《HAL's Monitor Report》


No.0068 - 2001/05/30

 群馬県多野郡在住 HK様 1 モニター対象商品  PAD ACケーブル TANTUS 0,75m×2                                1,5m×2                                2,0m×1 CRYOーL2 2 我が家のシステム   オーディオルーム     洋間21畳不整形(実質天井高約4m)         (スピーカー設置部コンクリート打ち上げ、奥行き1,4m)   メインシステム    カートリッジ        オーディオクラフト ACー03 *                            ACー03(モノ):    アーム           SME シリーズV       *                      イケダ IT245         :    ターンテーブル      マイクロ SX8000Uシステム    フォノイコライザー    オーディオクラフト PE6000 si    ラインアンプ       AYRE K3    パワーアンプ       自作 WE300B シングルモノ×2        (RCA5692+WE349A(1949年)+WE300B(刻印)         +WE274B(刻印)+スーパーパーマロイ出力トランス)    スピーカー        TANNOY AUTOGRAPH ORIGINAL     信号ラインコード     AC DESIGN WTCU系    ACコード         WIRE WORLD ERP ×6    電源タップ        チクマ 75CPSー22AGーCL   サブシステム    プレイヤー        DL−103SL+THE SPACEDECK    プリメイン        アキュフェーズ Eー211    スピーカー        ALTEC SEVILLE     etc 3 自己紹介   十代の後半にラジオにプレイヤーを繋いで、EP盤やLPサイズの  ソノシートを聴き始めて37年、よくも飽きずに音楽とオーディオを趣  味とし、「知天命」を過ぎること半ばという者です。   現在の装置に落ち着くまでの苦闘(楽闘?)は、御多分に漏れず、  同好の士と同じ様な経緯を辿っております。       ソースは全てLPで、欧州盤を中心にオリジナル盤を厳選して残し  たもので、クラシックが約2000枚(12インチ、10インチ)あります。   (ジャズは約600枚でSPの復刻等は国内盤も混ざっています。)   最新のアイテムに興味が無いのではなく、好みの演奏家を残し  ていったらこうなったようです。あと20年か30年になるか分かりま  せんが、これだけのソースが有れば、一生音楽とオーディオが楽  しめるものと考えております。   ま!いわば、前世紀の遺物を後生大事(悪友の弁)としているわ  けですが、小生にとっては、自分の感性に適う物を探し求めたら、  こういう結果になったとしか説明できません。拘りの結果とも言える  と思います。   自慢話ですが、WE300Bの刻印物だけでも、何本購入したこと  か、結局ペアーをとるのに、数本が残っただけです。   スピーカーでも、ただ繋いであるのではなく、納得のいくように、  様々な工夫を凝らしてあります。そういう意味では、趣味ですので、  安易な妥協はしていないつもりです。   我が城で、己が志向する音楽を望む音で楽しむために、オーデ  ィオは今後も止められません。 4 試聴に使用した盤   BACH      MATTHAUS−PASSION (ARCHIV)               RICHTER  MBO             VIOLIN SONATAS (ERATO)               BARCHET  LACROIX   MOZART    DIVERTIMENTO NO17 (DECCA)               VIENNA  OCTET             PIANO CONCERTO NO27(DECCA)               BACKHAUS  BOHM  VPO   BEETHOVEN CELLO SONATAS (DGG)               FOURNIER  GULDA    以上の5組は、MONO と STEREOの両盤で聴きました。   MOZART    REQUIM (DG)               BOHM  VPO   SCHUBERT  DIE WINTERREISE (HMV)               FISCHERーDIESKAU  MOORE   CHOPIN    NOCTURNE (仏Columbia)               FRANCOIS    以上の3組はSTEREO盤です。   BACH     VIOLIN CONCERTOS(WESTMINSTE R)                        BARYLLI  SCHERCHEN  VSOP            SOLO VIOLIN(PARTITA NO2)               SCHNEIDERHAN(ARCHIV 10in ch)   MOZART   CLARINET QUINTET(WESTMINSTER)               WLACH  VKQ    以上の3枚はMONO盤です。    その他、半面とか楽章とかの単位で試聴したものは割愛させ   て戴きます。 5 試聴報告   初めに3本お借りして聴きました。上記のようなシステムです  ので、実際にLPをかけながらでないとエージングが出来ません。  平日は3時間程、土日に頑張っても5,6時間となかなか進みま   せん。毎日音と音場が変化しました。2週間の期限が切れる頃  これは返せない、この先もっと良くなると感じました。そこで、無  理を言って後2本借りました。4月の下旬です。ゴールデンウイ  ークは、何年振りかで、音楽漬けでした。   4月は、半分義理で聞いていました。5月の連休後半から、ウ  ムム・・・と言う感じになりだしました。これは、思っていたよりも  ズーート良い、真剣に聴きだしました。   CRYOからチクマのタップまでとフォノイコライザー、ラインプリ、  2台のパワーに使用しました。マイクロのプレイヤーは直出しで  すが、根本で切断して、コネクターを取り付け1本追加しました。  (川又さんには、何度も迷惑をかけるわけにはいきませんので、  上京して、1mのTANTUSを買いました。勿論、ダイナですが)   そんなわけで、6本まとめて買ってしまいました。   人によっては、ACケーブルは各社混ぜてバランスをとった方  が良いと言いますが、TANTUSに他社を混ぜるとPADの純粋  性が濁ります。混ぜたケーブルの音が強く出てきてしまいます。   透明で、静謐な奥深い音場を濁したくないので、ACケーブル  は総てTANTUSとしました。5月末の現在、未だ聴きたいレコ  ードが一杯あって、時間がもっと欲しいと思う半面、なあに、焦  ることはない、これからもっと良くなる、とも感じています。   2年ほど前、PARTITA C21というラインアンプ(左右別ボリ  ューム、入出力1系統の特注品)を換えるとき、様々なアンプ  を自宅試聴しました。レヴィンソン、FM、チェロ、JEFFetcです。  肌理が細かく、自然な音(小生にとって)はAYREが一番でした。  特に、小生が長年追求している音場の奥行きの深さは、傑出し  ていました。   AUTOGRAPHは、背面70cm、左右30cm壁から離してあ  りますが、MATTHAUSやREQUIMのコーラスは壁を突き抜  けて音楽が消えていったものです。   さて、TANTUSに換えると、粒立ちは更に細やかになり、音  場はもはや全く壁の存在を超えて奥深く、天井は今まで聴いた  ことがないほど高くなりました。   FOURNIERのCELLOは我が心を震わす如くに深々と歌い  ます。BARCHETのVnは今更のように楚々と泣き出しました。  FRANCOISのPIANOはレンジがグーンと伸びNOCTURNE  の雰囲気に酔い痴れさせてくれます。   特に、感動的なのは人の声で、実体感が増しました。マタイや  モツレクのSOLOは、スーとステージの前方に立ち、コーラスは  奥行き深く、天井高く余韻を響かせます。DIESKAUとMOORE  のCOLLABORATIONも素晴らしく、白鳥や水車小屋も次々と  レコード棚から引き出しておりました。   余談になりますが、LIEDは好きで、AMELING等は全盤蒐集  を目論んだ程です。WUNDERLICHは別としても、AMELING  にしてもDIESKAUにしても、若くてその恵まれた素材を前面に  出して素直に歌っていた頃の歌が好きです。後年の技巧を駆使  した、所謂、掘り下げた歌は小生には重くて未だ耐えられません。  この後更に人生経験を積めば理解できるようになるのでしょうか。  それにしても、h/m盤のAMELINGのBACHやSCHUBERTは  素晴らしく、ついで70年代前半のEMIやPHILIPS盤と言うところ  でしょうか。   話を戻しますが、小生は、音楽でも音でもこれ見よがし的なもの  はあまり好きではありません。素朴な演奏や素直な音が好きです。  勿論、レンジは広く、ピンポイントで決まる解像力は不可欠ですが、  ゴリゴリといかにも出てます低音や電気臭の強いキリキリヴァイオ  リンは嫌ですネ。   群馬の山間地で大自然に包まれて、その恩恵を十分に受け、  日々生かされていると感じている人間です。休日には、オーディオ  ルームの窓を全開にして、奏でる音楽が我が箱庭に溶け込む様  な音楽と音をこの先も志向していく積もりです。   TANTUSは、こうした小生の嗜好を十分に満たしてくれそうです。  美味しいコーヒーを入れるには、十分に時間をかけて自然乾燥し  た豆を好みの深さに煎って、その鮮度が落ちないうちに挽かねば  なりませんが、自己主張をしない「水」が無くてはなりません。   TANTUSは、あたかも、コーヒーの「水」に例えられましょうか。  無くてはならぬものですが、それ自体が存在感を示すこともなく、  しかし、コーヒーの味を存分に引き出してくれる「水」です。    良いものに出会いました。 6 おわりに   この年になって、音楽を聴いて心が震えるほどの感動を味わっ  ております。そこでは、自分だけの時間と空間を楽しむのです。  浮き世の利害得失を忘れて(現世を超越した世界に)我が魂を  逍遙させるのです。すると、感性は研ぎ澄まされ、四季折々の  美しさを素直に感じるようになってきた「新しい自分」を発見して  驚くとともに、心が豊かになったような気がしてきます。   「濡れ落ち葉」を心配している、自称無趣味の我が同胞達から  見れば、実に羨ましいということなのでしょうか。   音楽とオーディオを愛して37年、今後も「趣味なのだから安易  な妥協はしない」と言うことを目標にして、拘わっていきたいと考  えております。   ところで、今まで敷居が高くて、ダイナには行ってもHALには入  ったことがない小生ですが、メールのやりとりのみの人物に、こう  した機会を設けてくださり、新しい世界への扉を開いてくださった  川又店長と今井社長にお礼申し上げます。   HPで見て、HALに入会して本当に良かったと思っております。   川又店長の「人となり」は、随筆「音の細道」をお読みになれば、  充分に信頼に足る人物であることが、賢明なユーザーには理解でき  るのではないでしょうか。   お忙しいとのことで、随筆が中断されているのは喜ばしい半面、  残念な気もしますが、無いものねだりの類でしょうか。   ともあれ、今後とも我ら「迷える羊」に温かい手を差しのべてく  ださることをお願いして、擱筆といたします。


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