発行元 株式会社ダイナミックオーディオ
〒101-0021 東京都千代田区外神田3-1-18
ダイナ5555
TEL 03-3253-5555 FAX 03-3253-5556
H.A.L.担当 川又利明

No.1150 2014年10月5日
 「H.A.L.'s impression-壮大で緻密なESOTERIC Grandiosoを聴く-Vol.2」


■-H.A.L.'s Circle Review-2013.10.16-No.3160-より下記引用

さて、今月末に開催されるマラソン試聴会のプログラムは下記ですが…

http://www.dynamicaudio.jp/marathon/37/marathon37th.pdf

この中で私のステージで赤文字で表記してある未公開新製品があります。
Grandioso P1 D1 M1の三モデルですが、果たしてどこの国のブランドなのか!?

No.1077 2013年10月23日
「衝撃の新製品Grandiosoシリーズとはこれだ!!」
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/1077.html

No.1085 2013年12月2日
「遂にやってきました!!ESOTERIC Grandiosoは想像以上・期待以上!!」
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/1085.html

No.1088 2013年12月14日
「H.A.L.'s impression-壮大で緻密なESOTERIC Grandiosoを聴く-Vol.1」
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/1088.html

ESOTERIC  Grandioso P1 and D1というソースコンポーネントを中心に当時の
インプレッションを語ったものでしたが、この度Grandioso C1を加えて遂に
フルラインアップが完成しました!!

No.1121 2014年7月23日
「カタログやwebでも紹介されていないESOTERICの新技術とはこれだ!!」
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/1121.html
★Grandioso C1には上記スリットは施されていません。

2014年8月31日
No.1138 「ESOTERIC Grandioso C1を本日(8/30)より展示導入!!」
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/1138.html

この一ヶ月間というもの、じっくりとバーンインを進めてきましたが、遂に
その本領を発揮し始めたGrandiosoフルラインアップの実力と魅力を語りたく
なってきたというものです。

◇ H.A.L.'s Sound Recipe / ESOTERIC Grandioso inspection system ◇

………………………………………………………………………………
ESOTERIC G-01(税別¥1,350,000.)
http://www.esoteric.jp/products/esoteric/g01/index.html
     and
ESOTERIC 7N-PC9500MEXCEL(税別¥360,000.)
http://www.esoteric.jp/products/esoteric/7npc9500/index.html
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/1044.html
     and
TRANSPARENT PI8+ESOTERIC 7N-PC9500MEXCEL(税別¥815,000.)
http://www.axiss.co.jp/transparentlineup.html#POWER
     and
finite element Pagode Master Reference Rack/HD02+CERABASE 4P(税込み¥870,000.)
http://www.axiss.co.jp/brand/finite-elemente/finite-elemente/
………………………………………………………………………………
                ▽ ▽ ▽

ESOTERIC 7N-DA6100II BNC(Wordsync用)×3 (税別¥750,000.)
http://www.esoteric.jp/products/esoteric/7nda6300_6100_2/index.html

                ▽ ▽ ▽
………………………………………………………………………………
ESOTERIC  Grandioso P1 (税別¥2,500,000.)本体 ★E.M.G-board使用
http://www.esoteric.jp/products/esoteric/p1d1/index.html
     and
ESOTERIC  Grandioso P1 電源部
http://www.esoteric.jp/products/esoteric/p1d1/index.html
     and
ESOTERIC 7N-PC9500MEXCEL(税別¥360,000.)
http://www.esoteric.jp/products/esoteric/7npc9500/index.html
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/1044.html
     and
TRANSPARENT PI8+ESOTERIC 7N-PC9500MEXCEL(税別¥815,000.)
http://www.axiss.co.jp/transparentlineup.html#POWER
     and
finite element Pagode Master Reference Rack/HD02+CERABASE 4P(税込み¥870,000.)
http://www.axiss.co.jp/brand/finite-elemente/finite-elemente/
………………………………………………………………………………
                ▽ ▽ ▽

★Grandioso P1+D1の接続は付属:HDMI Cable
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/1083.html

                ▽ ▽ ▽
………………………………………………………………………………
ESOTERIC  Grandioso D1(税別¥2,500,000.)    ★E.M.G-board 二枚使用
http://www.esoteric.jp/products/esoteric/p1d1/index.html
     and
ESOTERIC 7N-PC9500MEXCEL(2本/税別¥720,000.)
http://www.esoteric.jp/products/esoteric/7npc9500/index.html
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/1044.html
     and
TRANSPARENT PI8+ESOTERIC 7N-PC9500MEXCEL(税別¥815,000.)
http://www.axiss.co.jp/transparentlineup.html#POWER
     and
finite element Pagode Master Reference Rack/HD02+CERABASE 4P(税込み¥870,000.)
http://www.axiss.co.jp/brand/finite-elemente/finite-elemente/
………………………………………………………………………………
                ▽ ▽ ▽
 
ESOTERIC 7N-DA6300II XLR 1.0m×2 (税別¥580,000.)
http://www.esoteric.jp/products/esoteric/7nda6300_6100_2/index.html

                ▽ ▽ ▽
………………………………………………………………………………
ESOTERIC  Grandioso C1 (税別¥2,500,000.)本体 ★E.M.G-board使用
http://www.esoteric.jp/products/esoteric/c1/index.html
     and
ESOTERIC 7N-PC9500MEXCEL(2本/税別¥720,000.)
http://www.esoteric.jp/products/esoteric/7npc9500/index.html
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/1044.html
     and
TRANSPARENT PI8+ESOTERIC 7N-PC9500MEXCEL(税別¥815,000.)
http://www.axiss.co.jp/transparentlineup.html#POWER
     and
finite element Pagode Master Reference Rack/HD02+CERABASE 4P(税込み¥870,000.)
http://www.axiss.co.jp/brand/finite-elemente/finite-elemente/
………………………………………………………………………………
                ▽ ▽ ▽
 
ESOTERIC 7N-A2500/XLR 7.0m(税別¥2,280,000.)
http://www.esoteric.jp/products/esoteric/7na2500/index.html
 
                ▽ ▽ ▽
………………………………………………………………………………
ESOTERIC  Grandioso M1(1Pair 税別¥2,800,000.) ★E.M.G-board 二枚使用
http://www.esoteric.jp/products/esoteric/m1/index.html
     and
ESOTERIC 7N-PC9500MEXCEL(2本/税別¥720,000.)
http://www.esoteric.jp/products/esoteric/7npc9500/index.html
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/1044.html
     and
finite element Pagode Master Reference HD10+CERABASE 4P(2台/税別¥720,000.)
http://www.axiss.co.jp/brand/finite-elemente/finite-elemente/
………………………………………………………………………………
                ▽ ▽ ▽

Zonotone 7NSP-Shupreme 1 / 2PairをBi-Wireにて使用
(2.0m/1Pair 税別¥220,000.)and(2.5m/1Pair 税別¥258,000.)
http://zonotone.co.jp/products/speaker-cbl.html

                ▽ ▽ ▽
………………………………………………………………………………
Technical Audio Devices TAD-R1MK2(1Pair 税別¥7,000,000.)
http://tad-labs.com/jp/consumer/reference_one/
………………………………………………………………………………

私はGrandioso C1に期待を寄せるものの、ESOTERICが成し遂げた最高レベルと
いう音質を実は下記のように既に感じとっていたものでした。

2013年2月14日
No.1007 【新発見⇒H.A.L.'s impression!!-ESOTERIC C-02の素晴らしさ!!】
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/1007.html

その実感は更に下記のようにプリアンプをDual-Monoで使う事で極みに達しました!!
この当時は、まだESOTERIC P-01+VUK-P01とD-01+VUK-D01だったわけです。

2013年3月9日
No.1015 【感動発見⇒H.A.L.'s impression!!-ESOTERIC C-02 Dual-Mono!!】
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/1015.html

従って、C-02 Dual-Monoの威力を身に沁みていた私としては、それ以上を望む
ということがGrandioso C1に求めるハードルであり、その両者対決の比較試聴
が8月某日に持ち込まれ実現しました。その時のエピソードなのですが…。

実は、セッティングして聴いた第一印象ではC-02 Dual-Monoの方が良かった!?
情報量、空間表現性、楽音の質感、など各項目でC-02 Dual-Monoが勝っていたのです。

これはいかんな〜、と一瞬思ったのですが、はたと気が付きました。

………………………………………………………………………………
ESOTERIC C-02×2 Dual-Mono(税別¥2,800,000.)■PAD  T.I.P 二枚使用
http://www.esoteric.jp/products/esoteric/c02/index.html
     and
ESOTERIC 7N-PC9500MEXCEL(2本/税別¥720,000.)
http://www.esoteric.jp/products/esoteric/7npc9500/index.html
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/1044.html
     and
TRANSPARENT PI8+ESOTERIC 7N-PC9500MEXCEL(税別¥815,000.)
http://www.axiss.co.jp/transparentlineup.html#POWER
………………………………………………………………………………

この↓写真の中央にESOTERIC C-02×2 Dual-Monoがあり、その下には黒い
ボードPAD  T.I.P(Total Isolation Platform)がセットされていました。
http://www.dynamicaudio.jp/file/2013.12.01.03.jpg

その上、C-02 Dual-Monoには7N-PC9500MEXCELも使用していたわけです。
このオーディオ的ドーピングが大変威力を発揮していたものであり、最初
セットしたGrandioso C1には一切このような援軍はなかったのです。

そこで私は早速C-02 Dual-Monoから上記の要素を取り外し、Grandioso C1にも
同じ7N-PC9500MEXCELを使用して同条件としたところが…!!

私の驚きと感動はここから始まり、そして納得した!!

             -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

あくまでも私見による分析だが、ピアノの録音は楽器の音像のあり方と定位感
によって大きく二つに分類できると考えている。

一つはホール、または教会などの残響が多い環境での録音。演奏空間の響きを
多分に含み、ピアノとの距離感が遠く感じられるもの。この場合には2ch再生
システムで聴くとピアノの鍵盤の配列による音階の違いは左右方向での定位感
を持たず、ステージの上で演奏されている状態を遠目に聴くような録音。

マウリツィオ・ポリーニやマルティン・シュタットフェルトの録音などは
最たるもので、ホールや教会の長い残響時間を意図的に利用し、臨場感を
高めた録音はピアノと演奏空間の両方の響きを殊更強調する趣がある。

正にピアノの楽音が空間を満たし、その響きの中にリスナーが埋没するかの
ごとく、スピーカーの前後左右と奥行き方向に広大な音場感を描くのが特徴。

また、ピアノ・コンチェルトでは大編成オーケストラの中において、ソロ楽器
としての扱いが大きめの音像として捉えられるが、音階によって鍵盤個々に
定位感を持たせるというよりは、距離感を持ってピアノの位置を示す程度に
留まり、音源であるピアノの弦は集合体としての音像として描かれる。

さて、それらに対してスタジオ録音のジャズやポップスにおけるピアノの録音は、
演奏者を正面から見た配置で左手の演奏する音階はスピーカーに向かって右側、
右手の高音階は向かって左側というふうに音階によってパンポットを用いる
ように鍵盤のキー一つ一つ、一音ずつに定位感があり、鍵盤そのものが大きく
左右に展開した録音が多い。

演奏者の指が跳ねるように高速で左右に移動するように聴こえる録音手法だ。
思い切ったグリッサンドでは左右にピアノの楽音が流れるように聴こえる。

また、ジャズのピアノトリオでも、ドラムとベースは左右に展開するが、
ピアノはセンターから左右に広がるように音階ごとに定位を変えながら聴こえる
ように録音されている。時折、ピアノ・コンチェルトも同様にオーケストラの
スケールに対比してステージ中央の一個の楽器というよりは大きめな音像で
展開し、同様に音階ごとに一音ずつに定位感がある場合も見受けられる。

しかし、スタジオ録音のピアノの楽音ではホールエコーではなく、スタジオ
ワークによってリヴァーヴが後から施されて、他の楽音との調和を図るのだが、
大きな空間で演奏されるピアノに対してマイクが接近し解像度のいい音質となる。

言い換えれば、打鍵の一音ずつが大変鮮明であり、リスナーの目前で演奏して
いるかのように、ピアノの響板と弦との両方のエネルギー感を間近に感じると
いう録音スタイルがある。

ひとつの楽器で録音センスによって上記のように大きな相違があり、ピアノ
との距離感をどのように演出するか、また再生装置としては両者の違いを
どれだけ正確に描き出すかということに関心が高まるものである。

金子三勇士/ショパン、リスト、ドビュッシー、バッハ作品集
http://www.esoteric.jp/products/esoteric/esso10001/index.html

金子三勇士のサイン入りディスクが手元にあり、興味深い試みの録音。
それは同じ演奏を異なるマイクで同時収録し、1から8トラックがノイマン
M-50C(客席側)、9〜16トラックがノイマンM-150(ピアニスト側)という
ことで、両マイクが捉えた同じ演奏による二種類の音質が楽しめるという事。

録音場所は東京・稲城市立iプラザホール。約400席ですが響きが良さそうです。
http://www.iplaza.inagi.tokyo.jp/guidance/hall.html
間口:15m/奥行:12m/舞台面積180u(音響反射板設置時の舞台面積:116u)

前述した録音スタイルの両方が一枚のディスクに収録されているという事で、
先ずは1トラックと9トラックのショパン:ポロネーズ第6番変イ長調Op.53
「英雄」を聴き比べていく事にした。

1トラックは客席最前列にマイクを配置した録音であり、上記では前者に当たる
演奏空間であり、多くのクラシック系ピアノの録音手法と同一というもの。
ちなみに、このディスクのCDレイヤーは全てがこのマイクで録音したもの。

左右スピーカーTAD-R1MK2の間隔は中心軸で4.2m、私の耳からは5.0mの距離と
して三点のトライアングルのサイズを設定。下記のように音質のためにディス
プレーを消灯しているGrandioso C1のボリュームは-24dBとしてスタート!!
http://www.dynamicaudio.jp/file/ESOTERIC_GrandiosoC1.jpg

「何なんだ!!この解像度の高さ、そして打鍵の瞬間に空間が見えるぞ!!」

マイクセッティングは江崎友淑氏の企業秘密とも言えるものなので推測しか
出来ないが、観客がいないセッション・レコーディングであり、ピアノと
マイクの距離は数メートルというところでしょう。

ポリーニやシュタットフェルトの録音で聴くピアノでは、打鍵の瞬間と響きが
早期に空気中で融合してしまうかのようで、響きの滞空時間の長さと空間の
大きさという印象が先行し、弦をハンマーが叩く瞬間の立ち上がりを鮮明に
描くという傾向は薄いものだった。ところが…

フルGrandiosoシステムで鳴らすTAD-R1MK2では叩かれた瞬間に弦の振幅が目視
できるような解像度が素晴らしい!!こんなピアノは初めてかもしれない!!

金子三勇士/ショパン、リスト、ドビュッシー、作品集
http://www.esoteric.jp/products/esoteric/esso10000/index.html

私は既に上記の金子三勇士によるESOTERICの同シリーズ第一作も聴いているの
ですが、これほどの解像度と響きの美しさは記憶にない。いや、正確に言えば
フルGrandiosoシステムで聴いていなかったという事だろう。

ここで私は過去のピアノ録音で経験した事のない発見をする!!

それはピアノの響板によって発生しているであろうと思われる。
ステージと客席側という距離感は感じられるのだが、左手の強烈な打鍵の瞬間
では、ステージの左右壁面からの一次反射音が感じられるのだ!!これは…!?

低い音階の音波は波長が長く回析効果があるので響板に影響されずに直ちに
拡散し、ステージの両翼にある反射物をフラッシュライトのように瞬間的に
浮かび上がらせる。それが壁の存在だった!!

柱状拡散体、ANKHを配置した壁面で音波を反射する瞬間を見せてくれるという
前例のない体験が私を興奮させる!!下記のANKH設置状況も見て欲しい!!

2014年8月20日 (水)
「ANKHを使用してレコーディングした金子三勇士さんの新譜が発売されました」
http://acoustical-updates.cocolog-nifty.com/

左手の強打の瞬間にだけステージ左右の壁の存在が感じられる。そして、右手の
中・高音階では響板に反射したものが客席側に向かってくるのか、ステージの
真ん中にピアノが位置しているという定位感をしっかりと見せてくれる!!

金子三勇士の指が舞うように躍動する度に、奥行き方向に距離感を発生させ、
弱音の演奏個所ではきちんと音像を再現し、強打した演奏ではANKHによって
整理された反射音が高い天井に向かって響きを舞い上げていく快感が凄い!!

ステージ中央では響板に反射する中・高音階の楽音が演奏者の存在感を高め、
低音階の強打ではホールを瞬間的に照らし出し空間の大きさを提示する。
こんなピアノは本当に初めてだった!!

Grandioso C1とM1の連携によってTAD-R1MK2が発する全帯域をここまで高速に
コントロールしているからこそ可能な瞬発力と制動力の威力がここにある!!
こんなピアノは本当に初めてだった!!

             -*-*-*-*-*-*-*-*-*-

閉店後の居残りをしているのは私一人。その代わり電話や来客で邪魔者(失礼)
が入る事もなく、試聴室とデスクの往復を繰り返しているという私の仕事。

さあ、ボリュームは同じくして9トラックで同じポロネーズをスタートさせる。
前述のピアノ録音の二つの手法では後者になるマイクセッティング。

資料写真にも見られるように二本のマイクは金子三勇士の右斜め上という
位置でセットされているのが分かる。さあ、どうか…!?

「何なんだ!!この低音弦の重厚さと迫力、そして新たな定位感が見えるぞ!!」

冒頭の打音で先ず驚くのがピアノが発する低域成分のエネルギー感の物凄さ!!
しかし、これは膨らんだ低音ではなく、見事にブレーキがかかり、打鍵の
新陳代謝が正確に聴き取れる素晴らしさ!!こんな澄んだピアノの音があったのか?

その証拠に金子三勇士の指先が鍵盤にタッチする瞬間に爪が接する「カリカリ」
という音までもしっかりと録音されている。正に眼前で弾かれるピアノだ。

しかし、前述の後者で述べたスタジオ録音のように鍵盤が左右スピーカーの
間に横たわるという定位感が感じられない。ステレオブームに吊り下げた二本
のマイクの間隔を広げて、鍵盤の並行に配置すれば音階の上下動によって一打
一打の楽音が左右に広がって展開するというものだろう。

しかし、そのようなスタジオ録音で一音ごとにスポットの定位感を与えると
いう単純な展開ではない!!

これを聴いてから資料写真を見て私はまた新たな発見をする!!

鍵盤に対して右斜め上からほぼ45度の角度で二本のマイクをセットしている。
これが敏感な再生システムではどのように聴こえるのか、それが新たな発見!!

右手の中・高音階の楽音は見事にセンター定位として確認出来るのだが、まず
その解像度の素晴らしさが先行する。水平方向に分離して鍵盤のキーの存在感
を横並びに表現するのではない。この技法には正直に言って驚かされた!!

右手の演奏で音階が高くなるとセンター定位の中で縦軸での定位を追加するのだ。
垂直方向に中・高音階の打鍵が分離して一音ずつに克明な質感を与えている。

これが絶妙な分解能を示すので、指一本ずつの動きが感じられると言っても
過言ではない程に気持ち良くほぐれた打鍵の一粒を空間で独立させている!!

しかし、驚くのはまだ早かった!!

上記のように低音階の和音を強烈に叩くと、その瞬間には低音階の楽音が左右
スピーカーの両翼まで広がり、圧倒的なエネルギー感を軽く提示してしまう!!

1トラックでは左手の演奏がホールの空間サイズをイメージさせたが、今回は
不思議な現象をGrandioso C1とM1のコンビが私に示してくれたのだ!!

それは、最低音部ではない左手の演奏での定位感だ。鍵盤の左寄りくらいとしか
私には表現出来ないが、中低音部と言える音階を演奏するとセンター定位の
右手が奏でる楽音に寄り添うような音像を示す。

つまり、右手の高音階の楽音を中心として、それを取り巻くように同心円を
描きながら、低音階に移行するに従って外周部に左手の演奏が広がっていくと
いう正に三次元的な展開を見せるのである!!

私は背筋にぞくっとする感触を引きずりながらデスクに戻ってきた。
こんなピアノは初めてだ!!

鍵盤に対して並行にマイクをセットして水平方向に音階ごとの定位感を施し、
左右スピーカーの間に白鍵と黒鍵を並べていこうとするのではない。

中心点には右手の主題をくっきりと再現し、それを同心円状に音階が低くなる
につれて周辺に拡大していく、つまり右手を左手の楽音が包み込むような
ピアノは私にとって初めての体験。これには驚き感動し、私はキーボードに
打ち込む言葉をしばし黙考していたのが本音というところ。素晴らしい!!

従って、金子三勇士の解釈によるショパンの演奏は、まるで呼吸するがごとく
の音像の収縮と膨張を繰り返し、克明な一点を忠実に描くという繊細さと、
大胆な低音階の打鍵によって広がっていく響きのレイヤーの重厚さという
相反するような描写力が素晴らしい!!それを支えているものは何か!?

Grandioso P1とD1による圧倒的な情報量を受けて、Grandioso C1とM1による
広帯域なスピーカーコントロールの賜物としか言いようがない!!

円錐形の頂点の鋭いピンポイントの再現性、その円錐の底部に広がる重厚さを
切れ味よく描き出す雄大さとの共存。これは日本人による発想と緻密な設計と
ひたすらな情熱があってこそのシステム構成に他ならないだろう。

今夜の感動をいかにして皆様に伝えるか!? 言葉の無力を感じながら、こんな
日本製品の素晴らしさが、壮大で緻密なESOTERIC Grandiosoをイメージして
頂くには最適かと、次のビジュアルを見て頂くことで締めくくりたい。

■Custom Namiki Falcon Resin Fountain Pen HD
https://www.youtube.com/watch?v=pRebkWHsHC0

私は初めて万年筆を手に取った時、これは限りなく細い線を書くものだと思った。
ペン先を曲げてしまっては壊れてしまうものだと思っていました。もちろん、
何十年前の私が手にした安物の万年筆ではそう思えたわけです。

しかし、こんな書き方、使い方があり、文字を書くのではなく描くものとして、
一流の万年筆とはこういうものなのかと驚いたものでした。

壮大な色を紙に乗せ、緻密な線を描き出す。その意に共通するものとは、壮大
な音場感を可能にし、緻密な音像を提示するESOTERIC Grandiosoではなかろうかと!!

音楽を絵画として聴かせるGrandioso、それが私の結論でした!!


担当:川又利明
TEL 03-3253-5555 FAX 03-3253-5556
kawamata@dynamicaudio.jp

お店の場所はココです。お気軽に遊びに来てください!!


戻る