《HAL's Monitor Report》
No.0060 - 2001/04/9
兵庫県三木市在住 TM様 モニター対象製品:JEFFROWLAND MODEL 10 MODEL 12
以前よりハルズモニターレポートを読んでいて、自宅でモニター対象機器を試聴できるこの企画に非常に興味がありました。そう、自宅で試聴できるというところがポイントなのです。
現在の使用機器 プリアンプ ジェフ・ロゥランド シナジー パワーアンプ サンスイ B2102 MOS CDプレーヤー ラックスマン D−10 スピーカー JBL 4344現在、シナジーを使っているため、パワーアンプもジェフの純正のコンビが当然候補になるのですが、ただ同じメーカーだからというだけでなく、何回か店などで聞いた印象では、モデル10の透明感(何か浸透力を感じるような)が他のアンプとはかなり違い、これまで聴いたことの無いような独特の雰囲気があったからです。(プリは他社製でも)当然、私にとって良いイメージの音である事はいうまでもありませんが。 という訳で、心ウキウキしながら試聴の開始です。 試聴機が届くととすぐにセッティングの開始、一つの筐体は12〜13キロで決して重くはないがそれでもずっしりとしている。(外観はやっぱり最高ーと思わずニヤリ) ちょっとエージングと、CDをかけて1時間ほど退室。「それでは本格的に聴いてみようかー」と意気込んで聴きだしたはいいものの「なんかちょっとぼやけ気味?」・・・「???」やっぱり全体的にちょっとぼやけ気味でスッキリしない。 という事で、さらに待つ事約5時間。さすがにスッキリ、フォーカスも合って来た。それならと、聴きなれた曲をかけていく。 1.「世界3大テノール’94夢の競演」から おおいと高き裁き主にして父なる神よ/ホセ カレーラス 一聴して空間が広がった事が分かる。これは聴いたどの曲に対しても言えること。カレーラスの音像が立体的になり空間の静けさも増したよう。 2.「ツィゴイネルワイゼン」ムターより ツィゴイネルワイゼン ヴァイオリンが浮かび上がり、今までほんの少し感じられた高音のきつさが一切感じられない。静けさが増した分、音の消えぎわが特に美しい。 3.「ベルリーニ&ワーグナー アリア集」ジェーン イーグレンより その無心の微笑で 静寂の中に楽器が浮かび上がる。歌声も心に染み渡る。「うわー、これ今まで聴いた事がないかも・・」しばし聞き惚れた。 4.「MOVIN’ VOVA!」ウラジミール シャフラノフ トリオより You And The Night And The Music 楽器の位置が良く分かる。思えば今までは音がひとかたまりになっていて、空間的な位置がほとんど分からなかった。濁りが無くなり、音数が減ったよう。ドラムの切れが明らかに良くなり、気持ちがいい。 5.「ON FIRE」ミッシェル カミロより ON FIRE これもドラムが心地よい。でもこっちはスピード感がアップし4.とは逆に音数が増したよう。でも見通しは良い。「こんな音が入っていたのか」と思わず微笑む。カミロの超絶テクニックたるゆえんがはじめて理解できた・・かも。 6.「クローズ ユア アイズ」鈴木 重子より It’s Time To Love 口元が若干大きくなった気がしないでもないが、ボーカルの生々しさはアップ。ちょっとハスキーなところが特に良い。 7.「TURN IT OUT」SOULIVEより Uncle Junior ライブの熱気がややクールのなったが、これも悪くない。音の分離、見通しは当然 ○。 8.「イン ザ フレッシュ」ロジャー ウォーターズより Disc2 4〜8 知らない人には、元PINK FLOYDの・・といったら分かってもらえるかも。とにかく多くの人に聴いてもらいたい。(もちろんフロイドも)つい最近まで復帰を熱望していたが、このアルバムが出て「このままでいいかな」と思ってしまいました。ソロ+フロイドが聴けるのですから。とにかく、すごい。ちょっと話がそれてしまいましたが、今回の聴き所はズバリ、ボーカル(語りのような)とSEです。ボーカルはやっぱり立体感が増し、より生々しくなって ○。問題のSEはというと、これはもう「今までのは何?」という感じ。今までは、ボーカルを無視してSEに集中してやっと聴こえる、という感じだったのが、遠くの小さい音ながら空間全体を包むように、虫の音、鳥のさえずり、子供の声が聴けました。これはもう鳥肌ものです。 以上の曲を返却までくり返し聴きました。 まとめ 試聴の結果をまとめると、空間の広がり、音像の分離、静けさ、見通しの良さが明らかに違いました。不思議なことに、音色や温度感などはこれまでとあまり変わりませんでした。まあ、値段が何倍も違うのですからこれくらいは当然かなとも思いますが・・ あと、良かった事は確かなのですが、アンプに対して自分のイメージしていた音(始めに透明感と表現しましたが)が完全に出ていたかというと、そうはいえない面もありました。これに関しては、アンプというよりもスピーカーの個性のためと言ったほうが良いか もしれませんが・・・。4344のダイナミックで前面に押し出すような音が好きだったのですが、好みが変わってきたような気がします。これはこれで「大きな問題が出てきてしまったー。」という感じです。 また、最後までほんの少しフォーカスが甘かったかなーという感覚が残りました。これはカーペットを敷いたフローリングにじか置きというセッティングのためだったと思います。 結局は思ったとおりの素晴らしいアンプということです。(何せ、音の好みの変化を明らかにしてしまいましたからねー)ここまで来て、「モデル10と12の比較が全然無いじゃないか」と思われると思います。そう、その通りです。これまで比較しての感想は書いていませんでした。 両者を比較して言えることは、すべての面においてモデル10より12の方がランクが上ということです。(当然音楽の表現の仕方は両方とも同じですが)これ以上は私の数少ない語彙では表現が出来ません。申しわけありません。ただ一つ特筆できる事は、鈴木重子のボーカルの生々しさが明らかに違っていたという事です。 以上でレポートを終わりますが、最後に素晴らしい機会を与えていただいた川又さんにお礼を申し上げてレポートを締めくくりたいと思います。 |