《HAL's Monitor Report》


No.0138 - 2002/11/12

岐阜県岐阜市在住 K・S 様より

モニター製品 ESOTERIC P-70 D-70

現使用機器
Studer  A727
Wadia25
Mark Levinson 26L  23.5L
Thiel CS2.3

今回は、最新のトランスポート”P−70”のお盆モニターに応募致したので
すが、「セットでいかがですか?」と言う優しいお言葉に甘えてD−70も拝借
致してしまいした(^^ゞ

正直言うと現DACは、デザイン込みで気に入っているもので、D−70を借りて
しまうとヤバイかな? そんな予感は少し有りましたが・・・(溜息)

取りあえずP−70+現DACでの視聴です。
(電源を2日間入れた後、PADシステムエンハンサーをリピート)
予想以上に恐ろしく高解像度で、研ぎ澄まされています。ヴォーカルの口元は
今までより二まわり程小さく、やや奥の高い位置にビシッと定位して、横顔ま
で見える様です。

立体感が出て来ました。DIANA KRLL/LOVE SCENESは、現システムで聴くと
ヴォーカルの音像が大きすぎるのですが、P−70だと程良くなります。

細かい音までハッキリと聞き取れます。
さすがに10年も前のCDTとは情報量がまるで違いますね!

分離が良く、引き締まった為か、音場が広く感じ、オーケストラのスケールの
大きさには圧倒されました。低域もP−70の方が、かなり締まっていますが
量感が有り、分厚くて重いのに相当早いですね。

ウーンしかし・・・まだエージング不足の影響も有るでしょうが、人の声に
ついて言えば、少し堅い音で温度感も低め、10才ほど若く聞こえます。

ヴォーカルの表現力の幅も、現CDTの方が広く感じます。
粘っこく上下にうねる感じが好みなのです。

Pianoのタッチも大分違います。P−70は、少々鉄っぽい感じですが、
力強く、重く、男性的に響きます。余韻はあっさり系ですが、消え際は絶妙で、
きらめきながらいつの間にか消えて行きます。

高域はスピードが有り、ノンストレスに伸びていきます。
現CDTでは、トリュンと柔らかいタッチで艶っぽく響きます、高域は滑らか
に伸びて、余韻は妖しい雰囲気で漂っています。現CDTには、フレーズ間に
独特の”間”が有るのですが、P-70は立ち上がり下がりのスピードが早い
為か、淀み無く音楽が流れて非常に聞き易いです。

好みでしょうが、P−70は、スピーカーの間に人が立って”生声”で唄って
いる様です。現CDTでは、マイクを通して唄っている感じで、音像がでかい
です。綾戸智絵 が少々無理して低い声を絞り出している様にさえ聞こえます。

私の場合、ほとんどヴォーカルしか聴か無いせいでしょうか、ESOTERIC(VR
DS)の様な、正確でカッシリしたタイプのプレーヤーは、過去にも特別に好
ましい印象を受けた物は有りませんでした。今回もそうかな?と思いましたが、
次にD−70に繋いでみてそんな思いは一掃されました。

D−70=重いです。箱の中には、デュアルデジタルケーブルとWORD SYNC用の
BNCケーブルが同封されていましたので、P−70とデュアル(LR)
XLRデジタルで繋ぎ、WORD SYNCもセットして、P−70とD−70
を同期させ、いきなり最高の状態で視聴しました。

あ、らら・・・これはもう別次元ですね

綾戸智絵 natural 「1.ウーマン オブ アイルランド 」では、イントロが
始まった瞬間、未体験の静けさに緊張感が走ります。
地平線まで見える様な見通しの良さです。Pianoが実に生々しく、ピッ
キーンと後頭部まで突き抜けて行きます。ヴォーカルの高さ方向の伸びもす
さまじくて、天井が高くなったような錯覚を覚えます。

しばらく試聴していてふと気が付いたのですが、何だかもの凄く聞き易いの
です。これが位相が合っていると言う事なのでしょうか。

もちろん、私がP−70で少し不満に感じた、ソリッドな傾向な音なのですが、
D−70と同期させると「そんな小さな事など…フッ」と思えてしまうのです。

オリジナルCDとそれをコピーしたMDの差、その位有るかも知れません。
高解像度な機器は、いつもならヴォリュームを2ステップほど上げたくなるの
ですが、この組み合わせは、ヴォリュームが小さめでもしっかり聞こえるし、
かなり上げても全くうるさくないから不思議です。

次に、WORD SYNC+RAM のまま、UP CONVERT ON-4FS にしてみました。
さらにスケールが大きくなり、特にスピーカー中心より下の音場が広がった
感じで、とても安定感が有ります。

ホール感が出て 余韻は長く綺麗に伸びて行き、その軌跡がしばらく観えてい
る感じです。グイグイ引き込まれる様な音では無く、まるで星空に包み込ま
れる様に音楽に浸れるので、時間を忘れて聴き入ってしまいます。

確認のため、ノーマル接続(RCAデジタル、同期OFF)に戻しました・・・・
はっ!ウソッ!なんと小ぢんまりした音場でしょうか、奥行き等無いに等しい。

スピーカーの感覚を狭め、壁に引っ付けた様な音になってしまいました。
現システムより音場が広いはずなのですが・・・馴れとは恐ろしいものです。
WORD SYNC+RAM LINKーUP CONVERT ON-4FS の音場が圧倒的に広かったのですね。

でも、音の密度は濃く、一段前に出てくるので、古めのジャズを聴くにはこちら
の方が良い感じとも言えます。

P−70+D−70だと、POs単体も買えてしまうのですが、DACを変
えてWORD SYNCにしない限り、勝負は見えている様ですね。さらにDDコンバー
ター込みで、ジャンルによって音質を選べるので、150万と言う価格はお買い
得ではないでしょうか。


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