発行元 株式会社ダイナミックオーディオ
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H.A.L.担当 川又利明
    
2015年12月3日 No.1267
MSB Select Manufacturingの邦訳をご紹介します!!
この私が一番驚きました!!MSBのPVに私が出演してしまいました!!
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/1263.html

上記にてご紹介したMSB Select Manufacturingに関して下記の動画での
アナウンスの邦訳をアクシス株式会社が行ってくれました。
https://www.youtube.com/watch?v=CdQcLqvKu-I&feature=youtu.be
■このyoutubeの視聴回数は掲載してから三倍以上に増加しました!!

字幕スーパーとまでは行きませんが、同社の物作りの姿勢を少しでもご理解
頂ければと動画の進行に伴った日本語訳でお楽しみ頂ければと思います!!

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ようこそMSB ファクトリーへ。 私達はMSB Select DACを製造しています。
今日はMSBのフラッグシップモデル、Select DACIIのデザイン及び製造過程をご紹介します。
私達の工場は北カリフォルニアの、モントレーベイのすぐそばのサンタクルーズ
に位置しています。今日も素晴らしい天気です。それでは中へどうぞ!

Select DACIIは基本から全く新しいデザインです。従来のデザインと大きく
異なるのはハイブリッドDACモジュールで、それぞれのSelect DACに8個の
ハイブリッドDACモジュールを使用しています。

ワオ!
ハイブリッドDACモジュールの違いは何ですか。
また、その名前の意味は何でしょうか。

ハイブリッドモジュールは極めて低いノイズのDACです。
その為に私たちは新しい構造を開発しました。

それはネィテブのDSDとPCMオーディオの両方を最も効率的に変換する初めてのDACです。
持っている全ての能力を使い、DSDまたはPCMの変換プロセスを動的に再構成しているのです。

とても重大な進歩ということですね。
他社製品では全てをPCMで、または全てをDSDに変換していますが、ハイブリット
DACは、DAC自身が再構成して両方の信号を完璧に変換しています。
それでは、なぜ8個なのでしょうか。

8個のモジュールを1台のセレクトDACに使用しているだけでは無く、それぞれ
のモジュールは完全バランスデザインとなっています。

この意味は、セレクトDACでは各チャンネルに16個のDACを使用しているということです。 
MSB AnalogDACは2チャンネルで右に1個、左に1個使用しています。

Signature DAC は4チャンネルの完全バランスデザイン構成となっています。
Diamond DACは8チャンネルのDACを合わせることでノイズの低減を計っています。
Select DACは16個のDACを出力に合わせ使うことで、出力を写実的にドライブ
するのみならず、出力バッファーをも必要としません。

言い換えれば、その出力回路が、ノイズ、デストーションや位相歪無しに
アンプへの直接出力を備えた初めてのDACです。

ワオ!
それは劇的な進歩です。
今まで使っていたプリアンプを無くすことは、どんな利点があるのですか?

外部接続されるプリアンプは、16チャンネルDACにより得られるパフォーマンス
に影響をもたらします。そのために、内部にプリアンプ機能を組み込み、アナログ
インプットを持つ完璧なものとしました。

Select DACはオーディオでは使われたことのない、パッシブ回路でコンスタント・
インピーダンス・ボリューム技術が使われています。この事により、DACは
外部のプリアンプによるマイナスの影響なしに、全てのボリュームレベルで
完璧にパワーアンプとマッチングすることを可能にするのです。

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多くの新しい技術がエレクトリックデザインに導入されているのですね。
次はメカニカルデザインを見てみましょう。

Select DACのアイデァは基本のミーティングをするところからから始まりました。
今日あなたがご覧になるものは、MSB製品のハードウェアデザインを担当する
私の制作したものです。

最初に基本的なCADドローイングコンセプトから始まり、そしてその過程に
おいてエレクトリックデザインチームと共に沢山のデザインを持ち寄り協議
しましたが、満足のいくものではありませんでした。このプロジェクトで最も
大切なことは妥協しないことです。この信念は製品の微細な部分に現れています。 

ユーザーインターフェイスは、フラストレーションをなくすために単純化されており、
見やすくてきれいで大きなデスプレーによるシンプルで使いやすいコントロールを実現しました。

このデスプレーは全く新しい構造を持ち、MSBの社内で生産しています。
オーディオクロックを使用し、2200個のデスクリート・ディスプレーをオーディオ
サンプリングの間に点灯させることで、オーディオシグナルに影響を与えません。

市場にある他のデスプレーとは違い、このデスプレーはノイズフリーです。
デスプレーを社内で生産することは、外装も完全に調和せることが出来、自分
たちの要求に合わせてデスプレーの色から外装の色も変えることが出来ます。

長年のデジタル製品デザインから、私たちはモジュール化することの大切さを学びました。
特に入力、出力そしてDAC技術においてそれはとても大切です。

Select DACの入力はCNCのアルミニュームシャーシで出来ています。
これらのモジュールは、取り付け、取り外しが手操作で出来、特別な工具を必要としません。

このことは、他の入力や出力への変更やアップグレードすることをとても容易にしています。
しかも使われていないモジュールはDAC により遮断され、電気的なノイズを
低減するスタンバイ状態に置かれます。これらのモジュール化は、Select DACが
将来に渡り使用可能な製品であることを証明しています。

Select DACの最も注目すべき点は、社内で生産される豪華で頑丈なアルミニュームシャーシです。
沢山の試作機と一年以上かけた改良の末、トップモデルに相応しい完璧なカーブを見つけました。

社内のマシンショップには、2台のアメリカHAAS製 CNCミリングマシーンが使われています。
私たちはCNCマシーン用コードにCOMソフトウエアーを使っています。

シャーシをカッティングする工程では60パウンドのアルミニウムを使用しています。
非常に細かい作りのシャーシの為、切削に20時間を要します。2台同時に動か
しても最初のロット50台のシャーシを造るのに約一か月間を要します。

削りだされたシャーシはその後、社内の仕上げ部門に送られます。
ここではCNCマシーン工程よりもさらに時間が掛けられ、全ての部品が手作業
により仕上げられます。この工程では最大の品質管理と検査が必要とされます。

また、この工程により製品にその命が吹き込まれます。最終のメタル生産工程
はアノダイジングです。ここでは最後の工程で特注色または通常色仕上げに
分けられ、そして更なる検査を施して生産ラインに戻されます。

私たちはレーザー・イングレーブマシーンを購入した時、果たして、それを
絶え間なく使うことが出来るかを心配しました。それが今では2台となり、
フルに使用しています。ケビンはイングレービングのマスターですが、ケビン、
ここでは何をしているのですか?

私たちのレーザー・イングレービングマシーンは常時動いています。
そして高精細のイングレービングは素晴らしいものが有ります。

今ここではSelect DACの底板にイングレービングを施しているところです。
そしてレザーを使い、取り付け金具やこのようなSelect DACのデスプレー部分
に使われる小さな部品も造ります。

これでメタル部分の制作は終わりですが、サーキットボードが有りません。
次の組み込み工程に行く前に重要なサーキットボードの生産工程に行きましょう。
ここがサーキットボードアッセンブリーの場所です。この工程がなぜそんなに
重要で、社内で行われることになったのかを教えてください。

多くのデジタル回路は、そのボードが動作してもしなくても一緒にサーキット
ボード部門に送られてきます。それらを完璧に動作するようにしなければなりません。

私たちの生産するデスクリート・ラダー型DACの場合、使われる抵抗は非常に
精密で、その抵抗値は取扱いに大変敏感です。温度、半田等すべての管理が
DACの性能に影響を及ぼし、製品の性能に影響します。

この為、過去には約半分を捨てていましたが、現在は90%を利用することが
出来、しかもその平均性能値を上げることが出来ました。
性能が変化すれば音も変化してしまいます。非常にシンプルなことです。

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素晴らしい!
それでは実際の行程を見せてください。

私たちはまずプリント基板にソルダーペーストを塗ります。そのペーストが
パーツを支え組み立ての工程に入り、そしてプリンと基板がオーブンに入る
工程で接着剤成分が解けだし、パーツが基板に固定されます。

次の行程では基板が組立用マシーンに入ります。このユニバーサルマシーンは
作業速度が非常に速く、我々のような小規模の生産に必要とする速度以上の
組立速度を持っています。

スピードと共に素晴らしい性能、正確性を持っています。それぞれのパーツが
自動的にピックアップされ、カメラによりチェック後に、正確にボード上の
所定の位置に配置されます。

1時間に50,000箇所のパーツ配置が出来、1分間辺り240回のバルブ解放をして
パーツを配置します。出来あったボードは8区域のオーブンを通ります、やはり
ここでも温度管理をして抵抗値の性能を保ちます。

そして次の行程では、出来あってきた全てのボードのそれぞれの部品は正しい
位置に配置されているか、また半田の量は的確か等を100%検査します。
次に高性能な洗浄機により洗浄されます。

素晴らしい、次にアッセンブリーの工程を見てみましょう。
ティムは私たちの中で高い技術力を持つ技術者です。沢山のサブアッセンブリー
部品が造られ、最終アッセンブリー工程に入ります。ここでも品質が全てです。

手作業の組み立てですが、どのような形で品質を保つのですか?
品質を保持する為2つの事をします。

一つ目は作業手順を記したドキュメントです。いつも同じ人が組み立てている
訳ではないため、共通の作業手順書を用意することで同じ品質のものを作り
上げるのです。2つ目は、それぞれの行程に対してグループを作り、ひとつの
行程が終わったら次の行程のグループへ任せる、という方法です。
これらの手法により、エラーレート、ゼロを目指しています。

テストも非常に大事な工程です。

デイビットは我々が造る全ての製品をオーディオプレシジョン製計測器で測定
すると同時に、各ファンクションの動作テストも行います。

性能は全てのボリューム位置、全てのサンプルレート値、そして全ての入力で測定されます。
ここにある60ページのテストレポートはそれぞれのDACに対して造られます。

これにより全ての機能は正確に動作していることを確信していますが、最も
大切なことは素晴らしい音質が保たれている事です。

それぞれのDACはパワーサプライを接続、そしてオーダーされた入力を繋ぎ
実際の注文内容をインボイスにより確認しています。

最後に最終検査と梱包作業に入ります。

この工程はMSBにとって大事な仕事となります。なぜなら、ここで梱包した
状態を、製品を受け取ったお客様が箱を開けて最初に目にするからです。

最終検査はダニエルによって行われます。彼は出荷部門と協力し書類の確認を
すると同時に、全ての製品の仕上げ、色、全てのアクセサリーが梱包されてい
るか確認します。その後に出荷用インボイスを作成し顧客の承認を得てから
実際の出荷となります。

お楽しみいただけたでしょうか。このようにして製品は作り上げられるのです。
次はリスニングルームでお会いしましょう!

             -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

アクシス株式会社 代表取締役社長 室井利夫 様
http://www.axiss.co.jp/brand/msb-technology/msb-technology/

今回の私の依頼に対して、かくも丁寧かつ適切な翻訳をして頂きまして本当に
ありがとうございました。このように地道な作業を快くお引き受け頂き、多忙な
日々の中で実現して頂き感謝しております。

そして、このような私達に解りやすい解説をして頂けたという事は、御社が
ハイエンドオーディオにかける情熱の表れとして日本のユーザーに理解される
ものと考えております。これからも素晴らしい製品をご紹介頂ければ幸いです。

そして、私は製品の持ちえる能力と魅力を設計者が望みうる最高の状態で日本の
ユーザーに実演して行くことに最善を尽くしていきたいと思います。
本当にありがとうございました。


担当:川又利明
TEL 03-3253-5555 FAX 03-3253-5556
kawamata@dynamicaudio.jp

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