは低域の量感に先ず関心が注がれる
ことでしょうが、私はMODEL-C4CSからMODEL-C8CSへ切り替えた時に別の視点で
眼前に展開するオーケストラを見ていました。そう、見ていたのです!

私の聴き方は視覚と連動しており、試聴しながら目前の空間に新しい楽音が現れると
瞬間的にその音像が定位するポイントに視線が動きます。次から次へと繰り出され
空間に位置する音が発生する度に私の眼球は目まぐるしく動いているということです。

このマーラー:交響曲第五番 第一楽章の冒頭ではステージ上手奥からトランペットが
颯爽とした響きを奏で、スネアーの連打と相まって低音の金管楽器が重なり、
咆哮するオーケストラが強烈なフォルテを叩き出す!

この比較試聴実験は慎重に何回も行いました。特に私がこだわったのはオーケストラ
全体が発するフォルテではなく、冒頭のトランペットの質感にフオーカスしました。

そして、その音質変化に対して確認のためもう一曲の課題曲を追加して再度比較したのです!

UNCOMPRESSED WORLD VOL.1
http://accusticarts.de/audiophile/index_en.html
http://www.dynamicaudio.jp/file/100407/UncompressedWorldVol.1_booklet.pdf
TRACK NO. 3 TWO TREES

この曲でも冒頭から展開するセンター左寄りに定位するサックスの質感でした。
そして、センター右寄りでのピアノの質感です。しかも、ピアノの左手による
低音階に行きつく前の演奏部で、ほぼ中高音のみという演奏個所でした。

つまりは、上記テストでの試聴ではドラムやベースなどの低音楽器はない演奏部であり、
サブウーファーなど微動だにしないだろうという演奏パートのみを比較したのです!

ひとつの頂点に達した完成度の3ウエイ・マルチアンプシステムのMODEL-C4CSで、
先ずは広大な音場感を背景に拡散していくオーケストラのトランペットだけを二回
三回と繰り返し聴き、MODEL-C8CSへ切り替えた瞬間に!

「おー! これは何とした事か! 」と私の耳と大脳がすぐさま反応しました!

先ず、不思議なことにトランペットの響きそのものが明るくなったように感じられ、
音色、質感ともに一皮むけた解像度の向上が実感できました!

更にステージの下手方向に延長された余韻感の滞空時間が引き伸ばされ、消滅する
寸前の微弱な響きの残滓が空間に漂うような情報量の拡大がホールの広さを更に
大きく広く感じさせるという変化に驚きと前例のない響きの美しさに圧倒されました!

二曲目のサックスでも同様な傾向が示されるのですが、ホール録音による空間上での
質感の変化と違いスタジオ録音での克明な楽音の中身に更なる発見がありました!

サックスのリードのバイブレーションが今までは吹込管(ネック)部の響きとして
感じられていたのですが、朝顔管(ベル)に至る管全体の響きとして奏者の息遣いを
波動音として感じられるような情報量の拡大が眼前にリアルに展開するのに驚きました!

サックスのトーンにあった濃淡の響きのグラデーションが濃厚な方向にも拡大し、
オーケストラのトランペットでの変化とは違い、スタジオ録音でマイクが拾っていた
低い管の響きというものが湧き上がってきたというのは初めての体験です!

また、ピアノにも同様な傾向が表れていて同じ音階であるはずの一弦ずつの打音に
対して骨太な響きというか、張り詰めたミュージックワイヤーと呼ばれる特殊な鋼線の
弦が振動する際に、その質量が重厚な響きとなったような重みのある質感に変化した!

そして、ピアノの一打一打のアタックの瞬間のスピード感、切れ味が大きく変わった!

打鍵の瞬間の立ち上がりが高速化したという事実は自然な音色として心地よく感じられ、
空間を転げまわるように打音の連続が一音ずつくっきりと定位した音像として煌めく!

低音楽器がない演奏パートにおいても、MODEL-C8CSのフロント側ウーファーから
160Hz以下の振動を取り除いたことで、ホール録音のトランペット、スタジオ録音の
サックスとピアノという楽音に瑞々しい響きの情報がこれだけあったのかと愕然と
しつつも湧き上がる発見の喜びに感動してしまったのです! 再度引用します!

「それだけ、ウーファーというものは音楽全体の基礎となる重要なパートであり、
 その歪率の低下がどんな世界を聴かせてくれるのかという観点では、まさに
 前人未踏の音をMODEL-C4CSが実現したと断言できるものでしょう!」

この上を行く更に超低歪の再生音がMODEL-C8CSによって確認され、HIRO Acousticの
フラッグシップモデルが完成したという実感を先ずは報告させて頂きます!


■MODEL-C8CSのサブウーファーがもたらした超低域のHidden Storyとは!?

上記で使用した曲、マーラー:交響曲第五番 第一楽章の冒頭でのトランペットの
変化を確認した後を聴き続けることにした。

冒頭のトランペットに続き強烈なフォルテを放った後、一瞬の静寂の後に流麗な
弦楽がそよと美しい旋律を奏でる。前述の中高域の楽音に関するMODEL-C8CSにおける
清浄効果によって超低歪の素晴らしさは当然すべての楽音に及び、ゆったり演奏される
弦楽器の例えようのない美しさにため息が堪えられなかった!

フロントウーファーより55センチ後方にセットしたMODEL-C8CSのサブウーファーは
160Hz以下を受け持つが、まさにこれはグランカッサやディンバニー、そして
コントラバスの質感に多大な貢献をもたらしたことが直ちに実感された。

このサブウーファーの位置関係は正にステージの一番後方に位置する打楽器の
配置と同じように、MODEL-C8CSが作り出す音場感においてステージの奥行き感を
再現するのにちょうど良い演出をしてくれる。

廣中さんがチューニングした160Hzというクロスオーバー周波数は絶妙であり
グランカッサの質感を劇的に向上させた!

それは量感として低音が出るというレベルではない。グランカッサのマレットが
優しくヘッドに当たる瞬間の微妙なインパクトの瞬間を捉え、ヘッドが振動を
開始する瞬時の挙動を微細な音として聴かせるという前例のない描写力に震える!!

その後に空気を揺さぶる波動感と言える超低域が揺蕩うような重厚な響きとして
空間を満たし、オーケストラの後方に、いや! オーケストラが存在するホール
全ての空間に微小レベルであるが克明な超低音をオーロラのように波打たせる!

アクティブウーファーで電気的に思い通りの周波数をブーストできる低音の質感とは
全く異なる自然な音響的浸透圧によって、中空にたなびくグランカッサの響きは
スタジオ録音による低音のリズム楽器の輪郭表現とは異なり空間そのものを支配する!

つまりは演奏空間のスケール感を表現するものであり、ホール録音の醍醐味を
MODEL-C8CSは壮大なる空間を表現することでサブウーファーの真価を発揮させた!

それはオーケストラにおけるグランカッサの描写力のみにとどまるものではなく、
低い音階にチューニングされたティバニーの打音でも、ピッチカートで演奏する
コントラバスの低音にも、すべての低音楽器にも解像度と情報量の拡大をもたらし、
ホール録音におけるステージ後方への遠近感と左右両翼に展開する低音の余韻に
過去に前例のない音場感を作り出してしまった! これは物凄いことです!

MODEL-C8CSのサブウーファーがもたらした副産物とも言える壮大華麗な音場感!
それはスタジオ録音ではどんな新世界を見せてくれるのか、私の好奇心はHIRO Acousticが
登場した頃から多用してきた課題曲を聴けと要求してきた!


2015.02.10-No.3495-より引用開始

昨年末は長女が自家用車を傷つけてしまい修理に出していた時のことでした。
代車を借りて運転していた時の事。借りものの車なので家内と用足しに出かけた
時もカーラジオを聴いていたものです。     http://www.j-wave.co.jp/

いつも聴くのは決まってJ-WAVEなのですが、家内の話しを片耳で聞きながら
流れてきた曲に思わず引き込まれてしまいました。これはいい!!

カーラジオの音質でも豊かな低音と、それが消えていく時の何とも言えない美しさ。
その時は女性ヴォーカルだと思ったのですが、少しかすれた声質で伸びのある
ヴォーカルとメロディーラインの斬新さに一目ぼれ?してしまいました。

今までにもカーラジオを聴いていて初めての曲に巡り合うことが度々ありましたが、
スマホを使ってない私は直ちに曲名などを調べることが出来ないので、オンエア
していた日付と時間を記憶しておいて後でネットで調べるしか出来ません。

“12月25日11時46分頃”思わず時計を見てしっかりと記憶して、忘れないうちに
と早速翌日に調べてみました。

             -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

http://www.j-wave.co.jp/songlist/index.html

上記のページで次のように入力したのです。

SOUND SEARCH   YEAR 2014  MONTH 12  DAY 25  HOUR 11  MINUTE 46

そして見つかったのが下記の情報でした。

2014-12-25 11:46:41 EARNED IT(TRADUCIDA EN ESPANOL) THE WEEKEND

分かったのはこの情報だけですが、当時そのページでCD購入のリンクを開いて
みても見当違いのディスクがあるだけで曲名から見つかりませんでした。

もちろん、私もTHE WEEKENDというアーチストの存在さえ知らなかったわけです。
そして、ネットで検索してみると…、youtubeでいくつもヒットしたのです。
一例がこれ。
https://www.youtube.com/watch?v=R9qkW2q_se0

先ずは探している楽曲がカーラジオで聴いたものに間違いがないかどうかを
確認しました。私のPCのモニターについている小さなスピーカーで聴いても
間違いがない。この曲です。

そして、このyoutubeのリンクを当店の矢部に送り「この曲の入ったCDが欲しいんだ」と
丸投げして調べてもらったところ、"THE WEEKEND"のシングル曲としての発売
情報はないが、このサントラ盤に収録されるということが分かりました。
http://www.universal-music.co.jp/p/UICU-1262

下記がオフィシャルサイトです。
https://www.youtube.com/watch?v=xe_iCkFsQKE

それから、アーチストのTHE WEEKENDとは実は男性だったのですね〜(^^ゞ
http://www.universal-music.co.jp/the-weeknd/

しかし、私も色々な本を読みますが…、この本はまったく知りませんでした。

「50ケ国以上で翻訳され、全世界で累計1億部を超える大ベストセラー小説の映画化。
 全世界の女性を虜にしたストーリーを彩るオリジナル・サウンドトラック!」

全世界で累計1億部を超えるというのですからスケールが違いますね〜。
CDのライナーノーツを読むとキャスティングが大変で、最初に決まった俳優は
イメージが違うと世界中の女性読者から非難されて降板してしまったらしいですね。

さて、運転中に見つけた未知の楽曲、一カ月以上待ってやっとCDが手に入りました。
今までカーラジオとパソコンのスピーカーでしたか聴いていなかった曲を
今日は↓このシステムで聴いたのです!!

「音楽を裸にするスピーカー登場!!その名はHIRO Acoustic Laboratory MODEL-CCS!!」
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/1160.html

ちょっと品のない表現ですが、冒頭のダイナミックな低域を聴いてぶっ飛びました!!
サントラ盤ですと劇場の音響を意識した音作りもたまにありますが、このCDは
純粋な音楽作品として音質もアレンジも優秀です。これはいいですね〜!!

しかし、この低域は何の楽器の音だろうか? サンプリング音源なのかな?
深々とした余韻感が素晴らしく、MODEL-CCSの克明な低域再現性によって100Hz
以下の帯域まで重厚な低音が素晴らしく響き広がっていくのです!!

また、最初は女性ヴォーカルかと思っていたTHE WEEKENDの声質ですが、ここの
システムで聴くとファルセットの歌唱力と弾力性ある質感と、スピーカーと
プレーヤーの情報量を実感させる素晴らしい空間表現で響き渡るのです!!

そのくせ時折展開するピアノの質感は大変良好で、サビが近づくとストリングス
も入ってきますが、ファンタスティックでありながらアコースティックな楽音
がシンプルな編成の演奏でありながら広大な空間提示が素晴らしいのです!!

それにしても、22センチウーファーのMODEL-CCSとはこんなにダイナミックで
あり、重厚感を伴った高速反応の低域を叩き出すことに私は感動してしまいました!!

これは皆様にぜひともお聴かせしなくてはと、今後の試聴やイベントでの推薦曲
としてレパートリーを広げることが出来ました。

しかし、このHIRO Acoustic Laboratory MODEL-CCSは聴けば聴くほど凄いです!!
皆様の驚きから喜びに変わる表情が見たいものです。ぜひご来店下さい!!

                                引用終了


この4年間というもの、初代HIRO Acoustic MODEL-CCSから始まり、同社の新製品が
登場する度に聴き続けてきたこの曲を再度紹介しましょう!

■FIFTY SHADES OF GREY ORIGINAL MOTION PICTURE SOUNDTRACK
  3.THE WEEKEND / EARNED IT(TRADUCIDA EN ESPANOL)
http://www.universal-music.co.jp/p/UICU-1262

HIRO Acousticの各モデルで試聴した回数は記憶にないほどですが、それだけに
耳に焼き付いている課題曲でもあります。やはり、これを聴かなくては!!

冒頭の低音弦楽器と打楽器が交錯するダイナミックなイントロ。このパートだけ
でも聴き応え十分な壮大な低音の洪水に先ずは驚く! 素晴らしいの一言!!

センターに定位するスネアーのインパクトに完全に同期した重厚な低域が広がり、
以前に記憶のないほどの音場感が沸き起こる感動が背筋を這い上がる感動となる!

そして、二回三回の繰り返し聴いていくうちに、ずっしりと空間を埋め尽くす
重低音の中に陰影があることに気が付く。そう、一塊の低音ではなかったのです!

恐らくはサンプリング音源ではなかろうかと思うのだが、瞬間的な鋭いアルコで
コントラバスの弦をアタックするように叩き出した重低音には立ち上がりの瞬間に
飛び散っていく低音成分の他に、奥行き方向に重心を更に引き下げた低音部が展開する!

その低音の余韻成分が滑空するグライダーのように残響が着地するのを嫌い、
更に空中に留まろうとするように、響きの上昇気流に乗ったがごとく滞空時間を
ストップウォッチで測れるほどに延長していく光景に見惚れてしまう私がいた!

このように連続する低音楽器の重厚さの中に異なる音色が混在していたという事実。

サブウーファーの恩恵は低音の増量ではなく、低域でも歪率を引き下げた事による
情報量の拡大が私に見るべき視点を提供してくれる。この解像度は凄い!

そして、これまで4年間に渡り数百回は聴いたであろう、このヴォーカルの質感が
より以上の驚きと発見によりMODEL-C8CSの真骨頂とも言うべき美しさを魅せた!
そう、私は見ながら聴くと前述していたが、この場合には魅せたなのです!

何度も述べてきたサブウーファーの貢献は中高域に低歪に関与し、今までにない
ヴォーカルの滑らかさと広大な音場感をこれ程に提示してくるとは思っていなかった!

実像としてセンターに浮かぶヴォーカルにはきっちりとした存在感があるのだが、
その周辺に発生する響きのオーラの透明度が極めつけに向上している!凄い!

こんなEARNED ITは今までに体験のないことであり、ベテラン会員の感想にもある
ように、次元の違う楽音の質感というものをMODEL-C8CSは可能にした実感を私は
この曲で感動のうちに結論したのです!

ダイナミックさと緻密さが両立すると、こんな新世界があるのだと沸騰した私の
頭の中で更に次の課題曲が浮かんできた!

■HELGE LIEN / SPIRAL CIRCLE   7. Take Five
http://diskunion.net/jazz/ct/detail/XAT-1245411462

近年新たに加わった私の課題曲で各種新製品をチェックする際に多用しているのが、
冒頭の一分間は強烈なドラムソロから始まるという異色のTake Fiveです。

ドライに録音されドラムの各パートが鮮烈に叩き出される情景が大迫力で迫り、
キックドラムや低い音階のタムはリバーブなしで、はち切れんばかりのテンションを放つ!

多様な金物をヒットするシャープで鋭いパートでは微量のリバーブが施され、
ストロボライトの瞬間的な輝きのように展開する高い音階の打音の数々は前述の
低歪化の恩恵を確実に受け止めて高純度なアタックを次々に叩き出す!見事と一言!

当然のことだが、MODEL-C4CSにおいても聴いた曲だが違う! 何が違うのか!?

中高域の輝くシンバルやハイハットの響きは前述の低歪化がインパルス応答性に
おいても確認され、強烈な打音なのに透明度を高めているという安堵感に驚く!

そして、前曲において連続する低音楽器の重厚な響きでサブウーファーの貢献度を
確認していたのだが、この曲では立ち上がりの鋭いキックドラムで異なるベクトルの
低域の進化が表れていた! これは意外なのだが事実!

MODEL-C4CSでも軽減されたウーファーのストロークの大きさがサブウーファーに
移行したことで、このキックドラムの音像が縮小していることに気が付く!

重厚さを維持しながら低音楽器の音像を引き絞る効果をMODEL-C8CSがいかに録音
された信号に対して忠実であるかという異次元の解像度を見せつける快感に震えた!

引き絞られた低音のエネルギーが一瞬にして解き放たれた時のダイナミズムは
ただ事ではない! そして、その重低音が一種の滑らかさを生み出し心地よく感じると
いうことは、大音量の迫力は気が付かなかった歪感を含んでいたのではと推測する
根拠となって私の既成概念に風穴を空けたという驚きに納得してしまうのです!

有名なTake Fiveの旋律をピアノがハイスピードで演奏し、前半では控えめな存在と
なっていたウッドベースが後半では右チャンネルでソロを展開する!これが凄い!

前曲でもベースのダイナミックな音場感の展開に圧倒されたが、それは録音における
プロデューサーの意図だったのだろうが、この曲でウッドベースは弓でアルコを奏でる!

広大に広がっていく余韻感が特徴と言える重低音とは違い、このパートのウッド
ベースは自ら音像のダイエット効果を示しており、克明に描かれる輪郭の中に
重量感と高分解能が同居するスリリングな演奏が展開し、低音楽器にも美しい
シルエットが存在していることを声高に叫ぶがごとく高忠実度の手本を示した!

スタジオ録音の素晴らしい解像度と情報量を克明に引き出したMODEL-C8CSは、
録音の良し悪しを的確に示すことで音楽作品にとって音質的な反面教師という
存在であることが実感されるのです! ダメな録音ははっきりダメダシをしつつ、
良い録音は制作者の感性と情熱の結果として更に素晴らしい作品として聴かせます!!

つまりは、音楽作品の制作側の人々がスタジオモニターで聴いたことのない世界観であり、
それは設備投資の限界を意識しながら採用されたモニタースピーカーのクォリティーを
はるかに凌駕したパフォーマンスであるということでしょう。

録音された情報をどこまで再生出来るのか、その忠実度は実はスタートラインであり、
HIRO Acoustic MODEL-C8CSはスタジオモニターでアーチストやエンジニア、そして
プロデューサーたちが聴いていた音質とは別次元の音楽を聴かせてくれるのです!!

ということは、スタジオという製作現場で聴くことの出来ない音とは、すなわち
新たな創造であり芸術ではないかと私は最後の結論としました!!

ハイエンドオーディオの芸術性は録音現場の再現ではないということです!

この前人未踏のパフォーマンスによって音楽ファンが所有するソフトのコレクションの
価値観が何倍にも高まるということ。

そして、それはMODEL-CCS、MODEL-CCCS、そしてMODEL-C4CSからMODEL-C8CSまでの
全シリーズにおいて共通の価値観であるということを最後に宣言します!

川又利明
担当:川又利明
TEL 03-3253-5555 FAX 03-3253-5556
kawamata@dynamicaudio.jp

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