《HAL's Monitor Report》
No.0079 - 2002/2/11 神奈川県綾瀬市在住 Hos 様 より モニター対象商品 ・村田製作所 ES103A ・SONY SS-TW100ED ・PAD ALTEUS(2.0m) 3回目の登場になります。 オーディオを始めて4年目になり、自分としては満足できる基本的な機器が ひと通り揃い、安定してよい音が楽しめるようになったつもりでした。 そのシステムは次の通りです。 SP:Dynaudio Audience80 AMP:GOLDMUND Mimesis SRI2 DAC/DDC:Perpetual Technologies P-3A/P-1A CDT:ESOTERIC P-50s 音楽を楽しむ面では喜ばしいことですがオーディオという趣味からすれば、 さて次はどうしよう?と思案を始める頃合です。 自分としては満足しているシステムですが川又システム挙げるまでもなく、 まだまだ凄いモデルがあります。 SPは……もう暫く付き合っても面白そうです。 AMPは……セパレート化には相応の予算が必要です。 DAC……次世代オーディオやアップサンプリング等の新技術が落ち着いて からの方が良いでしょう。 はて? そうです、前から気になっていたものがあったじゃないですか。 特に不満がなく安定した状態にアドオンするほうが評価のしやすいもの――スーパートゥイータです。 早速、川又さんにメールしました。 ひとつは川又さんご推薦の村田製作所 ES103A。 もうひとつはSONY SS-TW100EDでした。 そして、接続用にPAD ALTEUS(2.0m)でした。 なんだかケーブルのほうが高そうですが、これなしには正しい評価が できないと考えたのです。ケーブルまで予算が確保できないかも…… とも考えていましたが (苦笑)。 先に到着したのはES103Aでした。 まず驚かされたのはその梱包です。非常に堅牢そうなジュラルミン(?) ケースが段ボールの中から現れました。 ES103Aが1セットちょうど収まるのですからあまり大きくありません。 それでいながら、取っ手やロック機構がしっかりしているものですから、 密度感の高い造型です。開ける前からマニア心をくすぐられてしまいました。 これは試聴機専用なんでしょうか?このケースだけでも欲しいのですが。 接続は少し工夫が必要でした。ES103A側はALTEUSのYラグをそのまま 挿せば良かったのですが、アンプ側は出力端子が1セットのみで当然 メインスピーカへのケーブルが挿さっています。 Yラグをまとめて挿すことも挑戦しましたが巧くいかず、ACROTECHの バナナ端子を介して挿入することになってしまいました。 ES103Aをメインスピーカのトップパネルに適当に載せて試聴開始です。 スーパートゥイータはセッティングに時間が掛かるだろうなと思いな がら再生を開始しました。 「!!!」品物が到着したことを川又さんへ伝えるメールを書きかけ ていたパソコンのキーボードを叩きました。 「サウンドステージの見通しが良くなり、楽器の実在感が上がりました。 特に高域のエネルギー感が上がったのですが、神経質なきつさはまったく 感じられません」。 今までの試聴記をなぞった様な表現しかできませんでした。 多分それらが本当のことだからなのでしょう。最初に感じたのは空間の 広がりです。再生される音同士に十分な距離感が得られ見通しの良さに 繋がりました。S/N感が良いように感じる再生音では間の音を抑圧する ことで見通しが良くなることがあります。そのような再生では静寂が 支配的になりますが、ES103Aが作る空間は見通しがよく、かつ、躍動的な ものです。実に音楽が楽しく臨場感があります。それには広域に付与さ れたエネルギー感の影響があるのでしょう。 高域の音量が増してハイ上がりになったようでもなく、野太くなって 繊細さが欠落したわけでもありません。しっかりと輝かしい高音が 響くのです。弦楽器やピアノの艶やかさはかつてないほどでした。 音色はまったく変わらずという訳にはいかず、明るい方向へシフトしました。 ES103Aを2週間ほど楽しんだ後、SS-TW100EDへ変更しました。 SS-TW100EDにはネットワークボックスが付属しています。 ネットワークボックスはアンプとスーパートゥイータの間に挿入され ますから、SPケーブルがもうひと組必要になります。ここにもALTEUSを 使うという贅沢は難しいので手持ちのCARDAS CROSSLINK1Sを50cmほど 切り出して使用しました。アンプ側にバナナ端子を用いたのは同様です。 また、ALTEUSはスーパトゥイータ=ネットワークボックス間に挿入する ほうがネットワークボックス=アンプ間に入れるよりも好ましい結果になりました。 SS-TW100EDを追加した音は精密さが向上し、マッシヴな男っぽい表現に 魅力を感じました。楽曲の躍動感が増したのはES103Aと同様です。 定位は安定度を増し、ボーカルは一段と絞り込まれました。 ES103Aでは豊かな余韻の表現によりボーカルが緩く感じることもありました。 それはソースを再現している美点でもあるのですが、SS-TW100EDの シャープな表現も評価できる美点だと思います。特に電子楽器を多用 したポップスは、急峻な表現に長けているほうがノリが良いと考えて います。しかしそれは諸刃の剣で、行き過ぎたソースでは耳にきつい ことも……。音色への影響は比較的軽微で、やや辛口になりましたが 曖昧な形容が示す通り、音色というより鳴り方への影響が大きいと思います。 ネットワークボックスでは30・40・50KHzとローカット周波数を変更できます。 メインスピーカとの組み合わせでは30KHzではハイ上がりになり、音がきつく なってしまいました。逆に50KHzでは追加した効能のいくつかは感じられ ましたがやや醍醐味に欠け、40KHzが適当だと判断しました。 一方、ES103Aの再生周波数下限は18KHzである思います。理論には疎いの で怪しい考えですが、音色への影響度の多少はここら辺にあるのでは。 そして、SS-TW100EDが30KHzではハイ上がりになってしまったにも拘ら ずES103Aでは高域に不快な面がまったくなかったことから、両者は同じ スーパートゥイータという分類でありながら性質を異にするものである と感じました。どちらが欲しいかと問われれば両方とも欲しいと答えて しまうほど良い製品でした。 スーパートゥイータと言えばローカット周波数・アッテネーション・ 位相等など、追い込みに時間のかかるコンポーネントであると懸念して いましたが、それは杞憂でした。ES103Aに関しては繋いで載せただけです。 もちろん更なる追い込みは可能なのでしょうが、繋いですぐに効果が 解るのは気が楽です。メインスピーカのトップパネル(またはスタンド) との干渉、上下左右のサービスエリアの調整を行えば十分だと思われます。 最後にALTEUSですが、川又さんも仰られている様にスーパートゥイータ には必須と言えるケーブルです。出費圧縮を目論んで手持ちのケーブル とも比較してみましたがALTEUSでないとできない空間表現があります。 すでにPADのSPケーブルを認めている身なれば、ALTEUSも入手しなけれ ば後悔するであろうと頭では解っているのですが財布が (汗)。 今回も非常に良い経験をさせていただきました。 シーエスフィールド様、SONY様、村田製作所様、ありがとうございました。 そして、試聴機のなかったSS-TW100EDの調達、度々の質問への応対と 川又さんにはお手数をお掛けしました。ありがとうございました。 |