発行元 株式会社ダイナミックオーディオ 〒101-0021 東京都千代田区外神田3-1-18 ダイナ5555 TEL 03-3253-5555 FAX 03-3253-5556 H.A.L.担当 川又利明 |
No.1064 2013年8月31日 「H.A.L.'s impression!!-Voxativ Ampeggio Signatureの魅力とは!!」 このブランドの存在を知らされたのは何か月前のことだったろうか…。 webサイトを見て製品の概要を知るが、フルレンジユニット搭載のスピーカーと いうのを見て果たしていかなるものか…と半信半疑というのが実感だった。 フルレンジユニット一発だけというスピーカーで知名度を高めているブランド もあるようだが、実際に聴いてみて私が納得できる音質のものは中々なかった、 と言うよりは感動できる音質のものに未だ巡り合った事はなかった。 フルレンジユニットのデメリットは何だろうか? 先ずは再生周波数帯域が狭い。 これは2ウェイ以上のマルチウェイ・スピーカーと比較してのことだが、高域 低域両方向のレンジがどうしても狭くなってしまうのは致し方ないだろう。 次に分割共振による歪率の悪化。これは再生音量が大きくなり振動板の振幅が 大きくなれば歪感も増加してくるが、音量を抑えたとしても高域レスポンスは 聴感上では低下するのでレンジ感同様に限界があり、同時に指向特性も狭い。 ではメリットはというと…。クロスオーバーネットワークを必要としないので L.C.Rといった素子をオーディオ信号が通過することで起きる情報量の減少や 位相回転がなく受動素子による電気的変調がないということ。 次に単一音源・点音源なのでステレオ再生における音像の定位感が良く、楽音 の再生において振動板は一つなのでつながりの良い自然な音質が得られる。 今までに聴いたフルレンジユニットだけの再生音では先ず最初に再生周波数 帯域が狭いことが気になり満足できるものはなかったというのが本音のところ。 では、発想を逆転してフルレンジドライバーで十分に広い再生周波数特性を 持っていたとしたらどうなるだろう!? クロスオーバーネットワークの影響もなくパワーアンプと正にダイレクトに 接続されることの魅力、位相変調もなく定位感も素晴らしいメリットだけが 残されたスピーカーが出来たとしたら…。 Voxativが先ず開発したのはネオジウムマグネットを採用して磁気回路を強化し、 緻密な設計と製造によるエアーギャップとダブルコーンによって高域特性を 20KHzまで確保したオリジナルユニットAC-3xフルレンジドライバーだった。 それをアコースティック・ステルス・テクノロジーと称する独自のエンクロー ジャーに納めたAmpeggio Signatureとして製品化した。このエンクロージャー は折り曲げホーンを内蔵しておりバックロードホーンを構成しているが、日本 のオーディオ誌でレクタンギュラー型と表記していたが、いささか外形からは 長方形で直角で…という形状とは違うものになっていると思われた。 バックロードホーンには違いないのだが、これだったらConstant Width(CW) ホーンという方が近いのではないかと思われた。AC-3xの裸特性では再生周波数 帯域は20Hz-20KHzとされているが、このサイズのCW型バックロードホーンの 全長は恐らく1.5mから1.8mくらいと推測される。そうすればホーンロードが かかる帯域は大よそ50Hzから150Hzくらいの想定となり、システムとしては 38Hz-20KHzという低域再生を可能とした。 全くの推測だが、横幅が均一なCWホーンの全長がそのくらいとすれば低域側の カットオフ周波数は25Hzから30Hzくらいだろうか。 つまりはAC-3xが前方へ放射する音圧と同じ周波数帯域はCW型バックロード ホーンによって低域側にエクステンションされて、ざっくり言って150Hzから 38Hzの帯域がバックロードホーンから再生され、それよりも高い周波数になる に従って減衰していくという事になる。 そして、今後述べる音質的な特徴で大きな影響力を持っているのがフルレンジ ドライバーAC-3xの後方に当たるエンクロージャー内部に吸音材が仕込まれて いるということ。 そして、ユニットの背圧(後方へ放射される音波)は吸音材によって高域成分だけ が減衰させられ、低域だけがバックロードホーンに導かれるわけだが、ユニット の振動板の挙動としては中高域はまったくの後方開放型であり、振動板のピス トンモーションを抑制する要素が全くないという事だ。 すなわち、Ampeggio Signatureは搭載ドライバーAC-3xの優れた広帯域再生に CW型バックロードホーンによる低域再生の重量感を加え、しかも振動板の高速 反応を特徴として加えたという古い方式に新しい技術を加味したスピーカー システムと言える。これらを自信を持って述べられるのは何をさておき、事実 としてここで私が鳴らした音が各項目を証明してくれたからに他ならない。 そのシステム構成とはこれだ。 ◇ H.A.L.'s Sound Recipe / Voxativ Ampeggio Signature-inspection system ◇ ……………………………………………………………………………… ESOTERIC G-01(税別\1,350,000.)★10MHz出力にて使用 http://www.esoteric.jp/products/esoteric/g01/index.html and ESOTERIC 7N-PC9500MEXCEL(税別\360,000.)+TRANSPARENT PI8(税別\455,000.) http://www.esoteric.jp/products/esoteric/7npc9500/index.html http://www.axiss.co.jp/transparentlineup.html#POWER and finite element Pagode Master Reference Rack/HD02+CERABASE 4P(税込み\870,000.) http://www.axiss.co.jp/fFE.html ……………………………………………………………………………… ▽ ▽ ▽ ESOTERIC 7N-DA6100II BNC(Wordsync用)×3 (税別\750,000.) http://www.esoteric.jp/products/esoteric/7nda6300_6100_2/index.html ▽ ▽ ▽ ……………………………………………………………………………… ESOTERIC P-01+VUK-P01(税別\2,500,000.) http://www.esoteric.jp/products/esoteric/p01/ and ESOTERIC 7N-PC9500MEXCEL(税別\360,000.)+TRANSPARENT PI8(税別\455,000.) http://www.esoteric.jp/products/esoteric/7npc9500/index.html http://www.axiss.co.jp/transparentlineup.html#POWER and finite element Pagode Master Reference Rack/HD02+CERABASE 4P(税込み\870,000.) http://www.axiss.co.jp/fFE.html ……………………………………………………………………………… ▽ ▽ ▽ ESOTERIC 7N-DA6300II XLR 1.0m×2 (税別\580,000.) http://www.esoteric.jp/products/esoteric/7nda6300_6100_2/index.html ▽ ▽ ▽ ……………………………………………………………………………… ESOTERIC D-01+VUK-D01(税別\2,500,000.) http://www.esoteric.jp/products/esoteric/d01/ and ESOTERIC 7N-PC9500MEXCEL×2(税別\720,000.)+TRANSPARENT PI8(税別\455,000.) http://www.esoteric.jp/products/esoteric/7npc9500/index.html http://www.axiss.co.jp/transparentlineup.html#POWER and finite element Pagode Master Reference Rack/HD02+CERABASE 4P(税込み\870,000.) http://www.axiss.co.jp/fFE.html ……………………………………………………………………………… ▽ ▽ ▽ EINSTEIN The FLASH Balanced Interconnect Cable 1.0m (税別\350,000.) http://stella-inc.com/03einstein/page/TheFlash.pdf ▽ ▽ ▽ ……………………………………………………………………………… EINSTEIN The Preamp(税別\2,480,000) http://stella-inc.com/03einstein/page/ThePreamp.pdf and TRANSPARENT PLMM2X×2(税別\480,000.)+TRANSPARENT PI8(税別\455,000.) http://www.axiss.co.jp/transparentlineup.html#POWER and finite element Pagode Master Reference Rack/HD02+CERABASE 4P(税込み\870,000.) http://www.axiss.co.jp/fFE.html ……………………………………………………………………………… ▽ ▽ ▽ ESOTERIC 7N-A2500/XLR 7.0m(税別\2,280,000.) http://www.esoteric.jp/products/esoteric/7na2500/index.html ▽ ▽ ▽ ……………………………………………………………………………… EINSTEIN The Final Cut MK70 Limited(1Pair 税別\4,000,000) http://stella-inc.com/z_information/inf.cgi?mode=detail&sel=0 http://stella-inc.com/news/pdf/TheFinalCutLimited.pdf and TRANSPARENT PLMM2X×2(税別\480,000.) http://www.axiss.co.jp/transparentlineup.html#POWER ……………………………………………………………………………… ▽ ▽ ▽ ZenSati Seraphim / Speaker cable 3.5m (1Pair 税別\3,696,000.) http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/brn/960.html ▽ ▽ ▽ ……………………………………………………………………………… Voxativ Ampeggio Signature(1Pair 税別\3,900,000.) http://www.ark-co.jp/audio/news/201306voxativ.pdf http://www.voxativ.com/ ……………………………………………………………………………… EINSTEIN The Final Cut MK70 Limitedに搭載された出力管6C33をOTL構成で まとめているが、数ある真空管の中でも6C33の内部インピーダンスが低い方で あるということで、この三極管を使ってシングルアンプを設計すると負荷イン ピーダンスを600オームと想定して10Wから20Wくらいの出力というのがアマチュア レベルの常識らしい。 一般的なソリッドステートのパワーアンプでは負荷抵抗が低くなると出力は 大きくなるのに、OTL構成のThe Final Cut MK70 Limitedは全く逆。スピーカー のインピーダンスが大きい程取り出せるパワーも大きくなることに注目。 それをEINSTEINの技術力でOTLにも関わらず8オームで70Wを可能とし、更に ダンピングファクターも90と低く設定され、近代のパワーアンプの中では このAmpeggio Signatureを鳴らすには全くもってふさわしい相性と言える。 パワーアンプの出力インピーダンスが数オームと極めて低いことが近代の スピーカーを鳴らす条件とされてきた事に大きく反するようだが、この真空管 の出力とスピーカーユニットのボイスコイルが直結されるというのは大変素晴 らしい事であり、クロスオーバーネットワークを必要としないフルレンジドラ イバーの可能性を改めて知らしめてくれることになった!! -*-*-*-*-*-*-*-*-*- Voxativ Ampeggio Signatureの特徴を私なりにざっくりと技術的に説明した 上記の語り口はこの辺でおしまい。この後は楽しく興奮しつつ楽しみました!! 私の仕事柄というか私の悪癖で気になった音があると毎日のように同じ曲を 聴き続け、その演奏内容で音質を分析しようとしてしまう。その結果、仕事が 終わっても朝起きても日々聴いている音楽が頭の中でリピート再生されている。 そんなディスクがこれです。Martin Grubinger - Drums 'n' Chant http://www.deutschegrammophon.com/html/special/grubinger-drumsnchant/ http://www.youtube.com/watch?v=v9kuxJYLsuA 関係リンク http://www.martingrubinger.com/ http://www.universal-music.co.jp/martin-grubinger グレゴリオ聖歌に関しては下記をご覧下さい。 http://goo.gl/DKuM ミュンスターシュヴァルツァハ大修道院の聖歌隊が歌ったグレゴリオ聖歌を 1981年にドイツ・グラモフォンが録音し、アルヒーフ・レーベルで発売された。 その音源にMartin Grubingerが率いるパーカッションを中心としたアーチスト の演奏を多重録音して重ね、対極的な音楽を見事に融合したアルバム。 オーディオ的にも興味深いチェックポイントがあり、今回の試聴に使用してから 今後も私の課題曲のひとつとして多用することになると思われるディスクです。 1 イントロイトゥス:「見よ、支配者たる主が」 このアルバムの主旨と性格を最も象徴するのが冒頭のこのトラック。大口径の ドラムの重厚な低域が最初に叩き出されますが、Ampeggio Signatureの低域 再生能力の素晴らしさが大きなH.A.L.試聴室の空気を揺さぶります!! この低域が本当に20センチ・フルレンジ一発だけで再生しているのかと驚き、 立ち上がりの鋭い打音からバックロードホーンを通じて重量感を伴いつつ、 軽やかに拡散していく低域は爽快そのものであり、音量を上げると試聴室の 天井にある照明器具が振動する程のエネルギー感を叩き出します!! 「おいおい、本当にこれが20センチユニットの低音なのか!?」 その後に続くティンパニーのテンションの高まり、スネアドラムの切れ味の いい連打、Martin Grubingerのビブラホンの独特の旋律が始まったと同時に 聖歌隊の単旋律の歌声が荘厳に響き渡ります。 指向性が良くないと思っていたフルレンジドライバーが何と深みのある声楽を こんなにも大きな空間表現で聴かせるとは驚きです!!アナログマスターなのか、 聖歌隊の歌声があるパートでは録音のS/N比が低下してうっすらとテープヒス が聴こえるのですが、こんなにも遠近感と響きの奥行き感をともなって聴く 男声合唱の素晴らしさに息を飲む思いです。 Martin Grubingerはグレゴリオ聖歌のラテン語のテキストを研究し、単旋律で あるがゆえに音楽的装飾とハーモニーの手掛かりが一切ない聖歌に対して、 パーカッションの演奏をどのように並列させるのかに苦心したとライナー ノーツにあるが、神秘的な聖歌の流れに沿って多種多様な打楽器が奏でる様は 素晴らしい調和を聴かせる。 5分間の聖歌に合わせるための録音は16時間もかかった演奏の中から抽出して オーバーダビングしたという本作品は、峻烈な打撃音と大聖堂に響く聖歌隊の 見事なコラボレーションとしてVoxativ Ampeggio Signatureの特徴を引き出している。 2 イントロイトゥス:「主は私に言われた」 この曲では何と意外なエレキベースがグレゴリオ聖歌とマッチングされている。 単旋律でハーモニーをもたない聖歌なので伴奏とは言い難いが、ベーシストの 感性が絶妙にグレゴリオ聖歌の土台を支えるように展開し、恐らくはジャンべ の一種ではないかと思われる打楽器の二拍の合間を縫って「カツーン!」という 鋭い打音が長い余韻を引いて展開する。 オーケストラの楽員程の数と種類を集めたらしいパーカッションの多様さは 私の知識の及ばない様々な楽音を聴かせてくれるが、前曲の膨大に広がる低音 の打楽器の音とは全く対照的にエレキベースの音はAmpeggio Signatureの中央 にしっかりと根付いたように定位している。 古い方式に新しい技術を加味したスピーカーと述べましたが、パックロード ホーンというと膨らんだ低音をイメージするかもしれませんが、全くその心配 は要りません。Ampeggio Signatureは余韻を空間に広げるべき低音と音像の 輪郭をしっかりと描く低音とをきちんと鳴らし分けてくれます!!いいです!! 3 コンムニオ:「聖なる輝きの中で」 このアルバムで唯一のヴォーカルが入っているのがこの曲。しかも、トルコ人 の歌手と尺八のような音色のトルコの民族楽器の縦笛であるネイという楽器も 含まれている。イスラム神秘主義とグレゴリオ聖歌という宗教的ミスマッチを 音楽的ベストマッチとする試みをMartin Grubingerはこの曲に仕込んだ!! ドイツの田舎、ヴュルツブルクの東20キロ程のところにミュンスターシュヴァ ルツァハ大修道院は位置するが、ベルリンに設立されたVoxativが作り出した スピーカーを東京で演奏するという取り合わせの妙。トルコ人の女性を妻に したMartin Grubingerは西欧の聖歌と東欧の文化を融合させる音楽を作った。 その一曲「聖なる輝きの中で」をドイツ製のスピーカーとアンプ、そして日本 のSACD/CDプレーヤーで鳴らし、ここ東京で新しい音を誕生させたのである!! 正確には分かりませんがトルコ人歌手はハッキ・オピナーと発音するのだろうか? テノールの音域と思われるヴォーカルがセンターにびしっと定位する。 しばらくすると寄り添うように縦笛ネイがわずか左寄りに登場します。 しかし、ここで聴くAmpeggio Signatureの点音源による再生音の定位感が 本当に素晴らしいことに驚かされます。いいですね〜これは!! この曲はパーカッションの伴奏はタブラと思われる打楽器と、最後に小さな 金物での鳴り物が入るだけ。後は縦笛ネイだけというシンプルなもの。 編成が小さい録音だと楽音の数も少なく各個の定位感の素晴らしさが見事に 認識されるのです。フルレンジドライバーで広帯域であれば理想的…、そんな 期待感をこともなげに実現してくれたAmpeggio Signatureの音は前例なしです。 私は音場感の再現性にこだわり、空中に浮かぶヴォーカルが大好きなのですが、 Voxativが聴かせる人間の声には何も文句のつけようがありません。 しかし、トルコ人歌手がセンター定位でイスラム教のモスクで歌われるような 伸びやかで見事な声楽を聴いていると、どこでグレゴリオ聖歌と関連があるの だろうかと不思議に思っていると…!? いやはや、驚きました!!ハッキ・オピナーの声は左右スピーカーの点音源を 結ぶ距離感で歌っているのですが、そのずっと後方に聖歌隊が登場します。 遠近法の消失点がAmpeggio Signatureのずっと後ろに拡大され、奥深い位置 からグレゴリオ聖歌が響き渡りますが、フルレンジ一発のスピーカーなのに こんな音像が立つ位置関係で耳で感じる被写界深度を表現しようとは!! 私の常識では音場型スピーカーはB&W Nautilusに代表されるようにエンクロー ジャーデザインで球面波再生を目指す要素がなければいけない。平面バッフル の存在は音場感を阻害するものと思っていたのに、これはどうしたことか!! 音場感を再現するスピーカーの一例として下記の「VIVID AUDIO K-1」の随筆を ご覧頂けると参考になると思います。お時間があったらどうぞ。 http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/7f/oto/oto55.html 20センチ・フルレンジドライバーAC-3xの周辺には幅44センチ高さ70センチと いうフロントバッフルが存在しており、しかも指向性が広くない特徴もあると いうのに、どうしてこんな奥行き感と音場感を発することが出来るのか? AC-3xのコーン中央にあるフェイズプラグも一因だと思うのですが、ユニット 後方を完全な解放型としていることで振動板の微小な動きを可能にしていること。 それは同時に101dBという高能率にも支えられ、楽音の響き余韻感を司る微小 信号にスピーカーユニットが反応し追随していることだと思いしました。 スピーカーの外形デザインだけではない音場感の構成要素の新発見です!! 4 キリエ 第14番 通奏低音の静かな響きの中で教会の鐘のような音が遠くに小さく響くイントロ。 そこに突然右チャンネルからカウベルの鮮明な打音、続いてコンガ、ボンゴ、 シャンベなどなどアフリカのパーカッションが次々に登場します。 ハイテンポの高速演奏でアフリカのリズム感に乗って躍動するパーカッション。 しかし、大小様々な打楽器の音像と定位感の素晴らしさに目を見はります!! 左右AC-3xユニットのフェイズプラグに糸を取り付けてピンと張ったとしましょう。 その糸に色違いのLEDを50個ほどからませて、それを光らせるスイッチを50個 ほど用意してピアノの鍵盤よろしく目の前に置いたとしましょう。 それをパーカッショニストにお任せして高速連打してもらったらLEDの点滅が 一直線に並んで、くっきりと見えるような素晴らしい定位感と音像なのです。 その音を表す光の向こう側にすーと引き込まれるような奥深さで聖歌隊の歌声 が浮き上がって来るのです。弾けるような眼前の激しいパーカッションと対照的な ミュンスターシュヴァルツァハ大修道院のカテドラルの巨大な空間イメージを 見事に両立するAmpeggio Signatureで皆様はどんな曲を聴きたいだろうか!? 収録トラックの全てにコメントしたいものの長くなってしまうので抜粋を。 6 アニュス・デイ 第14番 イントロでカリンバの透き通った楽音が印象的な一曲。ベルリン・フィルの 主席オーボエ奏者であるアルブレヒト・マイヤーの演奏が素晴らしい余韻を 残しながら瞬発力あるパーカッションと相まって聖歌隊の歌声と広大な空間に 同居するという魅力的な一曲。これは推薦致します!! 10 オッフェルトリウム:「神は喜びの叫びのなかを」 フェンダーローズのソロで始まり、グレゴリオ聖歌が背後に浮かびあがる。 フリューゲルホーンのたなびくような音色がセンターにくっきりと浮かび、 ドラムセットのキックが乾いた低音を叩き出す。 ハイハットの細かい刻みにマイク・マイニエリを彷彿とさせるビブラホンが 登場し、鮮明なリズムセクションはポップでモダンな演奏を展開する。 グレゴリオ聖歌と同じ旋律をトランペットが奏でるフレーズでは思わず鳥肌が 立つような前例のない感動が背筋を這いあがってきました!! 気が付けば大分長文になってしまいました。感動の大きさは文章量に比例する。 その悪癖を野放図にしていくときりがありません。 私はVoxativ Ampeggio Signatureを聴きはじめて弦楽器の美しさを最初に感じ ましたが、パーカッションという瞬間的な音圧を発生し、その後に余韻感を 残すという楽音に大変魅力を感じてしまいました。 それは打楽器というのは倍音が多分に含まれている音であり、それらの再生を マルチウェイスピーカーで行った時には、文字通りウーファーとミッドレンジ、 そしてトゥイーターというユニットが同時に一つの打音を再生するものです。 想像してお分かりのように、トゥイーター振動板の後方にある極めて小さい 空間、ミッドレンジドライバー後方の数リットルという容積のキャビティー、 ウーファーの低域再生をサポートするためのエンクロージャー容積の大きさ。 これらのどれを取ってみても根本的な音源である振動板の後方にある空間の 環境が全て違います。大小の差こそあれ、バックキャビティーの内部環境の 違いによってスピーカーユニットの発する再生音には特徴が発生します。 バイワイヤリング接続のスピーカーで中高域の配線を外してウーファーだけを 鳴らした時に、くぐもったヴォーカルが聴こえてくるスピーカーは沢山あります。 このように再生音は広い周波数にまたがっているものであり、マルチウェイ スピーカーの各々のユニットが再生する一つの楽音でも全ユニットが共同作業 で音を出しているものです。 その複数ユニットの背面環境が違っていて、パルシブな打楽器の音を一瞬の 音として再生する時には各ユニットの動作状態も各個に特徴を持たざるを得ない ものと推測しました。なぜならば… Voxativ Ampeggio Signatureが聴かせる一瞬の打音が実に素直で自然であり、 音量を上げて行っても音色は変わらずテンションを高めていくのみなのです。 このディスクに収録されている様々なパーカッションはもちろん他のスピーカー で何回も聴いてきましたが、このようにスピード感がありハイテンションで 弾けるような素晴らしい再生音は初めてでした。 それはAC-3xという単一音源の後方が解放されていることと、再生帯域の全て において同じ背面環境であるということで瞬間的な楽音を大振幅で鳴らしても 再生音の周波数分布に変化が起きないことが素晴らしいのだと思います!! 最初に述べたフルレンジユニットのデメリットがなくなったらどうなるか!? これは私でさえ経験したことのない音でした。そうそう、それともう一つ!! マルチウェイスピーカーで各ユニットの後方環境を完璧に統一した製品が ひとつだけあります。あのB&W Nautilusです。そこに共通項があるのです!! Voxativ Ampeggio Signature…、実に素晴らしいスピーカーが登場したものです!! H.A.L.で聴けるのはいつでしょうか、続報にご期待下さい!! |
担当:川又利明 |
TEL 03-3253-5555 FAX 03-3253-5556 kawamata@dynamicaudio.jp お店の場所はココです。お気軽に遊びに来てください!! |