No.0050 - 2000/12/28
千葉県松戸市在住 KK 様
モニター対象製品:PAD:RCAケーブル・プロテウス1.0M
同 ・コロッサス1.0M
●前回モニターの結末
前回(12年10月のモニターレポートNo.32で掲載して頂きました)のハルズ・モニターでMEIのボードを拝借して、川又店長のお薦めに間違いはないと思い、「PADは全モデルモニター対象」という言葉に甘えて、またお願いしてしまいました。
MEIのオーディオ・ボード「MMW-1」は、ハルズ・モニターの結果、アンプ用に止まらず、更にスピーカー用に2枚注文、となりました。(セッティングの関係で「MS−S301」という従来製品の小型ボードの型で「特注」までしてしまいました)
セッティングの充実で、前よりもグッと音が良くなって心は幸せな、フトコロとカミサンの表情は不幸せな(?)毎日です。
あ、それから「セッティングの充実」ついでに、ダイナさんでPADのトータル・アイソレーション・プラットホームを買っちゃいました。別のハルズ・メンバーの方のモニター・レポートがあると思いますので詳しく書きませんが、「MMW-1」で追い込んだ後に入れたせいもあってか、抜群の効果が出ました。これ、本当に「良い」というレベルを超えて「不思議」なボードです。
●試聴の前に
現状も、拙宅ではエントリー・クラスながらすべてPADのケーブルを使用していますが、今より更に上級の魅力に染まりたい、というところです。コロッサスならボーナスで何とか買えるかな?でも、ちょっと(大分?)ボーナス減っちゃったしな、と悩みつつこれが「本線」。しかしながら、参考までに・・・・と称してプロテウスもいっしょに拝借してしまいました。ただ聞くだけならドミナスを貸してくれ〜と言えば良いのですが、大体サラリーマンの立場で買えるわけがありませんし、なんとか手の届きそうなものをということで・・・・・。(じゃあ、プロテウスが買えるのか?と言われるとウッとなってしまいますが)
●試聴の「その1」
早速、CDとプリの間にコロッサスを使ってみます。
因みに、現状はCDとプリにはPADのHDI、プリとパワーの間には同じくコロッサスを使用していますので、これで「コロッサス→コロッサス」となったわけです。
1曲目、木住野佳子、ユーアーソービューティフルの1曲目、イスラエル
帯域がグッと広がったかのような上下に伸びのある音。この前、ハルズモニターで購入したMMW-1のボード導入時に少し抑えられたシンバルの「シーン」という音の雰囲気(金属板が震えるあの感じです、シーンと言っても静寂の意味ではありません)や余韻がまた出てきた。いや、「また」ではなくてシンバルの音・余韻が消えずに、小さくなっていっても聞こえるようになったのだろうか。以前は、付帯音がシャカシャカと付いて響きのように聞こえていたものに代わって、MMW-1とコロッサスを導入して、本当の極小レベルの余韻までが出てきたのか?
余計な話になりますが・・・・・・・・
某専門誌で「ケーブルの魔術師」と言われる評論家の先生のケーブル試聴記事を見ると、必ずと言ってもいいほどPADのケーブルは「写実性の評価」が低く、「芸術性に優れる」ような(あたかも音を作っているような?)評価がしてあります。
今回のコロッサス導入で経験した「余韻」をエコーと聞けば、ケーブルで響きを付加するという、確かに芸術的美音調ということになるのだろうと思います、が。
以前、電源ケーブルですがこの先生が「写実性に星印」をつけて激賞するアメリカ製のデュアル・コアキシャル構造のケーブルを何の疑いもなく「これがベスト」と思って使用していましたが、たまたまPADのエントリークラスのものが手に入り、交換したところが帯域が驚くほど広がり、特に低音が全く無理なく、従来以上に量感豊かに出てきて、かつ、その自然な音のたたずまいにビックリした経験がありました。「アレッ、これってどっちの音だ?」と予想外の結果に、最初はちょっと混乱してしまった程でした。
それ以来、芸術的という評価にも「そうかなぁ?」と疑問に思っていましたが、今回の音を聞いてみて、どうしても本来のCDの中に入っている音が、PADのしかも上級グレードのものによって出てきたように聞こえてなりません。
閑話休題。
2曲目、セリーヌ・ディオン、FALLING INTO YOUの2曲目、ビコーズ・ユー・ラブ・ミー
ボーカルが前に出てきた、というよりバックとの遠近感がより鮮明になってきた。セリーヌの息遣いがこんなにセクシーとは・・・・・・、と悶絶状態。
3曲目、渡辺香津美、エスプリの1曲目、ハバナ
マイクにオンでとらえられているアコースティック・ギターの音色が一段と魅力的。ハーモニックスの響きが従来とは全く違う。ベースの音は一段と引き締まる。スタジオではこんな感じに聞こえているのか・・・・・。
4曲目、ジョージ・セル-ウィーン・フィル、69年ザルツブルグのライブ(オルフェオ赤ジャケの「ベト・プロ」のCDです)の1曲目、エグモンド序曲
低音弦の迫力が増した。一段とワイルドに音が迫ってくる。このCDの低音弦はいつも遅れ気味にもったりした感じに聞こえるが、立ち上がりが早くなった。エンディングの盛り上がりにはこの演奏への感激を新たにしました。
5曲目、ペライヤ−アバド、シューマンのピアノ協奏曲、第一楽章
イントロの緊張感、オケの弦がまず「ジャン」ときてピアノが「タターン」とくる、あの部分が大好きな曲。ウーン、ピアノの澄んだ音での立ち上がりが今までにない鋭さ、それでいて過度にエッジを立たせた訳ではない。最高でした。
●試聴の「その2」
今度はCDとプリの間を、プロテウスに替えてみました。
結果は、「大成功」でもあり、かつ、ある意味では「大失敗」。勿論、同じPADで比較している訳ですから、音の傾向自体は同じ基調の中にあるのは事実でしたが、これほど差が歴然としているとは・・・・・・・・。
上を見ればキリがない世界とは分かってはいながら、借りるんじゃなかった・・・・・・・・。
コロッサスからプロテウスに替えて、簡単に言えば
1)帯域がさらに広がり、ピアノの立ちあがりなどを比べれば「潰れたような」(比べれば、ですよ)音が、格段にクリアーになっている
2)音圧も強まり、前に出てくる音、奥まってゆく音がさらにはっきりし
3)当然、微小な音の部分も良く聞こえ、余韻、特に「消え際」の雰囲気がたまらない感じ
というように、グレードごとにキッチリとした差が出るという誠に「つまらない」(音楽は「更に素晴らしい」ですが)展開になってしまいました。
まあ、コロッサスはHDIの約2.5倍、さらにプロテウスはコロッサスの約2倍という価格差を考えれば当然なのかもしれませんが。
●最後に
これでドミナスを聞いたらどうなるんだろう?というのが素朴な感想です。
ハルズの主旨としては、究極の選択・ドミナスをベストとするのは当然でしょうが、実際に家庭でオーディオを楽しむ立場の我々としては、価格毎の商品の存在価値と、どれくらいの予算をかけるか?という非常に根本的な問題に直面して、かつ、実際に経験した音、上級グレードの素晴らしさに煩悶することになってしまいます。
聞かなきゃ良かった。
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