《HAL's Monitor Report》


No.0115 - 2002/8/13

東京都武蔵野市在住 T・K様より


モニター対象製品  SAP RELAXA2PLUS

その日、帰宅すると玄関になにやらダンボールが到着していました。
白い箱でしたので、先日の申し込んだA.O.P.のPADが到着したのかと思いきや、
SAPのRELAXA2PLUSでした。そういえば、到着予定日はそろそろだったなぁ、と
思いながら、急いで着替えをして、早速開封です。

オーディオ機器などと比べると軽い箱を持ち上げ、開封します。
中には、ビニール袋に包まれた本体と、説明書などが入っていました。
説明書の入った袋を取り出し、本体を箱から持ち上げようとしますが、ダン
ボールで形成された緩衝材の仕組みがすぐに理解できず、取出しには少々
時間を要しました。

といっても、これはお借りしたものですから、慎重に扱ったためで、それ
ほど開封が難しいというものではありません。箱から取り出し、さらに黒
い本体と透明なボードを各々袋から取り出します。

外見は、黒いH型のアクリル板のような材質からなる本体と、カタログ等
でも良く分かる透明なアクリル板のような材質のボードから構成され、
四隅に例の強力な磁石が装着されています。

この磁石、裏返せば引き合うわけで、箱の中では、引き合った状態で梱包
されています。また、透明なボードは、前部が美しい曲線を描いており、
表に掘り込まれた文字と合わせて、美しいデザインとなっています。

説明書に従い、ガイドに沿ってボードを本体上で浮遊させます。
確認のため、テーブルの上で装着していたところ、機械には興味のない妻が、
「綺麗なものね。」とほめてくれます。

確かに、これまで工業デザインとして優秀なオーディオ製品はいくつもあり
ますが、家具として、これほど秀逸なデザインのオーディオ機器は、他にあ
まり例がないかもしれません。デザイン的には、RELAXA2の上にお人形など
置物を置いても良いほどの製品です。

さて、次は我が家のオーディオ機器にセッティングです。
今回は、1セットをお借りしていますが、足元にもっとも敏感な、Esoteric
のP-50Sの下にセッティングして確認することとしました。

以下、我が家の機器構成です。

CD DRIVE:Esoteric P-50s
     ↓
デジタルケーブル:PAD Digital Colossus(BALANCED)
     ↓
DAC:Marants Project-D1
     ↓
INTERCONNECT:ACT 1.2mm 銀線 使用 自作(BALANCED)
     ↓
AMP:Jeff Rowland Concentra
     ↓
SP CABLE:PAD Mizunosei
     ↓
SP:CELESTION A1

コンセント:PAD CRYO-L2
電源ケーブル:CSE-AC250EX & Furutech ロジウムプラグ
ラック:Zoethecus

SPのA1だけが、不似合いな構成ですが、娘に前のスピーカー(DIATONE
DS1000HR)を破壊されて買い換えたので、ほどほどの値段で、心地よく
鳴るSPを探して購入したものです。

その娘も5歳になり、破壊活動?は収まりつつあるので、本来ならSPが
買い替え第一候補なのですが、今回は、川又店長があれほど推薦された
本品を試聴できるということで、お願いした次第です。

また、足元は、ハードに固めるものものが多いなか、浮遊させるという、
ある意味もっともソフトな方向の本製品の音をぜひとも確認したいとい
う思いもあります。

普段、P-50sは、Zoethecusの最上段で、直径・高さ50mmのアルミの円柱
(東急ハンズで購入)と直径50mm、高さ20mmの黒檀の円柱の上にセッテ
ィングしています。まず、普段の状態で試聴します。

その後、Zoethecusの最上段にRELAXA2PLUSをセッティングし、さらに、
アルミ円柱・黒檀円柱を乗せ、P-50sをセットします。P-50sは25kg。
ぎりぎりの重量ですが、乗せてみると、浮いているのかどうかわからな
いくらい沈んでしまいます。でも、ボードを指で押すと、さらにわずか
に沈んで本体に接触する感触が伝わります。
ほんの0.数mmですが、浮いています。

なお、P-50sを乗せるときに、最初は純正のスパイク受けを使用したの
ですが、このスパイク受け、磁性体のようで、磁石に反応します。

指で滑らしてみると、磁石の端から数mmのところまで近づけないと引っ
張られる感じはしないので、磁力線の広がりは狭いようです。

試聴した曲目は2つ。最近、セッティング等の試聴で用いるものです。

1.Verdi 序曲・前奏曲集(Abbado指揮、ベルリンフィル) POCG-10071
 より、歌劇「運命の力」序曲

RELAXA2PLUSをセッティングして、音を鳴らした瞬間の感想は、「なん
じゃこりゃ〜」。

悪い意味ではありません。

とにかく、激変なのです。P-50sは足元が敏感で、今の足元にしたときも、
真鍮や銅、アルミでころころ音が変わりましたが、その比ではない変わ
りようです。言葉にしやすい部分を説明すると、奥行きはぐっと広がり
ます。また、上の方にも伸びやかに響くようになります。この曲では、
下手なセッティングをすると、ファーストヴァイオリンが左により、
コンマスが不在のような聞こえ方をするのですが、奥行きが広がりつつも、
中央部の密度は濃くなり、ステージのリアリティは高まります。

ただ、前へ出てくるパワーは少し控えめになる感じです。
ただ、こういった言葉で表しているのは、細かい部分ともいえます。
表現力が足りないのですが、とにかく質感が変わります。
あえて言えば柔らかめ。ちょっと好き嫌いがあるかな、という感じもします。

2.アリア 佐藤美枝子 VICC-60295
 より、歌劇「椿姫」第一幕より“ああ、そはかの人か”
http://www.jvcmusic.co.jp/company/press/2002/0304.html


このCDは、世界初のセシウムクロックダイレクトカッティングということ
で、ルビジウムを上回る高精度クロックをレコーディングに導入したもの
で、個人的にクロノスを自宅で味わうCDと言っているものです。

ルビジウムクロックのCDもあるのですが、さすがに両方を購入して試聴す
るとこまでしていません。川又店長には、比較試聴して頂きたいと思って
いますが、いかがでしょう。(^^;

なお、このCDは、ここの記事で知りました。
http://arena.nikkeibp.co.jp/col/digital/20020423/01/

このCD、セシウムの効果なのか、とにかく定位がよく、ソプラノの佐藤
さんの口元もリアルに聞こえます。と、これまで思っていました。

でも、まだまだ甘かったんです。RELAXA2PLUSを導入すると、今までの
音が、まだ甘かったと思わせるくらい、ピシッとします。
分解能の向上というのでしょうか。そういう点では、ものすごい効果が
あるようです。

では、RELAXA2PLUSは買いかどうか。私個人的には、まだ電気機器の
部分で向上させなくてはならない部分がありますので、本品はお返しし
ました。でも、機器を揃えられている方であれば、とても面白い商品と
思います。音の変化の度合いでは、ケーブルより大きいのではないかと
思います。

実際、ISUTARUをお借りしたときより、変化は大きかったです。
Zoethecusほど高価ではないけれど、高剛性のラックの各段に、本品を
セッティングするとZoethecusと似たような値段になりますが、そのほ
うがZoethecusより良いのではないかと思い、一瞬Zoethecusを売ったら
いくらになるかな、と考えたくらいです。

最期になりましたが、このような貴重な機会を与えて下さった川又店長、
株式会社ユキムのご担当者の方々に、この場を借りてお礼申し上げます。
ありがとうございました。


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