《HAL's Monitor Report》


No.0035 - 2000/10/19

北海道札幌市 S.Y 様

モニター対象製品:ゾウセカス:z.3/R

使用システム
CDトランスポート  エソテリック:P-0
DAコンバータ    マークレビンソン:No.360SL
プリアンプ      マークレビンソン:No.26L
パワーアンプ     マークレビンソン:No.23L
スピーカー      ガウス:3580+JBL:2441+パイオニア:PT-R7V
(ホーンシステム)

1 試聴までの経緯

 今回ゾウセカスを試聴させていただいたのですが、実情をお話しすれば、最初から積極的にお願いしたわけではなかったのです。
 私は、今夏にDAコンバータをグレードアップし、後はボードやインシュレーターで少しずつ調整していきたいと考えていました。
 川又様にMEIの汎用ボードについてメールにて伺ったところ、「汎用ボードはゾウセカスに乗らないし、P-0にゾウセカスは劇的効果をもたらす。購入を前提としなくて良いから、ゾウセカスを貸し出すので聴いてみてほしい。その上で、今後のラックのあり方を考えてほしい。ボード1枚とはいえ、予算を無駄にして欲しくない。」とのお返事をいただきました。
 ゾウセカスに興味は持っていましたが、試聴だけのためにラックを送っていただくのは心苦しく、どうすべきか悩みつつ、メールのやり取りをしていく中で、貴重な機会を与えていただけると判断し、お借りすることにしました。

2 セッティング

 我家に送られてきたゾウセカスはフレーム1箱、プラットフォーム2箱の合計3箱でした。プラットフォームはその大きさの割に軽く、ハンドリングは楽でした。梱包を解き、セッティングしましたが、フレームにネジ式の脚部を取り付けて水平調整し、プラットフォームを置くだけで、さして力も要らず、あっという間に完成してしまい、その容易さに拍子抜けしてしまいました。全くラックの組立てをしたことがない方でも大丈夫だと思います。
 今回お借りしたラックは3段のため、CDトランスポート、DAコンバータ、プリアンプの本体をセットし、電源部は床にTAOCのボードを置き、その上にセットしました。

3 試聴

 正直言って、ゾウセカス効果にはまってしまいました。数多くのディスクを聴きましたが、以下の3点について簡単にレポートします。

@ プロコフィエフ「ロメオとジュリエット」 アバド〜ベルリンPO

 オーケストラの編成が一回り大きくなり、各パートの遠近感がリアルに再現されるようになりました。また、低域もブーミーにならず、バスドラムなどもしっかりととらえることができます。ベルリンのフィルハーモニーホールに行ったときの感動が甦るようでした。

A バッハ「無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第2番」 寺神戸亮

 録音会場である教会のホールプレゼンスの良さが、一段と引き立てられました。また、左手で弦を押さえる音までリアルに聴こえて来て、ちょっとゾクゾクしました。

B シューマン「交響的練習曲」 ポリーニ

 ポリーニ独特の切れの良いタッチが明瞭に聞き取れました。左手で低音を奏でる部分でもクリアさは失われず、ゾウセカスの効果がはっきりとわかりました。

4 感想

 今回ゾウセカスを聴き、情報量、解像度などの点でこれまでと圧倒的な差を感じさせられました。また、音色は特に色づけされることなくニュートラルなものでした。
 どのようなものでも基礎が重要とよくいわれます。オーディオでも同様に、しっかりした環境の中に機器をセットしてこそ本領が発揮されるのではないでしょうか。とすれば、まずは良いラックに機器をセットしてあげることが、出発点なのだと改めて感じました。その1つの(最良の)回答がゾウセカスであると思います。最近では、インシュレーターやボードも高額なものが多くなっていますので、すべてのコンポーネントにそれらを使用することを考えれば、ゾウセカスは決して高価ではないというのが私の結論です。
 で、どうしたかっていいますと、結局z.5/Rとz.Block2を発注してしまいました。到着するのが今から楽しみです。でも、経済的には不幸になってしまい、川又様のお勧めは、ある意味で悪魔の囁きかもしれません。


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