「メカ大蛇?VS毒大蛇?」
1.使用機器
CD: LUX D-500X'sII
AMP: Mark Levinson NO.38SL
NO.333L
SP:DIATONE DS-205
インターコネクト:PAD HDI(RCA) REV.B Sig. CD-Pre間
PAD MIZUNOSEI(XLR) REV.B Sig. Pre-Power間
SPケーブル:PAD MAXIMUS Bi-wire REV.B Sig.
コンセットボックス:
千曲 CPS-22-CL(AMP用)
CSE H66CL(CD用)
電源ケーブル:
PAD AC-COLOSSUS CD用
PAD AC-TANTUS Pre用
壁コン<->千曲AC-COLOSSUS
壁コン<-> CSE CSE L10R
壁コン:ナショナルのHグレードの一番安い奴
2. 前回から半年余りでシステム全体・音がすっかり変わってしまいました。
それだけ手元から諭吉様がいなくなってしまっただけですけど。
AMPを憧れのレビンソンに(中古ですが…)交換して、レイアウト上、ケーブルの長さの制約もあり、PAD MIZUNOSEI(XLR)を暫定的に使っていたのですが、最近プラズマシールドなるISUTARUが発売になり、部屋のレイアウトも変えたいと思っていたところだったので、Pre-Power間に長いXLRケーブルが欲しくなってしまいました。そこで川又様にお願いして最新のISUTARU XLRとそれに近い値段のAQUEOUS XLRをお借りし、切り替えて試聴をすることにしました。
3.試聴ディスク:
古内 東子: TOKO Best Selection、魔法の手
宇多田 ヒカル: Distance
グロリア・エステファン: デスティニー
ジェシカシンプソン: イレジスタブル
リサスタンフィールド:リアル・ラブ
4. 試聴記
ISTARU:
期待のISTARUです。早速届いた箱をあけ、ケーブルを持ち上げてみると、プラズマシールドのせいもありかなりがっちり、重量もあります。
はやる気持ちを押さえつつも興奮気味に早速装着、とりあえず音出しです。
ん?なんか静かだ…・バーンイン前からこの実力、これはプラズマのおかげ??期待に胸を膨らませ、システムエンハンサーに丸1日*2お世話になりました。
さっそくバーンイン後の音だしです。
まず、第一印象がとても心地よい音です。S/Nが物凄く良く、それでいて音がトゲトゲしていない、なんとなく音に温かみがあるんです。決して音が丸まっているわけではなく、音の角が目立たない。恐らく、周波数成分がある帯域でスパッと切られるということなく、高周波成分が素直に減衰しているのではないでしょうか、これは、新しいプラズマシールドという技術により、飛躍的にノイズフロアが下がったことにより今までノイズに埋もれていた、微小な高周波成分の小さな音までも余すところなく、ノイズではなく、音となって表に現れており、それにより音が心地よいのではないかと想像します。一言で言って本当に気持ちの良い音です。以前ACドミナスをSystemに入れたときのイメージに近いです。心地良いんです、とにかく、聴いているとすぐに眠くなってしまいました。
ボーカルは深みがありそれでいて、立体感や奥行もあり、息遣いがとても自然で、躍動感に満ちています。音場もスピーカーの外側まで広がりとてもバランスよく出来ているなーと思いました。
新世代のプラズマシールドにより、一聴しておおーっ、HIFI(解像度が高いけど・聴いていて疲れてしまう音)って音を実は想像していたんですがそんなことはありませんでした。イメージとは全くの逆で、凄くアナログライクな音でした。
紫色の毒を捨て、大蛇が新たにまとったのは、新世代の鱗(プラズマシールド)でした、これにより、飛躍的な進歩を遂げたようですね、勝手にメカ大蛇と命名させて頂きます。デザイン的には、一新して、シースの色もシルバーにした方がよりメカ系で良かったような気がします、笑。
AQUEOUS:
電灯に透かすと例の紫色の毒が満ち溢れているのが良くわかります。
これは確かPAD社のジム氏が初めて開発したケーブルでこれも期待のケーブルです。
このケーブルもシステムエンハンサーに丸1日*2お世話になりました。
さて音を出してみての第一印象は、高域・超高域の伸びが凄いということです。音が伸びやかで空間に解き放たれるというイメージがあっています。ただISTARUに比べるとこの伸びがすこし作為的でなぜか聴いていてバランスが悪い。そのために悪い意味で作られたような音の広がり、綺麗さ・色気を感じてしまいます。(実際は作られるということはないので、そのようなことはないのでしょうけど、あくまでもイメージです。)
特に高域に独特のつやが乗っておりシステムによっては、このつやが目立ちすぎてしまう嫌いがあるような気がします。少なくとも私のシステムとは音質バランス・相性があまり良くないみたいです。
これだけ聴いていれば確かにMIZUNOSEIよりも聴感上の帯域は広いですし、軽やかな感じもします。ただややもすると作為的に艶が乗っているような錯覚にとらわれ、聴いていて少し疲れてしまうんです。これは私のシステム全体との相性でそのように聞えるのかもしれません。私が使っているDIATONEのスピーカーは高域に独特な固さがあるので、音質バランスが崩れてしまうと、その癖のある高域が目立ってしまい、AQUEOUSによりバランスが悪い方向に向いてしまったんだと思います。高域に刺激の少ないソフトドーム系のスピーカー等に使うと良いのかもしれません。またマッタリ系のシステムにAQUEOUSをスパイス的に入れて、それがはまってしまえばマッタリとしていて・色気がある独特な凄い音になるかもしれません。使いこなしの難しいケーブルだなーと判断しました。
全体の印象を表とグラフにまとめてみました。Mizunoseiを基準5点にしてあります。
表:各製品の音質評価
低域/中域/高域:これらは、それぞれの音域の品位、質感、量感等。聴感的に音が良いなーと感じる主要素。
低域/中域/高域分解能:それぞれの音域の解像度。聴感的にスピード感、歯切れの良さ、各楽器の分離感等につながる要素。
S/N感:全域のS/N感。聴感的に音の静けさ、透明感、軽やかさ等につながる要素。
余韻感:全域の余韻感。聴感的に微弱音の余韻、各楽器のリアルさ等につながる要素。
立体感:全域の立体感。聴感的に微弱音の立体感、前後の奥行き感等につながる要素。
空間表現力:全域の空間表現力。聴感的に音の広がり、臨場感、空気感等につながる要素。
Mizunoseiを5(基準)として、10を満点として、それぞれの項目で、主観的に感じた割合を各項目の点数とした。
5.総評:
値段差はそれほどありませんが、AQUEOUSに比べ、ISTARUのバランスの良さが目立つ結果になりました。はじめはISTARUの方が構造上、なにか作為的な音に仕上がっているのではないかと想像していたのですが、実際にはその逆で、物凄くアナログライクな音で、聞いてみないと分からないものだな〜とビックリしたと共にオーディオの奥深さを改めて痛感致しました。ISTARUは、とにかく心地が良いです。新世代のPADを感じさせる音に仕上がっているのではないでしょうか、一聴の価値ありですよ。今後PADの主要な技術になるのかどうかは市場の評価次第なのかもしれませんが、是非ともこの新技術をACケーブル等にも生かして頂いて、よりリーズナブルで、現行上位モデルに近い鳴り方のするエントリーモデルの開発に注力していただけたらと思います。
そして上位モデルは、更なる発展を期待したいですね、Revision C Signature?シリーズの登場が今から楽しみです。
6. 謝辞
最後になりましたが、このようなすばらしい企画をされているダイナミックオーディオ、川又店長様に感謝させていただきたいと思います。
そしてシーエス・フィールド様、このような高価製品、ましてや新製品のPAD社ケーブルを数週間にわたりご借用いただきまして誠にありがとうございました。
心よりお礼申し上げます。