発行元 株式会社ダイナミックオーディオ
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H.A.L.担当 川又利明
    
2018年10月24日 No.1496
 H.A.L.'s Hidden Story!! - Y' Acoustic System Ta.Qu.To-Zero

2018年9月9日 No.1491
H.A.L.に叩きつけられた挑戦状!!究極を目指したY' Acoustic Systemとは!!
https://www.dynamicaudio.jp/5555-7F/news/1491.html

2018年9月16日 No.1492
新進気鋭ブランド Y' Acoustic System Ta.Qu.To-Zeroの価格決定!!
https://www.dynamicaudio.jp/5555-7F/news/1492.html

2018年9月26日 No.1493
H.A.L.'s One point impression!! - Y' Acoustic System Ta.Qu.To-Zero Vol.1
https://www.dynamicaudio.jp/5555-7F/news/1493.html

上記のインプレッションで使用したシステムは現在では次のように第二弾の組み合わせと
いうことで実演中です。試聴された皆様の評価は私同様ということで進行中です!!

H.A.L.'s Sound Recipe / Y' Acoustic System Ta.Qu.To-Zero inspection system Vol.2
https://www.dynamicaudio.jp/5555-7F/H.A.L.'s_Sound_Recipe-Y'AcousticSystem-Vol2.pdf

そして、私のインプレッションの最後では次のように締めくくっていました。

           -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

そんなTa.Qu.To-Zeroを解剖することで、吉崎さんが目指したハイエンドスピーカーの
頂きとはどんなレベルであったのか! 続報によって皆様の常識も変化することでしょう!

下記の画像は何を意味しているのか!? その予告として先行公開しておきましょう! 
https://www.dynamicaudio.jp/s/20180912-p01.jpg
https://www.dynamicaudio.jp/s/20180912-p02.jpg

           -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

さて、今回よりいよいよ、その究極のこだわりをTa.Qu.To-Zeroを解剖しながら
紹介していくことにしましょう!

■Ta.Qu.To-Zeroのボディーラインを構成するHidden Storyとは!?

まず最初にTa.Qu.To-Zeroがいかに非常識なスピーカーであるかということを
述べなくてはならないと思います。

Ta.Qu.To-Zeroは全て金属製です。アルミニウム、マグネシウム、そして真鍮と
いう三種類の金属から“削り出し”で作られているということです。

金属製スピーカーといえばHIRO Acoustic、MAGICOなどが頭に浮かびますが、
HIRO Acousticではミッド・ハイレンジ、MAGICOではフロントバッフルという
一部は削り出しによって作られていますが、ウーファーエンクロージャーという
ボディーそのものはパネルを組み立ててボックス形状にして内部をブレーシングと
言われる補強材にて強化したものです。

しかし、Ta.Qu.To-Zeroはすべてが“削り出し”なのです。そのために要した金属塊の
総重量は何と2.5トンというのですから、原材料費と工作費用はとんでもない金額に
なっており、それが吉崎さんのこだわりでもあり価格の根拠にもなっているのです!

それを端的に表現し理解して頂くために最初に次の画像をご覧になって下さい。
この展開図でナンバリングした各パートについて以降に説明していきます。
https://www.dynamicaudio.jp/s/20180901-01.jpg

Cの画像を拡大したものが下記です。アッパーボディーを裏側から削っています。
https://www.dynamicaudio.jp/s/20180908-01.jpg

このアッパーボディー部だけで削り出した後の重量が22キロというのですが、
削る前のインゴットの重量は146キロというのですから途方もない贅沢です!

Dの画像を拡大したものが下記です。このアルミニウムの塊の厚みの物凄さ!
https://www.dynamicaudio.jp/s/20180908-03.jpg

Dはフロントバッフルですが、削り出し加工の画像は裏側から見たもので、
削り出しが終わりブラックのアルマイト処理をしたものが次の画像です。
https://www.dynamicaudio.jp/s/20180902-09.jpg

Fの画像を拡大したものが下記です。この途方もない厚みと容積のアルミニウムを
削り出してアンダーボディーの中間部をくり抜いて作っているのですから恐ろしい!
https://www.dynamicaudio.jp/s/20180908-04.jpg

Fを展開図で見て頂ければお分かりでしょうが、このパーツの全体像は隠れて
見えないと思いますので加工後にアルマイト処理した画像を下記にてご覧下さい。
https://www.dynamicaudio.jp/s/20180902-02.jpg

中間にプレーシングの梁というか細い骨組みが見えますが、そこも削り出している
のですから、物凄い加工時間がかかっているということです。

そして、上記にてパーツごとにブラックのアルマイト処理をしていると述べましたが、
実は最終的な仕上げは更に高度なテクニックで磨きをかけていくものであり、
そのこだわりも後述致しますので誤解なきよう追記致します。

次はGのテール部を削り出したパーツの画像が下記です。テール部は左右二個の
パーツによって構成されています。
https://www.dynamicaudio.jp/s/20180908-02.jpg

Gのテール部にアルマイト処理したパーツの画像が下記になります。このパート
だけでも使用したアルミニウムのボリューム感は物凄いものでしょう。
https://www.dynamicaudio.jp/s/20180902-01.jpg

さて、展開図のD水色F黄緑G紫を組み立てると下記のようになります。
https://www.dynamicaudio.jp/s/20180912-p07.jpg

ここで下記の画像で注目して頂きたいのはテール部G紫のブレーシングされて
内部の骨組みも削り出しということです。
https://www.dynamicaudio.jp/s/20180912-p09.jpg

更に下記の画像でF黄緑G紫の両者のブレーシングが内部で正確に接合されて
組み立てられるので外観には一切ビスが露出していないという超こだわりが
表れているところでもあります。
https://www.dynamicaudio.jp/s/20180912-p10.jpg

以上のD水色F黄緑G紫をアンダーボディーとして重量は71キロとなります。
それを仮組した貴重な画像が下記です。アルマイト処理前の状態です。
https://www.dynamicaudio.jp/s/20180902-tp3_01.jpg

Gのテール部から見ると下記の画像となりますが、どうですか!
この加工精度の素晴らしさ! 紙一枚の隙間もなく完璧な職人技が凄いです!
https://www.dynamicaudio.jp/s/20180902-tp3_02.jpg

上記のアンダーボディーの仮組画像では展開図Iのベース部の色が違いますが、
このベース部は真鍮製で厚みは35ミリ、重量は50キロあり当然削り出しです!
このベース部もこだわりの設計が施されているので続報にご期待下さい。

以上のC薄紫D水色F黄緑G紫が組み立てられた全体像を下記の画像で確認して下さい。
この4点のパーツにてウーファーのエンクロージャーが構成されますが、その容積は
約100リッター弱を確保しており、高剛性・高質量の外殻が完成するのです!
https://www.dynamicaudio.jp/s/20180912-p01.jpg

さて、気が遠くなるような削り出し工程にかかる時間と物量投入をボディー部に
関して説明しましたが、次は展開図@とBで構成されるヘッド部について説明していきます。

先ず上記の色分けした画像でヘッド部が前後から見られる画像を下記にてご覧下さい。
https://www.dynamicaudio.jp/s/20180912-p01.jpg
https://www.dynamicaudio.jp/s/20180912-p02.jpg

これでお分かりのようにヘッド部は前後二個のパーツで構成されています。
削り出し加工中の画像はありませんがアルマイト処理したフロントヘッドが下記です。
https://www.dynamicaudio.jp/s/20180902-11.jpg

このヘッド部@とBはCのアッパーボディーの上に組み立てられるわけですが、
仕上げ前の仮組状態の画像が下記になります。
https://www.dynamicaudio.jp/s/20180902-tp3_03.jpg

そして、リアヘッドの後頭部に何か所が穴が開いていますが、これが後述する設計の
巧妙さに関わってくるものなので下記の画像もぜひ記憶しておいて頂ければと思います。
https://www.dynamicaudio.jp/s/20180902-tp3_04.jpg

ミッド・ハイレンジのユニットを格納するヘッド部は20キロ以上という重量になり、
その内部構造が凝りに凝ったもので後述する説明に期待して頂ければと思います。

ここでも呆れてしまうのはヘッド部は外観デザインで個性的であり音響的理想を
具現化した造形を削り出していますが、下記のイラストの外形の内側はほぼ無垢の
アルミニウムであるということです。
https://www.dynamicaudio.jp/s/20180910-hdl01.jpg

そして、この内部にどうしようもないほどのこだわりとして世界に類を見ない
構造が隠されているのですが、それは後程詳しく説明することにします。

なお、以上で各パートの重量を記しましたが、総重量にはスピーカーユニットも
含まれていますので、完成重量180キロとは異なるもので誤解なきよう追記致します。


■Ta.Qu.To-Zeroの頭脳は想像を絶する構造そのHidden Storyとは!?

ヘッド部は複雑なカーブが交差していますが下記の画像で立体感をイメージして
頂ければと思います。この頭蓋骨の中身にこそ吉崎さんのこだわりがあるのです。
https://www.dynamicaudio.jp/s/20180910-hdl02.jpg
https://www.dynamicaudio.jp/s/yas_2018.09.03.jpg

ヘッド部はほぼ無垢のアルミニウムの塊で20キロ以上という上記の説明には補足があり、
そのために再度展開図を見て頂くことが必要かと思います。
https://www.dynamicaudio.jp/s/20180901-01.jpg

@とBで構成されるヘッド部の中にAの純マグネシウムのパーツがありますが、
それを含めて約20キロということで、実際にはトゥイーターユニットとBの後部に
ある下記画像で長細く木目仕上げされた真鍮製のプレートを含めると総重量は30キロ。
https://www.dynamicaudio.jp/s/yas_2018.09.04.jpg
https://www.dynamicaudio.jp/s/20180901-IMG_5184.JPG

先ずは、この円柱状のマグネシウムパーツがどういうもので何に使われるのかと
いうことを順を追って説明していきましょう。最初に下記の画像をご覧下さい。
https://www.dynamicaudio.jp/s/20180912-p05.jpg

この段階でマグネシウムパーツのサイズを紹介しておきます。
トゥイーター用は直径58mm、長さ87.5mmですが、ポイントは次のミッドレンジ用です。

最も直径が大きい部分で直径155mm、長さ65.5mmですが、後部に細くなっている
部分があります。そこが直径60mmで長さ50mmなのですが、何とこの部分にはネジが
切ってあり、次の画像で示すタッピングされたヘッド後部の穴に回転させてピタリと
ネジ込んでいくという精密設計となっています。

この画像でピンクブラウンで示されているのがAの純マグネシウムのパーツです。
そして、その先端のグレーの部分がスピーカーユニットを想定しているものです。
これをヘッド後部にはめ込んだ状態を下記にてご覧下さい。
https://www.dynamicaudio.jp/s/20180912-p04.jpg

このトゥイーター用マグネシウムパーツの後部にビス穴があり、そこにヘッド
ブロック後方から長いステンレスボルトを貫通させて引っ張り込むようにして
強固に固定しています。

この段階で仮組した画像が下記になります。トゥイーターとミッドレンジユニットが
直接に接して取り付けられているマグネシウムパーツは外観では見えないものであり、
ここまでやるか! というこだわりの物凄さはどうですか!!
https://www.dynamicaudio.jp/s/20181017-IMG1016124233.jpg

ここでミッドレンジ用マグネシウムパーツの先端に突起がありますが、これは
ミッドレンジユニットを取り付ける際のセンター合わせのためのもので直径28mmで
長さ5.5mmとなっています。スピーカーユニットを取り付けると下記のようになります。
https://www.dynamicaudio.jp/s/20180912-p03.jpg

下記のVolt VM752のページで写真を展開して後方からのアングルで見ると、ポール
ピースの真ん中に穴がありますが、そこにぴったりとはめ込まれるようになっているのです。
https://voltloudspeakers.co.uk/loudspeakers/vm752-3/

さて、上記の説明から後部ヘッドブロックに実際にトゥイーターとミッドレンジ
ドライバーを取り付けた実写の画像が下記になります。両ユニットはマグネシウム
パーツに接着されていて制振ダンパーを介してフロントブロックに圧着されます。
https://www.dynamicaudio.jp/s/20180910-hd01.jpg

ここまででお分かりのようにトゥイーターとミッドレンジ後方には一切のバック
キャビティ―はありません。ユニット後部に単体金属で最強の振動減衰率を誇る
純マグネシウムで振動を減衰しつつ、それでも吸収しきれなかった要素があったと
しても後部ヘッドにつながる高質量のアルミニウム部と制振ダンパーを介した真鍮製
プレートを含むデッドマスで不要振動の発生を極限的に抑止しているのです。

さあ! この状態から実際に前後ヘッド部を組み立てる過程が次の画像です。

https://www.dynamicaudio.jp/s/20180910-hd03.jpg

単純な構造ですが、中高域ドライバーに対して、これほど巨大な質量にてデッドマスを
構成しているのですから驚きです。上記画像のように前後のブロックを接近させていき、
どのように組み合わせして固定するのかという私の質問に吉崎さんは次の画像で
ビス止め位置を示してくれました。しかもビスの頭は全く見えません。完璧です!!
https://www.dynamicaudio.jp/s/20180911-01.jpg

上記の4か所のビス穴に関しては次の画像で前部ブロックの内側に見えています。
https://www.dynamicaudio.jp/s/20180910-hd02.jpg

トゥイーター側の上の二本のビスはヘッド部の後方から締め込み、ミッドレンジ側の
下の二本はヘッド部の底面からアクセスして締めるようになっています。

その外観からは見えない下の二本のビスを締め込むスペースを下記画像にて赤く
印をつけました。これでお分かりでしょう。これ全部アルミの塊です。考えましたね!!
https://www.dynamicaudio.jp/s/20181017-0614_15.jpg

Ta.Qu.To-Zeroのヘッドとボディーに関する詳細を述べましたが、これほどの金属塊から
細かく複雑な造形を削り出すには切削開始から二か月弱の時間がかかっています。

アルミニウムパーツと真鍮パーツは同じ工場で二台のマシンで同時進行で削り、
マグネシウムパーツは別工場で削り、その後には表面のサンドブラスト(梨地)処理に
二週間くらいかけて、更に塗装に三週間くらい、組み立てに二週間くらいという大変な
工程と作業時間を要してたどり着いた結果でした。

しかし、ここまで説明しただけでも外観からは分からない設計者のこだわりを十分に
感じ取って頂けると思いますが、最も重要なことは吉崎さんおひとりで前述の高度な
設計を行い、職人技を発揮した専門工場もおひとりで探し出してきたということです。

これらのメタルワークを行った職人さんたちもスピーカーを作るなどということは
初めてのこと。実際の工場は新幹線などの高精度であり大型加工製品を作る特殊な
会社であり今までスピーカーの注文など受けたことがないという。無理もありません!

こんな非常識なスピーカーを作ろうなどと誰が考えることでしょうか!

ひとえに理想のスピーカー、求めてきた音を作り出そうという情熱によるものであり、
HIRO Acousticという先駆者を追い越そうという執念が結実した結果でもあります。

その動機をもたらしたのが、20年に渡りH.A.L.の音を研究してきたことにより、
吉崎さんの胸の中に蓄積されてきた高度な音のサンプルへの対抗意識であり、
自分の理想が経験則の中から築き上げられていった結果ということになります。

その重みと情報量は簡単な記事、適度な?文章量では語り尽くせないものであり、
今回は第一章ということでいったん区切りをつけることにしますが…、しかし!
Ta.Qu.To-ZeroのHidden Storyはまだまだ続くのです!!


■Ta.Qu.To-Zeroインナーボディーはこだわりの構造そのHidden Storyとは!?

ヘッド部の内部構造でスピーカーユニットを前例のない構造にて格納していると
いう説明の後に、それではウーファーを取り付けている方法はどうか?
先ずは再度この展開図からの説明から始めなくてはならない。
https://www.dynamicaudio.jp/s/20180901-01.jpg

外観からは想像も出来ませんが展開図Eの大型真鍮リングがボディー内部に二個
埋め込まれています。この真鍮リングの重量は前方が1.8キロ、後方が4.7キロあり、
振動対策として重要なポイントとなっています。

後方の真鍮リングはウーファーとは直接には接していませんが、FとGと更にCとの
接合部で同様に異種金属を接合することで振動対策として応用されているという
気配りを見逃すことは出来ません。

その真鍮リングはフロントバッフルであるDに下記のように精密な加工によって
ぴったりとはめ込まれる設計となっています。
https://www.dynamicaudio.jp/s/20180912-p08.jpg

真鍮リングの厚みは展開図Dの削り込みより1ミリ厚くしてあり、制振ダンパーや
ウーファーユニットが直接フロントバッフルに触れる事はない。

フロントの真鍮リングはDに次の画像のようにはめ込まれ、制振ダンパーを介して
ウーファーの振動が直接フロントバッフルに伝搬されないよう真鍮リングが
振動を吸収する役目を果たす。下記の画像で分かるように真鍮リングにはビス穴がある。
https://www.dynamicaudio.jp/s/20180912-p07.jpg

上記のビス穴にはタッピングは施されておらず、ウーファーのフレームからステンレス
ボルトで締め込み、真鍮リングを貫通してフロントバッフルにボルトの先端ががっちりと
食い込む形でウーファーが取り付けられる。つまりウーファーにもデッドマスが存在する!
https://www.dynamicaudio.jp/s/20180912-p06.jpg

以上の段階を経てウーファーがとりつけられるインナーボディーの状況を実写の
画像で一目瞭然としたのが下記の写真。
https://www.dynamicaudio.jp/s/20180911-02.jpg

真鍮リングとユニットの間には制振ダンパーがあり、フロントバッフルと真鍮リングは
精密加工によって僅かな隙間もなくはめ込まれている状況がわかる。

それにしてもウーファーの10ミリ厚の骨格は物凄い存在感であり、マグネット後部には
独自の吸音材リングが取り付けられているという気配りが徹底している。

ウーファーユニットと吸音材の間には制振ダンパーが三種類取り付けられており、
吸音材がドーナツ形状に空いている理由は、このユニットはセンターキャップ部分
などからの背圧を逃す為にセンター部分が空洞になっているからです。

この吸音材に関しては企業秘密ということで明かされていないが、展開図DとFを
接合したのちに同じ吸音材で内部処理した下記の画像が興味深い。
https://www.dynamicaudio.jp/s/20180912-q01.jpg

更にGの二分割されているテール部の内部にも下記のように同じ処理が施される。
https://www.dynamicaudio.jp/s/20180912-q02.jpg

企業秘密というこの吸音材だが、私が思うにSonusfaber Aida IIなどに採用され、
https://www.noahcorporation.com/product/aida-ii/
以前から同社の低域再現性を非常に高めてきた“ステルス・ウルトラフレックス”に
使用されている吸音材と触感が良く似ているというところまで私の感想として
述べておきます。


■Ta.Qu.To-Zeroの心臓クロスオーバーネットワークのHidden Storyとは!?

一般的なスピーカーではエンクロージャー内部に収納されているクロスオーバー
ネットワークも吉崎さんのこだわりから別筐体として設計されている。

このクロスオーバーネットワークボックスのみで重量は45キロというのだから驚く!
なぜそこまで重量級なのかということの最大要因は驚くべきシンプルな構造。

下記の画像はブラックアルマイト処理を施したクロスオーバーネットワークの外殻。
この神秘的デザインのボックスそのものが一つのインゴットから削り出されていると
いうのだから驚いてしまう。
https://www.dynamicaudio.jp/s/20180902-20.jpg

その外殻の肉厚感がわかる貴重な画像が次のアングルで撮られた写真だ。
肝心なLCR各素子は企業秘密ということでぼかしてあるが、このボックスの中身を
そっくり削り出しているというのだから呆れてしまう。
https://www.dynamicaudio.jp/s/20181017-IMG_4697.JPG

この見事な造形美のクロスオーバーネットワークボックスの内部に回路を搭載し、
実際に組み立ててみると次のようになる。

この画像を見て気が付かれましたか? ボックス下のベース部との間にわずかな
隙間がありますが、究極の振動対策が施されているのです!!
https://www.dynamicaudio.jp/s/20180902-tp3_05.jpg

仕上げが施され完成したクロスオーバーネットワークの画像が下記になります。
https://www.dynamicaudio.jp/s/20180901-n-box.jpg

今度はベースプレートの下側にも隙間がありますが、前述したマグネシウム製の
フットと同じものが取り付けられているのですが、これも上記の振動対策と関係が
あります。懐かしい下記の投稿をご覧下さい。

No.0171  京都市在住 YAS 様 
新着投稿⇒H.A.L.'s Monitor Report RELAXA3PLUS 2003/3/31
https://www.dynamicaudio.jp/5555-7F/fan/hf_moni0171.html

約20年に渡りH.A.L.を研究されてきたと吉崎さんを紹介していましたが、当フロアーの
音質だけでなく、多数の企画にて自宅システムの音質も極めて行ったものです。
ざっくりと下記に紹介しておきましょう。

           -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

京都市 YAS 様より
 
ご存じのYAS 様の前回の投稿と記事をご紹介します。
https://www.dynamicaudio.jp/5555-7F/fan/hf_moni0569.html

下記にてご愛用システムをご覧下さい。この中にUpsamplerをインストール!!
https://www.dynamicaudio.jp/5555-7F/fan/hf_hear0635.html

以前の投稿と記事をご紹介します。
https://www.dynamicaudio.jp/5555-7F/kiso/hb1/hiwa.html
https://www.dynamicaudio.jp/5555-7F/fan/hf_moni0486.html
 
移転されましたので改めて大阪在住 YAS 様からの投稿もご紹介します!!
https://www.dynamicaudio.jp/5555-7F/fan/hf_hear0569.html

           -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

さて、上記のように私が提案してきた多数のアイテムを自宅システムにて試聴し、
その効果をご自身の耳で確認しながら、同時に当フロアーの音質変化も感じ取って
来られた吉崎さんがTa.Qu.To-Zeroのクロスオーバーネットワークに施したアイデアを
次の図解にて紹介します!!
https://www.dynamicaudio.jp/s/20181020-NWB.jpg

ははあ〜と思われた事でしょう。歴代RELAXAによる究極の振動対策として回路基板と
外殻部をこのようにマグネチックフローティングさせてしまったのです!!
そして、同時にマグネシウム製スパイクというこだわりも同時に実現しています!!

私はTa.Qu.To-Zeroの心臓という表現をしましたが、パワーアンプから送られてくる
オーディオ信号という血流をスピーカーユニットに送り出すという使命を担った
クロスオーバーネットワークの重要性をここまで追求した吉崎さんに脱帽です!!


■Ta.Qu.To-Zeroの健脚におけるこだわりというHidden Storyとは!?

先ずは前述した下記の一節を再度引用します。

           -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

以上のD水色F黄緑G紫をアンダーボディーとして重量は71キロとなります。
それを仮組した貴重な画像が下記です。アルマイト処理前の状態です。
https://www.dynamicaudio.jp/s/20180902-tp3_01.jpg

Gのテール部から見ると下記の画像となりますが、どうですか!
この加工精度の素晴らしさ! 紙一枚の隙間もなく完璧な職人技が凄いです!
https://www.dynamicaudio.jp/s/20180902-tp3_02.jpg

上記のアンダーボディーの仮組画像では展開図Iのベース部の色が違いますが、
このベース部は真鍮製で厚みは35ミリ、重量は50キロあり当然削り出しです!
このベース部もこだわりの設計が施されているので続報にご期待下さい。

           -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

展開図のIを上記のように紹介していましたが、重要なHに関して紹介します。

トゥイーターとミッドレンジスピーカーユニットの搭載方法に関して詳細を説明
していましたが、それと同じく単体金属で最強の振動減衰率を誇る純マグネシウムで
振動を減衰させるために贅沢にもスパイクフットもマグネシウムを採用しています。

設置の際に床に接するスパイクですが、本体重量が大きいことと材質が金属製と
いうことを考慮して、先端が鋭く細いデザインのスパイクは採用せず、次の画像の
ように床面で点接地しますが共振を嫌ってこのように削り出しています。
https://www.dynamicaudio.jp/s/20180910-sp03.jpg

当フロアーでのセッティングではB-Boardに直置きしていますが…
https://www.dynamicaudio.jp/5555-7F/fan/BZ-bord.html

製品として一般ユーザー宅にセッティングする際に床を保護するために次の画像の
ように、何と!! マグネシウムでスパイク受け皿のベースまで作ってしまいました。
https://www.dynamicaudio.jp/s/20180910-sp02.jpg

この三個のマグネシウムパーツを組み合わせると次の画像のようになります。
https://www.dynamicaudio.jp/s/20180910-sp01.jpg

これを上記の真鍮製で厚みは35ミリ、重量は50キロというベース部にどのように
組み込むかというところにも、やはり吉崎さんのこだわりがあります。それを
端的にご理解頂くために次の画像を用意しました。
https://www.dynamicaudio.jp/s/20180910-sp04.jpg

この図でも赤く制振ダンパーと記されていますが、これは大変重要なポイントなので、
後程紹介したいと思います。いずれにしても手を抜くようなことは何もないということです!!


■Ta.Qu.To-Zeroの神経と言えるケーブルのこだわりというHidden Storyとは!?

超高剛性というボディーの内部でTa.Qu.To-Zeroの各パートを接続する内部配線は何か?
と吉崎さんに質問するとあっさりと教えてくれました。これは企業秘密ではないのか?

このメーカーのスピーカーケーブルです。
https://www.duelundaudio.com/en-us/

Duelund Wire 12awg (DCA12GA)Tin Plated Hook-up Wire
https://www.duelundaudio.com/en-us/cotton-in-oil-wires/

使用箇所はというと、ウーファー、ミッドレンジ、トゥイーターの各ユニット。
クロスオーバーネットワーク内部、それと本体をつなぐスピコンケーブルなど
全てこのケーブルを統一して採用した。

12AWGと低域でも十分な太さが有り、より線なので高域にも問題無いということで、
場所によって本数などは変えていない。因みに、このメーカーの抵抗、コンデンサ、
コイルの音質は世界最高峰と評価されているという折り紙付きです。

ただし、低域エンクロージャー内とスピコンケーブルは、このケーブルをテフロン
チューブで被覆して使用している。

こんなノウハウを明かしてくれましたが、その理由は簡単! 音が良かったから!!

上記の販売サイトを見れば米ドルでのメーター単価は書かれていますが、上記の
ように全て統一ケーブルとしたため使用量は相当な長さになっています。

今回は第二章ということでいったん区切りをつけることにしますが…、しかし!
Ta.Qu.To-ZeroのHidden Storyはまだまだ続くのです!!


■Ta.Qu.To-Zeroの関節におけるこだわりというHidden Storyとは!?

ここでは関節という喩えをしていますが、人体における関節の役目は骨格を形成し
骨をつなげ自在に曲げられるという意味の他に衝撃・振動を吸収し和らげるという
機能性もあることに着目しての表現でした。

以上のように高剛性・高質量の構造と材質を持つTa.Qu.To-Zeroであれば、もはや
それだけで十分な振動対策が完成されているのではと思いがちですが違います。

重く剛性が高いものでも透過損失が大きいかというと逆なのです。
ですから各パーツをハンマーで叩けば固有共振を起こし音もするし振動も発生し、
それをどのように制御するのかという配慮が必要になってきます。

前述の各パートで「制振ダンパー」と表記してきたものの正体はこれです!!
クレハエラストマー株式会社「VBRANR/ヴィブラン」
https://www.kurehae.maxell.co.jp/products/vbran.html

Ta.Qu.To-Zeroの要所には上記サイトにあるG-N57(耐荷重Type)とS-V90Fの
二種類の制振材を使用しています。

先ずヘッド部とボディー上部に深さ8ミリのくぼみを双方に削り出しておき、
合わせて16ミリの収納部が用意されています。

そこにG-N57/10mmとS-V90F/2mmにG-N57/10mmを貼り合わせた三層構造として
厚み22ミリVBRANRポッドをはめ込み約6ミリヘッド部を浮かしているわけです!!

そして、トゥイーター、ミッドレンジ、ウーファー共にエンクロージャーとの
接合面は、S-V90F/2mmを使用してアイソレーションしています。

真鍮ベース部と純マグネシウムのスパイク部分もG-N57/5mmでアイソレーションされ、
スパイク部の棒の部分が直接触れない様にテフロンのブッシュを挟んでいるのです!

それから更に細かいところまでこだわりがあり下記の画像をちょっと見て下さい。
https://www.dynamicaudio.jp/s/yas_2018.09.04.jpg

この木目調仕上げされている頭頂部のプレートとボディーのベルトですが、実は
これは木材ではなく4ミリ厚の真鍮製なのです。

これは真鍮→木目シート→外側に行くほど暗くなるグラデーションシート→
硬質光沢シートの三層構造になっていて、木目シート自体は高級建材から選んで、
貼り込みは電車の内装をしている会社で貼り付けてもらったとのこと。

その裏面にも下記のダイポルギーFDC 1.8ミリを貼り付けダンピングしている
という凝りようなのです! やることが細かいですね〜!
https://cci-corporation.com/DIPOLGY/product/fdc.php


■Ta.Qu.To-Zeroの美貌におけるこだわりというHidden Storyとは!?

私は今回の解説の冒頭で次のように述べていました。

           -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

上記にてパーツごとにブラックのアルマイト処理をしていると述べましたが、
実は最終的な仕上げは更に高度なテクニックで磨きをかけていくものであり、
そのこだわりも後述致しますので誤解なきよう追記致します。

           -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

他の金属製スピーカーといえばHIRO Acoustic、MAGICOなどはアルマイト処理を
最終仕上げとしていますが、Ta.Qu.To-Zeroは更にもうひと手間のメークアップが
施されているのです!!そのヒントになる画像が下記です。
https://www.dynamicaudio.jp/s/20180902-gf.jpg

Ta.Qu.To-Zeroのアルミニウム部は、切削→ブラスト研磨→アルマイト処理→
プライマー→黒塗装→ガラスフレーク塗装→クリア塗装という複数の行程を経て
仕上げられますが、上記の画像とはガラスフレーク塗装のテスト工程のものでした。

ただし、現状の仕上げは試作機に対するものであり製品版では多少異なる仕上げ
処理になる予定です。

では、真鍮パーツはというと、切削→ブラスト研磨→特殊黒染め処理→プライマー
→黒塗装→ガラスフレーク塗装→クリア塗装という工程になり、純マグネシウム部分は
切削→脱脂→研磨→化成処理となっています。

これらの特殊技術を持つ会社も吉崎さんが探し出してきたもので、切削とサンド
ブラスト処理(梨地処理)は、アルミ・真鍮は同じ場所ですが塗装工程は、真鍮は
塗料の食いつきが悪く、傷から塗料が剥離しやすいので、一度、別な会社で特殊な
黒染塗装をした上で、アルミ部分と同じ仕上げ塗装を施しているということ。

更に純マグネシウム部分は切削も塗装も特殊なので、マグネシウム塗装専門の
別会社で塗装しているというのですから、Ta.Qu.To-Zeroのメークアップには実に
多数の専門会社と職人技によって施されているということなのです!!

その表面仕上げの美しさを何とかお伝えしようと私が撮影した写真が下記です。
https://www.dynamicaudio.jp/s/yas_2018.09.03.jpg
https://www.dynamicaudio.jp/s/yas_2018.09.05.jpg
https://www.dynamicaudio.jp/s/yas_2018.09.06.jpg

ガラスフレーク塗装の特徴である見る角度によって輝き方が変わるということは
次の吉崎さん撮影の動画の方が分かりやすいと思います。
https://youtu.be/0OoHFEvuSb4
https://youtu.be/ydObl4pF-D0

今回は第三章ということで吉崎さんに多数の質問をして回答頂いた情報をまとめて
来ましので、いったん区切りをつけることにしますが…、しかし!

Ta.Qu.To-ZeroのHidden Storyはこの先も続きそうです。というのは懇意にしている
吉崎さんに新たな質問をすると即答で知らなかった情報が返ってくるからです。

私は下記の記事で次のように述べていました。
https://www.dynamicaudio.jp/5555-7F/news/1493.html

           -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

今回の試聴インプレッションはVol.1としましたが、私はTa.Qu.To-Zeroの音を語る
には最低でも二段階以上が必要であると考えています。

その第一段階では上記に述べたユニット構成によるTa.Qu.To-Zeroの特徴を、
先ずはオーケストラを中心としたクラシック音楽にて解説したいと考えています。

そして、次の記事ではTa.Qu.To-Zeroの価格と重量が、なぜここまで高い数値に
なってしまうのかということを材質と内部構造の詳細を説明することで皆様に
理解して頂き、その後に各種スタジオ録音による多様な楽音での再現性について
述べていこうと考えています。

なぜ試聴インプレッションを二段階に分けて述べることにするのか、それは私が
Ta.Qu.To-Zeroで試聴する課題曲の多様性に基づき、その個々の音質を造形する
スピーカーとしての総合的なこだわりの設計を知った後の方が皆様に説明しやすい
からに他なりません。

今後もTa.Qu.To-Zeroでの音楽体験は続きますので、聴くたびに驚きの発見が予想され、
私の文章量も多くなってしまう事をお許し頂ければと思います!

           -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

上記のTa.Qu.To-Zeroのハード的な解説がやっとこれで一段落しましたので、
これから各種スタジオ録音による様々な選曲で試聴を行っていこうと思っています!

そうすると聴いた上での分析と観察で新たな質問が頭に浮かびましたら、
また新しいTa.Qu.To-ZeroのHidden Storyをお届けできるものと思います!!
ぜひ続報にご期待下さい!!

それでは、新たなステージでTa.Qu.To-Zero試聴開始です!!

川又利明
担当:川又利明
TEL 03-3253-5555 FAX 03-3253-5556
kawamata@dynamicaudio.jp

お店の場所はココです。お気軽に遊びに来てください!


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